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抒情あふれるチャイコフスキー:アトリウム・カルテット@鶴見サルビアホール 2017.12.1

アトリウム・カルテットを聴くのは今回が3回目。最初に聴いたときにはもう一つの印象。2回目はショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲、全15曲を1日で弾くという離れ業のようなコンサート。これは素晴らしい演奏でした。とりわけ、後期の第13番以降が最高でした。第1ヴァイオリンの美しい響きとチェロの深い響きが心に残りました。この体験があったので、今日のコンサートにも大変、期待していました。しかし、何と、突然のお知らせで第1ヴァイオリンが変更とのこと。諸般の事情により、セルゲイ・マーロフからボリス・ブロフツィンに変更とのことです。しかし、そもそも、以前聴いたときの第1ヴァイオリンはセルゲイ・マーロフではなく、アレクセイ・ナウメンコでした。こんなに第1ヴァイオリンが交代するなんて、どうなっているんでしょう。弦楽四重奏団の顔とも言える第1ヴァイオリンですからね。今日の演奏に不安を覚えます。

前半のブラームスの弦楽四重奏曲 第1番は出だしが素晴らしく、とっても熱情的でロマンティックな響きに魅了されます。いったんは不安感が払拭されます。ただ、第1ヴァイオリンのフォルテのときの金属的な響きが気にはなりました。全体としては素晴らしい演奏です。しかし、中間の第2楽章、第3楽章が何となく、漫然とした演奏で心に響いてきません。4人のバランスも悪く、第1ヴァイオリンの音がうるさく響きます。まさに不安的中の感じです。それでも、第4楽章はよい出来でした。両端楽章がよい演奏で全体として、まあまあの感じですね。ちなみに第1ヴァイオリン以外の3人は以前からのメンバーです。チェロの女性奏者アンナ・ゴレロヴァは深くて美しい響きです。内声部の2人は以前もそうでしたが、技術以前の問題として、おとなしい弾き方です。もっと内声部の音を響かせてほしいところです。時折聴こえてくる響きは美しいので、もっと内声部を響かせてくれれば、このブラームスもずい分、印象が変わったと思います。

前半最後のヴィトマンの弦楽四重奏曲 第3番「狩の四重奏」は現代作曲家の作品ですが、これは4人のバランスも響きも素晴らしくて、圧倒的な演奏でした。曲はもちろん、ノントナールですが、裏に調性音楽が隠れているという風情の音楽で、聴きやすい現代音楽です。聴きやすいというのが最近の現代音楽の傾向なんでしょうか。ちなみにヴィトマンの作品を聴くのは初めてですが、彼のクラリネット演奏は聴いています。ハーゲン・カルテットと共演したモーツァルトとブラームスのクラリネット五重奏曲は最高に素晴らしい演奏でした。来年初めにも来日するので、聴きたかったのですが、ほかのコンサートと日程がバッティングしたのであきらめました。

後半のチャイコフスキーの弦楽四重奏曲 第1番は前半のブラームスとは一転して、4人の響きのバランスもよくなって、とても美しい演奏。いかにもチャイコフスキーらしいロシア風の抒情が満喫できました。とりわけ、長大な第1楽章は見事な演奏でした。そして、有名な第2楽章のアンダンテ・カンタービレはその美しさに陶然としてしまいます。名曲アワー的ではありますが、美しいものは美しいのですから、どっぷりと名曲に浸りきりました。第3楽章も切れがよく、アンサンブルもきれいで満足。第4楽章は勢いのあるフィナーレでチャイコフスキー節をたっぷりと味わいました。

こうなると、アンコールも名曲アワー。ボロディンの弦楽四重奏曲 第2番の第3楽章(ノクターン)です。甘いメロディーに魅了されました。なんの文句もありません。

今日のプログラムは以下です。

  弦楽四重奏:アトリウム・カルテット
   ボリス・ブロフツィン(セルゲイ・マーロフから変更) vn    アントン・イリューニン vn
   ドミトリー・ピツルコ va    アンナ・ゴレロヴァ vc

  ブラームス:弦楽四重奏曲 第1番 Op.51-1
  ヴィトマン:弦楽四重奏曲 第3番「狩の四重奏」

   《休憩》

  チャイコフスキー:弦楽四重奏曲 第1番 Op.11

   《アンコール》
    ボロディン:弦楽四重奏曲 第2番 ニ長調 より、第3楽章アンダンテ ノクターン


最後に予習について触れておきます。
1曲目のブラームスの弦楽四重奏曲第1番は力を入れて予習したかったのですが、時間がなく、以下の2枚だけ聴きました。

 エマーソン・カルテット
 ブダペスト四重奏団

ブダペスト四重奏団の見事な演奏に感動しました。ブッシュ四重奏団、アマデウス四重奏団、メロス・カルテット、ハーゲン・カルテットあたりも聴きたかったんですけどね。ブラームスの素晴らしい音楽にたっぷり浸れなくて残念です。

2曲目のヴィトマンは予習すべきCDを持っていません。

3曲目のチャイコフスキーの弦楽四重奏曲第1番は以下の2枚を聴きました。

 エマーソン・カルテット
 ボロディン弦楽四重奏団

ボロディン弦楽四重奏団の見事な演奏に魅了されました。なお、このところ、エマーソン・カルテットでどの曲も予習しているのは、彼らのCDボックスを購入したからです。

 エマーソン弦楽四重奏団 DG録音全集(51CD+ボーナスCD)

何とか、この51枚のCDを聴き尽そうと躍起になっているんです。録音の音質もよく、いずれの演奏驚くほど高い水準ばかりです。


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紅葉の京都:安楽寺から永観堂へ紅葉の道

今日から京都に旅しています。今年は春に桜見物し、醍醐の桜に感動しました。今回は紅葉見物です。
お昼に新幹線で京都に着き、満員のバスを一台やり過ごし、次のバスで岡崎のリゾートマンションに移動し、荷物を置きます。今日は岡崎の近場を周ります。まずは哲学の道にある紅葉の名所、安楽寺へ。お寺へ上る石段の上は散紅葉が積もっています。

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境内の大きな紅葉の木は見事に紅葉しています。

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お寺の本堂に上がって、東山を借景とした美しい景色に心が和まされます。紅葉交じりの風景がのどかです。

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紅葉が散り広がり、赤く染まった境内を巡ります。

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次は紅葉で彩られた哲学の道を歩きます。春は桜が満開だった哲学の道も今は秋が深まっています。

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哲学の道を抜けて、永観堂に向かいます。
永観堂はまさに紅葉で赤く染まっていました。素晴らしい風景が広がります。

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堂内に上がり、回廊を巡ります。周囲は紅葉と黄葉に包まれています。あまりの美しさにため息が出るほどです。

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お堂の甍に映える紅葉に感動の念を禁じ得ません。

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お堂の外に出ると、帰り道の石段の美しいこと。

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参道は紅葉の並木になっていて、紅葉とそれが散った真っ赤な地面が美しい景色を作っています。

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休憩処の緋もうせんと紅葉の赤がとてもマッチしています。saraiはここで甘味をいただきたかったのですが、配偶者に制止されて、残念な思いです。

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紅葉に周囲を彩られた池越しに丘の中腹に多宝塔が見えます。

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多宝塔まで上りたいところですが、時間も遅くなり、体力的にも厳しそうなので、ここからの眺めで満足します。

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紅葉に満足しながら帰途に着きます。また、紅葉の先に多宝塔が見えます。

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それにしても何と真っ赤な紅葉でしょう。

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山門の先にも美しい紅葉が続き、最後まで紅葉尽くしの永観堂でした。

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紅葉の永観堂、そして、京都の紅葉は永観堂という強いインパクトを与えてくれました。さらば、永観堂!

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明日も紅葉を求めて、京都を巡ります。



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順調に京都の紅葉を満喫中

今日は浄住寺と地蔵院、そして、宝厳院で京都の紅葉を満喫しました。詳細は明日、ご報告します。
明日は東福寺に行く予定です。
悪しからず・・・でも、プチはお願いしますね。


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紅葉の京都:浄住寺、地蔵院から宝巌院へ

今日もまた京都で紅葉見物です。光明院、東福寺、泉涌寺、雲龍院と周り、紅葉を満喫しました。
その話は明日以降報告予定です。

今回はまず、昨日の紅葉見物について、ご報告します。

昨日はまず、岡崎のロームシアター京都のお洒落なカフェ(ツタヤですけどね・・・)で朝食をいただきました。

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朝食を終えて、外に出ると、12月恒例の顔見世興行の歌舞伎で早くも人が賑わっています。いつもは南座で開催されていますが、今年は耐震工事のために南座が使えずに、今年はこのロームシアター京都で開催されるそうです。

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さて、この日の紅葉見物は西山の浄住寺に出かけます。バスで東山から西山まで延々と移動。鈴虫寺・苔寺の停留所に到着。苔寺の様子を伺うと、ここは1週間前までに予約しないと駄目だそうです。入り口はきっちりと閉まっています。では、浄住寺に行きましょう。途中、地蔵院があり、多くの人たちが写真を撮っています。ここには後で戻ってきましょう。浄住寺は紅葉のトンネルで有名だそうですが、行ってみると、どうやら、紅葉の盛りは過ぎたようで、もう一つの印象です。(後でお寺のかたに伺うと、今年は台風で葉っぱがかなり散ってしまい、例年のような美しい紅葉が見られなかったそうです。すべては自然のなせる業ですね。)

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門を入ると、石段の上りが続きます。その道の両側に紅葉のトンネルがあります。もう紅葉は名残に近いようですが、枯れた感じもいいかもしれません。

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お堂の近くには青空に赤く映える美しい紅葉が存在感を発揮しています。

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浄住寺の見学を切り上げて、先ほど気になった地蔵院に戻ります。門までの参道の紅葉が奇麗です。

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地蔵院の門の先には青めいた空気が漂う竹林が見えています。

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門を抜けると、道の両側に見事な竹林が続きます。薄碧色の深遠な雰囲気がなんとも言えませんね。

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一休さんが幼少期を過ごしたという地蔵院の方丈のお庭を拝見して(ここは撮影禁止)、帰りに門から出ようとすると、門から見える外の景色が額縁画のようにみえます。

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鈴虫寺ものぞいてみようと寄ってみると、大変な行列です。どうやら和尚の法話を聴くために並んでいるようです。もちろん、行列を外れて、このあたりの訪問はおしまいにします。始発のバスでゆっくりと座って、嵐山に向かいます。ずい分久しぶりの嵐山です。渡月橋前から桂川(上流は正確には大堰川)の風景を眺めます。今時はボート漕ぎの池のようになっているんですね。

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渡月橋を渡って、嵐山の賑わいの中に身を投じます。今日のお目当ては宝巌院です。
宝巌院の中には見事な紅葉のお庭が広がります。盛りは過ぎたとは言え、なかなかの美しさです。

