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パリのホテル、そして、いざ、オペラ座へ

2015年7月7日火曜日@ブリュッセル~パリ/5回目

今回の旅の終着地であるパリに到着し、今日から2泊するホテルのあるモンマルトルMontmartreのムーランルージュMoulin Rougeの大交差点にやってきたところです。ところがここからが大変。同じような建物が並び、どの建物がホテルなのか、さっぱり、分かりません。でも、これはいつものことです。このところ、安宿に泊まることがほとんどなので、大ホテルのように建物がまるごとホテルじゃないので、建物を見ただけではホテルの判別がつかないんです。
仕方なく、交差点の周りをグルリと一周して、ようやくかわいい真っ赤なドアを見つけました。レジデンス ブランシュRésidence Blancheというプチホテルです。

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このパターンは、たいていはこれからが大変なのです。堅く閉じたドアのインターホンを押しますが、無反応。誰か出てくれないと困ります。おーいと心の中で叫びながらインターホンを押し続けますが、駄目です。と、横から少年がやってきて、ドアの暗証番号を押して、ドアを開けてくれます。あんたは誰? ドアの中に入ると、なんとも、小狭い空間に、狭い階段が伸びています。やられた、エレベータがない。とりあえず、saraiだけが2階のレセプションに上がります。配偶者が下で待っていると、先ほどの少年と一緒に大勢の家族が中に入ってきます。少年は宿泊者だったようです。でも、この少年に感謝です。お陰で中に入れたんですからね。この家族は大きなかばんをいくつも持ってホテルから出て行きます。
2階のレセプションはこんな感じのちょっとお洒落な雰囲気です。

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saraiがレセプションに行くと、10分ほど待ってねというメッセージが貼ってあります。スタッフがレセプションを離席していたので、ドアのインターホンに応答しなかったようです。下で待っていた配偶者と荷物を2階に持って上がって、しばらくすると、スタッフのおじさんが戻ってきて、無事に、チェックインできます。ホテルのパンフレットが置いてあるので、ゲットします。夜はこんな雰囲気のようです。

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レセプションのある2階からは小さな小さなエレーベータがあり、4階の部屋には階段を上らずに楽々と直行です。狭いながらも、小奇麗な部屋です。ベッドも快適そうです。

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小さなバルコニーもあります。後でそこからの眺めを楽しみましょう。

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壁にはお馴染みのポスターの複製が飾られています。いかにもモンマルトルのホテルらしい装飾です。

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部屋には小さなキッチンも付いています。

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もちろん、鍋や食器も完備。

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部屋にはエアコンはありませんが、天井に巨大な扇風機が付いています。これがとても強力なんです。とは言え、あんまり暑くはないし、快適に過ごせそうです。

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バスタブがないのが残念です。もうすぐ、帰国ですから、シャワーのみで我慢しましょう。1泊13,000円ほどの部屋代ですから、贅沢言えませんしね。

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さて、バルコニーに出てみましょう。

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先ほどの交差点が見下ろせます。メトロの出入り口(メトロ2号線のブランシュ駅Blanche)も見えます。ムーランルージュは見えていませんが、大通りの右手のお隣にあります。

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これは大通り(クリシー通りBoulevard de Clichy)の交差点(ブランシュ広場Place Blanche)から伸びているルピック通りRue Lepicです。部屋はこの通りに面しています。

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さあ、このホテルの部屋で2泊3日のパリの暮らしを楽しみましょう。

しかし、パリの凄まじい混沌とした雰囲気に疲れました。一服しましょう。saraiと配偶者はぐっすりお昼寝して夜のオペラに備えます。疲れがとれて、頭がすっきりしたところで、久々に正装してオペラに出かけます。メトロの2号線と3号線を乗り継いでパリ・オペラ座Opéra(ガルニエ宮Palais Garnier)へ。4年ぶりのオペラ座です。オペラ座の前はオペラには関係ない大勢の観光客で賑わっています。パリの名所ですからね。

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思わず、オペラ座の建物を見上げます。壮麗でありながら、実にお洒落です。陽光を浴びて、輝いています。

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早速、中に入ります。エントランスロビーの先には美しい階段が待っています。

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天上を見上げれると、美しいフレスコ画が描かれています。

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チケットをカバンから取り出します。今日はバロックオペラ《アルチェステ》を見ます。チケットはネットで購入しました。舞台前から2列目中央という素晴らしい席がゲットできました。

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チケットを提示して、ホール内部に入ります。まずは天井画と久しぶりの対面です。 シャガール作の「夢の花束」です。何度見ても美しいですね。

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今日は演出上、幕は開いていて、舞台のセットが見えています。

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そろそろ、開演です。オペラはこの開演前のワクワク感がたまりません。そもそも、このオペラが見たくて、旅の最後にこのパリに立ち寄ったんです。



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ブラームス_弦楽五重奏曲第2番を熱演:プラジャーク・カルテット@鶴見サルビアホール 2016.12.2

プラジャーク・カルテットは40年以上のキャリアを誇るチェコの名門アンサンブルです。2010年になって、カルテット設立時から第一ヴァイオリンを担ってきたヴァーツラフ・レメシュが引退を余儀なくされたため、何人かのヴァイオリニストがその役を引き受けてきましたが、ようやく、昨年より、現在の若手女性ヴァイオリニストのヤナ・ヴォナシュコーヴァがその任を負うことになりました。プラジャーク・カルテットの新時代が始まったようです。今日の演奏を聴くと、安定したアンサンブルが醸し出されていました。

前半はまず、ハイドンの弦楽四重奏曲 第81番(第66番) Op.77-1が演奏されます。ハイドンの晩年の作品で、未完成の第83番を含めると、最後から3番目の弦楽四重奏曲です。既にメロディーの美しさに頼らずに骨格のしっかりした傑作だと思える作品です。今日の演奏は水準以上の演奏で、すっかりとその響きに惹き込まれてしまいました。特に第1楽章のリズミカルでありながら、時折、大胆にテンポを変える、熟達した演奏は素晴らしいものでした。予習したCDは以下です。

 エマーソン・カルテット
 エンジェルス・カルテット

いずれも素晴らしい演奏ですが、全集盤の1枚であるエンジェルス・カルテットの演奏の美しさには驚愕しました。今日のプラジャーク・カルテットの演奏もそれに迫るものでした。

前半の最後はブルックナーの弦楽四重奏曲。弦楽五重奏曲は有名ですが、この四重奏曲はブルックナーの初期の作品です。まだ、交響曲を作曲するのはこの後になります。初期の作品とは言え、後期ロマン派の香りの漂うロマンティックで美しい作品です。今日の演奏もまったく美しい演奏で、大変、満足しました。それに滅多に聴けない珍しい作品ですから、それが聴けた喜びもあります。

後半はブラームスの弦楽五重奏曲 第2番 Op.111です。プラジャーク・カルテットにロータス・カルテットのヴィオラ奏者の山碕智子が加わっての演奏です。これもあまり演奏機会の多い作品ではないので、しっかりと聴かせてもらいましょう。予習したのは以下のCDです。

 ブダペスト四重奏団、トランプラー
 ハーゲン・カルテット、コセ
 アマデウス四重奏団、アロノヴィッツ

ブダペスト四重奏団はベートーヴェン演奏では素晴らしい演奏を聴かせてくれますが、この演奏はもうひとつです。硬い響きの演奏でこの作品の良さが引き出せていません。一方、アマデウス四重奏団はとても美しい演奏です。さらに素晴らしいのがハーゲン・カルテットです。ブラームスの晩年の作品の素晴らしさを実感させてくれます。メロス・カルテットのCDも評判がよいのですが、未聴です。

さて、今日の演奏ですが、第1楽章のスケール感と分厚い響きに聴き入りました。ちょっと弾き込み不足で完璧なアンサンブルでなかったのは残念ですが、この曲の持つ雰囲気は十分に伝わってきました。第2楽章と第3楽章の魅惑的な美しさは万全の演奏で大変聴き入ってしまいました。第4楽章はもともとブラームスの創作力が衰えたと感じさせるものなので、それなりにしか、心に響いてきません。第4楽章さえ、万全に作曲されていたら、この作品は大傑作になったんですけどね・・・。もっとも、この翌年にあの名曲、クラリネット五重奏曲が生まれるんですから、まあ、いいでしょう。ともあれ、全体としては大変、充実した演奏でした。ブラームスらしい美しいメロディーの数々には酔わされてしまいました。

今日のプログラムは以下です。

  弦楽四重奏:プラジャーク・カルテット
   ヴァイオリン:ヤナ・ヴォナシュコーヴァ ヴァイオリン:ヴラスティミル・ホレク
   ヴィオラ:ヨセフ・クルソニュ チェロ:ミハル・カニュカ
  ヴィオラ:山碕智子=ロータス・カルテット

  ハイドン:弦楽四重奏曲 第81番(第66番) Op.77-1
  ブルックナー:弦楽四重奏曲

   《休憩》

  ブラームス:弦楽五重奏曲 第2番 Op.111

   《アンコール》
    モーツァルト:弦楽五重奏曲第1番変ロ長調 K.174から第3楽章メヌエット・マ・アレグレット



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テーマ : クラシック
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美しきパリ・オペラ座

2015年7月7日火曜日@ブリュッセル~パリ/6回目

やはりパリのオペラ座は素晴らしいです。建物も立派ですが、素晴らしいオペラです。今日のお隣は、我々よりちょっと若めの日本人ご夫妻。バロック・オペラ好きで、毎年この時期に出かけてくるそうです。楽しくおしゃべりします。
幕間には久々にオペラ座を見学します。まずはドリンクを持って、2階のバルコニーに出ます。そこからはオペラ座前広場Place de l'Opéraが見渡せます。広場の先にはオペラ通りAvenue de l'Opéraが続いています。見渡す限り、美しいバロック建築の建物が建ち並んでいます。

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広場の右側に見えている建物は4つ星ホテルのル・グランLe Grandが入っている建物ですね。

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バルコニーのテラスでコカ・コーラを飲みながら、眺めを楽しんでいます。

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今いるバルコニーはこんな感じのところです。

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ここから上を見上げるとこんな感じ。豪華な建物です。

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向かいに見えるル・グランが入っている建物の最上階の部屋のバルコニーで若い女性がまわりの風景をスマホで撮影中です。この部屋はル・グランの宿泊室なのかな。

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この若い女性の部屋の真下を見ると、ホテル ル・グランの名前のある入口があります。

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この建物には有名カフェのカフェ・ド・ラ・ペCafé de la Paixがあります。このカフェでかって食べたスィーツの美味しさを思い出します。オペラが終わった後で寄ってみようかな。

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再び、広場に目をやります。ずいぶん、日が傾いてきて、広場に面する建物が夕日を浴びて輝いています。もう、夜の9時過ぎですからね。

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バルコニーでの見物にも飽きて、今度はオペラ座の建物の中を見てまわります。大回廊はこんなにもゴージャスです。その豪華さに呆れかえります。ずらっと並ぶシャンデリアが凄いです。天井画も金色に彩色された柱も凄いです!

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あまりの豪華さに酔いしれながら、大回廊を歩きます。

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こちらの回廊も素晴らしいですね。

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エントランスロビーの大空間です。名建築家シャルル・ガルニエの美しいデザインです。

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本当にこの空間の美しさには驚かされます。天井のフレスコ画まで、どこにも手抜きは一切ありません。

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とりわけ美しいのは階段です。大階段の先は左右に階段が分かれています。階段の緩やかな曲線がとても美しいですね。直線は悪だと言ったのはガウディでしたっけ?

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天井を再び見上げます。あかり取りのガラス天井の幾何学模様までデザインされています。フレスコ画はもちろん、周りに配置されているシャンデリアまでパーフェクトです。うーん、素晴らしいね。

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再び、回廊を巡ります。この回廊は比較的、簡素ですが、シャンデリアが美しいです。

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オペラ座の内部見学を終えたところで30分の休憩時間が終わり、オペラの3幕目が始まります。今日のオペラはグルックの《アルチェステ》。オーストリアの作曲家グルックのフランス語版のバロックオペラです。マルク・ミンコフスキ指揮のグルノーブル・ルーヴル宮音楽隊の見事なオーケストラ演奏、タイトルロールのソプラノ、ヴェロニク・ゲンスの美しい歌唱で大変、満足しました。このオペラの詳細な感想はここに書きました。

終幕後、上機嫌でオペラ座を出て、カフェ・ド・ラ・ペに向かいます。さきほどオペラ座のバルコニーから見下ろしていたオペラ座前の超高級カフェです。オペラ座が見えるテラス席に着きます。

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夜の10時半過ぎですが、店内は結構、混んでいます。

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食事もできますが、もう、夜も遅いので、贅沢にケーキと紅茶をいただきます。ちなみに、普通の夕食よりもこのケーキと紅茶の料金のほうが高いですっ。ケーキはこのカフェではオペラ(チョコレートケーキ)が有名ですが、sarai一押しの特製ミルフィーユをいただきます。まあ、それは美味しいこと、この上なしです。

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涼しい夜風に吹かれてモンマルトルのアパルトマン風のホテルに戻ります。今度はちゃんとドアは開きます。ちゃんと暗証番号を知っていますからね。ムーランルージュの隣という立地から、夜遅くまで騒がしいです。その人声を聞きながらブログを書きます。オペラの感動はその日のうちに書いておかなくてはね。
明日はモンマルトル散策し、夜はまたオペラ座通い。今度はバレエを見ます。楽しみは尽きません。



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パリの朝はやっぱり、フランスパンだね!

