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マドリッドの最後はマヨール広場で:有名なマヨール広場、そして、サン・ミゲル市場へ

2014年5月29日木曜日@マドリッド~トレド/2回目

チュロスの有名店チョコラテリア・サン・ヒネスでチュロスをぱくぱくと美味しく食べていると、横の席にいた綺麗なアジア系の女性が話しかけてきました。日本人と結婚し、京都に住んでいる台湾出身の方でした。日本に住んで4年程とのことですが、とっても日本語が堪能です。1人旅とのことですが、いろんな話で盛り上がり、saraiのブログのURLを教えて別れました。その前にお店の人にお願いして、3人で記念撮影。


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次はマヨール広場を目指します。店から通りに出たところで、これまでずっと探していたラ・カイシャ銀行(La Caixa)を発見。


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アルハンブラ宮殿の予約はしてあるのですが、チケットは未発券。そのチケットを発券するのがこの銀行のATMらしいのです。何回かチャレンジしたのですが 発券できないままでした。ここでもう1度やってみましょう。ATMの列に並びます。


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ようやく順番が回ってきて、チャレンジします。


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やはりダメです。営業中なので、銀行の中に入って行員に聞いてみましょう。数人の行列に並び聞いてみると、アルハンブラ宮殿のチケットは発券できないとのこと。システムが変わったのでしょうか。

マヨール広場Plaza Mayorはテレビの海外旅行番組でもよく紹介されています。とても大きな広場で、周りをぐるりと4階建ての建物で囲まれています。テレビで散々見ているので、初めて見る感じがしません。


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これが広場を囲む4階建ての建物です。フェリペ3世の命で1619年に完成し、以後3度も火災にあいながらも、そのたびに再建してきました。現在の建物は1953年に再建されたものです。


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建物の壁には大胆な絵が描かれています。ちょっとどぎついですね。


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広場の中央には、フェリペ3世の騎馬像が建っています。堂々たる姿です。


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広場をざっと見ただけですが、ここでの観光はこれで終了。


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次はサン・ミゲル市場に向かいます。アーチを抜けて、広場の外に出ます。


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マヨール広場の建物に沿って歩き、サン・ミゲル市場を探します。


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サン・ミゲル市場をちょっと探しまわってしまいましたが、何とか発見。


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ここで、地下鉄ソル駅からサン・ミゲル市場まで歩いたルートを地図でおさらいしておきましょう。

 - ソル駅から、マヨール通りを歩いて、チョコラテリア・サン・ヒネスへ
 - チョコラテリア・サン・ヒネスから、マヨール広場へ
 - マヨール広場から、サン・ミゲル市場へ


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サン・ミゲル市場Mercado de San Miguelは1916年に青果市場として建てられましたが、2009年にグルメスポットとして新装開店しました。建物に近づき外から見ると、新鮮な果物が見えます。


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早速、市場の中に入ってみましょう。観光客で賑わっています。というよりも、大混雑の状況です。


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ここは市場というよりデパ地下ののりです。色んなお店がずらっと並んでいます。


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ぶらぶらとお店を見て回って、美味しそうなものをゲットしましょう。サン・ミゲル市場のレポートは次回に続きます。





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魅惑のショパン、イエルク・デームス 86歳バースデーコンサート@上大岡ひまわりの郷 2014.12.2

遂にというか、ようやく、ウィーンのピアニスト、イエルク・デームスの生演奏に接することになりました。何となく、彼はレコード(CD)で聴く過去の巨匠のような気がしますから、生で聴けるというのは不思議な感じです。今日はデームスの86歳の誕生日だそうです。86歳・・・高齢ですね。saraiの持論、指揮者とピアニストは80歳を過ぎてからが本来の素晴らしい演奏が聴ける・・・それにぴったりした年齢です。これまで、CDでしか聴いてこなかった巨匠の演奏はどんなものになるでしょう。イエルク・デームスと言えば、かって、彼らが若い頃には、ウィーン3羽烏と呼ばれていました。フリードリヒ・グルダは生で聴かないうちに亡くなりました。享年69歳でしたから、グルダは早死にでした。あと10年長生きして、80歳になれば、聴けたでしょうに、残念です。パウル・バドゥラ=スコダは一昨年、85歳での来日コンサートを聴きました。そして、今日のデームスです。
デームスと言えば、今年のウィーンの旅で近郊の街ミュルツシュラークにあるブラームス博物館まで、彼の弾いたブラームス・アルバムを購入するために行きました。当ブログでも現在、連載中の《スペイン・ザルツブルグ・ウィーンの旅》の後半でその経緯を書くので、お楽しみに。そのときに求めた2枚組のCDは目の前にずっと置いてあります。ドイツ語のリーフレットを読もうと悪戦苦闘しているからです。


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リーフレットの表紙に写っているピアノはかって、ブラームスが愛用してBachmannのピアノ。現在、ブラームス博物館に展示してありますが、デームスはこのピアノでブラームスを弾いて、それをCDアルバムにしています。このピアノの音はやはり、それなりに年代ものの響きです。ただし、それだけでは鑑賞用として寂しいので、他の1枚には現代のスタインウェイでブラームスを弾いています。やはり、こちらが聴き易いですね。ブラームスの晩年のピアノ曲の名作(Op.116~119)を網羅したアルバムになっています。

今日の演奏ですが、ブログのタイトルを見て、おやっと思われませんでしたか。デームスと言えば、ウィーンのピアニスト。当然、モーツァルト、べートーヴェン、ブラームスと言った作曲家の作品が得意の筈。ショパンって、弾いていたっけ?・・・という感じですよね。ところが、そのショパンが素晴らしかったんです。まるでフランス人のショパン弾きみたいにね。

今日のプログラムは以下です。

  ピアノ:イエルク・デームス

  J.S.バッハ:半音階的幻想曲とフーガ ニ短調 BWV 903
  モーツァルト:幻想曲ハ短調 K.396
         幻想曲ニ短調 K.397
  ベートーヴェン:ピアノソナタ第14番 Op.27-2「月光」

   《休憩》

  J.デームス:ソナチネ Op.26
  ショパン:前奏曲嬰ハ短調 Op.45
       舟歌 Op.60
       子守歌 Op.57
       ノクターン第18番 Op.62-2
       バラード第3番 Op.47

   《アンコール》
     ドビュッシー:『前奏曲集第1巻』より、《ヴェール(帆)Voiles》・・・多分?
     ドビュッシー:『ベルガマスク組曲』より、《月の光 Clair de Lune 》
     ショパン: 夜想曲第5番嬰ヘ長調 Op.15-2

満員の会場がシーンと静まり返る中、ご高齢のイエルク・デームスがおぼつかない足取りでステージに登場。
しかし、手がピアノの鍵盤に置かれると、その年齢からは想像もできない美しいタッチの響きが聴こえてきます。

1曲目のJ.S.バッハの《半音階的幻想曲とフーガ》。前半部分の幻想曲はしっかりした響きで自在なテンポながら、落ち着いた演奏。次第にバッハの深遠に迫っていきます。後半のフーガも落ち着いたテンポで深みのある演奏ですが、決して枯れた、渋い演奏ではなく、ためのきいた、しっかりした演奏。なかなかよかったと思います。

2曲目、3曲目のモーツァルトの幻想曲は続けて演奏されます。ハ短調の幻想曲と言えば、K.475が有名ですが、K.396も名曲です。バッハの幻想曲と続けて演奏されると、なんとなく、モーツァルトの幻想曲もスタイルが似ていることに気が付きます。ただし、モーツァルトはより自由な形式です。明快なボリュームのある響きで闊達な演奏です。この傾向はニ短調の幻想曲に引き継がれます。そもそも、このニ短調の幻想曲はsaraiがモーツァルトのピアノ曲の中で一番好きな曲なので、とても気持ちよく聴けます。しっかりした名演奏でした。

4曲目のベートーヴェンのピアノソナタ第14番「月光」は古今東西、ピアノ曲の中でも横綱クラスの有名曲。過去の巨匠が名演を録音してきた曲で、生半可な演奏では、白けてしまいます。デームスはたんたんときっちりと演奏し、奇をてらうことはありません。ここでもためをきかせた演奏で、なかなか聴かせてくれました。最高の演奏とは言えなくても、及第点の美しい演奏でした。

休憩後は、デームス自身の作曲した作品。6曲の連作になっていて、シューマンの連作のような音楽に印象派のテイストを加えたような綺麗な曲で、さすがに手に馴染んだ演奏。前半の演奏に比べると、タッチの美しさが目立ちます。珍しい曲を聴かせてもらいました。

最後はショパンの前奏曲嬰ハ短調、舟歌、子守歌、ノクターン第18番、バラード第3番が続けて演奏されます。いずれも静かで抒情的な作品ばかりです。最初の前奏曲の冒頭のフレーズから、美しい響きとタッチ、それにショパンらしいテンポの揺れが心地よく感じます。これは真正のショパンです。何故、ウィーン伝統のピアニストであるデームスがこんな素晴らしいショパンが弾けるのか、頭を捻ってしまいます。この《ひまわりの郷》ホールがこんなに美しいピアノの響きで満たされたことはなかったのではないでしょうか。思わず、その違和感に戸惑いを感じます。saraiの地元のホールで今、巨匠が素晴らしい演奏をしていることが心底、信じられません。デームスはここで聴けるような普通の音楽家ではなくて、ウィーンとか、それなりの場所でしか聴けない類の巨匠ピアニストであることが実感できるようなショパンでした。
比較するのも何ですが、晩年のクラウディオ・アラウの美音にも匹敵するイエルク・デームスの美音でした。デームス晩年の演奏は是非、録音にも残すべきだと強く感じました。ショパン、そして、シューマンとブラームスの再録音が期待されます。

アンコールはまず、ドビュッシー2曲。これはショパンに輪をかけて、素晴らしい演奏です。これほどの美しい響きを実演で聴けるとは思いもしませんでした。ドビュッシーも録音を残してほしいですね。
そして、最後はショパンのノクターン。最高の演奏にしびれました。

素晴らしいバースデーコンサートに立ち会えて、とても幸せでした。是非、来年も来日してくださいね。






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質の高いチェコ音楽:ウィハン・カルテット@鶴見サルビアホール 2014.12.3

ウィハン・カルテットはチェコの演奏家たちで構成されています。いつも思うのですが、チェコの音楽家はテクニック以上に音楽性が優れています。この弦楽四重奏団もまさしく、音楽性豊かな演奏を聴かせてくれました。そして、やはり、お国ものであるドヴォルザークの《アメリカ》は絶品でした。

今日のプログラムは以下です。

  弦楽四重奏:ウィハン・カルテット

  ハイドン:弦楽四重奏曲第43番 Op.54-1
  ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第6番 Op.18-6

   《休憩》

  ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲第12番 Op.96《アメリカ》

   《アンコール》
    ビートルズのイェスタデイ

1曲目はハイドンの弦楽四重奏曲第43番です。この作品はあまり聴いていないので、力を入れて予習。予習したのは以下の3つ。

 エマーソン・カルテット(ハイドン・プロジェクト)
 エンジェルス・カルテット(全集盤)
 アマデウス四重奏団(旧盤、モノラル)

いずれも爽快な素晴らしい演奏。なかでもエマーソン・カルテットのすっきりとしたスマートな演奏は音質の良さも相俟って、心地よく聴けます。2枚組におさまったハイドンの弦楽四重奏曲はすべて快心の演奏です。

今日のウィハン・カルテットの演奏は手堅い演奏ながら、美しくハイドンの古典を聴かせてくれました。

2曲目はベートーヴェンの弦楽四重奏曲第6番です。これはさんざん聴いてきた作品ですから、聴き洩らしていた以下のCDで予習。

 エマーソン・カルテット(全集盤)

エマーソン・カルテットのベートーヴェンはどれを聴いても新鮮な響きです。もっとも最近聴いたヴェーグ四重奏団(新盤)の素晴らしさには及ばない感じではあります。

今日のウィハン・カルテットの演奏はこの曲の核心に迫る素晴らしい演奏。アンサンブルの響きもハイドンよりも綺麗になってきました。満足の演奏に心が浮き立ちます。

休憩後、この日、一番、楽しみにしていたドヴォルザークの《アメリカ》です。いやというほど、聴いてきた曲ですが、未聴の演奏を予習してみます。

 エマーソン・カルテット
 ハーゲン・カルテット
 プラハ・カルテット(全集盤)
 アルバン・ベルク・カルテット

結局、今日の3曲ともエマーソン・カルテットを聴いてしまいましたが、これも期待に応える素晴らしい演奏。ハーゲン・カルテットはデビュー当時のメンバーが20代の頃の演奏でまだまだというところ。これは再録音してもらわないと、ハーゲン・カルテットの名が廃ります。プラハ・カルテットはお国ものではありますが、到底、かってのスメタナ四重奏団の足元にも及ばない演奏。全集盤であるところに意義があります。アルバン・ベルク・カルテットはsaraiの好みではありませんが、ライブ録音でさすがの演奏です。まあ、いずれもスメタナ四重奏団を超える演奏ではありませんけどね。

今日のウィハン・カルテットの演奏は快心の演奏。40年以上前の学生時代に聴いたスメタナ四重奏団の演奏に迫るものでした。ちょっとした間のとりかたや、アンサンブルの精妙さでは、スメタナ四重奏団に比肩できるものではありませんが、ボヘミアを感じさせる音楽の充実度では同等の演奏に思えました。久しぶりに素晴らしい演奏を聴けて、充足感を覚えました。

やはり、弦楽四重奏曲はいいですね。純粋な音楽を感じます。





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マドリッドの最後はマヨール広場で:サン・ミゲル市場は巨大なバル・・・美味しいランチを堪能

2014年5月29日木曜日@マドリッド~トレド/3回目

マドリッドのサン・ミゲル市場Mercado de San Miguelは市場というよりも、大規模なバルとも言えますね。一番隅には寿司コーナーもあります。


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これはおつまみ。パンの上に、トマトやチーズやサーモンが乗っかっています。


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こちらは海鮮コーナー。蟹が並んでいます。


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もちろん、生ハムもあります。


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これはオリーブですね。


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これは白魚のような魚ですが、ちょっと見た目がねー。どんな味かも想像できず、チャレンジする勇気が出ませんでした。食べているおじさんもいましたけどね。


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これは小魚、海老、イカの揚げ物です。いかにも美味しそう。


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新聞紙にくるんで売っています。これはゲットしましょう。でも、どれを選ぼうかな。


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全種類を少しずつ食べたいので、混ぜ混ぜで欲しいとお願いすると、ミックスしたものを作ってくれました。上にはレモンを乗っけてくれます。市場内のイートインスペースで空いた椅子をなんとか見つけて、これを食べます。


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イートインスペースは客でひしめいていて、とても賑やか。


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魚介の唐揚げだけでは物足りないので、saraiが1人で飲み物と追加の食べ物を調達に出かけます。だって、2人で席を立つと、2度と座れなくなりそうな混雑ぶりなんです。ぐるりと見て回り、ムール貝のグリルをゲットしました。


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シンプルながら、美味しいランチです。バルの味を楽しみます。素材そのものの味をいかした料理に舌鼓。美味しいし、楽しいです。いろんな人種の入り乱れたパーティーの感じです。
あっという間に食べ終わり、席を譲ります。混み合っていますからね。
混雑する市場の中を抜けていくと、とても賑わっている店があります。お寿司屋さんでした。スペインでも日本食は人気がありますね。