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散った紅葉葉と苔が素晴らしくマッチしています。

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庭園を周遊し、出口に向かいます。出口付近には紅葉のトンネルがあります。紅葉がかなり散ってしまったのは残念ですが、最後の紅葉が秋の風情を残しています。

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これで今日の紅葉見物は終了。

今日の〆は南禅寺の順正で湯豆腐をいただきます。シンプルな料理ですが、京都の湯豆腐は何か心に訴えるものがあります。

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京都らしい味わいを存分に楽しみました。

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今日の東福寺訪問については明日以降にご報告します。



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紅葉の京都:光明院、東福寺の絶景

今日もまたまた京都で紅葉見物です。旧三井家下鴨別邸、下鴨神社、相国寺、圓徳院、高台寺と周り、紅葉を満喫しました。
その話は明日以降報告予定です。


今回はまず、昨日の紅葉見物について、ご報告します。

昨日はまず、朝食抜きで三条京阪駅から京阪電車に乗って、東福寺の最寄り駅の鳥羽街道駅に急行します。そこから急な坂道を上っていくと、東福寺の境外塔頭「光明院」の真っ赤な紅葉が見えてきます。こんなに真っ赤な紅葉があるんですね。

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お寺に入り、茶亭「羅月庵」の丸い窓越しの紅葉を楽しみます。窓、壁、障子に描かれた丸い円は、月を表すそうです。源光庵の丸い「悟りの窓」を思い出します。

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この光明院には素晴らしい枯山水庭園があります。作庭家、重森三玲による「波心庭」と呼ばれる庭園は、「光明」をテーマに、大海原を表す白砂と巨石が光のごとく林立する庭になっています。そのお庭には真っ赤な紅葉が彩を添えています。

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紅葉の色鮮やかな赤い色が目に染みます。

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お庭は色んなところから眺めることができます。これは本堂から眺めています。何とも美しい庭園ですね。

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と、本堂の中でふと、あるものが目に入ります。1枚のポスターです。JR東海 そうだ京都行こう!のポスターですね。キャッチコピーが素晴らしいです。
 「日本の「ガーデニング」です。どなたか、この美しさについて、論理的、科学的に説明していただけませんか。」

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禅の幽玄さに華麗な紅葉の赤がコーディネートされた日本の美は決して論理的な説明はできないでしょう。それを承知の上のキャッチコピーが憎いですね。ところで、このポスターの写真はどこで撮ったものでしょう。探してみましょう。これがsaraiの結論です。どうでしょう?

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光明院の紅葉の美しさに魅了されつつ、次の目的地、東福寺に向かいます。
すぐに到着。巨大な三門に迎えられます。

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さらに奥に進んでいくと、殿鐘楼/経蔵の先に紅葉の林が見えます。これは楽しみですね。

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通天橋の拝観券を求めて、渓谷「洗玉澗」の紅葉の中に足を踏み入れます。そうそう、この東福寺のJR東海 そうだ京都行こう!のポスターのキャッチコピーも素晴らしいです。
 「六百年前、桜を全部切りました。春より秋を選んだお寺です」

まずは紅葉林の中に通天橋に続く回廊が見えます。

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多くの人々で混み合う、この回廊を進んでいきます。

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通天橋の上に至ると、そこからは渓谷「洗玉澗」をうめ尽くす紅葉の海が目に入ります。圧巻です。JR東海 そうだ京都行こう!のキャッチコピーの通りですね。

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文字通り、痛点橋から身を乗り出して、絶景に見入ります。

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真っ赤な紅葉の間に渓谷「洗玉澗」に流れる三ノ橋川も見えます。

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反対側の山のほうを見ると、こちらは既に紅葉が少し散っているようですが、まだまだ美しさを残しています。

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しばらく、通天橋の絶景を楽しみます。



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有無を言わせぬ庄司紗矢香の空前絶後の凄演!ゲルギエフ&マリインスキー歌劇場管弦楽団@サントリーホール 2017.12.6

いやあ、凄い庄司紗矢香の演奏でした。第2楽章と第4楽章は爽快とも豪快とも言える演奏で素晴らしかったのですが、このあたりは今どきの腕達者なヴァイオリニストならば、それなりに説得力のある演奏をするのは当たり前かもしれません。本当に素晴らしかったのは第1楽章と第3楽章の深くて精神性の高い表現でした。第1楽章の冒頭の暗闇から浮かび上ってくるような響きですぐさま、魅了されます。そのまま、哲学的とも瞑想的とも言える見事な演奏が続き、その精神性の高さに強く心を揺さぶられます。いきなりの感動で涙が滲みます。第3楽章の主題の抒情的な表現にも強く心を打たれて、感動の涙が浮かびます。庄司紗矢香の魂の叫びが聞こえてくるような凄絶な演奏です。サポートするゲルギエフはショスタコーヴィチの演奏を得意にする巨匠ですから、いつものごとく、素晴らしい演奏です。ただ、いつものような暗黒のような暗さは影を潜めています。庄司沙矢香の陰りはあるけれど、光も差しているような表現に合わせているようです。ゲルギエフの引き出しの多い、こういうサポートも見事です。そして、ゲルギエフの精妙な指揮とそれにこたえるマリインスキー歌劇場管弦楽団の高いレベルのアンサンブルをベースに庄司沙矢香のヴァイオリンが冴え渡ります。その極限まで抑えたピアニッシモはまさに消え入るような響きでオーケストラの響きと溶け合います。saraiは幸い、正面の2列目で聴いていたので、その繊細なヴァイオリンの響きが聴き取れましたが、後ろのほうの席まで響きが伝わったのかは不明です。ある意味、室内楽的な表現の演奏だったので、こういう大ホールで全聴衆を対象にするには難しいのではないかと思えた表現でした。また、超感動的な演奏でしたが、まだ、のびしろも残しているようにも感じました。特に第3楽章の終盤に置かれたカデンツァの前半のピアノの部分の表現がつめきれていないと思えたところです。ここはもっと感動的に弾いてもらいたかったと感じました。カデンツァの後半の盛り上がりは素晴らしかったので、前半の表現が今ひとつだったのは残念なところでした。しかし、逆に言えば、まだ、庄司紗矢香はさらなる飛躍への道も残しているとも言えます。とは言え、今日の彼女の演奏はsaraiの音楽受容力を凌駕するような高みに達していて、その深い精神性を完全に理解したとは言い難いものでした。ですから、むしろ、彼女の表現を完全に理解するために精進すべきはsaraiのほうだとも痛感させられました。saraiをインスパイアするような庄司紗矢香の高い精神性の演奏に深く感動しました。今年、聴いた音楽で最高であることはもちろん、ここ数年来聴いたコンサートで最高の演奏でした。

そうそう、庄司紗矢香のアンコール曲は今日は普通のアンコール曲のバッハの無伴奏パルティータ。いつももっと凝った選曲ですが、今日はオーソドックスです。彼女の無伴奏は何度も聴いていますが(実演やCD)、結構、個性的な表現であまりsaraiの好みではありません。今日もいつものパターンの演奏です。でも、今日はこの個性的な表現にも慣れてきたのか、それほどの違和感はなく、すんなりと聴けます。こういう個性的な表現もありかなと少し納得しました。みんなスタンダードな演奏ばっかりだったら、つまらないかもしれません。庄司紗矢香のバッハも考え抜いた上での表現なのでしょう。現代は色んなバッハ演奏が許容される時代なので、彼女のバッハももっと聴き込んでみましょう。

後半のベルリオーズの幻想交響曲は前半の庄司紗矢香のショスタコーヴィチで精神的体力を使い果たしたので、しっかりと聴き取る自信はありませんでしたが、それは杞憂でした。まあ、何て素晴らしい演奏だったことでしょう。ゲルギエフの精妙な棒(実に小さなタクト!)のもと、マリインスキー歌劇場管弦楽団の妙なる響きがとっても魅惑的でした。交響曲と言うよりも歌のないオペラを聴いているようなものです。音色が鮮やかで、魅惑的なストーリー性に満ちています。何よりもゲルギエフがオーケストラを完全にコントロールしていて、彼の表現したい内容が完璧にオーケストラの音として実現できています。ゲルギエフがウィーン・フィルを振ったCDを予習しましたが、それは今日の演奏に比べると何と未成熟な演奏だったでしょう。オーケストラとしてはウィーン・フィルのほうが数段上でしょうが、ゲルギエフがその思いを表現するためにはこのマリインスキー歌劇場管弦楽団のほうが数段高いところにあります。第1楽章の美しい表現、第2楽章の舞踏会のシーンの魅惑的な表現、第3楽章の自在な表現、第4楽章の断頭台への行進の切れのある表現、そして、圧巻だったのは第5楽章。いつもはエピローグとして聴きますが、今日は堂々たるフィナーレとして聴けます。それほど、際立った演奏でした。

前半の冒頭のリムスキー=コルサコフの組曲「金鶏」もベルリオーズの幻想交響曲同様にゲルギエフの精妙な指揮が冴え渡っていました。安定して、美しい響きの弦をベースに木管の自在な表現を引き出していたのはゲルギエフの力でしょう。これはまさにオペラから抜粋した組曲ですから、オペラを聴いているような感覚だったのは当然のことです。この曲を聴いていて、何か心にひっかかるところがあります。そのうちに思い当りました。木管の自在な表現はまるでストラヴィンスキーの《火の鳥》のようです。オペラというよりも、この組曲はそのままバレエ音楽になりそうです。リムスキー=コルサコフの美しい響きはそのまま、ストラヴィンスキーに引き継がれたのでしょうか。そんなことを思いながら、素晴らしい演奏を聴いていました。

そして、なんと、アンコール曲はそのストラヴィンスキーの《火の鳥》でした。もちろん、最高に素晴らしい演奏でした。

今日のプログラムは以下です。

  指揮:ワレリー・ゲルギエフ
  ヴァイオリン:庄司紗矢香
  管弦楽:マリインスキー歌劇場管弦楽団

  リムスキー=コルサコフ:組曲「金鶏」
  ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番 イ短調 Op.77
   《アンコール》 J. S. バッハ:無伴奏パルティータ 第2番より「サラバンド」 BWV1004

   《休憩》

  ベルリオーズ:幻想交響曲 Op.14

   《アンコール》
    ストラヴィンスキー:バレエ組曲「火の鳥」から子守唄~終曲


ショスタコーヴィチのヴァイオリン協奏曲第1番の予習は以下のCDだけを聴きました。

 バティアシュヴィリ、サローネン指揮バイエルン放送交響楽団

バティアシュヴィリのヴァイオリンがとても素晴らしかったのですが、今日の庄司紗矢香はそんなレベルの演奏ではありませんでした。庄司紗矢香がゲルギエフと再録音すれば、素晴らしいCDになるでしょう。でも、現役のヴァイオリニストはCDよりもやはり実演を聴くのが一番ですね。所詮、CDは過去の記録に過ぎません。



