休憩後の2曲は最初の曲と同様にウィーン・フィルが初演した曲です。ブラームスの《ハイドンの主題による変奏曲》は1873年にブラームス自身の指揮によりウィーン楽友協会で初演されました。ブラームスはその前年に楽友協会の音楽監督になっていました。この作品はブラームスの作品にしては食い足りない感じですが、まだ、交響曲第1番を作曲する以前の初期の管弦楽曲なので致し方ないかもしれません。ウィーン・フィルの特に管楽器の柔らかい響きには魅了されました。
この日、一番の聴きものだったのはマーラーの交響曲第10番の第1楽章《アダージョ》です。期待していましたが、期待通りの素晴らしい演奏にもううっとりして聴き入ってしまいました。マーラーを愛し、ウィーン・フィルを愛するものにとっては堪らない演奏です。それに指揮のハーディングはこの曲でウィーン・フィルへのデビューを果たしたという歴史もありますし、ハーディングのマーラー演奏の軸になるのがこの第10番でお得意の曲でもあります。ハーディングの美質はユダヤ的な粘りがなく、清廉に美しくマーラーを演奏するというところです。それがウィーン・フィルにもマッチして、とりわけ美しいマーラーになります。残念ながら熱い共感を持ったという感じにはなりませんが、こういうマーラーもウェルカムです。惜しむらくはアダージョのみだったことです。全曲聴きたかったところです。アダージョ自体もクック版だったので、そのまま、第2楽章以降に進んでいってもらいたかったところです。でも、十分満足しましたけどね。
プログラムは以下です。
指揮:ダニエル・ハーディング
メゾ・ソプラノ:イリス・フェルミリオン
テノール:トピ・レティプー
語り手:ペーター・シモニシェク
管弦楽:ウィーン・フィル
合唱:ハンガリー放送合唱団
ペーテル・エトヴェシュ:Oratorium balbulum. 《ハレルヤ》(世界初演)
《休憩》
ブラームス:ハイドンの主題による変奏曲
マーラー:交響曲第10番より《アダージョ》(クック版)
明日からはいよいよオペラを聴きます。怒涛の音楽週間に突入です。
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