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カラヴァッジョを巡る旅・・・再アップをすべて完了

《カラヴァッジョを巡る旅》の再アップ中を完了しました。バロックの巨匠カラヴァッジョの足跡をたどって、イタリアを縦断し、シチリア島、マルタ島に至り、その後、ウィーンで音楽三昧の旅をもう一度、お楽しみくださいね。2011年10月の旅でした。

今日は以下をアップしました。クリックしてご覧ください。既にお読みの方も再度、新編集の記事をご覧くださいね。

 22~25日目:ウィーンで音楽三昧 (9)
 おまけ (3)

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《カラヴァッジョを巡る旅》の全体は以下をクリックしてお読みください。(左側のメニューにあるカテゴリと同じです。)

-カラヴァッジョを巡る旅(南イタリア・マルタ島の旅)
├- 企画・準備編 (7)
├- 旅の開始~ミラノへGO (3)
├- 2日目:ミラノで芸術三昧 (7)
├- 3日目:ミラノからローマへ (2)
├- 4日目:ローマでカラヴァッジョ巡り(美術館) (7)
├- 5日目:ローマでカラヴァッジョ巡り(教会) (7)
├- 6日目-1:アッピア街道を往く (6)
├- 6日目-2:ナポリでカラヴァッジョ (3)
├- 7日目:ナポリは天国と地獄 (6)
├- 8日目-1:カプリ島で青の洞窟へ (7)
├- 8日目-2:アマルフィでリゾートライフ (5)
├- 9日目:半島を南下し、シチリアへ (5)
├- 10日目:シチリア島でもカラヴァッジョ (6)
├- 11日目:シラクーサの休日 (5)
├- 12日目:シラクーサからマルタ島へ (7)
├- 13日目-1:マルタ北部周遊 (3)
├- 13日目-2:マルタでカラヴァッジョ (5)
├- 14日目:マルタの休日 (6)
├- 15日目:マルタからの試練の旅 (3)
├- 16日目:チェスキー・クルムロフの旅 (7)
├- 17日目:ボヘミアからウィーンへ (3)
├- 18日目:ウィーンでホイリゲ (1)
├- 19日目-1:リンツでの1日(聖フローリアン修道院) (5)
├- 19日目-2:リンツでの1日(ペストリングベルク鉄道) (4)
├- 20~21日目:ウィーンで音楽三昧 (4)
├- 22~25日目:ウィーンで音楽三昧 (9)
└- おまけ (3)

昨年10月に突然ブログサイトがクローズしたために引っ越しを余儀なくされました。以前の旅の記事は手作業で再アップしなければならず、現在、集中して作業しています。

なお、再アップにあたっては以下のように記事の見直しをはかっています。

 1.基本として、旅の1日分をまとめて読むことができるように再編成します。ストラスブール散策のように2日にまたがる場合には、2日分をまとめます。
   左側のメニューにあるカテゴリで読みたい日をクリックして頂ければ、その日の分がまとめて読めます。

 2.以前の記事には地図がなかったので、散策ルートが分かりづらくご不便をおかけしました。再編成にあたり、地図を新規挿入します。

 3.記事を見直して、細かい修正を行います。



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テーマ : ヨーロッパ
ジャンル : 海外情報

 

旅はひとやすみ・・・音楽シーズンに突入

《欧州鉄道周遊の旅》の再アップ中ですが、今日から10日間、秋の音楽シーズンに突入。怒涛の10日間連続、音楽三昧になります。旅の記事を愛読されているかたもしばらくは音楽記事にお付き合いくださいね。

前半3日間は歌姫とピアノ。

 ・フォン・オッター with ティリング
   スウェーデンを代表するメゾソプラノ歌手フォン・オッターの久々の来日公演です。saraiの大好きなメゾソプラノ歌手3人のうちの一人なんです。(残りはガランチャとバルトリ)
 ・バッハの農民カンタータ(バッハ・コレギウム・ジャパンとエルトマン)
   6月にアムステルダムでモイツァ・エルトマンのルルを聴き、そのときのサイン会で彼女からお誘いを受けたので、かけつけなくてはね。
 ・アンリ・バルダ・ピアノ・リサイタル
   隠れたピアノの名人のバルダの久しぶりの来日です。前回は体調が悪く、キャンセルになりましたから、今回こそは楽しみです。

