前回はR・シュトラウスの《英雄の生涯》を中心とした予習について書きましたが、今回はブルックナーの交響曲第9番です。
ブルックナーの交響曲第9番と言えば、2年前に、ハイティンク+ロンドン交響楽団のコンサートに向けてCDを聴き込みました。そのときに聴いたCDは以下の10枚です。
ジュリーニ+ウィーン・フィル
ヨッフム+ミュンヘン・フィル
マタチッチ+チェコ・フィル
チェルビダッケ+ミュンヘン・フィル1995年ライブ
ヴァント+ミュンヘン・フィル、ベルリン・フィル、北ドイツ響_来日盤
ハイティンク+コンセルトヘボウ1965年、コンセルトヘボウ1981年、シカゴ響2009年(2010年?)
その時の記事はこことここです。
そのときの結論としては、ベストがハイティンクのコンセルトヘボウとの新盤(1981年)で、それに次ぐのが同じくハイティンクのコンセルトヘボウとの旧盤(1965年)で、ヴァントの2枚、ミュンヘン・フィルとベルリン・フィルの演奏も素晴らしいという感想でした。チェリビダッケのミュンヘン・フィルとの演奏の美しさも忘れられないものでした。
今回はそのときに聴けなかったCDを聴いてみます。特別にベスト盤のハイティンクのコンセルトヘボウとの新盤(1981年)とチェリビダッケの美し過ぎるミュンヘン・フィル1995年ライブも聴きます。
CDを聴いたのは以下の13の演奏です。
フルトヴェングラー指揮/ベルリン・フィル(1944年10月7日。放送用録音)
ハンス・クナッパーツブッシュ指揮/ベルリン・フィル(1950年1月28日。放送用録音)
カール・シューリヒト指揮/ウィーン・フィル(1961年録音、スタジオ録音)
オイゲン・ヨッフム指揮/ベルリン・フィル(1964年、スタジオ録音)
カルロ・マリア・ジュリーニ指揮/シカゴ交響楽団(1976年、スタジオ録音)
ギュンター・ヴァント指揮/ケルン放送交響楽団(1979年、スタジオ録音)
セルジュ・チェリビダッケ指揮/ミュンヘン・フィル(1981年、ライヴ録音)
ベルナルト・ハイティンク指揮/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(1981年、スタジオ録音)。以前聴いたsaraiのベストCD
ラファエル・クーベリック指揮/バイエルン放送交響楽団 (1985年、ライヴ録音)。クーベリックが手兵だった同オケと最後に共演した録音
セルジュ・チェリビダッケ指揮/ミュンヘン・フィル(1995年、ライヴ録音)。前回も聴いたCD
サイモン・ラトル指揮/ベルリン・フィル(2012年、ライヴ録音)。第4楽章補筆版付き
ベルナルト・ハイティンク指揮/ウィーン・フィル(2012年、ライヴ録音)
ベルナルト・ハイティンク指揮/ロンドン交響楽団(2013年、ライヴ録音)
結論から言えば、1980年代の3つの演奏、チェリビダッケ指揮/ミュンヘン・フィル(1981年)、ハイティンク指揮/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(1981年)、クーベリック指揮/バイエルン放送交響楽団 (1985年)が一番、心に迫った演奏でした。
チェリビダッケは1995年ライヴも極めて美しい演奏ですが、如何せん、遅過ぎる演奏です。1981年ライブは普通の遅さでこれも極上の美しい演奏。これ以上美しい演奏はありえないと思える演奏です。
ハイティンクはsaraiのベストCDですが、実はロンドン交響楽団(2013年)もこれに迫る素晴らしい演奏です。ただ、2013年の来日演奏(みなとみらいホール)の実演には及ばないというのが正直なところ。
クーベリックは曲の冒頭から、その荘厳さに圧倒されました。全曲、壮大かつ荘厳な演奏です。クーベリックのブルックナーがこんなに素晴らしいとは今まで気が付きませんでした。ハイティンク同様、マーラー指揮者にして、ブルックナー指揮者でもありますね。
