アルハンブラ宮殿・アラヤネスの中庭のあまりの美しさにため息をつきながら、ライオン宮に移動します。
ライオン宮Leonesに入ると、いきなり可愛いライオン達のお迎えです。

このライオン宮は王族のプライヴェートな空間です。中庭には、繊細な装飾が凝らされたアーチ型の柱廊が建ち並んでいます。

細い柱がとても印象的です。繊細で女性的にも思えるイスラム建築です。バックの青空がよく似合っています。

よく見ると、柱の上の壁は優美なレース模様になっています。アルハンブラ宮殿を作り上げたサラセン人の知的な感性が輝いているように思えます。

大理石の床には狭い幅の水路が巡らせてあります。アルハンブラ宮殿は石と水で構成された砂漠の民の作品です。

この空間の中央で存在感を示しているのは12頭のライオンです。ここはライオンの中庭Patio de Leonesと呼ばれています。ライオンとその上の水盤は、噴水を構成しています。見事な造形です。

ライオンの噴水と優美な柱廊が配された美しい空間です。先ほどのアラヤネスの中庭と並び立つアルハンブラ宮殿のクライマックスです。じっと見入っている観光客も目立ちます。

近くに寄って観察すると、ライオンは白い大理石に美しい文様が刻み付けられています。大変な芸術作品です。

ライオンの前から、再び柱廊を眺めます。繊細なレース飾りは見れば見るほど驚異的です。芸術的な職人の大変な労苦が結実したものです。

ライオンの中庭に面して、3つの部屋があります。南側にあるのがアベンセラッヘスの間Sala de Abencerrajesです。天井の造形が見事です。珍しい星型になっています。

アーチ型の壁面の緻密な装飾、鍾乳石飾りの天井、隙のない意匠で部屋が作り上げられています。

アーチ型の柱廊は、ライオンの中庭と連続性のあるデザインです。

それにしても見事な天井です。何度も見上げてしまいます。この天井の彫刻も、レースを何枚も重ねたようなデザインになっていることに気が付きました。石の彫刻で柔らかいレースの襞を作り上げています。石を自在に彫刻しているのを見て、ベルニーニの彫刻を思い起こしました。この天井は抽象的な文様で、ベルニーニは具象的な彫刻とまったく違ったものではありますが、芸術的な完成度は同じく素晴らしい高みに達しています。

天井の下部に注目してみましょう。これは凄いですね。素晴らしいデザイン力です。複雑であり、シンプルでもあるという二律背反的なものを統合した奇跡のような芸術です。

一体、どんな造形なのか、把握することも困難ですが、ともかく凄く美しいことだけが頭に染み込んできます。

これは天井の中心。最も高い部分です。シンプルな鍾乳石飾りだと思っていましたが、実に複雑な作りになっています。恐るべき芸術作品です。イスラム芸術の奥深さを思い知らされます。

緻密な細部を観察した後で、もう一度、天井全体を眺めると、もう目が眩むほどの圧倒的な迫力です。あり得ないような芸術に脱帽するのみです。

明るい光が差し込む窓も美しい意匠が凝らされています。

目を転じて床を見ると、水盤があります。水盤には赤いしみのようなものがあります。この部屋は当時、政界の最大勢力だったアベンセラッヘス家の男性36人が対抗勢力の讒言によって、王の命令で皆殺しになったところです。この赤いしみはそのとき飛び散った赤い血のしぶきの跡だと言われていますが、それはどうでしょうね。この手の伝説は日本でもよくありますね。

アベンセラッヘスの間の超絶的な美しさに呆れながら、次の部屋に移動します。
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