今日は上大岡ひまわりの郷のコンサート・シリーズの2014年春の1回目。ピアノ・トリオのプラハ・グァルネリ・トリオが登場。
室内楽の醍醐味は何と言っても、オーケストラと違って、楽器の響きのピュアーさですが、今日はそれに加えて、響きの豊かさがあり、最上の室内楽を楽しむことができました。
前半はお国もののチェコの作曲家の作品です。
まず、スークの《エレジー》。ヴァイオリンが美しいメロディーを奏で始めますが、単純にボエミア風のメロディーというのではなくて、少し、ヤナーチェックを思わせるギクシャクしたところも感じさせられます。チェロにもメロディーは受け継がれますが、歌うというよりも語りかけるような演奏です。これもヤナーチェック同様にチェコ語の語法に基づくものなのでしょうか。10分足らずの小曲ですが、スークはこういう短い曲のほうが才能を発揮するように感じます。
ここまでで感じたプラハ・グァルネリ・トリオの印象はテクニックの達者なピアノと堅実なチェロを従えたヴァイオリンの闊達な演奏が音楽の骨格を作っているということです。デリケートな演奏というよりも骨太な演奏を感じさせられます。ナイーブではないものの音楽性はとても豊かです。
次はスメタナのピアノ三重奏曲。スメタナが最愛の4歳の娘を亡くした頃の作品で、その悲しみが反映されているそうですが、saraiにはスメタナらしいボヘミアを愛する熱狂を感じてしまいます。この曲は実に熱い演奏です。このグァルネリ・トリオの演奏スタイルにぴったりと合った曲で、こういう演奏を聴くと、スメタナはやはりチェコの演奏家で聴きたくなります。もう音楽を超えた何かがあります。第3楽章の後半は聴いているsaraiも熱くなってしまいます。素晴らしい演奏でした。
休憩後の後半はお国ものを離れて、メンデルスゾーンのピアノ三重奏曲第1番です。といっても、チェコとお隣のドイツのライプツィヒはとても近いですね。
この曲は名人トリオで予習しました。
パールマン、ヨー・ヨー・マ、アックス
特に、ヨー・ヨー・マの朗々としたチェロの響きが素晴らしい演奏でした。そのせいか、グァルネリ・トリオの演奏は少しこぶりな演奏に感じられてしまいます。こういう常設のトリオの室内楽的演奏が地味ながらも、しみじみとはしますが、やはり、名人トリオのある意味、派手でスケールの大きな演奏は魅力的ではあります。まあ、それぞれの良さがあるんでしょう。今日の演奏というか、この曲自体の特質かもしれませんが、前半の2楽章がとても聴き応えがありました。第2楽章の抒情的な響きには、とても惹かれるものがあります。
今日のプログラムを紹介しておきます。
プラハ・グァルネリ・トリオ
ヴァイオリン:チェネック・パヴリーク
チェロ:マリク・イエリエ
ピアノ:イヴァン・クラーンスキー
スーク:ピアノ三重奏のための《エレジー》 Op.23
スメタナ:ピアノ三重奏曲 ト短調 Op.15
《休憩》
メンデルスゾーン:ピアノ三重奏曲第1番 ニ短調 Op.49
《アンコール》
ドヴォルザーク:ピアノ三重奏曲第1番 変ロ長調 作品21 B.51より、第3楽章 アレグレット・スケルツァンド
ドヴォルザーク:ユモレスク
アンコールはまた、お国もののドヴォルザーク。とてもよい演奏でした。
室内楽の喜びを堪能できたコンサートでした。チェコの音楽家の音楽性の高さにはいつも驚かされます。
↓ saraiの旅を応援してくれるかたはポチっとクリックしてsaraiを元気づけてね
いいね!
