今回はオーケストラ・声楽曲編です。
このジャンルは今年もたくさんのコンサートを聴きました。ウィーン・フィルやシュターツカペレ・ドレスデンというスーパーオーケストラも素晴らしかったんですが、マイケル・ティルソン・トーマスの指揮したサンフランシスコ交響楽団の精妙なマーラーにとても感銘を受けました。
ちなみに昨年の結果はここです。
で、今年はベスト10は以下です。
1位 マイケル・ティルソン・トーマス、感動のマーラー!、そして、ユジャ・ワンの圧倒的なショスタコーヴィチ! サンフランシスコ交響楽団@サントリーホール 2016.11.21
2位 天才R.シュトラウスの音響世界を描き尽すティーレマン&シュターツカペレ・ドレスデン@サントリーホール 2016.11.22
3位 マーラーはやっぱりウィーン・フィルで聴かないとね@ザルツブルク音楽祭(祝祭大劇場) 2016.8.6
4位 マタイ受難曲、ラ・プティット・バンド@東京オペラシティ コンサートホール 2016.3.5
5位 マタイ受難曲、トーマス教会合唱団&ゲヴァントハウス管弦楽団@サントリーホール 2016.3.9
6位 新時代の幕開けか・・・ロト&東京都交響楽団@サントリーホール 2016.4.7
7位 心に沁みる晩年のシューベルト:ロベルト・ホル《白鳥の歌》@上大岡ひまわりの郷 2016.11.20
8位 鉄壁のアンサンブルのショスタコーヴィチ・・・インバル&東京都交響楽団@サントリーホール 2016.9.20
9位 感動のドイツ・レクィエム・・・チェン・レイス&ノット&東響@ミューザ川崎シンフォニーホール 2016.4.23
10位 マーラーの描くもの・・・薄明の先の無、ヤンソンス&バイエルン放送交響楽団@サントリーホール 2016.11.27
今年の1位は、マイケル・ティルソン・トーマスとサンフランシスコ交響楽団によるマーラーの交響曲第1番《巨人》。因みに昨年の1位はハイティンク指揮ロンドン交響楽団のマーラーの交響曲第4番。やはり、マーラーの交響曲は聴き応えがあるということでしょうか。それにしても、マイケル・ティルソン・トーマスの細かい表情を付けた丁寧な指揮はマーラーの真髄を余すところなく表現する最高のものでした。次の来日でまたマーラーのほかの作品を聴かせてもらいたいものです。
2位はティーレマン&シュターツカペレ・ドレスデンが演奏したR・シュトラウスのアルプス交響曲。この曲はR・シュトラウスの中期の傑作ですが、内容的には晩年の名作群につながっている素晴らしい作品であることを如実に示してくれるような深い表現に満ちた演奏でした。1位に選んだマイケル・ティルソン・トーマスとサンフランシスコ交響楽団によるマーラーと甲乙つけがたいコンサートでした。どちらを1位に選んでもよかったんですが、既にティーレマンの名演はたくさん聴いていますから、ここはマイケル・ティルソン・トーマスに1位を譲ってもらいましょう。
3位はザルツブルク音楽祭でのズビン・メータ指揮のウィーン・フィルのコンサートです。とりわけ、マティアス・ゲルネが歌ったマーラーの《亡き子をしのぶ歌》は歌もオーケストラも素晴らしい演奏でした。
4位、5位はマタイ受難曲。いずれも聖金曜日の3週間ほど前に聴きました。クイケン率いるラ・プティット・バンドはピリオド奏法&OVPP(One Voice per Part:合唱の1声部を一人で歌う)でコラールの美しい響きに感動しました。一方、トーマス教会合唱団&ゲヴァントハウス管弦楽団は独唱が素晴らしく、特にイエス役のクラウス・ヘーガーが傑出した出来でした。
6位はポスト・ピリオド時代の旗手フランソワ=グザヴィエ・ロトの指揮した都響のサントリー定期演奏会。ロトの清新な演奏は新時代の幕開けを予感させるものでした。ウェーベルン編曲のシューベルトのドイツ舞曲、R.シュトラウスの晩年の名作メタモルフォーゼン、ベートーヴェンの交響曲第3番《英雄》、いずれも目から鱗の素晴らしい演奏に驚嘆しました。これから、ロトの指揮するコンサートは聴き逃がせません。