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       庄司紗矢香,  

クララ・ハスキルの日:仮想コンサートを聴く

今日、12月7日はsaraiの最愛のピアニスト、クララ・ハスキルが57年前に亡くなった日です。今年もこの日が巡ってきました。

現在、クララ・ハスキルのモーツァルトの全録音を聴いています。ピアノ協奏曲はほぼ聴き終えました。彼女の作品別の録音は以下のとおりです。


ピアノ協奏曲第9番変ホ長調『ジュノーム』 K.271

(1)...52/05/23、シュトゥットガルト カール・シューリヒト、シュトゥットガルト放送交響楽団(Hanssler Swr Music)
(2)...53/06/19、プラド パブロ・カザルス、プラド音楽祭管弦楽団(THARA)
(3)...54/03/01、ハーグ オイゲン・ヨッフム、バイエルン放送交響楽団(THARA)
(4)...54/06/11、ケルン オットー・アッカーマン、ケルン放送(WDR)交響楽団(MEDICI MASTERS、MUSIC&ARTS)
(5)...54/10/08-10、ウィーン パウル・ザッハー、ウィーン交響楽団(Philips)
(6)...55/06/08、ローザンヌ イーゴル・マルケヴィッチ、フランス国立管弦楽団(INA)


ピアノ協奏曲第10番変ホ長調 K.365
(1)...54/10/18、チューリッヒ ゲザ・アンダ(第2ピアノ)、パウル・ブルクハルト、ベロミュンスタースタジオ管弦楽団(THARA)
(2)...56/04/24-26、ロンドン(EMIアビー・ロード・スタジオ) ゲザ・アンダ(第2ピアノ)、アルチェロ・ガリエーラ、フィルハーモニア管弦楽団(EMI)
(3)...57/08/04、ザルツブルク音楽祭(モーツァルテウム) ゲザ・アンダ(第2ピアノ)、ベルンハルト・パウムガルトナー、カメラータ・ザルツブルク(Orfeo)


ピアノ協奏曲第13番ハ長調 K.415

(1)...53/03/30、ベルリン フェレンツ・フリッチャイ、RIAS交響楽団(Memories、URANIA)
(2)...60/05/05-06、ルツェルン(ルーカス教会ゲマインデザール) ルドルフ・バウムガルトナー、ルツェルン祝祭管弦楽団(DGG)


ピアノ協奏曲第19番ヘ長調 K.459

(1)...50/09/23-24、ヴィンタートゥール ヘンリー・スヴォボダ、ヴィンタートゥール交響楽団(Westminster)
(2)...52/05/30、ケルン フェレンツ・フリッチャイ、ケルン放送(WDR)交響楽団(MEDICI MASTERS)
(3)...53/01/20、ベルリン フェレンツ・フリッチャイ、RIAS交響楽団(THARA,AUDITE)
(4)...55/09/21-22、ベルリン フェレンツ・フリッチャイ、ベルリン・フィル(DGG)
(5)...56/07/04、ルドヴィクスブルク カール・シューリヒト、シュトゥットガルト放送交響楽団(Hanssler Swr Music)
(6)...56/09/06、ブザンソン(市立劇場) イェジー・カトレヴィッツ、パリ音楽院管弦楽団(THARA,INA)
(7)...57/10/04、ローザンヌ ヴィクトル・デザルツェンス、ローザンヌ室内管弦楽団(Claves)
(8)...59/02/19、パリ(シャンゼリゼ劇場) コンスタン・シルヴェストリ、フランス国立管弦楽団(INA、SPECTRUM国内盤)


ピアノ協奏曲第20番ニ短調 K.466

(1)...48/07/25、エキサン・プロヴァンス エルネスト・ブール、パリ音楽院管弦楽団(INA) 
(2)...50/09/23-24、ヴィンタートゥール ヘンリー・スヴォボダ、ヴィンタートゥール交響楽団(Westminster)
(3)...52/12/19、チューリッヒ ハンス・シュミット・イッセルシュテット、ベロミュンスタースタジオ管弦楽団(THARA)
(4)...54/01/10、ベルリン(オイローパ宮) フェレンツ・フリッチャイ、RIAS交響楽団(Audite)
(5)...54/01/11-12、ベルリン(イエス・キリスト教会) フェレンツ・フリッチャイ、RIAS交響楽団(DGG)
(6)...54/10/11、ウィーン ベルンハルト・パウムガルトナー、ウィーン交響楽団(Philips)
(7)...56/01/28、ザルツブルグ ヘルベルト・フォン・カラヤン、フィルハーモニア管弦楽団(ORF)
(8)...56/11/06、ボストン シャルル・ミュンシュ、ボストン交響楽団(MUSIC&ARTS)
(9)...57/09/27、モントルー音楽祭 パウル・ヒンデミット、フランス国立管弦楽団(INA)
(10)...59/09/08、ルツェルン オットー・クレンペラー、フィルハーモニア管弦楽団(URANIA)
(11)...60/11/14-18、パリ イーゴル・マルケヴィッチ、コンセール・ラムルー管弦楽団(Philips)


ピアノ協奏曲第23番イ長調 K.488

(1)...53/06/25、ルガーノ オトマール・ヌシオ、スイス・イタリア語放送管弦楽団(Ermitage)
(2)...54/10/08-10、ウィーン パウル・ザッハー、ウィーン交響楽団(Philips)
(3)...59/06/29、ディボンヌ・レ・バン音楽祭 ピエール・コロンボ、ジュネーブ室内管弦楽団(INA) **未入手**
(4)...59/09/15、モントルー シャルル・ミュンシュ、パリ国立管弦楽団(MUSIC&ARTS)


ピアノ協奏曲第24番ハ短調 K.491

(1)...55/12/08、パリ(シャンゼリゼ劇場) アンドレ・クリュイタンス、フランス国立管弦楽団(INA)
(2)...56/06/25、ローザンヌ ヴィクトル・デザルツェンス、ローザンヌ室内管弦楽団(Claves)
(3)...60/11/14-18、パリ イーゴル・マルケヴィッチ、コンセール・ラムルー管弦楽団(Philips)


ピアノ協奏曲第27番変ロ長調 K.595

(1)...56/09/09、モントルー オットー・クレンペラー、ケルン放送(WDR)交響楽団(MUSIC&ARTS)
(2)...57/05/07-09、ミュンヘン(ヘラクレスザール) フェレンツ・フリッチャイ、バイエルン国立管弦楽団(DGG)LP


ピアノと管弦楽のためのロンド イ長調 K.386

(1)...54/10/08-10、ウィーン ベルンハルト・パウムガルトナー、ウィーン交響楽団(Philips)


以上ですが、ピアノ協奏曲第23番 K.488の(3)だけ、未入手です。ずい分探しましたが、どうしても見つかりません。所在をご存じのかたはご一報ください。

ハスキルが全曲を録音しなかったのは残念です(ラファエル・クーベリックの指揮で全曲録音を検討していましたが、所属レコード会社の違い(ハスキルはフィリップス、クーベリックはデッカ)で実現しませんでした。実現していれば、どんなに素晴らしかったでしょう。クーベリックが後にクリフォード・カーゾンと共演した素晴らしい録音を聴いて、その思いは募ります。)。 しかし、残された8曲の録音を聴けるだけでも幸せなのかもしれません。とりわけ、第20番の11録音、第19番の8録音、第9番の6録音はハスキルが得意にした曲で、充実した演奏が聴けます。第23番、第24番、第27番も最高の名演が残されています。

今日はこれまで聴いたうちで第9番から第19番までの録音の中で、選りすぐりのCDを聴くことにします。以下のプログラムの仮想コンサートをsaraiのオーディオルームで開催することにします。

 ・ピアノ協奏曲第13番ハ長調 K.415
   ルドルフ・バウムガルトナー、ルツェルン祝祭管弦楽団
 ・ピアノ・ソナタ第2番ヘ長調 K.280
 ・「ああ、ママに言うわ」による12の変奏曲ハ長調(キラキラ星変奏曲) K.265

 ・ピアノ協奏曲第19番ヘ長調 K.459
   コンスタン・シルヴェストリ、フランス国立管弦楽団


最初の3曲は以下のCDです。

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 1960年5月5日-6日、ルツェルン(ルーカス教会ゲマインデザール)でのセッション録音 DG ステレオ録音
 併録はクララ・ハスキル、フェレンツ・フリッチャイ指揮RIAS交響楽団で
  モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番ニ短調 K.466
   1954年1月11日-12日、ベルリン(イエス・キリスト教会)でのセッション録音 モノラル

最後の1曲は以下のCDです。

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 1959年2月19日、パリ(シャンゼリゼ劇場)でのライヴ録音 INA原盤によるSPECTRUM国内盤(平林直哉氏によるリマスター)
 併録はコンスタン・シルヴェストリ指揮フランス国立管弦楽団で
  ドヴォルザーク:交響曲第9番 ホ短調「新世界」Op.95
  ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
  ラヴェル:ボレロ

ピアノ協奏曲第13番ハ長調 K.415は最晩年の素晴らしい演奏です。音質も最高です。なんと言ってもステレオ録音ですからね。ハスキルの格調が高く、澄み切ったピアノの音色は天使が奏でるような響きです。バウムガルトナー指揮のルツェルン祝祭管弦楽団(実際は弦楽セクションのみ)もハスキルにぴったりの透き通るような響きの演奏でサポートします。
同時に録音されたピアノ・ソナタ第2番ヘ長調 K.280もハスキルのピアノの響きが見事です。とりわけ、短調の第2楽章の美しさには魅了されるだけです。
「ああ、ママに言うわ」による12の変奏曲ハ長調(キラキラ星変奏曲) K.265はもちろんシンプルな曲ですが、ハスキルが弾くと格調が高くなります。

ピアノ協奏曲第19番ヘ長調 K.459はハスキルが亡くなる前の年の録音ですが、同曲の最後の録音で、最高の名演です。破格の演奏に耳を奪われます。終楽章の切れのよい高い技巧の演奏にはただただ聴き惚れるだけです。録音も臨場感のある素晴らしい音質です。平林直哉氏によるリマスターも見事です。

いずれもsaraiの愛聴盤となっています。

ハスキルの素晴らしいピアノが聴けて、幸せな「ハスキルの日」になりました。

なお、ピアノ協奏曲第19番までの全録音の感想記事は別稿でアップします。



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       ハスキル,  

クララ・ハスキルの全録音を聴く:モーツァルト編(1)

クララ・ハスキルの全録音を聴くという大企画です。もっとも全録音のCDまたはLPが入手できればの話です。
モーツァルトの作品の録音はほぼ収集できました。ハスキルのディスコグラフィーは以下のCDに付属しています。J.スピケの労作です。

