最初の曲、バッハの《幻想曲とフーガ》は前回のような朗々とした響きはありませんが、厳しい演奏で、それはそれで素晴らしいです。
次のバルトークの無伴奏ヴァイオリン・ソナタは第1楽章の冒頭は音程に安定感がありません。心配して聴いていると、徐々に安定感を増して、第3楽章は弱音の美しい音色に聴き惚れます。第4楽章も素晴らしい演奏。ただ、響きも含めた全体の演奏は明らかに前回が素晴らしい演奏でした。
休憩後、後半は見事な演奏でした。細川俊夫の新作は前回聴いた曲と同じ曲とは思えないほどの気迫の演奏。鬼気迫るものがあります。作曲家自身はシャーマニズムを念頭に置いて、庄司紗矢香をシャーマン(巫女)に見立てたとのことですが、前回と異なり、まさに庄司紗矢香は巫女が乗り移ったかのごとき演奏です。現代日本の天才音楽家二人が見事な音楽を作り上げてくれました。大変な感銘を受けました。
最後のバッハの無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番は前回同様、素晴らしい演奏。聴き惚れました。ただ、気迫が優り過ぎて、少し前のめりの感はあります。前回聴いたときのような愉悦感は欠けたかもしれません。まあ、それは贅沢過ぎる感想でしょう。十分に素晴らしい演奏でした。
今日のプログラムは以下です。
J.S.バッハ:幻想曲とフーガ ト短調 BWV542(ジャン=フレデリック・ヌーブルジェ編)
バルトーク:無伴奏ヴァイオリン・ソナタ Sz.117
《休憩》
細川俊夫:ヴァイオリン独奏のための「エクスタシス」・・・新作(2016)《庄司紗矢香委嘱作品・日本初演》
J.S.バッハ:無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番 ニ短調 BWV1004
前回、川口リリアホールで聴いたときと感想記事はここです。
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