中間4日間は巨匠ハイティンク指揮のロンドン交響楽団と都響
 
 ・ハイティンク指揮のロンドン交響楽団の3公演
   86歳の老巨匠ハイティンクの来日公演です。もう、これが最後かもしれません。帯同するピアニストも最高のピアニスト、ペライア。超豪華なコンサートです。
   曲目もハイティンクの得意とする曲目とくれば、期待するなというほうが無理。
    マーラー:交響曲第4番、ブルックナー:交響曲第7番、ブラームス:交響曲第1番
   ピアノ協奏曲は名曲です。
    モーツァルト:ピアノ協奏曲第24番、ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番

 ・都響の定期演奏会
   ピアノのピーター・ゼルキンが登場して、ブラームスのピアノ協奏曲第2番。これも楽しみ。

後半3日間はハーゲン・カルテットのモーツァルト・ツィクルス

 本当はこのツィクルスは4日間でチケットも買ったのですが、上記のハイティンクのコンサートと重なったため、泣く泣く、初日を聴くのは断念。
   ハイドン・セット3曲、プロシャ王セット3曲、ホフマイスター、クラリネット五重奏曲(モーツァルトとブラームス、クラリネットはヴィトマン)

この後、また、3日後には、ウィーン・フィルの来日公演を聴きます。

ところで、再アップ中の旅記事には、以前のコメントも復活しました。記事の最後尾に付けましたので、ご覧下さい。


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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

 

アンネ・ソフィー・フォン・オッター・リサイタル@東京オペラシティホール 2015.9.25

美しい歌声に酔いしれた一夜でした。

スウェーデンを代表するメゾソプラノ歌手フォン・オッターの久々の来日公演です。9年ぶりの来日だそうです。saraiの大好きなメゾソプラノ歌手は皆、ほとんど日本に来ませんね。ガランチャは一度も来ていない筈だし、バルトリも来たことがあるのかしら。ということで、今日は絶対に聴き逃せません。満を持して、出かけました。

考えてみれば、日本でフォン・オッターを聴いたのは、カルロス・クライバーの《薔薇の騎士》が最初で最後だったような気がします。あれは1994年でしたから、21年も前のことです。海外では、昨年もマドリッド・レアル劇場での《ホフマン物語》で彼女の歌うニクラウスを聴きました。そのときの記事はここです。

今日は前半では、シューベルトの「夕映えの中で」が出色の出来で、フォン・オッターらしい心情あふれる歌唱に心が熱くなりました。

後半は何と言っても、R・シュトラウスの素晴らしさがすべてでした。これは一緒に歌ったティリングも素晴らしい歌唱。やはり、R・シュトラウスはいいですね。特に最初に歌った「憩え、わが魂よ」には感動しました。やはり、フォン・オッターはマーラー、コルンゴルトなど後期ロマン派が素晴らしいことを再確認しました。

アンコールがさらに素晴らしかった! すべて、デュエットですが、昨年もマドリッドで聴いたホフマンの舟歌の素晴らしい歌声。ヘンゼルとグレーテルの二重唱で二人が声を抑えて歌ったときの見事な響き。ABBAのメンバーだったビヨルンとベニーによる2作目のミュージカル《クリスティーナ》の美しいメロディーも聴きものでした。フォン・オッターとティリングは同じスウェーデン出身の上、声質もよく合っており、二人のデュエット・アルバムも期待できそうですね。そういえば、ABBAもスウェーデンのグループでした。

今日のプログラムは以下です。

  メゾソプラノ:アンネ・ソフィー・フォン・オッター
  ソプラノ:カミラ・ティリング
  ピアノ:ジュリアス・ドレイク

  メンデルスゾーン:「挨拶」Op. 63-3 (デュエット)
  リンドブラード:「夏の日」(ティリング)
          「警告」(フォン・オッター)
          「少女の朝の瞑想」(デュエット)
  グリーク:「6つの歌」Op.48 (ティリング)
         1. 『挨拶』
         2. 『いつの日か、わが想いよ』
         3. 『世のならい』
         4. 『秘密を守るナイチンゲール』
         5. 『薔薇の季節に』
         6. 『夢』
  シューベルト:「ます」(フォン・オッター)
         「夕映えの中で」(フォン・オッター)
         「シルヴィアに」(フォン・オッター)
         「若い尼」(フォン・オッター)
  メンデルスゾーン:「渡り鳥の別れの歌」Op.63-2 (デュエット)
           「すずらんと花々」Op.63-6 (デュエット) 

