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今年のヨーロッパ遠征・・・スイスの鉄道、登山鉄道、ロープウェイ

今年のヨーロッパ遠征の準備を急いでいます。
まずは遅れていたスイスでのアルプス遠征を中心にしたルート確定と鉄道・登山鉄道のチケットの検討を行います。というところで心強い味方が登場。大学時代からの友人が最近、スイスのハイキングにはまっていて、その経験に基づいた懇切丁寧なアドバイスをくれました。それを参考にほぼ、計画を煮詰めました。
スイスの大枠の日程は以下のとおりです。

5日目 ウィリアム・テル急行でベリンツォーナからルツェルンへ移動。ルツェルン観光。ルツェルン泊
6日目 ベルナーオーバーラントのアルプス観光。ユングフラウヨッホ訪問。メンリッヒェン山頂付近の山荘ホテル泊
7日目 メンリッヒェン、グリンデルワルトでのハイキング・散策。ルツェルン泊
8日目 ピラトゥス山でハイキング。ルツェルンからザルツブルクまで鉄道移動。ザルツブルク泊

ベルナーオーバーラントのアルプス観光は以下のルートにしましょう。
まずは6日目のスケジュールです。

 ルツェルン出発 6時5分(早起きできるかな?)
 インターラーケン・オスト着(SBB)
 インターラーケン~ラウターブルンネン(BOB鉄道)~クライネ・シャイデック(WAB鉄道)
 クライネ・シャイデック→ユングフラウヨッホ(ユングフラウ鉄道)最短で10時過ぎに到着
 ユングフラウヨッホでスフィンクス展望台やアイスパレスを楽しみます、
 ユングフラウヨッホ→(ユングフラウ鉄道)(ユングフラウ鉄道)
 アイガ―グレッチャー駅からクライネシャイデックまでハイキング 約1時間
 クライネシャイデック→グルント(WAB鉄道)
 グルント→メンリッヒェン山頂(ロープウェイ) 山荘ホテル泊

翌日の7日目のスケジュールです。

 メンリッヒェン山頂からクライネシャイデックまでハイキング 約1時間15分
 クライネシャイデック→グリンデルワルト(WAB鉄道)
 グリンデルワルトの街歩き
 グリンデルワルト→フィルスト展望台(ロープウェイ)
 フィルストからバッハアルプゼーをハイキング 往復2時間
 フィルスト展望台→グリンデルワルト(ロープウェイ)
 グリンデルワルト→ルツェルン(BOB鉄道、SBB)
  グリンデルワルトを4時過ぎに出れば、ルツェルンに7時頃には戻れます。

8日目のスケジュールです。

 ルツェルン→アルプナッハシュタット(SBBか湖船)
 アルプナッハシュタット→ピラトゥス山頂(登山鉄道)
 ピラトゥス山頂で景色を楽しみます。
 ピラトゥス山頂→クリエンス(ロープウェイ)
 クリエンス→ルツェルン(バス)
 ルツェルン→ザルツブルク 15時半の電車で22時着

以上ですが、お天気の状況を見ながら、計画は変更しないといけないかもしれません。特にユングフラウヨッホはお天気によっては翌日に変更することも考えています。ただし、前日までにはユングフラウ鉄道の指定席を予約したいので、当日にチケット購入というわけにはいきません。


以上のスイス国内での鉄道チケットについて、以下のような選択肢を検討しました。

1.スイス・トラベル・パス 連続3日間 ファーストクラスまたはセカンドクラス
   鉄道がすべて無料になります。登山電車は半額です。
2.スイス半額パス ファーストクラスもセカンドクラスも同額
   鉄道や登山鉄道が半額になります。
3.リージョナルパス・ベルナーオーバーラント セカンドクラス(ファーストクラスもある)
   地域内の鉄道や登山鉄道がすべて無料になります。ベリンツォーナからルツェルンまでの鉄道は正規料金。ユングフラウ鉄道は半額。
4.ユングフラウ・トラベル・パスあるいはユングフラウ VIPパス
   インターラーケンから先の登山鉄道が無料にあります。ユングフラウ VIPパスはさらにユングフラウ鉄道も1回往復は無料です。

結果、明らかに2のスイス半額パス(スイスハーフフェアカード)が料金的に有利だという結論に達しました。ファーストクラスを使ってもほぼ、一人5万円強です。高いのですが、スイスは観光料金が超高いので、これでもいいほうでしょう。こんなお大臣旅行は今回で打ち止めですね。



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今年のヨーロッパ遠征・・・外貨の両替を急ぎます

今年のヨーロッパ遠征の準備を急いでいます。
スイスのスケジュールと鉄道チケットをほぼ決定したので、まずはスイス半額パス(スイスハーフフェアカード)をレイルヨーロッパで購入します。
1枚、14600円です。他のサイトよりは安いようです。ただし、送料1500円と手数料1500円が必要なのは、いつもながら腹立たしいです。でも、何枚購入しても送料と手数料が同じなのはいいですね。なるべく、まとめ買いをしましょう。残りのチケットは順次、半額で購入していきます。

というところで、外貨の両替のことを思い出しました。ユーロの為替はどうなっているんでしょう。えっ、いつの間のか、130円近くに上がっています。見通しでは今月中は上がる一方のようです。早めに両替しましょう。明日、コンサートで出かけるついでにトラベレックスで両替してきましょう。レートをトラベレックスのHPでチェックしていたら、10万円以上の両替は無料で自宅に配送してくれるそうです。1週間くらい、かかるようですが、大金を持って、町をうろうろしたくないので、これを利用します。早速、手続きを済ませて、オンラインバンキングで振り込みも済ませました。銀行振り込みは1パーセント、レートを割り引いてくれます。これって、結構、ばかになりません。

何か、ほかに忘れていることはないかな?

次は4日目のミラノ周辺での過ごし方を検討します。saraiは湖水地方を巡ることを考えていましたが、配偶者はその後、スイスでさんざん山を歩くので、街歩きをしたいそうです。ミラノの街をまた散策するか、クレモナやピアツェンツァの小さな町を訪れるか、パルマでグルメを楽しみながら、近くの世界遺産に行くか、調整会議を開きましょう。

ザルツブルク滞在中の音楽以外の日程は配偶者が色んな案を出してくれて、ほぼ、埋まりつつあります。アッター湖のマーラーの滞在したホテルに行くのをやめて、ガルミッシュ=パルテンキルヒェンに行くことに変更したのもその一環です。ガルミッシュ=パルテンキルヒェンはR・シュトラウスが過ごした地ですから、マーラーからR・シュトラウスに乗り換えたようなものです。そう言えば、ガルミッシュ=パルテンキルヒェン近くのツークシュピッチェはアルプス交響曲の舞台だそうです。IPODでアルプス交響曲を聴きながら、登山電車に乗りましょう。とは言え、マーラーの交響曲を一番の目玉でザルツブルクを訪れるのに、マーラーのゆかりの場所に行かないのも何ですね。スロヴェニアの国境付近のヴェルター湖のほとりのマイヤーニッヒにあるマーラーの作曲小屋は無理すれば、日帰りで行けそうです。マーラーはここで交響曲第4番から第8番までを手掛けたそうです。ヴェルター湖と言えば、ブラームスのゆかりの地でもあります。これでマーラーの作曲小屋はアッター湖に続いて、2番目も征服できます。残りは交響曲第9番を作曲した南チロルのトブラッハにある作曲小屋のみです。何とか、いつかはその作曲小屋へも遠征を果たしたいものです。

と旅の準備を急ぎながらもしっかりと国内でのコンサートにも出かけます。明日からはトッパンホールでのハーゲン・カルテットのショスタコーヴィチとシューベルトの弦楽四重奏曲を3夜連続で聴きます。我ながら、好きですね!!




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瑞々しくてロマンに満ちたシューベルト:ハーゲン・カルテット@トッパンホール 2017.7.3

今年のハーゲン・カルテットの〈ハーゲン プロジェクト 2017〉と銘打った3夜連続のコンサート・シリーズはシューベルトとショスタコーヴィチの後期の作品を並べたものです。なぜ、シューベルトとショスタコーヴィチを並べるのか、不思議な感じです。昨年のコンサートで、バッハのフーガの技法とショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲第8番を続けて演奏したことから考えて、彼らはバロック・古典派と現代のショスタコーヴィチの連続性を意識しているのかも知れません。ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲は20世紀の作品の中ではバルトークなどと異なり、それほどの前衛性は感じません。とりわけ、今日の弦楽四重奏曲第3番は新古典的な色合いが多く、意外に古典派の作品と相性がいいかもしれません。

実際に今日、ショスタコーヴィチ、シューベルトと並べて聴くと、色んな思いが脳裏に浮かびます。前半のショスタコーヴィチはアンサンブルの整った見事な演奏で、特に新古典的な部分の美しさが際立っていました。この作品は戦争交響曲を作曲していた頃のものですから、もちろん、強烈に攻撃的な第3楽章などもありますが、全体的には、落ち着いて、抒情的とも思える音楽が支配的に思えます。先週聴いたアルディッティ・カルテットのとても前衛的なバルトークの演奏との違いに愕然とするほどです。まあ、ここでショスタコーヴィチとバルトークの比較をするつもりはありませんが、やはり、saraiにとって、バルトークは20世紀を代表する作品。ハーゲン・カルテットにしても、まさか、バルトークとシューベルトを並べたコンサート・シリーズは考えないでしょう。誤解のないように付け加えれば、saraiはショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲も好きですよ。CDの全集で言えば、バルトークは9組、ショスタコーヴィチは6組、所有しています。それぞれの良さは認識しています。
話が脇道にそれましたが、話を戻しましょう。後半のシューベルトの弦楽四重奏曲第13番の見事さはショスタコーヴィチの比ではありませんでした。アンサンブルの精度の高さでは同等でしたが、ハーゲン・カルテットの体から滲み出てくるような音楽性の高さは尋常ではありませんでした。彼らにして、そういう演奏をさせてしまうシューベルトの偉大さを実感しました。このことを言葉にするのは困難ですが、こういうことではないかと思います。ショスタコーヴィチの音楽は高い知性がベースにあって、ソヴィエトの政治状況の中で屈折したとも思える音楽を作ってきました。時代に合わせて、新古典的な作風や民衆に分かりやすい熱い音楽を作ったり、滅法、絶望的とも思える沈痛な作品を作ったりということです。要するにショスタコーヴィチの音楽の本質は見極めにくいということです。ですから、演奏は客観的なクールなものが主流になりがちです。それを聴衆が自分の心で受け取って、それぞれの思いで解釈して味わうということになります。分析的な聴き方になってしまいます。一方、シューベルトは魅惑的な旋律を軸に素直に魂の深いところを音楽として表現します。若くして逝ってしまったシューベルトですが、その音楽のロマンは実に奥深いものがあります。今日のハーゲン・カルテットのように、それに共感した、しみじみとした演奏を聴かされると、誰しもシューベルトの魅力に参ってしまいます。分析も知性も必要なく、シューベルトの揺れ動くような魂の声にただ、共感すればいいんです。シューベルトがいかに偉大な音楽家であったか、このところ、saraiは痛切に感じることが多くなっています。今日もそのひとつ。バッハ、モーツァルト、ベートーヴェンも偉大でしたが、シューベルトの偉大さは光り輝きます。

曲それぞれの詳細な感想を書くべきところですが、今日はむしろ、ショスタコーヴィチ、シューベルトという音楽家について、そちらのほうに心が向いてしまいました。でも、ちょっとだけ。シューベルトの弦楽四重奏曲第13番の第1楽章の第1主題はシューベルトが初期に書いた歌曲《糸を紡ぐグレートヒェン》に基づいています。ゲーテの《ファウスト》を題材とした歌曲です。ファウストを一途に恋するグレートヒェンの心情が歌曲になっています。saraiはアメリンクの歌で親しんでいますが、グレートヒェンの心情を切迫した感じで歌いこんでいます。紡ぎ車を思わせるピアノ伴奏が歌に拍車をかけます。弦楽四重奏曲では第2ヴァイオリンがピアノの紡ぎ車を模しますが、至って抑えた表現です。そして、メロディーを演奏する第1ヴァイオリンも抑えた響きで切迫感はあまりありません。みしろ、しみじみとした郷愁を感じさせるような感じです。これは今日のハーゲン・カルテットに限った話ではなく、シューベルトがそのように弦楽四重奏曲では書き換えたんです。それはそうですが、ハーゲン・カルテットの抑えたけれども精度が高い演奏は、技術を超えて、音楽の本質に迫っていました。シューベルトの音楽の抒情性、ロマン、郷愁、瑞々しさ、そういうものがすべて表現されていて、最高の演奏でした。第2楽章の《ロザムンデ》に基づくメロディーも同様に素晴らしいものでした。(ちなみにこの《ロザムンデ》に基づくメロディーは晩年のピアノ独奏曲の傑作、即興曲Op.142の第3曲の素晴らしい変奏曲の主題になっています。saraiの大好きな曲です。)しかしながら、本当に素晴らしかったのは、第3楽章、そして、とりわけ、第4楽章でした。本当にシューベルトに寄り添った魂の音楽でした。抒情性はもちろん、ダイナミズムも見事でした。ダイナミズムが見事だからこそ、pの美しさが際立っていました。やはり、ウィーンの音楽の本質はpの美しさなんですね。(これは吉田秀和氏から学んだことです)

