音楽って、何て、素晴らしい!!
今日のプログラムは以下のとおりでした。
ロータス・カルテット ベートーヴェン・サイクル 2017
ロータス・カルテット
小林幸子vn マティアス・ノインドルフvn
山碕智子va 斎藤千尋vc
弦楽四重奏曲 第16番 ヘ長調 Op.135
《休憩》
弦楽四重奏曲 第13番 変ロ長調 Op.130
《休憩》
大フーガ 変ロ長調 Op.133
個々の曲に細かい感想はありますが、このブログは音楽批評ブログではないので、こんなに感動したコンサートの些細な話は省略させてください。
それにしても、音楽に国境はないということは分かっていますが、日本人演奏家がヨーロッパ文化の最も深い(とsaraiが勝手に思っている)ベートーヴェンの後期の弦楽四重奏曲をこんなにパーフェクトに演奏するのは驚愕以外の何物でもありません。ヨーロッパ在住の日本人が里帰り公演でこんな素晴らしい、それも多分、ヨーロッパでもそんなには聴けないような演奏をするんだったら、有り難がって、わざわざヨーロッパ遠征をして音楽を聴いているsaraiは何をやっているのか、ばかばかしい感じもします。時代が変わったんでしょうか。
明日は、いよいよ最終日。第15番と第14番という超ド級のプログラムです。このまま、さらにステップアップするんでしょうか。ロータス・カルテット、恐るべし!!
因みに関係ない話で恐縮ですが、Muss es sein? Es muss sein!で思い出しました。比較的、最近、読んだチェコ出身の作家ミラン・クンデラの小説《存在の耐えられない軽さ》で、小説のメインモティーフになっていたのが、この弦楽四重奏曲 第16番のMuss es sein? Es muss sein!です。政治状況の悪かったチェコを出て、スイスの病院に勤務していた主人公の外科医トマーシュは一緒に暮らしていた恋人のテレザの突然のチェコへの帰国を受けて、このEs muss sein!(そうでなければならない!)の言葉を発して、あえて、苦しい決断をして、彼女のあとを追って、チェコに帰国します。そもそも彼にベートーヴェンの弦楽四重奏曲 第16番を聴くことを勧めたのは誰あろう、テレザだったんです。第4楽章に書かれている表題はDer schwer gefaßte Entschluß(苦しい決断の末)です。トマーシュもまた、ベートーヴェンの音楽に魅入られたように苦しい決断をして、表面的には転落の人生に落ち込んでいきます。でも、何が人の幸福なのか・・・それも人生、あれも人生ですね。この小説がハッピーエンドなのか、そうでないのか、それは読んだ人の人生の価値観に依るでしょう。ベートーヴェンだって、苦しい状態で後期の弦楽四重奏曲を書いたのがよかったか、悪かったか・・・そんなことは問題ではないでしょう。人生はすべからく、Es muss sein!ですからね。念のためですが、saraiはこの小説はハッピーエンドと信じて、感動しました。saraiも人生は Es muss sein! と信じて疑わない人間です。
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