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アムステルダムで美術三昧:国立美術館はレンブラントだらけ!!

2015年6月25日木曜日@アムステルダム/5回目

アムステルダム国立美術館Rijks Museumの至宝、フェルメールとレンブラントの5作品を鑑賞しました。これでこの美術館に来た目的は果たせたようなものですが、それ以外の作品も見てまわりましょう。
まずはレンブラントの残りの作品を見ましょう。

レンブラントの《トビトとアンナ》です。1626年、レンブラント20歳頃に描かれた作品です。若きレンブラントが最も初期に描いた作品の一つです。旧約聖書外典≪トビト記≫から題材を取って描いた見事な作品です。老人が己の猜疑心を悔やんでいる様子が迫真のタッチで表現されています。こういう素晴らしい作品を見るにつけ、やはり、レンブラントは天才だったと感嘆してしまいます。

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レンブラントの《自画像》です。1629年、レンブラント23歳頃に描かれた作品です。同時期に同一構図で描かれた作品がミュンヘンのアルテ・ピナコテークにも所蔵されています。よほど気に入った作品、あるいは自信作だったのでしょうか。若きレンブラントの強い眼差しが印象的です。この時期、何も恐れるものはないという意思が見てとれます。

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レンブラントの《幻想的な衣装の若い女性(サスキア)》です。1633年、レンブラント27歳頃に描かれた作品です。これも厳格な肖像画ではなく、妻サスキアを描いたトロニーです。レンブラントの愛情あふれると感じてしまうのは皮相的な印象でしょうか。

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レンブラントの《ヨハネス・ウエンボールトの肖像》です。1633年、レンブラント27歳頃に描かれた作品です。実にうまいとしか言えません。

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レンブラントの《肖像(Haesje Jacobsdr. van Cleyburg)》です。1634年、レンブラント28歳頃に描かれた作品です。しっかりと描かれてはいますが、晩年の内面性に比べると外面的な美しさが目立つように感じます。

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レンブラントの《オリエント風に装った男》です。1635年、レンブラント29歳頃に描かれた作品です。注文されて描かれた肖像画ではなく、モデルを雇って描いた「トロニー(顔)」と呼ばれるものです。いわば、自分の実力を誇示するための宣伝用の絵画みたいなもののようです。実際、自信に満ちた素晴らしい作品ではありませんか。それでも一時、この作品は真作ではないと疑われるほど、レンブラントは贋作や工房作品や他人の作品が紛れ込むことが多い画家です。それほど作品数も膨大なんですね。

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レンブラントの《マリア・トリップの肖像》です。1639年、レンブラント33歳頃に描かれた作品です。20歳の商人の娘を描いたものです。レンブラントが描いた女性の中では最も美しいのではないでしょうか。光り輝くようです。結構、sarai好みの絵画です。

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レンブラントの《修道士に扮するティトゥス》です。1660年、レンブラント晩年の54歳頃に描かれた作品です。モデルのティトゥスはレンブラントの息子です。愛妻サスキアが残した最後の子供です。ここでも晩年のレンブラントの冴えた筆が修道士の精神性を見事に描き出します。

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レンブラントの《アムステルダムの織物商組合の見本調査官たち》です。1661年、レンブラント晩年の55歳頃に描かれた作品です。レンブラントが描いた最後の集団肖像画です。《夜警》を描いてから約20年経っています。《夜警》の外面的な革新性に比べると、表現はおとなしくなっているものの、人物の内面に踏み込みつつ、画面の緊張感を盛り上げる大人の革新的表現が見事に感じられます。

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レンブラントの《聖パウロに扮した自画像》です。1661年、レンブラント晩年の55歳頃に描かれた作品です。生涯に渡って描き続けた自画像でも内面的な表現がより深まってきています。そういう意味の芸術性が高まることと反比例するように世間からの人気・評判は凋落の一途だったのは皮肉なことです。これはすべての先進的な芸術家の宿命でもありますね。

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レンブラントの歴史画《クラウディウス・キウィリウスの謀議》です。1662年、レンブラント晩年の56歳頃に描かれた作品です。ストックホルム国立美術館の所蔵品ですが、2014年3月21日から一時的に借り受けて、展示しているそうです。この歴史画はアムステルダムの新市庁舎を飾るために注文を受けた大作でした。しかし、ダム広場の新市庁舎に短期間展示されただけで画家に突っ返されます。その内面的な表現が理解されなかったと言われています。報酬も支払われなかったそうです。この作品が結局はスウェーデンに渡ってしまった経緯は謎のようです。晩年のレンブラントの不遇を象徴するような話ですが、遂にここアムステルダムに一時的にせよ、この絵が戻ってきたのはレンブラントの面目躍如ですね。

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既にご紹介した2作品を加え、ここに紹介しただけでレンブラントは13作品もこの国立美術館にあります。凄いですね。それも傑作揃いです。
次回はレンブラント以外の作品をご紹介して、国立美術館の鑑賞を終えます。


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07/08 15:53 じじい@

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久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

私も18年前にドレスデンでバームクーヘン食べました。マイセンではB級品でもコーヒー茶碗1客日本円で5万円程して庶民には高くて買えなかったですよ。奥様はもしかして◯良女

06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

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