今日のプログラムは以下のとおりでした。

 〈ハーゲン プロジェクト 2017〉シューベルト&ショスタコーヴィチ ツィクルス I

ハーゲン・カルテット Hagen Quartett
    ルーカス・ハーゲン Lukas Hagen (ヴァイオリン)
    ライナー・シュミット Rainer Schmidt (ヴァイオリン)
    ヴェロニカ・ハーゲンVeronika Hagen (ヴィオラ)
    クレメンス・ハーゲン Clemens Hagen (チェロ)

  ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第3番 ヘ長調 Op.73

   《休憩》

  シューベルト:弦楽四重奏曲第13番 イ短調 D804《ロザムンデ》

   《アンコール》

  シューベルト:弦楽四重奏曲第10番 変ホ長調 D87より 第3楽章 アダージョ


アンコールのシューベルトはCDで数度聴いたことしかありませんでしたが、とっても美しい演奏です。ハーゲン・カルテットにシューベルトの弦楽四重奏曲全集を出してもらいたいですね。ハーゲン・カルテットのシューベルトに魅惑されました。明日からの第14番、第15番がとっても楽しみです。


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       ハーゲン・カルテット,  

シューベルト&ショスタコーヴィチ ツィクルス II:ハーゲン・カルテット@トッパンホール 2017.7.4

ハーゲン・カルテットの〈ハーゲン プロジェクト 2017〉と銘打った3夜連続のコンサート・シリーズの2夜目です。シューベルトとショスタコーヴィチの後期の作品を並べたものですが、今日は2人の最後から2番目の弦楽四重奏曲、第14番が演奏されました。

前半のショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲第14番は昨日の第3番に比べると、創作力自体は下回っているかもしれませんが、晩年のショスタコーヴィチの思いが詰まったような作品で大変聴き応えがありました。特に第2楽章のアダージョの悲哀に満ちた音楽を第1ヴァイオリンのルーカス・ハーゲンが表情たっぷりに演奏し、合の手にチェロのクレメンス・ハーゲンがリッチな響きで応えるという風情は素晴らしいものでした。途中、慟哭のように4人が凄い響きで奏するパートの盛り上がりも大変なものでした。ショスタコーヴィチは自分の人生を重ねたのか、あるいは矛盾に満ちた政治状況を告発したのか定かではありませんが、思いのたけが詰まった音楽です。そして、第3楽章のコーダは哀愁に満ちた雰囲気で静かに音楽を閉じていきます。ハーゲン・カルテットの成熟した音楽性が遺憾なく発揮された素晴らしい演奏でした。

後半のシューベルトは昨日ほどではないにしても、やはり、素晴らしい演奏でした。とりわけ、両端楽章の気迫に満ちた演奏が圧倒的でした。第4楽章は終始、その迫力に魅惑される思いで聴きましたが、コーダの高潮ぶりは凄まじいものでした。有名な第2楽章、《死と乙女》の主題と変奏ですが、これはハーゲン・カルテットとしては普通の出来に思えました。昔日の演奏、ウィーン・コンツェルトハウス四重奏団、ブッシュ四重奏団の鄙びたような味わいの演奏はもう今日的なカルテットの演奏では不可能とも思えてしまいます。20世紀の中頃までの時代でないと出せない味わいではないかと思えてなりません。今日はもしかしたら、ハーゲン・カルテットが時代を遡った奇跡のような演奏を聴かせてくれるかとも期待しましたが、見果てぬ夢に終わりました。まあ、これもsaraiの趣味の問題かもしれません。ああいう昔日の名演奏に捉われてしまっているんです。第2楽章を除けば、理想的とも思えるシューベルトの演奏で満足しました。

今日のプログラムは以下のとおりです。

 〈ハーゲン プロジェクト 2017〉シューベルト&ショスタコーヴィチ ツィクルス II

ハーゲン・カルテット Hagen Quartett
    ルーカス・ハーゲン Lukas Hagen (ヴァイオリン)
    ライナー・シュミット Rainer Schmidt (ヴァイオリン)
    ヴェロニカ・ハーゲンVeronika Hagen (ヴィオラ)
    クレメンス・ハーゲン Clemens Hagen (チェロ)

  ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第14番 嬰ヘ長調 Op.142

   《休憩》

  シューベルト:弦楽四重奏曲第14番 ニ短調 D810《死と乙女》

   《アンコール》

  ハイドン:弦楽四重奏曲 変ロ長調 Op.76-4より 第2楽章 アダージョ



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シューベルト&ショスタコーヴィチ ツィクルス III:ハーゲン・カルテット@トッパンホール 2017.7.5

ハーゲン・カルテットの〈ハーゲン プロジェクト 2017〉と銘打った3夜連続のコンサート・シリーズの3夜目(最終日)です。シューベルトとショスタコーヴィチの後期の作品を並べたものですが、今日は2人の最後の弦楽四重奏曲、第15番が演奏されました。

前半のショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲第15番は何という張り詰めた緊張感の演奏でしょう。saraiも聴衆も息をひそめるような雰囲気です。この作品は作曲した翌年にショスタコーヴィチがこの世を去りますが、彼は自分の死を悟って、最後の弦楽四重奏曲を作ったようです。そのため、弦楽四重奏曲というよりもモノトーンのレクイエムといったほうがふさわしい作品です。この作品を聴くときはいつも、ショスタコーヴィチを偲ぶ会に参列しているような気分になりますが、今日もまさにそんな感じです。ハーゲン・カルテットの集中力のある演奏には感銘を受けるばかりです。単なる音楽を超えた何かが心に響いてきました。演奏者も聴衆も最後は魂のぬけがらのようになってしまうくらい、緊張感の持続を強いられました。ふーっ、疲れた!!

そして、真の意味で音楽に魅了されたのは後半のシューベルトです。このシューベルトの作品は同じく最後の弦楽四重奏曲とは言え、ショスタコーヴィチと違って、シューベルトは死の予感などはなく、彼の創作力の頂点で作られた傑作中の傑作です。最晩年の室内楽作品を別にすると、室内楽の高みを極め、さらに上を目指していくというものです。ハーゲン・カルテットの演奏はアーティキュレーションの限りを尽くして、シューベルトの魂の奥底に迫る絶対的な名演を聴かせてくれました。とりわけ、第4楽章の精妙さとダイナミズムを兼ね備えた演奏はただただ、惹きつけられるものでした。ハーゲン・カルテットのメンバーも力を出し尽くした感のある究極の演奏でした。どのフレーズもパーフェクトで心のこもった演奏で、saraiはその演奏に頭が下がる思いです。音楽を演奏する行為は大変な労苦を強いられることが間近で聴いて実感できました。これまた、聴いているこちらも疲れました!! でも充足感に満ちた演奏に大満足。もちろん、力を出し尽くした彼らはアンコールなし・・・当然です。

今日のプログラムは以下のとおりです。

 〈ハーゲン プロジェクト 2017〉シューベルト&ショスタコーヴィチ ツィクルス III

ハーゲン・カルテット Hagen Quartett
    ルーカス・ハーゲン Lukas Hagen (ヴァイオリン)
    ライナー・シュミット Rainer Schmidt (ヴァイオリン)
    ヴェロニカ・ハーゲンVeronika Hagen (ヴィオラ)
    クレメンス・ハーゲン Clemens Hagen (チェロ)

  ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第15番 変ホ短調 Op.144

   《休憩》

  シューベルト:弦楽四重奏曲第15番 ト長調 D887


大変、素晴らしい3日間でした。特にシューベルトの魂と通じ合ったような演奏は最高でした。成熟の時を迎えたハーゲン・カルテットは次に何を聴かせてくれるのでしょうか。
最後にこのコンサートに集まった聴衆のレベルの高さにも敬意を表したいと思います。曲の終了後のフライングの拍手などは皆無で、静まり返ったホールは聴衆の感動に満ちていました。演奏したハーゲン・カルテットもこういう聴衆には満足したでしょう。



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       ハーゲン・カルテット,  

今年のヨーロッパ遠征・・・イタリアの最後の日程はクレモナで決定

今年のヨーロッパ遠征の準備を急いでいると言いながら、この3日はハーゲン・クァルテットのコンサート・シリーズにうつつを抜かしていました。
次の段階に進みましょう。スイスのスケジュールはほぼ決定したので、イタリアの最終日の日程を詰めます。

ミラノの街を散策するか、クレモナやピアツェンツァの小さな町を訪れるか、パルマでグルメを楽しむかというところです。ここで配偶者の新たな提案があります。以前の《カラヴァッジョを巡る旅》でミラノ周辺で見残した絵画があるんじゃないかということです。saraiはそんなことはない筈だと言うと、宮下規久朗著《カラヴァッジョ巡礼》を調べ直して、クレモナの町の市立アラ・ポンツォーネ美術館にまだ見ていないカラヴァッジョの絵《祈る聖フランチェスコ》があることを発見してくれました。最晩年の名作が何故か、クレモナにあるんですね。これは行くしかないでしょう。クレモナと言えば、ストラディヴァリウスが有名です。いつもストラディヴァリウスのヴァイオリンは聴かせてもらっていますから、お礼参りがてら、ヴァイオリン博物館も見物してきましょう。昨日まで聴いていたハーゲン・クァルテットの楽器も4本ともストラディヴァリウスのセットでした。ヴァイオリン博物館では、歴史的ヴァイオリンを使ったミニ・コンサートもある筈ですから、そのスケジュールをHPでチェックしておきます。すると、ヴァイオリン博物館のサイトでとんでもない情報を発見! 何と現在、モンテヴェルディの生誕450年を記念して、《モンテヴェルディとカラヴァッジョ展》を開催中とのことです。モンテヴェルディはさておき、カラヴァッジョってどういうこと? 実はカラヴァッジョの絵画《リュート弾き》をモンテヴェルディ時代の古楽器つながりで展示しているとのことです。この作品もまだ見ていない数少ないカラヴァッジョの作品のうちのひとつです。有名な《バッカス》と同時期にデル・モンテ枢機卿の邸宅に寄宿中に描いた作品で《バッカス》と同様に美少年をモデルにした作品です。この作品はエルミタージュ美術館が所蔵している作品だそうです。これでクレモナ訪問によって、カラヴァッジョの絵が2枚見ることができます。以前の《カラヴァッジョを巡る旅》では計31枚ものカラヴァッジョの絵を堪能しましたが、今回はその補足編です。他で見た作品も合わせて、これでカラヴァッジョを合計で40枚ほど見ることになります。カラヴァッジョの現在知られている作品は80枚ほどだそうですから、これで半分ほど見たことになりますね。
そうそう、モンテヴェルディ展というのは、モンテヴェルディの最初のオペラ「オルフェオ」(1607年)に使用された珍しい歴史的楽器群を展示するのだそうです。展示される楽器は以下です。

 アンドレア・アマティ・ヴァイオリン、ジローラモ・アマティ・ヴィオラ・ダ・ガンバ、ガスパロ・ダ・サロ、ジョバンニ・パオロ・マッジー二・コントラバス、
 Magno Tieffenburker・キタローネ、Bassano一族による管楽器、ハープ、チェンバロ、リーガルオルガン他

クレモナの町は古い町で、町の中心のコムーネ広場にはドゥオーモ、付属する鐘楼トラッツォ(イタリア1の高さ)などもあり、街歩きが楽しめそうです。

クレモナと合わせ技でブレーシャ、ベルガモの訪問も検討しましたが、結構、クレモナで楽しめそうなので、クレモナ1本に絞ることで配偶者とも合意。これでイタリア、スイスの日程はほぼ決定。不足している鉄道チケットを購入します。スイスのスイス半額パス(スイスハーフフェアカード)は既に入手しました。スイスは確定している鉄道のチケットをオンラインで順次、購入していきます。イタリアの高速鉄道のチケットは既に購入済ですが、一般列車レッジョナーレのチケットも購入しましょう。



