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仲道郁代 プレイエルを弾く@横浜上大岡ひまわりの郷 2016.4.24

仲道郁代の画期的なリサイタルでした。ショパンがパリで活躍中に演奏したピアノと同じ型式のピアノであるプレイエル社製のピアノでのリサイタルです。仲道郁代が5年前にフランスで購入したピアノを彼女の自宅からひまわりの郷ホールに運び込んでのオール・ショパン・プログラムのリサイタルです。見るからに優美で華奢なピアノです。スタインウェイのコンサートグランドピアノに比べると一回り小さなピアノです。どんな響きがするのか、楽しみですね。ちなみに仲道郁代の話によると、プレイエルピアノだけで構成するコンサートは初めてとのことです。意外ですね。彼女がプレイエルとスタインウェイを弾き比べするコンサートをやったことは知っていたので、当然、プレイエルだけのコンサートも既にやっていると思っていました。やはり、今日のホールのような観客席400人程度の小さなホールでないと音量の小さなプレイエルでのコンサートは難しいのでしょう。よくぞ、この小さなホールでのコンサートに彼女のような人気ピアニストが来てくれたものです。感謝です。さすがに今日のリサイタルはチケット完売だということです。さらに舞台奥に50人ほどの階段席が増設されています。このホールで初めて見る光景です。

相変わらず美しい仲道郁代がシルバーのお姫様ドレスをまとって、ステージに登場。ピアノの上には既にワイヤレスマイクが用意されています。いつものようにトークでリサイタルは始まります。彼女の独特のスタイルのリサイタルですが、もう、すっかり慣れました。彼女のトークが結構、楽しみになっているんです。舞台と客席が一体化して、和やかな雰囲気になります。いつもの真剣勝負のようなクラシックのコンサートも大好きですが、こういうスタイルもよいものです。

最初はお馴染みの幻想即興曲です。ずいぶん、響きの異なるピアノの音色に戸惑います。なんだか、音がぶっきらぼうな感じです。よく聴くと、鍵盤を叩いた後の音の減衰が早くて、響きが渇いて聴こえるんです。もちろん、音量も小さめですし、ピッチが低いせいか、地味な印象を受けます。いつもの派手な響きの幻想即興曲とは風合いが違い、この曲はプレイエルでの演奏には向かない感じではあります。それでもショパンはこんな感じのピアノで演奏していたんだと思うと一種の感銘を受けてしまいます。

ところが2曲目のノクターン 第1番では、美しい音色にうっとりしてしまいます。冒頭の主題の高音からの響きがとても耳に心地よいです。繊細さの極みのような響きと演奏です。子供のころからショパンの曲では最もsaraiが好んで聴いた曲ですが、saraiの理想とするような演奏です。音の減衰が早いことが一種のノンペダル奏法と同じような効果を生んで、音が濁らないピュアーな響きになっているような気がします。いやはや、素晴らしい演奏でした。この曲が聴けただけで満足です。

3曲目のノクターン 第2番もとても美しい演奏。ショパンの音楽で一番有名かもしれないほど聴き過ぎた曲がとても新鮮に耳に響きます。こういう静かな音楽をプレイエルのピアノで聴くのはとっても贅沢な時間に思えます。

次の「革命」はポリーニの目覚ましいテクニックの演奏で一世を風靡した練習曲集のレコードが忘れられない曲です。ああいう演奏はスタインウェイ抜きには考えられないわけですが、仲道郁代のプレイエルでの演奏はその対極にあるようなものです。さすがにこれはスタインウェイの登場をショパンが待っていたような音楽です。プレイエルの容量オーバーの感じを受けます。

同じ練習曲でも「別れの曲」はなかなかプレイエルの響きも心地よく感じます。それも中間部の激しいタッチの部分もいいんです。胸に沁みる演奏です。

前半最後のバラード 第1番はまあまあという感じです。曲の素晴らしさは伝わってきました。プレイエルの限界も若干感じる部分もありました。

前半の途中で調律師のかたとのトークもあり、プレイエルに関する興味深い話も聴けました。そして、休憩時間には、自由に舞台に上がって、ごく近くからプレイエルのピアノを見せてもらえました。木目の美しい輝きに包まれたピアノです。ご自身が所有する貴重なピアノを惜しげもなく見せてくれる仲道郁代は本当に音楽を愛し、その気持ちを聴衆と共有させてくれる稀なタイプの優しい音楽家ですね。ますます、好感度上昇です。