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サン・ミゲル市場も体験し、これでマドリッドでやり残したことはありません。早めの行動で、トレドに向かいましょう。市場を出ると、すぐにマヨール広場を囲む建物の外側に出ます。


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面白いレストランの案内板のタイルを発見。マッシュルームのお店のようで、各国語でchampiñon とかMushroomとか書いてありますが、一番下には日本語で《マッシュルーム》。


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また、マヨール広場に戻ってきました。快晴の空の下、広場は綺麗です。


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これが広場の出入り口のアーチです。これを通って、サン・ミゲル市場から戻ってきました。


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マヨール広場には、美しい街灯が立ち並びます。夜は灯が点って、綺麗でしょうね。


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マヨール広場を抜けて、プエルタ・デル・ソルの広場まで歩いてきました。ここで地下鉄のソル駅に下ります。


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地下鉄でホテルに戻り、荷物を受け取ります。
いよいよ、これから、トレドに向かいます。




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トレドはエル・グレコの街:失敗続きながらも、何とかトレド行の高速電車に滑り込みセーフ

2014年5月29日木曜日@マドリッド~トレド/4回目

ホテルで荷物を受け取り、地下鉄でトレド行の高速電車に乗るための鉄道駅に向かいます。地下鉄1号線でグランヴィアGran Via駅から、アトーチャ・レンフェ駅Atocha Renfeまで移動。


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地下鉄のアトーチャ・レンフェ駅を出ると、そこは鉄道駅のマドリッド・アトーチャ駅です。 マドリッド・アトーチャ駅は隣接する二つの駅からなっているという複雑な駅ですが、難なく目的のプエルタ・デ・アトーチャ駅Puerta de Atochaの前に到着です。


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道を横断して駅の構内に向かいます。それにしても、駅前のタクシーの量は物凄いですね。


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まずは列車の確認です。電光掲示板を見ますが、saraiの乗る予定の列車がありません。おかしいなと思いながら予定表を確認したsaraiが一言叫びます・・・あっ、時間を間違えた! 配偶者はびっくり。配偶者の心臓は止まりそうだったようです。が、ここで早めの行動が幸いしました。1時間も勘違いしていたにもかかわらず、発車までにまだ30分の余裕があります。よかった、間に合いますね。でも、今度はトレド行の乗り場が見つかりません。焦る気持ちを落ち着かせながら、駅の構内を歩き回って探します。


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インフォメーションを見つけて、トレド行の電車のプラットホームの場所を訊きます。が、これが分かりづらい!


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その後も、あちこちで聞きまくりながら移動し、ようやくプラットホーム近くに到達しました。電光掲示板の上から3番目にトレド行の高速電車が表示されています。プラットホームの番号も13と表示されています。出発は20分後です。何とか間に合いほっとしながら、急いでプラットホームに向かいます。


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ところが、高速列車の仕組みはなかなか複雑。まずはセキュリティチェックを受ける必要があります。


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セキュリティチェックを終えても、まだプラットホームとはガラスで仕切られています。


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荷物を引っ張りながら、プラットホーム13番に向かいます。


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13番のプラットホーム前のレセプションで、受付のお姉さんにチケットを見せてチェックを受け、ようやくホームに入れます。


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これがオンラインで購入しておいたトレド行の高速電車AVANTのチケットです。トレドまで1人12.7ユーロ。ツーリスタクラス(2等席)です。たった30分ほど乗るだけですから、贅沢な席は不要です。


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ホームに入ると、カッコいい高速電車の車体が目に入ります。右の車両がトレド行のAVANT。左の車体はAVEで、こちらは後日乗る予定です。


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車両に沿って、指定席に向かいます。


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これが13番ホームの表示板です。もう、発車10分前です。


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とはいえ、電車の先頭車両を撮影しておきましょう。renfe(スペイン国鉄)のロゴが決まっていますね。


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急いで2号車に乗り込みます。


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あれれっ・・・もう発車10分前なのに座席はがらがらです。シートはカラフルで美しいデザインです。


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ようやく席に付くと、発車までに残り5分。今回は何かと失敗が多く、前途多難です。配偶者からは無言の視線で、《よろしくお願いしますよ》という圧力。気を引き締めましょう。初めてのスペインですから、これからも未知の体験が続きます。
これでトレドには予定通り3時半頃には着くでしょう。



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トレドはエル・グレコの街:トレドに到着し、まずは今日の宿パラドール・デ・トレドへ

2014年5月29日木曜日@マドリッド~トレド/5回目

プエルタ・デ・アトーチャ駅で時間ぎりぎりにトレド行の電車に乗り込みました。
高速電車AVANTは定刻に発車。マドリッドの街の中を抜けていきます。トレドまでは30分程です。


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線路沿いには派手な落書きがあります。スペインは不思議なくらいごみが落ちていない清潔な国ですが、落書きは別のようです。


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10分も走ると郊外に出ます。大規模な団地が立ち並びます。


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やがて、どこまでも続く大平原の中を走りますが、この辺りは豊かな田園風景です。


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突然、驚くほど美しいトレドの街が浮かび上がります。そして、駅に到着。きっちり、30分の鉄道の旅でした。


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地図で位置関係を確認しておきましょう。マドリッドから少し南に行くとトレドです。エル・エスコリアルやセゴヴィアとは反対方向になります。


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高速電車はこのトレドが終点です。


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高速電車の線路はプラットホームの途中までで終っています。


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プラットホームの先の左手に駅舎があります。トレドらしく、古風な建物です。


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駅舎の入り口の左手には、エル・グレコ展のロゴマークがあります。まさに今のトレドはエル・グレコ一色に染まっているようです。


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駅舎に入ると、内部は外観と同様に古風な雰囲気です。


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駅舎の窓がステンドグラスというのは、さすがに古都にふさわしいですね。


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駅舎から駅前に出ると、駅前広場にはなーんにもありません。がらーんとしています。市街地から駅が離れているからでしょうね。


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旧市街へは、20分以上歩くかバスに乗るかのいずれかですが、今日泊まる予定のパラドールはその旧市街からさらに離れた所にあります。荷物もあることだし、駅からパラドールまでタクシーを奮発しましょう。saraiはいつも公共交通機関を使う方針なのですが、仕方ありません。駅前にはタクシーはさほどはいませんでしたが、なんとかつかまえて乗車。パラドールにはたった10分程で着きました。

今日のホテルは、この旅で最高にsaraiが張り込んだパラドール・デ・トレドParador de Toledoです。美しいトレドの街を眺められる、トレドの市街地の外にある元修道院の建物を改装したホテルです。
パラドールの車寄せは古い建物に囲まれた落ち着いた空間です。なかなかいい雰囲気です。


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パラドールのロビーに入ると、木組みに漆喰壁の白さが清潔感を感じさせます。

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ロビーの壁には、エル・グレコの描いた聖人像がずらりと並んでいます。これらはトレドの大聖堂の聖具室に収められている作品の複製でしょう。


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パラドールは豪華さはありませんが、素晴らしい雰囲気です。レセプションでチェックインします。


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予約した部屋は最も料金の安い山側の部屋でしたが、レセプションの女性から部屋を無料でグレードアップしたわよとのお言葉。嬉しいことに、トレドの街が眺められる部屋になりました。グラシアス!
さっそく、部屋に行って、眺めを確かめましょう。


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トレドはエル・グレコの街:エル・グレコの最高傑作《オルガス伯爵の埋葬》に感動!

2014年5月29日木曜日@マドリッド~トレド/6回目

今日の宿パラドール・デ・トレドにチェックイン。部屋も無料グレードアップでトレドの街が眺められる部屋にしてもらえました。
わくわくしながら、部屋に入ります。まず、目に飛び込んできたのは広々としたベッド。ゆっくりと休めそうです。


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ベッドの向こうには、余裕のスペース。気持ちよさそうなソファが置いてあります。そして、明るい窓です。どんな景色が眺められるでしょう。


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窓からの眺めはじっと我慢して、まずは水回りをチェック。大きなバスタブがあるのを確認して、一安心。バスタブはジャグジー付きで、ツインの洗面台、ドアを挟んでのトイレにはビデもあります。豪華な設備です。


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さて、窓に向かいます。窓の右の部分はドアのようになっていて、開くことができます。残念ながら、バルコニーにはなっていませんが、景色を眺めるのには役に立ちそうです。


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ワオー! トレドの旧市街がバーンと見渡すことができます。


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窓から身を乗り出して、絶景を眺めます。部屋の窓からのトレドの街の眺めは素晴らしく、見とれてしまいます。


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窓の真下はホテルのオープンカフェになっています。ホテルに滞在していない人もオープンカフェから街の眺めを楽しむことができるようです。


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再び、トレドの街の景色に目を戻します。中央にはカテドラルが鎮座しています。大きな尖塔の建物がカテドラル(大聖堂)です。


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これがトレドの街の全景です。街を囲んで流れるタホ川は見えません。


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街の中央部を眺めると、カテドラルの尖塔がくっきりと見えます。


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街の右手に目を移すと、正面にアルカサルの大きな建物が見え、街のまわりに流れるタホ川も見えます。


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一通り古都トレドの風景を楽しみました。そろそろ、エル・グレコの絵を求めて街に出かけましょう。
部屋を出て、ロビーを見下ろす2階の回廊に出ました。ロビーに飾ってあるエル・グレコの作品群が見送ってくれているようです。


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これがロビーの全景。正面がレセプションです。


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トレドの街は不案内で時間も限られているので、レセプションでタクシーを呼んでもらい、まずはサント・トメ教会に行きます。ここにはエル・グレコ畢生の大作があります。タクシーはタホ川に沿って街の周りを走り、カバ通りAv de la Cavaに入り、タホ川を越えて街に入り、後はややこしい狭い通りを進んで目的地に到着。サント・トメ教会Iglesia de Santo Toméです。入り口の上にはエル・グレコの大作の部分図が飾ってあります。


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既にネットで、トレドのエル・グレコの美術作品を展示している5つの施設のセット入場チケットは購入済みです。これが自宅のプリンターで印刷した入場チケットです。


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このチケットをスタッフに提示すると、バーコードをチェックして入場OKです。入場すると右手にエル・グレコの傑作絵画があり、バーンと目に飛び込んできます。実物を見るのはもちろん初めてですが熟知した絵画・・・懐かしささえ感じます。《オルガス伯爵の埋葬》です。


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極論すると、この絵を見たくてスペインまでやってきたんです。近くで見たり、遠くに下がって見たり、絵の部分部分を細かく観察したりしながら、至福の時を過ごしました。
やはり、この作品はエル・グレコの最高傑作といえる素晴らしい作品でした。胸にジーンとくるものがあります。縦4.6m、横3.6mという巨大な作品。下部には、この絵が描かれる200年前に亡くなったオルガス伯爵が埋葬される地上のシーンが描かれ、上部には、赤子の姿で天上に上っていく伯爵の魂とキリストと美しい聖母マリアがねじれた空間表現で描かれています。静謐な美しさと激しい上昇エネルギーの混在した不思議な魅力に満ちています。やはり、この絵を見ずして、死ぬわけにはいきません。そう感じさせられるほどのエル・グレコ入魂の1枚でした。

これで今回の旅の第一の目標を達成しました。


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トレドはエル・グレコの街:トレドは迷宮のような路地が入り組んだ街

2014年5月29日木曜日@マドリッド~トレド/7回目

トレドで最初に訪問したのはサント・トメ教会。ここでエル・グレコの最高傑作《オルガス伯爵の埋葬》に対面し、感動しました。
さて、この傑作が飾ってあるところは教会の入口の部分ですが、saraiにとっては教会全体がエル・グレコの絵画に付属しているもののように思えてなりません。それほど存在感のある絵画です。とはいえ、教会も見ておきましょう。サント・トメ教会は小さいながらも立派な教会でした。満足して、教会を出ます。教会にはエル・グレコの名作を見るために次々と観光客が訪れています。


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教会前は小さな広場になっています。さて、次はどこに行きましょう。


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ここから一番近いサント・ドミンゴ・エル・アンティグオ聖堂に向かいます。もちろん、エル・グレコの祭壇画のある教会です。
サント・トメ教会のあるコンデ広場Plaza Condeから教会横の小さな路地を抜けて歩きます。


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路地を抜けると、サント・トメ通りCalle Santo Tomeに出ます。ちょうど、案内板が立っています。この案内板に従って、向かいの路地に入りましょう。この路地はカンパーナ通りCalle Aljibillo,Calle Campanaです。まずはサン・ロマン聖堂の方に向かいます。


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狭い路地を歩きますが、なかなか雰囲気のよい路地です。古都トレドを感じます。


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トレドの街は狭い道がくねくねと入り組んでいて、とても地理が分かりにくいのですが、アルヒビリョ通りCalle Aljibilloにぶつかると、その通りで右折して進み、そのままアルフォンソXII通りCalle Alfonso XIIに入ります。


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やがて、サン・イルデフォンソ聖堂Iglesia de San Ildelfonsoの前に出ました。イエズス会の教会で歴史のあるスペイン・バロック様式のファサードが堂々としています。


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左隣にはカスティーリャ・ラ・マンチャ大学Universidad de Castilla-La Manchaのトレド・キャンパスの建物が建っています。


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このサン・イルデフォンソ聖堂とカスティーリャ・ラ・マンチャ大学に挟まれた路地サン・ロマン通りCalle San Románを進みます。


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とても美しい路地が続きます。

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美しい緑の庭園の先に堅固な石造りの建物が建ち並びます。


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鐘楼も綺麗です。


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この奥の方がサント・ドミンゴ・エル・アンティグオ聖堂の筈です。が、どうにも道が分かりにくいです。


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道なき道を進み、なんとか大雑把な地図を片手にサント・ドミンゴ聖堂Iglesia De Santo Domingo El Antiguoにたどり着くことができました。ところがこの聖堂の前には長い行列が出来ています。次に行く予定のサン・ホセ礼拝堂の予約時間が迫っているので、この聖堂は明日再訪することにして今日は断念。また、分かりにくい道を、それも起伏の多い道をサン・ホセ礼拝堂に向かって、歩き始めます。


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くねくねした路地を通り抜けていきます。


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途中から賑やかな通りに入ります。トレドで一番の繁華街コメルシオ通りCalle Comercioです。観光客をかき分けながら進んでいくと街の中心のソコドベール広場Plaza Zocodoverに出ました。バス停がたくさんあり、タクシーもいます。広場の中程から左手の通りに入り、数回角を曲がって、ようやく目的地、サン・ホセ礼拝堂Capilla De San Joséに到着です。


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予約時間1分前。チケットを提示すると、いくつかの注意事項を説明され、すぐに入場できました。見学時間は15分だけだそうです。礼拝堂の正面の祭壇画がエル・グレコの作品です。大きな絵は「聖ヨセフとその子」、凛々しく立つヨセフとあどけない少年イエス。エル・グレコらしいきっぱりした作品です。その上部に小さな聖母戴冠の絵があります。2枚合わせると聖家族になるのかな。いや、聖アンナがいませんね。ここは写真撮影禁止なので、写真で作品を紹介できません。悪しからず。

今回歩いたルートを地図で確認しておきましょう。迷路のような路地歩きでしたから、あくまでも大雑把なルートです。特にサント・ドミンゴ・エル・アンティグオ聖堂付近は地図にはない道を歩きました。


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これでトレドのエル・グレコ作品を展示している施設を2つ見ました。次に向かいますが、それは次回で。