   《休憩》

  マイアベーア:「シシリエンヌ」(ティリング)
         「来たれ、愛する人よ」(フォン・オッター)
         「美しい漁師の娘」(フォン・オッター)
  マスネ:「喜び!」(デュエット)
  フォーレ:「黄金の涙」(デュエット)
  R・シュトラウス:「憩え、わが魂よ」(フォン・ オッター)
           「黄昏の夢」 (ティリング)
           「どうやって私たちは秘密にしておけるでしょう」(フォン・オッター)
           「密やかな誘い」 (ティリング)
           「明日!」(フォン・オッター)
           「チェチーリエ」 (ティリング)

   《アンコール》

  オッフェンバッハ:《ホフマン物語》より《舟歌》 (デュエット)
  ブラームス:4つの二重唱曲 Op. 61より第1曲《姉妹Die Schwestern》(デュエット)
  フンパーディンク:《ヘンゼルとグレーテル》より第2幕 第2場 ヘンゼルとグレーテルの二重唱《夜になってわたしが眠りにつくとAbends, will ich schlafen gehn》(デュエット)
  ビヨルン・ウルヴァース&ベニー・アンダーソン(ABBAのメンバー):ミュージカル《クリスティーナKristina fran Duvemala》より、《The Wonders》(デュエット)

最後にこういうリサイタルを企画してくれたAspenに感謝を捧げます。(saraiはAspenの回し者ではありませんよ。念の為(笑い))



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最高!エルトマンのバッハ、農民カンタータ by バッハ・コレギウム・ジャパン@東京オペラシティホール 2015.9.26

昨日に続き、今日も美しい歌声に酔いしれました。同じ東京オペラシティホールに響く歌声です。昨日はフォン・オッター、今日はエルトマン。何て贅沢なんでしょう。

今年6月にアムステルダムでモイツァ・エルトマンのルルを聴き、そのときのサイン会で彼女からお誘いを受けたので、かけつけた次第です。エルトマンのバッハは期待以上の素晴らしさでした。もっと若い頃のエルトマン(今でも十分に若いのですが)はボーイソプラノ的なスープレットだったと記憶していますが、今はそのときのピュアーな高域の声の響きに加えて、中低域のふくよかな響きを持つようになったという印象です。彼女が歌ったのは、《悲しみを知らぬ人》 BWV 209と農民カンタータ《おれらの今度の殿様は》BWV 212の2つですが、どちらも素晴らしい歌唱にうっとりしてしまいました。

予習したのは、アメリングとコレギウム・アウレウム合奏団が録音した最高の1枚。こんな素晴らしいCDを聴いてしまうと、どんなものを聴いても不満足に思えるのではと危惧しましたが、これは杞憂でした。saraiの大好きなアメリングを凌駕するようなエルトマンの見事な歌唱でした。

最初に歌ったBWV 209がともかく素晴らしく、その温かみのある歌声に魅了されました。フラウト・トラヴェルソの菅きよみの独奏も絶賛ものです。同じ旋律を歌とフラウト・トラヴェルソが繰り返し、それぞれの素晴らしさを味わい尽くしました。

休憩後はこの日のメインの農民カンタータBWV 212です。これはカンタータですが、今日はオペラ仕立ての演奏です。舞台装置こそありませんが、衣装も着けて、演技入り。さすがにオペラ歌手でもあるエルトマンはコケティッシュな演技で魅了してくれます。同性である配偶者が「可愛いね!」って感嘆するほどの見事さです。それ以上に透き通るような美しい高音の歌声の響きにひたすらうっとりします。とりわけ、第14曲のアリア《クラインツォヒアー村はやさしいよい村》は絶品中の絶品。舞台に衣装を着けて登場した菅きよみのフラウト・トラヴェルソとエルトマンの美しい歌声の掛け合いは素晴らし過ぎて、感極まります。バッハの世俗カンタータって、こんなに素晴らしいものとは・・・。高揚感でうるうる状態が続くsaraiでした。そのまま、お洒落なエンディングまですっかり楽しみました。

