アルハンブラ宮殿最高の芸術作品である二姉妹の間に佇んでいます。二姉妹の間は細部に至るまで磨きこまれています。
これは高いところにある窓です。窓にはめ込まれた木製の飾りの見事なデザインにも感銘を受けます。芸術的センスのよさには舌を巻きます。

こちらも同じデザインの窓ですが、光を受けていません。光なしには地味な印象です。この木製の窓飾りは光を通した効果を考え抜いたデザインであることが、この光のない窓で理解できます。

立ち去り難い美しい空間ですが、そろそろ頃合いでしょう。出口に近寄って、最後にもう一度、天井を見上げます。いやはや、本当に素晴らしい。

壁面の文様も気になります。これはコーランの文字を図案化したものが含まれているのでしょうか。アラビア語は全く分からないので、抽象的な美しさだけを感じます。

アーチ型の出口をくぐって、ナスル宮殿の建物を出ます。

二姉妹の間の奥のリンダラハのバルコニーの外には、美しい庭園のリンダラハのパティオPatio de Lindarajaがあります。この庭園を高いところから見下ろしてみます。イスラム文化の特徴である幾何学的な配置が印象的です。すっくと立ち上がる木々の配置も綺麗です。

リンダラハのパティオの片隅には、かって米国人作家ワシントン・アーヴィングWashington Irvingが滞在していた部屋があります。1829年のことです。この頃、アルハンブラ宮殿は18世紀に勃発したスペイン継承戦争Guerra de Sucesión Españolaと続くナポレオン戦争でスペイン国内が乱れた影響を受けて、荒れ果てていました。そのアルハンブラ宮殿での体験をもとに、アーヴィングは《アルハンブラ物語》を1832年に上梓しました。これでアルハンブラ宮殿は、再び世界の注目を浴びることになります。19世紀後半のヨーロッパに起こった大観光ブームもあり、アルハンブラ宮殿は昔日の輝きを取り戻すことになりました。

リンダラハのパティオからは、アルバイシンの美しい眺めが望めました。

リンダラハのパティオには、こんなスペースもあります。ちょっとした空間にもさりげない美が感じられます。

リンダラハのパティオの中を少しぶらぶらします。オレンジの実が豊かさを感じさせます。

樹木の茂った庭園は光と影が交錯する空間です。明るい光を感じながら、優しい木陰に安らぎを見い出せます。サラセン人はオアシスの感覚でこの庭園を設計したのかもしれませんね。

ナスル宮殿の素晴らしい美を堪能し尽しました。建物や壁面の紋様の緻密さは思った以上で、ため息をつくばかりです。有名なアラヤネスの中庭の青い池に映り込む建物の美しい姿、同じく有名な大使の間の見事な装飾、12頭のライオンの噴水が素晴らしいライオンの中庭を囲むアベンセラッヘスの間、二姉妹の間などの装飾は最高のイスラム文明を思わせるもの。イスラム文明の素晴らしさにため息が出ました。
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