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今年のヨーロッパ遠征・・・イタリア国鉄とスイス国鉄のチケットの購入で苦戦

イタリアの最終日の日程とスイスの日程はほぼ決定したので、未購入の鉄道のチケットの購入にかかります。

ミラノ中央駅からクレモナへの移動は各駅停車のレッジョナーレ1本で乗り換えなしで行けます。それもたった1時間8分です。ただ、そんなに列車の本数が多くないのがつらいところ。
結局、以下の時間の列車に決定。

 ミラノ08:20 → 09:28クレモナ
 クレモナ15:30 → ミラノ16:40

列車指定にすると、料金が安くなるようです。セカンドクラスもファーストクラスもたいして料金が変わらないのでファーストクラスのチケットをイタリア国鉄のサイトで購入。すぐにメールでPDFのチケットが送られてきたので、早速、印刷。

次はクレモナからミラノへ戻ってきた後、ミラノからスイスのベルンツォーナに鉄道で移動します。一応、国際列車ユーロシティで1時間45分の旅です。イタリア国鉄のサイトでチェックすると、既に格安チケットはソールドアウト。ところで、途中、キアッソChiassoからはスイスです。スイスと言えば、既に半額でチケットが買えるスイス半額パス(スイスハーフフェアカード)を入手済です。これを活用して、少しでもチケットの費用を安くしたいものです。とりあえず、ミラノからキアッソまでの料金を調べると、何とこの区間はスーパーエコノミーという格安チケットが残っています。一人10ユーロで何とファーストクラスに乗れます。半額以下のディスカウントです。で、その先のキアッソからベルンツォーナまではスイスなので、スイス国鉄で調べると、何故か、指定は買えないという表示になります。さて、困った! キアッソでSバーンに乗り換えてもいいのですが、ベルンツォーナへの到着が20分遅れるし、乗り換えも面倒です。で、じっくりと調べると、国際列車ユーロシティをスイス国内だけの区間で利用する場合は指定は不要というか、指定席はとれない仕組みです。じゃあ、乗車チケットだけを半額で買えばいいのね。その方針でチケットを買おうとしますが、どうしてもクレジットカードの認証ではねつけられます。これって、スペイン国鉄でさんざん痛い目に合ったのと同じ。去年はちゃんと買えたのにおかしいですね。結局、VISAカードの使用をあきらめて、マスターカードを使うとするするって、買えました。

これでイタリアの鉄道チケットはすべて購入が完了。スイスに最初の訪問地、ベルンツォーナまでのチケットが揃いました。
次はベルンツォーナからルツェルン、ルツェルンからインターラーケン・グリンデルワルト・ユングフラウヨッホまでのチケットを揃えましょう。ルツェルンからザルツブルクまでのチケットは購入済なので、残りはザルツブルク周辺の観光のためのチケットを購入します。




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今年のヨーロッパ遠征・・・スイス国鉄のチケットの購入は難しい!

スイスの鉄道のチケットの購入中です。
ベルンツォーナまでのチケットを購入したので、次はベルンツォーナからルツェルンまでのゴッタルド・パノラマ急行(旧ウィリアム・テル急行)です。既に措定席は購入済なので、ファーストクラスの乗車券を半額で購入します。しかし、これが分かりません。何とか一人半額で68スイスフランというところまでは分かりましたが、購入方法がとんと分かりません。スイス国鉄に一応問い合わせのメッセージを送信しました。最悪、現地で調達します。

ルツェルンからインターラーケン・グリンデルワルト・ユングフラウヨッホまでのチケットですが、一応、1日目にユングフラウヨッホに登る計画ですが、天気次第では2日目に変更するつもりで、そのときの代案を作成。ほぼ、1日目と2日目の予定を逆転させます。ということで、ユングフラウ鉄道のクライネシャイデックからユングフラウヨッホの往復チケットは天気を見定めたところで購入します。今のところ、登山鉄道の予約状況はがらがらの状態です。
まずはルツェルンとクライネシャイデックの往復チケットを購入します。インターラーケン・オスト駅からクライネシャイデックへはグリンデルワルトを経由するルートとラウターブルンネンを経由するルートがありますが、往復チケットではどちらのルートも使えます。往きと帰りで違うルートにします。もう、昨日、クレジットカードの認証で苦労しましたが、今日は使えるカードが分かっているので、ちゃんと購入できました。

ロープウェイのチケットは現地で購入します。
翌日のルツェルンからピラトゥスの登山鉄道、ロープウェイも現地調達です。

これでベルンツォーナからルツェルンまでのゴッタルド・パノラマ急行の乗車券以外はすべて手配済。

次はザルツブルク周辺での観光と必要なチケットの購入です。



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今年のヨーロッパ遠征・・・ガルミッシュ=パルテンキルヒェンへの小旅行のチケット

次はザルツブルク周辺での観光と必要なチケットの購入です。
ザルツブルク音楽祭のさなかに1日だけ、配偶者の休養日を設けて、ガルミッシュ=パルテンキルヒェンGarmisch-Partenkirchenに1泊して、ツークシュピッツェやヴィース巡礼教会への小旅行を敢行します。でまたまた、鉄道チケットの購入が必要です。ありったけの知恵を働かせて、以下の3案を考えました。もちろん、到着時間をいかに最安の料金で早めるかが課題です。ザルツブルクからガルミッシュ=パルテンキルヒェンへはミュンヘン(ミュンヘン・オスト)経由か、インスブルック経由になりますが、インスブルック経由は乗り継ぎがよくないので脱落です。ミュンヘン(ミュンヘン・オスト)経由は以下の案があります。

1、バイエルンチケットを使えば、二人で片道31ユーロです。ただし、平日の朝9時以降にしか使えないので、ザルツブルクを9時15分に出発してガルミッシュ=パルテンキルヒェンへの到着は13時になります。ちょっと遅いですね。

2、ザルツブルクを1時間早い8時15分に出発してガルミッシュ=パルテンキルヒェンへの到着は12時になります。バイエルンチケットはBernau a Chiemseeの駅が9時2分通過なので、そこから使うことにして、そこまでは別にチケットを購入します。Flexpreisのチケットで26.2ユーロです。バイエルンチケットと合わせて57.2ユーロになります。1時間到着を早めて、料金が倍ですね。うーん・・・。

3.ザルツブルクをさらに1時間半早い6時46分に出発してガルミッシュ=パルテンキルヒェンへの到着は11時になります。ミュンヘン中央駅乗り換えにして、そこからはバイエルンチケットよりも安い26ユーロのRegio-Ticket Werdenfelsを使います。ザルツブルクからミュンヘン中央駅へはSparpreis のチケットで39.8ユーロです。合計で65.8ユーロになります。料金は案2とそう変わりませんが朝の出発か早いですね。うーん・・・悩ましい。

帰りは9時以降の出発にするので、31ユーロのバイエルンチケットでOKです。悩みはありません。今、深夜で配偶者は寝ているので、明日、どの案にするか相談することにして、今日は寝ましょう。

その前にもう一つの日帰り旅行、スロヴァキア国境近くのヴェルター湖への遠征。ヴェルター湖南岸マイヤーニッヒにあるマーラー二番目の作曲小屋があります。一番目のアッター湖の作曲小屋には行きました。マーラーはそこで交響曲第3番や歌曲集「子供の魔法の角笛」を作りました。マイヤーニッヒにあるマーラー二番目の作曲小屋では、8年間通い続けて、交響曲第4番の後半から交響曲第8番までと「リュッケルトの詩による五つの歌」、「亡き子をしのぶ歌」の二つの歌曲集を作曲しました。マーラーが公私ともに充実していた時期です。この後、ウィーン宮廷歌劇場の監督の座を失い、愛娘を幼くして失い、妻アルマとの挫折、健康状態の悪化と階段を転げ落ちていきます。その中でマーラーが凡人と違うのは、この世への告別を込めて、音楽史上の最高傑作、大地の歌、交響曲第9番、交響曲第10番(未完)を彼の創作力を振り絞って作曲したことです。彼から人類への最大のプレゼントですね。それが作られたのは第3の作曲小屋ですが、いずれ訪れたいものです。ともあれ、まずはヴェルター湖への遠征です。そうそう、このヴェルター湖沿いのペルチャッハはブラームスが交響曲第2番を作曲したところでもあります。そこにも訪れましょう。最寄りの都市はクラーゲンフルトKlagenfurtです。ザルツブルクからクラーゲンフルトへの鉄道チケットをチェックすると片道ファーストクラス、二人で38ユーロという格安チケットがあります。早速、往復チケットを購入しました。片道3時間という長旅になるようです。

明日は久しぶりの都響のコンサートに出かけます。



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魅惑のハイドン、美しい響きのブルックナー・・・ミンコフスキ&東京都交響楽団@東京文化会館 2017.07.10

実に半年ぶりに聴く東京都交響楽団の演奏です。もちろん、saraiは都響の定期会員のままですが、現在、改修中のサントリーホールの定期会員なので、サントリーホールの再開待ちなんです。定期演奏会は一時的に東京オペラシティで開催中ですが、それはパスしてしまったので、9月のサントリーホールの再開後の定期演奏会から再び聴く予定です。今日はマルク・ミンコフスキの指揮という魅力に惹かれて、東京文化会館の定期演奏会にお邪魔させていただきました。

前半のハイドンは小編成での演奏ですが、ミンコフスキの操る都響の演奏は見事としか言えません。変な表現ですが、フランス風のハイドンという感じで、とても魅力的です。バロック風、宮廷風でありながら、とても斬新な感じもあります。こういうハイドンならば、全交響曲を聴き通したいとさえ思ってしまいます。アンサンブルの精緻さは当然ですが、ハイドンがいかに構造的な作品を生み出したかがくっきりと浮かび上がるような構築性のある演奏です。第1楽章の序奏の美しい響きに心を奪われていると、流麗な主部が始まります。都響には珍しいヴァイオリンを対向配置したことで、第2ヴァイオリンの掛け合いが構造的に響いてきます。その弦の響きの向こうから、美しい木管が割り込んでくるという具合に実に有機的に織り込まれた魅惑の演奏が続きます。第2楽章に入ると、弦の響きがさらに冴え渡ります。うっとりと聴き入るのみです。第3楽章は典雅な響きです。続く第4楽章の活き活きとした弾むような生命感あふれる演奏には、聴きながら思わず笑みがこぼれてしまうほどの音楽の喜びが満ち溢れています。熱演なのですが、むしろ、心に残ったのは瑞々しさと爽やかさに包まれたハイドンでした。第1級の演奏を聴かせてもらいました。

後半のブルックナーですが、普段、あまり聴かない第3番です。ですから、的確な判断が難しいというのが本音です。半年前に聴いた都響の演奏がやはり、同じブルックナーでしたが、それは第5番で美しくて、素晴らしい演奏でした。今日の第3番も終始、濁りのない美しい響きで、都響はすっかり、ブルックナー・オーケストラと化したかのような感じです。ブルックナーの響きという面では文句なしに素晴らしい演奏でした。とりわけ、今日演奏された第3番は珍しい1873年初稿版なので、ワーグナーのワルキューレやタンホイザーの引用も美しく響き、ワーグナーに触発されたブルックナーの音楽の魅力が直に伝わってくる感じでした。それはそれでよいのですが、正直、物足りなさも感じます。指揮やオーケストラは見事ですが、それだけにこのコンビでもし第9番を聴いたら、どうなんだろうと想像してしまうんです。ブルックナーの響きにうっとりはしましたが、感動にまでは至りません。やはり、ブルックナーならば、感動したいですよね。そろそろ、このコンビで後期の交響曲に取り組んではいかがなものでしょう。