2015年7月8日水曜日@パリ/1回目

旅の20日目、パリ2日目です。

今日は7時半に起床です。なぜかというと・・・パリのパン屋さんの開店が7時半だからです。パリの朝は、フランスパンの買出しからでしょう。直ぐ近くに、今年のバゲットコンクール第一位を獲得したパン屋さんがあるのです。アパルトマンを出て、ルピック通りRue Lepicをモンマルトルの丘を登る方向に歩きます。まだ、朝8時前ですが、パン屋さんだけでなく、パリのお店屋さんは朝が早いですね。八百屋さんがもう店を開けています。

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チーズ屋さんももう開店しています。

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スーパーも開店準備で忙しそうです。

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おー、肉屋さんも開店していますね。

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肉屋さんのお隣の魚屋さんはまだ準備中です。

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何とカフェも始まっています。

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これはハム屋さんですね。市民の生活に直結したお店はほとんど動き出していますね。

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目指すパン屋さんは、なぜか見つかりません。番地を順に追って見て行くと、ようやくお店が見つかりますが、お店は閉まっています。今日はお休みなのでしょうか。変ですね。ル・グルニエ・ア・パンLe Grenier à Painというお店です(後で知りましたが、今や、東京にも何店も支店を出店しているようです)。

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ならば、ご近所のパン屋さんにしましょう。さきほど目に留まっていたパン屋さんのほうに戻ります。チーズ屋さんの近くだったはずです。

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ありました。ラ・パリジェンヌLA PARISIENNE Lepicというお店です。お店の外は工事中ですが、内部は普通通りに営業中です。

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美味しそうなパンが並んでいます。

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ほらほら凄いでしょう。

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それ以上に凄いのがひっきりなしにやってくるお客さん。お近所さんや通勤途中の人などでいっぱいですが、パン屋の娘さんが、客をテキパキとさばいていきます。これはお見事です。我々もパンをこの娘さんにお願いします。sarai憧れのフランスパン(バゲット)と配偶者憧れのクロワッサンを購入。お店の一角にあったチキンサラダもお願いすると、なんと小さなビンに入ったドレッシングとおまけのパンが付いてきます。ばっちりですね。これで美味しい朝食が頂けます。アパルトマンに戻り、さっそく紅茶を淹れて頂きます。
これが買ってきたパンです。

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saraiはバゲットと記念撮影。

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これがチキンサラダとおまけのパンとドレッシング。

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飲み物は本場のフランスでオランジーナをゲット。

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朝食は豪華です。これぞ、パリならではですね。

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クロワッサンは、プーンとバターの香りが漂い、パリパリの外側がこぼれます。フランスパンは、外はパリパリで中はむっちりです。パンにつけるバターは、昨日のタリスのランチについていたものを、ちゃっかりゲットしてきました。ちょっとだけ必要なドレッシングやバターなどがなかなか手に入らないんですよね。今日はばっちりです。サラダもチキンがとてもやわらかく香ばしくて美味しいです。大満足の朝食です。で、早起きしたsaraiはゴソゴソとベッドに潜り込みます。無理な早起きだったんです。特に予定もないので、しっかり休養することにします。

そろそろお昼になります。いくら何でもいい加減出かけないとね。昨夜のオペラでご一緒だったご夫妻のお話によると、1週間ほど前にパリに着いたときは、猛烈な暑さだったとのことですが、昨日からはうす曇りで、今日は冷たい風が吹き、寒いくらいです。長袖のTシャツを着て、羽織るものも持って出かけましょう。せっかくモンマルトルの宿に泊まっているので、モンマルトルを散策しましょう。アパルトマンを出ると、にぎにぎしいモンマルトルMontmartreの中心の交差点、ブランシュ広場Place Blancheです。もう、いろんなお店で賑わっています。

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モンマントル散策を開始します。



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モンマルトル散策:散策は始めたものの・・・トホホ

2015年7月8日水曜日@パリ/2回目

モンマルトルMontmartreの中心の交差点、ブランシュ広場Place Blancheからモンマントル散策を始めます。まずはモンマルトルと言えば、ここ。そう、ムーランルージュMoulin Rougeです。

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ムーランルージュと言えば、フレンチ・カンカンの総本山のようなところです。そのショー、フェリFéerieの入口はここです。いかにもそれらしい雰囲気ですね。ちなみにフェリFéerieというのは、ミュージックショーの題名で「妖精・魔法・おとぎの国・夢の世界」という意味だそうです。

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さて、散策の出発点のブランシュ広場を見ておきましょう。この広場はクリシー通りBoulevard de Clichyにある交差点です。広場には、観光列車プチトランも停車中です。

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このブランシュ広場の古ぼけた建物が滞在中のアパルトマンです。写真の中央がそれです。左側にあるのがムーランルージュ(風車は写っていませんが)です。

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さあ、クリシー通りを歩きだしましょう。大きな通りの真ん中に並木道の歩道があります。両側が車道なんです。散策の方針としては、モンマルトルの丘の一番上のサクレクール寺院までモンマルトル・バスで登り、そこから下りながら散策しましょう。モンマルトルの丘は結構急な坂道なんですよ。モンマルトル・バスのバス乗り場に向かって歩きます。

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歩道の横を走る車道はこんな感じ。

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もちろん、車道の端にも建物に沿って歩道がありますが、真ん中の並木道のほうが気持ちよく歩けます。

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散策は気持ちよく続きます。(この後、落とし穴があるのはこの時点では知る由もありません。)

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これはクリシー通りと交差するラシェル通りAvenue Rachelです。綺麗な並木道ですね。我々はまっすぐにクリシー通りを進みます。

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クリシー通りの歩道はとっても道幅が広く、車道の幅よりも広いくらいです。

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前方に妙な金属の球があります。リンゴの形のオブジェですね。

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クリシー通りは突き当りになって、左に折れ曲がっています。このあたりがバス停でしょうか。

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メトロの入口もありますね。ちょうど、メトロ一駅分、歩いてきたことになります。

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ところが肝心のバス乗り場がさっぱり、見当たりません。それもその筈、saraiが完全に考え違いで全く反対の方向に行ってしまい、無駄足。ここはクリシー広場Place de Clichy。本当は反対方向にあるピガール広場Place Pigalleにモンマルトル・バスのバス乗り場があるんです。引き返すしかありませんね。まあ、どうせ、パリの街歩きをしているんですから、散策をしたと思えば、間違いもなにもないでしょう。同じ道を歩きのも悔しいので、クリシー通りの裏通りのドゥエ通りRue de Douaiを歩きます。

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再び、クリシー通りに戻ります。どんどん、裏通りを歩いていると、また、道に迷いそうですからね。

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ようやく、散策の出発地点のブランシュ広場に戻ってきました。滞在中のアパルトマンの建物も見えています。これで振り出しです。

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またまた、ムーランルージュのお出迎えです。

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また、クリシー通りの中央の歩道に渡ります。

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ブランシュ広場のメトロの入口です。アールヌーボーのお洒落なデザインですね。

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一応、ここまで間違って歩いた散策ルートを地図で確認しておきましょう。

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さあ、ここから、再び、モンマルトル散策を再開しましょう。



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モンマルトル散策:モンマルトル・バスで高台へ

2015年7月8日水曜日@パリ/3回目

モンマルトルMontmartreの中心の交差点、ブランシュ広場Place Blancheからモンマントル散策を再開します。道に迷って、ここにまた戻ってきたことはさっぱりと水に流しましょう。リスタートです。
ブランシュ広場からさっきとは反対方向に進みますが、いきなり、怪しそうなお店が続きます。お昼だからいいですが、夜だったら歩けませんね。

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とりあえず、クリシー通りBoulevard de Clichyの真ん中の並木道を気持ちよく歩いていきます。

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ま、怪しいお店以外は綺麗な街並みが続いているんです。

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ピンクのネオンサインのお店が次々に登場します。ここはパリの場末っていう感じです。

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そういう街並みの中を観光客を乗せたプチトランが通り過ぎます。saraiは公共交通機関の利用にこだわっていますので、乗りません。

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やがて、ピガール広場Place Pigalleに到着。

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ピガール広場の中央のメトロの出入り口付近でモンマントル・バスの乗り場を探します。

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バス乗り場はすぐに見つかります。

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すぐにモンマントル・バスMontmartrobusがやってきます。モンマルトル・バスはミニバスです。早速、乗り込みます。結構、混み合っていますね。

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バスには観光客だけではなく地元の人もそれなりに乗っています。我々は一番後ろの席に陣取ります。

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このモンマントル・バスはどの道を行くのかと思ったら、ピガール広場を出発して少しクリシー通りを進んだ後、オイオイ大丈夫かと思うような細い道に左折して入っていきそうです。

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とっても狭いマルティル通りRue des Martyrsに入っていきます。両側に車が駐車しているのでこすりそうです。でも、上手にすり抜け、かなりのスピードで坂道をどんどん登って行きます。左折してアベス通りRue des Abbessesに入ります。どんどん観光客が増えていきます。

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今度は右方向のデュランタン通りRue Durantinに入っていきます。ますます狭い道です。これがデュランタン通りに入った角を振り返って見たところです。

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デュランタン通りを少し進んだ後、左折してトロゼ通りRue Tholozéを進みます。また、アベス通りに戻ります。すると左手にルピック通りRue Lepicが見えます。この通りはよく知っています。朝、フランスパンを求めて歩いた道です。何てことはない・・・ここからホテルまでは歩いて5分か10分くらいです。歩いてきたほうが圧倒的に早かったですね。

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バスの中にパリの子供たちがニコニコしながら乗っています。やっぱり、バスに乗ってきて、よかったかもね。パリの地元の雰囲気が感じられます。

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曲がりくねったルピック通りをバスはどんどん上り、やがて、サクレクール寺院も見えてきます。このまま乗っていたら、通り過ぎていきそうです。そろそろこの辺りで降りましょう。ソル通りRue des Saulesにあるレ・ヴィーヌLes Vignesというバス停です。モンマルトルの高台です。

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目の前には葡萄畑が広がっています。パリ産のワインで有名なワイン畑ですね。

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ここまでのルートを地図で確認しておきましょう。

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さあ、サクレクール寺院を目指して歩きましょう。



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12月7日はクララ・ハスキルの日

今日はsaraiの最愛のピアニスト、クララ・ハスキルが56年前に亡くなった日です。これから12月7日はハスキルの日にすることにします。

saraiがクララ・ハスキルに夢中になったのは今年に入ってからです。もちろん、若い頃から彼女のレコードは聴いていましたが、こんなに凄いピアニストであることは分かっていませんでした。現在のところ、モーツァルトのピアノ協奏曲を集中的に聴いています。きっかけになったCDはフリッチャイとコンビを組んで録音したピアノ協奏曲第19番ヘ長調K.459を聴いたことです。これですっかり、虜になってしまい、入手できそうなモーツァルトのCDはほとんどコレクションしました。

クララ・ハスキルが世界の檜舞台で活躍するようになったのは第2次世界大戦後のこと。若い頃はいろいろあって、花が開きませんでした。ほとんどの録音は1950年代のものです。ハスキルが55歳を超えてからのことです。同時代を生きた音楽家に讃えられる存在になりました。本人はあくまでも謙虚で決して自信家ではありませんでしたが、彼女の演奏を耳にした人はすべからく、その演奏に惹き付けられたようです。そのキャリアが頂点に達した1960年に悲劇が起きます。パリのシャンゼリゼ劇場でアルトゥール・グリュミオーとヴァイオリン・ソナタのリサイタルを開いた12月1日の数日後、12月6日に彼女はパリからブリュッセルに鉄道で移動します。ブリュッセルでアルトゥール・グリュミオーとリサイタルを開くためです。ブリュッセル南駅ではグリュミオーの代わりにグリュミオー夫人が迎えに来ていました。その駅の階段でクララ・ハスキルは転倒して、頭を打ちますが、意識はあったそうです。救急車で病院に運ばれたクララ・ハスキルはその日のうちに開頭手術を受けますが、その後、意識が戻ることはなかったそうです。そして、翌日の12月7日の午前1時に帰らぬ人になりました。彼女は現在、パリのモンパルナス墓地Cimetière du Montparnasseで静かに眠っています。彼女は常々、自分がピアノが弾けなくなる前に神様が天国に連れていってほしいと言っていたそうですから、この悲劇も運命として、彼女自身も我々も受け入れるべきなのかもしれません。

ハスキルの日には彼女のCDを聴いて過ごすことにしましょう。何を聴こうかな。もちろん、モーツァルトですが、たまにはピアノ協奏曲ではなく、ピアノ・ソナタを聴きましょう。彼女の残した録音は第2番と第10番だけです。以下がその一覧です。(*は所有しているもの)

 ピアノ・ソナタ第2番 K.280

 *(1)...60/05/05-06、ルツェルン (DGG)


 ピアノ・ソナタ第10番ハ長調 K.330

  *(1)...54/05/05-06、アムステルダム (Philips)
 *(2)...57/08/08、ザルツブルク音楽祭ライブ(モーツァルテウム) (ORF)
 *(3)...57/08/23、エジンバラ音楽祭ライブ (THARA)

1957年のザルツブルグ音楽祭で弾いたピアノ・ソナタ第10番 K.330を聴きましょう。ほぼ、60年前の演奏です。このCDには、ほかに以下の曲が録音されています。

 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第18番変ホ長調 Op.31-3
 シューベルト:ピアノ・ソナタ第21番変ロ長調 D.960

期待通り、会心の演奏でした。ハスキルらしい芯のしっかりしたタッチの純度の高い響きで、そのピアノの音を聴いているだけで天国的な気持ちになります。モーツァルトのこのソナタはハ長調というシンプルな調ですが、ハスキルのピアノはその単純さの奥に深い精神性をかいま見せてくれます。一方、ベートーヴェンはしっかりした音楽をハスキルらしいピュアーな響きとともに聴かせてくれます。そして、最高だったのはシューベルトの最後のソナタです。これはどうのこうのと言う演奏ではなく、ハスキルとシューベルトが魂の深いところでつながっているようなパーフェクトな演奏です。ああ、そこはそんな風に弾くのねって、終始、感銘を受けながら聴き続けました。特に第2楽章の美しさが心に沁みました。それに第4楽章の超絶的な世界は凄い。いつも、この曲は第1楽章に魅了されますが、この演奏は全楽章、惹き付けられて、長さを感じさせません。なお、ハスキルが残したシューベルトのソナタの録音はこの第21番のほかには第16番があるだけですが、この第16番も美しい演奏です。

ここで聴き終えても満足ですが、やっぱり、ハスキルと言えば、モーツァルトのピアノ協奏曲、それも第19番を聴きたいですね。今日はどのCDを聴きましょうか。以下が彼女の残した全録音、8種です。

 ピアノ協奏曲第19番ヘ長調 K.459

  *(1)...50/09/23-24、ヴィンタートゥール ヘンリー・スウォボダ、ヴィンタートゥール交響楽団(Westminster)
  *(2)...52/05/30、ケルン フェレンツ・フリッチャイ、ケルン放送(WDR)交響楽団(MEDICI MASTERS)
 *(3)...53/01/20、ベルリン フェレンツ・フリッチャイ、RIAS交響楽団(THARA)
 *(4)...55/09/21-22、ベルリン フェレンツ・フリッチャイ、ベルリン・フィル(DGG)
 *(5)...56/07/04、ルドヴィクスブルク カール・シューリヒト、シュトゥットガルト放送交響楽団(Hanssler Swr Music)
  *(6)...56/09/06、ブザンソン(市立劇場) イェジー・カトレヴィッツ、パリ音楽院管弦楽団(INA)
  *(7)...57/10/04、ローザンヌ ヴィクトル・デザルツェンス、ローザンヌ室内管弦楽団(Claves)
  *(8)...59/02/19、パリ(シャンゼリゼ劇場) コンスタン・シルヴェストリ、フランス国立管弦楽団(INA)

フリッチャイとの3種の録音も素晴らしいですが、実はsaraiはオーケストラはともかくとして、少なくともハスキルのピアノに関してはどの演奏も好きなんです。今日は7番目の1957年のデザルツェンス指揮ローザンヌ室内管弦楽団のCDを聴きましょう。一緒に録音された以下の演奏も聴きます。

 ピアノ協奏曲第24番ハ短調 K.491

オーケストラはまあ、そこそこの演奏ですが、ハスキルのピアノは何度聴いてもインスパイアされます。ピアノの響きは彼女にしか出せない響きです。ハスキルの第19番は最高です。第24番のほうもいいのですが、ピアノの高域の響きがワーンと反響した感じでよく聴き取れないのが残念です。

saraiのこれからの人生はハスキルとともにあると言っても過言でないほど、彼女のピアノに恋しています。


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       ハスキル,  

モンマルトル散策:賑やかな通りの先にサクレ・クール寺院

2015年7月8日水曜日@パリ/4回目

モンマルトル・バスMontmartrobusでピガール広場Place Pigalleからモンマントルの丘の上のバス停、レ・ヴィーヌLes Vignesにやってきました。
バスを降りたところはソル通りRue des Saulesの坂道です。迷わずにこの坂道を上っていきます。坂道の頂点にサクレ・クール寺院Basilique du Sacré-Cœurがある筈です。

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坂道の途中にピンク色の印象的な建物があります。これはラ・メゾン・ローズLa Maison Roseというレストランで、ユトリロが描いた絵に登場する建物です。その絵はオランジェリー美術館にあるそうです。ところで店の名前からすると、建物の色はピンク色ではなくて、バラ色なのか・・・。

