今日のプログラムは以下のとおりです。
ショスタコーヴィチ・プロジェクト
パシフィカ・クァルテット
シミン・ガナートラvn、 シッビ・バーンハートソンvn
マスミ・バーロスタードva、 ブランドン・ヴェイモスvc
弦楽四重奏曲 第10番 Op.118
弦楽四重奏曲 第9番 Op.117
《休憩》
弦楽四重奏曲 第12番 Op.133
今日は第9番から第12番までを聴きます。第11番と第13番以降は最終日に聴きます。この第9番から第12番が作曲された時期はフルシチョフ体制からブレジネフ体制への移行の時期。比較的、芸術統制が緩んだ時期から再び統制が強められた時期にあたります。ショスタコーヴィチも創作力が頂点に達した時期から、次第に創作力が下り坂になった時期にあたります。その中で彼が自己の内面をどう作品に反映させていったのか。そして、パシフィカ・クァルテットがそれをどう表現していくのか・・・いよいよ、このショスタコーヴィチ・プロジェクトも佳境に入っていきます。
まず前半は第10番と第9番です。いずれも1964年の作。関係ありませんが、日本は東京オリンピック一色に盛り上がっていました。saraiがショスタコーヴィチの交響曲第5番に出会うのも間もなくのことです。コンサートの話に戻りますが、連日のショスタコーヴィチ漬けでsaraiも疲労気味。自宅ではCDで予習もしているので、頭の中はショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲だらけになっています。どうも前半のプログラムは集中して聴けません。パシフィカ・クァルテットは昨日同様の力演ですが、saraiは第8番の素晴らしかった演奏から脱却できずに、第10番と第9番もなんだか区別できずに同じような曲に感じてしまいます。猛烈に高揚して演奏しているのが心に響いてこないという感じ。マンネリですね。特に第9番は好きな曲だし、傑作なんですけどね。正直、ふわっーと頭の中を通り過ぎていきました。このまま、このコンサートも終わってしまうのかと不安になります。
しかし、休憩後、第12番は大変、集中して聴けます。それはそうでしょう。saraiは前半、体力を温存していたようなものですからね。1968年に作曲されたこの曲はショスタコーヴィチには珍しく、ノントナール風のテーストで第1楽章がスタートします。そのため、不安定な捉えどころのないような雰囲気の曲想が続きます。それでもしっかりとパシフィカ・クァルテットの美しいとでも表現できるような演奏についていきます。第2楽章の終盤になって、俄然、緊張感が高まります。第1ヴァイオリンがピチカートのソロを演奏し始めてからです。ノントナール風の雰囲気は一掃されて、決然とした和声に落ち着きます。パシフィカ・クァルテットが猛然とダッシュしていきます。物凄い響きでホールが満たされます。saraiの心に響いてきたメッセージは《希望》です。苦しい時代であっても人は決然として生き抜いていく・・・明日に《希望》があるのだから!! saraiの心の中に熱い気持ちが高まっていきます。パシフィカ・クァルテットが熱い心をインスパイアしてくれます。演奏者と聴衆の心、さらには作曲家の心が共感の輪でつながっていくことが実感できる素晴らしい高みに上り詰めていきます。圧倒的なフィナーレに我を忘れてしまうほどの感動がありました。これほどの演奏をしてくれたパシフィカ・クァルテットの4人に感謝です。saraiも若くはありませんが、現実世界でも頑張って生きていこうという強い気持ちを音楽のチカラで与えてもらいました。
2日後は最終日のコンサートです。どういうグランドフィナーレになるのでしょうか。
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