予習ですが、ハイドンは以下を聴きました。

 トマス・ビーチャム指揮ロイヤル・フィル
 シギスヴァルト・クイケン指揮ラ・プティット・バンド

ビーチャムの古き良き日の演奏に心を奪われました。

ブルックナーの1873年初稿版のCDはほとんどありません。インバル盤、シモーネ・ヤング盤というところなので、手持ちのインバル盤を聴こうかとも思いましたが、伏兵とも思えるロジェストヴェンスキーのブルックナー完全全集なるなるものに心が動きました。第8番第1稿を除いて、録音当時存在していた複数ヴァージョンをすべて網羅したという鬼のような全集です。もちろん、第3番の1873年初稿版も含まれています。第2稿も第3稿もあります。なんだか奇妙な響きの演奏でしたが、興味津々の演奏ではありました。先日、読響でスクロヴァチェフスキがブルックナーの第5番を指揮するとのことで聴きに行くつもりでしたが、残念ながら健康上の理由でスクロヴァチェフスキの来日が取りやめになり(その後、スクロヴァチェフスキはお亡くなりなりました。合掌)、代わりにロジェストヴェンスキーが指揮をすることになり、結局、saraiは聴きにいかなかったんです。しかし、これは後で考えると残念なことでした。何とロジェストヴェンスキーは悪名高きシャルク版で第5番を演奏したそうです。ある意味、これは聴きものだったようです。因みにロジェストヴェンスキーのブルックナー完全全集には第5番は原典版のみでシャルク版は含まれていません。シャルク版はシャルクが第5番を初演したときのもので、大幅なカットや改変をほどこし、シンバルが鳴り別働隊のブラスが加わるという大変興味深いものです。ロジェストヴェンスキーって、変人ですね。ともかく、変人ロジェストヴェンスキーで予習をしましたが、今日のフランスの才人ミンコフスキの演奏はとってもまっとうなものでした。


今日のプログラムは以下のとおりでした。

  指揮:マルク・ミンコフスキ
  管弦楽:東京都交響楽団

  ハイドン:交響曲第102番 変ロ長調 Hob.I:102

   《休憩》

  ブルックナー:交響曲第3番 ニ短調 WAB103《ワーグナー》(ノヴァーク:1873年初稿版)


これで9月のサントリーホールの再開までは都響を聴くのはお休みかと言うと、それは違います。来週、ヨーロッパ遠征の直前ですが、インバル指揮のマーラーは聴き逃せません。ザルツブルク音楽祭でハイティンク指揮のウィーン・フィルでマーラーの交響曲第9番を聴きますが、それに先駆けて、マーラー晩年のもう一つの傑作《大地の歌》を聴かなくてはね。5年前にインバル&都響で聴いた《大地の歌》は素晴らしい演奏でした。そのときの感想はここです。



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今年のヨーロッパ遠征・・・ガルミッシュ=パルテンキルヒェンへの小旅行を再検討

ザルツブルクからガルミッシュ=パルテンキルヒェンGarmisch-Partenkirchenへの1泊小旅行を検討していました。鉄道チケットはバイエルンチケットを使って格安で済ませるかどうか、配偶者に諮ったところ、その方向でゆっくり移動すればいいんじゃないとのこと。また、お友達のSteppkeさんからもガルミッシュ=パルテンキルヒェンでの過ごし方(要はR・シュトラウスゆかりの場所をまわること)についてのご助言もあり、昨日は深夜まで計画を練っていましたが、その過程で意外な情報にぶつかって、右往左往。ということで昨日はブログを書き損じてしまいました。悪しからず。

そのお話の前に、ベルンツォーナからルツェルンまでのゴッタルド・パノラマ急行(旧ウィリアム・テル急行)の乗車券の購入についてのその後です。ファーストクラスは一人半額で68スイスフランというところまでは分かりましたが、購入方法が分からなかったので、スイス国鉄に問い合わせのメッセージを送信しました。結果、現地で調達せよとのご託宣です。やっぱり、オンラインでの購入は難しいようです。スイス国鉄のサイトではオンラインで購入できると書いてあるものの、購入方法については説明がなかったんです。まあ、いいでしょう。出発の前日に発車駅のベルンツォーナに行くので、そこで購入します。

さて、ガルミッシュ=パルテンキルヒェンへの旅ですが、当初は1日目にツークシュピチェZUGSPITZEに登頂し、2日目の午前中にガルミッシュ=パルテンキルヒェンを巡り、お昼頃にガルミッシュ=パルテンキルヒェンからヴィース巡礼教会Wieskircheを経由して、ザルツブルクに戻るというプランを考えました。でも、これでは、ザルツブルクに戻る時間が遅くなり、夜9時からのコンサートにぎりぎりで滑り込むことになります。これは本末転倒です。プランを練り直す過程でツークシュピチェ鉄道のサイトの情報をながめていると、ぎょっとすることが書いてあります。今年の3月から12月まで、アイプ湖Eibseeから山頂へのロープウェイが休止するそうです。新しいロープウェイを作っているそうです。山頂に上る手段が登山鉄道&グレッチャーバーン(ロープウェイ)のみに限られるそうです。これは混み合うかもしれません。方針を全面的に変更して、2日目の朝1番の登山鉄道に乗ることにしましょう。1日目にヴィース巡礼教会を経由して、ガルミッシュ=パルテンキルヒェンに行き、その足でR・シュトラウスのお墓と山荘をまわります。時刻表とにらめっこして、何とか回れることを確認。R・シュトラウスのお墓と山荘の場所も確認し、バスの経路と時間もチェックしました。
2日目はともかく、登山鉄道&グレッチャーバーンで午前中にツークシュピチェを往復し、ガルミッシュ=パルテンキルヒェンでR・シュトラウス研究所をちょっと覗いて、お昼過ぎの電車でザルツブルクに戻ることにします。夕方の6時前にはザルツブルクに戻れます。

ということで1日目と2日目のバイエルンチケットを購入します。2人で1日分、31ユーロです。もちろん、セカンドクラスです。ツークシュピチェ鉄道は一人往復53ユーロでオンラインでも買えますが、これはお天気次第なので、現地購入します。



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今年のヨーロッパ遠征・・・ヴェルター湖への小旅行

ザルツブルクからヴェルター湖Wörther Seeへの日帰り小旅行を検討します。ザルツブルクとクラーゲンフルトKlagenfurtの往復鉄道チケットはレールジェットの格安チケットを購入済です。クラーゲンフルトでの滞在時間は5時間半と限られています。この時間内にヴェルター湖畔を巡って、マーラーのマイアーニッヒの作曲小屋とヴィラ、そして、湖畔の町ペルチャッハのブラームスのゆかりの場所を訪れることにします。

まず、マーラーのマイアーニッヒの作曲小屋とヴィラはヴェルター湖畔のバス停Strandbad付近にあることが分かり、クラーゲンフルト中央駅からのバスルートを検索します。最初に見つけたバス停Klagenfurt Strandbadはどうもおかしな場所に思えます。これは間違いで本当はバス停Maiernigg Strandbadが正しいものでした。ここへはオーストリア国鉄ポストバスÖBB-Postbusで行きます。クラーゲンフルトの市内バスではありません。バス停に12時12分に着くので、作曲小屋には12時20分には着けるでしょう。一応、確認のメールを作曲小屋の管理人のかたに送ったところ、OKの返事がありました。木曜から日曜の10時から13時の間だけ、オープンしているとのことです。次は地図上でマーラーのヴィラの場所を確認できたので、簡単に回れそうです。13時10分のバスに乗って、クラーゲンフルト・レント駅Klagenfurt Lend Bahnhof経由でSバーンに乗ってペルチャッハ駅Pörtschach/Wörther Seeに13時46分に到着。1時間ほど、ブラームスの泊まったホテルや博物館を巡ります。ここからクラーゲンフルトに戻りますが、折角ですから、ヴェルター湖のクルーズ船で湖上の景色を楽しみます。1時間ほどでクラーゲンフルトの湖畔に着きます。ここからバスとSバーンを乗り継いでクラーゲンフルト中央駅に戻ります。ちょうど16分後に予約したザルツブルク行きのレールジェットが出発します。ぴったりの日程になりました。クルーズ船以外のチケットも購入しました。まあ、万全の準備です。ランチの時間がないかもしれません。夕食はきっと帰りのレールジェットになりそうです。

マーラーとブラームスゆかりのヴェルター湖を堪能しましょう。彼らが訪れていたのも、この夏季シーズンです。



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歴史を刻む田部京子のシューベルト・プラス 第2回@浜離宮朝日ホール 2017.7.14

何という未曽有の高みのピアノ・リサイタルでしょう。この言葉は実質、今年3回目ですが(アンドラーシュ・シフのベートーヴェンとシューベルトのソナタ、アンジェラ・ヒューイットのバッハ)、今日のピアノ・リサイタルが最高とも思えたほど、素晴らしい内容の演奏ばかりでした。それに田部京子の魅力的なこと・・・音楽も容姿もお人柄も。生涯、忘れ得ぬコンサートになりました。

いつも書くことですが、素晴らしい演奏を言葉で表現することは大変難しいことです。何とか表現してみましょう。田部京子の演奏は素晴らしいテクニックをベースとして、実に丁寧なアーティキュレーションとフレージングの表現が見事で、聴くものがその音楽にぐっと惹きつけられます。しかし、本当に凄いのはそういうことではなくて、彼女の優しく心の襞を撫でてくれるような深い詩情、あるいは味わい(初めて経験するような感覚なので適当な言葉が思い当たりません)に満ちた演奏です。
最初演奏されたベートーヴェンの後期ピアノ・ソナタも世の大家たちをうならせるほどの充実度ですが、続くシューベルトの2曲はこれまで耳にしたことのないような最高の音楽が展開されて、魅了され尽します。その結果として得られるのは、頭が真っ白になるような感動ではなく、演奏の隅々までじっくりと味わい尽くした上で、その深い詩情に酔わされることです。

この人は世界の音楽史に名を刻むような最高のピアニストの一人として称えれる存在になるだろうとsaraiは確信しました。それほど、完成度が高く、芸術性も極上の演奏でした。もう、これ以上言うべき言葉は持ちませんが、一応、簡単にそれぞれの曲の演奏に触れておきましょう。

まず、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ 第31番 変イ長調 Op.110、これはベートーヴェンの最後から2番目のピアノ・ソナタですが、第3楽章の演奏についてだけ、感想を書いてみます。嘆きの歌と呼ばれるベートーヴェンの絶唱が極めて美しく演奏されますが、フーガを挟んで2回目に登場するときは抑えた表現で切々と哀切に演奏されます。苦しいベートーヴェンの胸の内、あるいはすべての人の苦しみを代弁しているかのようです。フーガは1回目には、まるで水の波紋が広がるような実に自然でさりげないスタイルで演奏されますが、2回目には、まるで神の領域に上り詰めるような神々しい表現の演奏に変わります。そして、圧倒的なコーダで曲を閉じます。考え抜かれた知的なアプローチなのでしょうが、それを感じさせない深い味わいの演奏でした。田部京子はもはやベートーヴェン弾きと言ってもいいのではないかという境地にあるようです。

こんな素晴らしいベートーヴェンを最初に弾いてしまうと、後のプログラムが厳しいと思いましたが、それは杞憂です。続くシューベルトの4つの即興曲 D. 899 Op. 90は4曲とも最高に素晴らしい演奏です。第1曲の長さを感じさせない美しい演奏で幕を開け、第2曲の流麗な美しさ、第3曲の郷愁を感じさせる歌謡性、そして、圧巻だったのは第4曲です。この曲って、こんな風に演奏するのって、目を見開かせるような見事過ぎる演奏・・・いまだかって聴いたことのない最高レベルの演奏でした。

休憩後、シューベルトのピアノ・ソナタ 第19番 ハ短調 D. 958です。これはシューベルトの最後から3番目のピアノ・ソナタですが、実際は最後の3つのピアノ・ソナタは同時並行的に作曲されたそうで、すべてが最後のピアノ・ソナタと言えるそうです。第1楽章の劇的かつシューベルトチックな表現の見事さ、第2楽章のうっとりするような抒情、第3楽章の気持の高揚、そして、終楽章のあまりにも魅惑に満ちたパッセージの数々が最高の表現で演奏されて、このピアノ・ソナタの素晴らしさが心に響きました。もちろん、今日の最高の音楽はこれでした。

もう、これだけで十分に満足しました。しかし、アンコールも2曲も弾いてくれました。それにしても、アンコールの最後で聴かせてくれたD. 935 Op. 142の即興曲(第2曲)の天国的な美しさはどうでしょう! この曲はシューベルトのピアノ曲のなかでもsaraiが最も愛する曲です。これまでも素晴らしい演奏の数々を聴いてきましたが、これはその中でも飛びっきりの最高の演奏です。うっとりと夢見心地になって、聴いていました。

今日のプログラムは以下です。

  田部京子シューベルト・プラス 第2回

  ピアノ:田部京子
 
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第31番 変イ長調 Op.110
シューベルト:4つの即興曲 D. 899 Op. 90