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西洋音楽の最高峰:バルトーク、大野和士&東京都交響楽団@サントリーホール 2014.12.9

今日は来年から都響の音楽監督に就任する大野和士が魅力的なプログラムを組んで、発進開始。
バルトークの最高傑作《弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽》。これは意外に演奏機会が少なく、saraiは生で聴くのは初めてかもしれません。
そして、フランツ・シュミットとは・・・絶句です。これもなかなか聴けません。saraiが生で聴くのは初めてです。

こういうプログラムでコンサートに登場するとは、大野和士は只者ではないと思いました。この調子で今後も続けてくれれば、とても楽しみです。

さて、バルトークの《弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽》はsaraiが学生時代にLPレコードで初めて聴いて、大変な衝撃を受けた曲です。そのとき、バルトークを聴いたのが初めてでしたが、それ以来、saraiにとって、バルトークは神のような存在です。その後、弦楽四重奏曲を聴いて、バルトークへの尊敬の念はさらに高まりました。西洋音楽はバッハからベートーヴェンを経て、20世紀はマーラーという高みを迎えましたが、孤高の天才バルトークによって、西洋音楽は未曽有の頂点に立つことができました。その記念碑的作品が《弦楽器と打楽器とチェレスタのための音楽》です。この作品は聴く者に大変は緊張感を与えずにはおかない音楽です。ある意味、音楽というジャンルを別次元の芸術に変容させたとも思えます。

今日の演奏はどうなるか、期待感と不安感を持って臨みました。これ以上の演奏もありうるかも知れませんが、十分に期待感を満足させてくれる素晴らしい演奏でした。変な言い方ですが、ちゃらちゃらした演奏ではなく、実に真摯な演奏でした。真正面から、この音楽へ向かい合った、渾身の演奏だと感じました。都響の素晴らしい弦楽セクションにはいつも魅了されますが、今日は弦楽の各セクションの首席奏者が2人ずつ揃った万全の布陣。その彼らが実に見事な演奏を聴かせてくれました。静謐さを感じさせる演奏から、乗りのよいリズミックな演奏まで、この曲の真髄に迫る演奏でした。特に第1楽章の緊張感と不安感のみなぎる演奏には強烈なインパクトがありましたし、第4楽章の後半の高揚感は大変なものがありました。都響のこういう素晴らしい演奏を引き出した大野和士の音楽力も高く評価するものです。

後半のフランツ・シュミットの交響曲第4番の演奏ですが、これは正直なところ、評価は・・・分かりません。フランツ・シュミットらしい濃厚なロマンは表出できていたと思います。マーラーの演奏に卓越した都響の強力なアンサンブルは諸処にマーラーかと思わせるような美しく濃密なロマンティックさを感じさせてくれましたが、果たして、それがフランツ・シュミットと言えるのか・・・難しいところです。全般にハーモニーが分厚過ぎるようにも感じました。まあ、そういう解釈での演奏だったんでしょうが、少し、違和感がありました。しかしながら、都響もこれがフランツ・シュミットの滑り出しならば、上々のスタートかもしれません。マーラー演奏と同様に、フランツ・シュミットの音楽も熟成させていけば、高いレベルに到達できることでしょう。今後もフランツ・シュミットの音楽をレパートリーに加えていってほしいと念願します。

ところで、今日のプログラムは以下です。

  指揮:大野和士
  管弦楽:東京都交響楽団

  バルトーク:弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽 sz.106

   《休憩》

  フランツ・シュミット:交響曲第4番 ハ長調

最後になりましたが、予習について触れておきます。
バルトークの《弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽》は実演こそ聴いていませんが、LPレコード、CDを聴き続けてきており、今更、予習でもありませんが、いい機会なので、また、いくつかのCDを聴き直しました。

 フリッチャイ&RIAS交響楽団(1953年録音、モノラル)
 ライナー&シカゴ交響楽団(1958年録音、LIVING STEREOのSACD Hybrid盤)
 ドラティ&フィルハーモニア・フンガリカ(1974年録音)
 クーベリック&バイエルン放送交響楽団 (1981年録音)
 ショルティ&シカゴ交響楽団(1989年録音)
 ブーレーズ&シカゴ交響楽団(1994年録音)

何と言っても、ライナー&シカゴ交響楽団は名盤中の名盤。これまで何度聴いたか分かりませんが、聴くたびに戦慄を覚えるような素晴らしい演奏です。もちろん、昔はLPレコードで聴いていましたが、今はSACD Hybrid盤の素晴らしい音質です。今回新たに聴いて、このライナー&シカゴ交響楽団を超えるかもしれないと思ったのは、ドラティ&フィルハーモニア・フンガリカです。ドラティはほかの演奏は聴いていましたが、このハンガリーのオーケストラとの演奏は素晴らしいものです。フリッチャイ&RIAS交響楽団も素晴らしい演奏ですが、モノラルなのが惜しまれます。なお、このRIAS交響楽団というのは現在のベルリン放送交響楽団の前身だったオーケストラです。他のCDはちょっと緊張感において、物足りなく感じました。

フランツ・シュミットの交響曲第4番はあまり、たくさんのCDは発売されていません。予習したのは以下。

 ネーメ・ヤルヴィ&デトロイト交響楽団(全集盤)
 メータ&ウィーン・フィル

どちらもなかなかの演奏です。


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トレドはエル・グレコの街:サンタ・クルス美術館のエル・グレコ没後400年の特別展「トレドのギリシャ人」に入場

2014年5月29日木曜日@マドリッド~トレド/8回目

トレドに到着後、エル・グレコ作品を見て周っています。サント・トメ教会、サン・ホセ礼拝堂の2つを見ることができました。
次はまだ予約時間まで早過ぎますが、サンタ・クルス美術館Museo De Santa Cruzに向かいます。ソコドベール広場まで戻ります。この広場はトレド観光の拠点です。広場の中央には、列車型のミニバス、ソコトレンZocotrenが停車しています。これに乗ると、街の周りをタホ川に沿って巡ることができるようです。1週45分だそうですが、まあ、そんな余分な時間はないので、これはパスします。


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広場の中程にある外に向かう下り階段の入口のアーチからの景色がなんとも美しいと配偶者が感嘆の声を上げます。


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配偶者の声に応えて、アーチ近くに寄って、写真を撮ります。成程、美しい眺めです。


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アーチ前からソコドベール広場を眺めながら、サンタ・クルス美術館への道を地図で確認します。


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すると、なんとこのアーチの先の下り階段が美術館へのアプローチだったんです。早速、アーチを抜けて、石段を下っていきます。すぐにサンタ・クルス美術館の前に出ました。美術館の前は大勢の人で混雑しています。


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サンタ・クルス美術館の建物は元々、トレドの大司教メンドーサの遺志を受け継いで、イサベル女王が建設した病人や孤児のための慈善施設でした。プラテレスコ様式のファサードは堂々たるものです。


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このサンタ・クルス美術館でエル・グレコ没後400年の特別展「トレドのギリシャ人(The Greek in Toledo)」を開催中です。スペイン国内はもとより、世界中からエル・グレコの作品70点以上を集めた大展覧会です。といってもトレドにある作品が中心です。エル・グレコの作品の大半はエル・グレコが画家人生の後半を過ごしたトレドにありますからね。さすがに美術館の前は人だかりで大混雑。入館待ちの行列ができています。


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様子を見ていると、この行列は5時予約の人たちです。我々は6時予約です。6時予約は別のところに行列するようですがまだ誰も行列していません。しばらくすると団体客がどっと入館し、5時予約の行列もどっとはけ、入れ換わりに6時予約の行列が先頭に並ぶようになり、我々も急いで列に加わります。


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先ほどまでは6時予約の行列だったところは、いつの間にか、7時予約の列に変わっています。もっとも、それは1時間以上も先なので誰も並んでいませんけどね。


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行列に並んでいる人たちの持っている紙を見て、やっと気が付きましたが、予約時間の紙はチケットの紙とは別の紙でした。これが予約の紙です。


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ということはさっきのサン・ホセ礼拝堂では、予約の紙を見せずに入りましたから、予約なしで入ったことになります。なんてことでしょうね。今度はしっかりと予約の紙を持って、6時の入館を待ちます。


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早目に並んだ甲斐があって、このサンタ・クルス美術館では6時予約の先頭から2番目で入館できました。6時に予約していても、列に並んだ順に少しずつ入館できる仕組みで、6時ちょうどに来た人はかなり、入館が待たされます。

館内では膨大なエル・グレコ作品が展示されています。思う存分、エル・グレコ作品を見て、頭の中はエル・グレコだらけになりました。その一端は次回から、ご紹介しましょう。

地図でサン・ホセ礼拝堂から、サンタ・クルス美術館への道を確認しておきます。


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では、次回からのエル・グレコ作品群の紹介をお楽しみに。


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トレドはエル・グレコの街:サンタ・クルス美術館のエル・グレコ没後400年の特別展「トレドのギリシャ人」-その1

2014年5月29日木曜日@マドリッド~トレド/9回目

サンタ・クルス美術館のエル・グレコ没後400年の特別展「トレドのギリシャ人」を鑑賞します。展示作品数が73作品と膨大な数です。以前、東京・上野の東京都美術館でエル・グレコ大回顧展を見ましたが、そのときの作品数は51作品でした。それを上回る規模ですし、何と言ってもエル・グレコが活躍したトレドの地で開かれる特別展です。

展示作品の73作品は世界中から集められたものです。前回、多くはトレドにある作品と書いてしまいましたが、よく調べてみると、トレドにある作品は12作品のみで、マドリッドから17作品も出展されています。それらも含めて、スペイン国内の作品が40作品。残りの33作品がアメリカなどの外国からの出展です。特にアメリカからの15作品が目立ちます。

エル・グレコはギリシャ出身の画家で後半生はスペイン、それもほとんどトレドで画業を全うしました。略歴はプラド美術館訪問時にも書いたばかりなので、それを以下に再録します。

エル・グレコは1541年にクレタ島のカンディア(現イラクリオン)に生まれたギリシャ人です。本名はドメニコス・テオトコプーロスと言いましたが、スペインに渡ってからは、発音しづらい本名では呼ばれずに、ドメニコ・グリエゴ(ギリシャ人ドメニコ)とかエル・グリエゴ(ギリシャ人)と呼ばれていたようです。死後、エル・グレコと呼ばれるようになりました。《エル》Elはスペイン語の定冠詞、《グレコ》Grecoはギリシャ人を意味するイタリア語です。イタリア語が使われるのは、スペインに来る前にイタリアで絵の修業をしたからでしょうか。本人は自作にサインする場合は必ず、ギリシャ語で本名を書いていたそうです。

エル・グレコは画家を志して、1567年頃にヴェネツィアに行き、ティツィアーノの工房で修業。1570年にイタリアの芸術の中心地ローマに移動。20代後半からの約10年をイタリアで過ごしました。この後、1576年頃に画家としての成功を夢見て、フェリペ2世のもとでエル・エスコリアル造営が始まり、多くの美術家が集まっているスペインに向かいます。宮廷画家になる望みはフェリペ2世に気に入られなかったので実現しませんでしたが、スペインの宗教・学問の中心地であったトレドで画家として成功し、その生涯をトレドで過ごし、そこで1614年に没することになります。

順次、制作年順に作品を見ていきます。73作品中、32作品をご紹介します。

まず、エル・グレコがイタリア時代に描いた作品です。

これは《小型三連祭壇画》です。1567年頃の作でイタリア・モデナのエステ美術館所蔵です。エル・グレコ26歳頃の作品です。彼はこの頃、ヴェネツィアにいました。若き日のエル・グレコの作品で現存するものは少ないので、貴重な作品です。特別、エル・グレコらしさは見い出せませんが、ドラマティックな作風は未来を予感させるものではあります。

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これは《燃え木で蝋燭を灯す少年》です。1570~75年頃の作でイタリア・ナポリのカポディモンテ美術館所蔵です。エル・グレコ29~34歳頃の作品です。彼はこの頃はローマに移り住みました。ヴェネツィア時代に修得した絵画技法を駆使して描いた作品です。光を意識した作風は後の傑作群につながるものです。

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これは《盲人を癒すキリスト》です。1571~72年頃の作でイタリアのパルマ国立美術館所蔵です。エル・グレコ30~31歳頃の作品です。これもローマ滞在時に描かれた作品のようです。この頃、ストーリー性のある作品を描いていました。この絵では、盲人に手をかけて、視力を取り戻すキリストの奇跡が描かれています。視力を取り戻した盲人の一人は左に手を上げて、見えるようになった驚きを示しています。一方、右側にいる人々はキリストが安息日に治癒行為を行ったことを非難しています。エル・グレコはこの絵でキリストの霊的能力、そして、暗に教会の腐敗と堕落を描いたようです。しかし、こういう主題では、エル・グレコの芸術性は十分に発揮されていないように感じます。作品に力を感じません。

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これは《悔悛するマグダラのマリア》です。1576年頃の作でブダペスト国立西洋美術館所蔵です。エル・グレコ35歳頃の作品です。これもよく取り上げられる題材ですが、まだ、この時期のエル・グレコには、後の時代の迫力が不足していると感じます。ただ、こういう作品作成を通じて、芸術性を鍛え上げていったんでしょう。

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これは《受胎告知》です。1576年頃の作でマドリードのティッセン=ボルネミッサ美術館所蔵です。エル・グレコ35歳頃の作品です。これはスペインに移る直前にイタリアで描かれたものですが、よい雰囲気の作品です。ただ、まだ芸術的には、これからの感です。

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ここまで、イタリア時代の作品を見てきましたが、エル・グレコとしては、あくまでも後の芸術開花に向けた助走の段階だったと思います。この後、スペイン、トレドに移ってから、エル・グレコの才能がきらめいていくことになります。

これは《胸に手を置く騎士の肖像》です。1577~79年頃の作でプラド美術館所蔵です。エル・グレコ36~38歳頃の作品です。スペインに移って、初期の作品のひとつです。エル・グレコは肖像画家としても力を発揮していくようになります。胸に置いた右手の指の形はエル・グレコのトレードマークのようです。多くの作品でこの表現が見られます。また、人物の内面を表現することも見事です。騎士の優美で静謐な内面が表現されています。

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これは《白貂の毛皮をまとう貴婦人》です。1577~90年頃の作でグラスゴー美術館(ポロック・ハウス)所蔵です。エル・グレコ36~49歳頃の作品です。とても美しい作品ですが、どう見てもエル・グレコ作には思えません。一説によると、モデルはエル・グレコの内縁の妻だということですが、そういうプライベートな作品なので、こういう写実的で美しい作品を描いたのでしょうか。saraiの勝手な思い込みでは、この作品はエル・グレコ作ではないことに1票です。

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これは《聖ラウレンティウスの前に現れる聖母》です。1578~81年頃の作でモンフォルテ・デ・レモスのヌエストラ・セニューラ・デ・ラ・アンティグア財団所蔵です。エル・グレコ37~40歳頃の作品です。スペイン到着後の作品ですが、ローマ時代かと思うような表現で、今一つの作品です。聖ラウレンティウスはスペイン出身の殉教聖人で、ウァレリアヌス帝の命で火刑に処せられました。この作品では聖ラウレンティウスは雲上の聖母子に視線を送っています。彼の幻視体験を絵で表現したものになっています。