 Clara Haskil - The Unpublished Archives TAHRA TAH389/390
  モーツァルト:ピアノ協奏曲第19番ヘ長調 K.459
   53/01/20、ベルリン フェレンツ・フリッチャイ、RIAS交響楽団
  モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番ニ短調 K.466
   52/12/19、チューリッヒ ハンス・シュミット・イッセルシュテット、ベロミュンスタースタジオ管弦楽団
  等


今回はモーツァルトのピアノ協奏曲第9番から第19番までの全録音について聴いた感想をまとめます。


ピアノ協奏曲第9番変ホ長調『ジュノーム』 K.271

(1)...52/05/23、シュトゥットガルト カール・シューリヒト、シュトゥットガルト放送交響楽団(Hanssler Swr Music)
 第1楽章の冒頭、ハスキルのピアノはあれって言う感じの響きですが、中盤から持ち直し、第2楽章は満足の響き。第3楽章の終盤に至って、素晴らし過ぎる演奏に変貌し、圧巻のフィナーレ。シューリヒト指揮のシュトゥットガルト放送交響楽団は終始、かっちりした演奏で見事。ハスキルのピアノの響き・演奏の充実に伴って、素晴らしいサポートを見せます。
  
(2)...53/06/19、プラド パブロ・カザルス、プラド音楽祭管弦楽団(THARA)
 凄い演奏!! これでピアノの録音がもう少し、よければ最高だったのにと思います。カザルスはモーツァルトの交響曲の名演奏を彷彿とさせる躍動感と陰影に富む素晴らしい演奏です。一方、ハスキルはそのカザルスに触発されたかのごとく、のびやかな演奏。第2楽章の深い表現には魅了されるのみです。圧巻なのは第3楽章。素晴らしいテクニックを駆使して猛烈な速さでパーフェクトに弾き切ります。まさにモーツァルトの音楽の真髄を極める名演。

(3)...54/03/01、ハーグ オイゲン・ヨッフム、バイエルン放送交響楽団(THARA)
 全編、沈潜した気分の哀しみに満ちた演奏。特に第2楽章はまるでノクターンを聴いているような気分になります。ヨッフム指揮のバイエルン放送交響楽団は素晴らしい響きの演奏でハスキルのピアノにぴったりと合わせています。流石です。 

(4)...54/06/11、ケルン オットー・アッカーマン、ケルン放送(WDR)交響楽団(MEDICI MASTERS、MUSIC&ARTS)
 音質が素晴らしいです。ハスキルのピアノの芯のしっかりした響きがよく聴こえます。音楽的には第3楽章の迫力が圧巻。わくわくしてしまいます。第1楽章は少し落ち着きに欠けるのが残念。

(5)...54/10/08-10、ウィーン パウル・ザッハー、ウィーン交響楽団(Philips)
 素晴らしい演奏です。ザッハー指揮ウィーン交響楽団のウィーン風のオーケストラの演奏に乗って、ハスキルのピアノが優雅に響きます。第1楽章、第2楽章はその落ち着いた美しい響きにうっとりとします。ハスキルの最高の演奏です。第3楽章は少し勢いに欠けるのが残念です。セッション録音のためでしょう。それでも中間部の緩徐パートの美しい演奏からフィナーレにかけての演奏は素晴らしいです。音質はピアノの高音が少し割れ気味なのが残念です。

(6)...55/06/08、ローザンヌ イーゴル・マルケヴィッチ、フランス国立管弦楽団(INA)
 暗く沈んだ、しかし、気品に満ちた演奏。音質は普通。ハスキルのピアノを中心にマルケヴィッチはサポートしています。


ピアノ協奏曲第10番変ホ長調 K.365

(1)...54/10/18、チューリッヒ ゲザ・アンダ(第2ピアノ)、パウル・ブルクハルト、ベロミュンスタースタジオ管弦楽団(THARA)
 これは素晴らしい演奏。音質も最高です。ハスキルのピアノの響きが素晴らしく、アンダとの息もぴったり。オーケストラも美しい演奏です。難点を言えば、モーツァルトの曲自体がもうひとつかな。

(2)...56/04/24-26、ロンドン(EMIアビー・ロード・スタジオ) ゲザ・アンダ(第2ピアノ)、アルチェロ・ガリエーラ、フィルハーモニア管弦楽団(EMI)
 録音が最高です。モーツァルトのセレナード的な響きが堪能できます。オーケストラの高域の伸びにも魅了されます。ハスキルのピアノは素晴らしく、また、アンダもハスキルのピアノと区別ができないほどの出来のよさ。ただ、ハスキルらしいピアノの粒立ちの響きは意外に聴き取れません。音楽的にレベルが高い演奏で、ハスキルのピアノうんぬんという聴き方はふさわしくないのかもしれません。この作品がとっても名曲に思えてしまうような素晴らしい演奏と録音です。スタジオ録音のよいところがいっぱい詰まったCDです。ステレオ録音に聴こえますが、そうなのでしょうか?

(3)...57/08/04、ザルツブルク音楽祭(モーツァルテウム) ゲザ・アンダ(第2ピアノ)、ベルンハルト・パウムガルトナー、カメラータ・ザルツブルク(Orfeo)
 ライヴ録音なので、帯域が狭く感じられますが、聴きやすい音質ではあります。さすが、パウムガルトナーと唸らされるようなモーツァルトの音楽に仕上がっています。ハスキルの粒立ちのよい響きが聴けて、ハスキルのファンにはたまらない演奏です。アンダも次第にハスキルに同化して、見事な響きになっていきます。ハスキルの魔力のようなものが感じられます。ハスキルとアンダが共演した3つの演奏、それぞれ、素晴らしいです。総合力では56年のスタジオ録音。ハスキルのピアノが楽しめるのは57年のザルツブルクのライヴ録音というところです。


ピアノ協奏曲第13番ハ長調 K.415

(1)...53/03/30、ベルリン フェレンツ・フリッチャイ、RIAS交響楽団(Memories、URANIA)
 これは間違いなく名演です。フリッチャイの指揮するオーケストラも素晴らしく歌っているし、ハスキルのピアノの流麗なこと、とってもチャーミングです。録音はぎりぎりセーフかな。ときどき、オーケストラがシャーと変な音をたてますが、素晴らしい演奏の前ではあまり気になりません。第3楽章の第2主題?のハスキルの究極の演奏にはうっとりするのみです。両端楽章は圧倒的な美しさです。

(2)...60/05/05-06、ルツェルン ルドルフ・バウムガルトナー、ルツェルン祝祭管弦楽団(DGG)カデンツァ:ニキタ・マガロフ
 あまりの録音のよさにびっくり。それにステレオ録音なので、いつ録音したのか調べると、最晩年で亡くなる半年前。ハスキルのピアノの音がこんなに鮮明に聴けるのは感動ものです。やはり、彼女のピアノは音楽の微妙な陰影まで表現していて、凄いピアニストだったことを再確認。第2楽章も素晴らしく繊細な表現で見事な演奏です。これは録音がよくなければ分からなかったところです。ハスキルのピアノがこんなに明確に聴けて、嬉しいばかりです。何て素晴らしい演奏なんでしょう。バウムガルトナー指揮のルツェルン祝祭管弦楽団も美しい響きで、最高のモーツァルトの音楽がここにあります。同じCDに入っているモーツァルトのピアノ・ソナタ第2番K.280、キラキラ星変奏曲 K.265も会心の演奏です。ハスキルの素晴らしさを聴くのはこのCDしかないとも思えてしまいます。


ピアノ協奏曲第19番ヘ長調 K.459

(1)...50/09/23-24、ヴィンタートゥール ヘンリー・スヴォボダ、ヴィンタートゥール交響楽団(Westminster)
 音が良いというLPレコードで聴きましたが、それ以前に録音時のピアノの響きがオーケストラに比べて、バランスが悪く(ピアノの音が小さい)、ハスキルのピアノの響きを楽しめません。迫力のある演奏なのに残念です。オーケストラは意外に音がよく、演奏もよかったので、これでピアノの音がちゃんと録れていればなあと思ってしまいます。

(2)...52/05/30、ケルン フェレンツ・フリッチャイ、ケルン放送(WDR)交響楽団(MEDICI MASTERS)
 ハスキルのピアノの音が楽しめます。ハスキルの演奏が素晴らしいのは当然ですが、フリッチャイの指揮が素晴らしいこと。第3楽章の対位法的な展開の鮮やかさ、見事です。ハスキルのピアノ演奏もいかに技術が優れているか、驚くほど素晴らしいです。技術と音楽性の高さでモーツァルトの真髄を完璧に表現した演奏です。 

(3)...53/01/20、ベルリン フェレンツ・フリッチャイ、RIAS交響楽団(THARA,AUDITE)
 ハスキルの自然に内面から滲み出るようなリリシズムに感銘を受けます。それを可能にしたのは素晴らしいスタジオ録音とAuditeのリマスターです。ハスキルのピアノの響きを余すところなく味わえます。圧巻は第3楽章の対位法的なオーケストラ演奏に続く部分。ハスキルの見事なテクニックの演奏で圧倒的なフィナーレです。
 
(4)...55/09/21-22、ベルリン フェレンツ・フリッチャイ、ベルリン・フィル(DGG)
 とても素晴らしい演奏です。ベルリン・フィルの美音に拮抗するハスキルの美音は素晴らしいの一語です。録音もとてもよいです。それにしても、ハスキルに寄り添うフリッチャイの指揮はいいですね。最高の相性です。

(5)...56/07/04、ルドヴィクスブルク カール・シューリヒト、シュトゥットガルト放送交響楽団(Hanssler Swr Music)
 シューリヒトとハスキル、二人の素晴らしい芸術家がこれぞ協奏曲という見事な音楽を繰り広げてくれる最高の演奏。冒頭はシューリヒトのペースにハスキルが合わせたような感じですが、第1楽章の中盤からはハスキルらしい個性を発揮して、ピアノとオーケストラのバランスが絶妙です。それが最高に感じられるのが第3楽章。あり得ないような協奏が続きます。ハスキルの指が完璧にまわり切るのが見事です。 

(6)...56/09/06、ブザンソン(市立劇場) イェジー・カトレヴィッツ、パリ音楽院管弦楽団(THARA,INA)
 冒頭、カトレヴィッツ指揮のパリ音楽院管弦楽団は結構、雑な演奏に聴こえますが、かえって、そのあとのハスキルのピアノの精気に満ちた演奏が引き立ってきます。全楽章、ハスキルの生き生きしたピアノの響きが楽しく聴ける演奏です。最初は雑に思えたオーケストラも勢いに満ちた演奏に変わります。終わってみれば、とても気持ちのよい演奏でした。録音状態はあまりよくありませんが、音楽を楽しむことに無理がある録音ではありません。