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このアングルからユトリロはラ・メゾン・ローズを描いています。

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このラ・メゾン・ローズの前で道が二手に分かれています。緑も綺麗ですね。

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前を行く若いカップルは左に曲がっていきます。そっちに行くのかな。

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おや、その左手の道からプチトランがやってきます。観光ルートのようです。が、案内板の説明を見ると、こっちはモンマルトル博物館Le Musée de Montmartreへ行くコルト通りRue Cortotで、サクレ・クール寺院へはまっすぐに進むようです。

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まっすぐに坂道を進むと右側にゴッホのパネルがあります。何故か、オーヴェールで描いた絵画が主題です。まあ、ゴッホはモンマルトルゆかりの画家ですから、そんなにおかしなことではありませんけどね。

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後ろを振り返ります。ソル通りの坂道をかなり上ってきました。結構、疲れます。

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おや、また、ゴッホのパネルがあります。今度こそ、モンマルトルを描いた絵画ですね。ムーラン・ド・ラ・ギャレットMoulin de la Galetteとタンギー爺さん。ムーラン・ド・ラ・ギャレットはルノワールの作品でも有名ですね。後で是非、行ってみましょう。タンギー爺さんはモンマルトルで小さな画材屋を営んでいて、ゴッホも親しくしていました。

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ソル通りの坂道をどんどん上っていくと、だんだんと賑やかな一画が近づいてきます。

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ソル通りの突き当りまでやってきました。ノルヴァン通りRue Norvinsです。お店が増えて、観光客も一気に多くなります。

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突き当りで左に折れて、ノルヴァン通りを進みます。大観光地ですね。

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すぐにテルトル広場Place du Tertreに出ます。

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このテルトル広場には似顔絵を描く画家が集まっています。あまり、品のいい場所ではありません。似顔絵描きに客引きされる前にさっと通り過ぎましょう。

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テルトル広場を横目に見ながらノルヴァン通りを進むと、モン・スニ通りRue du Mont Cenisにぶつかります。前方にはサクレ・クール寺院の塔も見えてきます。

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右手に折れて、モン・スニ通りを進みます。左側にはサン・ピエール・ド・モンマルトル教会Église Saint-Pierre de Montmartreの高い壁があります。

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最初の角でモン・スニ通りを左に折れて、サン・ピエール・ド・モンマルトル教会の建物の壁沿いにアゼ通りRue Azaisを進んでいくと、サクレ・クール寺院が近くなります。

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素敵な撮影ポイントが多過ぎて、寄り道ばかりでなかなか進めませんでしたが、ようやくサクレ・クール寺院に到着です。素晴らしい白亜の教会ですね。

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ここまでの散策ルートを地図で確認しておきましょう。

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これから、モンマルトルの丘の上からのパリの街の眺めを楽しんで、サクレ・クール寺院を見学します。



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シューベルトの響きに酔いしれる:パヴェル・ハース・カルテット@鶴見サルビアホール 2016.12.9

今年は多くの室内楽コンサートに足を運びましたが、今日のコンサートが今年最後の室内楽コンサートです。まさに1年を締めくくるにふさわしい最高のコンサートとなりました。

20世紀の作品と古典を組み合わせた王道を行くプログラムですが、その内容たるや、いずれも聴き応えのある曲ばかりです。逆に言えば、演奏する立場からは大変な曲ばかりでしょう。

前半はウェーベルンとショスタコーヴィチという20世紀の作品ですが、いずれも素晴らしい演奏。ウェーベルンの《弦楽四重奏のための5つの楽章》はノントナールの作品とは思えないような抒情に満ちた演奏が印象的で大変、感銘を覚えました。もちろん、切り込むべきところは鋭く、ダイナミックな演奏でもありました。10分ほどの短い作品ですが、永遠の時間を感じさせるような見事な演奏に聴き惚れました。
ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲第2番は第1楽章こそ、あまりに響かせ過ぎの感でしたが、第2楽章以降は美しい響きと迫力のある響きを織り交ぜた見事な演奏が続きます。圧巻だったのは第4楽章の後半です。第4楽章は主題と変奏という古典的とも思えるパターンで始まりますが、それで終わらないのがショスタコーヴィチの面白いところです。後半は古典的なパターンから外れた壮絶とも思える展開になりますが、そのあたりでのパヴェル・ハース・カルテットの凄まじい演奏に身震いを覚えます。フィナーレの強奏では何か、悲しみを感じさせられました。ショスタコーヴィチの初期の大曲を会心の演奏で聴かせてくれました。

後半は正直言って、あまりに前半の演奏が素晴らしかったので、聴く前から不安感を持っていましたが、最初の1音を聴いただけでその不安感は払拭されます。演奏されるのはシューベルトの弦楽四重奏曲第15番。シューベルトが書いた最後の弦楽四重奏曲です。シューベルトはこの作品を書いた2年後、最晩年にチェロを加えた大作、弦楽五重奏曲を書きますが、この最後の弦楽四重奏曲も長大な長さの傑作です。パヴェル・ハース・カルテットはこのシューベルトをパーフェクトに演奏しました。響き、表現、アーティキュレーション・・・すべてが最高でした。これ以上の演奏は考えられないほどです。特に第2楽章の美しいメロディーのロマンティックなこと、うっとりと聴き惚れます。そして、第3楽章のトリオも美しい響きで魅了されます。圧巻だったのは第4楽章の迫力ある演奏。シューベルトの素晴らしさに酔いしれました。

今日のプログラムは以下です。

  弦楽四重奏:パヴェル・ハース・カルテット
   ヴァイオリン:ヴェロニカ・ヤルツコヴァ ヴァイオリン:マレク・ツヴィーベル
   ヴィオラ:ラディム・セドミドブスキ チェロ:ペテル・ヤルシェク

  ウェーベルン:弦楽四重奏のための5つの楽章 Op.5
  ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲 第2番 Op.68

   《休憩》

  シューベルト:弦楽四重奏曲 第15番 D.887

   《アンコール》
    ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲第12番ヘ長調 Op.96, B.179『アメリカ』から第4楽章ヴィヴァーチェ・マ・ノン・トロッポ

アンコールはこのチェコのカルテットのお国もののドヴォルザーク。スメタナ四重奏団のヴィオラ奏者のミラン・シュカンパから直伝の素晴らしい演奏でした。何も言うことはない見事過ぎる演奏にただただ耳を傾けるのみでした。

ところで今日は聴き応えのある曲ばかりだったので、名演の誉れ高い録音をCDでしっかりと予習しました。
まず、ウェーベルンの《弦楽四重奏のための5つの楽章》で予習したCDは以下です。

 ジュリアード四重奏団
 ラサール四重奏団
 エマーソン・カルテット

いずれも素晴らしい演奏です。ジュリアード四重奏団の先鋭的な演奏、ラサール四重奏団のソフィストケイトされた演奏を繰り返し、聴きました。でも、こういう曲はやはり、実演で聴くに限りますね。実に刺激的です。

続いて、ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲第2番で予習したのは以下のCDです。

 ブロドスキー四重奏団
 ルビオ・カルテット

特にルビオ・カルテットの豊かな響きで切れ込むような演奏の素晴らしさは最高です。

最後に、シューベルトの弦楽四重奏曲第15番で予習したのは以下のCDです。

 ブッシュ四重奏団
 ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団
 メロス四重奏団 

ブッシュ四重奏団はやはり素晴らしい演奏ですが、如何せん、録音が古過ぎます。カンパー率いるウィーン・コンツェルトハウス四重奏団のウィーン風の演奏は最高に素晴らしいものです。メロス四重奏団は大変な迫力の演奏ですが、もっと抒情が欲しいところ。その点、今日のパヴェル・ハース・カルテットはとてもバランスのとれた見事な演奏でした。現代におけるシューベルト演奏の規範と言っても言い過ぎではないと思います。



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モンマルトル散策:美しきサクレ・クール寺院とパリの絶景、そして、路地歩き

2015年7月8日水曜日@パリ/5回目

モンマルトルMontmartre界隈を散策中です。

サクレ・クール寺院Basilique du Sacré-Cœurの前に着くと、ぱっと視界が開け、パリが一望できます。この大平野の中に、何故モンマルトルの丘があったのでしょう。わざわざ作った見晴台のようです。しばらく絶景に見とれます。

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サクレ・クール寺院前の石段に座り込んで、パリの眺めに見入っている人たちもいます。

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真っ正面から見上げたサクレ・クール寺院の威容です。ビザンチン様式に思えますが、ロマネスク・ビザンチン様式というのだそうです。

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さあ、サクレ・クール寺院に入ってみましょう。ちょっと内陣の雰囲気が他の教会とは違いますが、やはり立派なものですね。写真を撮ろうとしますが、撮っている人がいません。よく見ると、撮影禁止の表示があります。それに、大勢の人がいるのですが、いやにシーンとしています。厳粛な感じがします。静かにするようにとの張り紙もありますが、係りの人が見回って指導しているようです。我々もそっと見回って、写真撮影も控えます。ということで内部の様子は買い求めた絵はがきで見てください。ビザンチン様式の内陣の天井が見事です。

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サクレ・クール寺院の外に出ると、また、多くの観光客の喧噪とパリの街を見下ろす絶景が待っています。

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サクレ・クール寺院の威容を再び見上げます。白亜の素晴らしい建物です。

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ぐるっと建物を見回します。とても綺麗ですね。パリを代表するスポットなのも当然です。

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さて、サクレ・クール寺院の前からぶらぶらとモンマルトルの丘を散策します。サクレ・クール寺院とサン・ピエール・ド・モンマルトル教会Église Saint-Pierre de Montmartreの間の路地、カルディナル・ギベール通りRue du Cardinal Guibertを歩き、すぐ先の角で左に折れて、シュヴァリエ・ド・ラ・バール通りRue du Chevalier de la Barreに入ります。観光客で賑わう中を進むとモン・スニ通りRue du Mont Cenisにぶつかります。

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右に折れて、モン・スニ通りに入ります。モンマルトルの雰囲気たっぷりのアパルトマンがあります。

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モン・スニ通りを歩きます。通りは両側駐車の車であふれています。これじゃ、車がほとんど走れませんね。

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モン・スニ通りを進んでいくと、建物が途切れたところで、また、サクレ・クール寺院の塔が1本見えます。美しいですね。

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緑の木の先に白い塔が見えてきます。水のお城Le château d'eauです。クロード・シャルパンティエ広場square Claude Charpentier à Montmartreの一画にあります。1835年に建てられて、近隣に水を供給する役割をはたしています。

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これが緑あふれるクロード・シャルパンティエ広場です。

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モン・スニ通りはこの先大きく左に湾曲して、コルト通りRue Cortotに続きます。

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モン・スニ通り自体はまだ、まっすぐに続いてはいますが、この先は石段になっているようです。

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石段の手前から、その先を眺めます。ずいぶん、石段で下っていくようです。モンマルトルの丘の向こうの眺めもよく見えます。石段の両側に綺麗なアパルトマンが建ち並んでいます。

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モンマルトルの白いアパルトマンの建物は魅力たっぷりです。

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この石段の前から振り返って、水のお城の綺麗な姿を眺めます。

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ここまでの散策ルートを地図で確認しておきましょう。


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まだまだ、モンマルトルの丘の散策は続きます。



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モーツァルトの最高傑作オペラかな・・・《コジ・ファン・トゥッテ》@東京芸術劇場 2016.12.11

モーツァルトのオペラは楽しくて、楽しくて、とっても幸福な気持ちになります。本当に音楽を聴く喜びでいっぱいになります。
なかでも、今年は何故か、縁がある《コジ・ファン・トゥッテ》は今、モーツァルトのオペラの中で一番のお気に入りです。聴けば聴くほど、モーツァルトの天才ぶりが随所にうかがわれます。恋心を歌うアリアの数々、活き活きとした重唱の数々、出番は少なくても勢いのある合唱、どれをとっても天才ならではの深さを感じさせられます。ストーリー自体は無理があっても、モーツァルトの天才的な曲作りによって、単なる恋愛ゲームが感動的なラブストーリーに昇華していく様はまるで魔法のように思えます。特に第2幕の充実した音楽の素晴らしさは例えようもありません。

今日のオペラはコンサート形式ではありましたが、舞台セットがないことと舞台衣装をまとっていないことを除けば、舞台の上を自在に動き回りながらの演技があったので、さながらオペラを見ているような感じでした。トーマス・アレンを除いて、それほどのスター歌手が出演していたわけではありませんが、音楽的にもとても充実した内容でした。本当はこの公演はフィオルディリージ役で出演予定だったミア・パーション目当てでチケットを購入したので、公演直前に彼女が出演キャンセルのニュースを聞いて、とてもがっかりしていたんです。でも、オペラ自体は素晴らしい出来だったので、満足です。もちろん、ミア・パーションが歌ってくれたら、今年のザルツブルグ音楽祭と同じくらい感激したかもしれませんけどね。そうそう、今年はザルツブルグ音楽祭で素晴らしい《コジ・ファン・トゥッテ》を聴きました。特にフィオルディリージ役のユリア・クライターの歌唱が素晴らしかったんです。これで今日、ミア・パーションのフィオルディリージを聴けば、saraiがひそかに現在の最高のフィオルディリージ歌いと思っている2人(ミア・パーションとユリア・クライター)を聴くことができたのに、とっても残念です。ともあれ、今日のキャスト6人は皆素晴らしい歌唱を聴かせてくれました。ミア・パーションの代役を務めたヴィクトリヤ・カミンスカイテは予想外の素晴らしい歌唱。ミア・パーションほどでないにしても、まったく、満足の歌唱でした。グリエルモ役のマルクス・ウェルバの張りのあるバリトンの美声も聴きものでした。トーマス・アレンはベテランらしく、舞台を引き締めていました。そう言えば、彼は今年のザルツブルグ音楽祭のアデスの新作オペラ《皆殺しの天使》にも出演していましたが、女声陣のあまりの素晴らしさの陰であまり存在感を発揮していませんでした。今日はたっぷりと彼の渋い歌唱を聴かせてもらいました。
今日の本当の主役は指揮のジョナサン・ノットではなかったでしょうか。モーツァルトのオペラを実に楽しそうに指揮している姿は絵になりました。これから、ダ・ポンテ3部作をコンサート形式で聴かせてくれるようですから、楽しみです。特にフィガロは聴き逃がせませんね。今度こそ、ミア・パーションをスザンナ役で聴きたいものです。きっとチャーミングでしょう。

ということで、7月のザルツブルグ音楽祭と今日の公演で《コジ・ファン・トゥッテ》を聴いたsaraiはモーツァルトのオペラの最高傑作は《コジ・ファン・トゥッテ》かなと思っています。でも、フィガロを聴けば、また、フィガロが最高傑作と思うんだろうなあ・・・。ドン・ジョヴァンニも魔笛も捨て難いオペラだしね。モーツァルトはやっぱり、オペラとピアノ協奏曲が最高に素晴らしいという思いを新たにしました。

キャストは以下です。

  指揮&ハンマーフリューゲル:ジョナサン・ノット
  舞台監修:トーマス・アレン

  フィオルディリージ:ヴィクトリヤ・カミンスカイテ
  ドラベッラ:マイテ・ボーモン
  デスピーナ:ヴァレンティナ・ファルカス
  フェルランド:アレック・シュレイダー
  グリエルモ:マルクス・ウェルバ
  ドン・アルフォンソ:トーマス・アレン
  合唱:新国立劇場合唱団
  管弦楽:東京交響楽団