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これは《聖パウロ》です。1585年頃の作でマドリッドの個人所蔵です。エル・グレコ44歳頃の作品です。聖人を描くのもエル・グレコのライフワークでした。この人間的に描かれた聖人像もエル・グレコの卓越した筆さばきに驚かされます。

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これは《聖母の前に現れるキリスト》です。1585年頃の作でトレドのサン・ニコラス教区聖堂所蔵です。エル・グレコ44歳頃の作品です。綺麗には描かれていますが、後の時代の作品に比べて、内的なエネルギーに乏しいと感じます。ただ、あまりにマリアが美しいので、そこには強く惹かれます。この頃から、スペイン美人の美しいマリアが描かれるようになります。エル・グレコの魅力が輝き始めます。

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これから、徐々にエル・グレコの傑作が生まれ出し始めます。特別展の鑑賞はまだまだ続きます。


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超感動の室内楽:フォーレ・カルテット@上大岡ひまわりの郷 2014.12.14

新しいブログサイトFC2で今日からブログを再開します。
新記事の第1弾はコンサート記事。今日はsaraiの今年のコンサートの最終日。お昼と夜のダブルでコンサートです。
まずはお昼のコンサートの記事です。夜のコンサート記事は明日アップします。

今日は上大岡ひまわりの郷のコンサート・シリーズの2014年秋の3回目。

今日のコンサートに登場したフォーレ・カルテットは常設のピアノ四重奏団。このフォーレ・カルテットは間違いなく、現在、世界最高の室内楽団体であることを確信させられる凄い演奏でした。ドイツ音楽の正統を継承する人たちです。saraiにとってはCD でしか聴いていない伝説的なブッシュ弦楽四重奏団にも匹敵すると思える素晴らしい演奏団体であると強く感じました。彼ら4人はみんな同じカールスルーエ音楽大学出身ということで、ライン川沿いの地方の音楽文化の高さがうかがい知れます。

今回のリサイタルはプログラムも秀逸です。マーラー、リヒャルト・シュトラウスという滅多に聴けないものから、ブラームスの傑作まで後期ロマン派の名曲揃いです。

まずは、マーラーがごく若い頃に作曲した未完のピアノ四重奏曲。尊敬する天才マーラーは10代の青年時代から既に傑出した音楽性の持ち主であったことをまざまざと認識させてくれる素晴らしい演奏でした。ロマンに溢れた美しい曲が何のてらいもなく演奏され、saraiは思わず、深い感動に酔ってしまいました。第2楽章以降も完成していたら、きっと交響曲と並ぶ傑作になっていたでしょう。そう感じさせるような見事な演奏。この名曲は今日のように演奏されることを待っていたんでしょう。今後、コンサートで取り上げられる機会も増えることを確信しました。

次は、R・シュトラウスがやはり若い頃に作曲したピアノ四重奏曲。これまた天才作曲家R・シュトラウスがその天分を遺憾なく発揮した名作であることを徐実に示してくれる見事な演奏でした。フォーレ・カルテットの演奏は振幅の大きなもので、特にヴァイオリンを中心とした弱音の表現力が際立っています。もちろん、アンサンブル力もパーフェクトです。そのテクニックの上に、実に音楽性豊かな演奏を繰り広げます。第1楽章がロマンあふれる演奏だったと思うと、次の第2楽章は諧謔的な演奏。この変化に富んだ演奏はまるで、R・シュトラウスのオペラを聴いているような気持ちにさせてくれます。この名曲もきっと、マーラー同様、コンサートで聴く機会が増えることでしょう。フォーレ・カルテットはそのための伝道師のような存在です。

前半の2曲を聴き、後半のブラームスのピアノ四重奏曲第1番が素晴らしい演奏になることを確信しました。そして、事実、途轍もなく、凄い演奏になりました。これまで聴いてきた、あらゆるジャンルのブラームスの音楽を凌駕する素晴らしい演奏です。これぞ、ブラームスの音楽。これ以上望むものは何一つありません。ブラームスのすべてがありました。もう、しばらくはブラームスは聴かなくてもいいと思ってしまいました。コンサートが終わっても、頭の中で、このブラームスのピアノ四重奏曲第1番の演奏が鳴り続けています。素晴らしい音楽体験になりました。4楽章とも素晴らしかったのですが、とりわけ、第3楽章の美しさ、深みは何ものにも比肩できない素晴らしさ。長く音楽を聴いてきて、このような演奏に巡り合い、こんなに幸せなことはありません。

今日のプログラムは以下です。

  ピアノ四重奏:フォーレ・カルテット

  マーラー:ピアノ四重奏曲 イ短調
  リヒャルト・シュトラウス:ピアノ四重奏曲 ハ短調 Op.13

   《休憩》

  ブラームス:ピアノ四重奏曲第1番 ト短調 Op.25

   《アンコール》
    ムソルグスキー(フォーレ・カルテット編):《展覧会の絵》より、卵の殻をつけた雛の踊り
    フーベルト:フォーレ・タンゴ

本編の3曲はいずれも素晴らしい演奏でしたが、アンコールの2曲も素晴らしい演奏。《展覧会の絵》はオリジナルのピアノ独奏に弦楽器群で装飾音を付けたような、お洒落な編曲での快演。楽しいこと、この上なしです。最後のタンゴは切れのよいタンゴのリズム、そして、中間部のヴァイオリンのスローで甘美な演奏、うっとりとして聴き入りました。

こういう素晴らしい室内楽のコンサートを企画してくれた横浜楽友会の平井さんに感謝あるのみです。


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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

       フォーレ四重奏団,  

超個性のピアニスト:ポゴレリッチ@サントリーホール 2014.12.14

新しいブログサイトFC2での新記事の第2弾は昨日の夜のコンサートの感想です。
お昼のコンサートではフォーレ・カルテットの素晴らしい室内楽を満喫し、意気揚々と電車を乗り継いで、六本木一丁目へ。ちょうど、よい時間に到着。

今年最後のコンサートはやっぱりサントリーホール。今年もずい分通いました。これが今年ちょうど20回目のサントリーホールのコンサートです。

ホール内に入ると、やっぱり、ステージ上では開演前だというのにポゴレリッチが普段着姿で毛糸の帽子をかぶって、ピアノをポロンポロン弾いています。ただ、前回のように意味不明の曲ではなく、今日のプログラムにあるブラームスのパガニーニ変奏曲の練習をしているようです。同じフレーズを執拗に弾いたりしています。時折、視線を客席の上にさまよわせます。やはり、この人は変わっています。奇人と言ってもいいかもしれません。開演10分前になって前回同様、女性スタッフが呼びにきました。彼女と二声、三声交わして、未練たっぷりの様子でピアノを見やって、ステージ上を去りました。いやあ、この人変わっています。まわりのスタッフは付き合うのが大変でしょうね。

さて、本番。えらく素早くステージ衣装に着替えて登場。ばか丁寧なお辞儀で聴衆に挨拶。どの動作も常人とは違っています。

最初はリストの《ダンテを読んで(ソナタ風幻想曲)》です。最近、アヴデーエワの素晴らしい演奏で聴いたばかりの曲です。アヴデーエワの新鮮で煌めくような演奏とはまったく異なる演奏ですが、それはそれで胸にズシーンと響くような演奏です。凄くスローなテンポで分析的で、一音一音のしっかりした響きを積み上げていく構築的な演奏です。感動とかいうのとは別次元の演奏ですが、それなりに説得力はある演奏です。最後の和音をバーンと響かせて、音の城を築き上げたような感じです。ただ、音の響きが消え去ると、音の城は幻想と化してしまいます。まあ、所詮、音楽というものはそんなものでしょう。

続くシューマンの《幻想曲》も同じアプローチです。ただ、このシューマンの傑作は抒情的なロマンに満ちた曲なので、一音一音、バラバラの響きで演奏されると貴重なメロディーラインが崩れてしまいます。もちろん、そのメロディーラインは聴く者の頭の中で再構成すればよいのかも知れませんが、これが途轍もない大変な作業。大変な緊張を強いられながらの鑑賞で疲れ果てました。これはsaraiには、とても受け入れ難い演奏です。これって、一体、シューマンと言えるのか、疑問に感じます。ピアニストの個性は大事だとしても、基本的には、作曲家への敬意に満ちた演奏が必要なのではないでしょうか。ポゴレリッチには、彼なりの考え方があっての演奏でしょうが、聴く側にもそれなりの考え方がありますからね。

休憩後、ストラヴィンスキーの《「ペトルーシュカ」からの3楽章》です。これもスローなテンポではありますが、まあ、そんなに遅い印象もありません。かなり、ポゴレリッチ・マジックにはまったんでしょうか。多彩な音色の響きに満ちた演奏で、これが一番、フツーに聴けました(笑い)。以前聴いたファジル・サイの演奏などは足元にも及ばない演奏なのが、ポゴレリッチの凄いところ。やはり、ピアニストとしての才能は桁外れです。

最後はブラームスの《パガニーニの主題による変奏曲》です。これも凄い超絶技巧を駆使する曲。今日はシューマンを除いて、超絶技巧曲のオンパレード。普通はこんな凄い曲ばかりを弾くと疲れそうですが、タフなポゴレリッチは何ともなさそうです。このブラームスも気魄のこもった演奏。ただ、普通の超絶技巧ではなく、ポゴレリッチ流の音の強い響きを積み重ねていく弾き方ですから、きっと、余計に大変でしょう。この曲もブラームスのロマン性よりもピアニスティックな響きを重視した演奏ですが、ブラームスのピアノ曲もこの曲に限っては、それでもそんなに違和感はありません。晩年のブラームスの作品ならば、こんな弾き方は御免蒙りたいところですが、この曲は外面的な効果も狙った作品なので、なかなか迫力のある演奏になっています。
 
演奏が終わった後も、彼の行動は意表を突くものです。椅子から立ち上がり、聴衆の拍手に応える前に作業があるようです。まず、自分の座っていた椅子をピアノの下に押し込んで片付けます。もう弾かないぞという意思表示なんでしょう。超絶曲を3曲も弾いて、さすがに疲れたんでしょうし、普通の人の倍近い時間をかけたスローテンポの演奏で終了時刻も遅くなっていますから、アンコールはもう結構ですよ、はい。ところが彼の作業はまだ終わりません。譜面めくりの若い男性が座っていた椅子もピアノの下に押し込もうとしています。譜面めくりの若い男性が慌てて手伝おうとしてました。saraiは思わず声を上げずに笑ってしまいました。
また、馬鹿丁寧なお辞儀が続き、最後まで奇人ぶりを発揮したポゴレリッチでした。

今日のプログラムは以下です。

  ピアノ:イーヴォ・ポゴレリッチ

  
リスト: 巡礼の年第2年「イタリア」から
     ダンテを読んで(ソナタ風幻想曲)
シューマン: 幻想曲 ハ長調 op.17

   《休憩》

ストラヴィンスキー: 「ペトルーシュカ」からの3楽章
ブラームス: パガニーニの主題による変奏曲 op.35

ポゴレリッチの演奏は凄いと言えば凄いのですが、閉口してしまったのも事実です。どんな曲も彼流のやりかたで押し通すので、ある意味、一本調子。作曲家の個性が死んでしまっているようにも感じます。ポゴレリッチの熱烈なファンも多いようですが、saraiは、彼の演奏を聴くのは十分堪能したので、もういいかなと思いました。一度は聴いておくべきピアニストではありますけどね。来年、アファナシエフを初めて聴きますが、同じ、スローで分析的、かつ、抽象的なピアニズムは同一の傾向です。さて、どうなることやら。

これで今年のコンサートはお終いにするつもりでしたが、とてもこれでは終われない・・・実は翌日もコンサートに出かけることにしました。それは次回、報告します。


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追っかけを始めたsarai:フォーレ四重奏団@東京文化会館小ホール 2014.12.15

新しいブログサイトFC2での新記事の第3弾も昨日の夜のコンサートの感想です。

本当は1昨日のお昼と夜のダブルのコンサートで今年のコンサート通いは打ち止めの予定でした。しかし、1昨日聴いたフォーレ・カルテットの演奏があまりに衝撃的に素晴らしかったので、もっと聴きたくなってしまいました。上大岡・ひまわりの郷コンサートシリーズのプロデューサーをしている横浜楽友会の平井さんにコンサート後、フォーレ・カルテットの演奏が素晴らしかったこと、そして、翌日以降、もし、フォーレ・カルテットの公演があるのなら、もっと聴きたいとお話ししました。すると、貴重な情報をいただきました。翌日、モーツァルト協会の主催で東京文化会館で来日最後のコンサートがあり、当日券もあるとのことです。それなら、何としても聴きたいものです。

そして、昨日、公演の1時間半も前に当日券を求めて、上野の文化会館を訪れました。当日券を求める列の2番目に並ぶことができました。先頭にいた若い女性もトッパンホールでのコンサートを聴いて、急遽、この日のコンサートを聴くことにしたそうです。お互い、好きですね。無事、当日券をゲットして、入場の列に並びました。この日のコンサートは指定席ではなく、全席、自由席だそうで、既に20人以上の人が並んでいます。でも、これくらいなら、きっと良い席に座ることができそうです。実際、2列目の中央左寄りという思い通りの席に座ることができました。ピアノを聴くときはピアニストの手の動きが見える左寄りの席が人気です。

この日はモーツァルト協会の例会ということで、オール・モーツァルト・プログラムです。
典雅でふくよかなモーツァルト。前日の後期ロマン派とはうってかわって古典的な響きが体の上を流れていきます。あまりの心地のよさに前半のプログラムはあまり集中して聴くことができず、ただただ、美しい響き、アンサンブルを受け止めていただけです。それにしても、女性ヴァイオリニストのエリカ・ゲルトゼッツァーの演奏は見事です。音楽的表現力が豊かで、その上、曲の表情に合わせた顔の表情の変化が見事で、姿と音楽が一致していることが驚異的でさえあります。前半のプログラムでは、2番目の《ピアノと管楽のための五重奏曲》のピアノ四重奏曲バージョンの典雅さに心を奪われました。管楽で演奏されるものとはまったく、別物に聴こえましたが、協奏交響曲のような味わいは同様です。

圧巻だったのは後半のピアノ四重奏曲第2番K.493。なにも言葉はありません。室内楽の楽しみ極めたりという心境にしてくれる素晴らしい演奏です。第1楽章のどこまでもかけあがっていくような飛翔感、第2楽章の明るさのなかのそこはかとない憂愁、第3楽章の弾むような躍動感、言葉で表現するともどかしくなってしまうような絶妙なアンサンブルと最高の音楽表現がそこにはありました。このK.493の音楽は今後、saraiの終生の友になってくれそうです。モーツァルトの室内楽では、クラリネット五重奏曲と弦楽五重奏曲と並ぶ存在になります。まったく、素晴らしいモーツァルトの演奏で、心が浮き立つようなコンサートになりました。急遽、出かけてきて、本当に良かったと思いました。

さらにsaraiをとめどなく泣かせてくれたのは、驚きのアンコール。なんと昨日の本編で演奏されたR・シュトラウスのピアノ四重奏曲のアンダンテ。R・シュトラウスの記念の年の演奏を聴くのは昨日でおしまいと思っていたので、望外の喜びです。そして、この演奏が楽趣極めたりという究極のロマンに満ちた最高の音楽です。今年をしめくくるのにこれ以上のものはありません。今年最高の感動に浸り、涙で視界が滲みました。今年どころか、こんなに感動したのは何年ぶりでしょう。ヴァイオリンのエリカ・ゲルトゼッツァーがミューズに見えました。最高の音楽と感動をありがとう!!