(7)...57/10/04、ローザンヌ ヴィクトル・デザルツェンス、ローザンヌ室内管弦楽団(Claves)
 録音は素晴らしいです。デザルツェンス指揮のオーケストラもなかなかの好演です。ハスキルはもちろん、いつものような素晴らしい演奏ですが、こういう良い録音で聴くと、弾いているピアノの響きが鄙びた音であることに気が付きます。多分、フランス製の少々古いピアノのような気がしますがどうでしょうか。スタインウェイのような華やかさがありませんが、こういう響きも興味深いです。ハスキルの純度の高い高音域の響きとはちょっと異なるので、ハスキルらしくない感じがします。何度か聴き込むとこういう響きもよいかもしれませんけどね。

(8)...59/02/19、パリ(シャンゼリゼ劇場) コンスタン・シルヴェストリ、フランス国立管弦楽団(INA、SPECTRUM国内盤)
 これは最高の1枚です。迂闊なことにこれがステレオ録音だと知らずに聴き始めて、冒頭の聴衆の空気感からステレオ録音と知り、びっくり。音質もこれ以上ないほどの素晴らしさ。平林直哉氏の最高の仕事に感謝です。シルヴェストリ指揮のフランス国立管弦楽団の演奏はモーツァルトにしては少々、硬い印象ではありますが、立派な演奏には違いありません。そして、ハスキルのピアノをこんなに明確に聴いたのは初めての体験です。やはり、純度の高い響きで格調高い演奏です。ハスキル・ファンとしては感涙ものと言える素晴らしい演奏と録音です。ハスキルを代表する1枚と言えます。どうして、世の中でもっと評判にならないのか、とっても不思議です。第3楽章のハスキルの妙技、そして、それに触発されるかのように白熱するオーケストラ。これぞ、協奏曲と言える演奏に酔いしれるのみです。フィナーレで大変、感動しました。会場から沸き起こる拍手と一緒に思わず拍手してしまいました。まさにその場でライヴで聴いた思いになったからです。きっと、これからも繰り返し聴く愛聴盤になるでしょう。



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       ハスキル,  

紅葉の京都:東福寺の紅葉を満喫

2017年12月4日月曜日@京都/2回目

東福寺の通天橋の上から渓谷「洗玉澗」をうめ尽くす紅葉の海を眺めているところです。通天橋の先のほうの平地は散り積もった紅葉葉で赤く染まっています。

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後ろを振り返ると、紅葉越しに本堂の大きな建物が見えています。

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目の前の紅葉は真っ赤に染まっています。

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紅葉と散紅葉であたりは美しい世界になっています。

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これがここまで歩いてきた通天橋です。多くの観光客が絶景を見入っていますね。

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通天橋の回廊は右に折れて、山の斜面沿いに上っていきます。少し上がったところからの紅葉の美しさは何とも素晴らしい。

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本堂は紅葉林の向こうに見えています。

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通天橋から「洗玉澗」の渓谷に下りていきます。渓谷に流れる三ノ橋川から、紅葉林の先の通天橋を見上げます。

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通天橋とは反対の方向を眺めると、渓谷にかかる臥雲橋が見えています。

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美しい紅葉林を抜けて、出口に向かいます。たっぷりと紅葉を満喫しました。

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東福寺を出て、今度は泉涌寺に向かいます。東福寺の塀に沿って歩いていくと、先ほど渓谷から見上げた臥雲橋にさしかかります。臥雲橋は東福寺の塀の外にあるんですね。と言うことは拝観料は無料ですね。

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拝観料は無料でも、眺めは絶景です。「洗玉澗」の渓谷を埋め尽くす紅葉の先に通天橋が見えます。

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ぶらぶら歩いていくと、神社の境内に茶店が出ています。そう言えば、まだ、朝食なしです。何かいただきましょう。

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甘いものが多いのですが、うどんと炊き込みご飯のセットを朝食代わりに配偶者とシェアしていただきます。

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茶店を出て、再び、歩き始めます。おっ、あるお寺の門の前で足が止まります。なんと明暗寺です。と言っても普通の人はピンと来ませんね。saraiは学生時代、尺八の都山流のクラブに所属していました。明暗寺は普化宗明暗尺八の総本山です。時代劇によく出てくる虚無僧の尺八です。虚無僧が「明暗」という文字を掲げた偈箱を着けていますが、あれはこの明暗寺のことを指しています。明暗寺ってこんなところにあったんですね。もっとも後で調べてみると、江戸時代からここにあったのではなくて、明治時代に東福寺の塔頭である善慧院に復興されたそうです。

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泉涌寺、雲龍院のほうに歩いて向かいますが、30分近くかかりそうです。ゆっくり行きましょう。



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テーマ : 京都
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紅葉の京都:泉涌寺、雲龍院の紅葉は?

2017年12月4日月曜日@京都/3回目

東福寺から泉涌寺、雲龍院のほうに向かっているところです。途中、家並みの中の路地先に石段が見えます。そして、その石段の上が真っ赤に燃えています。

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石段を上ると、勝林寺という名前の門札がかかっています。境内には真っ赤な紅葉が見えます。

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本堂の前に紅葉の木が並びます。綺麗ですね。

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本堂前から、庇の先に赤い紅葉が空に映えています。

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さて、また歩き始めます。今度は東福僧堂というところに綺麗な紅葉の並木があります。時、まさに紅葉、紅葉・・・ですね。

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延々と歩き、山道を上ると、ようやく、泉涌寺に到着。御寺(みてら)と書いてあります。このお寺には歴代の天皇が葬られており、御陵もまわりに点在しています。ですから、御寺と呼ばれています。

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門を入り、広い坂道を下っていくと、美しい建物が見えてきます。仏殿です。

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仏殿の前に立ちます。仏殿は寛文3年(1668年)に徳川家綱により再建されたもので、重要文化財に指定されています。

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境内の奥に御座所があります。この御座所の庭園の紅葉が綺麗な筈です。御座所の奥には歴代天皇の位牌を祀る霊明殿も見えています。

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本坊の受付に行くと、受付の方から正直に庭園の紅葉は終わったと告げられます。余計な拝観料を払うのはやめましょう。ごめんなさい。
次はお隣にある雲龍院を訪れます。閑静な雰囲気です。観光客で賑わっていた東福寺とは好対照です。

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本堂の龍華殿にあがり、まずは書院の間にある悟りの窓を拝見します。

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次いで、蓮華の間の障子窓を拝見します。指定の位置から見ると、椿、灯篭、紅葉、松が見えます。

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庭園にはもちろん、紅葉がありますが、中央には枯れ木が厳しく立っていて、異様な存在感を発揮しています。

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霊明殿の石庭の中央には徳川慶喜寄進の灯篭が立ち、周りには菊の御紋が描かれています。

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泉涌寺のまわりの山内には寺院や神社が点在しています。これは来迎院。大石内蔵助ゆかりの茶庭があります。

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境内には美しい紅葉があります。

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来迎院を出て、山内を歩きますが、紅葉が綺麗です。

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今熊野観音寺の前にかかる赤い欄干の鳥居橋のまわりには、色づいた紅葉が美しいです。

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これで今日の紅葉見物は終了。泉涌寺道を歩いて、東福寺駅に向かいます。
駅前の京寿司の老舗、いづ松に寄っていきます。店内は落ち着いた雰囲気です。

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いただいたのは京寿司。箱寿司、巻寿司も美味しかったのですが、とりわけ、鯖寿司が絶品です。

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今度は絶対、この鯖寿司(棒寿司)をいただきたいものです。
夜のライトアップで高台寺を訪れるつもりでしたが、生憎の小雨模様。夜はゆっくりと休養です。

明日は旧三井家下鴨別邸、下鴨神社、相国寺を訪れる予定です。



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ジョナサン・ノットが力量を示した《ドン・ジョヴァンニ》@ミューザ川崎シンフォニーホール 2017.12.10

モーツァルトのオペラのなかで今一つ、理解が難しいのがこの《ドン・ジョヴァンニ》です。今回の公演とそれに先立つ予習でようやく、分かりつつあるような感覚になってきました。ドン・ジョヴァンニの地獄落ちのシーンのデモーニッシュな音楽とモーツァルトらしい平明さを湛えた音楽のギャップをどう理解するかが難しさの根幹のような気がします。そのあたりがようやくすんなりと自然に聴けるようになってきました。また、フィガロでは赦しのテーマが根幹を成していますが、一方、この《ドン・ジョヴァンニ》では赦されないストーリーにはなってはいますが、ドンナ・エルヴィーラが意外に重要な役どころとして、赦そうという努力はしていることに気が付きました。赦そうとするが赦されない、その先にデモーニッシュな音楽展開があるというのが、フィガロから派生した、あるいは発展したオペラ、《ドン・ジョヴァンニ》ではないかというのが現在のsaraiの理解です。キーとなる役がドンナ・エルヴィーラであり、フィガロにおけるコンテッサ(伯爵夫人)に対応します。フィガロでは赦された伯爵でしたが、ドン・ジョヴァンニは赦されない。モーツァルトはフィガロでは素晴らしい赦しの音楽で感動を呼び起こしますが、このドン・ジョヴァンニでは、厳しい音楽でドン・ジョヴァンニを罰します。そこがデモーニッシュとなり、感動ではなく、深い奈落の底の厳しさで我々、聴衆(人間)を律します。人間の罪を赦すか、赦さないかで、こうも音楽の質が変わるのか・・・そこにモーツァルトの天才を見ました。saraiは赦しの音楽が好きですが、甘いばかりがよい訳ではないことも理解できます。モーツァルト自身もそのあたりで苦しみ抜いた上での音楽なのかもしれません。そして、《フィガロの結婚》と《ドン・ジョヴァンニ》をアウフヘーベンした先に登場するのがレクイエムというのは余りにも浅い理解でしょうか。

ということを今日の《ドン・ジョヴァンニ》を聴きながら、つらつら考えてしまいました。その発端は突然、代役で登場したドンナ・エルヴィーラ役のミヒャエラ・ゼーリンガーの歌唱が第1幕と第2幕でがらっと変わったからです。第1幕では、厳しい歌唱でドン・ジョヴァンニを責めつけます。第2楽章に入ると、歌唱がソフトで柔らかになり、響きが美しくなります。ドン・ジョヴァンニを慰撫するみたいな感じです。歌手本人の意図か、指揮者のジョナサン・ノットの指示かは分かりませんが、saraiとしては、ジョナサン・ノットの解釈であったということに1票です。ただ、それだけのことでこの《ドン・ジョヴァンニ》の構図が大きく変わります。まあ、いずれにせよ、昨年のコジ・ファン・トゥッテ同様、ジョナサン・ノットの指揮は見事でした。特にモーツァルトの平明な音楽をいきいきと透明に表現したのはさすがでした。もっともクルレンツィスのような超天才の表現には誰も及びませんが、それがすべてではないでしょうから、一般的には、とっても素晴らしいモーツァルトでした。

