後半のプログラム、オルフの《カルミナ・ブラーナ》はオーケストラの背後に大合唱団、神奈川フィル合唱団がすらっと並びます。基本的にアマチュアの合唱団でしょうから、どれほどの迫力があるのでしょうか。冒頭の《おお、運命の女神よO Fortuna》が始まります。この有名なフレーズが実に大迫力で歌われます。背筋がぞくぞくするほど感銘を覚えます。第2曲の《運命の女神の痛手をFortune plango vulnera》でもダイナミックな合唱が続きます。しかし、いつしか、saraiは気持ちよくなって、また寝落ち。時々、この素晴らしい合唱を聴きますが、またすぐに寝落ち。フォルテッシモがホールに響き渡っても関係なしの有様。まあ、ポイント、ポイントはちゃんと?聴いてはいるんです。第3部になって、テノール独唱と入れ替わりにソプラノの三宅理恵が登場します。同時に横浜少年少女合唱団も舞台上に上がります。役者が揃ったという感じです。でも、美しいソプラノ独唱の《愛神はどこもかしこも飛び回るAmor volat undique》を聴いて、また気持ちよくなって寝落ち・・・。このままの状態で今日の公演を聴き終わるのかしらと思っていたら、さにあらず。ソプラノ独奏の有名な《天秤棒に心をかけて In trutina》を聴いて、心が洗い清められるような感覚になって、すっかりと覚醒します。三宅理恵の抑えた歌唱が心にしみじみと響いてきます。現世の愛の喜びを歌っていますが、内容とは離れて、清澄そのものの歌声です。惜しむらくは曲が短いことです。繰り返しをもう1回ほど追加してくれればいいのにね。続いて、合唱、児童合唱、バリトンソロ、ソプラノソロが一緒になっての《今こそ愉悦の季節 Tempus est iocundum 》です。歌詞の通り、実に愉悦に満ちたノリの良い音楽が繰り広げられます。こちらの気持ちもだんだんと高揚していきます。男の恋心が燃え上がる様子が見事に表現されます。続いて、いよいよソプラノ独唱の三宅理恵が持てる力をすべて出し切って、大変な高音で頂点を作ります。《とても、いとしいお方 Dilcissime 》です。男の恋心をしっかりと受け止める決心を歌い上げます。短い曲ではありますが、多分、三宅理恵は彼女の全精力をここに注ぎ込んだんでしょう。ちょっと高音が上がりきっていないようにも思えましたが、そんなことは問題にならないような渾身の歌声に感銘を受けました。そして、大合唱が実にロマンチックかつ迫力十分に美しい乙女を讃える賛歌を絶唱します。これは感動ものです。《アヴェ、この上なく姿美しい女 Ave formosissima》です。そして、締めは冒頭の合唱に戻ります。《おお、運命の女神よ O Fortuna》です。感動の大合唱です。神奈川フィル合唱団は見事な歌声を聴かせてくれました。saraiは満足です。
今日のプログラムは以下です。
指揮:現田茂夫
ソプラノ:三宅理恵
テノール:中井亮一
バリトン:吉江忠男
合唱:横浜少年少女合唱団 神奈川フィル合唱団
管弦楽:神奈川フィル
モーツァルト:歌劇「ドン・ジョヴァンニ」より序曲、
「酒がまわったら今度は踊りだ」
「ぶってよ、マゼット」
「私の幸せは彼女にかかって」
「お互い手を取り合おう」
《休憩》
オルフ:カルミナ・ブラーナ
これでヨーロッパ遠征前の国内のコンサートはお終い。次は《ブレゲンツ音楽祭》、《ザルツブルグ音楽祭》のレポートをお届けしますので、ご期待ください。
↓ saraiのブログを応援してくれるかたはポチっとクリックしてsaraiを元気づけてね
いいね!