今日のプログラムは以下です。

  ピアノ四重奏:フォーレ四重奏団

  ピアノ四重奏曲 ト短調 K.478
ピアノと管楽のための五重奏曲 変ホ長調 K.452
(フランツ・ヤーコプ・フライシュテットラー編曲によるピアノ四重奏版)

   《休憩》

ピアノ四重奏曲 変ホ長調 K.493

   《アンコール》
      リヒャルト・シュトラウス:ピアノ四重奏曲 ハ短調 Op.13 より 第3楽章 アンダンテ

今年はあとは大晦日のジルヴェスターコンサートを残すのみ。それにしても、今年は素晴らしいR・シュトラウスの音楽を聴けた年でした。それに彼の晩年の盟友であったシュテファン・ツヴァイクにも出会えた収穫の多かった年でした。今年の最後の楽しみは、ツヴァイクが台本を書き、R・シュトラウスが音楽を書いたオペラ《無口な女》を聴くことです。もちろん、ヴィデオとCDですけどね。


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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

       フォーレ四重奏団,  

トレドはエル・グレコの街:サンタ・クルス美術館のエル・グレコ没後400年の特別展「トレドのギリシャ人」-その2

2014年5月29日木曜日@マドリッド~トレド/10回目

サンタ・クルス美術館のエル・グレコ没後400年の特別展「トレドのギリシャ人」を鑑賞しています。
ここまで、イタリア時代の作品から、スペイン、トレドに移って10年ほどまでの作品を見てきました。これから、エル・グレコが才能を発揮し、次々と傑作を生み出していくことになります。年代順にそれらの傑作を見ていきましょう。

これは《キリスト磔刑と二人の寄進者》です。1585~90年頃の作でパリのルーヴル美術館所蔵です。エル・グレコ44~49歳頃の作品です。磔刑になったキリストのくねった体の曲線が目を引きます。この逆S字型で縦の引き伸ばされた体の表現はエル・グレコの真骨頂とも言えます。エネルギー感に満ちた美を感じます。

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これは《巡礼者としての聖ヤコブ》です。1585~1602年頃の作でトレドのサン・ニコラス教区聖堂所蔵です。エル・グレコ44~61歳頃の作品です。この作品に続く2作品(聖アウグスティヌス、聖フランチェスコ)とともに祭壇衝立を構成していました。この作品では黄金色の壁龕(壁のくぼみ)の中で、、巡礼の杖を持ち、帆立貝を付けた帽子を肩にした聖ヤコブが巡礼者として、すっくと立ち、こちらに視線を送っています。静謐で楚々とした画面に気持ちが癒される思いです。力みのない作品ですが、見れば見るほど見事な出来です。

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これは《聖アウグスティヌス》です。1585~1602年頃の作でトレドのサン・ニコラス教区聖堂所蔵です。エル・グレコ44~61歳頃の作品です。この作品も祭壇衝立を構成しています。宝石を散りばめた豪華な装身具を身に着けた聖アウグスティヌスが背景の青空と雲の前に立ちます。縦長のプロポーションがエル・グレコらしさです。

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これは《聖フランチェスコ》です。1585~1602年頃の作でトレドのサン・ニコラス教区聖堂所蔵です。エル・グレコ44~61歳頃の作品です。この作品も祭壇衝立を構成しています。若き日の聖フランチェスコの清貧さが縦長の画面に描かれ、胸の前の手のポーズがエル・グレコのトレードマークです。

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これは《使徒ペテロと使徒パウロ》です。1587~92年頃の作でロシア・サンクトペテルブルクのエルミタージュ美術館所蔵です。エル・グレコ46~51歳頃の作品です。強い光を浴びて、浮かび上がった二人のキリストの使徒の強固な意志を秘めた姿が印象的です。この時期にはエル・グレコは油が乗りきって、いずれの聖人像も見事な出来栄え。

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これは《芸術家の肖像》です。1595年頃の作でメトロポリタン美術館所蔵です。エル・グレコ54歳頃の作品です。さすがに力のこもった自画像で、存在感のある作品です。画家の自信に満ちた視線の先には何が見えているのでしょう。

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これは《福音書記者聖ヨハネのいる無原罪のお宿り》です。1595年頃の作でトレドのサンタ・レオカディア・イ・サン・ロマン教区聖堂所蔵です。エル・グレコ54歳頃の作品です。これは実に凝った構図になっています。主題は《無原罪のお宿り》でマリアの若々しく美しい姿が中心ですが、それを聖ヨハネが拝み見ています。聖ヨハネはギリシャのパトモス島で幻視を体験し、それを《ヨハネの黙示録》に記していますが、この絵はその聖ヨハネの幻視を表現したものです。この絵を見る我々は聖ヨハネと共にマリアを仰ぎ見るという感じで、画面の中に自然に入り込む仕掛けになっています。右下にさりげなく描かれた花々の美しさも特筆ものです。晩年の傑作に向かって、エル・グレコの筆力は恐ろしいくらい、高まっていきます。

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これは《聖母子と聖女マルティナと聖女アグネス》です。1597~99年頃の作でアメリカのワシントン・ナショナル・ギャラリー所蔵です。エル・グレコ56~58歳頃の作品です。この作品は元々はトレドのサン・ホセ礼拝堂に飾ってあったものです。先ほど訪問した礼拝堂です。今回の特別展でトレドに里帰りした作品ですね。作品の主題はとびっきり美しい聖母子です。天使たちに囲まれたマリアの美しさはどうでしょう。画面下で聖母子を仰ぎ見るのは、二人の殉教聖女です。二人とも純潔を貫き通した聖女で、その二人が純潔なマリアを見上げています。右下で子羊を抱いているのが聖女アグネスと言われており、視線を下に落とした清楚な美しさに魅了されます。左下でライオンの頭に手を置き、棕櫚の葉を持つのが聖女マルティナと言われており、天上を見上げる横顔の美しさは例えようもありません。マリアと二人の聖女の美しさは宗教画の範疇を超えたものです。

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これは《キリストの復活》です。1600年頃の作でセントルイスのワシントン大学ケンパー美術館所蔵です。エル・グレコ59歳頃の作品です。トレド後期の傑作群の始まりを告げるような作品です。この後、もっともっと、画面に力がみなぎるようになり、ぞくぞくと傑作が誕生します。

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これは《キリストの磔刑》です。1600年頃の作でプラド美術館所蔵です。エル・グレコ59歳頃の作品です。これは祈りに満ちた敬虔な作品。これ以上の荘重な悲しみは表現できないでしょう。もう、エル・グレコの筆からは傑作以外が生み出されることはありません。

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エル・グレコの傑作の森に彷徨いこみました。もう、頭の中をエル・グレコの世界が支配して、何を見ているのか、分からなくなっています。次回もエル・グレコの傑作の森を彷徨います。


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トレドはエル・グレコの街:サンタ・クルス美術館のエル・グレコ没後400年の特別展「トレドのギリシャ人」-その3

2014年5月29日木曜日@マドリッド~トレド/11回目

サンタ・クルス美術館のエル・グレコ没後400年の特別展「トレドのギリシャ人」を鑑賞しています。
エル・グレコもスペイン、トレドに移って25年ほど経ち、自己の様式を確立し、傑作の数々を生み出し始めました。エル・グレコは既に60歳近くになり、円熟した芸術の高みに駆け上がっていきます。1600年から、亡くなる1614年までの傑作を年代順に見ていきましょう。今から400年前に制作された偉大な作品群です。

これは《枢機卿フェルディナンド・ニーニョ・デ・ゲバラの肖像》です。1600年頃の作でアメリカ・ニューヨークのメトロポリタン美術館所蔵です。エル・グレコ59歳頃の作品です。肖像画家としてのエル・グレコも円熟の境地にはいっていきます。右手と左手の描き分けだけでも枢機卿の内面の緊張とリラックスの具合が見事に表現されています。もちろん、顔の表情も微妙な味付けがなされており、眼鏡の奥からの視線から、心の奥底の透徹した心情が窺われます。

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これは《トレド風景》です。1600年頃の作でアメリカ・ニューヨークのメトロポリタン美術館所蔵です。エル・グレコ59歳頃の作品です。エル・グレコの唯一の風景画です。フェルメールの《デルフトの風景》を思い起こさせます。自分の心のふるさとを気持ちを込めて、描いたものです。それにしても、トレドのカテドラルを中心に置いて、暗い色調で描いた風景画は実にモダンな作品ですね。まるで後年に登場するゴッホの《オーヴェールの教会》を連想してしまいます。写実性を排除して、心象風景を描いていますが、このおどろおどろしい風景はエル・グレコのいかなる心情だったんでしょう。決して、穏やかで平明な心ではありませんね。

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これは《受胎告知》です。1600年頃の作でマドリードのティッセン=ボルネミッサ美術館所蔵です。エル・グレコ59歳頃の作品です。これより以前から描いている題材ですが、この作品では何という変貌ぶりでしょう。同じ人が描いたものとは思えません。エル・グレコが完全に究極のスタイルを確立した記念すべき作品です。この作品はプラド美術館にある3倍のサイズのオリジナルの絵から、画家自身がレプリカを作ったものです。1昨日、プラド美術館でそのオリジナル作品を見て、大きな感銘を受けました。プラド美術館の至宝というべき作品でした。そのプラド美術館のオリジナルの絵は、マドリードのドニャ・マリア・デ・アラゴン学院付属聖堂主祭壇衝立の中核となっていた作品です。以前、大塚国際美術館でこの主祭壇衝立画を復元したものを見ましたが、それは素晴らしいものでした。オリジナルの主祭壇衝立画はナポレオン戦争で破壊されているので、今や、大塚国際美術館の復元したものでしか見られません。まだ、見ていないかたには、是非、鑑賞をお勧めしたいと思います。

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これは《画家の息子ホルヘ・マヌエル・テオトコプーロスの肖像》です。1600~05年頃の作でスペインのセビーリャ美術館所蔵です。エル・グレコ59~64歳頃の作品です。エル・グレコが息子を描いた肖像画。この肖像画から分かるように息子のホルヘも画家・建築家です。ホルヘはトレドで父エル・グレコと共同制作も行いました。明日訪問予定のタベラ施療院の主祭壇衝立も祭壇画《キリストの洗礼》はエル・グレコが描き、ホルヘが完成させたものです。その作品がエル・グレコの絶筆です。また、祭壇衝立自体はホルヘが制作しました。

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これは《聖母戴冠》です。1603~1605年頃の作でギリシャ・アテネのアレクサンダー・S・オナシス公益財団所蔵です。エル・グレコ62~64歳頃の作品です。この作品はイリェスカスのカリダード施療院にある《聖母戴冠》の画家自身によるレプリカでおよそ3分の1のサイズで描かれています。このカリダード施療院にあるエル・グレコの作品群は彼自身が「スペイン中で最も優れた、最高の完成度の出来」と自負していました。カリダード施療院のオリジナル作品は以前、東京都美術館で開催されたエル・グレコ大回顧展で見ましたが、その絵の持つ迫力に大変、感動しました。この作品は絵の中に凄まじいエネルギーが充満しています。それがエル・グレコの晩年の最終到達点です。

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これは《羊飼いの礼拝》です。1605年頃の作でバレンシアのコルプス・クリスティ学院総大司教美術館所蔵です。エル・グレコ64歳頃の作品です。光の効果が不思議に感じる作品です。聖母マリアに顔が明るい光に照らされているのが、とても自然で、まるで、実際に絵にスポットライトをあてている感じです。トレド時代もこの頃になると、エル・グレコの作品は高い芸術性を獲得したものが目立ちます。しかし、この主題の絵画は最晩年に向けて、さらなる芸術の高みに上昇していくことになります。そのプラド美術館所蔵の大傑作は最後に見ます。

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これは《聖ペテロ》です。1607年頃の作でトレドのエル・グレコ美術館所蔵です。エル・グレコ66歳頃の作品です。この作品はキリストと12使徒から成る13枚の連作の中の1枚です。この連作はエル・グレコ美術館のほか、トレドのカテドラル聖具室など計6点が存在しています。当時、人気のあった連作であり、エル・グレコ工房で最晩年の1607年から1614年に集中的に制作されました。ですから、エル・グレコ自身だけで描いたのではなく、工房で制作したようです。しかし、最晩年のエル・グレコの描く聖人像の素晴らしさを十分に感じさせるものです。

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これは《トレド景観と地図》です。1610~14年頃の作でトレドのエル・グレコ美術館所蔵です。エル・グレコ69~73歳頃の作品です。この作品は写真がない時代に都市案内図として、優れたものです。地図を広げているのは息子ホルヘだと言われています。

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これは《羊飼いの礼拝》です。1610年頃の作でメトロポリタン美術館所蔵です。エル・グレコ69歳頃の作品です。プラド美術館にある大傑作の縮小バージョンです。プラド美術館にある大傑作もこの特別展にちゃんと出展されています。

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これがそのオリジナル版の《羊飼いの礼拝》です。もちろん、同じ構図ですが、サイズは全然違います。画像ではよく分からないかも知れませんが、全然、迫力は違います。オリジナル版は1612~13年頃の作でプラド美術館所蔵です。エル・グレコ71~72歳頃の作品です。何故かオリジナル版のほうが制作年は後になっています。事情はよく分かりません。このオリジナル作品は素晴らしい絵です。光を浴びて、くっきりと浮き立っているマリアの美しさはなんともいえず、素晴らしいです。赤い衣ともよく調和しています。羊飼いたちならずとも、つい、拝んでしまいたくなるようなマリアの神々しさです。これは宗教画ですが、そういう範疇を超えて、美と敬虔さに感動してしまう傑作です。エル・グレコの亡くなる前の数年に描かれた作品はどの作品も人類の最高に遺産とも言えるものばかりです。この作品はエル・グレコが自らの墓所と希望したサント・ドミンゴ・エル・アンティグオ聖堂に飾るために制作した祭壇画だそうです。エル・グレコの希望通り、墓所の前に飾ってあげたいものです。この絵の前で立ちすくんでしまいました。

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これは《聖母のエリザベツ訪問》です。1607~13年頃の作でアメリカ・ワシントンのダンバートン・オークス美術館所蔵です。エル・グレコ66~72歳頃の作品です。この後の作品《無原罪のお宿り》が飾られていたオバーリョ礼拝堂のヴォールト(天井のドーム)の中央に配されていました。つまり、真下から見上げるべき作品です。オバーリョ礼拝堂の創立者であるイサベル・デ・オバーリョの名前(イサベルはエリザベツのスペイン語名)にちなんで、この作品が描かれました。受胎した聖母マリアが従姉のエリサベツを訪問した場面を描いたものです。あえて簡素な表現になっているのは、この絵があまり目に付きにくい天井に配されてるからだそうです。

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これは《無原罪のお宿り》です。1607~13年頃の作でトレドのサン・ニコラス教区聖堂所蔵です。エル・グレコ66~72歳頃の最晩年の作品です。この絵も以前、東京都美術館で開催されたエル・グレコ大回顧展で見ましたが、そもそも、そのエル・グレコ大回顧展はこの絵が見たくて、足を運んだんです。そのとき初めて対面した、この絵は期待を超えて、想像を絶する、素晴らしい作品で、大変感動しました。そして、また、1年半ぶりにこの絵に再会することができました。この“美の究極”とも言える作品はこの会場に並んでいる傑作群の中でも、別格の存在です。聖母マリアのあまりの美しさに魂が震える思いにかられます。結局はこの1枚と再会するために、このサンタ・クルス美術館に足を運んだんだということを強く感じました。この作品と価値を競える美術作品はsaraiにとって、古今東西、数枚を数えるのみです。天才芸術家エル・グレコへ、畏敬の念を覚え、ただただ、絵の前に立ちすくみました。