後半はワルツ8曲。ショパンが生きている間に出版されたワルツ全曲だそうです。ほかのワルツはすべて、死後に出版されたものだそうです。この8曲はショパンが校訂した楽譜がありますから、価値の高いものですね。プレイエルでのワルツの演奏はそれはもう、最高の響きです。どの曲も演奏も音楽表現も見事で、ただただ耳を傾けるのみです。こういう素晴らしい響きが聴けるとは思っていませんでした。もう、スタインウェイなどは聴けないと思うほどです。個々の曲にうんぬんすることはやめましょう。そうそう、仲道郁代は後半はゴールドのドレスに着替えてきましたが、とてもお似合いでした。耳だけでなく眼も楽しませてくれます。

最後は英雄ポロネーズです。こういう曲はプレイエル向きではないと思いながら聴き始めましたが、これまた素晴らしい演奏。どうやら、saraiの耳はプレイエルに慣らされたようです。仲道郁代の演奏も最高でした。

アンコールはいつもの2曲です。ノクターンはそれはもう、素晴らしい演奏でした。何度も彼女の演奏を聴いてきましたが、このプレイエルでの演奏は格別の響きでした。お見事です。

今日のプログラムは以下です。

  ピアノ:仲道郁代

   オール・ショパン・プログラム

    幻想即興曲 嬰ハ短調op. 66
    ノクターン 第1番 変ロ短調 op.9-1
    ノクターン 第2番 変ホ長調 op.9-2
    12の練習曲op.10 第12番 ハ短調「革命」
    12の練習曲op.10 第3番 ホ長調 「別れの曲」
    バラード 第1番 ト短調 op.23

     《休憩》

    ワルツ 第1番 変ホ長調 op.18 「華麗なる大円舞曲」
    ワルツ 第2番 変イ長調 op.34-1 「華麗なる円舞曲」
    ワルツ 第3番 イ短調 op.34-2 「華麗なる円舞曲」
    ワルツ 第4番 ヘ長調 op.34-3 「華麗なる円舞曲」
    ワルツ 第5番 変イ長調 op.42
    ワルツ 第6番 変ニ長調 op.64-1 「小犬のワルツ」
    ワルツ 第7番 嬰ハ短調 op.64-2
    ワルツ 第8番 変イ長調 op.64-3
    ポロネーズ 第6番 変イ長調 「英雄」op.53

    《アンコール》

    ノクターン 第20番 嬰ハ短調 「遺作」
    エルガー:愛の挨拶

     使用ピアノ:1842年製造/プレイエル社製/鍵盤80鍵/ピッチ430Hz/仲道郁代所蔵



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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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えりちゃさん、お久しぶりです。saraiです。

なかなか、海外渡航の見通し、立ちませんね。来年あたりはどうでしょうね。長期戦覚悟で我慢するしかありませんね。

こちら

04/10 02:37 sarai

saraiさま、
お久しぶりです!
お元気にコンサートや旅行を楽しんでおられますね!
ブログ、楽しく拝見しています。おフランス、良いね😊
私は春だというのに、仕事と用事以

04/09 05:29 えりちや

気になってたずねても 
誰にも知らんと言われなんやろ
と思いつづけて居ました❗
写真みつけてこれだと思いました❕スッとしました
教えて下さって嬉しいです
ありがとうご

02/13 22:26 みーちゃん

みーちゃんさん、saraiです。

あの謎の建物は雄琴沖総合自動観測所という施設で琵琶湖の水質を測定しているそうです。

https://www.water.go.jp/kansai/biwako/html/repo

02/13 21:40 sarai

ずーと前にうきみどうに行きました
やはり、琵琶湖の真ん中の建物が何なのか気になったままです
分かりましたか
教えてください

02/13 20:54 みーちゃん

五十棲郁子さん、コメントありがとうございます。

水道水のこと、tap waterって言うんですね。知らなかった。単にwaterで通していました。ましてや、フランス語はほとんど

02/11 00:12 sarai

フランスも地方へ行くと英語が通じないでしょう。tap water ぐらいフランス語で言えないとね。

02/10 12:54 五十棲郁子
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