7位はロベルト・ホルが歌ったシューベルトの晩年の名作《白鳥の歌》。昨年もロベルト・ホルの《冬の旅》を聴いて、感銘を受けましたが、今年は《白鳥の歌》を聴いて、それ以上に心に沁みました。今年は他にテノールのユリアン・プレガルディエンの素晴らしい《白鳥の歌》を聴きました。テノールのユリアン・プレガルディエンとバス・バリトンのロベルト・ホルという違いがあるにせよ、いずれも素晴らしい歌唱でした。それはシューベルトの《白鳥の歌》がいかに名曲であるかということを再認識することでもありました。
8位はインバル&東京都交響楽団の演奏したショスタコーヴィチの交響曲第8番。インバルの80歳記念&都響デビュー25年記念のアニバーサリーコンサートシリーズ(全3回)の最後を飾るコンサートでした。このコンサートシリーズはいずれも素晴らしい出来栄えで、どれほどリハーサルを重ねたのかと思うほどのものでした。インバルが振ると、都響は素晴らしい演奏をします。このショスタコーヴィチの交響曲第8番も奇をてらうことなく、楽譜通りの演奏ではありましたが、その音楽的な完成度の高さは驚くべきものでした。
9位はジョナサン・ノット指揮の東京交響楽団によるブラームスのドイツ・レクイエム。ソプラノのチェン・レイスの素晴らしい歌唱も相まって、感動的な演奏でした。前半で演奏されたシェーンベルクの《ワルシャワの生き残り》が出色の出来でしたし、ベルクの「ルル」組曲も意欲的な取り組みで楽しめました。音楽監督のジョナサン・ノットは東京交響楽団と10年間の長期契約(異例?)を結んだようなので、これからは注目ですね。年末のコンサート形式オペラの《コジ・ファン・トゥッテ》も素晴らしい出来でした。
10位はヤンソンス&バイエルン放送交響楽団のマーラーの交響曲第9番。良い演奏ではありましたが、残念ながら、saraiとは波長が合わなかったのこのランク。別の日に聴けば、もっと感じるものはあったのかもしれません。
ジャジャーン!
ここで今年の大賞発表です。
今年は迷いに迷った挙句、やはり、初のザルツブルグ音楽祭でのオペラを選定しました。
モーツァルト《コジ・ファン・トゥッテ》@ザルツブルク音楽祭(フェルゼンライトシューレ)
記事はここです。
決して、スーパーキャストだったわけでもなく、オーケストラもウィーン・フィルでなく、ザルツブルク・モーツアルテウム。しかし、素晴らしいオペラ上演でした。モーツァルト生誕の地ザルツブルクでこんな素晴らしいものが体験できて、saraiは幸せ以外のなにものでもありませんでした。
因みに最後まで大賞の選定で迷ったのはマイケル・ティルソン・トーマスとサンフランシスコ交響楽団およびユジャ・ワンのコンサート。オーケストラ部門と協奏曲部門のダブル1位だった素晴らしかったコンサートです。
マイケル・ティルソン・トーマス、感動のマーラー!、そして、ユジャ・ワンの圧倒的なショスタコーヴィチ! サンフランシスコ交響楽団@サントリーホール
このコンサートは上に書いたとおりです。特にマーラーはまた、このコンビで是非聴かせてもらいたいものです。交響曲第9番で今度は大賞に選定したいものです。
来年の感動に期待しながら、今年の総括は幕としましょう。
今年も当ブログを読んでいただいたみなさんには感謝です。また、来年も引き続き、ご愛読ください。
saraiはこれから、みなとみらいホールのジルヴェスターコンサートに出かけます。今年も音楽で年越しです。
皆さま、よいお年を!!
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