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アムステルダムで美術三昧:国立美術館って、作品はこれだけ? 夜はオペラ《ルル》

2015年6月25日木曜日@アムステルダム/6回目

アムステルダム国立美術館Rijks Museumの作品群を見ていきます。ここまで、フェルメールとレンブラントを見てきました。ここからはそれ以外の作品を見ていきます。

フランス・ハルスとピーテル・コッデの《痩せた警備隊(分隊長レイニール・レアルと副官コルネリス・ミヒースルゾーン・ブラーウの部下たち)》です。 1633-37年頃、ハルス51歳~55歳頃に描かれました。もっともハルスはほぼ左半分だけを描き、残りの右半分はコッデが完成させました。ハルスはハーレム以外の地では絵の注文を受けず、例外的にこの絵だけがアムステルダムからの注文でした。絵の注文主はアムステルダムで絵を完成させるようにハルスに求めましたが、ハルスが拒否したため、最後はコッデが絵を完成させたということになりました。いずれにせよ、これぞ集団肖像画という作品ですね。

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バルトロメウス・ファン・デル・ヘルストの《ルロフ・ビッケル隊長とヤン・ミヒールスゾーン・ブラエーウ副官とその士官達》です。 1639年頃、ヘルスト26歳頃に描かれました。ヘルストはレンブラントと同時期にアムステルダムで活躍した画家です。特にレンブラントの人気凋落期には流行の肖像画家としての地位を獲得していきました。ヴァン・ダイク風のスタイルが人気を博したようです。とても大きな作品です。《夜警》の近くには集団肖像画が並んでいますが、ひときわ目立ちます。

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ハルスの《陽気な酒飲み》です。1628-1630年頃、ハルス46歳~48歳頃に描かれた作品です。いかにもハルスらしい作品で、彼の代表作の中の1枚です。ハルスは明日、彼の地元であるハーレムを訪れて、フランス・ハルス美術館で彼の作品をたっぷりと鑑賞する予定です。

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ヘダ・ウィレム・クラースの《鍍金した酒杯のある静物》です。1635年頃、ヘダ41歳頃に描かれた作品です。ヘダは、17世紀オランダ絵画黄金期において流行したモノクローム・バンケッチェ(モノクローム風の晩餐図)の画家です。恐ろしいくらい緻密に描かれています。

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国立美術館は建物自体も見事です。美しいステンドグラスにも見とれてしまいます。

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美術館にも壁画があるんですね。これって、美術作品なんでしょうか。

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アンソニー・ヴァン・ダイクの《王子ウィレム2世と メアリー・スチュアート》です。1641年、ヴァン・ダイク42歳頃に描かれた作品です。英国王室の宮廷画家ヴァン・ダイクによって、オランダ総督のオラニエ家の王子ウィレム2世(15歳)と英国王チャールズ1世の長女メアリー・スチュアート(10歳)の結婚を記念して描かれた作品です。オラニエ家からの注文によるもので、オラニエ家としては英王室との結婚を喧伝する意図があったようです。しかし、この夫妻は若くして(ともに20代)亡くなったそうです。その長男はウィリアム3世として、英国王になりました。さすがにヴァン・ダイクの筆は冴え渡っていますね。

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ヘンドリック・アーフェルカンプの《スケートをする冬の風景》です。1608年、アーフェルカンプ23歳頃に描かれた作品です。アーフェルカンプは17世紀のオランダ画派最初の風景画家の1人であり、当時流行した冬景色を得意とした画家たちの1人です。この作品もまさしく、そういう作品の代表的なもの。ちょっと見るとブリューゲルっぽいですが、よく見ると比べるべくもありません。

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ここにもゴッホがあるのでびっくりです。ゴッホは後日、ゴッホ美術館でたっぷりと鑑賞する予定です。

ゴッホの《下生え》です。1887年、ゴッホ34歳頃に描かれた作品です。この年の夏に暑いパリを離れて、ピサロやシニャックとともにパリの北西のセーヌ川近くで描いたものです。