大満足したバッハの素晴らしい演奏でした。エルトマンが素晴らしかったのはもちろん、フラウト・トラヴェルソの菅きよみも名人芸。鈴木雅明率いるバッハ・コレギウム・ジャパンの演奏が素晴らしかったのはいつものこと。やっぱり、こういう演奏を聴くと、天才バッハの素晴らしさに感銘を受けますね。

今日のプログラムは以下です。

  ソプラノ:モイツァ・エルトマン
  バス:ドミニク・ヴェルナー
  オルガン:鈴木優人
  指揮:鈴木雅明
  管弦楽:バッハ・コレギウム・ジャパン
  演出(農民カンタータ):佐藤美晴

  J. S. バッハ

  オルガン協奏曲 イ短調 BWV 593
  《裏切り者なる愛よ》 BWV 203
  《悲しみを知らぬ人》 BWV 209

   《休憩》

  農民カンタータ《おれらの今度の殿様は》BWV 212 ※演出付

コンサート終了後、急遽、サイン会が行われましたが、すっかり音楽に感銘を受けたので、今日はパスしましょう。それにアムステルダムでエルトマンのサインをもらい、2ショットの写真を撮らせてもらったばかりだしね。


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       バッハ・コレギウム・ジャパン,  

パーフェクトなラヴェル、アンリ・バルダ・ピアノ・リサイタル@上大岡ひまわりの郷 2015.9.27

昨日までは歌姫の歌声に酔いしれました。一昨日はフォン・オッター、昨日はエルトマン。
今日からはピアノの響きを楽しみます。今日はアンリ・バルダ。明日からはマレイ・ペライア(ハイティンク指揮ロンドン交響楽団と3回)、ピーター・ゼルキン(都響と)といずれも名人揃いです。

アンリ・バルダは3年前に初めて、その演奏に接し、驚愕した思い出があります。それまでは名前すら知らないピアニストでした。そのときの記事はここです。

生まれて初めて、ラヴェルのピアノ曲が心から楽しめた演奏だったんです。で、今日のラヴェルですが、まさにそのときと同じく、パーフェクトな演奏で《夜のガスパール》が楽しめました。彼らしく、強靭なエネルギーに満ちた演奏で、猛烈に早いパッセージでもミスらしいミスはない驚異的な演奏です。もうこれは神業としか思えません。これだけの演奏ができるピアニストは世界にも何人もいません。ホロヴィッツ、リヒテルにも匹敵します。あっ、彼らはもうこの世にはいませんね。ともあれ、凄まじい演奏に3年の時の経過を忘れてしまいました。

ところで、このラヴェルは休憩後の演奏。休憩前はブラームスの名曲3曲だったんです。今、saraiが一番はまっているブラームスです。特に最初に演奏された《3つの間奏曲 Op.117》は当初、プログラムになく、当日サプライズで追加された演目。ひそかにsaraiが演奏を望んでいたものでした(他の会場ではプログラムにありました)。期待するなというほうが無理な話。バルダのブラームスは初聴きですが、きっとこの名人ならば、凄い演奏を聴かせてくれると思っていました。この予想は半ば当たり、半ば外れました。聴いたことのないようなブラームスでした。物凄いエネルギーに満ちたブラームスだったんです。まあ、初期、中期のブラームスならば、これもよかったかもしれません。しかし、Op.117は晩年のブラームス。壮年期の創作力はなくなったものの短いピアノの小品に人生の黄昏を迎えたブラームスの心情を込めた名作のうちのひとつ。saraiの愛して止まぬOp.116からOp.119までの4作品の中でも大好きな作品です。これは枯れたロマンティックな演奏で泣かせてほしかったんです。人生の頂点にあるかのようなパワフルな演奏は何としても避けてほしかったんです。次に演奏した《2つのラプソディ Op.79》はこれでもよかったんですが、これもやり過ぎの感。まあ、その次の《6つの小品 Op.118》の第2曲以降はかなり抑えた表現で気持ちよく聴けましたが、最初からブラームスは抑えて弾いてほしかったというのが本音です。バルダは本当に実力のあるピアニスト。どうとでも聴きこなせる人ですが、ここはブラームスに合わせた演奏が欲しかったところ。残念です。

