パラチンケンの専門店パラチンケンプファンドルPalatschinkenpfandlで美味しいランチを頂だいたので、腹ごなしにぶらぶらと路地散策めいたものを続けます。ですが、目的地はトラムの停留所シュヴェーデンプラッツSchwedenplatzという限定的な街歩きです。お店を出て、ケルナーホーフ小路Köllnerhofgasseを歩きます。すぐの角からはグラスホーフ小路Grashofgasseが右手に伸びています。この路地奥の建物には古そうな壁画が描かれています。面白そうな路地ですが、残念ながら行き止まりのようなので、そのままケルナーホーフ小路を進みます。

ケルナーホーフ小路を少し進むと、立派な通りにぶつかります。フライシュマルクト通りFleischmarktです。ここで右に折れて、このフライシュマルクト通りを歩きます。フライシュマルクトとは肉市場という意味ですが、昔はこの辺りに肉市場があったそうです。13世紀頃のことです。現在は美しい建物が通りの両側に立ち並んでいます。通りの左側手前の3番地にある黒っぽくて印象的な建物は、1910年にアルトゥール・バロンによって建てられた後期分離派の建築だそうです。よく見ると、中はスーパー(Spar)になっています。歴史的な建築が今は庶民的なスーパーというのが現在のウィーンなんですね。

その向かいの14番地に建っている建物も素晴らしい装飾のファサードです。これはネオバロックかなと思っていたら、これまた初期分離派の建築です。1899年にフェルディナンド・デームとフランツ・オルブリヒトによって建てられた商業ビル・アパートメントハウスです。ファサードを飾る2体の女性胸像と金の装飾は、確かに分離派の特徴を示しています。分離派建築はオットー・ワーグナーやホフマンだけではないんですね。

隣の16番地の建物の中央にはトンネルが空いています。ドゥルヒガングのようです。もしかしたら、さっき行き止まりだと思ったグラスホーフ小路につながっているのかも・・・。まだまだ面白い路地歩きができそうですね。でも、ここでは寄り道はしません。

フライシュマルクト通り9番地の先はグリーヒェン小路Griechengasseの入口辺りの広場になっていて、レストランの綺麗なテラス席が見えます。賑わっている一角です。

その先の13番地には、外観が目を惹く聖三位一体ギリシャ教会(ギリシャ正教会)Griechenkirche zur heiligen Dreifaltigkeitが建っています。現在の建物は、18世紀末からあったギリシャ教会をアテネのギリシャ建築家テオフィル・フォン・ハンセンが1856年から1858年にかけて改築したものです。ウィーンでは最初のビザンチン様式の教会建築です。もともとこの辺りはオリエント貿易を営むギリシャ商人が多く住んでいた地区で、グリーヒェンフィアテルGriechenviertel と呼ばれていました。ちなみに建築家テオフィル・フォン・ハンセンと言えば、リンク通りの国会議事堂や楽友協会の建物も建てた重要な人物です。

このギリシャ教会の手前にあるグリーヒェン小路に入ります。路地の右手には、有名なウィーン料理店グリーヒェン・バイスルGriechenbeislの入口が見えます。ベートーヴェンやシューベルトも通ったという由緒あるお店ですね。以前、saraiも食事の折、有名人のサインのある部屋を見せてもらいました。

グリーヒェン小路を抜けると、このグリーヒェンフィアテル地区にあるもうひとつのギリシャ正教会のゲオルク教会Sankt Georgkircheにぶつかります。

その横の小さな階段を下ります。階段下からグリーヒェン小路をふりかえって見上げたところです。

これで、今日の散策は終了。リング通りを南から北に突っ切る散策になりました。
ここまでの散策ルートを地図で確認しておきましょう。

旧市街を端から端まで散策しました。これにて終了とし、ホテルに戻りましょう。シュヴェーデンプラッツでトラムに乗って、リンク通りをグルリと周って帰ります。リンク通りを走るトラムから、ベルゼBörse(証券取引所)の建物を眺めます。明日見るベルクのオペラ《ルル》の中で、殺される前にシェーン博士が向かうのがこのベルゼなので、見ておかないとね。この建物も、先ほどの聖三位一体ギリシャ教会を改築した建築家テオフィル・フォン・ハンセンが1870年から1877年の間に建築したものです。

トラムがベルゼの前を通り過ぎていきます。

今回の訪問での路地歩きでだいぶんウィーンに詳しくなったような気がします。次はいつウィーンに来れるでしょうか。
いったんホテルで休息して、夜はフォルクスオーパーVolksoperに出かけます。オペレッタ《伯爵夫人マリッツァ》を見ます。これがチケット。かぶりつきではありませんが、2列目のsarai好みの席です。

中央正面ですから、舞台も近いですね。

真横にはバルコン席がそそり立っています。

オペレッタ《伯爵夫人マリッツァ》は充実した公演です。
これはケスラーが演じる伯爵夫人マリッツァとエダーが演じるジュパン男爵です。

これはプロハスカが演じるタシロ伯爵です。(左側の人物)

これはフォルクスオーパー総裁のロベルト・マイヤー。ここの舞台には欠かせない人ですね。

このオペレッタ《伯爵夫人マリッツァ》の詳細記事はここです。
これで今日の日程は完了。ウィーンの日程も完了です。
明日はアムステルダムに飛んで、3度目の正直で遂に国立美術館でフェルメールを見ます。そして、夜はベルクの遺作のオペラ《ルル》です。
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