  《休憩》

シューベルト:ピアノ・ソナタ 第19番 ハ短調 D. 958

  《アンコール》

ベートーヴェン:6つのバガテル~第3曲 アンダンテ 変ホ長調 Op.126-3
シューベルト:4つの即興曲 D. 935 Op. 142~第2曲 アレグレット 変イ長調 Op.142-2

お世辞抜きで田部京子は日本を代表する・・・というか、世界的にも、ドイツ・オーストリアの古典を最高レベルで演奏するピアニストです。ちゃんと田部京子のソロのリサイタルを聴いたのは今日が初めてですが、またまた、己の不明を恥じるばかりの結果になりました。先日のロータス・カルテットに続いて、日本人演奏家の素晴らしさに感銘を受けました。
それにしても、今年はピアノの当たり年。アンドラーシュ・シフ、アンジェラ・ヒューイット、田部京子の3人の演奏は最高でした。しかも今年は彼らの演奏をまた、聴けます。アンドラーシュ・シフはもうすぐザルツブルク音楽祭で連続演奏会を、アンジェラ・ヒューイットは秋の来日リサイタルでバッハのパルティータ全曲を、田部京子はこのシューベルト・プラス・リサイタル・シリーズの3回目を聴きます。そうなんです。今日、会場で次の田部京子のリサイタルのチケットが先行発売されて、最上の席をゲットしました。次はシューベルトのピアノ・ソナタ 第20番 イ長調 D. 959です。また、最高の名曲です。それにブラームスの晩年の傑作、4つの小品 Op.119も聴けます。音楽の楽しみは尽きません。音楽を聴きながら、老いていくのも、結構なものです。



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       田部京子,  

今年のヨーロッパ遠征・・・ザルツブルクでの過ごし方は氷窟と温泉

ザルツブルクからの2回の小旅行、ガルミッシュ=パルテンキルヒェンGarmisch-Partenkirchenへの1泊小旅行、ヴェルター湖Wörther Seeへの日帰り旅行のプランは固まりました。あと、2日ほど、お昼の時間がフリーな日があります。この過ごし方を考えます。配偶者が適当なものを探してくれました。

まず、1日はヴェルヒェンWerfenにある世界最大級の氷窟、EisRiesenWeltを訪れてみましょう。ザルツブルクからクラーゲンフルトのほうに電車で40分ほどのところにあるヴェルヒェン駅まで行くと、2時間置きに駅前からシャトルバスが出ており、20分ほどでヴィジターセンターまで運んでくれます。ここから歩いて20分ほどのところからケーブルカーに乗って山頂に登り、そこから20分歩くと氷窟EisRiesenWeltです。70分ほど中を歩き回るようです。残念なのは氷窟内の写真撮影が禁止されていることです。自然保護の観点だそうです。

もう1日はザルツブルク州唯一の温泉地、バード・ガシュタインBad Gasteinに行ってみましょう。ここもザルツブルクからクラーゲンフルトのほうに電車で行きますが、レールジェットで1時間半ほどかかります。ザルツブルクとクラーゲンフルトの中間地点ですね。滝も流れて、景勝地のようです。バード・ガシュタイン駅のすぐ近くにフェルゼン・テルメFelsenthermeという温泉施設があります。ヨーロッパでいつも経験している形式の温泉のようです。屋内と屋外に温泉プールがあります。ここの素晴らしいのは露天プールからチロル(アルプス)の景色が見渡せることです。日本で言えば、富士山を見ながら露店風呂に入るようなものですね。もちろん、水着着用で混浴です。2階のサウナ・プールのエリアは混浴ですが、水着なし。これもほかと同様ですね。ゆっくり、湯治してきましょう。配偶者と一緒に混浴できるのがヨーロッパの温泉のメリットです。レールジェットの格安料金を活用するために早めにスケジュールを決めて、鉄道チケットをネットで購入しておきましょう。

これで今回のヨーロッパの旅の全工程が固まりました。次は北イタリア、スイスの詳細を詰めていきます。

そうそう、音楽の予習もほぼ終盤にかかっています。残り少ない時間を使って、聴けるだけ聴いておきましょう。まだまだ、準備は忙しいです。でも残り3日ほどです。



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感涙のマーラー:大地の歌・・・インバル&東京都交響楽団@東京芸術劇場 2017.07.17

いやもう、涙・涙の感動の演奏でした。死期を悟ったマーラーが愛する大地、人生に告別を告げるべく書き上げた《大地の歌Das Lied von der Erde》の終楽章《告別Der Abschied》はその終盤にかけて、アンナ・ラーションの絶唱とエリアフ・インバル指揮の東京都交響楽団の壮絶な演奏が相まって、saraiの心を貫き通しました。マーラーの永遠なる大地への哀切な思いは彼の主観を超えて、演奏者と聴衆の思いに昇華します。音楽とは何か・・・その答えを垣間見た思いです。人の愛と死、人生のすべてをかけた究極の創造物です。マーラーは晩年の苦しい時期にその芸術の集大成にこの《大地の歌》と交響曲第9番、さらに未完の交響曲第10番を完成させました。音楽史上の大偉業です。《大地の歌》の終楽章《告別》はEwig・・・Ewigという告別の主題で消え去るように終わりました。そして、この告別の主題は交響曲第9番の第1楽章にそのまま、弦楽器でため息のように奏される告別の主題に引き継がれていきます。この先はザルツブルク音楽祭のハイティンク指揮ウィーン・フィルの演奏会で聴きましょう。マーラーの最高傑作、交響曲第9番を聴くのも、もう、来週の金曜日(7月28日)と日曜日(7月30日)に迫りました。saraiの音楽人生の集大成になるはずのコンサートです。

今日の演奏について、書くべきことはたくさんあるのですが、ザルツブルク音楽祭への遠征の出発が2日後に迫っているので、残念ながら、ここまでしか書けませんでした。申しわけありません。

最後に予習について一言。聴いたのは以下のCDです。

 オットー・クレンペラー指揮フィルハーモニア&ニューフィルハーモニア管弦楽団、クリスタ・ルートヴィヒ、フリッツ・ヴンダーリヒ
  1964年2月・11月、1966年7月録音

絶対的な名盤であるブルーノ・ワルター指揮ウィーン・フィル、カスリーン・フェリアー、ユリウス・パツァークは予習の時間がなくて、聴けませんでしたが、何度も繰り返し聴いたので、まあ、いいでしょう。クレンぺラー等の演奏したCDは今回、聴き直して、その素晴らしさに思わず落涙しました。何と言っても、クリスタ・ルートヴィヒの美しい歌声と深みのある表現には文句のつけようがありません。そして、クレンペラーの指揮の素晴らしいこと、やはり、只者ではありませんでした。その上、フリッツ・ヴンダーリヒまで素晴らしいのですから、ワルター&フェリアー盤とも甲乙つけがたしの感です。もっとも、また、ワルター&フェリアー盤を聴くと、これが最高だときっと思うんでしょうけどね。

今日のプログラムは以下のとおりでした。

  指揮:エリアフ・インバル
  コントラルト/アンナ・ラーション
  テノール/ダニエル・キルヒ
  管弦楽:東京都交響楽団 コンサートミストレス:四方恭子

  マーラー:交響詩《葬礼》

   《休憩》

  マーラー:大地の歌


まるでsaraiの壮行会でも開いてもらったようなものです。ありがとうございました。

明日はヨーロッパ遠征の前日。最後の予習・・・レナード・バーンスタイン指揮ウィーン・フィルのDVDでマーラーの交響曲第9番を聴きます。このときのウィーン・フィルのメンバーは現在はほとんど残っていないでしょう。しかし、伝統あるウィーン・フィルの柔らかい優美な響きは永遠のものです。ザルツブルク音楽祭では、ハイティンクの指揮に変わるので、もっと落ち着いた、深みのある表現でsaraiを感動させてくれるでしょう。



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今年のヨーロッパ遠征・・・もう、じたばたしてもしようがない・・・

明日はもう、ヨーロッパの旅への出発になりました。
万全の準備が整っているとは言い難いのですが、まあ、何とかなるでしょう。
一番優先順位の高い音楽の予習に最後の時間を使いましょう。残っているのは以下。

 ガランチャの歌曲リサイタル:ラフマニノフの歌曲
 モーツァルト・マチネ:モーツァルトのオペラ・アリア
 アンドラーシュ・シフ・ピアノ・リサイタル:ヤナーチェクのピアノ曲
  『草かげの小径にて』(第1集)、ピアノソナタ 変ホ短調『1905年10月1日 街頭にて』、霧の中で

2時間少々かけて聴きました。そして、総仕上げはやはり、マーラーです。

 マーラー:交響曲第9番 バーンスタイン指揮ウィーン・フィル DVD

第4楽章はバーンスタインの指揮姿を見て、泣けました。ついでに交響曲第10番《アダージョ》まで勢いで聴きました。

夕方になると、エールフランス航空からWEBチェックインの招待のEメールが届きます。早速、チェックイン。なかなか、親切になりましたね。

最後にクレモナのバスルートや時間のチェックに手間取りました。明日は資料を整理しながら、不足分をチェックしましょう。

そうそう、現地で聴く音楽をIPODに入れておかないといけません。

 ツークシュピチェで:アルプス交響曲 ハイティンク指揮ロンドン交響楽団
 R・シュトラウスのお墓で;「4つの最後の歌」シュヴァルツコップ&セル
              薔薇の騎士の3重唱 ルネ・フレミング、バーバラ・ボニー、スーザン・グラハム、エッシェンバッハ指揮ウィーン・フィル
 R・シュトラウスの山荘で:メタモルフォーゼン クレンペラー指揮フィルハーモニア管弦楽団(23人の弦楽奏者)
 ヴェルター湖のマーラー作曲小屋で:リュッケルトの詩による五つの歌 フォン・オッター、ガーディナー指揮北ドイツ交響楽団
                  交響曲第5番 バーンスタイン指揮ウィーン・フィル
 ヴェルター湖のペルチャッハで:ブラームスの交響曲第2番 ハイティンク指揮ロンドン交響楽団
                ヴァイオリン協奏曲 オイストラッフ、セル指揮クリーブランド管弦楽団

さあ、早く寝て、明日も準備を急ぎましょう。



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行ってきます!!

今、羽田のエールフランスの搭乗待合室です。もうすぐ、搭乗です。パリ経由でミラノへ飛びます。次はイタリアからの報告になります。それにしても、出発間際まで、あー忙しかった。飛行機で寝れるかな・・・

では、また。

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パリに到着・・・トランジット中

羽田からパリへの長いフライトは揺れに揺れましたが、エールフランス名物?のシャンパンを飲んで、ぐっすりと眠り込んでいるうちに
あっと言う間にパリのシャルル・ド・ゴール空港に到着。真っ暗闇でしたが、今は雲間から太陽が上がってきました。間もなく、ミラノ・リナーテ空港行きのエールフランス機に乗りこみます。旅も本番モードです。

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悪夢のようなイタリア1日目・・・何とか、3日目に復旧かな・?