ショパンはこれまたエネルギーに満ちた演奏ですが、繊細な味も感じられて、よかったのではないでしょうか。いわゆるショパンらしさとはかけ離れていますが、これがバルダのショパンでしょう。ワルツもマズルカも区別のないような演奏ではありますが、見事な演奏ではあります。それが一番に感じられたのが、アンコールの最後に弾いた《夜想曲 第15番》。ホロヴィッツの名演奏を彷彿とさせるような強靭でパーフェクトな素晴らしい演奏でした。

今日のプログラムは以下です。

  ピアノ:アンリ・バルダ

  ブラームス:3つの間奏曲(3 Intermezzi) Op.117
         2つのラプソディ(2 Rhapsodien) Op.79
         6つの小品(6 Stücke) Op.118

   《休憩》

  ラヴェル:夜のガスパール
  ショパン:即興曲 第1番 Op.29
        ワルツ 第12番 Op.70-2
        マズルカ 第34番 Op.56-2 / 第38番 Op.59-3
              第26番 Op.41-1 / 第40番 Op.63-2
              第41番 Op.63-3
        ワルツ 第8番 Op.64-3 / 第5番 Op.42

   《アンコール》

  ショパン:夜想曲 第16番 Op.55-2 / 第15番 Op.55-1


トータルには期待通りの演奏だったと言えます。満足のリサイタルでした。

なお、このコンサートシリーズを主催している横浜楽友会にホームページができたとのことです。アドレスはここです。


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人生最高のマーラー、ハイティンク&ペライア&ロンドン交響楽団@サントリーホール 2015.9.28

今日からいよいよオーケストラ・シリーズ。待ちに待ったハイティンク指揮ロンドン交響楽団で、今日はまず、期待のマーラーが聴けます。ペライアのピアノでモーツァルトのピアノ協奏曲も聴けるという贅沢さ。このシリーズはこの後、ミューザ川崎でのブルックナーの交響曲第7番、NHKホールでのブラームスの交響曲第1番と続いていきます。

今日のマーラーは奇跡のような演奏・・・saraiの人生で最高のマーラーでした。このハイティンクのマーラーを聴いて、もう死んでも悔いがないとさえ思いました。そういえば、ハイティンクのブルックナーの交響曲第8番を聴いて同じ思いに駆られたことを思い出します。そのときの記事はここです。マーラーもブルックナーも最高の演奏を聴かせてくれたのはやはりハイティンクでした。凄い指揮者です。86歳にして、この音楽、というか、86歳だから、この音楽だと言うべきでしょうか。しかし、ハイティンクは老境に達して枯れてしまったのでは決してありません。通常の意味での80歳を超えた巨匠ではないと思います。ハイティンクは常に平常心で今も進化し続けているように感じます。彼は死ぬまで音楽に奉仕する一人の人間として精進していくのでしょう。

ハイティンクのマーラーを生で初めて聴くのですから、予習には万全を期しました。予習したCDは以下です。ハイティンクで聴けるCDはほぼ聴き尽した感があります。

1. 1967.12. コンセルトヘボウ管、エリー・アメリンク(S) (マーラー全集から)
2. 1982.12.(Live) コンセルトヘボウ管、マリア・ユーイング(S) (クリスマス・マチネーのCD/DVD)
3. 1983.10. コンセルトヘボウ管、ロバータ・アレクサンダー(S)
4. 1991.12.(Live) ベルリン・フィル、シルヴィア・マクネマー(S) (DVD)
5. 1992.6. ベルリン・フィル、シルヴィア・マクネマー(S)
6. 2002.10.11.(Live) コンセルトヘボウ管、バルバラ・フリットリ(S)
7. 2005.11.4.(Live) バイエルン放送交響楽団、ユリアーネ・バンゼ(S)
8. 2006.11.(Live) コンセルトヘボウ管、クリスティーネ・シェーファー(S)
9. 2013.8.17.(Live) ボストン交響楽団、カミラ・ティリング(S) (タングルウッド)