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       ジョナサン・ノット,  

モンマルトル散策:モンマルトル博物館からワイン畑へ

2015年7月8日水曜日@パリ/6回目

モンマルトルMontmartre界隈を散策中です。

モン・スニ通りRue du Mont Cenisから左に周り込んで、コルト通りRue Cortotに入ります。少し歩くと、右手に垂れ幕の下がった建物が見えてきます。

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モンマルトル博物館Le Musée de Montmartreです。かって、ルノワールが住んでいた家です。

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モンマルトル博物館はとっても大きな建物なんですね。建物の前を通り過ぎますが、ずっと建物が続いています。中を見学するのはやめときましょう。

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モンマルトル博物館をちょうど通り過ぎたあたりで後ろを振り返ります。左手が大きなモンマルトル博物館の建物で、コルト通りの先には、水のお城Le château d'eauの優美な塔が見えています。

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コルト通りをどんどん進んでいくと、突き当りのソル通りRue des Saulesが見えてきます。

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コルト通りの端に着くと、バス停があります。ソル-コルトSaules - Cortotという名前のバス停です。この先はソル通りになります。

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コルト通りを振り返ると、まだ、水のお城が見えています。遠くからも見える高い塔なんですね。

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ソル通りに入って、右に折れます。ここは先ほどモンマルトルバスを降りたところです。

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目の前には、ユトリロの描いたレストラン、ラ・メゾン・ローズLa Maison Roseが見えます。この建物の前で道が2つに分かれており、左にはアブルヴォワール通りRue de l'Abreuvoirが見えます。そっちには行かずにソル通りを下っていくことにします。もう一度、ワイン畑を見ておきましょう。

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ソル通りを下っていくと、金網に囲われたワイン畑が見えてきます。

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金網の間からワイン畑を見てみましょう。綺麗な緑の葡萄の葉っぱが育っています。

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何とか金網の隙間からよく茂った葡萄を見ることができます。

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ワイン畑の向こうには、大きな建物も見えます。ワインのシャトーでしょうか。

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よく育った葡萄の房も見えます。これは白ワインのようですね。

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ワイン畑に沿って、ソル通りを下ってきました。観光客が多いですね。都会の真ん中のワイン畑は珍しいですものね。

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ソル通りを下りきると、サン・ヴァンサン通りRue Saint-Vincentにぶつかります。

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ここからワイン畑の全景が見渡せます。街のど真ん中にあるワイン畑としては広いですが、それでも小さなワイン畑です。ここで造られるワインは希少です。ここで造られるワインは周辺のレストランで飲めるそうです。

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ここまでの散策ルートを地図で確認しておきましょう。(黒矢印➡)

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さて、ここからは左に折れて、サン・ヴァンサン通りを歩きます。

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モンマルトル散策:ムーラン・ド・ラ・ギャレット、そして、道に迷う・・・

2015年7月8日水曜日@パリ/7回目

モンマルトルMontmartre界隈を散策中です。

ワイン畑を過ぎて、サン・ヴァンサン通りRue Saint-Vincentを西のほうに歩きます。緑豊かな路地です。谷底のような雰囲気がします。

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路地の左側に歩行者専用の道が併設されています。ちょっと高いところを歩けるので、下の路地を見下ろしながら歩きます。

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高いところにある歩行者専用の道はすぐに終わり、また、下の路地に合流します。少し歩いたところで大きな樹木が緑の陰を作る一画に出ます。ジョエル・ル・タック広場Square Joël Le Tacです。

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この広場で左の方を見ると、高台へ上る石段が見えます。この石段を上りましょう。次の目的地はムーラン・ド・ラ・ギャレットLe Moulin de la Galetteです。

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石段を上がり終えて、下を見下ろします。向こうに見えている緑の樹木のあるところが先ほどのジョエル・ル・タック広場です。

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石段の上は小さな広場になっています。ダリダ広場Place Dalidaです。

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広場にはポツンと女性のブロンズ製の胸像が置かれています。女優でシャンソンの女神として一世を風靡したダリダです。終生、モンマルトル地区を愛し、彼女の家もこの近くにあったそうです。度重なる失恋が原因で、バルビツールを服用して、1987年に自殺しました。没後10年を記念して、ブロンズ像が作製されて、この広場に彼女の名前が付けられたそうです。

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この広場から東のほうに続くアブルヴォワール通りRue de l'Abreuvoirの先にはサクレ・クール寺院Basilique du Sacré-Cœurも遠望できます。

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アブルヴォワール通りを進むとまた、ラ・メゾン・ローズLa Maison Roseのほうに戻ってしまうので、そっちには行かず、南に伸びるジラルドン通りRue Girardonを歩きます。少し歩くと、右手に綺麗な公園の入口があります。

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ちょっと入ってみましょう。スザンヌ・ビュイッソン公園Square Suzanne Buissonです。公園の中央にはサン・ドニSaint-Denysの像があります。因みにスザンヌ・ビュイッソンはレジスタンスの活動家で収容所で命を落としたそうです。

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スザンヌ・ビュイッソン公園を出て、散策を続けます。その前にスザンヌ・ビュイッソン公園の向かいには、こんなに素敵な建物が建っています。お洒落ですね。

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ジラルドン通りを進むとジュノ通りAvenue Junotに差し掛かります。通りの交差する角には映画館Ciné 13 Théâtreがあります。雰囲気のよさそうな映画館ですね。

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ジラルドン通りをさらに進むと、ルピック通りRue Lepicにぶつかります。その角にムーラン・ド・ラ・ギャレットがありました。復元されたものでしょうが、とっても大きな風車があります。

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少し下がって、全景を見ましょう。ああ、ちょっと木が邪魔でしたね。

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ともかく、ルノワールの最高傑作が描かれた舞台です。多くの観光客も集まっています。ルノワールの華やかな作品を心のうちに思い描きながら、この風車を眺めます。
ムーラン・ド・ラ・ギャレットを振り返りながら、ルピック通りを歩き始めます。

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次に目指すのはモンマルトルの芸術家たちの夢の跡、洗濯船Le Bateau-Lavoirです。パブロ・ピカソが恋人のフェルナンド・オリビエと共に暮らした安アパートです。ルピック通りを進んでいきます。

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ジャン・バプティスト・クレマン広場Place Jean-Baptiste Clémentからガブリエル通りRue Gabrielleに入ります。これが間違いのもと。本当はここで反対方向のラヴィニャン通りRue Ravignanに行かないと駄目なんです。ガブリエル通りに迷い込んでしまいます。

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どんどん、間違った方向に進んでいきます。まあ、この時点では、綺麗な緑を鑑賞する余裕はあったんです。

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間違ったお陰でこんな綺麗な石段を見つけました(強がり・・・)。実はこの石段を上れば、テルトル広場Place du Tertreがあるんです。

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ここまでの散策ルートを地図で確認しておきましょう。

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このあたりで道を間違えたことに気が付いたsaraiですが、自分がどこにいるか、まったく、分からなくなってしまいます。地図とにらめっこしますが、どうにもなりません。さて、洗濯船にたどりつけるでしょうか?



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モンマルトル散策:洗濯船を発見! 散策を終了し、眺めの良いテラスホテルへ

2015年7月8日水曜日@パリ/8回目

モンマルトルMontmartre界隈を散策中です。

洗濯船Le Bateau-Lavoirに向かっている最中に見事に迷子になってしまいました。ガブリエル通りRue Gabrielleに迷い込んで、途方に暮れます。ともかく、違う通りに出てみましょう。右に折れて、ドルヴェ通りRue Drevetに入り、進んでいくと、急勾配の下りの石段の前に出ます。石段の下には通りが見えています。

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ともかく、石段を降りて、そのあたりをうろつきますが、まるで手がかりがありません。業を煮やして、思い切って、トロワ・フレール通りRue des Trois Frèresを西のほうに向かって歩いてみます。雰囲気のよい路地が続きます。

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アンドゥウエ通りRue Androuetと交わるあたりは賑やかな一画になっています。左の角には八百屋メゾン コリニョンAu Marché de la Butte(Maison Collignon)があります。映画《アメリ》に登場する食料品店です。お店の正式な名前は「丘の市場」Au Marché de la Butteですが、店主の名前コリニョンから、「コリニョンの店」Maison Collignonと呼ばれています。映画では、そのコリニョンはアメリと同じアパートの住人。彼は頭は弱いが心の優しい店員リュシアンをいつも馬鹿にしていて、見かねたアメリはコリニョンにあるいたずらを仕掛けます。そういう映画の場面になった一画です。

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この先、トロワ・フレール通りを少し進み、ラヴィニャン通りRue Ravignanにちょっと入ると、目指していた洗濯船のあるエミール・グードー広場Place Émile-Goudeauが遂に見付かりました。15分ほど、彷徨った挙句のことです。やったね!!

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洗濯船のショーウィンドウを見入ります。エミール・グードー広場の一角、11番地bisにこの洗濯船の建物があります。「トラプールの家」というピアノ工房が1889年から画家たちのアトリエとして使われ始め、マックス・ジャコブがこの家をバトー・ラヴォワールLe Bateau-Lavoir(洗濯船)と命名しました。

ピカソ、シャガールなどが住み、詩人アポリネールも出入りしたり、次第にモンマルトルが若い芸術家の集拠点になっていきます。

廊下や階段が迷路のように入り組んだこの建物は1970年5月12日に火災で焼失してしまい、現在あるのは再建された建物です。

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エミール・グードー広場はモンマルトルらしく緑の多い広場です。

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再び、洗濯船のショーウィンドウに視線を戻します。

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これがショーウィンドウの中の様子です。ショーウィンドーにはピカソらがここで描いた絵のコピーがあります。

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あれっ、気が付くと、配偶者はちゃっかりと広場のベンチに腰かけて待っています。saraiは夢中になっていましたからね。

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それでも、saraiはしぶとく芸術家の夢の跡、洗濯船に目を遣って、在りし日のピカソたちの芸術創造に思いを至らせます。ここでピカソは青の時代、バラ色の時代、キュビズムと絵画の変革を果たしていきました。あの《アヴィニヨンの娘達》も1907年にここで描かれました。恋人フェルナンド・オリビエと同棲していたのもここです。ピカソにとっても絵画を愛するものにも素晴らしい時代でした。

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これでモンマルトル散策も一応、お終いにしておきましょう。モンマルトルの丘の上のつたが絡まる家並みは本当に絵になる風景です。写真もいっぱい撮りました。ユトリロでなくても絵を描きたくなるでしょう。急な石段の道も絵になる風景です。
さて、ランチにしましょう。「パリで一番眺めのいいホテル」と本に紹介されていたモンマルトルのテラスホテルを探します。エミール・グードー広場の前のガロー通りRue Garreauを西に進むと、途中で通りの名前がデュランタン通りRue Durantinに変わります。このデュランタン通りをさらに西に進みます。

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さらに進んでいって、ルピック通りRue Lepicを横切って、コーランクール通りRue Caulaincourtにぶつかったところで左に折れて、このコーランクール通りを南に進みます。すると、大きな五差路の角にテラスホテルTerrass Hôtelがあります。ここまで道が入り組んでいて見つけるのが大変でしたが、何とか見つかり、ほっとします。モンマルトルは迷路のような地区です。テラスホテルはなるほど結構、背の高いビルです。上からの眺めは良さそうです。

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このテラスホテルの前から今来た道を振り返ります。右の道がコーランクール通りです。

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ここまでの散策ルートを地図で確認しておきましょう。

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テラスホテルから少し下がって、ホテルの建物を見てみましょう。

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なんだか、全体が見渡せないので、もうちょっと下がってみます。これでほぼ全体が眺められます。通りの角がホテルの入口になった変わった形の建物です

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さて、それではホテルの中に入ってみましょう。



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モンマルトル散策:パリで一番眺めのいいホテル・・・テラスホテル

2015年7月8日水曜日@パリ/9回目

モンマルトルMontmartre界隈を散策中です。

「パリで一番眺めのいいホテル」と本に紹介されていたモンマルトルのテラスホテルTerrass Hôtelでランチをいただきましょう。建物の7階がレストランになっているようです。さもないビルの1階の奥にあるエレベータで上に上がります。エレベータをおりると、もうそこはレストランです。素晴らしい眺望です。パリの町並み全体が見渡せるような絶景に配偶者と二人、歓声を上げます。

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窓際の特等席につきます。

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しばし、窓辺からの絶景に見入ります。

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このレストランにいるお客は2組ほどです。このテラスの眺めの告知は一切していないとのことで、地元の人しか来ないそうです。

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再び、二人の視線は窓からの絶景に釘付けです。手前に広がる緑はモンマルトル墓地です。多くの文化人が埋葬されていることで有名です。

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真下を見下ろすと、モンマルトル墓地Cimetière de Montmartreの東の端の部分が見えます。シャンソンの歌姫ダリダのお墓もこの一画にあるようです。


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さて、ランチの注文をしようとすると、ランチは終了したのでドリンクだけとのこと。隣の席では、終わりかけていますが美味しそうなお皿が並んでいます。残念です。本に、是非シャンパンを飲みながら眺めて欲しいとあったので、張り込んでシャンパンをお願いします。

遠くに、エッフェル塔やアンバリッド、モンパルナスタワーなどが見えます。なんだかんだと我々ももう6回目のパリなので、今回はその辺りの訪問は考えていません。ここからご挨拶だけしておきましょう。

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とりわけ、パリの象徴のようなエッフェル塔はズームアップして、最敬礼でご挨拶。

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白とピンクのシャンパンが届きます。確かに、シャンパンも景色も一味違います。

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シャンパン越しのパリの絶景というのもお洒落かな。

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と、隣の席の子供たちにデザートのケーキが届きます。すかさず、配偶者もウェイターにケーキをお願いします。私たちもケーキくらいはいただきたいですからね。シャンペンにケーキも合いますから・・・。またまた贅沢なお茶になりました。でも、ランチよりは安上がりだったのではないかしら。

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モンマルトル墓地とエッフェル塔を眺めながら、美味しいシャンパンとケーキを頂きます。

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おっ、あれはパリ・オペラ座(ガルニエ宮)Palais Garnierを後ろから眺めたところじゃないでしょうか。今晩、バレエを見に行く予定です。その手前の塔は
サント・トリニテ教会Eglise de la Trinitéでしょうか。

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黄金に輝くドーム、アンヴァリッドInvalidesの姿も遠望できます。

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絶景もシャンパンも十分に堪能したところでそろそろレストランをお暇しましょう。

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レストランから、その外にある屋上庭園に出られそうです。ベンチが設えられて気持ちがよさそうな感じですね。

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ここからも景色が楽しめまそうです。レストランとは違った方向も見渡せます。saraiはまたカメラのシャッターを切ります。

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広大なモンマルトル墓地がすっぽりと見渡せます。多くは木々の緑に覆われています。

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ダリダのお墓Tombe de Dalidaも発見。金色の装飾を背景にダリダ像が立っています。

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モンマルトルのアパルトマンも見えます。

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これが屋上庭園。今日は風が強くて、居心地があまりよくないですが、ぽかぽか陽気ならばベストスポットですね。

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ドリンクコーナーもあります。今日は営業していないようです。

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おおっ、サクレ・クール寺院Basilique du Sacré-Cœurも見えています。


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サクレ・クール寺院が見えたところでテラスホテルからの絶景鑑賞をお終いにします。


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モンマルトル散策:ゴッホのアパルトマン~《アメリ》のカフェ、そして、オペラ座でバレエ

