レオポルド美術館Leopold Museumで絵画鑑賞中です。クリムト、ゲルストルと見てきました。
次はオスカー・ココシュカです。ココシュカについては特に記述しなくてもいいでしょう。クリムト、シーレと並び、近代オーストリアを代表する画家です。
このレオポルド美術館で見逃せないのが、「トレクロッチ峠-ドロミテの風景」です。イタリアのアルプスに当時の恋人アルマ・マーラーと旅したときの作品です。この翌年には彼らは破局を迎え、感動的な傑作「風の花嫁」が生まれます。saraiがこの世でたった1枚の絵画を選べと言われたら、迷わずに選ぶのが「風の花嫁」です。この「風の花嫁」を見るために2度もわざわざバーゼルまで足を運びました。その「風の花嫁」の背景に描き込まれているのが、この「トレクロッチ峠-ドロミテの風景」の山岳です。

これは「ウィーン文学・音楽協会のヴェーデキント週間(1912年)」のためのポスターです。ヴェーデキント週間はドイツの劇作家フランク・ヴェーデキントのために催されたもののようです。フランク・ヴェーデキントはアルバン・ベルクの代表作のオペラ《ルル》の原作となった『ルル二部作』の『地霊』『パンドラの箱』を書いたことで知られています。ヴェーデキントはドイツ表現主義の先駆者、不条理演劇の先駆者として評価されているそうです。これを知って、saraiが以前、ネーデルランド・オペラで見たオペラ《ルル》の演出が表現主義的であったことに初めて合点がいきました。

これは「演劇《ピエタ》(1909)」のためのポスターです。

これは「ウィーン文学・音楽協会での講演(1911)」のためのポスターです。やたらに表現主義的なポスターを描きまくっていますね。

これは「運命の女神フォルトゥーナ」です。ローマ神話に登場する女神で、 運命の車輪を司り、人々の運命を決めると言われています。変わった題材を選びましたね。個人蔵の作品で、saraiは初めて見ました。

これは「自画像(顔を触れている片手)」です。第1次世界大戦での負傷とアルマとの破局の痛手にさいなまれている時期の作品です。何だか、ココシュカはいじけているように見えますね。そう言えば、先ほどの「運命の女神フォルトゥーナ」は1915年に描かれていますから、運命に弄ばれたような自分のことを揶揄しているのでしょうか。よく見ると、あの絵の背景はアルマとの思い出の地、「トレクロッチ峠-ドロミテの風景」の山岳のようにも見えますね。

これはアルフレド・ルドリッカAlfred Hrdlicka(1928-2009)が作成した「オスカー・ココシュカの肖像Ⅱ」です。結構、顔がいけてませんね。アルマの好みではなかったようです。でも、男は顔ではありませんよ。彼は大変な芸術家です。

あれっ、これでココシュカの作品は終わりです。次はまたクリムトの作品が並んでいます。
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