この録音の量は異常な多さです。ハイティンクがいかにこのマーラーの交響曲第4番に愛情を注ぎこんできたかが分かります。これ以外には、録音の量で第2番《復活》と第9番が続きます。オーケストラでは、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団が中心を占めているのは当然として、ウィーン・フィルとシカゴ交響楽団の録音がないのが残念です。2.の1982年の演奏でハイティンクは演奏スタイルを確立した感じですが、それ以降もじわじわと演奏の細部を磨き上げていっているのが分かります。特に2000年代にはいってからの演奏レベルの高さには驚かされます。独唱ソプラノでは、シルヴィア・マクネマーが際立って、素晴らしいです。この9枚の中でどれかを選ぶとしたら、3.の1883年のロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団か、9.の2013年のボストン交響楽団がわずかに頭を出していると思います。しかし、どれも水準以上の演奏です。

いかにCDで予習してみても生で聴くマーラーは想像だにできないものでした。
マーラーの交響曲第4番の第1楽章は静かに普通に始まります。もちろん、ハイティンク得意の第4番ですから、細部まで神経の行き届いたパーフェクトな演奏です。でも、saraiも平常心で聴けるような演奏です。しかし、1音1音を大事にするような音楽が続き、次第に心に沁み渡っていきます。音楽も熱を帯びてきて、第1楽章も半ば近くなると、マーラーの美しい自然を謳うフレーズに心が崩壊していきます。ロンドン交響楽団のアンサンブルも素晴らしく、世界のベスト5のオーケストラを凌駕する響きを聴かせてくれます。ハイティンクが振るとオーケストラもベストパフォーマンスで音楽を奏でてくれます。言葉では言い尽くせない素晴らしい音楽が続きます。
第2楽章も見事な演奏ですが、ここではsaraiも再び平常心を取り戻し、落ち着いて音楽を聴けます。素晴らしい響きは続きます。
そして、第3楽章が始まります。第1音を聴いただけでsaraiの心は崩れ去り、もう、夢の中で音楽を聴いているようです。なんと美しい天上の響きでしょう。普通のテンポでの演奏に思えますが、あまりに音楽的な内容がぎっしりとつまっているためにスローモーションで音楽を聴いている錯覚に陥ります。低弦から始まった音楽が高弦に引き継がれ、管楽器も加わり、高揚していきます。細部を磨き上げられた音楽はどこまでもどこまでも心の高揚感を高め続けます。そして、終盤のクライマックス・・・そこで高まった緊張感は最後のカタルシスに向かっていきます。人生の終わりを思わせるように静かに音楽は閉じます。
すぐに第4楽章が始まります。これは人生のエピローグでもあるかのような音楽。若くて美しいソプラノ歌手アンナ・ルチア・リヒターのちょっと鼻にかかったようなピュアーな歌声を楽しみます。次第に彼女の見事な歌唱に引き込まれていきます。表情豊かに歌う彼女の美声が心に迫ってきます。終盤の歌唱で見事に心を捉えられてしまいました。感動しました。そして、オーケストラの後奏が静かに閉じていきます。ハープの響きが消え去り、ハイティンクの手がそっと降ろされます。何と言う感動でしょう。涙が滲んでいます。