2015年7月8日水曜日@パリ/10回目

モンマルトルMontmartre界隈を散策中です。

「パリで一番眺めのいいホテル」の7階の展望レストランでパリの絶景とシャンパンを楽しみました。ホテルを出て、このテラスホテルTerrass Hôtelを見上げます。最上階が展望レストランです。

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ホテルを出て、ゴッホが転がり込んだ弟テオのアパルトマンを見に行きます。ホテルの前のジョゼフ・ド・メストル通りRue Joseph de Maistreを歩きます。

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ジョゼフ・ド・メストル通りを進み、すぐにルピック通りRue Lepicに突き当たります。ここで左に折れて、ちょっと歩くと、ルピック通り54番地です。ここがゴッホが居候していたアパルトマンです。

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このアパルトマンは今は人が住む普通のアパルトマンになっているので、外から眺めるだけです。

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ゴッホがこのアパルトマンに1886年から1888年まで2年間住んでいたことが記念プレートに記されています。

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ゴッホのアパルトマンから、そろそろ、散策を切り上げて、ホテルのほうに戻ります。ルピック通りをぶらぶら、歩いてホテルに向かいます。

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ルピック通りはいくつもの狭い路地と交差しています。この路地はロベール・プランケット通りRue Robert Planquetteです。さもない路地ですが、それなりの雰囲気もあります。

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コショワ通りRue Cauchoisと交差する角にカフェ・デ・ドゥ・ムーランCafé des Deux Moulinsがあります。映画《アメリ》でアメリが働いていたカフェです。

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カフェは観光客に人気で賑わっています。saraiもここでお茶したいところですが、テラスホテルでシャンパンを飲んできたばかりなので、残念ながらパスします。

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カフェ・デ・ドゥ・ムーランをコショワ通りから見た様子です。いかにも映画の舞台ですね。

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色んなものを眺めながら丘を下り、アパルトマン近くまで来ました。ブランシュ広場Place Blancheに大きなスーパー、モノプリMONOPRIXがあるので、ちょっとのぞいてみましょう。ショーケースに色んな惣菜が並んでいます。

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saraiの頭からブリュッセルで美味しかったカップめんが離れません。でも残念ながら、ここにはありません。が、お寿司があります。本当にどこにでもあるようになりました。夜食用に買っておきましょう。

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明日の朝食用にサラダも買っておきましょう。朝行ったパン屋さん、ラ・パリジェンヌLA PARISIENNE Lepicに行きます。工事中の店舗を外から見たところです。

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朝はなかったケーキがいっぱい並んでいます。パンだけは朝早く焼き上げるのですね。

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アパルトマンに戻りました。暗証番号を入力して、建物内に入ります。急階段が待っていますが、ほとんど手ぶらなので、何て事はありません。

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急階段を上り終えると、エレベーターがあります。

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人一人が乗るとそれでいっぱいになってしまうようなエレベーターですが、あるだけでもよしとしないとね。

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部屋に戻って、一服。

ここまでの散策ルートを地図で確認しておきましょう。結局、モンマルトル中を歩き回りましたね。

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saraiは、明日帰国するために乗る予定の飛行機のWEBチェックインをします。プリントアウトも完了です。明日は帰国。いよいよこの旅も完了です。何かと長い旅ではありました。

2時間ほど休憩した後で、この旅最後の音楽のお楽しみに出かけます。もちろん、昨日に続いてパリ・オペラ座(ガルニエ宮)です。今日はバレエを見ます。演目はバレエ《ラ・フィーユ・マル・ガルデ》(リーズの結婚)です。これがネットで購入済のチケット。

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今日は平土間の後方の席です。配偶者の意見を容れて、あえて、舞台全体が見渡せる後方の席を選びました。純然たる音楽を聴く場合は音がストレートに耳に入ってくる前方(できれば最前列)の席がsaraiの好みです。

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オペラ座の内部装飾は絢爛豪華ですね。

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バレエは、明るく快活な楽しいものでした。流石にパリ・オペラ座のバレエの水準の高さを実感しました。このバレエの詳細な感想はここに書きました。

明日は夜のシャルル・ド・ゴール発の羽田行の直行便で帰国です。それまでは最後の1日、パリでの休日を楽しみます。



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最後のパリ散策:クリュニー美術館へ

2015年7月9日木曜日@パリ/1回目

旅の21日目、パリ3日目です。

今日で旅も終わりです。深夜の飛行機で日本に帰ります。最後の1日を楽しみましょう。

なにはともあれ、朝食です。昨日のフランスパンが残っています。サラダを追加して買ってきてあるので、バゲットとともに頂きましょう。やはり、バゲットは昨日の焼きたての方が美味しいですね。でも、バゲットってかなり巨大ですよ。毎日焼きたてのバゲットを一つずつ食べるというわけにはいきませんが、パリの人は食べちゃうのかな・・・。

荷物をまとめましょう。配偶者が街歩き用と機内持ち込み用と飛行機に預ける分とをしっかり考えて、整理します。オペラのプログラムなどの本類がかなり増えているので、2つのかばんの重さのバランスを考えて詰め込みます。荷物造りは配偶者におんぶにだっこです。感謝!!

チェックアウト時間の11時ぎりぎりに部屋を出ます。今日の最初の関門は、2階のレセプションから1階の入り口までの階段を下りることです。と、今日のチェックアウトの担当は若いパリ男。配偶者がかばんを持とうとすると、さっと持ってくれて階段を下りようとします。メルシー! 最初に降りようとしたsaraiがモタモタしていると、空いているもう片方の手で、saraiのかばんも手伝ってくれます。たくましい~! 無事に1階に下りることができました。

次は、ブランシュBlancheの駅からメトロに乗ります。難関のメトロの階段です。これは頑張って降りるしかありませんが、やはり下りの階段は楽ですね。転ばないようにさえ気をつければ、重力の法則で下に着きます。メトロを乗り継ぎましたが、結局、どの駅も階段しかなくて、エスカレーターもエレベーターもなし。メトロの駅も改修してもらいたいですね。横浜の京急線の我が家近くのローカル駅ですら、エレベーターが最近設置されました。ともあれ、何とか頑張り、パリ北駅Gare du Nordに到着です。

パリ北駅の荷物預かり所を探しましょう。大きな駅なのでなかなか見つかりません。結構階段が多いので、エレベータを探しながらの移動で大変です。荷物預かり所は、旅行者は大きなかばんを持っているに決まっているのだから、もう少し考えて分かりやすくして欲しいですね。駅の一番端っこにある荷物預かり所にようやく着きます。荷物をベルトコンベアに乗せて、セキュリティーのチェックです。我々自身もセキュリティーチェックを受けます。飛行機に乗るときと同じです。異状がないと、荷物室に入れます。

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荷物室の中は巨大です。しっかり場所を覚えておかないと後で荷物を取り出すときに大変です。一番奥の方が空いているし、かえって分かりやすいので奥まで行きます。

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空いてはいても、やはり壊れているロッカーも多いです。日本では考えられませんけどね。2つの荷物をまとめて収納。さてさて、料金は9.5ユーロ!

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コインでこの料金は大変ですよ。10ユーロの札の方が嬉しいかも、困っている人が何人もいます。我々は、幸いにも小銭入れの中に十分なコインがあります。コインを入れて少し待ちます。

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預かりのレシートが出てきます。

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一応それには、ロッカーの番号が記されていますが、小さくて薄くて読めたものではありません。それでも無事に荷物を預けることができて、もう安心です。

さて、この旅、最後の観光に出かけます。パリ北駅は大変、混み合っています。

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メトロのプラットホームに向かいます。

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ここから、まずはフィンランドの女性作曲家サーリアホの《貴婦人と一角獣》をテーマとした音楽に触発されて、そのテーマとなった《貴婦人と一角獣》のタペストリーを見に行きます。サーリアホの音楽についてはここをご覧くださいね。タペストリーが展示されているのはパリのクリュニー美術館Musée de Cluny、現在の中世美術館Musée national du Moyen Âgeです。
パリ北駅からメトロの4号線に乗って、オデオンOdéonまで移動します。オデオン駅から地上に出ると、そこはサン・ジェルマン大通りBoulevard Saint-Germainとダントン通りRue Dantonの交差点です。

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ここまでのメトロの移動ルートを地図で確認しておきましょう。

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ここからサン・ジェルマン大通りを東のほうに歩きます。因みに反対方向の西のほうにはサン・ジェルマン・デ・プレ教会があります。

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あっ、通りの向かい側にはスーパーのカルフールがありますね。ブリュッセルで食べたカルフール製のカップ麺の美味しさを思い出します。

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サン・ジェルマン大通りはいかにもパリらしい綺麗な通りです。交差している通りも綺麗です。これはミニョン通りRue Mignon。

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やがて、サン・ミッシェル通りBoulevard Saint-Michelと交差するカルチェ・ラタンQuartier Latinの交差点に出ます。

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交差点に道案内の看板があります。クリュニー美術館は右のほうだそうです。

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ここまでの散策ルートを地図で確認しておきましょう。

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交差点で右に曲がります。クリュニー美術館はすぐのようです。



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明晰なマルティヌー、これ以上は望むべくはないショスタコーヴィチ・・・フルシャ&東京都交響楽団@東京文化会館 2016.12.19

久しぶりに聴くヤクブ・フルシャはやはり、只者ではありませんでした。実は先週のサントリーホールの公演も聴く予定でしたが、やむを得ない事情で行けず、友人に代わりに聴きに行ってもらいました。
しかし、本命は今日の公演です。何故かと言うと、マルティヌーの交響曲が聴けるからです。フルシャのマルティヌーの交響曲シリーズは既に第6番、第4番を聴いています。残念ながら第3番は聴き逃がしましたが残りは是非とも聴きたいものです。今日の第5番と来シーズンの第1番と第2番で完結です。なかなか、本場チェコの指揮者でマルティヌーを聴く機会はないので、フルシャの指揮するマルティヌーを聴き逃がせません。

まずは予習。以下のCDを聴いて、万全の準備をしました。

 カレル・アンチェル指揮チェコ・フィル 1955年録音
 ヴァーツラフ・ノイマン指揮チェコ・フィル 1978年録音
 イルジー・ビエロフラーヴェク指揮チェコ・フィル 2007年録音
 ネーメ・ヤルヴィ指揮バンベルク交響楽団 1988年録音

アンチェルはモノラル録音ですが、音質もよく、繊細さと強靭さを兼ね備えた鉄壁の演奏。マルティヌー特有のリズムの刻みが素晴らしいです。ノイマンは期待ほどでない演奏。時折、つぼを外した感じ。全般的にはよいのでちょっと惜しいです。逆にビエロフラーヴェクはつぼを押さえた素晴らしい演奏です。ネーメ・ヤルヴィはアンチェルの強靭さはありませんが、豊かな響きの素晴らしい演奏でアンチェルに並び立つ演奏です。

今日のフルシャの演奏は師匠のビエロフラーヴェクを思わせる演奏で、ともかく、明晰この上ない演奏。各声部がクリアーに聴こえてきます。どんな大音量でも音がつぶれることはありません。ただ、少し、スケール感が不足して、アンチェルのような鉄の強靭さに欠けるのが残念なところ。まあ、入門者にとっては分かりやすい演奏ではありました。特に高揚感は素晴らしいものでした。実演でこういうマルティヌーが聴けるのだから、大満足ではありました。

今日、素晴らしかったのはむしろ、後半に演奏されたショスタコーヴィチの交響曲第10番。賛否両論はあるかもしれませんが、ともかく、明晰でダイナミックな演奏で、とっても分かりやすく、エンターテインメント的にパーフェクトとも思える演奏です。沈痛さや晦渋さはほどほどで痛快とも言っていい演奏です。聴いていて楽しいと言えば、これ以上望むべくはないという印象です。もちろん、軽薄さとは無縁の演奏で、純音楽的に素晴らしい内容です。ショスタコーヴィチと言えば、あまりに指揮者が無理な解釈を施すことがありますが、音楽そのものをストレートに表出した素晴らしい演奏でした。まあ、ゲルギエフのような暗い沈痛な演奏も嫌いじゃありませんけどね。ショスタコーヴィチを聴いて、こんなにインスパイアされたのは久しぶりです。それも第10番とくれば、初めての経験かもしれません。この調子で第4~8番を聴いてみたくなりました。

今日のプログラムは以下のとおりでした。

  指揮:ヤクブ・フルシャ
  管弦楽:東京都交響楽団

  マルティヌー:交響曲第5番 H.310

   《休憩》

  ショスタコーヴィチ:交響曲第10番 ホ短調 Op.93

ヤクブ・フルシャの指揮ぶりはまるでスポーツマンみたい。こんなに運動神経の凄い指揮者って、いないんじゃない? それを見ているだけで驚かされてしまいます。ましてや、その動きが音楽とぴったりと連動しているのは恐るべきことです。でも、相当に疲れるでしょうね。

ところで、今日は今年最後に聴くコンサートでした(ジルヴェスターコンサートを除いて)。きっと、生涯で最高にコンサートに通った1年でした。来年は少しセーブしないとね。疲れますから・・・。



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最後のパリ散策:中世を彷彿とさせるクリュニー美術館

2015年7月9日木曜日@パリ/2回目

クリュニー美術館Musée de Clunyはソルボンヌ大学に近い美しい建物が建ち並ぶ賑やかなところに位置しています。サン・ジェルマン大通りBoulevard Saint-Germainからサン・ミッシェル通りBoulevard Saint-Michelに右折すると、すぐに左手に鉄柵が現れ、その鉄柵の奥にローマ遺跡のような建物が見えてきます。

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パリの街のど真ん中にこんな廃墟のようなものがあるとはね・・・。

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このクリュニー美術館の建物はありますが、なかなか入口が見つかりません。建物に沿って、左に曲がって、ソメラール通りRue du Sommerardを進みます。しかし、この通り沿いには入口がなく、さらに左に折れて、ポール・パンルヴェ広場Square Paul-Painlevéに入ると、ようやく、入口が現れます。

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ここまでの散策ルートを地図で確認しておきましょう。

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入口を抜けて、前庭にはいると、目の前に、ゴシック後期のフランボワイヤン様式とルネッサンス様式が混合した古めかしい建物が出迎えてくれます。

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一気に15世紀にタイムスリップしたような錯覚に襲われます。大きな建物は頭を巡らせないと見ることができません。右側のほうを眺めます。

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今度は左側のほうを眺めます。

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この建物は、14世紀にブルゴーニュのクリュニー修道会がパリの拠点として建設した修道院長の別邸を起源としています。15世紀になって大幅に再建されたものが現在の建物です。その敷地は1世紀から3世紀にかけて作られたローマ時代の浴場跡とその付近です。

入口のほうを振り返ると、高く堅固な石の塀が外部とこの前庭を仕切っています。観光客がその石塀の前のベンチに座り込んでいますね。この中世の雰囲気を堪能しているのか、単に観光に疲れたのか、どちらなんでしょう。

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前庭にある古井戸です。まさに中世そのものの雰囲気です。

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しばらくはこの中世の雰囲気に浸っていたいところですが、saraiの目的はあくまでも《貴婦人と一角獣》のタペストリーです。早速、建物の右手にあるエントランスから美術館の中に入ります。まずは入館チケットを購入。一人9ユーロ、1000円ほどです。

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英語版のパンフレットもいただきます。日本語版はありません。

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入口を入るとミュージアムショップがあります。そこを抜けると、展示室が始まります。
まずは15世紀の彫刻が並んでいます。

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厨子に収められた3体の彫像です。保存がよく、綺麗ですね。

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その先にステンド・グラスの展示室があります。12世紀から13世紀のオリジナルのステンド・グラスを展示しています。間近で鑑賞するステンド・グラスの精細さは見事以外の何物でもありません。

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ここからは墓石の並ぶ通廊がますます中世の雰囲気を感じさせます。墓石は12世紀の葬礼芸術なのだそうです。

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墓石の通廊から右の大きなノートルダム展示室に入ると、ノートルダム大聖堂の正面を飾る「諸王の像」が並んでいます。ユダヤとイスラエルの王様達です。これらはフランス革命時にフランス国王像と間違われ、落とされ破壊されてしまいました。その後、ノートルダム大聖堂の諸王のギャラリーは復元されましたが、ここにあるのがオリジナルの王様達です。

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壊れた石像の一部が展示されています。なお、この場所はかつての浴場の一部です。

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まだ、1階の見学が続きます。



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最後のパリ散策:《貴婦人と一角獣》のタペストリーはラブストーリー?