いやあ、今回の旅は大変なことになり、ようやく、3日目の今日になって、事態が平静化しつつあります。ですから、これまで、ブログの記事をアップできなかったんです。ブログ編集の要であるPCが愛用していたバッグごと盗まれてしまったんです。イタリアは鬼門ですね。イタリアで最初の目的地のヴェローナに向かう電車でうっかり網棚にのせたPCバッグが見事に盗まれました。車掌さんに事情を説明したり、ヴェローナの警察に盗難届けを出したり、大騒ぎ。でも、盗まれたPCはもちろん、戻ってくるわけはありません。急遽、ヴェローナのPCショップで新しいノートPCを調達しましたが、当初はイタリア語仕様のPCを日本語仕様に変えて、ソフトやデータの環境を整えて、必要最低限のことがようやく出来るようになりました。

旅自体もヴェローナのホテルでなかなかチェックインできずにやきもきしたり、イタリア名物の鉄道遅延にあったりと暗雲模様。そのイタリアも何とか予定をこなして、今はスイスの最初の宿泊地、ベリンツォーナのホテルに落ち着き、最初の現地報告を書いています。

簡単に1日目からの旅を振り返りましょう。ドタバタ騒ぎの後、夜はヴェローナ野外音楽祭で大スペクタクルオペラの≪アイーダ≫を鑑賞。意外に聴きごたえのある歌唱に惹きこまれました。やはり、ヴェルディは男声の重唱が素晴らしいです。しかし、本来はゆっくり昼寝でもして、出かけるつもりのところ、寝不足と時差ボケで3回目の休憩にはいったところで参ったという感じ。最後の幕を聴かずして撤退。まるで野球の9回の攻防を前に早めに帰る観衆みたいです。残念でした。それでも時刻は12時をまわっていました! ヴェローナ野外音楽祭の≪アイーダ≫は長過ぎ。

2日目はミラノに宿を移し、初めてのトリノ訪問。旧市街、ポー川と歩き回り、疲れ切りました。足のマメがつぶれ、血まみれになっていました。最後は夕立に見舞われて、ズボンがびしょびしょ。それでもトリノの街を隈なく歩き回った満足感でいっぱいになりました。それにトリノのグルメ(B級?)も堪能したしね。

3日目の今日は、ヴァイオリンの名器がたくさん作りだされたクレモナを初訪問。ヴァイオリンはもちろん、カラヴァッジョの2枚の名作も見ることができて、大満足。見事な好天の下、美しい青空に映える中世の建築物が印象的でした。そして、ミラノに取って返し、ホテルに預けた荷物を受け取って、スイスの世界遺産の町、ベリンツォーナに国際列車で移動。

明日からはスイスでアルプスを満喫する予定です。天候次第になりますけどね・・・。



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美し過ぎるベルンツォーナ:旅の4日目

今回の旅で初めて、その名を知った町、ベリンツォーナBellinzonaはさすがに世界遺産の町。とっても美しいお城が丘の上にありました。その城の名はカステル・グランデCastelgrandeです。丘の上ですが、無料のエレベーターで簡単に登れます。そこから続く城壁の緑の道の美しさったら、表現する言葉を失います。この城壁の道を探すために1時間以上もうろうろしましたが、その努力の甲斐はありました。

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ベリンツォーナの町はこれで満足し、いよいよ、ゴッダッルド・エキスプレスの旅です。スイス国鉄の自慢のパノラマカーの旅を楽しみます。

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沿線の風景を楽しみながら、ゴッダルド峠を超えて、ルツェルン湖畔の船着き場に着きます。ここからは観光船に乗り込んで、湖上の旅を楽しみます。ゴッダッルド・エキスプレスというのは、パノラマカーと湖船を組み合わせた総称なんです。しかし、ここで問題発生。些細なことでsaraiと配偶者は言い争いになって、これ以降、口もききません。折角のクルーズ旅とルツェルン観光が台無しです。ですから、この後の記事はありません。歳を取って、saraiは頑固になったんでしょう。悲しいことです。これじゃ、これからの旅も難しくなりますね。明日からの旅が怖い・・・。



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アルプスの名峰が見えた!:旅の5日目

今日は旅の前半のハイライト。初のアルプス訪問です。天候が心配でしたが、その心配の通りになりました。ユングフラウヨッホに登りましたが、ユングフラウ、メンヒは雲に隠れて見えず、残念。失意のまま、グリンデルワルトからゴンドラに揺られて、今日宿泊するメンリッヒェンの山荘ホテルに赴くと、あたり一帯は霧に包まれて、小雨も降っています。見える筈のユングフラウ、メンヒ、アイガーの3山はおろか、周りの風景すら何も見えません。山の天気はどうしようもありませんね。山荘ホテルの部屋で寛ぐしかありません。ところが神は我を見捨てませんでした。配偶者が急にあっと叫び声を上げます。いつの間にか周りの山並みが霧の中から浮かび上がります。でも、肝心のアルプスの名峰3山は厚い雲に覆われています。それからしばらくしてふと、名峰3山の方に目をやると、なんとアイガーの岸壁が雲間から姿を現します。さらに時間が経過すると、山頂こそ見えませんが、名峰3山が姿を現しました。

これはユングフラウです。巨大な氷河が凄い迫力です。

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これはメンヒです。4000m級の山の迫力十分です。

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これはアイガーです。北壁の切り立った岩盤がこれほどのものとは生で見るまでは分かりませんでした。圧倒的な存在感で自然の偉大さを見せつけます。

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山頂が雲に覆われてはいましたが、何も見えないところから、よくぞ姿を現してくれました。自然へ感謝するのみです。ちなみにメンリッヒェン山荘ホテルからの名峰3山の眺望はこんな感じだそうです。左から、アイガー、メンヒ、ユングフラウです。手前の山はメンリッヒェンの山頂です。青空を背景に見たかったものです。

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明日はハイキングできるほどのお天気ならいいのですが・・・。



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奇跡の青空!アイガー:旅の6日目

今日はアルプスのメンリッヒェンの山荘ホテルの朝。残念ながら、今日も霧と小雨でまわりの景色が霞んでいます。ハイキングに出かけたいのですが、雨が止み、霧が晴れるタイミングを待ちます。結局、出かけたのは11時。もう1時間待っても出かけるタイミングがなければ、ハイキングは断念しようと思っていました。正面にアイガー北壁を眺めながらのハイキング。時折、小雨に見舞われますが、路傍の可愛い草花を楽しみながら、充実した時間を持てました。

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ガイドブックでは1時間20分の行程となっていましたが、結局、目的地のクライネ・シャイデックに着いたときには予定を1時間もオーバーしていました。クライネ・シャイデックは霧に煙っていて、まわりの風景は何も見えません。天気が良ければ、すぐそばにアイガーが見える筈なんですけどね。ところがです。急に霧が晴れて、山頂こそ見えませんがアイガーの岸壁が目の前に聳え立ちます。昨日、ここでユングフラウ鉄道に乗り換えたときには気が付きませんでしたが、クライネ・シャイデックはアイガー北壁の麓の駅だったんですね。
クライネシャイデックを後にして、WAB鉄道でグリンデルワルトに向かいます。グリンデルワルトの駅に降り立つと、町は切り立ったアルプスの山々に囲まれています。街並みをちょっと拝見しましょう。雲間からはアイガーも見えています。街並みも見たし、そろそろ帰ろうかとしていると、急に太陽が顔を出し、青空が広がります。みるみるうちにアイガーにかかっていた雲が流れていき、青空を背景にアイガーの山全体がくっきりと見えてきます。予定していた電車を1本遅らせて、この絶景を楽しみます。最後の最後に青空のアルプスを眺めることができました。やったね!

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心おきなく、ルツェルンに戻れます。それにしても、山の天気は一瞬一瞬、変わるものなんですね。青空のアイガーを眺められたのもほんの15分ほどだったでしょうか。
明日はルツェルンのピラトゥス山に登りますが、あまり、天気がよくないようです。計画変更して、ルツェルンの街歩きでもしましょうか。夜遅くにはいよいよ最終目的地のザルツブルクに到着予定です。



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ルツェルンからザルツブルクへ:旅の7日目

今日はルツェルン、そして、スイスの最終日。ピラトゥス山に登るべく、昨夜から計画を練っていました。朝起きると、微妙な天気。雨は降っていないものの、どんよりと曇っています。これでは山頂からの眺望は望めませんね。残念ですが、ピラトゥス山はすっぱりとあきらめましょう。計画変更して、ルツェルンの街歩きします。午後3時半の電車でザルツブルクに向かうので、それまでの間、散策します。
まずはルツェルン中央駅の隣にあるルツェルン・カルチャーコングレスセンター(KKL)を外から眺めます。ここはルツェルン音楽祭のメイン会場です。こんなにモダンな建物だったんですね。それにルツェルン湖畔という立地が素晴らしいです。

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次はバスに乗って、ライオン記念碑を見に行きます。大きな砂岩の岩塊に死に瀕したライオンの巨大な像が刻まれています。なかなかのものですね。

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隣接する氷河公園を見学した後、ムーゼック城壁に向かいます。丘の上に古い城壁があります。この城壁の上に上り、市内やルツェルン湖、そして、行けなかったピラトゥス山を眺めます。絶景ですね。

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そろそろ時間です。駅に向かいます。予定通り、チューリッヒ駅行のIRに乗り、チューリッヒ中央駅でウィーン行のレールジェットに乗り換えます。無事にザルツブルク到着。明日からはザルツブルク音楽祭で音楽三昧の日が続きます。



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アンドラーシュ・シフ・ピアノ・リサイタル1@ザルツブルク・モーツァルティウム大ホール 2017.7.27

今年のザルツブルク音楽祭、まず、手始めはアンドラーシュ・シフのピアノ・リサイタル。3回にわたるミニチクルスの1回目です。最前列の良い席で聴きます。お隣の地元の年配のご婦人が良い席ねって話しかけてきます。彼女はシフの大ファンだということで、数知れないほどシフのピアノを聴いてきたそうです。もちろん、シフの奥さんが日本人の塩川悠子だということもご承知です。だから、日本人の我々に親近感を抱いたのかもしれません。彼女がその塩川悠子が5列目の真ん中に座っているわよと言うので、立ち上がって見ると、確かにそれらしい方がいらっしゃいました。実はその後、休憩時間にわざわざ塩川悠子が隣席の彼女のところに挨拶に来たのには驚きました。友人なのかって訊いたら、そうだということ。もしかしたら、シフの最高のファンなのかもしれません。開演に先立って、このモーツァルティウムに移設してあるモーツァルトが魔笛を作曲した小屋を見に行きました。ようやく、間近に見ることができました。作曲小屋はモーツァルトの時代から簡素な木製の小屋ですね。マーラーの作曲小屋と似たものです。

さて、肝心のリサイタルですが、隣席の超ファンのご婦人から、最初にドイツ語でシフが内容の紹介があると教えられていました。彼女からドイツ語は分かるのって訊かれて、全然分からないと答えました。ところが、シフはマイクを持って、今日はドイツ語でなく、英語で話しますと言って、客席に軽いどよめき。インターナショナルな音楽祭なので英語で話すことにしたようです。短いスピーチと言って、話し始めましたが、とっても長い話です。それも前半のバッハとバルトークについてだけです。バッハとバルトークは似た作曲家という観点での話でした。二人とも一流のキーボードプレーヤー。二人とも子供(自分の子供)の練習用のプリミティブな作品を書いたこと。それもプリミティヴなのは子供が弾くときのことで、大人は装飾音やアーティキュレーションで高度な作品に変身すること。最後に二人とも自国のナショナリズムを基盤としながらも、作品はインターナショナルなものに昇華していること。バッハもバルトークの自国の壁を越えて、真のヨーロピアンであったこと。これがシフが一番訴えたいことだったのかな。ヨーロッパも世界もナショナリズムに偏ってきている、困難な時代に直面していますからね。

前半のバッハの2声のインヴェンションはいつも聴きなれている、あの子供の練習曲とは一線を画しています。なめらかなタッチ、めくるめくようなスピード感、とりわけ、長調の曲の演奏が見事です。心に残ったのは、F-durとa-mollの2曲。その素晴らしい響きに酔いしれました。バルトークはさすがに最初の≪子供のために≫は民謡をベースにしたプリミティヴな曲でさほどの感銘はありませんが、楽しくは聴けました。残りのロンドとブルレスケは前衛的な響きをシフらしい優しい表現で包み込んで、同国の先達をリスペクトするような演奏。なかなか聴けない曲と演奏でした。

後半もシフ教授からの講義で始まります。ヤナーチェクの『草かげの小径にて』はロマンティックな小路の散策を思わせる、雰囲気たっぷりの演奏。ヤナーチェクらしいモラヴィアの語法も感じさせるところはさすがです。特に左手の使い方が見事でした。ピュアーな美しさは何か哀感をはらんでいるような感じてしまいます。また、ヤナーチェクのオペラを彷彿とさせる部分もあり、ヤナーチェクの独特の音楽世界を堪能しました。
続くシューマン。シフの弾くシューマンもいいですねー! 瑞々しくて、ロマンティックなシューマン・ワールドを満喫しました。まさに心の琴線にふれる風情の演奏でした。

アンコールはシューマンの有名曲。耳馴染んだ名曲で楽しめました。アラベスクのフィナーレのロマンティックさにはうっとりとして、桃源郷にいる心地でした。締めの『楽しき農夫』は子供のためのアルバムという今日のテーマに合わせたんでしょう。あまりの有名曲に会場がざわつきました。

今日のプログラムは以下です。

 ピアノ:アンドラーシュ・シフ

 J.C.バッハ:2声のインヴェンションBWV 772–776
 バルトーク:子供のために~10の小品, Sz. 42 初版
  28. Mr. White Goes to Jailパルランド「ホワイトさんは刑務所に行く」
  29. Dinner at My Houseアレグロ「我が家の夕食は…」
  31. I remember Mamaアレグロ・スケルザンド「ママを思い出すの」
  32. Wedding Day and Nightアレグロ・イロニコ「婚礼の昼と夜」
  33. Light the Way to My Loveアレグロ・イロニコ「婚礼の昼と夜」
  35. Old Maidアレグロ・ノン・トロッポ「古くからのメイド」
  36. Absent is My Sweetheartアレグレット「お休みは私の恋人」
  37. The Lovely Girls of Budapestヴィヴァーチェ「ブダペストの可愛い少女」
  38. In a Good Mood「上機嫌で」
  42. The Swineherd's Danceアレグロ・ヴィヴァーチェ「豚飼いの踊り」
 J.C.バッハ:2声のインヴェンション, BWV 777–781
 バルトーク:民謡の旋律による3つのロンド, Sz. 84
 J.C.バッハ:2声のインヴェンション, BWV 782–786
 バルトーク:3つのブルレスク, Sz 47

