フランス・ハルス美術館Frans Hals Museumでハルスの8枚もの集団肖像画を堪能し、満足しました。残った時間でハルスの肖像画も見ておきましょう。
美術館はその昔、養老院として使われていました。貧窮した高齢者の面倒をみるための私設の建物です。富裕層が多額の寄付をすることでこういう施設が充実していました。もちろん、困窮した人たちを救うための善意からの行為ではありましたが、キリスト教ではこういう善行を積むことで死後は天国に迎い入れられるという気持ちも多く働いていたようです。そういう施設ですから、貧相な建物になるはずもなく、実に立派な建物が建てられています。これは会議室なのか、理事室なのかは分かりませんが昔の栄華を感じられる素晴らしい部屋があります。

部屋の中の調度品も素晴らしく、壁掛け時計の素晴らしさには思わず息を呑みます。

それもなんと2つもあります。もちろん、今でも正しい時を刻んでいます。

フランス・ハルスの《Nicolaes Woutersz Van Der Meer》です。 1631年頃、フランス・ハルス49歳頃に描かれました。この人物はハーレムのビール醸造者で市警備隊の士官なども歴任した有力者でした。その威厳のある風格がよく描き込まれています。

フランス・ハルスの《ある男の肖像、おそらく、Willem van Warmondt》です。 1640年頃、フランス・ハルス58歳頃に描かれました。この人物も醸造所を所有し、市警備隊の士官なども歴任した有力者でした。1927年に描かれた集団肖像画の《聖ハドリアヌス市警備隊の士官たちの晩餐》にも登場しています。

フランス・ハルスの《手袋を持つ女の肖像》です。 1645年~1650年頃、フランス・ハルス63歳~68歳頃に描かれました。この女性が誰なのかは分かっていません。一対の白い皮の手袋を片方は手にはめ、片方は持っています。穏やかでしっかりした女性の内面が滲み出ています。

フランス・ハルスの《宿屋の女主人の肖像》です。 1623年~1625年頃、フランス・ハルス41歳~43歳頃に描かれました。この女性はハルスの行きつけの宿屋の女主人のようで、ハルスも懇意な仲だったようです。彼女への親しみの感情があふれるような作品です。

フランス・ハルスの《Pieter Jacobsz Olycan》です。 1630年頃、フランス・ハルス48歳頃に描かれました。この人物はハーレムのビール醸造者で有力者でした。後にハーレム市長も努めます。謹厳な性格が表れています。

以上の3枚の肖像画は並べて展示されています。

フランス・ハルスの《Jacobus Zaffius》です。 1611年頃、フランス・ハルス29歳頃に描かれました。ハルスのごく初期の肖像画です。この人物はハーレムのカトリック教会の最高位の聖職者でした。ハーレムはプロテスタントの街で正式にはカトリックは禁止されていました。ハーレム市当局はZaffiusがカトリックの活動を行うのを目をつぶって、許していたそうです。

フランス・ハルスの《不詳の男の肖像》です。 1638年頃、フランス・ハルス56歳頃に描かれました。残念ながら、この人物が誰なのかは不明なのだそうです。やわらかい表情で描かれた、この肖像画はハルスらしい作品に仕上がっています。

ハルスの絵は、十分楽しめました。このあたりでフランス・ハルス美術館での鑑賞は切り上げましょう。最後に美術館の中庭に出ます。

素晴らしい中庭です。これもホフィエみたいなものですね。

中庭の中央には天球儀のようなものがあります。

見事な扉の前にはオブジェも飾られています。

建物、中庭、そして、所蔵する美術作品、すべてが第1級の美術館でした。
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