fc2ブログ
 
  

トレドはエル・グレコの街:カテドラルの聖具室でエル・グレコを堪能

2014年5月30日金曜日@トレド~グラナダ/6回目

配偶者がチケット購入の列に並んでくれているうちに、トレドのカテドラルSanta Iglesia Catedral Primada de Toledoを外部から子細に眺めることができました。各時代の色々な様式が混ざってはいますが、全体的にはゴシック様式の荘厳な建物です。
配偶者が待つチケット売り場の列に戻ります。ほどなくチケットを購入できました。拝観料は1人8ユーロです。

2015010201.jpg


英語版の案内パンフレットもゲット。

2015010202.jpg


カテドラルの入り口でチケットをチェックしている人に示すと、すんなり通してくれました。入場者の列もありません。
中に入ると、スペインのカテドラルの建築を代表する建物の圧倒的な空間の素晴らしさに魅了されます。

2015010203.jpg


トレドのカテドラルの立派さに感動します。それもその筈、マドリッドに首都が移る前はトレドがスペインの首都。トレドのカテドラルはスペイン・カトリックの総本山として、絶対的な権威を誇っていました。
内陣の祭壇裏の通廊を進んでいきます。

2015010204.jpg


内陣裏には美しい空間が広がります。

2015010205.jpg


上部にある美しい装飾は華麗な色彩に満ちていて、見事な彫刻が配置されています。あっけにとられるような美的な空間です。

2015010206.jpg

内陣裏に回り込むと、内陣の祭壇裏の巨大な大理石の祭壇彫刻に驚愕します。これはトランスパレンテEl Transparenteと呼ばれる彫刻群です。

2015010207.jpg


なかでもトランスパレンテ下部にある聖母子像は一際、印象的です。外部から差す光で明るく浮かび上がっています。

2015010208.jpg


しばし、このトランスパレンテに目を奪われます。これはスペインとジェノヴァの大理石で創られたスペイン・バロックの傑作。1732年のナルシソ・トメによる労作です。

2015010209.jpg


トランスパレンテの脇を見ると、微細な彫刻が続いています。そこまでやるかという感じです。もちろん富の力も大きいですが、芸術家の執念によるパワーが真実の美を生み出すことが実感できます。

2015010210.jpg


内陣裏をぐるっと回って逆サイドの通廊に出ると、そこは聖具室の入口です。カテドラル内部の鑑賞はひとまず後に回しましょう。
このカテドラルの華は何といっても聖具室Sacristiaです。聖具室に足を踏み入れます。聖具室の天井はフレスコ画に覆い尽くされて、美しい空間です。

2015010211.jpg


このカテドラルの聖具室いっぱいに飾られたエル・グレコの19作品は、見ごたえ十分。ひとつの部屋にこんなに多くのエル・グレコの作品が展示されているところはどこにもないでしょう。中でも最高傑作のひとつ《聖衣剥奪》の素晴らしさには息をのみます。1577~79年、エル・グレコ36歳から38歳頃の作品です。この聖具室を飾るために、キリストが磔刑の前に着衣をはがされるというテーマの絵画がエル・グレコに依頼されました。聖具室には法衣などが収められているので、ぴったりのテーマだったんです。画面の中心を覆う聖衣の赤い色は迫力に満ちています。この赤い聖衣こそ、この絵の主役とも言えます。天を見上げるキリストの穏やかな表情に、この絵を見る人々は救われる思いを抱くことでしょう。これから、人類の罪をすべて背負って、キリストは従容として磔刑を受け入れて死に赴くわけですからね。また、画面の下部左にいる青いローブの聖母マリアが悲しそうに十字架を見つめている視線には心が痛みます。この作品はエル・グレコがトレドに渡って、初めて作り上げた傑作です。この後、40年弱に渡って、エル・グレコはトレドで傑作を書き続け始めますが、この作品がその記念すべき第一歩になりました。

2015010212.jpg


聖具室の先には、ティツィアーノの傑作、さらに予想だにしなかったカラヴァッジョの作品までありました。
聖具室でエル・グレコの作品を堪能し、カテドラル内部の鑑賞に戻ります。


↓ saraiの旅を応援してくれるかたはポチっとクリックしてsaraiを元気づけてね

 いいね!



テーマ : ヨーロッパ
ジャンル : 海外情報

人気ランキング投票、よろしくね
ページ移動
プロフィール

sarai

Author:sarai
首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
たまには、旅ブログも書きます。

来訪者カウンター
CalendArchive
最新記事
カテゴリ
指揮者

ソプラノ

ピアニスト

ヴァイオリン

室内楽

演奏団体

リンク
Comment Balloon

 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
公演では小沢、ショルティだけ

ベーム、ケルテス、ショルティ、クーベリック、
クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
、チェリブ

07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

私も18年前にドレスデンでバームクーヘン食べました。マイセンではB級品でもコーヒー茶碗1客日本円で5万円程して庶民には高くて買えなかったですよ。奥様はもしかして◯良女

06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

もろともにあはれとおもへ山ざくら 花よりほか

通りすがりさん

コメント、ありがとうございます。正直、もう2年ほど前のコンサートなので、詳細は覚えておらず、自分の文章を信じるしかないのですが、生演奏とテレビで

05/13 23:47 sarai
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR