今日のプログラムは以下です。
ブラームス:チェロ・ソナタ第2番 ヘ長調 Op.99
チェロ:ターニャ・テツラフ
ピアノ:ラルス・フォークト
シェーンベルク:浄められた夜 Op.4
ヴァイオリン:クリスティアン・テツラフ
ヴァイオリン:久保田 巧
ヴィオラ:レイチェル・ロバーツ
ヴィオラ:原 麻理子
チェロ:ターニャ・テツラフ
チェロ:マリー=エリザベート・ヘッカー
《休憩》
シューマン:ピアノ三重奏曲第1番 ニ短調 Op.63
ヴァイオリン:クリスティアン・テツラフ
チェロ:ターニャ・テツラフ
ピアノ:ラルス・フォークト
最初はブラームスのチェロ・ソナタ第2番。saraiは耳馴染みのある曲ではありません。手持ちのCDで予習しておくことにします。フルニエかデュ・プレかビルスマかロストロポーヴィチですが、今回のコンサートのチェリストは女性なので、デュ・プレ&バレンボイムを聴くことにします。デュ・プレの演奏は女性と思えないくらいダイナミックで熱い演奏です。一方、今日のターニャ・テツラフは演奏はスケール感のあるものですが、アタックは柔らかくて、深々とした響きに満ちた演奏。とてもよい演奏に感じました。ややもすると、チェロは気迫だけが先走ってしまう演奏が多いのですが、彼女の演奏は知情意のバランスのとれた温かみのある演奏で、熱くなるべきところはしっかりと熱い演奏になっていて、気持ちよく聴けました。
次のシェーンベルクの《浄められた夜》はある意味、衝撃的な演奏。やはり、シェーンベルクは天才的な作曲家であったことを再認識させられました。まずは6人の弦楽器奏者がステージに現れるところでビックリします。リーダーのクリスティアン・テツラフ以外はすべて女性。それも色とりどりの鮮やかなドレスを身にまとっています。ステージが妙に華やぎます。低弦から静かに曲が始まりますが、どんどん曲が進行するにつれて、6人の弦楽器が多様な響きでそれぞれの個性を発揮します。この曲はこんな曲だったのかと驚かされます。いわば、アンチ・アンサンブルとも思えます。アンサンブルが合っていないのではなく、あえて、和声感を出さないような演奏です。とても新鮮に感じます。終盤に至って、これが見事に和声感のある演奏に収束していきます。シェーンベルクが後期ロマン派の絶頂、そして、黄昏に放った作品は和声を超えた和声の音楽だったんですね。この表題音楽のメロドラマに惑わされて聴いていた自分の不明さに今更ながら気づかされます。それにしてもこの演奏をリードしていたクリスティアン・テツラフの抑制した知的な演奏表現には脱帽です。彼の演奏でシェーンベルクの何たるかを教えられた思いです。もちろん、この後期ロマン派の傑作は色んな解釈があるでしょうが、テツラフの卓越した音楽解釈は素晴らしいとしか言いようがありません。
休憩後のシューマンのピアノ三重奏曲第1番はさらに素晴らしい演奏。クリスティアン・テツラフのヴァイオリンに魅了され尽くしてしまいました。彼が支配した演奏と言えるでしょう。それにしてもシューマンの作り出した素晴らしい音楽に感銘を受けました。特に第3楽章のインティメットな音楽・・・それを繊細な表現で聴かせてくれたクリスティアン・テツラフのヴァイオリン。そして、第4楽章はシューマンらしい祝祭的な主題に満たされた音楽をテツラフを主体としたトリオが華やかに盛り上げます。久しぶりに素晴らしいシューマンの室内楽を満喫しました。圧巻の演奏でした。
次は第3回目のコンサートを聴きます。クリスティアン・テツラフのブラームスが楽しみです。
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