2015年7月9日木曜日@パリ/3回目

クリュニー美術館Musée de Clunyの1階の展示室で中世の美術品を見ているところです。1階の一番奥にある展示室に入ります。この展示室はフリギダリウムFrigidariumと呼ばれています。フリギダリウムというのは、古代ローマの公衆浴場で熱い風呂を楽しんだ後に入る大きな冷水のプールがある部屋のことです。今風に言えば、プールみたいなものですね。この部屋だけは15mほどもある高い天井になっています。ハイサイドの窓から明るい光が降り注いています。右側が北の壁、左側が西の壁です。

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こちらは南の壁です。

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こちらは東の壁です。下の窓の向こうには、さっき見たノートルダム展示室が見えています。

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西の壁の壁龕に入って、東の壁を眺めます。聖人の彫像の後ろ姿も見えています。

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これが部屋の東半分ほどの光景です。とっても大きなプールだったようです。

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1階最後の展示室には、中世の道具が展示されています。この美しい細工ものは法杖でしょうか。

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15世紀の見事なタペストリーもあります。《聖ペテロの解放》を主題としたものです。

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さて、次は2階の展示室に行きましょう。いよいよ、《貴婦人と一角獣》のタペストリーと対面できます。

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2階に上がると、早速、《貴婦人と一角獣》のタペストリーが飾ってある部屋に直行。やはり、《貴婦人と一角獣》の6枚のタペストリーがひときわ異彩を放っています。配偶者は各タペストリーに登場する一角獣の可愛さを賛美しています。中世に宗教的なテーマではなく、哲学的とも思える命題による一角獣の物語が描かれたのに驚かされます(宗教的なテーマだという説もあります)。一角獣はなかなか可愛いく表現されています。どれもとっても美しく繊細で、織物とは思えません。

この《貴婦人と一角獣》のタペストリーは1841年、歴史記念物監督官で小説家でもあったプロスペル・メリメがブーサック城(Château de Boussac)で発見しました。タペストリーは保存状態が悪く傷んでいましたが、小説家ジョルジュ・サンドが『ジャンヌ』(1844年)の作中でこのタペストリーを賛美したことで世の関心を集めることとなりました。1882年、このタペストリーはクリュニー美術館に移され、展示されています。

6枚のタペストリーは人間の六つの感覚を示したものと言われています。「味覚」、「聴覚」、「視覚」、「嗅覚」、「触覚」、そして「我が唯一つの望み」(A mon seul désir)という五感を統合するココロです。しかし、実際のところ、本当の主題は何なのかはいまだ不明で、色んな説があります。saraiは一角獣は純真な恋する男で、若い貴婦人に一途な愛を捧げているという説に一票を投じたいと思います。そういう観点で一枚ずつ、タペストリーを見ていきましょう。

味覚(Le goût)です。若い貴婦人は侍女から白い粒の甘いお菓子を受け取っています。ですから、味覚と解釈されました。背景は千花模様(ミル・フルール)が赤い色彩で描かれています。若い貴婦人の手には小鳥がとまり、その貴婦人に向かって、一角獣が前足を上げて、求愛のポーズをとっています。気性の激しい一角獣も愛する女性に対しては、ただただ、従順に愛を捧げるだけの存在です。

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聴覚(L'ouïe)です。若い貴婦人はトルコじゅうたんを掛けた机の上のポジティブオルガン(小型のパイプオルガン)を弾いています。侍女は机の反対側に立ってオルガンのふいごを動かしています。ですから、聴覚と解釈されました。一角獣はおとなしく座わりこんで、若い貴婦人の演奏する音楽に耳を傾けながら、じっと女性に愛の視線を送っています。愛する女性のすることには何にでも賛美の心を持つのが愛というものでしょう。

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視覚(La vue)です。若い貴婦人は右手に手鏡を持ち、一角獣が膝に前足を乗せることを許しています。一角獣は貴婦人の手鏡に映る自身の姿を見ている素振りをしています。ですから、視覚と解釈されました。一角獣は愛する女性の体に触れる喜びで実は視覚などはそっちのけの状態なんです。貴婦人は優しい眼差しを一角獣に向けています。

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嗅覚(L'odorat)です。若い貴婦人は立ち上がって、花輪を作っています。侍女は花が入った籠を持っています。猿は貴婦人の後ろで花の匂いをかいでいます。ですから、嗅覚と解釈されました。一角獣は旗を捧げ持って、前足を上げて、貴婦人に恭順の姿勢です。もう愛は盲目の状態です。

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触覚(Le toucher)です。若い貴婦人は立って自ら右手で旗を掲げて、左手は一角獣の角に触れています。ですから、触覚と解釈されました。愛する女性から角を持たれた一角獣はもう有頂天です。この構図は性的なものを連想してしまいますね。

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我が唯一つの望みに(À mon seul désir)です。絵の中央にある深い青色のテントの頂に金色で「我が唯一つの望み」(A Mon Seul Désir)と書かれています。このタペストリーだけは絵の構図で五感と解釈されるのではなく、明確に意味が記されています。しかし、その言葉は一見、謎のようでもあります。この「我が唯一つの望み」とは、一体、誰の望みなんでしょう。それは若い貴婦人と恋する一角獣の双方の望みだと思います。「味覚」、「聴覚」、「視覚」、「嗅覚」、「触覚」で一角獣の心を魅惑した貴婦人の思い、そして、貴婦人の甘い罠に自ら落ちた一角獣の深い愛情の行き着く先の陶酔こそ、このタペストリーに描かれたラブストーリーの終着点です。社会的な意味であれば、結婚を意味しますが、性的な意味すら連想してしまうのは、いけないことでしょうか。若い貴婦人はこれまでの5枚のタペストリーで身に着けていたネックレスを外して、侍女が差し出した小箱にそのネックレスを納め、一角獣を青いテントの中に誘おうとしています。まさに貴婦人と一角獣の愛は成就しようとしています。それ以外に「我が唯一つの望み」なぞ、ありはしないでしょう。

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素晴らしくロマンティックな恋愛物語でした(???)。

もう一度、恋する一角獣の可愛い姿、6連発をアップでご覧ください。

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本当に可愛いですね。3年前、2013年に日本でも展示されたので見られたかたもいらっしゃると思いますが、saraiは2015年にフィンランドの女性作曲家サーリアホのクラリネット協奏曲《D'OM LE VRAI SENS》の日本初演を聴くまでは、このタペストリーの存在すら知りませんでした。遅ればせながら、素晴らしい作品に出会えました。



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最後のパリ散策:クリュニー美術館で中世を満喫、そして、美味しいイタリアン

2015年7月9日木曜日@パリ/4回目

クリュニー美術館Musée de Clunyの2階の展示室で《貴婦人と一角獣》のタペストリーを堪能しました。タペストリーとは信じられないような繊細な表現で、中世に創られたとは思えないような情熱的なラブストーリーがそこに展開されていました。最後にもう一度、我が唯一つの望みに(À mon seul désir)のタペストリーを名残り惜しく鑑賞します。

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2階で残りの展示室をさっと見て周りましょう。途中、1階を見下ろせます。ロマネスク展示室ですね。

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金細工の展示があります。これは黄金の薔薇ですね。14世紀に作られたものです。とても美しくて、見入ってしまいます。

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フランス北部の町、ボーヴェBeauvaisにあった聖ルシアン教会の内陣の合唱隊席が再現されている展示室があります。合唱隊席の上の壁にはタペストリーが飾られています。

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おやっ、展示されているタペストリーの中に一角獣を発見。一角獣は当時はポピュラーな主題だったんですね。

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クリュニー修道会の修道院長の礼拝堂が当時の状態に再現されている部屋です。壁に飾られているタペストリーも豪華です。

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おっ、何と一角獣の角が展示されています。もちろん、一角獣(ユニコーン)は想像上の動物ですから、これは人間が作った美術品ですよ。実に美しい細工です。

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これは象牙製の角笛です。とても美しい作品ですね。11世紀から12世紀に南イタリアで作られたようです。

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さて、目的の《貴婦人と一角獣》のタペストリーはしっかりと見たし、そろそろ、このクリュニー美術館の見学をお終いにしましょう。出口のほうに向かうと緑の木々の向こうに堂々たる建物が見えます。これこそ、パリの最高学府のパリ=ソルボンヌ大学 Université Paris-Sorbonneです。

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クリュニー美術館の建物から前庭に出て、中世の佇まいを感じさせる建物を見上げます。ゴシック後期のフランボワイヤン様式とルネッサンス様式が混合した古めかしい建物です。

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建物から突き出ている多角柱の塔は階段室なのでしょうか。印象的なデザインです。

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クリュニー美術館(中世美術館)はこんなマイナーで面白くなさそうな美術館ですが、観光客が多く訪れていたのにビックリです。実際、内容は素晴らしかったですから、これまで知らなかったsaraiが無知だったんですね。
クリュニー美術館の周りはメディエヴァル庭園(中世の庭)になっていて、鬱蒼とした緑の木々が茂り、市民の憩いの場になっています。

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ここで、saraiは次の目的地、ブーローニュの森にあるバガテル公園に早速移動しようと配偶者に提案します。配偶者はとんでもないとこの提案を却下。ここでランチをしておかなかったら、食べ損ねるよとのご託宣です。周りを見渡すと、イタリアンレストランがあります。そういえば麺類を久しく食べていません。これにしましょう。Ristorante Del Arteというお店です。お店は、明るく現代風。店内がとても混んでいると思ったら、二階に案内されます。結構大きなお店です。店員さんもみな若いです。2階には空いたテーブルがあり、そこに座ります。

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窓際の席からはクリュニー美術館の周りにある公園の緑が見下ろせます。

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このイタリアンレストランはパスタとピザのお店ですが、我々はもちろんパスタをいただきます。麺類に飢えていましたからね。saraiはアラビアータ風にぴりりとした辛みのソースのボンゴレのパスタ。

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配偶者はベーコンのトマトソースパスタ。

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飲み物は、お水をお願いすると、デキャンタで出てきます。アレッとちょっと期待したら、やっぱり本当に無料でした。水が飲み放題のサービスとは驚きです。暑かったので、ガブガブ飲んじゃいます。パスタは、ぜんぜんアルデンテではないのですが、パンばかり食べていた胃には、こちらの方が美味しいです。これはパリ風のイタリアンですね。大満足のお店です。



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最後のパリ散策:ブーローニュの森のバガテル公園へ

2015年7月9日木曜日@パリ/5回目

クリュニー美術館Musée de Cluny近くのイタリアンレストラン、Ristorante Del Arteで美味しいランチをいただき、お腹を満たしたところで、ブーローニュの森Bois de Boulogneにあるバガテル公園Parc de Bagatelleのバラ園を見に行きます。もうバラを楽しむには遅いかなとは思いますが、ブーローニュの森に行ってみたいんです。
まずはメトロの駅に下ります。

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メトロの10号線のクリュニー-ラ・ソルボンヌ駅Cluny-La Sorbonneが出発点です。

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メトロの12号線に乗り継いで、コンコルド駅Concordeで1号線に乗り換えようとしますが、何と工事中で12号線はコンコルド駅に停まりません。1駅先のマドレーヌ駅Madeleineで降りて、8号線に乗り換えて、コンコルド駅に戻ります。お陰でここまで20分もかかってしまいました。コンコルド駅で1号線のメトロに乗ります。

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ようやく、最寄り駅のポン・ド・ヌイイPont de Neuillyに到着。メトロ駅から地上に出ると、セーヌ川越しにラ・デファンスLa Défenseの新副都心の高層ビル群が見えます。新凱旋門Grande Arche de la Defenseも見えています。

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ここまでのメトロの移動ルートを地図で確認しておきましょう。

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目の前は噴水の上がっている大きなロータリーです。広々としていて、清々しく気持ちがいいです。

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広いロータリーでバス停を探します。手近にあるバスターミナルでバス路線をチェックしますが、バガテル公園行きのバスはありません。

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ロータリーから出ている4本の通りのどこにあるのか、見つけるのが結構大変です。

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と、我々の乗るバスとは反対の方向に行くパスを発見。それから当りをつけて探しますが、やはり見つかりません・・・が、配偶者が目ざとく見つけます! 木の幹にバス停の案内が貼ってあります。

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やはり、ロータリーからすぐのところではありました。

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が、これってひどいですよね。誰もこれでは分からないだろうと思いますが、我々以外は何の問題もなさそうに平然とバス停にやってきます。呆然です。
なにはともあれ、この43番の路線図をチェックします。4つ先のバス停、バガテル広場Place de Bagatelleで降りるようです。

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木の幹にくくりつけられた標識の奇妙なバス停、ポン・ド・ヌイイPont de Neuillyでバスを待ちます。

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すぐに来たパスに乗ります。ところで、saraiは、パスもメトロからの乗り換え自由だと配偶者に説明します。しかし、バスの中のガシャンにチケットを入れてみると、ピーと音がします。配偶者はダメじゃないのと言いますが、saraiはこれでいい筈だよと再度、説明します(実際はバスはメトロからの乗り換えはダメで、無賃乗車したみたいです)。
この辺りはパリの中心地からそれほど離れてはいないのですが、パスから眺める景色は郊外という感じです。最寄りのバス停、バガテル広場に到着です。ここからバガテル公園はどっちに歩いて行くのか、よく分かりません。一応バガテル公園の案内はあるので、その方向に歩きます。

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向こうに森のような緑が見えています。よく分からない道を歩いていきますが、サッカー場のような広場はあります。ともかくだだっ広いのです。方向を間違えたら大変です。

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案内板もありますが、どっちがどっちかよく分かりません。

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と、仮設のようなカフェを発見。そこでお姉さんに尋ねると、ようやく正しい方向が分かります。

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地図付きの案内板もあります。

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確かに、向こうに花壇のようなものが見えるような気がします。

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綺麗な緑の広場の中を歩いていきます。

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メトロからバスに乗り換えて、最寄りのバス停からここまで歩いたルートを地図で確認しておきましょう。

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バガテル公園はもうすぐです。



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最後のパリ散策:バガテル公園をゆったり散策

2015年7月9日木曜日@パリ/6回目

ブーローニュの森Bois de Boulogneにあるバガテル公園Parc de Bagatelleにもうすぐ到着というところまでやってきました。まだ、バガテル公園には入っていませんが、早くも綺麗な薔薇の花がお出迎えです。この咲き方を見ると、バガテル公園内の有名な薔薇園も大変、期待できそうですね。

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この薔薇の花壇の先にバガテル公園の入口が見えてきます。入口を探し当てて、ほっと一安心。

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それにしても、薔薇がよく咲いています。

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入口のゲートが近づいてきます。ゲートはちゃんと開いています。

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なかなか大きなゲートです。saraiはゲート前の花壇に近寄ります。

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この花壇も薔薇の花ですね。

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バガテル公園の入り口に到着。さあ、入場しましょう。

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入場しようとすると、待ったがかかります。ん?
ここはてっきり無料だと思っていたら、入り口のお兄さんから「1人6ユーロ要るよ」って言われて愕然。あるブログに無料で入場した人の話が書いてありましたが、あれは何? さらにお兄さんにバラ園はクローズしているよと言われて、また愕然。苦労して、ここまで来たのに。でも、よく聞くと、クローズしているのはたった30分。はいはい、そのくらいなら、公園内を散策して待ちますよ。まずはチケットを購入。

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今日は余裕の日程ですから、広い広い園内を歩き周りましょう。入口を入って、さあ、どっちに歩いていけばいいのか迷いますが、向こうに園内案内図が見えます。

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園内案内図を眺めて、歩くルートを定めます。薔薇園は右のほうですから、まずは公園の中央部分を歩いて、ぐるっと周りって、最後に薔薇園に行きます。

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緑の中の散策路を歩きます。

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公園内には水場がたくさんあります。

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池では鴨が泳いでいます。

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鴨だけなく、鯉もいますね。

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広々とした気持ちのよい芝生広場に出ます。

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おっと、ガチョウの群れがその広場を闊歩します。生き物のパラダイスですね。

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ガチョウが地面を嘴で突いていますが、エサになる虫でも探しているのかな。

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しばらく、ガチョウを見て楽しみます。パリに来て、ガチョウを眺めるとは思わなかった・・・(笑い)。

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おおっ、そこに孔雀が登場。ここは動物園なの・・・。

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ちょっと待つと、孔雀がこちらを向いてくれます。メルシー!!

