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オリジナルのモーツァルト:クラリネット五重奏曲って? ホープリッチ&ロンドン・ハイドン・カルテット@鶴見サルビアホール 2017.9.26

最近、ネットの記事でモーツァルトのクラリネット五重奏曲はオリジナルはクラリネットのために書かれたのではなく、バセット・クラリネット(通常のクラリネットよりも低域の音が出せるようにしたもので、バセット・ホルンと同じ低域が出せるものですが、モーツァルトの時代の楽器は残っていなくて、記録もなかったそうです。)のために書かれたということを知りました。現在はモーツァルトのクラリネット五重奏曲は通常のクラリネットで吹けるように楽譜が書き直されているんだそうです。ところが近年、その時代のバセット・クラリネットについての演奏会パンフレットが発見されて、そこにバセット・クラリネットのイラストが描かれていたそうです。それを参考にバセット・クラリネットを新たに復元したのが、今日の演奏者のエリック・ホープリッチです。詳しくはこの記事に書かれているので、ご参照ください。その記事で大いに興味をそそられました。なんといってもモーツァルトのクラリネット五重奏曲はsaraiが大変、愛好する曲ですからね。
すると、折も折、そのホープリッチが来日して、モーツァルトのクラリネット五重奏曲を演奏するということで、早速、コンサートのチケットを入手した次第です。

ホープリッチと一緒に演奏する弦楽四重奏団はロンドン・ハイドン・クァルテット。ピリオド楽器で演奏する団体で、ホープリッチと共演してモーツァルトのクラリネット五重奏曲のCDを録音もしています。これは興味津々です。

で、今日聴いた感想ですが、実に面白いものでした。これがオリジナルなのねって、深い思いに至ります。一言で言えば、渋い演奏ですね。オリジナルのバセット・クラリネットは渋いというか、おとなしい音色です。低域の音は深みがあります。高域は現代のクラリネットのような張りのある輝かしい音色ではなく、ふわっとした柔らかい音です。古き良き時代に思いを馳せながら聴きました。正直、音楽的には物足りないものもありました。一昨年聴いたヴィトマン&ハーゲン・カルテットの演奏には大変感動しました。そのときの記事はここです。その演奏と比較するのは酷でしょう。今日は音楽史的に貴重な演奏が聴けたのでよしとしましょう。アンコールは第2楽章でしたが、今日の演奏ではこの第2楽章がしみじみとしていて、一番、よかったと感じました。2度も聴けて、嬉しく思いました。

前半はハイドンの中期の弦楽四重奏曲が2曲。これは滅多に演奏されない曲でもちろん、初聴きです。ピリオド奏法で演奏されたので、ハイドンのいつもの明快で爽快な感じではなく、まるでバロック音楽でも聴いているような感じです。これまた、貴重な演奏を聴かせてもらいました。これはこれで、とても美しい音楽ですが、やはり、モダンな奏法のほうがすっきりと美しいかなと思います。

今日のプログラムは以下です。

  弦楽四重奏:ロンドン・ハイドン・クァルテット
   第1ヴァイオリン:キャサリン・マンソン
   第2ヴァイオリン:マイタル・グレヴィチ
   ヴィオラ:マイタル・グレヴィチ
   チェロ:ジョナサン・マンソン

  バセット・クラリネット:エリック・ホープリッチ


  ハイドン:弦楽四重奏曲 第37(45)番 Op.50-2
  ハイドン:弦楽四重奏曲 第47(59)番 Op.54-3

   《休憩》

  モーツァルト:クラリネット五重奏曲 K.581

   《アンコール》モーツァルト:クラリネット五重奏曲 K.581より第2楽章


最後に予習について触れておきましょう。

ハイドンの弦楽四重奏曲2曲は以下のCDで予習しました。

 エンジェルス四重奏団
 ロンドン・ハイドン・クァルテット

エンジェルス四重奏団は全集盤です。もちろん、モダンなカルテットで、とても美しい演奏です。ハイドンの素晴らしさに浸りきりました。
ロンドン・ハイドン・クァルテットは今日の演奏団体です。ハイぺリオンから順次、ハイドンのCDを出しています。演奏はもちろん、今日聴いた演奏とほぼ同じです。ピリオド奏法のハイドンはとても同じ曲とは思えないほど変貌します。古き良き時代、貴族たちの間で聴かれていた雰囲気を思い起こさせられます。

モーツァルトのクラリネット五重奏曲は以下のLP、CDで予習しました。

 ランスロ、バルヒェット四重奏団 LP
 ボスコフスキー、ウィーン八重奏団 LP
ホープリッチ、ロンドン・ハイドン・クァルテット

ランスロとバルヒェット四重奏団はsaraiがこの曲を初めて聴いた思い出の1枚。いつ聴いても青春の思い出と重なります。ランスロのクラリネットも素晴らしいし、それ以上にバルヒェットのヴァイオリンが見事です。でも、それ以上に素晴らしいのはボスコフスキーとウィーン八重奏団の1枚です。ウィーン・フィルのメンバーでないと出せないウィーン風の柔らかい響きにうっとりとします。これを聴くとこの曲がモーツァルトの最高傑作に思えてしまいます。クラリネットと弦楽が重なるところの美しさにはため息が出ます。
そして、ホープリッチとロンドン・ハイドン・クァルテットという今日の演奏メンバーのCD。感想は今日の演奏と同じです。やはり、バセット・クラリネットの高域の響きは物足りなさを感じます。


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じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

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07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

私も18年前にドレスデンでバームクーヘン食べました。マイセンではB級品でもコーヒー茶碗1客日本円で5万円程して庶民には高くて買えなかったですよ。奥様はもしかして◯良女

06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

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