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バロックの響き フォンス・ムジケ@横浜上大岡ひまわりの郷ホール 2017.10.8

普段はなかなか聴けないような本格的なバロック・アンサンブル。何と言っても、ソプラノのドロテー・ルクレールの歌唱が傑出していました。声質はスープレットで軽い感じなのですが、芯のしっかりした声で実にピュアーな響きです。音程が安定し、テクニックも見事です。とりわけ、ヘンデルのソロ・カンタータでのアジリタは素晴らしかったです。

前半のプログラムでは、冒頭のモンテヴェルディの短い宗教曲《主をほめ讃えよ》でうーんと唸らせられます。
続くメールラの《子守歌による宗教的カンツォネッタ「今や眠りの時」》 の静謐で祈りに満ちた歌唱にはうっとりとさせられます。
そして、前半のハイライトはヴェネチアの女流作曲家バルバラ・ストロッツィの3つの愛の歌です。まず、曲が素晴らしいです。今風に言えば、シンガーソングライターだった彼女の曲にはハートがあります。その曲をドロテー・ルクレールは歌い紡ぎます。時にアジリタを交えて、素晴らしい歌唱でした。

後半のプログラムはヘンデルのソロ・カンタータ《ルクレツィア「おお、永遠の神々よ」》が圧巻でした。古代ローマの共和制への移行の礎になった女性の鑑のようなルクレツィアの強くて一途な心情をドロテー・ルクレールは歌い上げました。中間部でのアジリタも見事でしたし、最後のアリオーソでは胸がジーンとしました。ヘンデルを堪能しました。

バロック・アンサンブルのフォンス・ムジケの素朴な響きも美しい伴奏になっていました。テオルボ(リュートみたいな楽器)やバロック・ギターを聴いたのも初めての経験です。とても音量が小さくて、現代の大きなホールの演奏には適しませんが、往時の宮中音楽を偲ばせるものです。

この日のプログラムは以下の内容です。

 バロック・アンサンブル フォンス・ムジケ
  ドロテー・ルクレール(ソプラノ) レア・ラヘル・バーダー(バロック・チェロ)
  プリスカ・ヴァイベル(バロック・ギター) ルカ・オベルティ(チェンバロ)
  今村泰典(テオルボ / リーダー)


 モンテヴェルディ:主をほめ讃えよ
 メールラ:子守歌による宗教的カンツォネッタ「今や眠りの時」
 ストロッツィ:恋するエラクレイト「恋する人たちよ聞いておくれ」
 J.S.バッハ:協奏曲 ニ長調 BWV972(原曲:ヴィヴァルディのヴァイオリン協奏曲 Op.3-9)(チェンバロ・ソロ)
 ストロッツィ:もしあなたが望むなら、私はそれで構わない
 ストロッツィ:何ができよう?

  《休憩》

 J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第3番~プレリュード、サラバンド、ブーレ(テオルボ・ソロ)
 ボノンチーニ:チェロと通奏低音のためのソナタ
 ヘンデル:カンタータ ルクレツィア「おお、永遠の神々よ」 HWV 145

  《アンコール》

    ヘンデル:歌劇『リナルド』より「私を泣かせてください」
    シャンソン 『枯葉』(ジョゼフ・コズマ作曲)

アンコールの「私を泣かせてください」は素晴らしい歌唱でうっとりとして聴き入るばかりでした。最後の『枯葉』もさすがにフランス人歌手らしく、見事な表現でした。



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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
たまには、旅ブログも書きます。

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金婚式、おめでとうございます!!!
大学入学直後からの長いお付き合い、素晴らしい伴侶に巡り逢われて、幸せな人生ですね!
京都には年に2回もお越しでも、青春を過ごし

10/07 08:57 堀内えり

 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

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07/08 15:53 じじい@

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久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

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06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

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