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若きヴァイオリンの逸材・・・日下紗矢子&ペーター・ブルンズ デュオ・リサイタル@横浜市磯子区民文化センター杉田劇場 2015.7.25

最近、名前を見ること多いヴァイオリニストの日下紗矢子の演奏を一度、聴いてみようと思って、チェロとのデュオリサイタルに足を運んでみました。聴いてみた結果、その卓抜した演奏にすっかり魅了されました。まず、テクニックがしっかりしていること、これは当たり前かも。芸大を首席で卒業し、読売日本交響楽団のコンミスをやっているほどですからね。それに安定した演奏・・・音楽を十分に把握していることをうかがわせます。そして、最大の美点は超高音の響きの美しさです。ヴァイオリンはやはり、これが一番のポイントですね。スローなパートで美しい高音を響かされると、うっとりとしてしまいます。

最初のラヴェルはそこそこの演奏。ピアノとのソナタと違って、同じ弦楽器のチェロとのソナタなので、同質性の高い弦の響きが美しいアンサンブルになります。綺麗な演奏なのですが、もう一つ、インパクトが感じられませんでした。

次のシュルホフの二重奏曲は素晴らしい演奏。第1楽章からぐっと惹き付けられて、集中して聴いてしまいました。シュルホフの作品を聴くのは初めてです。シュルホフは20世紀前半に活躍したチェコの作曲家。ユダヤ人で左翼的な思想を持っていたために弾圧の対象になり、ソ連に脱出する直前にナチスに囚われて、強制収容所で結核で亡くなりました。そのため、彼の作品はずっと埋もれていて、演奏されるようになったのは最近のことだそうです。このシュルホフの作品はちょっとノントナール風にも聴こえますが、しっかりとトナール音楽です。当時は前衛的だったと思われる響きですが、日下紗矢子は見事に表現します。特にゆったりした部分を実に美しく演奏します。よいものを聴かせてもらいました。シュルホフの曲もよく、日下紗矢子もよしという演奏でした。今日のリサイタルで一番の聴きものでした。

休憩後、コダーイの二重奏曲です。この曲は演奏者がヴィルトオーソ的に弾きまくるような曲の作りになっています。ヴァイオリンもチェロも思う存分、自在な演奏で弾きまくります。演奏者も気持ちよく演奏しているようです。こちらも十分に楽しませてもらいました。日下紗矢子は素晴らしいテクニックで衒いのない演奏。まあ、芸術性を云々するような曲ではありませんが、素晴らしい演奏に耳を楽しませてもらいました。

今日のプログラムは以下です。

  ヴァイオリン:日下紗矢子
  ピアノ:ペーター・ブルンズ

  ラヴェル:ヴァイオリンとチェロのためのソナタ
  シュルホフ:ヴァイオリンとチェロのための二重奏曲 

   《休憩》

コダーイ:二重奏曲Op.7
    
   《アンコール》
     グリエール:ヴァイオリンとチェロのための8つの小品 Op.39~第4曲《カンツォネッタ》

庄司紗矢香の輝くような個性とはまた違ったタイプですが、室内楽では安定した演奏が素晴らしく、今後、とても期待できそうです。ちなみに庄司紗矢香よりも4歳年上ですが、パガニーニ国際コンクールで庄司紗矢香が1999年に史上最年少で優勝した翌年の2000年に惜しくも第2位になり、キャリア的には遅い登場となりました。ヒラリー・ハーンとは同い年。ユトレヒトで聴いたジャニーヌ・ヤンセンは1歳上。国内外、この世代のヴァイオリニストは才能がひしめいています。saraiはまた、楽しみな逸材を見つけた感じで嬉しいリサイタルになりました。


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Author:sarai
首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
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 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
公演では小沢、ショルティだけ

ベーム、ケルテス、ショルティ、クーベリック、
クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
、チェリブ

07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

私も18年前にドレスデンでバームクーヘン食べました。マイセンではB級品でもコーヒー茶碗1客日本円で5万円程して庶民には高くて買えなかったですよ。奥様はもしかして◯良女

06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

もろともにあはれとおもへ山ざくら 花よりほか

通りすがりさん

コメント、ありがとうございます。正直、もう2年ほど前のコンサートなので、詳細は覚えておらず、自分の文章を信じるしかないのですが、生演奏とテレビで

05/13 23:47 sarai
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