今年は国内・海外合わせて、厳選したコンサート・オペラに計60回足を運びました。それらについてはすべて当ブログで報告済みですが、今回から4回のシリーズでそれらからベストの音楽会を選んで、今年の音楽の総決算としたいと思います。
今回はピアノ・リサイタルと室内楽編です。
ちなみに昨年の結果はここです。
今年は豊作の年で大激戦でしたが以下をベスト10に選びました。
1位 フォーレ四重奏団@上大岡ひまわりの郷 2014.12.14
2位 フォーレ四重奏団@東京文化会館小ホール 2014.12.15
3位 ユリアンナ・アヴデーエワ・ピアノ・リサイタル@東京オペラシティ 2014.11.14
4位 アンドラーシュ・シフ・ピアノ・リサイタル@紀尾井ホール 2014.3.14
5位 上原彩子ピアノ・リサイタル@サントリーホール 2014.2.2
6位 マリア・ジョアン・ピリス・ピアノ・リサイタル@サントリーホール 2014.3.7
7位 イエルク・デームス 86歳バースデーコンサート@上大岡ひまわりの郷 2014.12.2
8位 庄司紗矢香+メナヘム・プレスラー@サントリーホール 2014.4.10
9位 ペーター・レーゼル・ピアノ・リサイタル@紀尾井ホール 2014.11.8
10位 パスカル・ロジェ・ピアノ・リサイタル@上大岡ひまわりの郷 2014.5.25
フォーレ四重奏団を初めて聴いたのは、今年最大の収穫でした。四重奏団と言っても、弦楽四重奏団ではなく、ピアノ四重奏団。世界でも希有な存在ですが、その演奏に接して、まるで電気に打たれたような衝撃を受けました。マーラーとR・シュトラウスのピアノ四重奏曲は彼らのごく初期の作品でコンサートではあまり取り上げられることがありませんが、実に見事な演奏で魅了されました。そして、ブラームスのピアノ四重奏曲第1番は何と素晴らしかったことか・・・極上のブラームス演奏でした。一気に彼らの魅力の虜となったsaraiでした。
フォーレ四重奏団の追っかけモードにはいったsaraiは翌日のコンサートにも急遽参加。素晴らしいモーツァルトを耳にすることができました。そして、圧巻だったのはアンコールでのR・シュトラウス。生涯でこれほどの感動的な演奏を何回聴いたことがあったでしょう。忘我の境地でした。
ユリアンナ・アヴデーエワのピアノ・リサイタルはショパンコンクールで優勝した彼女のさらなる熟達ぶりを認識させるものでした。彼女のピアニズムは見事なメカニズムだけでなく、高い音楽性を示してくれました。特にリストの演奏が素晴らしく、巡礼の年《ダンテを読んで》は感動を受けました。これからの世界は彼女がピアニストの頂点に君臨することを予感させられました。
アンドラーシュ・シフのバッハを遂に生で聴くことができました。現在、バッハを弾いて、彼以上に弾ける人はほとんどいないでしょう。バルトークも見事な演奏でした。今、夢中で聴いているCDが彼の弾くシューベルトです。バッハ以外でも実にユニークで音楽性に満ちた演奏を聴かせてくれます。今後、彼の来日演奏会は聴き逃せません。
上原彩子のピアノ・リサイタルは2年連続でラフマニノフ・プログラム。こだわりのラフマニノフですが、実に見事な演奏でした。残念ながら、来年は3年連続とはなりませんでした。来年はチャイコフスキーのピアノ版《くるみ割り人形》。久々にCDもリリースするようです。もちろん、聴きに行きます。
マリア・ジョアン・ピリスのピアノ・リサイタル。純粋無垢な永遠の少女が奏でるシューベルトの名曲、即興曲集 D.899と最後のピアノ・ソナタ、第21番 D.960でした。共感を持って聴くことができました。彼女の老境のピアノを聴くまでは死ねないと強く感じさせられました。
イエルク・デームスの86歳バースデーコンサート。ピアニストと指揮者は80歳を過ぎてからが本物の演奏になるというsaraiの信念を実証してくれるようなピアノ・リサイタルでした。彼のショパンの美しい響きにすっかりと魅惑されました。是非ともレコーディングして、人類の遺産として残すべきでしょう。
庄司紗矢香+メナヘム・プレスラーのデュオ・リサイタル。メナヘム・プレスラーはボザール・トリオの中心的存在だったピアニストで室内楽の分野では大御所。御歳90歳です。おじいちゃんと孫のような娘のデュオ・リサイタルでしたが、その紡ぎだされた音楽は室内楽の王道を行くような滋味深いものでした。
ペーター・レーゼルのピアノ・リサイタル。ドイツの正統的な音楽を継承するレーゼルのピアノでドイツ・ロマン派の名曲を堪能しました。ブラームスもよかったのですが、それにも増して、シューマンとシューベルトの素晴らしかったこと! もっと聴いてみたいピアニストです。
パスカル・ロジェのピアノ・リサイタル。素晴らしいフランス音楽が聴けました。最近、苦手だったフランスのピアノ曲もフランス人ピアニストの演奏で素直に聴けるようになってきました。見事な演奏でした。
以上のほかに、次点として、もう2点。
次点 ブラームス:レーゼル&ゲヴァントハウス四重奏団@紀尾井ホール 2014.11.6
次点 ウィハン・カルテット@鶴見サルビアホール 2014.12.3
レーゼル&ゲヴァントハウス四重奏団の演奏したブラームスの室内楽の傑作、ピアノ五重奏曲はレーゼルのピアノが出色の出来で白熱した演奏でした。
ウィハン・カルテットはチェコの演奏家たちで構成されていますが、彼らが演奏した、お国ものであるドヴォルザークの《アメリカ》は絶品でした。
今年はフォーレ四重奏団が聴けたのが一大事件でした。ピアノ・リサイタルも素晴らしい演奏ばかりだったし、この分野は非常に充実して聴けました。
次回はオペラ・オペレッタ編です。
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