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ショスタコーヴィチ_交響曲第13番:東京都交響楽団@サントリーホール 2013.11.28

東京都交響楽団のサントリーホールの定期公演です。今日の公演は人気がないのか、客席に空席が目立ちます。ショスタコーヴィチの交響曲のなかでも演奏機会の少ない第13番だからかもしれません。この曲の真価は計りがたいというのが正直なところですが、音楽的には、後期のショスタコーヴィチの特徴の出た、いい音楽です。ただ、この曲のベースとなっているエフトゥシェンコの詩の内容が反体制とは言え、イデオロギー的なものであることが問題だと思えます。体制的であろうと反体制的であろうと、芸術にイデオロギーを持ち込むのは少なくともsaraiには抵抗があります。ベートーヴェンの第9番のように、人間の友愛を歌うものとは、本質的に違いがあります。その抵抗感を一時的に抑制してみると、バス独唱のディデンコの深々とした歌唱が素晴らしく、ロシア版の一人オペラ、あるいはオラトリオを聴いている感覚に陥ります。各楽章の盛り上がる部分では感動さえ覚えました。

今日のプログラムは以下です。

  指揮:ヘヘス・ロペス=コボス
  管弦楽:東京都交響楽団
  バス:ニコライ・ディデンコ
  男性合唱:2期会合唱団

  トゥリーナ:闘牛士の祈り Op.34(弦楽合奏版)
  ラヴェル:スペイン狂詩曲

   《休憩》

  ショスタコーヴィチ:交響曲第13番変ロ長調 Op.113《バービイ・ヤール》

まず、トゥリーナの《闘牛士の祈り》です。この曲はオリジナルはリュート四重奏曲だそうですが、いろんな編曲があり、管弦楽版もあります。今日はあえて、弦楽合奏版が選択されたようです。まあ、難しい曲ではないし、ムード音楽を聴いている気分です。都響の弦楽セクションの素晴らしい響きを堪能しました。今日は弦楽セクションはほぼベストメンバーで、そのサウンドに聴き惚れるのみでした。

次はラヴェルの《スペイン狂詩曲》です。これは紛れもない名曲。よく知っている旋律のオンパレード。都響の美しく、ダイナミックな響きを楽しむばかりです。スペイン出身の指揮者はスペイン風の雰囲気を見事に表現します。

休憩後、今日のメインのショスタコーヴィチの交響曲第13番です。エフトゥシェンコの詩《バービイ・ヤール》に曲をつけたのが第1楽章。《バービイ・ヤール》は第2次世界大戦中にナチスがユダヤ人を大量虐殺したキエフ近郊の渓谷です。民族差別に踏み込んだ内容になっています。残りの第2楽章から第5楽章もエフトゥシェンコの詩に基づいています。いずれも当時のソ連の諸問題に踏み込んだ内容です。あれほど、体制側からの批判にピリピリし、恐怖感を抱いていたショスタコーヴィチが思い切って作曲した作品です。それというのも、スターリンが没し、フルシチョフのスターリン批判で一気に雪解けに向かった状況下だからだったようです。詩の内容の好みの問題は別として、ともかく、バス独唱のディデンコの歌唱が素晴らしいです。その巨躯からの深々とした声量はもちろん、多彩な表現も見事です。ロシア語の歌詞はロシア人の彼が歌いこなすのは当然として、男性的な歌唱から柔らかい歌唱まで、文句なしです。交響曲というよりも、管弦楽伴奏付きの声楽曲として、大いに楽しめました。男性合唱はオーケストラの後ろに立っていることもあり、迫力に欠けたのが残念。都響は見事な演奏でしたが、特に第5楽章のコーダでのヴァイオリンとヴィオラのソロ2重奏は素晴らしいの一語。コンサートマスターの矢部達哉とヴィオラ首席の店村眞積のさすがの演奏でした。《音楽》的には、素晴らしい演奏でした。この曲を実演で聴くのは初めてでしたが、とても感銘を覚えました。

このショスタコーヴィチは、実は3日後の日曜のコンサートに続く序奏なんです。1日でショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲15曲全曲を聴くプロジェクトです。このところ、毎日、精力的に予習に励んでいます。そのうち、ショスタコーヴィチの交響曲15曲全曲のチクルスとか、ありませんかね・・・。


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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
たまには、旅ブログも書きます。

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金婚式、おめでとうございます!!!
大学入学直後からの長いお付き合い、素晴らしい伴侶に巡り逢われて、幸せな人生ですね!
京都には年に2回もお越しでも、青春を過ごし

10/07 08:57 堀内えり

 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

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07/08 15:53 じじい@

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久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

私も18年前にドレスデンでバームクーヘン食べました。マイセンではB級品でもコーヒー茶碗1客日本円で5万円程して庶民には高くて買えなかったですよ。奥様はもしかして◯良女

06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

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