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エル・グレコを十分に満喫しました。というよりも、圧倒されまくって、頭の中にエル・グレコが渦巻いてしまっています。もう、今日はこれで十分です。


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トレドはエル・グレコの街:サンタ・クルス美術館を出て、パラドールへのバスに乗車

2014年5月29日木曜日@マドリッド~トレド/12回目

サンタ・クルス美術館のエル・グレコ没後400年の特別展「トレドのギリシャ人」の鑑賞を終えました。
昨年の上野でのエル・グレコ展で見て圧倒された《無原罪の御宿り》にも再び巡り会えました。この作品は最高の芸術美で輝き、大きな感動を与えてくれました。
これで今日のエル・グレコの絵画鑑賞は終了です。
サンタ・クルス美術館はイサベル女王が建設した古い建物です。絵画鑑賞の後、中庭に出てみました。美しい緑の空間です。

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2階の回廊からも中庭を見下ろしてみました。花も咲いています。

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サンタ・クルス美術館から外に出ると、銅像がお出迎え。この銅像はドン・キホーテの作者セルバンテスのようですね。

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時間も頃合いなので、トレドの街で夕食をして帰りたいところですが、今日はいささかくたびれました。配偶者が、大胆にもパラドールでのディナーを提案。いかにも高額なディナーになりそうですが、saraiも快諾。では、帰ることにしましょう。1時間に1本ですが、パラドール方面行のバスがあります。すぐ近くから出るので、ちょっとバス停を見てみましょう。バス停はサンタ・クルス美術館近くのアルカサル前にあります。と、なんと後3分でバスが来るようです。これがネットで事前に入手しておいたバスの時刻表です。71系統のバスです。

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本当にすぐにバスはやって来ました。素晴らしいタイミングです。チケットはドライバーから購入します。1人1.4ユーロです。公共交通機関はやはり安いですね。

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バスはすぐにアルカサル前を発車します。

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バスは旧市街の高台を走ります。

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旧市街の眺めを楽しめます。

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バスはトレドの旧市街を出て、ビサグラ新門Puerta Nueva de Bisagraの前に出ます。

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ビサグラ新門はトレドの街の表玄関です。ビサグラ新門の前は美しい緑のロータリーになっていて、花々が咲き乱れています。

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もう、ここは旧市街を取り囲む城壁の外側です。

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バスはロータリーをぐるっと回って、再びビサグラ新門の前に出ます。

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ビサグラ新門を離れて、城壁沿いに走り出します。

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後ろを振り返ると、まだビサグラ新門辺りが見えています。

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メルチャン通りPaseo Merchánを少し走ると、またロータリーにぶつかります。アルフォンソ6世門Puerta de Alfonso VI(旧ビサグラ門)の前のロータリーです。バスはこのロータリーを抜けて、カバ通りAv de la Cavaに入っていきます。

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そして、バスはタホ川Río Tajoを渡ります。左手には、サン・マルティン橋Puente de San Martinが見えています。これで完全にトレドの街の外に出ます。

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タホ川を渡り街の方を見ると、丘の上の大きな教会が見えます。サン・フアン・デ・ロス・レイエス教会Monasterio de San Juan de los Reyesでしょう。

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バスはタホ川沿いに走り出し、正面にサン・フアン・デ・ロス・レイエス教会の大きな建物がはっきりと見えます。その手前には城壁が続いています。

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順調に走っていきますが、実はどのバス停で降りればよいのか分かっていないので、不安ではあります。ちゃんとホテル(パラドール・デ・トレド)に行き着けるでしょうか。それは次回で。


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トレドはエル・グレコの街:パラドールの最寄のバス停で降りたのはよいのですが・・・

2014年5月29日木曜日@マドリッド~トレド/13回目

トレドの旧市街の中心にあるアルカサル前で乗ったバスは、パラドールの方を目指して走ります。タホ川を渡りトレドの街を出たバスは、タホ川沿いを走ります。
サン・マルティン橋前のバス停でバスが停車します。ここからは、サン・マルティン橋とその先にサン・フアン・デ・ロス・レイエス教会が見えます。美しい眺めです。

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バス停を発車したバスの車窓からはまだ、サン・マルティン橋とその先のサン・フアン・デ・ロス・レイエス教会が見えています。

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バスは川沿いの道から外れ、山道に入り、どんどん丘を登っていきます。やがて、眼下にトレドの街が見えてきました。カテドラルの尖塔とアルカサルの大きな建物も見えます。

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大きな建物が見えたので、そろそろパラドールかしらと運転手さんに聞くと、ここで降りるんだよとのこと。危ない・・・降り損ねるところでした。停留所の表示もありません。しかも、その大きな建物はパラドールではなさそうです。どちらに行くのか迷っていると、一緒に降りた人が道案内を申し出てくれました。助かりました。道からはトレドの街が見えます。

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分かれ道からパラドール方面に向かう道を歩き始めると、さらにトレドの街がよく見えます。眺めを楽しみながらの散策です。

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道の端に寄って、眺めを楽しみます。

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展望台のようなところからは、夕日を浴びて輝きを増すトレドの美しい街がとてもロマンティックです。

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道案内してくれている人からあまり離れないようにしながらも、眺めを楽しみます。何とか、ちらっとタホ川の流れも視界に収めることができました。

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でも、かなり草深くて、なかなか見通しがきかずに少し残念。

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未練たっぷりに草の隙間からの眺めを探します。何とか、カテドラルの尖塔がちょっぴりと見えます。

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そろそろパラドールが近づいてきました。素敵な並木道を歩きます。

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もうすぐ、パラドールの駐車場です。

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無事にホテル(パラドール)に到着です。案内してくれる人がいなかったら、バス停で降りた後、道に迷ったことは確実です。彼に感謝します。

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駐車場を抜けて、ホテルのレセプションに向かいます。

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ホテルは石造りの美しい建物です。

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レセプションで夕食の予約をお願いすると、8時半でどうかしらとの返事。まだ7時なのにそんな遅くしか予約が入らないのかと思いながらも了承。それまで、部屋で休みましょう。配偶者はぐっすり眠り、saraiは雑用。ディナーが楽しみです。


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トレドはエル・グレコの街:パラドール・デ・トレドの美味しいディナー

2014年5月29日木曜日@マドリッド~トレド/14回目

トレド唯一の夜はパラドールでのディナーです。
予約した時間にレストランに行くと、お店の鉄の扉が閉まっています。恐る恐る扉を開いて中に入ると、何とレストランに客は1人もいません。これで、ようやく分かりました。まだ、夕食の時間が始まっていないのです。レストランの夕食のスタートは8時半からなんですね。だから、先ほどレセプションで8時半の予約でどうかしらと言われたんですね。スペイン時間は日本とは2時間程ずれているようで、これがスペイン時間なのでしょう。
お蔭でテーブルは選び放題。もちろん、窓際の眺めのよい特上の席に座りました。正面にアルカサルの大きな建物が見えています。

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窓に顔を寄せて、トレドの街の風景を眺めます。タホ川の流れやカテドラルなど、素晴らしい景色が望めます。

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ディナーはコース料理。まずはパンが出ます。

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料理を待っている間にディナー客が集まってきました。やはり、少しは賑やかな方がいいですね。

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おつまみのオリーブが出されました。

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続いて、お店からのサービスとして、ほんの一口サイズのガスパッチョが運ばれてきました。スペインの有名料理ですが、実はsaraiも配偶者もこのスープを飲むのは初体験です。

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ガスパッチョのあまりの美味しさにびっくり。この冷製スープはやみつきになってしまいそうです。
飲み物はやはり、カヴァにしましょう。スパークリングワインは美味しいですね。

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最初の皿はサラダです。ほどよくグリルされたグリーンアスパラガスは格別の味。

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次はスープ。

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メインはビーフステーキ。

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配偶者のメインは魚料理。こっちの方が美味しそうですね。

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料理をいただいているうちにようやく日が落ちて(もう10時近い!)、トレドの街は夕闇に包まれていきます。何てロマンティックな景色でしょう!

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コース料理も最後のデザートになりました。

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こちらは配偶者が選んだデザート。

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最後のコーヒーには、お洒落なコーヒーアートが描かれています。

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食事が終わった頃に、ようやく窓の外は真っ暗。

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1人36ユーロ(飲み物込み)の大枚をはたいた夕食は美味しかったです。配偶者からは「ご馳走さま!」の言葉がもらえました。
部屋に戻り、トレドの街の夜景を眺めます。カテドラルは識別できません。

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久しぶりのお風呂に入り、そのままベッドに倒れこむようにして朝までぐっすり寝ちゃいました。

今日訪問予定だったカテドラルなど残りの3つのエル・グレコの作品を展示している施設は、明日訪れることにします。明日はエル・グレコを堪能した後、トレドを離れ、アンダルシア地方のグラナダに大移動です。


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トレドはエル・グレコの街:翌朝のトレドはスペイン晴れ!

2014年5月30日金曜日@トレド~グラナダ/1回目

旅の5日目、トレド滞在2日目です。今日は昼過ぎに、マドリッド経由でアンダルシア地方のグラナダに移動します。それまでの時間は、トレドで見残したエル・グレコを鑑賞しましょう。昨日見られなかったエル・グレコの作品を展示している残りの3つの施設、サント・ドミンゴ・エル・アンティグオ聖堂、カテドラル、タヴェラ施療院を周ります。

昨夜早めに寝たので、今朝は珍しくsaraiは早起きです。窓の外を見ると、空が明けかかっています。
saraiの調べた天気予報では今日のトレドは雨だったのですが、よく晴れています。こういう誤算は嬉しいですね。

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地平線の辺りは、朝焼けで空が茜色に輝いています。

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朝日が差してきました。真っ青な快晴です。やったね。

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今朝は、しっかりホテルの朝食を頂きます。朝食ルームは、昨夜ディナーをいただいたレストランです。よくよく見れば日本人も大分お泊まりのようです。

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朝食のビュッフェには、目移りするほどの料理の種類があり、なんとも豪華です。甘いものもたくさんありますが、そんなに食べられませんね。残念ですが、精選して頂きましょう。

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朝食ルームからは、快晴の空の下のトレドの街がよく見えています。

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今朝は早起きしたので、大分予定より早い行動になっています。折角なので、トレドの街まで路線バスで行ってみましょう。
ホテルをチェックアウトして、荷物を預かってもらいます。身軽になったところで、ホテルの前の並木道に出ました。糸杉が綺麗ですね。

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並木道を歩きながら、緑の間からトレドの街の眺めを楽しみます。

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カテドラルも見えます。

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並木道を振り返ります。パラドールの駐車場にはバスが停まっています。団体客用のバスです。

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ちょっと道をそれて、展望のよいところに上ってみます。街がよく望めます。

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さらに高台に上ります。もっとよく街が見えました。

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道から、これぐらい上ったところです。バス停はすぐ先ですから、慌てることなく眺めを楽しみます。

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saraiは展望のよいところで夢中になって写真を撮っています。saraiが満足するまで、配偶者は待ってくれています。どーもです。

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これがそのsaraiが撮った写真。トレドの街の主要な街並みと街の周りを流れるタホ川の眺めを、写真に収めることができました。

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ちょっと横移動して、もう1枚。

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これで満足して、バス停に向かいます。昨日バスを降りたところまで行きますが、反対方向行き(トレドの街行き)のバス停の場所が分かりません。バス停の標識がまったくありませんからね。その問題はおいといて・・・眺めは素晴らしいです。

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saraiがネットで把握した情報では、この路線のバスはちょっと先で折り返す筈です。配偶者に、昨日降りたバス停で乗ってしまおうと提案。どうせ、すぐ先で折り返しますから、それで構わないでしょう。折り返してくるバスのバス停を探す手間も省けます。やがて街からバスがやってきたので、乗り込みました。

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これが大正解。確かに折り返しなのですが、戻るルートが違いました。そのまま折り返してくるバスを待っていたら、バスに乗り損ねるところでした。良かった!
バスは一路、トレドの街に向かいます。


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トレドはエル・グレコの街:タホ川にかかるサン・マルティン橋の美しい眺め

2014年5月30日金曜日@トレド~グラナダ/2回目

乗り込みに成功したトレドの街に向かうバスは、しばらくは丘の上の道を走ります。

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車窓からはトレド旧市街を見下ろせます。

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いやあ、素晴らしい景色ですね。

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窓の外に見える絶景に釘付けです。

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やがて、バスはどんどん丘を下り始めますが、ずっと街の風景は見え続けます。

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タホ川の流れがだんだん近づいてきます。

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バスはタホ川縁の道まで下りてきて、川沿いに走り出します。すぐにサン・マルティン橋付近のバス停に到着。と、バスの中から精力的に車窓の写真を撮っていた女性2人組が降ります。そうですね、ここは写真を撮るべき所でしょう。saraiは街の中心地までバスに乗っていくつもりでしたが、慌てて彼女達に続いてバスを降ります。目の前には、タホ川の美しい流れがあります。

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空は綺麗な青空、気持ちよい朝です。

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昨日もバスの車窓から見たサン・マルティン橋Puente de San Martinですが、間近に見ると、とっても重量感のある石橋です。

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サン・マルティン橋の入り口は石造りの堅牢なアーチになっています。堂々たる風格です。

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サン・マルティン橋のたもとから見るタホ川と青空の組み合わせは最高です。

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サン・マルティン橋の前には石造りの綺麗な家々が立ち並びます。石造りの橋に似合っています。

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サン・マルティン橋を旧市街の方に渡った先には、サン・フアン・デ・ロス・レイエス教会Monasterio de San Juan de los Reyesが丘の上に聳えています。

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タホ川を見下ろすと、川面が朝日にきらきらと輝いて銀面のようです。

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再び、サン・マルティン橋とサン・フアン・デ・ロス・レイエス教会を眺めます。美しい眺めです。わざわざバスから飛び降りた甲斐があり、なかなか良い写真が撮れました。

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そろそろ橋を渡りましょう。橋塔の方に戻ります。

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思わぬ寄り道でしたが、タホ川の風景を満喫しました。ここからは徒歩で街の中を進みます。


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トレドはエル・グレコの街:サン・マルティン橋から旧市街の古色蒼然とした路地を抜けて、サント・ドミンゴ・エル・アンティグオ聖堂へ

2014年5月30日金曜日@トレド~グラナダ/3回目

サン・マルティン橋からのタホ川の眺めを楽しみました。そろそろ、対岸に見えているトレドの旧市街の方に渡りましょう。

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サン・マルティン橋の入り口の橋塔をくぐろうとすると、一足早く橋の真ん中辺りまで行っていた配偶者が、大きく両手を天に突き出しバンザイをしています。いくつになっても茶目っ気があります。

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saraiも配偶者の後に続いて、橋の上に足を踏み入れます。美しい石橋です。

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橋の上から、タホ川の流れを眺めます。こちらは北方向です。川面が鏡のように磨き上げられています。

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振り返って、今抜けてきた橋塔を眺めます。美しくて、堂々とした石造りの建造物です。

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こちらはこれから向かう方向にある橋塔です。この橋塔から旧市街を取り囲む城壁が連なっています。

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橋の北端までやってきました。ここからまたタホ川の流れを眺めます。タホ川の向こうには荒涼たる大地が広がっています。

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タホ川の岸辺にも城壁が突き出しています。

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北端の橋塔のアーチを抜けて、サン・マルティン橋を振り返ります。見事な橋の風景が眺められます。

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もう少し橋から離れたところでもう1枚。サン・マルティン橋のほぼ全景です。

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サン・マルティン橋から少し進むと、バハーダ・サン・マルティン通りBajada San Martínにぶつかります。

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この通りの坂道を上って、サント・ドミンゴ・エル・アンティグオ聖堂の方に向かいます。ぶらぶら歩きですが、かなりの坂道です。

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坂道を上り切ると、左手に立派な城門があります。カンブロン門Puerta del Cambrónです。

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カンブロン通りを突っ切って、そのまままっすぐにちょっと狭い路地、レアル通りCalle Realを進みます。中世を偲ばせるような雰囲気の路地です。

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高い建物に挟まれた路地からは切り取られたような青空が見えています。

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レアル通りの左側は城壁の名残りのような堅牢な壁で仕切られています。その壁が途切れたところからは、街の外側の平原が顔を出しています。

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さらにレアル通りを進みます。

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レアル通りをまっすぐに進んでいるだけですが、道の分かりづらい街中をウロウロという感じを抱いてしまいます。と、この旧市街の丘に上がってくるエスカレーターの標識を発見。こんなものがあったのですね。

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この角を右に曲がった先にサント・ドミンゴ・エル・アンティグオ聖堂が見えます。

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こちらはエスカレーターのある道。正面のぶつかったところの左側にエスカレーターがあります。そこからまっすぐに進んでくると、サント・ドミンゴ・エル・アンティグオ聖堂だったんです。

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サン・マルティン橋からサント・ドミンゴ・エル・アンティグオ聖堂へのルートを地図で確認しておきましょう。結果的にまったく道に迷わずにストレートに正しい道を歩いたようです。

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昨日は混み合っていたために入場を断念したサント・ドミンゴ・エル・アンティグオ聖堂ですが、今日は朝一番で見られそうです。


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悪いことは重なる・・・!! ああ、無情!