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バガテル公園の優雅な散策が続きます。



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最後のパリ散策:バガテル公園は鳥の楽園、そして、美しい薔薇園

2015年7月9日木曜日@パリ/7回目

ブーローニュの森Bois de Boulogneのバガテル公園Parc de Bagatelleを散策中です。薔薇園が30分ほどクローズされているとのことで、それまでは園内を巡っています。鴨やガチョウの群れに遭遇しますが、極め付けは孔雀に出会ったことです。ベンチの背の上にとまっている孔雀にそっと近づいて、大写しでの撮影に成功! 美しい色彩です。

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芝生の広場は広々として、気持ちがいいです。

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見上げると、真っ青な空が広がっています。

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池の脇の岩の頂上から滝のように水が落ちています。下手な噴水よりも見栄えがしますね。

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正面にまわって、この滝もどきを鑑賞します。素晴らしい景観です。

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水辺には綺麗な小花が咲いています。

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滝もどきを見ながら、散策を続けます。

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園内に咲く花が目を楽しませてくれます。

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おやっ、今度は孔雀の雌がいます。雄に比べると地味ですね。

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この小鳥は何でしょう? 様々な鳥の出現のビックリです。

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綺麗な四阿もあります。中国風で淡い色彩の美しい佇まいです。

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中に入ると、内部も素晴らしい意匠です。天井には鳥が描かれています。鳥の楽園にふさわしい四阿です。

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四阿を出ると、さっきの名を知らぬ小鳥が悠然と歩いています。帰国後、ネットで調べたところ、この鳥はカササギ(鵲)のようです。

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配偶者が歩いていると、その前を孔雀がゆっくりと横切っていきます。まるでデモンストレーションしているみたいですね。

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ベストショットで孔雀が撮影できます。できれば羽根を広げてほしいものですが、なかなか思うようにはなりません。

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園内は我々同様にちらほら、歩いている人がいます。ここでは、皆さん、のんびりと過ごしているようです。
そうこうするうちに30分が経ち、薔薇園に向かいます。規模の大きい綺麗なバラ園が見えてきます。

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まだまだバラは咲いています。いっぱい写真を撮って楽しむことができます。

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花好きの配偶者は大喜び。彼女のために来たんですから、saraiとしても嬉しいですよ。配偶者はバラの写真を一心に撮っています。

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こんな綺麗なバラも咲いています。

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色とりどりの薔薇を配偶者は夢中で眺めています。

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しばらくは薔薇園から離れられないですね。



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最後のパリ散策:バガテル公園の美し過ぎる薔薇園

2015年7月9日木曜日@パリ/8回目

ブーローニュの森Bois de Boulogneのバガテル公園Parc de Bagatelleで美しい薔薇園を鑑賞中です。薔薇園の前には、瀟洒な白い建物があります。こういう庭園には付き物のオランジェリーです。

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そのオランジェリーから左に目を転じると、小さな建物が見えます。これはチーフガーデナーの館です。

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配偶者は相変わらず、美しい薔薇の撮影に余念がありません。

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saraiも薔薇園の中に歩み入ってみましょう。

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配偶者が薔薇を見ているところに寄っていきます。配偶者は咲き乱れる薔薇に夢中の様子です。

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配偶者が夢中になって写真を撮るのも無理がありません。とっても綺麗に薔薇が咲いています。

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薔薇園には多くの品種の薔薇が咲いています。1907年以来、毎年、薔薇の国際コンクールが開催され、一流の薔薇栽培家が腕を競い合って、この薔薇園に新しい薔薇を次々に植えているそうです。数年単位で栽培し、その成長過程もコンクールで評価されるんだそうです。

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こういうこんもりした薔薇の木もあります。

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薔薇園自体も綺麗にデザインされています。

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ほかにも薔薇を一生懸命、観察している人たちがいます。

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それにしても見尽くすことが大変なくらい、薔薇の花が膨大に咲いています。

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薔薇園は全貌を見渡すことができないほどの規模です。

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向こうに四阿の建つ小高い丘があります。あの丘の上からは薔薇園がよく見渡せるかもしれません。

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配偶者は熱心に薔薇を観察しながら、写真を撮っています。

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確かに見事な薔薇ですね。

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こういう薔薇のトンネルもあります。まだ、花の量が少ないようですが、満開になると綺麗でしょうね。

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蔓薔薇が完全に伸び、支柱に絡まるまでにはもう少しかかるのかな。

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全体にこれくらい育つととても綺麗になるのでしょう。

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この薔薇のトンネルの下を抜けていきます。

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美しい薔薇園は見飽きることがありません。

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もう少し、薔薇園で優雅なひと時を過ごしましょう。



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saraiの音楽総決算2016:ピアノ・室内楽編

今年もブログの締めくくりはsarai恒例の音楽総決算です。

今年は国内・海外合わせて、厳選したコンサート・オペラに計80回足を運びました。それらについてはすべて当ブログで報告済みですが、今回から4回のシリーズでそれらからベストの音楽会を選んで、今年の音楽の総決算としたいと思います。
今回はピアノ・リサイタルと室内楽編です。今年はこのジャンルをたくさん聴きました。計36回です。内、ピアノ・リサイタルが8回、ヴァイオリン・リサイタルが7回、チェロとハープが3回、3人以上のメンバーによる室内楽が18回です。ちょっとピアノ・リサイタルが少なかったのが残念ですが、よい演奏に恵まれました。で、今年に限って、ピアノ・リサイタルとそれ以外に分けて、ランキングしてみます。
ちなみに昨年の結果はここです。

まず、ピアノ・リサイタル部門です。ベスト5は次の通りです。ともかく、アヴデーエワが圧倒的に素晴らしく、上原彩子のラフマニノフも神がかり的です。ツィメルマンのシューベルトの遺作ソナタD.960も感涙ものでそた。

1位 究極の“美”!!ユリアンナ・アヴデーエワ ピアノ・リサイタル@横浜みなとみらいホール 2016.11.3
2位 上原彩子、衝撃のラフマニノフ@サントリーホール 2016.2.8
3位 クリスチャン・ツィメルマン ピアノ・リサイタル@横浜みなとみらいホール 2016.1.10
4位 圧巻のベートーヴェン!!ルドルフ・ブッフビンダー・ピアノ・リサイタル@ザルツブルク音楽祭(祝祭大劇場) 2016.8.2
5位 上原彩子、究極のピアニズム ラフマニノフのプレリュード@東京オペラシティ コンサートホール 2016.6.3

ユリアンナ・アヴデーエワはピアノの響きの究極の美を教えられた素晴らしい演奏でした。リストのロ短調ソナタのあまりの素晴らしさに頭が真っ白になりました。

上原彩子のラフマニノフの凄さは年々増すばかりです。一体、どこまでの高みまで達するのか、恐ろしいほどです。この日のラフマニノフのピアノ・ソナタはラフマニノフの真髄を感じさせられるような演奏でした。大変な衝撃を受けました。因みにこの日の河村尚子のモーツァルトも素晴らしい演奏でした。

クリスチャン・ツィメルマンの弾いたシューベルト最後のピアノ・ソナタの第21番 変ロ長調 D.960は最高の演奏でした。何も変わったことをしているわけではなく、ただただ、シューベルトの音楽を忠実に弾いているだけでいたが、その内容の深さは圧巻でした。

またまた、上原彩子のラフマニノフですが、もう、その素晴らしさは絶賛するしかありません。


次はピアノを除いた器楽・室内楽部門です。いやはや、世界は広い。初聴きのパヴェル・ハース・カルテットの素晴らしい表現力に圧倒的されました。ベスト10は次のとおりです。

1位 シューベルトの響きに酔いしれる:パヴェル・ハース・カルテット@鶴見サルビアホール 2016.12.9
2位 精妙にして音楽的:ハーゲン・クァルテット@東京オペラシティ コンサートホール 2016.9.14
3位 至芸と言うべきでしょうか・・・ヨーヨー・マ J.S.バッハ 無伴奏チェロ組曲全曲演奏会@サントリーホール 2016.9.21
4位 またまた圧巻のブラームス:フォーレ四重奏団@横浜みなとみらいホール 2016.10.5
5位 尖がったバルトーク、最高!!庄司紗矢香@川口リリアホール 2016.5.27
6位 明日への希望!!パシフィカ・クァルテット:ショスタコーヴィチ・プロジェクト第3回@鶴見サルビアホール 2016.6.14
7位 納得のシューベルト・・・ロータス・カルテット・リサイタル@SQSサルビアホール 2016.3.11
8位 昔も今もさすがのバッハ!ヒラリー・ハーン ヴァイオリン・リサイタル@横浜みなとみらいホール 2016.6.12
9位 トッパンホール室内楽フェスティバル:2日目@トッパンホール 2016.5.16
10位 感銘!異形のブラームス:ユリア・フィッシャー ヴァイオリン・リサイタル@トッパンホール 2016.10.16

パヴェル・ハース・カルテットは素晴らしい実力の持ち主でした。特にシューベルトの最後の弦楽四重奏曲の第15番 D.887の素晴らしかったこと、驚きました。現代におけるシューベルト演奏の規範と言っても言い過ぎではないと思います。ウェーベルン、ショスタコーヴィチも見事な演奏でまさに今年最高の室内楽コンサートでした。

ハーゲン・カルテットの進化は止まりませんね。昔のバリバリ弾いた時と比べて、表現が深くなってきました。毎年のように、来日コンサートが聴けるのは嬉しい限りです。来年のショスタコーヴィチ&シューベルト ツィクルスが今から楽しみです。今年同様、きっと期待を裏切らないでしょう。

ヨーヨー・マのJ.S.バッハの無伴奏チェロ組曲全曲演奏は圧巻でした。特に中盤以降、響きがよくなって、バッハの素晴らしさを堪能させてくれました。

フォーレ四重奏団のブラームスのピアノ四重奏曲第1番は文句なしに素晴らしい演奏でした。特に第4楽章ではsaraiの心は高揚するばかりでした。

庄司紗矢香の弾いたバルトークとバッハの無伴奏は素晴らしい演奏でした。いずれもsaraiの愛する曲。満足感、幸福感に満たされたリサイタルでした。これを1位にすればよかったかな。

パシフィカ・クァルテットによるショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲全15曲チクルスの3回目のコンサートでした。第12番の圧倒的な演奏にとってもインスパイアされました。パシフィカ・クァルテットも凄い実力のグループでした。

ロータス・カルテットにチェロのペーター・ブック(元メロス・カルテット)が加わったシューベルトの弦楽五重奏曲はとても豊かな響きの素晴らしい演奏でした。今年は素晴らしいシューベルトの音楽をたくさん聴けた年になりました。シューベルトの晩年の作品はとても素晴らしく、それがよい演奏で聴けると感動するしかありません。

ヒラリー・ハーンはこのところ、以前のような美しい響きがなかなか聴けませんが、このリサイタルでのバッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 第3番 ハ長調 BWV1005の演奏は素晴らしいものでした。これが復活の兆しであればと願わずにいられません。

トッパンホール室内楽フェスティバルはクリスティアン・テツラフを中心に仲間たちが結集したコンサートでした。全6回のうちの3回を聴きましたが、テツラフの知的なアプローチが印象的でした。この2日目のコンサートではシューマンのピアノ三重奏曲第1番 ニ短調 Op.63に魅了されました。特にテツラフのヴァイオリンが見事でシューマンの室内楽をすっかり満喫しました。

ユリア・フィッシャーはとても個性のあるヴァイオリニストですが、それがよい方向にも悪い方向にも働きます。ブラームスのヴァイオリン・ソナタ 第3番 ニ短調 Op.108もある意味、ブラームスらしくない演奏でしたが、saraiはそのスケール感のある演奏にとても魅了されました。

一応、この部門全体を通した最上位を決めておきましょう。それは以下です。

 ユリアンナ・アヴデーエワのピアノ・リサイタル@横浜みなとみらいホール

ともかく、今年はsaraiにとって、室内楽の年と言ってもいいような年になりました。ほかにもいい室内楽をたくさん聴けました。

次回はオペラ・オペレッタ編です。


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saraiの音楽総決算2016:オペラ・オペレッタ・バレエ編

さて、前回に引き続き、今年の音楽の総決算です。

今回はオペラ・オペレッタ・バレエ編です。
今年はオペレッタとバレエは見ていません。オペラもたったの8回しか見ていません。そのうち5回は海外です。今年は低調でした。
ちなみに昨年の結果はここです。

で、今年は以下をベスト5に選びました。

1位 最高のモーツァルト!!《コジ・ファン・トゥッテ》@ザルツブルク音楽祭(フェルゼンライトシューレ) 2016.7.31

2位 静謐の美に深く感動!!《ダナエの愛》@ザルツブルク音楽祭(祝祭大劇場) 2016.8.5

3位 ティーレマンが振るとワーグナーの音楽が輝く!!《ラインの黄金》シュターツカペレ・ドレスデン@サントリーホール 2016.11.18

4位 アデスの新作オペラ《皆殺しの天使》@ザルツブルク音楽祭(モーツァルト劇場) 2016.8.1

5位 モラヴィアの深い響き:オペラ《イェヌーファ》@新国立劇場 2016.3.8


人生初めてのザルツブルク音楽祭遠征で初めて見たオペラがこの《コジ・ファン・トゥッテ》。モーツァルト生誕の地で見るモーツァルトの傑作オペラは素晴らしいものでした。いやあ、こんな凄い公演が聴けるなんて、さすがにザルツブルク音楽祭ですね。もう満足を通り越して、唖然としてしましました。文句なしの今年のトップです。

