期待にたがわぬアンデルシェフスキのモーツァルトでした。今まで聴いてきたモーツァルト演奏とはかなり異なったスタイルの演奏ではありました。saraiが理想とするモーツァルトのピアノ演奏はピュアーな響きの美しいタッチの演奏。ピリスやペライアの美しい響きを範としてきました。アンデルシェフスキのモーツァルトはある意味、異色です。昨年のバルトークの演奏を聴いて、予想はしていました。で、CDでもアンダの演奏で予習しておきました。ずばり、アンダの再来のような演奏でした。響きの美しさは感じませんでしたが、とてもシャープで切れのよいタッチでの演奏。いきいきとした表現に魅せられました。鍵盤を深く押して美しい響きを出すのではなく、軽いタッチでシャープな流れを作り出す感じの演奏です。したがって、音楽の流れが実に自然でノリがいい演奏です。モーツァルトでこういう演奏がありうるんですね。現代のモダーンなモーツァルト表現です。と言っても既に50年前にアンダが同じようなスタイルで演奏していました。アンデルシェフスキの演奏はさらにこのスタイルを現代風にしたものです。特に第3楽章後半の音楽表現の美しさは特筆すべきもので、うっとりと聴き入ってしまいました。
ところで、今日のプログラムは以下です。
指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
ピアノ:ピョートル・アンデルシェフスキ
管弦楽:NHK交響楽団
R・シュトラウス:交響詩『ドン・ファン』
モーツァルト:ピアノ協奏曲第25番
《休憩》
R・シュトラウス:交響詩『英雄の生涯』
R・シュトラウスの2曲ですが、静かにメロディアスな部分の演奏はなかなかよかったのですが、全体にパーヴォ・ヤルヴィの表現はエキセントリック過ぎる感じですし、オーケストラの響きも耽美的な美しさに欠けるという印象です。ファンの方には申し訳けありませんが、saraiとは相性が悪いとしかいいようがありません。モーツァルトのピアノ協奏曲では、少し響きが厚過ぎる感じはありましたが、とても満足できる演奏でした。
ということで、素晴らしいモーツァルトのピアノ協奏曲に満足したコンサートでした。
来週のアンデルシェフスキのピアノ・リサイタルは期待できそうです。
↓ saraiのブログを応援してくれるかたはポチっとクリックしてsaraiを元気づけてね
いいね!
テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