ブログの引っ越しを余儀なくされて、日々、ブログの復旧作業に邁進してきましたが、悪いことは続くもので、先週、PCのデータ用ハードディスクが突如、動作不良になり、慌てて、新しいハードディスクを購入し、何とか、データのコピーには成功し、ほっと胸を撫で下ろしました。
ところが、今日、今度はWindows8.1が動作する重要なシステムを格納しているハードディスクが猛烈にスローダウン。どうやら、クラッシュ寸前で使い物になりません。折しも古いブログサイトから不足しているブログデータをPCに取り込んでいる最中で、それまでにダウンロードしていたブログデータも含めて、すべてがパー!! 愕然としました。何とか、このシステムディスクを別のハードディスクにコピーしようとしますが、クラッシュ寸前のハードディスクは言うことをききません。悪戦苦闘した結果も、何の成果も上がらずに無残な敗退。
気持ちを切り換えて、古いXPのシステムを立ち上げて、急場を凌ぐことにしました。何と行っても重要なのは古いブログサイトにある貴重なブログデータ。このデータは年明け早々には完全に消去されます。現在、急いで、XPのシステムでブログデータをダウンロードしている最中です。古いブログサイト(アップルワールドの旅ブログ)はブログデータのダウンロードへの対応は一切、関与してくれないので、ブログデータのダウンロードと言っても、実際は画面に表示されているHTML文書をそのまま、自分のPC上にコピーするだけのことです。それが膨大なデータ量になり、現在、5GBほどコピーしたところです。まだ、半分くらいでしょうか。
ということで、今日は連載中のトレド編は休載にさせてもらいます。暗澹たる思いです。
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トレドはエル・グレコの街:サント・ドミンゴ・エル・アンティグオ聖堂でエル・グレコの作品鑑賞

2014年5月30日金曜日@トレド~グラナダ/4回目

トレドの旧市街のややこしい道を歩いて、サント・ドミンゴ・エル・アンティグオ聖堂Convento De Santo Domingo El Antiguoに到着。目の前に石造りの鐘楼が聳えています。

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サント・ドミンゴ・エル・アンティグオ聖堂の前の広場は緑豊かです。

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この広場は、その名もサント・ドミンゴ・エル・アンティグオ広場Plaza de Santo Domingo 'El Antiguo。石造りの建物の前に広がる静かな空間です。

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ちょっと奥まったところが聖堂の入口です。開館時間までまだ間があるので、誰も来ていません。入口も固く閉じられています。

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しばらくしても状態は変わらず、静まりかえっています。いくら早起きしたからとは言え、来るのが早過ぎたようです。

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快晴の古都は次第に気温が上昇してきました。この広場には気持ちの良い木陰があるので、強い日光を避けてのんびり開館時間を待ちましょう。

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やがて男の人がやって来て、入口の前に立ちます。続いて女性もやって来ました。2人は職員のようです。配偶者がさりげなく、様子を探りに近づいていきます。

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彼ら2人はインターホンで連絡して、中に入っていきました。我々もそろそろ入口の前に並びましょう。一番乗りです。団体もやって来ました。急に周囲が騒がしくなってきました。

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先ほどの男性が、警備用の制服に着替えて出てきました。おはようと声をかけると、後5分待ってねと言いながら入口近くでタバコを吸い始めました。後ろ姿のがっちりした制服の男性が彼です。

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何度か目が合うと「今日はこれから10時間、明日も明後日もずっと勤務だよ」とぼやいてきます。警備の仕事もなかなか大変のようですね。

ついに開場。ようやく、エル・グレコに御対面です。
これがサント・ドミンゴ・エル・アンティグオ聖堂の主祭壇の祭壇衝立です。残念ながら《聖母被昇天》、《聖三位一体》など4点は散逸し、代わりにレプリカが飾られています。両脇の聖ヨハネの絵画は本物です。

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現在、エル・グレコの意図どおりにオリジナルの姿で残っている祭壇衝立はひとつもないそうです。残念ですね。この聖堂はレプリカが多いとは言え、オリジナルに近い形で見られるだけでもよしとしないといけないでしょう。

このほか、《聖イルデフォンソを伴うキリストの復活》を鑑賞。
3枚あったエル・グレコの絵を十分堪能したので帰ろうとすると、例の警備の男性が近づいてきます。そして、もうひとつの礼拝堂は見ていないだろうと言いながら、案内してくれました。感謝です。
いよいよ帰ろうとすると、エル・グレコの墓は見たかと訊いてきます。えっ、そんなものがここにあるの・・・またまた案内してくれました。お墓を見落としては、後で悔やんでも悔やみきれませんね。彼と仲良くなっていて良かった! エル・グレコの魂に心からの挨拶を捧げました。

彼に感謝の言葉をかけて、今度は本当に聖堂の外に出ました。

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次はカテドラル(大聖堂)に向かいます。


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トレドはエル・グレコの街:カテドラル(大聖堂)はスペイン・カトリックの総本山

2014年5月30日金曜日@トレド~グラナダ/5回目

サント・ドミンゴ・エル・アンティグオ聖堂から、カテドラルに向かいます。このサント・ドミンゴ・エル・アンティグオ聖堂は昨日も来たので、この辺りの道は分かっています。昨日も通ったサン・イルデフォンソ聖堂を通って、そこから坂道を下りていきます。例によって、くねくねした狭い入り組んだ路地が続きます。路地の途中には、トンネルのようになったところもあります。

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路地はますます狭くなり、すれ違いも難しいくらい。

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やがて、青空にすっくと立つカテドラルの尖塔が視界にはいります。複雑な路地を迷いもせずに、最短距離でカテドラルに到着できました。

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少し位置をずらして、カテドラルの尖塔を見上げます。うん、とても美しいですね。この尖塔(鐘楼)は90mの高さを誇ります。

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カテドラル横の市庁舎広場Plaza Ayuntamientoに出ました。広場にはエル・グレコの絵画の大きなパネルが並んでいます。エル・グレコの記念の年にふさわしいですね。広場の向かいに塔を持つ建物が見えていますが、これは市庁舎Ayuntamiento de Toledoです。右側の建物は大司教館です。

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市庁舎広場からカテドラルの建物に沿ってカルデナル・シスネロス通りCalle Cardenal Cisnerosを進むと、カテドラルの入口に出ました。この入口は通用門ですが、ここが参観者の入場口になっています。

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サント・ドミンゴ・エル・アンティグオ聖堂から、このカテドラル入口までのルートを地図で確認しておきます。

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入口前で見上げると、カテドラルSanta Iglesia Catedral Primada de Toledoの壮麗な建物が圧倒的な存在感で迫ってきます。このトレドのカテドラルはブルゴス大聖堂、レオン大聖堂とともに、スペイン・ゴシック様式の3大カテドラルと呼ばれています。スペインのカトリックの総本山でもあります。

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カテドラルの右手の方です。こちらにも尖塔が見えます。

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カテドラルだけは、事前にネットで購入したセットチケットには何故か含まれていません。ですから、ここでチケットを購入する必要があります。カテドラルの向かいのお土産物屋さんの中にカテドラルのチケット販売窓口があります。チケットを求める長い行列ができています。並びましょう。

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saraiが列に並んでいる間に、配偶者は再びカテドラルを撮影。

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すぐに配偶者がsaraiの代わりに列に並んでくれたので、今度はsaraiがカテドラルの美しい建物を撮影します。
まずは入口前から撮影開始。

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入口から右手の方に移動しながら撮影します。

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右手の方には、素晴らしい彫刻が施された門があります。《ライオンの門》と呼ばれています。

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これは《ライオンの門》を右側の方から見たところです。

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繊細な彫刻を子細に眺めます。見事ですね。

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《ライオンの門》の右手からカテドラルの全景を眺めますが、とても写真に収まりきれない巨大な建物です。ローマ・カトリック教会で世界で4番目の大きさというのもうなづけます。

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青空に突き出ている大きなドームは1631年にホリヘ・マヌエルが制作したものです。これはカテドラル正面の右側の塔を裏から見たものです。

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これはカテドラル正面の左側の塔の先端を見たものです。

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十分にカテドラルを眺めたので、そろそろ配偶者が並んでくれているチケット購入の列に戻ります。


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saraiの音楽総決算2014:ピアノ・室内楽編

今年もブログの締めくくりはsarai恒例の音楽総決算です。

今年は国内・海外合わせて、厳選したコンサート・オペラに計60回足を運びました。それらについてはすべて当ブログで報告済みですが、今回から4回のシリーズでそれらからベストの音楽会を選んで、今年の音楽の総決算としたいと思います。
今回はピアノ・リサイタルと室内楽編です。
ちなみに昨年の結果はここです。

今年は豊作の年で大激戦でしたが以下をベスト10に選びました。

1位 フォーレ四重奏団@上大岡ひまわりの郷 2014.12.14
2位 フォーレ四重奏団@東京文化会館小ホール 2014.12.15
3位 ユリアンナ・アヴデーエワ・ピアノ・リサイタル@東京オペラシティ 2014.11.14
4位 アンドラーシュ・シフ・ピアノ・リサイタル@紀尾井ホール 2014.3.14
5位 上原彩子ピアノ・リサイタル@サントリーホール 2014.2.2
6位 マリア・ジョアン・ピリス・ピアノ・リサイタル@サントリーホール 2014.3.7
7位 イエルク・デームス 86歳バースデーコンサート@上大岡ひまわりの郷 2014.12.2
8位 庄司紗矢香+メナヘム・プレスラー@サントリーホール 2014.4.10
9位 ペーター・レーゼル・ピアノ・リサイタル@紀尾井ホール 2014.11.8
10位 パスカル・ロジェ・ピアノ・リサイタル@上大岡ひまわりの郷 2014.5.25

フォーレ四重奏団を初めて聴いたのは、今年最大の収穫でした。四重奏団と言っても、弦楽四重奏団ではなく、ピアノ四重奏団。世界でも希有な存在ですが、その演奏に接して、まるで電気に打たれたような衝撃を受けました。マーラーとR・シュトラウスのピアノ四重奏曲は彼らのごく初期の作品でコンサートではあまり取り上げられることがありませんが、実に見事な演奏で魅了されました。そして、ブラームスのピアノ四重奏曲第1番は何と素晴らしかったことか・・・極上のブラームス演奏でした。一気に彼らの魅力の虜となったsaraiでした。

フォーレ四重奏団の追っかけモードにはいったsaraiは翌日のコンサートにも急遽参加。素晴らしいモーツァルトを耳にすることができました。そして、圧巻だったのはアンコールでのR・シュトラウス。生涯でこれほどの感動的な演奏を何回聴いたことがあったでしょう。忘我の境地でした。

ユリアンナ・アヴデーエワのピアノ・リサイタルはショパンコンクールで優勝した彼女のさらなる熟達ぶりを認識させるものでした。彼女のピアニズムは見事なメカニズムだけでなく、高い音楽性を示してくれました。特にリストの演奏が素晴らしく、巡礼の年《ダンテを読んで》は感動を受けました。これからの世界は彼女がピアニストの頂点に君臨することを予感させられました。

アンドラーシュ・シフのバッハを遂に生で聴くことができました。現在、バッハを弾いて、彼以上に弾ける人はほとんどいないでしょう。バルトークも見事な演奏でした。今、夢中で聴いているCDが彼の弾くシューベルトです。バッハ以外でも実にユニークで音楽性に満ちた演奏を聴かせてくれます。今後、彼の来日演奏会は聴き逃せません。

上原彩子のピアノ・リサイタルは2年連続でラフマニノフ・プログラム。こだわりのラフマニノフですが、実に見事な演奏でした。残念ながら、来年は3年連続とはなりませんでした。来年はチャイコフスキーのピアノ版《くるみ割り人形》。久々にCDもリリースするようです。もちろん、聴きに行きます。

マリア・ジョアン・ピリスのピアノ・リサイタル。純粋無垢な永遠の少女が奏でるシューベルトの名曲、即興曲集 D.899と最後のピアノ・ソナタ、第21番 D.960でした。共感を持って聴くことができました。彼女の老境のピアノを聴くまでは死ねないと強く感じさせられました。

イエルク・デームスの86歳バースデーコンサート。ピアニストと指揮者は80歳を過ぎてからが本物の演奏になるというsaraiの信念を実証してくれるようなピアノ・リサイタルでした。彼のショパンの美しい響きにすっかりと魅惑されました。是非ともレコーディングして、人類の遺産として残すべきでしょう。

庄司紗矢香+メナヘム・プレスラーのデュオ・リサイタル。メナヘム・プレスラーはボザール・トリオの中心的存在だったピアニストで室内楽の分野では大御所。御歳90歳です。おじいちゃんと孫のような娘のデュオ・リサイタルでしたが、その紡ぎだされた音楽は室内楽の王道を行くような滋味深いものでした。

ペーター・レーゼルのピアノ・リサイタル。ドイツの正統的な音楽を継承するレーゼルのピアノでドイツ・ロマン派の名曲を堪能しました。ブラームスもよかったのですが、それにも増して、シューマンとシューベルトの素晴らしかったこと! もっと聴いてみたいピアニストです。

パスカル・ロジェのピアノ・リサイタル。素晴らしいフランス音楽が聴けました。最近、苦手だったフランスのピアノ曲もフランス人ピアニストの演奏で素直に聴けるようになってきました。見事な演奏でした。

