エル=バシャのこだわりのプログラムによるピアノ・リサイタル、大変、堪能しました。レパートリーが広く、何でも弾けそうなエル=バシャが前半に持ってきた曲がグラナドスの組曲「ゴィエスカス」です。1時間ほどの6曲の組曲です。グラナドスと言えば、スペイン舞曲くらいしか聴いたことがありません。今日の組曲「ゴィエスカス」は正直、曲名も初耳です。スペインのピアノ曲と言えば、やはり、アリシャ・デ・ラローチャで予習するのが一番でしょう。アリシャ・デ・ラローチャの演奏は後半がなかなかの聴きものでした。で、今日の演奏ですが、前半の3曲はベヒシュタインの豊かな響きでスペインっぽい音楽が流れます。立派な演奏ですが、この前半はあまり、saraiの好みではありません。4曲目でがらっと曲想が変わります。一気に惹きつけられます。何というか、密やかなリリシズムに満ちた音楽です。それをエル=バシャは繊細さの極致のような見事な演奏で弾き切ります。何と香り高い音楽なのでしょう。続く5曲目も素晴らしい音楽です。この熱情に満ちた曲をエル=バシャは高い芸術性で演奏します。アリシャ・デ・ラローチャの演奏もよかったのですが、エル=バシャはそれを上回る最高の演奏です。長大な曲ですが、その長さを感じさせない魅惑に満ちた演奏でした。6曲目はエピソードのような変わった音楽。組曲「ゴィエスカス」の華は4曲目と5曲目ですね。素晴らしい演奏でした。エル=バシャのこだわりがよく理解できました。
後半のプログラムのショパンはまあ、お楽しみのようなものです。バラードは素晴らしいし、スケルツォも見事。でも、エル=バシャのこだわりはここにはありませんでした。
この日のプログラムは以下の内容です。
ピアノ:アブデル・ラーマン・エル=バシャ
グラナドス:組曲「ゴィエスカス」
《休憩》
ショパン:バラード 第1番 Op.23
ショパン:2つの夜想曲 Op.27
ショパン:スケルツォ 第2番 Op.31
《アンコール》
グラナドス:スペイン舞曲五番「アンダルーサ」 ホ短調
明日からもピアノを聴きます。いよいよ、アンジェラ・ヒューイットの大プロジェクトが開幕します。全12回にわたって、バッハの独奏鍵盤音楽のすべてを聴かせてくれます。4年かかるそうです。saraiの音楽人生でも一つのエポックになるでしょう。とりあえずは明後日のフランス組曲全曲が楽しみです。アンジェラ・ヒューイットのCDで予習しましたが、最高の演奏でした。アンドラーシュ・シフの素晴らしいCDに拮抗するレベルの演奏です。
そして、いつ聴けるのでしょうか。頂点になるのはやはり、ゴールドベルク変奏曲でしょう。それまでは元気に生きていたいものです。
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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