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ウィーン・フィルの美しきマーラー10番@ザルツブルク音楽祭(祝祭大劇場) 2016.7.30

いよいよ、ザルツブルク音楽祭を聴き始めました。まずはウィーン・フィルの演奏会。指揮はダニエル・ハーディング。目玉は前半に演奏されたペーテル・エトヴェシュの《ハレルヤ》の世界初演でしょう。エトヴェシュは1944年生まれのハンガリーの作曲家です。《ハレルヤ》は同じハンガリーのペーター・エステルハーツィのテキスト(ハンガリー語)に基づくオラトリオでザルツブルク音楽祭により委嘱された作品です。現代の諸相を語り手、独唱(メゾ・ソプラノ、テノール)、合唱、管弦楽で表現した4楽章の大規模な作品です。基本は声楽と語り手によるペーター・エステルハーツィのテキスト(ドイツ語翻訳)を歌い、語ることにあります。管弦楽はノントナールな表現で声楽と語り手を伴奏音楽的に支えるという役割です。これって、まさに映画音楽的ですね。内容は、我々が何者で、どこから来て、何を欲しているのかということを軽妙、かつ深刻という微妙なバランスで表現しています。中心的な素材は2001年の9.11の事件や1914年のサラエボ事件が扱われています。音楽的にも微妙なバランスを保っており、前衛的かつ古典的でもあります。ロベルト・シューマンのピアノ曲集《森の情景》の第7曲《予言の鳥》をメイン・モチーフに、もちろん題名にもある《ハレルヤ・コーラス》を散りばめて、比較的、とっつきやすい感じの楽曲に仕上がっています。独唱者の二人は見事な歌唱。特にメゾ・ソプラノのイリス・フェルミリオンの安定した表現力豊かな歌唱が印象的でした。また、ハンガリーの合唱団も自国の作曲家の作品だけに歌い込んだ完璧な響きを聴かせてくれました。ウィーン・フィルはまあこんなものでしょう。実力通りの合奏力を聴かせてくれました。感銘度がさほどでなかったのは、熱い音楽ではなかったことが主要因のような気がします。元からそんなものを目指していない音楽です。聴き手としても現代のこういう冷めた作品をどういう感性で受け止めるかを問われてしまいます。saraiにはまだそんな力はありません。

休憩後の2曲は最初の曲と同様にウィーン・フィルが初演した曲です。ブラームスの《ハイドンの主題による変奏曲》は1873年にブラームス自身の指揮によりウィーン楽友協会で初演されました。ブラームスはその前年に楽友協会の音楽監督になっていました。この作品はブラームスの作品にしては食い足りない感じですが、まだ、交響曲第1番を作曲する以前の初期の管弦楽曲なので致し方ないかもしれません。ウィーン・フィルの特に管楽器の柔らかい響きには魅了されました。

この日、一番の聴きものだったのはマーラーの交響曲第10番の第1楽章《アダージョ》です。期待していましたが、期待通りの素晴らしい演奏にもううっとりして聴き入ってしまいました。マーラーを愛し、ウィーン・フィルを愛するものにとっては堪らない演奏です。それに指揮のハーディングはこの曲でウィーン・フィルへのデビューを果たしたという歴史もありますし、ハーディングのマーラー演奏の軸になるのがこの第10番でお得意の曲でもあります。ハーディングの美質はユダヤ的な粘りがなく、清廉に美しくマーラーを演奏するというところです。それがウィーン・フィルにもマッチして、とりわけ美しいマーラーになります。残念ながら熱い共感を持ったという感じにはなりませんが、こういうマーラーもウェルカムです。惜しむらくはアダージョのみだったことです。全曲聴きたかったところです。アダージョ自体もクック版だったので、そのまま、第2楽章以降に進んでいってもらいたかったところです。でも、十分満足しましたけどね。

プログラムは以下です。

  指揮:ダニエル・ハーディング
  メゾ・ソプラノ:イリス・フェルミリオン
  テノール:トピ・レティプー
  語り手:ペーター・シモニシェク
  管弦楽:ウィーン・フィル
  合唱:ハンガリー放送合唱団

  ペーテル・エトヴェシュ:Oratorium balbulum. 《ハレルヤ》(世界初演)

   《休憩》

  ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲
  マーラー:交響曲第10番より《アダージョ》(クック版)

明日からはいよいよオペラを聴きます。怒涛の音楽週間に突入です。


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テーマ : クラシック
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       ウィーン・フィル,  