以上のほかに、次点として、もう2点。

次点 ブラームス:レーゼル&ゲヴァントハウス四重奏団@紀尾井ホール 2014.11.6
次点 ウィハン・カルテット@鶴見サルビアホール 2014.12.3

レーゼル&ゲヴァントハウス四重奏団の演奏したブラームスの室内楽の傑作、ピアノ五重奏曲はレーゼルのピアノが出色の出来で白熱した演奏でした。

ウィハン・カルテットはチェコの演奏家たちで構成されていますが、彼らが演奏した、お国ものであるドヴォルザークの《アメリカ》は絶品でした。

今年はフォーレ四重奏団が聴けたのが一大事件でした。ピアノ・リサイタルも素晴らしい演奏ばかりだったし、この分野は非常に充実して聴けました。

次回はオペラ・オペレッタ編です。


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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

 

saraiの音楽総決算2014:オペラ・オペレッタ・バレエ編

さて、前回に引き続き、今年の音楽の総決算です。

今回はオペラ・オペレッタ・バレエ編です。
今年はオペラはすべて海外での公演しか聴いていません。ですから今年も海外で聴いたオペラからの選定になります。あっ、バレエは日本でも見ました。
ちなみに昨年の結果はここです。

で、今年は以下をベスト5に選びました。

1位 チェネレントラ@ザルツブルグ・モーツァルト劇場 2014.6.5

2位 《ナクソス島のアリアドネ》@ウィーン国立歌劇場 2014.6.11
   《ナクソス島のアリアドネ》2回目@ウィーン国立歌劇場 2014.6.15

3位 我らがチェチーリア:ロッシーニ《オテロ》@ザルツブルグ祝祭大劇場 2014.6.9

4位 ホフマン物語@マドリッド・レアル劇場 2014.5.28

5位 美し過ぎるザハーロワ:ボリショイ・バレエ《白鳥の湖》@オーチャードホール 2014.11.24

ザルツブルグ精霊降臨音楽祭の初日、オープニングを飾ったロッシーニの歌劇《チェネレントラ》。初めて生で聴いたチェチーリア・バルトリはやはり素晴らしかった。というよりも凄かった。久しぶりに凄いオペラを見たという感覚でした。生涯に何度かしか聴けないオペラでした。ラミロ王子役のハヴィエル・カマレーナも素晴らしく張りのある声で見事なテノール。いやはや、世界は広い。オペラ終盤は強い感動に襲われました。それにしてもバルトリのアジリタは凄まじいばかりです。

今年は毎年見ていた《薔薇の騎士》は見ることができませんでしたが、その代わり、R・シュトラウスの《ナクソス島のアリアドネ》を久しぶりに聴くことができました。やはり、ウィーンで聴くR・シュトラウスは素晴らしいとしか言いようがありません。もう、グルベローヴァのツェルビネッタを聴くことはかないませんが、新時代のアリアドネは聴き応え十分でした。それにこの日はR・シュトラウス生誕150年という節目の年の、それも誕生日で正真正銘の生誕150年の公演というおまけ付き。やはり、R・シュトラウスのオペラはいいですね。2回目に聴いた公演もさらに素晴らしい内容で夢のような時間を過ごしました。

ロッシーニの《オテロ》はきっと、2度と聴けないオペラになるでしょう。珍しいオペラですからね。これは聴き逃せないという気持ちで公演に足を運びましたが、それがなかなか素晴らしい。特にバルトリの歌う《柳の歌》は彼女の独壇場。素晴らしいったら、ありゃしません。

《ホフマン物語》も久しぶりに聴きました。何と言ってもニクラウス/ミューズ役のアンネ・ゾフィー・フォン・オッターの名唱がすべてです。付け加えて言えば、日本では上演不可能な過激な演出も凄いと言えば凄い。まあ、目の毒になるので、音楽を聴く邪魔にはなりましたけどね。

バレエは遂に美しいザハーロワが踊る白鳥・黒鳥を見ました。やはり、これは一度は見ておかないといけませんね。究極の美に酔いしれました。

バルセロナで見たワルキューレもなかなかのオペラでした。これは次点。

次点 ワルキューレ@バルセロナ・リセウ劇場 2014.6.3

次回はオーケストラ・声楽曲編です。


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saraiの音楽総決算2014:協奏曲編

さて、前回に引き続き、今年の音楽の総決算です。

今回は協奏曲編です。
今年はヒラリー・ハーンの演奏が聴けなかったのが残念でしたが、それでも素晴らしい演奏の数々を聴くことができました。。
ちなみに昨年の結果はここです。

今年は以下をベスト5に選びました。

1位 アンデルシェフスキの驚愕のピアノ!フルシャ&東京都交響楽団@サントリーホール 2014.6.24

2位 庄司紗矢香:チャイコフスキー_ヴァイオリン協奏曲&テミルカーノフ@横浜みなとみらいホール 2014.1.26

3位 ペライア、快心のモーツァルト with アカデミー室内管@サントリーホール 2014.11.13

4位 ドヴォルザーク:庄司紗矢香+東京交響楽団@ミューザ川崎 2014.10.19

5位 ツィメルマン+ヤンソンス+バイエルン放送交響楽団@サントリーホール 2014.11.25

アンデルシェフスキーの弾くバルトークのピアノ協奏曲第3番は驚くべきレベルの演奏で、バルトークの真髄を聴かせてもらったと言っても過言でありません。これがアンデルシェフスキーのピアノの初聴きでしたが、一気に彼の評価はsaraiの中で最高レベルになりました。既に来年の独奏ピアノのリサイタルと協奏曲のコンサートのチケットを購入済みです。彼の演奏する音楽についてのsaraiの感想はさて、どうなるでしょう? ユリアンナ・アヴデーエワとともに最も注目しているピアニストです。

旬の時にあるヴァイオリニスト、庄司紗矢香はいつも期待を裏切ることがありません。そして、彼女と最も相性がいいと言えるテミルカーノフとの共演ともなれば、最高の結果をもたらします。かなり以前にこの組み合わせで同じチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を聴いたことがありますが、そのときの素晴らしい演奏を遥かに上回る演奏を聴かせてくれて、大満足でした。

ペライアの演奏するモーツァルトのピアノ協奏曲第21番は最高の響きで素晴らしい音楽が展開されました。これ以上のモーツァルトのピアノ協奏曲は今後決して聴けないだろうと思わせるようなレベルの演奏でした。ペライアの実力を思い知らされました。この日演奏されたバッハのピアノ協奏曲第7番も同様に素晴らしい演奏。ただひとつ、残念だったのはペライアのピアノ演奏でアンコールが聴けなかったこと。バッハの曲でも演奏してくれれば、このコンサートの満足感が増大して、もっと、ランキングを上位にしたかもしれません。

庄司紗矢香の弾くドヴォルザークのヴァイオリン協奏曲は余裕たっぷりの演奏でしたが、第2楽章のしみじみとした抒情性にはただただ、うっとりするばかりでした。これまた大満足の庄司紗矢香でした。

クリスチャン・ツィメルマンのピアノは初めて聴きましたが、期待を大きく上回る演奏に驚かされました。CDではバーンスタイン+ウィーン・フィルと共演した演奏を聴いていましたが、さほど、感銘を受けた覚えはありません。しかし、同じブラームスのピアノ協奏曲第1番でこれほどの力演を聴かせてくれるとは嬉しい誤算。ツィメルマンのスケール感のある美しく鳴り響くピアノの音色にすっかり魅了されました。ツィメルマンの弾くブラームスのピアノ協奏曲第2番も聴いてみたいものです。

いよいよ、次回は最終回、大賞も発表します。そして、大晦日でもありますね。


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saraiの音楽総決算2014:オーケストラ・声楽曲編

今年の音楽の総決算もいよいよ最後になりました。そして、ブログも今年の書き納めです。

今回はオーケストラ・声楽曲編です。
このジャンルは今年もたくさんのコンサートを聴きました。インバル+都響の3年にわたるマーラー・ツィクルスも遂に総仕上げ。期待通りの名演でした。
ちなみに昨年の結果はここです。

で、今年は以下をベスト10に選びました。

1位 破滅の予感:ゲルギエフ+マリインスキー歌劇場管弦楽団@サントリーホール 2014.10.14
2位 超名演に感動!マーラー交響曲第9番:インバル&東京都交響楽団@サントリーホール 2014.3.17
3位 最高の感動!マーラー:交響曲第10番 インバル&東京都交響楽団@サントリーホール 2014.7.21
4位 畢生の名演! マーラー交響曲第8番《千人の交響曲》:インバル&東京都交響楽団@横浜みなとみらいホール 2014.3.9
5位 ヤンソンス+バイエルン放送交響楽団@サントリーホール 2014.11.25
6位 豊饒の響きのR・シュトラウス:ウィーン・フィル@サントリーホール 2014.9.25
7位 これぞチャイコフスキー:テミルカーノフ&サンクトペテルブルク・フィル@サントリーホール 2014.1.29
8位 シューマン、ベルク、ストラヴィンスキー、ブラームス:ウィーン放送交響楽団@ウィーン楽友協会 2014.6.13
9位 奇跡の響き_ブルックナー4番(第3稿):バレンボイム+ウィーン・フィル@ウィーン楽友協会 2014.6.14
10位 ザルツブルグ精霊降臨音楽祭:ロッシーニ_スターバト・マーテル@ザルツブルグ祝祭大劇場 2014.6.8

今年の1位を勝ち取ったのは、ゲルギエフの渾身の演奏だったショスタコーヴィチの交響曲第8番。ショスタコーヴィチの戦争交響曲の中核をなす音楽を超えた音楽とも言える作品を真っ正面から捉えた凄い演奏でした。人類の暗い未来を予感させる音楽はあまりに衝撃的な内容を孕んでいました。我々はこの破滅の予感を乗り越えていくことができるでしょうか。

2位はインバル&東京都交響楽団のマーラー・ツィクルスの最後をしめくくるマーラーの交響曲第9番の超名演。こちらを1位にしてもよかったくらいの素晴らしさでした。今、第4楽章のアダージョの演奏を思い出すだけで、涙が出てきそうです。saraiの頭の中を真っ白にしてくれた演奏でした。こういうマーラーはまた、いつ聴けるでしょう。

3位もインバル&東京都交響楽団のマーラー。マーラーの交響曲第10番(デリック・クック補筆 第3稿第2版(一部、第1版))の演奏はインバル&東京都交響楽団のマーラー・ツィクルスの番外編ですが、ある意味、マーラー・ツィクルスのグランド・フィナーレとも言えるものでした。マーラーの交響曲第9番の超名演と同じくらいの感動を覚えた素晴らしい演奏でもありました。

続く4位もインバル&東京都交響楽団のマーラー。マーラーの交響曲第8番《千人の交響曲》です。これも究極のマーラー演奏でした。今年のインバル&東京都交響楽団のマーラーは第8番、第9番、第10番とすべてが生涯忘れ得ぬ超名演ばかりでした。特にこの第8番は滅多に聴く機会がなく、それだけに価値あるものでした。それにこの愛と救済をテーマにした音楽にはとても魂を揺すぶられます。これを聴いたら、死んでもいいとさえ思ってしまうほどです。

5位はヤンソンス+バイエルン放送交響楽団によるR・シュトラウス。交響詩「ドン・ファン」とオペラ『ばらの騎士』組曲です。R・シュトラウスの記念の年にふさわしい素晴らしい演奏でした。なお、このコンサートはツィメルマンの弾いたブラームスのピアノ協奏曲第1番でも、協奏曲部門で5位にランクインしましたから、とてもレベルの高いコンサートでした。

6位はグスターボ・ドゥダメル指揮のウィーン・フィルの来日コンサート。生誕150年のR・シュトラウスの交響詩《ツァラトゥストラはかく語りき》を聴きました。やはり、ウィーン・フィルの演奏するR・シュトラウスは格別でした。その豊饒の響きに身を委ね、至福の時を過ごしました。

7位はテミルカーノフ&サンクトペテルブルク・フィルのコンビによるチャイコフスキーの交響曲第4番。実に聴き応えのあるチャイコフスキーでした。この曲のメランコリックさが実に自然に表現されていて、胸にじわっと沁み込んできました。

8位はウィーン楽友協会でのウィーン放送交響楽団のコンサート。指揮はコルネリウス・マイスター。シューマン、ベルク、ストラヴィンスキー、ブラームスの合唱や独唱などを交えた大変な曲をプログラムに並べ、しかも素晴らしい出来での演奏、ウィーンならではのものでした。特に初めて聴いたシューマンの《ミニヨンのためのレクイエム》は素晴らしい演奏でシューマンの素晴らしさを実感させてくれました。ルノー・カプソンの独奏によるベルクのヴァイオリン協奏曲も見事な演奏でした。楽趣極まれりの感に浸ったコンサートでした。

9位はバレンボイム指揮のウィーン・フィル。ブルックナーの交響曲第4番『ロマンティック』(第3稿)は、楽友協会グローサーザールに流れるウィーン・フィルの響きの柔らかさ・まろやかさが奇跡の響きといっても過言ではない素晴らしさでした。

10位はザルツブルグ精霊降臨音楽祭でのロッシーニのスターバト・マーテル。使い古された表現ではありますが、このコンサートは心が洗われるような清冽な演奏でした。

ジャジャーン!
ここで今年のコンサート・オペラ・リサイタルのなかでの大賞発表です。

今年は初の室内楽からの選定としました。

 ブラームス/ピアノ四重奏曲第1番:フォーレ四重奏団@上大岡ひまわりの郷

フォーレ四重奏団の演奏は、このブラームス以外にも、マーラーとR・シュトラウスのピアノ四重奏曲、そして、翌日のモーツァルトのピアノ四重奏曲、すべてが最高でした。フォーレ四重奏団の演奏に感動しっぱなしでしたから、これは当然の大賞と言えます。

と言いながらも卑怯なのですが、もうひとつ、これも同列の大賞にします。同時受賞です。フォーレ四重奏団が出現しなければ、断トツでの大賞だったはずの素晴らしいオペラです。

 オペラ《チェネレントラ》@ザルツブルグ・モーツァルト劇場 ザルツブルグ精霊降臨音楽祭の初日の公演

このオペラでは、何といっても、チェチーリア・バルトリのあまりの素晴らしさに魅了されっぱなしでした。それにザルツブルグ精霊降臨音楽祭の初日で実に華やかな雰囲気でした。オペラ全体の出来も近年稀に見る素晴らしいものでした。

来年の感動に期待しながら、今年の総括は幕としましょう。

今年も当ブログを読んでいただいたみなさんには感謝です。また、来年も引き続き、ご愛読ください。

saraiはこれから、みなとみらいホールのジルヴェスターコンサートに出かけます。今年も音楽で年越しです。


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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
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08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
公演では小沢、ショルティだけ

ベーム、ケルテス、ショルティ、クーベリック、
クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
、チェリブ

07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

私も18年前にドレスデンでバームクーヘン食べました。マイセンではB級品でもコーヒー茶碗1客日本円で5万円程して庶民には高くて買えなかったですよ。奥様はもしかして◯良女

06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

もろともにあはれとおもへ山ざくら 花よりほか

通りすがりさん

コメント、ありがとうございます。正直、もう2年ほど前のコンサートなので、詳細は覚えておらず、自分の文章を信じるしかないのですが、生演奏とテレビで

05/13 23:47 sarai
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