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ランス大聖堂&シャンパーニュ地方:静かな感銘を受けるフジタ礼拝堂

2016年7月23日土曜日@パリ~ランス&シャンパーニュ地方/10回目

素晴らしいランチを終え、みなさんに別れを告げて、ランスReimsで最後の目的であるフジタ礼拝堂Chapelle Foujitaに向かうことにします。これがランチしていたレストラン、クリュ・シャンジーCRU Chanzyです。

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向かいの通りの先にランス大聖堂Cathédrale Notre-Dame de Reimsの重厚な姿が見えています。

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バス通りのシャンジー通りRue Chanzyを歩いて、バス停に向かいます。ヴェル通りRue de Vesleに出ると、右手に見えるランス歌劇場Grand Théâtre de Reimsが気になります。瀟洒な建物です。どんなオペラをやるんでしょう。ロッシーニのオペラ《ランスへの旅》でもやれば、最高でしょうね。

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バス停オペラOpéraから、とりあえずランス駅までバスで出ます。バス停にちょうど5番のバスが停車中だったので、1日乗車券を提示して、乗り込みます。すると、バスのドライバーがムッシュと呼びかけてきます。1日乗車券を磁気センサーにタッチしろということです。タッチするとピッと鳴ります。ただの紙の乗車券と思っていたんですが、これは磁気の埋め込まれたタッチ式の乗車券だったんですね。ということは今まで乗車したのはただ乗りだったのかな。知りませんでした。申し訳けない。バスがなかなか発車しないのでバスのルートマップを見ていると、この5番はランス駅に行かないような気がします。ドライバーに確認すると駅には行かないよっということで慌てて降ります。直後、バスは発車。あぶないところでした。その後やってきた2番のバスで無事、ランス駅に到着。

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ここから11番のバスでフジタ礼拝堂に向かいましょう。11番のバスを探そうとすると、ちょうど、11番のバスがやってきたのを配偶者が発見。ただ、この11番はランス駅行きの表示でここが終着のようです。そのドライバーにバスマップを示して、フジタ礼拝堂の近くのバス停に行きたいと相談するとしばらく頭を捻って、最後はこのバスに乗っていくのがいいというご託宣。しばらくして発車したバスは駅を離れて少し走ったところで、「ムッシュ、ここの通りの先がフジタ礼拝堂だよ」と教えてくれます。バス停ルモワーヌLemoineで降車します。この時点で2時10分になっています。フジタ礼拝堂は午後2時から3時間だけの開館です。そして、saraiがランス駅から次に向かうシャロン=アン=シャンパーニュ行の電車は2時43分発。これを逃すとシャロン=アン=シャンパーニュに行き損ねます。フジタ礼拝堂からの帰りも心配なんです。フジタ礼拝堂近くのバス停フジタFoujitaでランス駅行きの次のバスの時間を確認すると2時16分発。そのバスは数分後に発車するので、これからフジタ礼拝堂を見るのでは到底間に合う筈がありません。ちなみに11番のバスは往きと帰りで経路が異なり、バス停も違うんです。11番のバスに乗ることは断念して、フジタ礼拝堂から駅近くまで歩くしかありませんね。とりあえず、バス停から少し歩いて、フジタ礼拝堂の前に出ます。フジタ礼拝堂は大通りのシャン・ド・マルス通りRue du Champ de Marsの中にひっそりと佇んでいます。このあたりにはランスのシャンパン醸造会社がひしめいています。お隣のシャンパンメゾンのG.H.マム(G.H. Mumm)の資金援助でフジタ礼拝堂が建てられたそうです。この敷地もG.H.マムが提供したんでしょう。

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ここまでの移動ルートを地図で確認しておきましょう。

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石のアーチの門をくぐって、フジタ礼拝堂の庭に入ります。緑の庭の中にとても小さな礼拝堂があります。

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礼拝堂の入口でチケットを買って、入館します。もはや、この礼拝堂は宗教施設としては機能していないようです。

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礼拝堂の壁には一面に晩年の藤田嗣治(レオナール・フジタと言うのが正確かもしれません)が描いた宗教画が描かれています。テーマはキリストやマリアに関するものですが、絵はフジタの画風そのものです。見事な作品に感銘を受けます。
これは正面の祭壇の壁画です。中央に聖母子が描かれ、上には神と天使たちがいます。

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これは左側の壁です。漁師だったペテロがキリストの言葉によって、大漁になるシーンが描かれています。ペテロは「これからは魚でなく人間を取る漁師になるのだ」とイエスに諭され、弟子になります。左側は言わずと知れた受胎告知ですね。

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順に見ていきましょう。壁龕の中は最後の晩餐ですね。その上の左側には、キリストの復活が描かれています。

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これは入口の壁です。キリストの磔刑図です。入口のアーチの向こうには緑の庭園が見えています。聖書の物語の世界と現実世界が交差しています。

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これは病人や盲いた者へ施したキリストの奇跡でしょうか。

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これは自ら十字架をゴルゴタの丘へ運ぶキリストです。

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これは十字架から降ろされたキリストです。息絶えたキリストを聖母マリアがその手に抱いています。美しくも哀しいピエタですね。

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上の壁画の右手にちらっとステンドグラスが見えますが、ここではステンドグラスは写真に撮ってはいけないそうです。ステンドグラスもフジタがデザインした美しいものです。
これで一応、すべての壁画を鑑賞しました。フジタは戦争中(第2次世界大戦)に色んなことがあり、残念に思うことも多々ありますが、この晩年の作品はフジタの才能を遺憾なく発揮したものと言えます。
再度、主要な壁画をいくつかピックアップして鑑賞します。
キリストの復活です。墓を見守る筈の兵士たちが居眠りしています。

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聖母子を聖女たちが礼拝しています。

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受胎告知と漁師ペテロがキリストに帰依するシーンです。

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無理して、ここへ来て、よかったと思います。晩年のフジタが宗教に救いを求めて描いた、人生の総括とも言える作品に静かなる感銘を受けました。

狭い礼拝堂の作品を鑑賞するのにさほどの時間は要しませんでした。フジタの遺作に別れを告げ、礼拝堂の庭を出ます。

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さあ、もう、時間がありません。急いで駅に向かいます。電車の出発に間に合うか、どうかは確信が持てないままです。バスも行ってしまったし、ともかく、歩くしかありません。もう、残り20分です。



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07/08 18:59 sarai

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07/08 15:53 じじい@

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久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

私も18年前にドレスデンでバームクーヘン食べました。マイセンではB級品でもコーヒー茶碗1客日本円で5万円程して庶民には高くて買えなかったですよ。奥様はもしかして◯良女

06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

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