今日のプログラムは以下です。
指揮:川瀬賢太郎
ヴァイオリン:郷古廉
管弦楽:神奈川フィル
バルトーク:弦楽のためのディヴェルティメントSz.113
ハイドン:ヴァイオリン協奏曲ハ長調Hob.VIIa:1
《休憩》
ハイドン:交響曲第92番ト長調Hob.I:92「オックスフォード」
まず、最初はバルトークの弦楽のためのディヴェルティメント。彼のオーケストラ曲の最高傑作の《弦楽器と打楽器とチェレスタのための音楽》と《管弦楽のための協奏曲》に挟まれた期間に作曲された弦楽オーケストラのための作品です。音楽的には打楽器がなくて、バルトークらしさがもうひとつと感じます。それでも《弦楽器と打楽器とチェレスタのための音楽》と同じくパウル・ザッハーの率いるバーゼル室内管弦楽団のために書かれた作品で、《弦楽器と打楽器とチェレスタのための音楽》を彷彿とさせる緊張感の高い作品です。今日の演奏はバルトークが指示した楽器編成の最小構成で行われましたが、saraiはもう少し大きな構成のほうが迫力があったかなと思います。ただ、素晴らしいアンサンブルではありました。特に第2楽章は冒頭からピアニッシモの緊張感の高い音楽が展開されて、耳をそばだてて聴き入ります。作曲された1939年のヨーロッパの不安な状況をものがたるような暗くて重い音楽です。夜の音楽ですね。中間部では一転して強烈なインパクトの音楽に変わりますが、暗い緊張感は持続します。そして、また、冒頭の暗く沈んだ音楽に戻ります。素晴らしい演奏でした。しかし、繰り返しますが、もうちょっと編成を大きくしていればもっと聴き応えがあったかなと思ってしまいました。
次はハイドンのヴァイオリン協奏曲ハ長調です。ハイドンの残したヴァイオリン協奏曲は真作と認められているものが4曲。今日演奏されるのは第1番です。ハイドンの初期の作品であり、ハイドンというよりもバロック的な雰囲気の作品です。冒頭の弦楽合奏の素晴らしさにたちまち惹き込まれてしまいます。先ほどのバルトークとは違い、ここでは小編成の弦楽オーケストラがその美質を遺憾なく発揮します。パーフェクトな響きにただただうっとりと聴き入ってしまいます。そして、その弦楽合奏で奏でられていた主題が今度は颯爽と加わってきた独奏ヴァイオリンによってダブル・ストップで勢いよく弾かれます。いいですねー。ハイドンにこんなに素晴らしいヴァイオリン協奏曲があったんですね。saraiは初めて聴きます。郷古廉のヴァイオリンは美しい響きで音楽をストレートに表現していきます。若さに満ちた好感を持てる演奏です。妙な細工はなしにバリバリと弾いていきます。弦楽オーケストラともぴったりと息が合って、素晴らしいアンサンブル。独奏ヴァイオリンも弦楽オーケストラもどちらも大満足の演奏。緩徐楽章の第2楽章も実に爽やかな演奏。そして、第3楽章もノリのよい演奏で最後まで大変気持ちよく聴けました。こんな素晴らしいハイドンが聴けるとは思っていませんでした。満足感でいっぱいです。神奈川フィルもなかなかやりますね。
休憩後、ハイドンの交響曲第92番ト長調「オックスフォード」です。冒頭の序奏の美しいアンサンブルから惹き付けられます。主部にはいると一層、アンサンブルが冴えわたります。前半の2曲は管楽器がなかったので、余計、響きがリッチに感じられます。そこまで意識したプログラムだったんでしょうか。もちろん、素晴らしいのは小編成の弦楽セクションですが、管楽器が加わることで弦楽セクションの響きの素晴らしさが際立ちます。演奏の切れの良さも抜群に感じます。細かい感想は書きませんが、ともかく、第1楽章から第4楽章まで、響きといい、ノリの良さといい、パーフェクトな演奏でした。このホールの演奏会シリーズではハイドンの交響曲を連続して演奏しているそうですが、今日の演奏を聴く限り、神奈川フィルとハイドンは余程相性が良さそうです。多分、小編成のモーツァルトも良さそうな気がします。今後、注目です。
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