歌手の中では、これも代役として登場したドン・ジョヴァンニ役のマーク・ストーンの歌唱の素晴らしかったこと。とりわけ、甘い歌声が役にぴったりでした。ドン・ジョヴァンニのセレナードではうっとりと聴き入りました。そして、ほとんど感動の思いに至りました。また、ドンナ・アンナ役のローラ・エイキンの素晴らしい歌声にも感銘を覚えました。予習で聴いたエリーザベト・グリュンマーに優るとも劣らない感じと言ったら言い過ぎでしょうか。美しい声の響きが脳裏から離れません。近年では、ドンナ・アンナ役ではアンナ・ネトレプコが圧倒的に美しい歌唱で魅了してくれましたが、ローラ・エイキンはまた違ったタイプでスタンダードな歌唱です。そうそう、ザルツブルク音楽祭でもドン・オッターヴィオ役を歌っているアンドリュー・ステープルズはさすがの美声でした。これも文句なし。ミヒャエル・シャーデに準じるような歌手ですね。バロックものを歌わせたい感じです。レポレッロ役のシェンヤンも深い響きの歌唱を聴かせてくれました。

キャストは以下です。

  指揮&ハンマーフリューゲル:ジョナサン・ノット
  演出監修:原 純

  ドン・ジョヴァンニ:マーク・ストーン
  騎士長:リアン・リ
  レポレッロ:シェンヤン
  ドンナ・アンナ:ローラ・エイキン
  ドン・オッターヴィオ:アンドリュー・ステープルズ
  ドンナ・エルヴィーラ:ミヒャエラ・ゼーリンガー
  マゼット:クレシミル・ストラジャナッツ
  ツェルリーナ:カロリーナ・ウルリヒ
  合唱:新国立劇場合唱団
  管弦楽:東京交響楽団

予習したのは以下の2つです。

 2014年ザルツブルク音楽祭 NHK放映
  2014年8月 モーツァルト劇場(ザルツブルク)

 <歌手>
 ドン・ジョヴァンニ:イルデブランド・ダルカンジェロ
 騎士長:トマシュ・コニェチュニ
 ドンナ・アンナ:レネケ・ルイテン
 ドン・オッターヴィオ:アンドルー・ステープルズ
 ドンナ・エルヴィーラ:アネット・フリッチュ
 レポレルロ:ルーカ・ピサローニ
 ツェルリーナ:ヴァレンティナ・ナフォルニツァ
 マゼット:アレッシオ・アルドゥイーニ

 <合 唱> ウィーン・フィルハーモニア合唱団
 <管弦楽> ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
 <指 揮> クリストフ・エッシェンバッハ
 <演 出> スヴェン・エリック・ベヒトルフ


 1954年ザルツブルク音楽祭
  ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ウィーン・フィル
  1954年8月6日、於フェルゼンライトシューレ

 ドン・ジョヴァンニ:チェーザレ・シエピ
 騎士長:デジュー・エルンスター
 ドンナ・アンナ:エリーザベト・グリュンマー
 ドン・オッターヴィオ:アントン・デルモータ
 ドンナ・エルヴィーラ:エリーザベト・シュヴァルツコプフ
 レポレルロ:オットー・エーデルマン
 ツェルリーナ:エルナ・ベルガー
 マゼット:ヴァルター・ベリー

いずれもザルツブルク音楽祭の記録ですが、最新のハイヴィジョン映像と古いモノラルのCDという違いがあります。ちょうど60年を隔てていますね。何と言っても、古い録音のほうはフルトヴェングラーの指揮で素晴らしいです。また、当時を代表する素晴らしい歌手たちの歌唱も見事です。とりわけ、チェーザレ・シエピは凄いですね。グリュンマーとシュヴァルツコプフと言う2大ソプラノの競演も聴きものです。エーデルマンは貫禄の歌唱です。でも主役はフルトヴェングラーの指揮したウィーン・フィルの美しくて、深みのある響き。臨場感もあるよい録音です。



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       ジョナサン・ノット,  

フルシャのマルティヌーは最終章へ 東京都交響楽団@東京文化会館 2017.12.11


意外に今日のプログラムで一番素晴らしかった演奏は最初のドヴォルザークの序曲《オセロ》でした。フルシャの指揮がビシビシ決まっていました。冒頭の何とも言えない静寂感から魅了されます。題材はシェークスピアですが、音楽はボヘミアの雰囲気がたっぷりです。静寂感をベースに時として、熱い高揚もあります。初めて聴く曲ですが、ドヴォルザークの魅力満載です。それをフルシャが見事に描き切りました。

のっけから素晴らしい演奏で、続くマルティヌーの交響曲第2番への期待が膨らみます。フルシャが首席客演指揮者に就任以来、マルティヌーの全交響曲の演奏に取り組んできましたが、今日演奏する第2番と週末に演奏する第1番でいよいよ完結です。saraiは最初に演奏した第3番だけを聴き逃しました。そのときはフルシャを聴いたことがなくて、これほどの指揮者だとは思っていなかったんです。まあ、その第3番以外は全部聴けそうなので、満足ではあります。
今日の第2番の演奏ですが、まあ、フルシャならば、これくらいは演奏するだろうという感じの安定した演奏でした。凄い!というレベルの演奏ではありませんでしたが、第2番が持つ新古典的な簡潔さを十分に表現した切れ味のよい演奏でした。特に弦のパートの細かな動きの表現がうまく生かされていたのが印象的でした。弦のレベルが高い都響の特性を十分に把握したフルシャの指揮は冴えていました。

後半のブラームスの交響曲第2番は悪くはありませんでしたが、フルシャにしては期待外れの感でした。細かいことを言えば、きりがありませんが、要はブラームスのロマンの香り、響きを十分に表現できていなかったということです。フルシャもブラームスに関しては課題があるようです。週末にはブラームスの交響曲第1番を聴きますが、今日の感じではあまり期待できないような気がします。今後、バンベルク交響楽団の首席指揮者として、ドイツ音楽も腕を磨いてほしいですね。

今日のプログラムは以下のとおりでした。

  指揮:ヤクブ・フルシャ
  管弦楽:東京都交響楽団

  ドヴォルザーク:序曲《オセロ》 Op.93 B.174
  マルティヌー:交響曲第2番 H.295

   《休憩》

  ブラームス:交響曲第2番 ニ長調Op.73

予習について触れておきましょう。
まず、ドヴォルザークの序曲《オセロ》は以下のCDを聴きました。

 イシュトヴァン・ケルテス指揮ロンドン交響楽団

さすがにドヴォルザークを得意にするケルテス、ツボにはまった演奏です。

次にマルティヌーの交響曲第2番は以下のCDを聴きました。

 ヴァーツラフ・ノイマン指揮チェコ・フィル
 ネーメ・ヤルヴィ指揮バンベルク交響楽団

いずれも交響曲全集盤からの演奏でマルティヌーを代表する立派な演奏ですが、意外なことにチェコ人のノイマンよりもネーメ・ヤルヴィの演奏のほうがマルティヌーの真髄に迫る演奏でした。マルティヌーがすべての交響曲をアメリカで作曲したことで、チェコの民族的な要素だけでなく、インターナショナルな要素を併せ持っていることと関係しているのかもしれません。

最後にブラームスの交響曲第2番は今更、予習するほどのことはありませんが、ほぼ、楽しみとして以下ののCDを聴きました。

 フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィル 1952年5月7日 ミュンヘン、ドイツ博物館コングレスザールでのライヴ録音
   MEMBRANの107枚のCDから
 ベルナルト・ハイティンク指揮ロンドン交響楽団(全集盤)

ハイティンクはブラームスらしさが横溢した演奏で大いに楽しめました。そもそも、この曲が作曲されたペルチャッハ(ヴェルター湖畔)で聴く予定だった1枚です。悲運にもPCとともにIPODが盗まれたために聴けなかったものを聴き、心の溜飲を収めました。フルトヴェングラーは大いに期待して聴きましたが、演奏・録音ともにブラームスの1番ほどの出来に思えず、ちょっと落胆。



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聴き応え十分のマーラー:藤村実穂子、マイスター&読売日本交響楽団@サントリーホール 2017.12.12

素晴らしいマーラーの交響曲第3番の第6楽章を聴き終え、心に沸き起こったのは・・・マーラーはええなあ!! なぜか、関西弁になります(笑い)。決して、パーフェクトなマーラー演奏ではありませんでしたが、第6楽章のしみじみとした表現には感銘を受けました。アンサンブルの仕上げはもう一つでも演奏者の心は集中していて、最上のマーラーになっていました。弦楽セクションはさすがに実力があるので、第6楽章の名演奏につながっていました。それ以外については正直、マーラー演奏のためのアンサンブルをもっと磨いてほしいところです。
ところで、メゾソプラノの藤村実穂子は別次元の素晴らしさでした。彼女は日本でよりも、海外で聴くことのほうが多くて、いつも世界の一流の音楽家の中で輝いているのを見ていましたから、まあ、当然と言えば、当然ですね。それにしてもとても美しい声の響きでした。いわゆる美声です。

今日のプログラムは以下です。

  指揮:コルネリウス・マイスター
  メゾ・ソプラノ:藤村 実穂子
  女声合唱:新国立劇場合唱団(合唱指揮=三澤 洋史)
  児童合唱:TOKYO FM少年合唱団、フレーベル少年合唱団
  管弦楽:読売日本交響楽団 長原 幸太(コンサートマスター)

  マーラー:交響曲 第3番 ニ短調

このところ、コンサートが続くので、なかなか、予習の時間が取れず、慌てて、昨日と今日、以下のCDを聴きました。

 1967年 ラファエル・クーベリック指揮バイエルン放送交響楽団・合唱団、テルツ少年合唱団、マージョリー・トーマス ミュンヘン、ヘルクレスザールでのライヴ録音
 1969年 ジョン・バルビローリ指揮ベルリン・フィル、聖ヘトヴィヒ大聖堂聖歌隊、ルクレティア・ウェスト ベルリン・フィルハーモニーでのライヴ録音

実は昨日、クーベリックのCDを聴き、第6楽章以外は不満だったので、急遽、今日、無理をして、バルビローリのCDを聴いたんです。そのバルビローリの演奏が凄かった! バルビローリのマーラーと言えば、同じベルリン・フィルとの第9番が超有名ですが、あれは録音もいいし、演奏も最高です。ですが、それって、たまたま、名演奏だったのかなって今まで思っていました。この第3番を聴くまでは・・・。この第3番は全然、録音は良くなくて、本当にステレオなのって思いますが、演奏が個性的で素晴らしいです。暗い情念を湛えて、極力、派手な演出を避けた、厳しい精神性の音楽です。ともすれば退屈になりがちの長大な第1楽章に深く魅了されます。その勢いのまま、第2楽章、第3楽章と進み、声楽の入る第4楽章、第5楽章は雰囲気が変わりますが、第6楽章の途轍もない美しさは第9番のアダージョと同様か、それ以上です。CDを聴いていて、深く感動しました。バルビローリを甘くみていました。ほかのマーラーも聴かないといけませんね。とりあえず、ハレ管弦楽団との第3番も聴いてみましょう。