次もまた、ザルツブルク音楽祭に因縁のあるR・シュトラウスの晩年の傑作オペラの《ダナエの愛》。このオペラをザルツブルク音楽祭でウィーン・フィルの演奏で聴けただけでも満足ですが、第3幕の後半、ウィーン・フィルが美しい音楽を奏でて、ダナエ役のストヤノヴァが心の平安と愛をしっとりと歌い上げるところから後はもう静謐な美に包まれて、静かな感動に心を浸すのみでした。R・シュトラウスの音楽を愛するものとしては何も言うべき言葉を持たない、極上の体験でした。

《ラインの黄金》はサントリーホールのホールオペラでしたが、ちゃんとしたオペラハウスでのオペラ上演にも匹敵するような素晴らしい内容でした。それにティーレマンにはワーグナーが一番、似合っています。ティーレマンが振るシュターツカペレ・ドレスデンの響きは黄金のように輝いていました。

昨年もウィーン国立歌劇場で現代のオペラの旗手アデスによるオペラ《テンペスト》を聴いて感銘を受けましたが、今年はザルツブルク音楽祭で世界初演となるアデスの新作オペラ《皆殺しの天使》を聴きました。特に女声歌手たちの驚異的な歌唱には圧倒されました。なかでもフォン・オッターの素晴らしい歌唱は特筆すべきものでした。また、終幕の荘厳なレクイエム(ルクス・エテルナ)ももう一度聴いてみたいほどの圧倒的な迫力でした。

ヤナーチェックの作曲した《イェヌーファ》を新国立劇場が見事に公演し、深い感動を覚えました。ヤナーチェックの音楽、簡素で音楽志向の演出、粒よりの歌手陣、ホールトーンの響き、すべてが相俟って、最高のオペラに仕上がっていました。中でも女声3人、ミヒャエラ・カウネ、ジェニファー・ラーモア、ハンナ・シュヴァルツの素晴らしい歌唱に感銘を受けました。

次回はオーケストラ・声楽曲編です。


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saraiの音楽総決算2016:協奏曲編

さて、前回に引き続き、今年の音楽の総決算です。

今回は協奏曲編です。
今年はユジャ・ワンのピアノが聴けたのが最大の収穫でした。凄まじくスリリングな演奏に興奮させられました。
ちなみに昨年の結果はここです。

今年は以下をベスト10に選びました。

1位 マイケル・ティルソン・トーマス、感動のマーラー!、そして、ユジャ・ワンの圧倒的なショスタコーヴィチ! サンフランシスコ交響楽団@サントリーホール 2016.11.21

2位 上原彩子、魂ゆさぶるチャイコフスキー@みなとみらいホール 2016.1.6

3位 ヴィニツカヤは美貌だけじゃなかった!!衝撃のプロコフィエフ・・・インバル&東京都交響楽団@東京文化会館 2016.9.15

4位 鬼神のごとき上原彩子のプロコフィエフ_ゲッツェル&神奈川フィル@神奈川県民ホール 2016.9.22

5位 庄司紗矢香のパーフェクトな響き《ブリテン:ヴァイオリン協奏曲》・・・インキネン&日本フィル@サントリーホール 2016.4.22

6位 キュッヒルの美しい響きのゴルトマルク_神奈川フィル@横浜みなとみらいホール 2016.9.17

7位 オーギュスタン・デュメイの冴え渡るモーツァルトと支えるインバル&東京都交響楽団の鉄壁のアンサンブル@サントリーホール 2016.9.20

8位 河村尚子の熱いラフマニノフ_山田和樹&バーミンガム市交響楽団@サントリーホール 2016.6.28

9位 庄司紗矢香、意欲的なデュティユー・・・東京都交響楽団@サントリーホール 2016.11.19

10位 菊池洋子の至福のモーツァルトwith名古屋フィル&神奈川フィル@横浜みなとみらいホール 2016.6.25


ユジャ・ワンは実質、初聴きでしたが、saraiは即、恋に落ちました。ヴィジュアル的にも音楽的にも素敵でお洒落なピアニスト。こんなキュートな芸術家って、いるんですね。ショスタコーヴィチのピアノ協奏曲の演奏の迫力とスリリングさ・・・言葉を失うほど凄かった!! それに2曲弾いたアンコールのお洒落さには脱帽です。マイケル・ティルソン・トーマス率いるサンフランシスコ交響楽団の高速パートのサポートも見事の一語でした。

上原彩子の弾くチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番。彼女の弾くロシアものは素晴らしいです。ラフマニノフ、プロコフィエフ、そして、チャイコフスキーは最高です。上原彩子の凄まじい気魄の演奏に心底、魂が揺さぶられて、大変な感動を味わいました。

アンナ・ヴィニツカヤの凄い美貌とそれ以上に凄い超絶技巧に圧倒されたコンサートでした。インバル&都響のサポートも見事でした。プロコフィエフのピアノ協奏曲 第2番がこんなに凄い難曲、しかも名曲だということも初めて知りました。いやあ、驚いた。

次もプロコフィエフのピアノ協奏曲ですが、これは第3番。ポピュラーな名曲です。これも難曲ですが、第2番を聴いた後だったので、それに比べるとちょっとシンプルに思えてしまいます。上原彩子のお得意の曲ですが、まさに鬼神のごとく、物凄い気魄の演奏、大変な興奮と感動を味わいました。

ブリテンのヴァイオリン協奏曲を初めて聴きましたが、大変な傑作です。庄司紗矢香はヴァイオリンの響きの美しさ、音楽の表現の両面でパーフェクトとも思える快演を聴かせてくれました。

ウィーン・フィルを引退したばっかりのライナー・キュッヒルのソロで、日本では演奏機会の少ないゴルトマルクのヴァイオリン協奏曲第1番を聴きました。ヴィルトゥオーソ的な演奏ではありませんが、ウィーン風といった感じの魅力に満ちた美しい演奏にうっとりとしました。

一度、オーギュスタン・デュメイの実演を聴いてみたいと思っていましたが、その艶やかなヴァイオリンの音色は期待以上のものでした。モーツァルトのヴァイオリン協奏曲をこんなに心地よく聴いたことはあったでしょうか。ピアノ協奏曲と同じくらいの愉悦をもたらせてくれました。インバル指揮の東京都交響楽団もこれ以上はないと思えるほどのアンサンブルでモーツァルトの美しい響きを聴かせてくれました。

河村尚子が弾くラフマニノフのピアノ協奏曲第3番はこうなのねって感じで、ラフマニノフの音楽を満喫できました。第3楽章のフィナーレの熱さにはしびれました。

庄司紗矢香が意欲的に取り組んだデュティユーのヴァイオリン協奏曲《夢の樹》。半分は満足し、残り半分は彼女ならば、もっと弾けたんじゃないかという残念な思いが残りました。で、このあたりのランクになりました。是非、再チャレンジしてもらいたいと思います。

菊池洋子の見事なモーツァルトが聴けて、まったく、満足、満足のコンサートでした。もっと、高いランクにしてもよかったですね。

いよいよ、次回は最終回、大賞も発表します。そして、大晦日でもありますね。


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saraiの音楽総決算2016:オーケストラ・声楽曲編

今年の音楽の総決算もいよいよ最後になりました。そして、ブログも今年の書き納めです。

今回はオーケストラ・声楽曲編です。
このジャンルは今年もたくさんのコンサートを聴きました。ウィーン・フィルやシュターツカペレ・ドレスデンというスーパーオーケストラも素晴らしかったんですが、マイケル・ティルソン・トーマスの指揮したサンフランシスコ交響楽団の精妙なマーラーにとても感銘を受けました。
ちなみに昨年の結果はここです。

で、今年はベスト10は以下です。

1位 マイケル・ティルソン・トーマス、感動のマーラー!、そして、ユジャ・ワンの圧倒的なショスタコーヴィチ! サンフランシスコ交響楽団@サントリーホール 2016.11.21

2位 天才R.シュトラウスの音響世界を描き尽すティーレマン&シュターツカペレ・ドレスデン@サントリーホール 2016.11.22

3位 マーラーはやっぱりウィーン・フィルで聴かないとね@ザルツブルク音楽祭(祝祭大劇場) 2016.8.6

4位 マタイ受難曲、ラ・プティット・バンド@東京オペラシティ コンサートホール 2016.3.5

5位 マタイ受難曲、トーマス教会合唱団&ゲヴァントハウス管弦楽団@サントリーホール 2016.3.9

6位 新時代の幕開けか・・・ロト&東京都交響楽団@サントリーホール 2016.4.7

7位 心に沁みる晩年のシューベルト:ロベルト・ホル《白鳥の歌》@上大岡ひまわりの郷 2016.11.20

8位 鉄壁のアンサンブルのショスタコーヴィチ・・・インバル&東京都交響楽団@サントリーホール 2016.9.20

9位 感動のドイツ・レクィエム・・・チェン・レイス&ノット&東響@ミューザ川崎シンフォニーホール 2016.4.23

10位 マーラーの描くもの・・・薄明の先の無、ヤンソンス&バイエルン放送交響楽団@サントリーホール 2016.11.27


今年の1位は、マイケル・ティルソン・トーマスとサンフランシスコ交響楽団によるマーラーの交響曲第1番《巨人》。因みに昨年の1位はハイティンク指揮ロンドン交響楽団のマーラーの交響曲第4番。やはり、マーラーの交響曲は聴き応えがあるということでしょうか。それにしても、マイケル・ティルソン・トーマスの細かい表情を付けた丁寧な指揮はマーラーの真髄を余すところなく表現する最高のものでした。次の来日でまたマーラーのほかの作品を聴かせてもらいたいものです。

2位はティーレマン&シュターツカペレ・ドレスデンが演奏したR・シュトラウスのアルプス交響曲。この曲はR・シュトラウスの中期の傑作ですが、内容的には晩年の名作群につながっている素晴らしい作品であることを如実に示してくれるような深い表現に満ちた演奏でした。1位に選んだマイケル・ティルソン・トーマスとサンフランシスコ交響楽団によるマーラーと甲乙つけがたいコンサートでした。どちらを1位に選んでもよかったんですが、既にティーレマンの名演はたくさん聴いていますから、ここはマイケル・ティルソン・トーマスに1位を譲ってもらいましょう。

3位はザルツブルク音楽祭でのズビン・メータ指揮のウィーン・フィルのコンサートです。とりわけ、マティアス・ゲルネが歌ったマーラーの《亡き子をしのぶ歌》は歌もオーケストラも素晴らしい演奏でした。

4位、5位はマタイ受難曲。いずれも聖金曜日の3週間ほど前に聴きました。クイケン率いるラ・プティット・バンドはピリオド奏法&OVPP(One Voice per Part:合唱の1声部を一人で歌う)でコラールの美しい響きに感動しました。一方、トーマス教会合唱団&ゲヴァントハウス管弦楽団は独唱が素晴らしく、特にイエス役のクラウス・ヘーガーが傑出した出来でした。

6位はポスト・ピリオド時代の旗手フランソワ=グザヴィエ・ロトの指揮した都響のサントリー定期演奏会。ロトの清新な演奏は新時代の幕開けを予感させるものでした。ウェーベルン編曲のシューベルトのドイツ舞曲、R.シュトラウスの晩年の名作メタモルフォーゼン、ベートーヴェンの交響曲第3番《英雄》、いずれも目から鱗の素晴らしい演奏に驚嘆しました。これから、ロトの指揮するコンサートは聴き逃がせません。

7位はロベルト・ホルが歌ったシューベルトの晩年の名作《白鳥の歌》。昨年もロベルト・ホルの《冬の旅》を聴いて、感銘を受けましたが、今年は《白鳥の歌》を聴いて、それ以上に心に沁みました。今年は他にテノールのユリアン・プレガルディエンの素晴らしい《白鳥の歌》を聴きました。テノールのユリアン・プレガルディエンとバス・バリトンのロベルト・ホルという違いがあるにせよ、いずれも素晴らしい歌唱でした。それはシューベルトの《白鳥の歌》がいかに名曲であるかということを再認識することでもありました。

8位はインバル&東京都交響楽団の演奏したショスタコーヴィチの交響曲第8番。インバルの80歳記念&都響デビュー25年記念のアニバーサリーコンサートシリーズ(全3回)の最後を飾るコンサートでした。このコンサートシリーズはいずれも素晴らしい出来栄えで、どれほどリハーサルを重ねたのかと思うほどのものでした。インバルが振ると、都響は素晴らしい演奏をします。このショスタコーヴィチの交響曲第8番も奇をてらうことなく、楽譜通りの演奏ではありましたが、その音楽的な完成度の高さは驚くべきものでした。

9位はジョナサン・ノット指揮の東京交響楽団によるブラームスのドイツ・レクイエム。ソプラノのチェン・レイスの素晴らしい歌唱も相まって、感動的な演奏でした。前半で演奏されたシェーンベルクの《ワルシャワの生き残り》が出色の出来でしたし、ベルクの「ルル」組曲も意欲的な取り組みで楽しめました。音楽監督のジョナサン・ノットは東京交響楽団と10年間の長期契約(異例?)を結んだようなので、これからは注目ですね。年末のコンサート形式オペラの《コジ・ファン・トゥッテ》も素晴らしい出来でした。

10位はヤンソンス&バイエルン放送交響楽団のマーラーの交響曲第9番。良い演奏ではありましたが、残念ながら、saraiとは波長が合わなかったのこのランク。別の日に聴けば、もっと感じるものはあったのかもしれません。


ジャジャーン!
ここで今年の大賞発表です。

今年は迷いに迷った挙句、やはり、初のザルツブルグ音楽祭でのオペラを選定しました。

 モーツァルト《コジ・ファン・トゥッテ》@ザルツブルク音楽祭(フェルゼンライトシューレ)

記事はここです。
決して、スーパーキャストだったわけでもなく、オーケストラもウィーン・フィルでなく、ザルツブルク・モーツアルテウム。しかし、素晴らしいオペラ上演でした。モーツァルト生誕の地ザルツブルクでこんな素晴らしいものが体験できて、saraiは幸せ以外のなにものでもありませんでした。

因みに最後まで大賞の選定で迷ったのはマイケル・ティルソン・トーマスとサンフランシスコ交響楽団およびユジャ・ワンのコンサート。オーケストラ部門と協奏曲部門のダブル1位だった素晴らしかったコンサートです。

 マイケル・ティルソン・トーマス、感動のマーラー!、そして、ユジャ・ワンの圧倒的なショスタコーヴィチ! サンフランシスコ交響楽団@サントリーホール

このコンサートは上に書いたとおりです。特にマーラーはまた、このコンビで是非聴かせてもらいたいものです。交響曲第9番で今度は大賞に選定したいものです。

来年の感動に期待しながら、今年の総括は幕としましょう。

今年も当ブログを読んでいただいたみなさんには感謝です。また、来年も引き続き、ご愛読ください。

saraiはこれから、みなとみらいホールのジルヴェスターコンサートに出かけます。今年も音楽で年越しです。

皆さま、よいお年を!!


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Author:sarai
首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
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 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
公演では小沢、ショルティだけ

ベーム、ケルテス、ショルティ、クーベリック、
クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
、チェリブ

07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

私も18年前にドレスデンでバームクーヘン食べました。マイセンではB級品でもコーヒー茶碗1客日本円で5万円程して庶民には高くて買えなかったですよ。奥様はもしかして◯良女

06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

もろともにあはれとおもへ山ざくら 花よりほか

通りすがりさん

コメント、ありがとうございます。正直、もう2年ほど前のコンサートなので、詳細は覚えておらず、自分の文章を信じるしかないのですが、生演奏とテレビで

05/13 23:47 sarai
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