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ゴッホの《カラフェとレモンの乗った皿》です。1887年、ゴッホ34歳頃に描かれた作品です。パリ時代、印象派やジャポニズムを吸収していたころの静物画。

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ゴッホの《自画像》です。1887年、ゴッホ34歳頃に描かれた作品です。パリ時代、既に彼の画風は確立しつつありましたが、この自画像の完成度は素晴らしいですね。

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ゴヤの《ドン・ラモン・サトゥの肖像》です。1823年、ゴヤ76歳頃に描かれた作品です。モデルは友人だった裁判官です。2011年にこの絵画がニュースになりました。X線で調べたところ、この絵の下に別の未完成の絵が隠されていたということです。政治的な理由でゴヤはその未完成の絵を隠したと言われています。絵に描かれていたのはジョーゼフ・ボナパルト、ナポレオン・ボナパルトの兄で1808年から1813年までスペインの王でした。ナポレオン没落後、ゴヤはフランスと距離を置こうしたそうです。絵画にも色んな物語があるものですね。

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最後にとても素晴らしい絵画が待っていました。

カルロ・クリヴェッリの《マグダラのマリア》です。1475年頃、クリヴェッリ45歳頃に描かれた作品です。クリヴェッリはイタリアのルネサンス初期の画家です。この作品はクリヴェッリの代表作で、金箔を施した黄金地のパネルに石膏地の浮彫や打刻文様などの工芸的な技法で、精緻を極めた表現によって、宗教画にもかかわらずエロティシズムに満ちた作品になっています。クラナッハを思い起させるとも言えますし、さらには数百年後のクリムトの出現も予感させるような素晴らしい絵画作品です。もっと喧伝されて然るべき傑作です。

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これにて鑑賞を終了。絵画は意外に少なくて装飾品が多いです。それに、ルートがわかりづらく大変です。でも、作品は少なくても珠玉の傑作があり、楽しめました。

美術館を出るときにチケット売り場を見ると、がらがらに空いています。明日、ハーレムのフランス・ハルス美術館で購入予定だったMuseumkaartをここでゲットしましょう。

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Museumkaartは1人59.90ユーロで、1年間多くの美術館が無料入館可能になります。それもアムステルダム市内だけでなく、オランダ国内すべて有効です。美術館以外の施設にも使え、とてもお得なカードなんです。カードはこういう封筒に入っています。

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ガイドマップもいただけます。

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つい時間を忘れて、絵に見入ってしまいました。お蔭でホテルでほとんど休む間もなく、夜のオペラ《ルル》に出かける羽目に。
これがネーデルランドオペラの本拠地ミュージックシアターMuziektheaterです。現代的な建物です。

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もうぞろぞろと入場中です。

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今日の演目はベルクの遺作オペラ《ルル》。扇情的とも思える画像での宣伝ですが、これは実際の内容とはまったく関係なし。一体、何でこういう無関係な画像を流すんでしょう。

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チケットはネットで購入して、自宅プリンターで印刷したものです。かぶりつきの最前列です。

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今日朝早くウィーンから移動して、休みなしで若干頭がぼーっとした状態ではありますが、それでも長時間のオペラは素晴らしいオーケストラと歌手のアンサンブルで感動しました。このオペラ《ルル》の詳細記事はここです。

まだまだ音楽三昧は続きます。おやすみなさい。


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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
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08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
公演では小沢、ショルティだけ

ベーム、ケルテス、ショルティ、クーベリック、
クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
、チェリブ

07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

私も18年前にドレスデンでバームクーヘン食べました。マイセンではB級品でもコーヒー茶碗1客日本円で5万円程して庶民には高くて買えなかったですよ。奥様はもしかして◯良女

06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

もろともにあはれとおもへ山ざくら 花よりほか

通りすがりさん

コメント、ありがとうございます。正直、もう2年ほど前のコンサートなので、詳細は覚えておらず、自分の文章を信じるしかないのですが、生演奏とテレビで

05/13 23:47 sarai
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