今回は実演で聴いた演奏以上にバルビローリの名演奏が聴けたことのほうが重要でした。


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気宇壮大なロマンのメンデルスゾーン:クァルテット・アロド@鶴見サルビアホール 2017.12.13

今日で今年の室内楽のコンサートもおしまい。それにふさわしい素晴らしい演奏でした。今日演奏したクァルテット・アロドは若手のグループでもあり、初聴きなのであまり期待もせずに出かけましたが、特に後半のメンデルスゾーンの弦楽四重奏曲 第4番の溌剌として、壮大なロマンに満ちた演奏に大きな感銘を受けました。変な言い方になりますが、恐いもの知らずのような、思いっ切りのよい演奏が素晴らしかったんです。メンデルスゾーンの若さにあふれたロマンティックな音楽とクァルテット・アロドのチャレンジャブルな演奏が見事にマッチして、素晴らしい結果になりました。とりわけ、両端の第1楽章と第4楽章のメロディアスな音楽と激しい動きのアクティヴな音楽が交錯する様は感動的なものでした。第3楽章の抒情的な音楽も素晴らしかったですけどね。

実は前半のプログラムのモーツァルトの弦楽四重奏曲 第15番の第1楽章を聴き終ったところでは、がっかりしていたんです。響きも音楽の流れも少しもよくはなくて、今日はひどいコンサートになりそうだと思っていたんです。それが緩徐楽章の第2楽章にはいると、響きがよくなり、あれっという感じ。第1楽章は軽快さが足りなかったのかなと首を捻っていたら、第3楽章以降は響きも音楽の動きも格段によくなります。どうやら、この聴衆100人という世界でも稀有な室内楽専用ホールの空気をつかめていなかったのが、第2楽章からは徐々に空気感をつかめ出したようです。まだ、響かせ過ぎの感もありますが、若さと勢いという感じでどんどん飛ばしていきます。それはそれでいいでしょう。それが素晴らしい結果になったのが、ベンジャミン・アタイールの《弦楽四重奏のための「アスル(午後の礼拝)」》です。現代音楽にしては古典的とも思えるようなトナーリティの感じられる作品ですが、ともかく、ハイテンションな躍動に満ちた熱い音楽です。バルトークの攻撃的な面をさらに先鋭化したようなアクティヴさに圧倒されます。こういう音楽を聴くと気持ちが前向きになりますね。これに変拍子でも加えれば、室内楽のストラヴィンスキーみたいなものです。もちろん、激しいパートばかりの音楽ではありませんが、初聴きなので、熱いパートに耳が向いてしまいます。大変な力演に高揚感を抱いてしまいました。

そうそう、アンコール曲はメンデルスゾーンのカプリッチョだったんですが、チェロのサミー・ラシドがたどたどしい日本語!で曲名の紹介をしてくれました。これは大変、素晴らしい演奏でした。今日、最高の演奏だったように思えます。これが今年聴く最後の室内楽でしたが、大変満足しました。

今日のプログラムは以下です。

  弦楽四重奏:クァルテット・アロド
    ジョルダン・ヴィクトリア vn   アレクサンドル・ヴ vn
    コレンティン・アパレイリー va   サミー・ラシド vc

   モーツァルト: 弦楽四重奏曲 第15番 K.421
   B.アタイール: 弦楽四重奏のための「アスル(午後の礼拝)」

   《休憩》

  メンデルスゾーン: 弦楽四重奏曲 第4番 Op.44-2

   《アンコール》
    メンデルスゾーン:「弦楽四重奏のための4つの小品」より、第3曲 カプリッチョ ホ短調 Op.81-3


最後に予習について触れておきます。
1曲目のモーツァルトの弦楽四重奏曲 第15番は先日、聴いたばかりで、そのときに予習したのは以下の3枚です。

 ウィーン・コンツェルトハウス弦楽四重奏団 1952年録音
 アマデウス弦楽四重奏団(全集盤) 1966年録音
 エマーソン・カルテット 1991年録音

今日はそのときに聴けなかった以下の2枚を聴きました。

 ハーゲン・カルテット(全集盤) 1995年録音
 ジュリアード弦楽四重奏団 1962年録音

ハーゲン・カルテットは一昨年、来日演奏でモーツァルト・ツィクルスを聴かせてくれましたが、CDはそのときほどの素晴らしさではありません。再録音が望まれます。一方、ジュリアード弦楽四重奏団は実に端正な演奏で、これぞモーツァルトという感じです。ウィーン・コンツェルトハウス弦楽四重奏団の名演にも迫る演奏です。これはハイドン・セットをすべて聴かないといけませんね。

2曲目のアタイールは予習すべきCDを持っていません。

3曲目のメンデルスゾーンの弦楽四重奏曲 第4番は以下を聴きました。

 エマーソン・カルテット(全集盤)

エマーソン・カルテットのCDボックス(51CD+ボーナスCD)の中に含まれています。他の演奏と同様にこのメンデルスゾーンも素晴らしく充実した演奏です。

これで今年もコンサートは3回を残すのみとなりました。今年もよく聴いた!!



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紅葉の京都:旧三井家下鴨別邸

2017年12月5日火曜日@京都/1回目

今日もまた京都で紅葉見物です。しかし、紅葉見物も今日でおしまい。最終日ですから、たっぷりと楽しみましょう。旧三井家下鴨別邸、下鴨神社、相国寺と周り、紅葉を満喫する予定です。
まずはバスで出町柳に向かいます。出町柳から鴨川はすぐです。ここは加茂川と高野川が合流して鴨川になるポイントです。高野川にかかる河合橋を渡って、下鴨に向かいます。高野川にはサギの群れが見えます。今や京都の町にサギが大繁殖しているようです。

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下鴨神社の鳥居の先に旧三井家下鴨別邸があるようです。

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このあたりには広大な糺の森が広がります。

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ほどなく、旧三井家下鴨別邸の前に到着。

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この旧三井家下鴨別邸は昨年から公開されるようになった歴史的建造物です。ですから、訪れるのは初めてです。名前からも分かるように旧三井家下鴨別邸は、豪商の旧三井家の別邸で、大正14年に木屋町にあった三井家の木屋町別邸が主屋として移築され、玄関棟が増築されました。戦後は京都家庭裁判所の所長宿舎として平成19年まで使用されましたが、平成23年に重要文化財に指定されて、建築当時の様子を復元した後、公開されるようになりました。

外観は古い日本建築の佇まいを残しています。

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入館料を払って、建物に入ります。まずはスタッフの方から、丁寧な建物の説明があります。
この主棟は三井家11家の共有の別邸として三井北家(総領家)第10代の三井八郎右衞門高棟(たかみね)によって建築されました。今でも建築当時のままに保存がなされているそうです。そういう説明を聞きながら、部屋の障子の窓越しにお庭の様子を窺います。ちなみにこの窓ガラスは古い大正ガラスだそうで、歪みがあります。写真では気が付かないでしょう。

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説明が終わり、早速、2階に上がって、お庭を見下ろして、拝見します。通常非公開の主屋二階の座敷は今日までが秋の特別公開なんです。それが目的で今日出かけてきました。
紅葉は終わりかけのようです。ひょうたんの形の池がお庭の真ん中にありますね。

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今いるのは主棟の2階の座敷ですが、先ほど入ってきた玄関棟が見えています。

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紅葉は終わりかけですが、銀杏の黄葉が綺麗です。

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座敷の外廊下の手すり越しに紅葉が見えます。

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下に降りて、お庭を歩きましょう。簡素ですが、綺麗なお庭です。

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見上げるように高い木も並んでいます。

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紅葉も近くで見れば、まだ、真っ赤な葉っぱも残っています。

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その紅葉と瓢箪池の先に3階建ての主棟と茶室が見えます。これがここのベストショットですね。なお、3階の望楼は来年2月の冬の特別公開で初めて披露されるそうです。

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広いお庭を散策しながら出口のほうに向かいます。

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これが最初に入った玄関棟です。上が半分切れてしまいましたが、鬼瓦は三井家の家紋の「四ツ目結(ゆい)」です。

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次は下鴨神社に向かいます。



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紅葉の京都:下鴨神社~相国寺

2017年12月5日火曜日@京都/2回目

京都での紅葉見物、旧三井家下鴨別邸の見学を終えて、次はすぐ近くの下鴨神社に向かいます。下鴨神社の参道にはいると、そこは糺の森。優しい色の紅葉に彩られています。

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糺の森は森閑とした雰囲気に包まれています。

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広大な糺の森には下鴨神社の摂社も点在します。中でも河合神社の末社には日本サッカー協会のシンボルの八咫烏を祀られていることが有名です。八咫烏は蹴鞠の祖神だそうです。美人と縁結びでも有名で訪れる人も多いようです。

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境内には、《方丈記》を記した鴨長明の方丈の庵があります。鴨長明はこの河合神社の神官家に生まれたそうです。方丈とは一丈四方の小さな組み立て式の庵で、鴨長明が公職を50歳で退いた後、大原から転々と所在を変えた際に移動に便利な〈住処〉として仕上げたものです。最終的には伏見に居を定めますが、今は出自のこの神社に方丈が置かれているようです。

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再び、糺の森の参道を歩きます。淡い色の紅葉がなんとも美しいです。

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参道脇で紅葉の古木が見事な姿を見せています。

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参道を歩いていくと、参道と並行して流れている泉川のほとりに人だかりがしています。どうやら、ここはフォトスポットのようです。とても美しい風景に魅了されます。

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ようやく、下鴨神社の朱塗りの鳥居の前に到着。以前、下鴨神社を訪れた際は糺の森のあまりの広さに参拝を断念し、遠くから手を合わせるだけに留めましたから、ここまで到達したのは初めてです。

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朱塗りの楼門を抜けて、無事に参拝を終えました。何かご利益があるかな・・・。

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下鴨神社の参拝を終えて、次は相国寺に向かいます。下鴨神社を出たところに京都ならではのグルメスポットがあります。加茂みたらし茶屋です。この茶屋の看板グルメの京みたらし団子をいただきます。

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わらび餅も一緒にいただきます。京都の味です。

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加茂みたらし茶屋を出て、賀茂川にかかる出雲路橋を渡ります。長閑な風景が広がります。

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寺町通りを歩いていき、20分ほどでようやく、相国寺の側面の入り口に到着。

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相国寺の広大な境内を歩いていきます。ユニークなデザインの鐘楼があります。

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この鐘楼の前で和服姿の美人のお嬢さん2人組が写真を取り合っています。京都で着物姿と言えば、ほとんど外国人です。日本人は珍しいですね。と、彼女たちから声を掛けられます。スマホで写真を撮ってほしいそうです。もちろん、構いませんよ。何だかんだ、彼女たちと話し込んでしまいました。まあ、たわいもない話ですが、恋愛・結婚相談みたいな話に発展します。今の時代、若い人たちの結婚って、なかなか難しいようです。連れだって、相国寺の境内を歩き始めますが、本堂への参道前で彼女たちと別れます。若い美人たちとの楽しいひとときでした。
さて、本堂のほうに向かって歩いていくと、変わったデザインの白壁の建物があります。香積院と称する相国寺庫裏です。