  ≪休憩≫

 ヤナーチェク:『草かげの小径にて』(第1集) 
 シューマン:ダヴィッド同盟舞曲集, Op. 6

  ≪アンコール≫

 シューマン:アラベスク
 シューマン:「子供のためのアルバム」より第10曲『楽しき農夫』

コンサート終了後、夫人の塩川悠子さんと目が合ったので、素晴らしかったですと賛辞をおくると、ありがとうございますという返事をいただきました。

なお、J.C.バッハ、ヤナーチェク、シューマンはシフのCDで予習しました。ヤナーチェク以外は若い頃の演奏で、今日の演奏は驚くべき円熟を感じるものでした。バルトークはコチシュのバルトーク全集で予習しました(子供のためにはシャンドール)。
いよいよ明日はわが人生をかけたコンサートです。saraiの音楽人生の締めくくりになるでしょうか。期待と恐れの入り混じった心境です。そう、この旅の目的である敬愛するハイティンクの指揮するウィーン・フィルで最愛の曲、マーラーの交響曲第9番を聴きます。



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       シフ,  

マーラー:交響曲第9番 ハイティンク&ウィーン・フィル@ザルツブルク祝祭大劇場 2017.7.28

何も言えません。長年の夢だったハイティンクのマーラーの交響曲第9番、そして、ウィーン・フィルのマーラーの交響曲第9番を聴くことが一挙に実現してしまいました。
ただただ、この場で指揮をしてくれたハイティンクに感謝を捧げるのみです。ありがとうございました。実に丁寧で、ご高齢とは思えないような力感あふれる指揮でした。全楽章、見事な演奏でしたが、とりわけ、第4楽章は美の極致でした。p(弱音)の繊細な美しさには参りました。最後まで力の入った指揮で、拍手にこたえてステージに登場したときに躓いて、よろめくほど、すべての力を出し尽くした熱い指揮でした。
一方、ウィーン・フィルは少々、アンサンブルに乱れがありましたが、第4楽章では見事なアンサンブル、響きを聴かせてくれました。まるで、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団ぼようでした。これはハイティンクの棒に素晴らしく反応したという賛辞です。コンサートマスターはホーネック、その隣にダイナローヴァが座るという万全の体制でした。きっと、明後日はもっと精度の高い演奏を聴かせてくれるでしょう。詳細なレポートはそのときに書きます。
それにしても、ザルツブルクで最前列かぶりつきで、この夢のようなコンサートが聴けたのは望外の幸せです。終始、緊張しまくって聴いていました。御大ハイティンクの枯れることのない力強い指揮はどこまで続くのでしょう。こうなると、これまで聴いたマーラー以外も何とか聴きたくなります。特に第3番が聴きたいものです。

今日のプログラムは以下です。

 指揮:ベルナルト・ハイティンク
 管弦楽:ウィーン・フィル

 マーラー:交響曲第9番


この日に向けて、予習もたくさんしましたし、本も読みました。大型スコアも買いました。それについても明後日のコンサートを聴いてから書きますね。
長年の夢が実現して、何か頭はぼーっとしています。

明日はボルトン指揮ザルツブルグ・モーツァルテウム管弦楽団、ソプラノのサンドリーヌ・ピオーでモーツァルト・マチネをお昼に聴き、夜はシフのチクルスの2回目です。ザルツブルク音楽祭もいきなり、佳境に入ってきました。



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       ハイティンク,  

モーツァルト・マチネ1 ボルトン&ザルツブルグ・モーツァルテウム管、サンドリーヌ・ピオー@ザルツブルク・モーツァルティウム大ホール 2017.7.29

今日はお昼にこのモーツァルト・マチネをザルツブルク・モーツァルティウム大ホールで聴いて、夜も同じ会場でアンドラーシュ・シフのピアノ・リサイタルを聴くという、まさに音楽三昧の1日。

バロック音楽で実績のあるアイヴァー・ボルトンの指揮でザルツブルグ・モーツァルテウム管弦楽団によるモーツァルトを聴きます。

まず、小編成のオーケストラでのセレナータ・ノットゥルノは大変、楽しいものでした。多分、生では初聴きです。まるで協奏交響曲のように2つのヴァイオリン、ヴィオラ、コントラバスの独奏と協奏を交えて、音楽の興が極まるような演奏に嬉しくなりました。ザルツブルグ・モーツァルテウム管弦楽団の生き生きとした演奏はモーツァルトの本場であることを実感させてくれました。

続くソプラノのサンドリーヌ・ピオーは美声の高音を見事に聴かせてくれました。特にツァイーデのアリアの見事さにはうっとりと聴き入りました。故吉田秀和が彼女の声を評して、「鈴をころがすような声」と言ったそうですが、その意味はあまり分かりませんでしたが、モーツァルトのソプラノの歌にはぴったりの声質に思えました。

最後の交響曲第38番「プラハ」は名曲ですし、とても耳馴染んだ曲です。生き生きとした演奏には何も文句はありません。楽しく聴かせてもらいました。あまりの心地よさに時折、意識をなくしそうになって困りました。演奏は素晴らしかったんです。演奏者の皆さん、失礼しました。

今日のプログラムは以下です。

 指揮:アイヴァー・ボルトン
 ソプラノ:サンドリーヌ・ピオー
 管弦楽:ザルツブルグ・モーツァルテウム管弦楽団

 モーツァルト:セレナータ・ノットゥルノ K.239
 モーツァルト:オペラ≪ポントの王ミトリダーテ≫K.87からアスパージアのレシタティーヴォとアリア
         予感は当たった“Ah ben ne fui presaga” – 淡い影、あなたが見たものは“Pallid’ombre, che scorgete”
 モーツァルト:オペラ≪イドメネオ≫からイダマンテのシェーナとロンドK.490
         もういいの、すべてを聞いてしまったの“Non più, tutto ascoltai”
          - 心配しなくてもよいのです、愛する人よ“Non temer, amato bene”
 モーツァルト:ガリマティアス・ムジクムGallimathias musicum (クォドリベットQuodlibet) K.32 全17曲

  ≪休憩≫

 モーツァルト:オペラ≪ツァイーデ≫K.344からツァイーデのアリア
         やすらかにお休み、私のいとしい命よ“Ruhe sanft, mein holdes Leben”
 モーツァルト:オペラ≪ポントの王ミトリダーテ≫K.87からアスパージアのレシタティーヴォとアリア
         神に感謝“Grazie ai numi partì” – 私の胸を締め付ける“Nel grave tormento”
 モーツァルト:交響曲第38番ニ長調「プラハ」K.504



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アンドラーシュ・シフ・ピアノ・リサイタル2@ザルツブルク・モーツァルティウム大ホール 2017.7.29

アンドラーシュ・シフのピアノ・リサイタル。3回にわたるミニチクルスの2回目です。今日も最前列の良い席で聴きます。お隣は前回と同じ超ファンの年配のご婦人。友人であるシフの夫人、塩川悠子さんとドイツ語で話し込んでいました。

さて、今日も英語での曲目に関する講義から始まります。実に丁寧な解説でした。特にバルトークの≪戸外にて≫は、彼のオペラやオーケストラ曲との関連についても触れ、シフの並々ならぬバルトークへの傾倒ぶりがうかがいしれました。

前半のバッハの3声のシンフォニアはもちろん、素晴らしい演奏。ただ、やはり、フランス組曲やパルティータが聴きたくなります。むしろ、前半はバルトークの演奏の素晴らしさが際立ちました。シフは現在、最高のバッハ演奏者ですが、バルトークも他の追随を許さないでしょう。前半のプログラムの最後に置いた≪戸外にて≫の第4曲「夜の音楽」、第5曲「狩」は凄い演奏でした。第4曲「夜の音楽」はシフの解説でもあったオペラ≪青髭公の城≫の湖の場面を思い起こさせるような冷たくて荒涼な雰囲気を見事に表現していました。もちろん、野外の夜の自然の匂いやおどろおどろしたところも感じさせます。ディープでダークな最高の演奏でした。第5曲「狩」は一転して、激しく攻撃的な音楽が展開されます。シフの解説したとおり、≪中国の不思議な役人≫の終盤の音楽を思い起こさせられます。“追跡”chaseの音楽です。追跡しているのか、されているのか、聴き手の受け取り方次第でしょう。激しくヒートアップして、圧巻のフィナーレでした。

後半もシフ教授からの講義で始まります。最初、ぐっと考え込んだ挙句の一言。政治と芸術はセパレートされているものだというメッセージ。含蓄のある言葉です。知性派のシフらしい表現に会場からは拍手があがります。ヤナーチェクのピアノソナタはチェコの政治にまつわる人間の死に触発されて作曲されたそうです。シフはそういう経緯で作曲された音楽も、純粋な人間の精神性のなかに昇華していくものだということを言いたかったのではないでしょうか。最後にヤナーチェクもシューマンも偉大な詩人だという言葉で締めくくりました。なるほどね。
ヤナーチェクのピアノ・ソナタは執拗に繰り返される主題が心に沁みてきました。詩情に満ちた素晴らしい演奏でした。ヤナーチェクらしいモラヴィア風の語法も見事に表現されて、彼のオペラの音楽を聴いているような感覚に陥りました。なんと素晴らしいヤナーチェクでしょう。続くシューマンも詩情に満ちた演奏。二人の偉大な詩人の音楽を表現できるシフこそ、ピアノの詩人でしょう。

アンコールでバッハのイタリア協奏曲を聴くのは3度目です。シフのお気に入りのアンコール曲なんでしょう。

今日のプログラムは以下です。

 ピアノ:アンドラーシュ・シフ

 J.C.バッハ:3声のシンフォニア, BWV 787–791
 バルトーク:組曲, Op. 14 Sz. 62
 J.C.バッハ:3声のシンフォニア, BWV 792–796
 バルトーク:戸外にて - 5つの小品, Sz. 81, No. 1–3
 J.C.バッハ:3声のシンフォニア, BWV 797–801
 バルトーク:戸外にて - 5つの小品, Sz. 81, No. 4–5

  ≪休憩≫

 ヤナーチェク:ピアノソナタ 変ホ短調『1905年10月1日 街頭にて』
 シューマン:ピアノ・ソナタ 嬰へ短調, Op. 11

  ≪アンコール≫

 バルトーク:3つのブルレスク, Sz 47から第2曲
 バルトーク:民謡の旋律による3つのロンド, Sz. 84から??
 J.C.バッハ:イタリア協奏曲第1楽章

チクルスの最終回になる3回目はさらに素晴らしいものになるような予感がします。


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       シフ,  

マーラー:交響曲第9番 ハイティンク&ウィーン・フィル 2回目@ザルツブルク祝祭大劇場 2017.7.30

終演後、祝祭大劇場を出るまで無言でしたが、配偶者にぽつりと「終わったね」と言いました。万感の思いです。saraiにとって、音楽は人生そのもの。中学生になって、親に買ってもらったステレオでクラシックを聴き始め、40歳になって、夢だったウィーン国立歌劇場でオペラを見て、それから、病みつきになって、ヨーロッパ遠征で音楽を聴き続けてきました。そして、一昨日と今日、ハイティンク指揮ウィーン・フィルで一番愛して止まないマーラーの交響曲第9番を聴き、これでもう思い残すことはありません。一応、まわりにはバイロイトで指輪、パルジファル、トリスタンを聴きたいものだとは言っていますが、それは付録のようなもの。マーラーの交響曲第9番は告別の音楽です。己の死期を悟ったマーラーが愛する大地、それは人生と言い換えてもいいでしょうが、それらへの告別、さらに妻アルマへの断ち難い愛への告別を持てる力のすべてを注ぎ込んで完成させた未曽有の音楽と言えるでしょう。マーラーの主観的な音楽ですが、いずれ己の人生と告別すべき運命にあるすべての人々が思いを共有できる音楽でもあります。saraiの音楽と人生の集大成にこれほどふさわしい曲もありません。そして、最も愛するオーケストラ、ウィーン・フィルでそれを聴くのは必然です。また、マーラーとブルックナーなどで現在、もっとも敬愛している巨匠ハイティンクでこれが聴けたのは僥倖とも思えます。高齢のハイティンクとはこれが告別になるかもしれません。今日は指揮台のハイティンクに最も近い席で聴かせてもらいました。指揮を終えた巨匠はすっかり憔悴していましたが、うっすらと涙を見せていたように感じたのはsaraiの感傷でしょうか。立ち上がって拍手をしながら、これまでの名演に感謝をしながら、告別の念を送り続けました。