一瞬の静寂に包まれました。この静寂を作り出してくれた聴衆の皆さんに感謝です。素晴らしいマーラーでした。今後、こんな素晴らしいマーラーを聴くことがあるでしょうか。

今日のプログラムは以下です。

  指揮:ベルナルト・ハイティンク
  ピアノ:マレイ・ペライア
  ソプラノ:アンナ・ルチア・リヒター
  管弦楽:ロンドン交響楽団


  モーツァルト: ピアノ協奏曲第24番 ハ短調 K.491

   《休憩》

  マーラー: 交響曲第4番 ト長調

あまりにマーラーが素晴らし過ぎて、前半のモーツァルトのピアノ協奏曲に触れませんでした。ペライアのピアノは最高でした。期待通りの美しい響きでモーツァルトの音楽を味わわせてくれました。普通のコンサートであれば、これがメインでもおかしくないような素晴らしい演奏でした。モーツァルトのピアノはこういう粒立ちのよいタッチで聴くと最高ですね。終始、うっとりとペライアのピアノの響きに心を奪われていました。特に音階を切れ味鋭く、かつ、美しい響きで弾くところの素晴らしさと言ったら、これ以上の演奏はないほどでした。モーツァルトのピアノ協奏曲は前回聴いたピリスも素晴らしかったし、ペライアも最高。ピリスとペライアのモーツァルトは何ものにも代えがたい素晴らしさであることを再認識しました。

まだ、ハイティンクのブルックナーとブラームスが聴けると思うと大変幸せです。



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       ハイティンク,        ペライア,  

シェーンベルクと武満、ナッセン&東京都交響楽団@サントリーホール 2015.9.29

オーケストラ・シリーズの2日目は都響の定期演奏会。昨日に続き、サントリーホールです。なんだか、昨日の素晴らしかったハイティンクのマーラーの余韻も残っているような気もします。それに偶然ですが、今日も昨日とまったく同じ席なんです。もっとも今日は昨日と違って隣には配偶者がいますけどね。

イギリスの作曲家オリヴァー・ナッセンの指揮でモダン、現代の作品が取り上げられます。

まずは指揮者自身の作品です。ストラヴィンスキーの《花火》に触発されて生まれた作品だそうですが、弾けるようなフレッシュさが印象的な作品で都響の機能性が最大限、活かされた演奏でした。

次はシェーンベルクの《映画の一場面への伴奏音楽》。架空の映画音楽です。厳密な12音技法が適用されたノントナールの作品。不気味な雰囲気が醸し出された作品を都響がシャープに演奏。

次は武満 徹の《精霊の庭》。武満らしい幻想的な音響空間が見事に創り上げられました。12音の音列が様々な楽器で引き継ぎながら、変容していきます。そこには夢幻的なイメージが投影されていきます。都響の高いアンサンブル力が最高に発揮されて、陶然とした雰囲気が展開されて、うっとりとしてしまいました。さすがにこの作品を初演した都響ならではの演奏です。

休憩後はピーター・ゼルキンのピアノでブラームスのピアノ協奏曲第2番。これはピアノの響きがもうひとつ。ブラームスらしいロマンや迫力が感じられませんでした。都響のサポートももうひとつ。残念な演奏に感じられました。もっとも、聴衆は沸いていたので、saraiの感性の問題かもしれません。

予習したCDは以下です。
シェーンベルクは以下。

 シノーポリ指揮シュターツカペレ・ドレスデン

武満 徹の精霊の庭は以下。

 若杉弘指揮東京都交響楽団

 初演コンビですね。

ブラームスのピアノ協奏曲第2番は以下。

 ルドルフ・ゼルキン、ジョージ・セル指揮クリーブランド管弦楽団

 ピーター・ゼルキンの父親のピアノを聴いてみました。セルの指揮も含め、立派な演奏です。

最後に、今日のプログラムは以下のとおりでした。

  指揮:オリヴァー・ナッセン
  ピアノ:ピーター・ゼルキン
  管弦楽:東京都交響楽団

  ナッセン:フローリッシュ・ウィズ・ファイヤーワークス
  シェーンベルク:映画の一場面への伴奏音楽 op.34
  武満 徹:精霊の庭

   《休憩》

  ブラームス:ピアノ協奏曲第2番 変ロ長調 op.83

これで10日連続のコンサートも半分終了。明日からはまた2日間、ハイティンク指揮ロンドン交響楽団のコンサートです。期待しましょう。


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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
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 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
公演では小沢、ショルティだけ

ベーム、ケルテス、ショルティ、クーベリック、
クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
、チェリブ

07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

私も18年前にドレスデンでバームクーヘン食べました。マイセンではB級品でもコーヒー茶碗1客日本円で5万円程して庶民には高くて買えなかったですよ。奥様はもしかして◯良女

06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

もろともにあはれとおもへ山ざくら 花よりほか

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