ほかには、フルトヴェングラーの熱い演奏も素晴らしかったし、シューリヒトは世評の通り、大変素晴らしい演奏でもう一度聴いてみたい演奏です。ジュリーニの演奏はシカゴ響の素晴らしい響きも合わせて、その音楽的な深さには感動しました。ヴァントのブルックナーはやはり素晴らしいのですが、ケルン放送響のアンサンブルが若干弱いのが残念です。ラトルの演奏で初めて第4楽章補筆版付きを聴いてみましたが、フーン・・・って感じ。一度は聴いてみる価値はありました。
あと、ハイティンクの非正規盤を2枚聴く予定でしたが、CDの取り寄せが間に合わなかったので、後で聴いてみましょう。
*聴きました。コンサート前ぎりぎりに入手できて、慌てて聴きました。1981年のコンセルトヘボウとの演奏以降はほぼ似たような傾向の演奏です。2010年のバイエルン放送交響楽団と2013年のロンドン交響楽団が特に優れているように感じました。2012年のウィーン・フィルは期待ほどではないように感じましたが、もう一度聴き直さないと、ちゃんと評価できません。ハイティンクの演奏は実に自然な演奏なので、特別の緊張感を持って聴かないとその本質が聴き取れません。その点、チェリビダッケはすっと耳に入ってくるので、楽に音楽を聴きとれます。ただ、あまりに長いので疲れ果てますけどね。
ベルナルト・ハイティンク指揮/ベルリン・フィル(1989年、ライヴ録音)
ベルナルト・ハイティンク指揮/バイエルン放送交響楽団(2010年、ライヴ録音)
これでブルックナーの交響曲第9番の名盤はほぼ聴き尽したかなという感じです。
続いて、ワーグナーの《ジークフリート牧歌》もまとめて聴いてみました。聴いたのは以下の11枚のCD。
フルトヴェングラー指揮/ウィーン・フィル(1949年。ライヴ録音)
トスカニーニ指揮/NBC交響楽団(1952年。ライヴ録音)
カール・シューリヒト指揮/シュトゥットガルト放送響(1955年。ライヴ録音)
ハンス・クナッパーツブッシュ指揮/ミュンヘン・フィル(1962年。スタジオ録音)
オットー・クレンペラー指揮/フィルハーモニア管弦楽団 (1961年、スタジオ録音)
オットー・クレンペラー指揮/ウィーン・フィル(1968年、ライヴ録音)
ベルナルト・ハイティンク指揮/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(1974年、スタジオ録音)
ハインツ・レーグナー指揮/ベルリン放送響(1978年、スタジオ録音)
ラファエル・クーベリック指揮/バイエルン放送交響楽団 (1979年、スタジオ録音)
カラヤン指揮/ウィーン・フィル(1987年、ザルツブルク音楽祭ライヴ録音)。カラヤンが亡くなる2年前の晩年の演奏
セルジュ・チェリビダッケ指揮/ミュンヘン・フィル(1993年、ライヴ録音)。
オリジナル編成に近いと思われるクレンペラーの2つの録音と大きな編成でのクナッパーツブッシュの録音が素晴らしいです。
クレンペラーはオリジナル編成(15人の1管編成)に近い編成での演奏ですが、いずれも感銘深い演奏です。より自然で無理のない演奏ではフィルハーモニア管弦楽団、響きの美しさではウィーン・フィルですが、聴きやすかったのはフィルハーモニア管弦楽団の演奏でした。
普通の編成のオーケストラ演奏ではクナッパーツブッシュが感銘深い演奏です。文句なしで何度も聴きたい演奏と言えます。
フルトヴェングラー、シューリヒト、クーベリック、チェリビダッケも素晴らしい演奏でした。カラヤンも美しくてよいのですが、作り物めいた演奏は少し抵抗があります。
準備は終えて、あとはティーレマンの演奏を待つだけです。楽しみでワクワクです。
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