アーヘンゼー鉄道のSL、そして、アーヘン湖クルーズ

イェンバッハの2回目の朝です。7時半の目覚ましで起きると、真っ青な空が広がっています。昨日にも増して青空です。結局、チロルの3日間はお天気に恵まれました。チロル最後のお楽しみはアーヘン湖訪問です。
イェンバッハ駅のアーヘンゼー鉄道に到着すると、すでに大勢の人が蒸気機関車を待っています。今日は土曜日の行楽日和だから、早めに行かないと大人気の蒸気機関車に乗れないよと言う配偶者の提案で早目に出かけてきたのが大正解です。ホームから見ていると、蒸気機関車は既に黒煙を上げ、準備完了のようです。

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ホームに入ってくるようです。さっそく乗り込み窓側の席をしっかり確保。

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私たちが乗った列車は威勢よく汽笛を鳴らして出発します。小さい子供たちと、その付き添いの大勢の大人を乗せた蒸気機関車は、賑やかを通り越してうるさいの何の・・・。シュッシュッポッポッシュッシュッポッポッ、ワイワイガヤガヤワイワイガヤガヤ。リズムよく、一直線に急勾配を登っていきます。この鉄道はアプト式軌道なんです。登山列車そのものです。山の中をあえぎながらエデン駅に到着です。ここまでは蒸気機関車が押し上げる格好でしたが、ここからは下りになるので、蒸気機関車が前に移動し先頭を走ります。こうしてアーヘン湖ゼーシュピッツに到着です。蒸気機関車の到着を待って観光船は出航します。何箇所かの船着場に立ち寄りながらアーヘン湖一周約2時間の船旅です。一番前の席を陣取ります。途中、もう1隻の観光船ともすれちがいます。

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私達は特に何をすると言うこともなく、結果的には、チロルの人達の夏のレジャーの楽しみ方を見せてもらったと言う感じです。ともかくよく歩き、自転車でガンガン走り、水着で日光浴をし、ビーチもどきで泳ぎます。そして、カフェは満員。
船着き場ゼーシュピッツの1つ手前の船着き場ペルティサウでバス停があることを発見して急遽下船します。ここからバスでイェンバッハへ帰ります。帰りも蒸気機関車に乗りたかったのですがちょうどよい時刻の列車がなかったんです。バスの時間までぶらぶら。さて、バスはちゃんとやってくるでしょうか。1時間に1本程度のバスなので、ドキドキしながら待っていると、定刻にやってきます。イェンバッハまで行きことを運転手さんに確認して乗車。出発すると、グルリと村を一周して乗客を乗せ、アーヘン湖畔に出てきます。アーヘンゼー鉄道の終点ゼーシュピッツ(乗船場)を通過して、先に出発した蒸気機関車を追い抜いていきます。なお、この蒸気機関車はイェンバッハまでは行かず、途中のエデン駅止まりなんです。そのエデン駅で蒸気機関車と別れて、素晴らしいドライブウェイをバスは走ります。チロルの景色のまっただなかです。

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無事、イェンバッハに戻ります。
ここからはいよいよレールジェットに乗って、ザルツブルグへ。チロルの景色に別れを惜しみつつうつらうつらするうちに、懐かしいザルツブルクに到着です。市内バスでホテルに到着です。部屋の中にバスタブがあるという面白いお部屋。1週間お世話になります。
まずは、コンサートからスタートです。saraiはタキシードデビューです。勝手知ったるザルツブルクの町をバスで3区間走ると祝祭大劇場。着飾った男女が集結しています。まずはウィーン・フィルのコンサートから始まります。圧巻のマーラーを聴いて満足です。帰りは町中を歩いて、ホテルに帰着。
明日はオペラを聴きます。怒涛の音楽漬けに入ります。


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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
たまには、旅ブログも書きます。

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金婚式、おめでとうございます!!!
大学入学直後からの長いお付き合い、素晴らしい伴侶に巡り逢われて、幸せな人生ですね!
京都には年に2回もお越しでも、青春を過ごし

10/07 08:57 堀内えり

 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
公演では小沢、ショルティだけ

ベーム、ケルテス、ショルティ、クーベリック、
クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
、チェリブ

07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

私も18年前にドレスデンでバームクーヘン食べました。マイセンではB級品でもコーヒー茶碗1客日本円で5万円程して庶民には高くて買えなかったですよ。奥様はもしかして◯良女

06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

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