今日の演奏は一昨日よりも第1楽章からウィーン・フィルのアンサンブルも揃っており、巨匠も高齢とは思えない力強い身振りでの指揮で、オーケストラもその指揮にぴったりと応えていました。実に丁寧に細部を整えた安定した演奏で、高潮すべきパートの迫力は凄まじいものです。しかし、pの繊細で柔らかい表現、響きが一番、印象的でした。第1楽章の充実ぶり、第2楽章の郷愁、第3楽章の前進力の後、まさに最後の告別の音楽、第4楽章。愛する大地への告別、しかし、生への哀惜の念も耐え難く、波のうねりのように行きつ戻りつしながら、終局に向かっていきます。木管の美しい響きの演奏の後、最後の頂点を極め、独奏チェロが愛の動機を演奏すると、長いpのパートに入っていきます。ウィーン・フィルの合奏力が最高に発揮されます。巨匠の姿を見ることはsaraiにはもうできません。目を閉じて、静かに告別の音楽を聴き続けます。最後に目を開けて、巨匠がゆっくりと棒をおろしていく様を眺めます。これでお別れですね。長い間、ありがとうございました。

今日のプログラムは以下です。

 指揮:ベルナルト・ハイティンク
 管弦楽:ウィーン・フィル

 マーラー:交響曲第9番


この日に向けて、予習もたくさんしました。ハイティンクのCDで聴いていないのは海賊版も含めて、クリーヴランド管弦楽団との演奏くらいでしょう。以下が予習したハイティンクのCDです。

1969.6 コンセルトヘボウ管 (全集)
   素晴らしい名演です。バルビローリ&BPOとも並び立つような演奏です。演奏、録音ともに素晴らしい響きで高弦のピアノの素晴らしさに魅了されます。第4楽章には大変な感動を覚えました。まるでライヴ演奏を聴いているような錯覚すら覚えます。涙なしには聴き通せません。

  1987.12 コンセルトヘボウ管 (クリスマス・マチネー)CD
   こういう演奏が聴きたくて、ずっと音楽を聴いてきました。第4楽章の終盤、チェロの独奏が入った後の薄明の世界ではもう我を忘れて聴き入るのみです。それにしても、演奏が終わると同時に拍手をする人たちはこの曲の何を聴いているんでしょう。できうれば、拍手なしでそっと席を立ちたいくらいの気分なのに・・・。その場で生の演奏を聴いているような素晴らしい録音でもありました。

1987.12 コンセルトヘボウ管 (クリスマス・マチネー)映像
   第3楽章まではCDの音質のよさに比べて、映像版の音質の不鮮明さに白けます。しかし、第4楽章は圧巻です。冒頭から素晴らしい演奏(もちろん、CDと同じ音源です)です。それがハイティンクの棒のもと、次第にヒートアップして、有機的にオーケストラが一体化していきます(変な表現ですが、そう感じるんです)。高みに上りつめて、一瞬のパウゼ・・・その後の空前絶後の素晴らしい演奏は奇跡とも思えます。管楽器のソロのリレーのレベルの高さ、高弦の美しさに魅了されます。そして、あのチェロの独奏後はCD以上の感動的な演奏です。最後に音が途切れるとき、高く上げたハイティンクの手から、指揮棒が落ちます。同時に拍手。早過ぎると思った拍手の真相はこういうことだったんですね。いやはや、大変、感動しました。

1993.3 ECユース管
   コンセルトヘボウ管を上回るようような素晴らしい演奏。とりわけ、第4楽章の後半の超絶的な美しさには感動するのみです。ところで、第2楽章の恐ろしいほど、ゆったりとした開始は何だったんでしょう。
 
  2004.4.25 ウィーン・フィル  
   第1楽章は、おいおい、どうしたんだって感じで速過ぎて、粗っぽくて、これがウィーン・フィルかって思いますが、後半には持ち直し、第2楽章、第3楽章の切れの良い演奏に満足します。そして、終わってみれば、第4楽章の分厚い弦の響きにうっとりして、感動の演奏でした。13年前の演奏ですが、この第2楽章以降の演奏を今度のザルツブルクで聴かせてくれれば、saraiは感動の涙にくれるでしょう。何と言っても、この曲はライヴで聴くのが一番ですからね。

  2009.7.20 ロンドン交響楽団 (Proms Live)
   何という演奏でしょう。まさにハイティンクの集大成とも思える最高の演奏。ロンドン交響楽団はハイティンクの指揮と完全に一体化します。全楽章、文句のつけようのない演奏です。人生の最期に聴くのにふさわしい演奏です。これ以上の演奏があるとは思えません。録音も臨場感のある素晴らしい音です。
      
2011.5.15 コンセルトヘボウ管 CD-R
   コンセルトヘボウ管のBDのマーラー全集にも収録されている演奏です。映像版は見ていません。CD版のみを聴きました。とても素晴らしい演奏です。生きとし生きるものを優しく慰撫するかのように美しく演奏されます。第1楽章は官能をそっと撫でてくれるような究極美の世界。第3楽章は色彩感あふれるコンセルトヘボウ管弦楽団の見事な演奏。そして、第4楽章の後半は永遠の世界を思わせる究極の音楽。これがハイティンクとコンセルトヘボウの最後のマーラーの第9番になるのでしょうか。

2011.12 バイエルン放送交響楽団
   第1楽章はしみじみとした素晴らしい演奏。しかし、第2楽章以降はバイエルン放送交響楽団の響きがいかにも硬くて、のりきれません。結局、終楽章のフィナーレの薄明の世界の美しさだけは何とか感じられるという感じ。折角のハイティンクの指揮なのに残念です。体調不良のヤンソンスの代役だったので、準備が間に合わなかったのでしょうか。2016年の来日演奏でもヤンソンス指揮バイエルン放送交響楽団は今一つの演奏だったので、オーケストラに問題があるのかもしれません。 

ハイティンク以外に聴いたCDは以下です。ウィーン・フィルは全部聴こうと思いましたが叶いませんでした。

  ワルター指揮ウィーン・フィル
  バーンスタイン指揮ウィーン・フィル DVD
  バーンスタイン指揮コンセルトヘボウ管弦楽団
  バーンスタイン指揮ベルリン・フィル

バーンスタインもニューヨーク・フィルとイスラエル・フィルも聴こうと思いましたが叶いませんでした。ワルターは初演者でもあり、別格の演奏です。バーンスタインはやはり、コンセルトヘボウ管弦楽団との演奏が一番でしょうか。

本は以下を読みました。
  吉田秀和:マーラー
  金子建志:マーラーの交響曲 (こだわり派のための名曲徹底分析)

いずれも大変、参考になりました。
大型スコアも買いましたが、スコアを見ながらだと、楽譜を追っかけるのが大変で耳がお留守になるのでやめました。



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       ハイティンク,  

オペラ《皇帝ティトの仁慈》クルレンツィス指揮ムジカエテルナ セラーズ演出@ザルツブルク・フェルゼンライトシューレ 2017.7.30

何の気なしに、ザルツブルク音楽祭でモーツァルトのオペラを聴こうと思ってチケットを買いましたが、クルレンツィス指揮ムジカエテルナは今や、飛ぶ鳥を落とす勢いの指揮者と古楽オーケストラ。saraiの今までの音楽の価値観を打ち砕くような演奏で、戸惑ってしまいました。とても簡単に書ける内容ではありません。詳細は帰国後、書きましょう(覚えていれば・・・)。

それにしても、saraiの音楽人生を集大成したハイティンク指揮ウィーン・フィルのマーラーの交響曲第9番を聴いた直後、saraiの音楽の価値観をひっくりかえすようなオペラを聴くことになるとはね。

これが今まで聴いてきたモーツァルトと同じものとは信じられません。歌劇「皇帝ティートの慈悲」の中に大ミサ曲 ハ短調 K.427(K.417a)、アダージョとフーガ ハ短調 k.546、フリーメイソンのための葬送音楽 ハ短調 K.477(479a)を挿入した重厚な内容になっています。
クルレンティスの登場がまず、ユニークです。真っ暗闇の中、懐中電灯を持って、指揮台に上がります。したがって、入場の拍手はできません。その指揮ぶりはまるで鳥が舞うような風情。それに呼応するオーケストラ、ムジカエテルナは立奏です。クルレンティスの舞に合わせて、体を揺り動かしながらの演奏で、まるで体全体を使って演奏しているようです。その音楽の生き生きしていること・・・他と比べられるレベルではありません。究極のバロックオーケストラです。鍵盤奏者はハンマークラヴィーア(フォルテピアノ?)を見事に奏します。しかも女性のマリア・シャバショワは音楽だけでなく、実に可愛い!! ハンマークラヴィーアは2台あり、時として重奏します。
書いていれば切りがありませんが、第1幕後半のセストの有名なアリアではクラリネット奏者が舞台上でセストと絡みながらの演奏。いかにモーツァルトがたくみにクラリネットを使ったかが明確になります。見事な音楽作りでした。
歌手たちはある意味、無名の妙な人たちの集団ですが、クルレンティスにかかると、そこらの有名歌手には及びもつかない素晴らしい歌唱を聴かせてくれます。
いやはや、大変な感銘を受けました。それとともにsaraiが今まで聴いてきた音楽は何だったのかというショックにも見舞われました。これからの音楽はこういうものになるのでしょうね。ピリオド奏法も新しい段階に入り、いよいよ、モダン楽器のオーケストラが駆逐されていくような予感も覚えます。第2、第3のクルレンティスは現れるのでしょうか。

今日のプログラムは以下です。

 モーツァルト:歌劇「皇帝ティートの慈悲」KV 621

 指揮:テオドール・クルレンツィス
 管弦楽・合唱:ムジカエテルナ
 演出:ピーター・セラーズ

 皇帝ティト:ラッセル・トーマス
 ヴィッテリア:ゴルダ・シュルツ
 セルヴィリア:クリスティーナ・ガンシュ
 セスト:マリアンヌ・クレバッサ
 アンニオ:ジャニーヌ・ドゥ・ビク
 プブリオ:ウィラード・ホワイト

日本でも、このクルレンティス&ムジカエテルナのオペラは無理でも、コンサートを早く催すべきでしょう。日本の音楽界が世界の潮流から遅れてしまいます。

あっ、そう言えば、ピーター・セラーズの演出にはまったく触れませんでした。難民問題、世界融和、世界の指導者の問題など、喫緊の課題を満載した内容でした。賛否両論あるでしょう。


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       クルレンツィス,
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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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昨日投稿した記事の一部に誤りがありました。ドイツ騎士団の中庭はパスしないで、ちゃんと見ていました。追記・修正しました。申し訳ありません。

08/07 00:28 sarai

えりちゃさん、saraiです。お久しぶりです。

これは昨年の9月のウィーンですが、現在のコロナ禍では、古き良き日という風情ですね。もう、ポスト・コロナでは、行けたにし

07/20 12:41 sarai

Saraiさま、
お元気ですか?
新型コロナウィルス、自粛中。
このウィーンの散策を読んでいると、なんだか切なくて悲しくなってきました。
次はいつ行けるのかな、とか思う

07/20 05:08 えりちゃ

はじめまして。ブログ拝見させていただきました。私は、個人ブログを運営しているyuichironyjpと申します。フリーランサーとして活動しており、フリーランスで稼ぐ方法や、

06/14 23:46 Yuichironyjp

ありがたいコメント、嬉しいです。マーラーのファンのかたにこそ、読んでいただきたかったので、気持ちを共有できた思いです。自然の中にこそ、マーラーの音楽の本質はあり

04/23 23:45 sarai

マーラーの作品を聴きながら、ブログを読ませていただいています。
読みながら画像を見て、マーラーの過ごした風景に想いを馳せて楽しんでいます。
素敵なブログをありがと

04/23 21:47 

マーラー6番ですか・・・ハンマー打撃は勘弁してほしいものです。あったとしても、3回目の打撃だけは・・・

04/11 18:10 sarai
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