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ジャニーヌ・ヤンセン ヴァイオリン・リサイタル@紀尾井ホール 2016.2.17

昨年、ユトレヒト音楽祭で室内楽の演奏を聴かせてもらったジャニーヌ・ヤンセンが来日リサイタルを開くというので紀尾井ホールに足を運びました。ちなみにオランダのユトレヒト音楽祭はジャニーヌ・ヤンセンが音楽監督を務めています。ユトレヒト音楽祭では教会での演奏でもあり、ジャニーヌ・ヤンセンは地味な装いでしたが、今日はドレッシーな黒い衣装をまとい、美しさが際立っていました。


前半はブラームスとバルトークのソナタ。特に期待していたのはバルトークです。まず、ブラームスはなかなかロマンティックで繊細な演奏なのですが、ホールにヴァイオリンが響き渡らない感じで少々インプレッシブさが不足する感じです。バルトークもソフィスティケイトされた演奏なのですが、野性味に欠けるというか、変な言い方かもしれませんが、前衛さが感じられないという思いに駆られます。若手の演奏家なのですから、もっとバリバリと弾いてもらいたいと思います。もっとも、こういう繊細な演奏はかぶりつきで聴かないと正当な評価は難しいかもしれません。微妙なところです。

前半は若干欲求不満気味でしたが、後半は硬さがとれたよい演奏です。最初のバルトークのルーマニア民俗舞曲はストレートな表現でばりばりと弾きこなしていきます。こうでなくっちゃね。エンターテインメント性の高い演奏ではありますが、それはそれで楽しめます。次のクライスラーは《愛の悲しみ》以外は耳馴染みのない曲なので、もうひとつピンときません。素晴らしかったのはファリャのスペイン舞曲。すかっとする乗りのよい演奏。胸のすくようなヴァイオリンの響きで圧巻の演奏。これくらい思いっきり、切れ込んだ演奏をしてくれれば、何を言うこともありません。

後半のプログラムがまるでアンコール曲のような小曲で構成されていたので、一体、アンコールはどうするのかと思っていたら、ちゃんとアンコール曲は用意されていました。1曲目はそれこそ前衛的な曲ですが、素晴らしい気迫に満ちた演奏です。これはルトスワフスキのスビト。ルトスワフスキが人生の最後に完成させた音楽だということです。最後まで刺激的な音楽を描き続けたんですね。いいものを聴かせてもらいました。アンコールの最後はフォーレの《夢の後に》。うっとりするような美しい演奏。心に沁みるようなしみじみとした表現です。リサイタルを閉じるのにふさわしい音楽です。この日、一番心に響いた素晴らしい演奏でした。最後がよければ、満足です。

今日のプログラムは以下です。

  ヴァイオリン:ジャニーヌ・ヤンセン
  ピアノ:イタマール・ゴラン

  ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第2番 イ長調 Op.100
  バルトーク:ヴァイオリン・ソナタ第2番 BB.85 / Sz.76
  
   《休憩》

  バルトーク:ルーマニア民俗舞曲 BB.68 / Sz.56
  クライスラー:ウィーン小行進曲
  クライスラー:愛の悲しみ
  クライスラー:シンコペーション
  ファリャ/クライスラー(編):歌劇「はかなき人生」第2幕 スペイン舞曲第1番
  ファリャ:7つのスペイン民謡より(第1曲~第6曲)

   《アンコール》

  ルトスワフスキ:スビト
  フォーレ:夢の後に


今日はNHKのTV収録がありました。放送予定は決まっていないそうですが、きっとBSのクラシック倶楽部での放映でしょう。とすれば、55分枠でのリサイタルを抜粋した放映になるでしょうが、絶対にアンコール曲2曲は外さないでね、NHK殿。


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Author:sarai
首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
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 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
公演では小沢、ショルティだけ

ベーム、ケルテス、ショルティ、クーベリック、
クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
、チェリブ

07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

私も18年前にドレスデンでバームクーヘン食べました。マイセンではB級品でもコーヒー茶碗1客日本円で5万円程して庶民には高くて買えなかったですよ。奥様はもしかして◯良女

06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

もろともにあはれとおもへ山ざくら 花よりほか

通りすがりさん

コメント、ありがとうございます。正直、もう2年ほど前のコンサートなので、詳細は覚えておらず、自分の文章を信じるしかないのですが、生演奏とテレビで

05/13 23:47 sarai
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