この際ですから、ブラームスのピアノ五重奏曲をCDできっちり、予習することにしましょう。名盤はほぼ網羅できたと思います。以下の9枚のCDを聴きました。
ゼルキン&ブッシュ四重奏団
デムス&ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団
ゼルキン&ブダペスト弦楽四重奏団
ルビンシュタイン&グァルネリ四重奏団
エッシェンバッハ&アマデウス四重奏団
ポリーニ&イタリア四重奏団
レオンスカヤ&アルバン・ベルク四重奏団
ラーンキ&バルトーク四重奏団
フライシャー&エマーソン四重奏団
レオンスカヤ&アルバン・ベルク四重奏団以外はすべて、聴き応えがありました。また聴きたくなるのは、録音は古くても音質的には十分なゼルキン&ブッシュ四重奏団です。アドルフ・ブッシュの綿々たるヴァイオリンの響きが何とも魅力的です。でも、まあ、普通なら、ゼルキン&ブダペスト弦楽四重奏団か、ポリーニ&イタリア四重奏団あたりがお勧めということになるますね。
今日のコンサートはメンデルスゾーンの弦楽四重奏曲第6番とシューベルトの弦楽四重奏曲第12番《四重奏断章》も演奏されます。
メンデルスゾーンの弦楽四重奏曲第6番は以下のCDを聴きましたが、見事な演奏でした。
エマーソン四重奏団(メンデルスゾーン:弦楽四重奏のための作品全集)
シューベルトの弦楽四重奏曲第12番《四重奏断章》は以下のCD、LPを聴きましたが、どちらも素晴らしい演奏。ウィーン・フィルハーモニー弦楽四重奏団というのは、バリリ四重奏団の第1ヴァイオリンのワルター・バリリが引退した後、ウィーン・フィルのコンサートマスターのウィリー・ボスコフスキーがその後を引き継ぎ、名称も変わったそうです。バリリ四重奏団同様に当時のウィーン・フィルの典雅な響きを聴かせてくれます。バリリ以上に音色が艶やかにも感じました。
メロス四重奏団(シューベルト弦楽四重奏曲全集)
ウィーン・フィルハーモニー弦楽四重奏団(LPレコード)
さて、今日の演奏はどうだったでしょう。
まず、今日のプログラムは以下です。
ピアノ:ピーター・レーゼル
弦楽四重奏:ゲヴァントハウス弦楽四重奏団
メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲第6番ヘ短調 Op.80
シューベルト:弦楽四重奏曲第12番ハ短調《四重奏断章》 D703
《休憩》
ブラームス:ピアノ五重奏曲ヘ短調 Op.34
《アンコール》
ブラームス:ピアノ五重奏曲ヘ短調 Op.34 第3楽章
1曲目のメンデルスゾーンの弦楽四重奏曲第6番は決してポピュラーな曲ではありませんが、とても心に響く曲です。解説によると、メンデルスゾーンが姉ファニーの急逝に対する悲嘆のなか、姉に捧げるレクイエムとして書いた曲だそうです。メンデルスゾーン自身もこの曲を書き終えるとすぐに姉と同じ脳卒中でこの世を去ったそうです。しかし、この曲は美しいですが、そんなに悲しみに浸るだけの曲ではありません。
第1楽章冒頭、激しくトレモロで演奏される流麗な曲は、いかにも、疾風怒濤(シュトルム・ウント・ドランク)を感じさせられます。メンデルスゾーンが活躍したライプツィヒを本拠地とするゲヴァントハウス弦楽四重奏団は、メンデルスゾーンの晩年とは思えない若々しい情熱に満ちた調べを鮮やかに表現してくれます。さすがに第2楽章以降は哀しみも感じさせられる響きが聴けますが、あくまでもロマン派の情熱に満ちた表現で見事な演奏。ゲヴァントハウス弦楽四重奏団の看板になりそうな音楽であると思いました。
2曲目はシューベルトの弦楽四重奏曲第12番《四重奏断章》。何故か、メンデルスゾーンの曲と雰囲気が似ています。それでも、やはり、シューベルトらしい室内楽のエッセンスがぎっしりとつまった演奏に満足。室内楽を聴く喜びに浸してくれる名演奏でした。
休憩後はいよいよ、今日のメインプログラムであるブラームスのピアノ五重奏曲。まさにドイツの正統的な演奏を思わせる堂々とした表現でした。音楽をリードしていたのはピアノのピーター・レーゼルです。どっしりと落ち着いた演奏で、ブラームスの世界を満喫させてくれました。それにとても熱い演奏でした。白熱のブラームスです。晩年のブラームスなら、もっと渋く演奏してもらいたいところですが、こういうブラームスもいいですね。ブラームスの交響曲を1曲、聴いた感覚です。注文をつけるとしたら、ヴァイオリンがもっと抒情的な響きも聴かせてほしかったということでしょうか。まあ、ピアノ主導の演奏ですから、こんな感じでいいのかもしれません。満足の演奏でした。アンコールでもう一度、第3楽章が聴けて、たっぷりとブラームスの室内楽に浸ることができました。
1日置いて、明後日はレーゼルのピアノ独奏でブラームスの超名曲の間奏曲(Op.117)が聴けます。ピアノ五重奏曲同様に楽しみです。
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