アミアン大聖堂Cathédrale d'Amiensの内部を写真撮影中です。日曜ミサが始まる前に、saraiが一人だけで、配偶者を大聖堂前のカフェに残して、大聖堂内部の写真を撮っているんです。大聖堂の後陣の周歩廊をぐるっと周ってきたところです。周歩廊から鉄柵ごしに内陣が見えます。

内陣の上方を見上げます。ステンドグラスのある窓とない窓がありますね。

内陣の奥の周歩廊側には、3層から成るお墓があります。最上層の司教座聖堂参事会員(司祭)ギラン・ルカ師Guilain Lucasの墓所には、左に聖母子の彫像、そして、中央に《嘆きの天使》と呼ばれる天使像があります。中段は枢機卿 ジャン・ド・ラ・グランジュJean de la Grangeのお墓です。

内陣の周歩廊側には、素晴らしい障壁彫刻が並んでいます。これは南周歩廊にある内陣障壁彫刻「聖フィルマンの生涯」です。聖フィルマンはアミアン大聖堂の守護聖人です。聖フィルマンの物語が八つの場面で構成されています。聖フィルマンがアミアンの町に到着したところから物語は始まり、首を切られて殉教するまでが描かれています。これはそのうちの左側の四つです。下には大聖堂の64番目の大司教フェリー・ドゥ・ボーヴォワFerry de Beauvoirの墓標彫刻が刻まれています。

右側にある内陣障壁彫刻「聖フィルマンの生涯」の残り四つの場面です。下にはフェリー・ドゥ・ボーヴォワの甥の参事会員アドリアン・ドゥ・エナンクールAdrien de Hénencourtの墓標彫刻が刻まれています。

これは南周歩廊の端から眺めた南側廊です。ずっと先に西ファサードの入口が見えています。手前の内陣前の床面には迷路のような模様が描かれています。実は身廊の中央の床面には、ちゃんとした迷路が描かれています。その迷路が完成した1288年がアミアン大聖堂の完成の年とされています。13世紀末には、大聖堂の建築に携わった建築家たちの名誉を称えるため迷路模様の敷石を床に施す慣例があったそうです。迷路の終点、すなわち、迷路模様の中心にはアミアン大聖堂の建設に携わった4人、司教 エヴラール・ドゥ・フイヨワÉvrard de Fouilloyと、大聖堂の建築家3人 ロベール・ドゥ・リュザルシュRobert de Luzarches 、トマ・ドゥ・コルモンThomas et Renaud de Cormontとルノー・ドゥ・コルモンRenaud de Cormontが描かれたプレートが置かれています。その迷路の写真は撮り忘れました。残念。

今度は北に移動して、北側廊を眺めます。

北翼廊の前には、大きな絵画と彫像があります。これは聖セバスティアンの礼拝堂です。絵画のテーマは十字架のキリスト。絵画の左の彫像は聖ロックと犬です。聖ロックと言えば、モンペリエ出身の聖人ですが、彼はローマへの巡礼の道すがら各地でペスト患者を救ったことで知られています。彼自身もペストに感染しますが、森に追われた彼に毎日、パンをくわえた犬が訪れるようになります。その犬は彼の傷口を舐めて直して、ペストは癒えます。この奇跡によって、聖ロックと犬は絆で結ばれています。因みにsaraiが今年予定しているヨーロッパの旅で北イタリアのミラノから、ルガーノ経由でルツェルンまで、ウィリアム・テル特急(現在はゴッタルド・パノラマ急行Gotthard Panorama Expressと言うそうですが)に乗って、アルプスのサン・ゴタール峠(ゴッタルド峠)を越えますが、この地名のサン・ゴタールこそ、聖ロックを癒した犬の飼い主のパラストレッリ伯爵(北イタリア、ピアチェンツァの領主でした)のことです。伯爵は飼い犬に導かれて聖ロックに弟子入りし、その後、スイスの山で苦行を重ねて、徳を積み、元々あったゴッタルド峠の地名から、聖ゴタール(サン・ゴタール)と呼ばれるようになりました。

これは身廊からクロッシングの天井、南翼廊、内陣を眺めているところです。手前には美しい説教壇が見えています。説教壇の上には、ソンム(アミアンはソンム川渓谷に築かれた町)の天使が人差し指を空に向かって突き出しています。

身廊の説経壇の向かいには、十字架のキリスト像があります。

出口近くまで戻ってきました。南側廊の後陣方向を眺めています。

身廊を眺めます。天井の高さが印象的です。身廊のヴォールトは高さが42.30メートルもあり、完全なものとしてはフランスで最も高いものだそうです。室内空間もフランスで最も大きいんだそうです。

これは出口近くにある参事会員アントワーヌ・ニケAntoine Niquetのお墓です。ニコラ・ブラセNicolas Blassetによる素晴らしい彫刻です。先ほどの《嘆きの天使》も彼の作品です。

一通り、大聖堂内部の写真を撮り終えて、外に出ます。ノートル・ダム広場Place Notre Dameです。配偶者が待っているカフェはこの写真からはみ出した、ちょっと左奥の建物です。

まだ、西ファサードの詳細を見ていなかったので、3つの扉口を見ておきましょう。
これは一番左の扉口です。聖フィルマンの扉口と呼ばれています。 聖フィルマンはアミアンの初代司教でアミアンの守護聖人です。扉中央の柱の彫像が聖フィルマンです。タンパンには司教の諸像が並んでいます。扉の両側には、アミアンの聖人と天使像が並んでいます。

これは中央の扉口です。最後の審判の扉口(美しき神の扉口)と呼ばれています。タンパンの最上層には、最後の審判を下すキリストが両手を上げた厳しい表情で描かれています。タンパンの最下層では中央の大天使ミカエルが秤で審判を受ける人々の魂の重さを量って、地獄と天国への選別をしています。その横では天使がラッパを吹き鳴らしています。タンパンの第2層は右が地獄行きの人々、左が天国行きの人々がそれぞれの道を進んでいます。運命は紙一重ですね。
扉口中央の柱には「美しき神」"Beau Dieu"と呼ばれるキリスト像が柔和な表情でこちらを見下ろしています。扉の両側には、キリストの使徒と預言者の像が並んでいます。

これは一番右の扉口です。聖母マリアの扉口と呼ばれています。扉口中央の柱には、聖母子像があります。聖母子像の下部には、アダムとイブの物語が描かれています。タンパンには中段に聖母マリアの死と被昇天、そして、上段に聖母戴冠が描かれています。
扉の左側には、東方3博士、ヘロデ王、ソロモン王、シバの女王などの諸王が並びます。扉の右側には、大天使ガブリエルとマリアの受胎告知 、マリアのエリザベト訪問、幼子イエスを抱く聖母マリア、聖シメオンの像が並びます。

さて、カフェで待っている配偶者のところに戻りましょう。

カフェの配偶者も戻ってくるsaraiの姿を眺めています。

カフェ、ラ・テラスLA TERRASSEに戻りました。

お茶を飲みながらsaraiを待っていた配偶者は機嫌よく、ピースサインでsaraiを迎え入れてくれます。待たせて、申し訳けありませんでした。ペコッ。

しばらく、お茶の時間です。
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