モーツァルトのピアノ協奏曲第21番は名曲中の名曲、いまさら予習することはありませんが、ペライアの演奏だけ、聴いておきましょう。
ペライア&ヨーロッパ室内管弦楽団(DVD)
ペライア&イギリス室内管弦楽団(CD)
イギリス室内管弦楽団はペライアが若い頃(30歳頃)の演奏ですが、勢いがあり、切れのある素晴らしい演奏。ヨーロッパ室内管弦楽団とのDVDはその10年以上後の映像ですが、音質がよくなった分、聴き応えがします。それに映像は面白いですね。
モーツァルト以外の曲も予習。メンデルスゾーンの弦楽のための交響曲第7番は聴いたことがありません、初めてCDで聴いてみました。少年が作曲したとは思えない完成度です。
クルト・マズア指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団
バッハのピアノ協奏曲第7番はペライアのCDを聴きました。普通はチェンバロの演奏で聴きますが、ペライアのピアノのピュアーな演奏もなかなかです。
ペライア&アカデミー室内管弦楽団
ハイドンの交響曲第94番《驚愕》はこれまで、意外にあまり聴いていないので、まとめて聴いてみました。フルトヴェングラーの古典的な演奏がぴったりきます。セルの演奏も素晴らしいものでした。セルの晩年の演奏はどれも素晴らしいことを最近、認識させられました。
フルトヴェングラー指揮ウィーン・フィル(1951年)
オイゲン・ヨッフム指揮ロンドン・フィル
ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団
カザルス指揮マールボロ祝祭管弦楽団
アーノンクール指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
さて、今日の演奏についての感想です。
まず、今日のプログラムは以下です。
ピアノ&指揮:マレイ・ペライア
管弦楽:アカデミー室内管弦楽団(アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ)
メンデルスゾーン:弦楽のための交響曲第7番ニ短調
モーツァルト:ピアノ協奏曲第21番ハ長調 K.467
《休憩》
J.S.バッハ:ピアノ協奏曲第7番ト短調 BWV 1058
ハイドン:交響曲第94番ト長調 Hob.I-94《驚愕》
1曲目のメンデルスゾーンは指揮者なしで、アカデミー室内管弦楽団の弦楽器奏者だけでの演奏。彼らのお得意のスタイルですね。少年メンデルスゾーンが交響曲の習作として作曲したものですが、よほど、バッハの音楽を参考にしたのでしょう。古典的な雰囲気が感じられます。そこに既にメンデルスゾーンらしい清々しさが芽吹いています。アカデミー室内管弦楽団の響きは第1楽章はもうひとつでしたが、第2楽章からは響きが澄み切ってきて、颯爽とした演奏でとても満足できました。
2曲目はモーツァルトのピアノ協奏曲第21番。これが聴きたくて、このコンサートに足を運びました。ペライアの弾き振りなので、一抹の不安があります。冒頭のオーケストラはほどよく響き、いよいよ、ペライアのピアノ。あれっ、なんだか、ペライアらしい美しい響きが聴こえてきません。不安的中か・・・しばらくすると、ペライアのエンジンがかかってきたか、えもいわれない素晴らしい響きと切れのよいタッチ。モーツァルトのピアノ協奏曲はこうでなくてはいけないというような理想的な響きにうっとりと聴き惚れます。そのペライアの美しい響きに呼応するようにアカデミー室内管弦楽団も透き通るような美しい響き。映画音楽でも有名な第2楽章にはいると、ますます、天国的な美しさ。曲もよし、演奏もよし。ただただ、聴き入るだけです。第3楽章はペライアの神業的なシャープな演奏が展開されます。ペライアの若い頃のシャープな切れ味の演奏と同様の素晴らしい演奏。もう、これ以上のモーツァルトは今後聴けないでしょう。最高の演奏でした。今日のコンサートでは、モーツァルトのピアノ協奏曲はこの1曲きりでしたが、もう、それで十分に満足しました。
休憩後のバッハのピアノ協奏曲も美しく、深みのある演奏でした。ピアノの豊かな響きは現代のコンサートホールにはぴったりかもしれません。小ホールなら、チェンバロでの演奏もいいでしょうが、サントリーホールのような大ホールならば、スタインウェイのピアノの響きはホールを包み込むようです。バッハの名曲は楽器が何であれ、素晴らしいです。モーツァルトのピアノ協奏曲と同様に大満足でした。
最後のハイドンの交響曲第94番《驚愕》はおまけのようなもの。ペライアの指揮は堅実なもの。ハイドンはこれでいいでしょう。美味しいデザートを味わわせてもらいました。これがアンコールのようなものですから、アンコールはなし。欲を言えば、ペライアのピアノ独奏のアンコールを途中にはさんでほしかったですけどね。
明日はアヴデーエワのピアノ・リサイタルを聴きますから、ピアノ独奏は十分に楽しめるでしょう。
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