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秋の特別公開中なので、中を拝観させてもらいます。まず、現存する最古の法堂に入り、天井に描かれた狩野光信作の蟠龍図を拝見します。特定の場所で手を叩くと音が反響する鳴き龍として有名です。確かに音がかすかに反響しました。次は方丈の建物とお庭を拝見します。方丈は表方丈・裏方丈を合わせて、六間168畳の大建築です。方丈前庭は白砂の枯山水庭園で、借景に法堂が見えています。

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お庭には可愛い紅葉があります。

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裏方丈庭園です。庭園の中央が谷になっています。石の川を表現しています。可憐な紅葉が彩を添えています。散った紅葉葉が石の川を流れている様は情緒がありますね。

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方丈から開山堂に移動します。石庭の紅葉は終わっていますが、石庭の静謐な美しさには心を洗われます。

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相国寺の特別公開を堪能しました。かって、雪舟や若冲も見た風景なんですね。灌漑深いものがあります。今出川通り側の総門から出ます。総門を出たところで振り返ります。

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同志社大学の古めかしいレンガ造りの建物の間を歩いて、今出川通りに出ると、向かいには京都御所の今出川御門があります。御所の中の色づいた銀杏が見えます。

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御所は春に来たばかりなので、ここで失礼します。この後の予定は未定ですが、昨夜ライトアップを見に行く筈だった高台寺に行くことを配偶者に提案すると彼女も同意してくれます。同志社前のバス停からバスで高台寺近くのバス停に移動しましょう。最後の紅葉見物です。



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フルシャ、有終の美!!東京都交響楽団@サントリーホール 2017.12.16

首席客演指揮者として、今日がフルシャの最終公演。最後の最後にブラームスで圧巻の演奏を聴かせてくれました。つい5日前聴いたブラームスの交響曲第2番では不満が大きかったので、今日のブラームスの交響曲第1番も期待できないだろうと辛口の感想を書いたばかりですが、恥ずかしながら、前言撤回です。と言うか、今日は予想が覆される素晴らしい演奏で嬉しい誤算です。今日のブラームスは何も言うことがありません。まさにブラームスそのものの響き、表現で、ブラームスのロマンあふれる世界が横溢していました。先日、ガッティ率いるロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の演奏で素晴らしいブラームスの交響曲第1番を聴いたばかりですが、今日のフルシャ&東京都交響楽団は甲乙つけがたしの演奏です。ガッティ&ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団は迫力ある低弦を中心に分厚い響きのブラームス、フルシャ&東京都交響楽団は煌くような高弦を中心に美しい響きのブラームス、どちらも魅力たっぷりでした。
今日のブラームスの交響曲第1番は冒頭のトゥッティから、その響きの豊かさで魅了されます。そのまま惹き付けられて、緊張感の高い演奏に集中します。どこがどうと言うわけではありませんが、ブラームスの作り上げたロマンの世界が見事に表現されています。随分、リハーサルを重ねたのではないかという成熟度の高さです。ロマンの香り高い演奏は第2楽章、第3楽章と続いていきます。saraiの集中力はどんどん高まっていきます。そして、第4楽章の後半に至って、それは頂点に達します。何という素晴らしさでしょう。コーダでは感動してしまいました。これでフルシャと都響の関係を閉じてしまうのは惜し過ぎる!! なぜ、インバルの後任の首席指揮者にフルシャを据えなかったんでしょう。悔みの言葉ばかりが出てしまうほど、素晴らしいブラームスでした。

前半のマルティヌーの交響曲第1番は第1楽章はマルティヌーらしい響きにはもう一つに思えましたが、第2楽章以降は素晴らしく、とりわけ、第4楽章の弦の切れのよい響きに魅了されました。5日前の第2番の演奏に比べて、まったく素晴らしい出来栄えでした。それにしても、都響でマルティヌーの全交響曲を演奏してくれたのは快挙です。ドヴォルザークの全交響曲にも是非、取り組んでほしかったですね。来シーズン、彼の出番がないのは、やはり、バンベルク交響楽団のポストに就いたからでしょうか。残念で寂しいですね。saraiが都響の定期会員を止めた一因でもあります。来年のフルシャ率いるバンベルク交響楽団の来日公演のチケットはしっかりと購入しました。

2010年以来、7年間にわたる首席客演指揮者の労、ごくろうさまでした。ほぼ、主要な公演は聴かせてもらいました。マルティヌーの交響曲と今日のブラームスの交響曲第1番は忘れ得ぬコンサートになりそうです。

今日のプログラムは以下のとおりでした。

  指揮:ヤクブ・フルシャ
  管弦楽:東京都交響楽団

  マルティヌー:交響曲第1番 H.289

   《休憩》

  ブラームス:交響曲第1番 ハ短調 Op.68

最後に予習について触れておきましょう。
まず、マルティヌーの交響曲第1番は以下のCDを聴きました。

 ヴァーツラフ・ノイマン指揮チェコ・フィル
 ネーメ・ヤルヴィ指揮バンベルク交響楽団

ヴァーツラフ・ノイマンとチェコ・フィルが作り上げたマルティヌーの響きは圧倒的でした。ようやく、マルティヌーの何たるかが分かったような気がします。混乱したような響きをバランスよく演奏することで有り得ないような魅惑の音響世界が生まれてくる・・・それがマルティヌーの素晴らしさだと気が付きました。ノイマンの天才的な指揮能力に驚嘆しました。それに比べると、ネーメ・ヤルヴィはもう一つかも。

最後にブラームスの交響曲第1番ですが、今年聴くのは3回目。今更、予習するほどのことはありませんが、以下のCDを聴きました。

 ジョン・バルビローリ指揮ウィーン・フィル 1966~67年

悠々として決して焦ることのない大人の演奏です。saraiは好きです。吉田秀和氏はどうして、これがダメなんでしょう。もう一度、生き返って、聴きなおしてもらいたいものです。ブラームスは自然に演奏すればいいという代表のような演奏です。変にこねくり回すよりもよっぽどいいと思います。

で、まだ、余裕があったので、またまた、フルトヴェングラーも聴いてみました。前回と同じ演奏です。

 フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィル 1952年2月10日 ベルリン、ティタニア・パラストでのライヴ録音

前回はMEMBRANの107枚のCDボックスからの1枚、それ以前はDGのORIGINAL MASTERSシリーズからの1枚を聴きました。MEMBRANのリマスターは素晴らしかったんですが、今回はフランス・フルトヴェングラー協会とドイツ・フルトヴェングラー協会の共同制作盤です。これまた素晴らしいリマスターです。またまた、印象が変わりました。温室的には最高です。音楽的には、MEMBRANといい勝負です。
最後にフルトヴェングラーの伝説の録音を聴きました。

 フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィル 1945年1月23日 ベルリン、ライヴ、但し第4楽章のみ

第2次世界大戦の末期、空襲の続くベルリンで行われたフルトヴェングラー指揮ベルリン・フィルの最後のコンサートの記録です。演奏者も聴衆も命がけです。そこまでして音楽を聴くのかという凄絶なコンサートの記録であり、音楽の究極とも言えるものです。録音技師がこれを後世に記録として残そうとした執念も垣間見えます。音楽ファンは一度は耳にしておかないといけませんね。この演奏についての感想はsaraiはノーコメントです。いつかは感想を語れることもあるかもしれませんが・・・。



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紅葉の京都:圓徳院~高台寺

2017年12月5日火曜日@京都/3回目

京都での紅葉見物、最後の締め括りは昨日のライトアップを見逃した高台寺にします。バスを乗り継いで、最寄りのバス停東山安井に移動。東山通りから路地に入っていくと、狭い石畳の路地が突然現れます。石塀小路です。道幅2メートルほどの路地の両側に旅館や料亭が並びます。祇園の奥座敷と呼ばれています。

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saraiと配偶者の前を若いカップルが歩いていきます。昔日のデートをふと思い出します。

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石塀小路の途中で狭い小路に入って歩いていった先に圓徳院があります。入口が見つからず、さらに先に進むと寧寧之道(ねねの道)に出ます。そこに圓徳院の入り口があります。ここで圓徳院と高台寺の共通拝観券を求めます。

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圓徳院は高台寺の塔頭のひとつで秀吉の正室のねね(北政所)が77歳で没するまでの19年間を過ごしたところです。ここには伏見城から、建物とお庭を移築しており、内部は意外な広さです。白砂と周りの樹木で美しい庭園が形作られています。南庭です。名残の紅葉も綺麗です。

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建物の廊下を進んでいくと、先ほど歩いた小路沿いの庭には紅葉の落ち葉がびっしりと積もっています。

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複雑な構造の建物の先にはまた見事なお庭があります。北庭です。伏見城北政所化粧御殿の前庭を移したものです。紅葉がほとんど終わっているのが残念です。

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圓徳院を出て、寧々の道を少し歩くと、高台寺に続く石段の坂道があります。台所坂です。道の周りは樹木に覆われています。紅葉が赤く色づいて綺麗です。

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この台所坂を通って、ねねは秀吉の菩提が祀られている高台寺を訪れたそうです。台所坂の上には台所門が美しい姿を見せています。

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高台寺の境内にはいります。境内は東山の中腹にあります。そこから色づいた紅葉の先に大雲院の祇園閣の変わった建物が見えます。祇園閣は大倉財閥の設立者である大倉喜八郎が別邸とし建てた別邸「真葛荘」の一部で、金閣・銀閣になぞらえて、銅閣と呼んでいたそうです。昭和初期の建築です。1972年の大雲院の移転により伽藍の一部となりました。大雲院自体は移転前は四条河原町にあり、髙島屋京都店増床に伴っての移転だったそうです。最近でも京都の町はそういう変化があるんですね。

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紅葉で美しい境内を歩いていきます。

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やがて、東山を借景とした広大な庭園の前に出ます。池に観月台という檜皮葺き屋根の廊が続き、白壁の開山堂につながっています。

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その庭園を散策する前に方丈の建物に入って、前庭の波心庭を鑑賞します。枯山水の美しい庭園です。春は枝垂桜が美しいそうです。まだ、色づいた紅葉が少々見えます。

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方丈を出て、小堀遠州の作庭と言われる池泉廻遊式庭園を歩きます。池の端には紅葉もあります。

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盛りは過ぎたとは言え、まだまだ紅葉が綺麗です。。

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龍の背に似たという臥龍廊(がりょうろう)が池の端にある開山堂と霊屋(おたまや)の間を繋いで、急な石段になっています。

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霊屋には秀吉の菩提が祀られています。その先を上っていくと、高台寺の一番高いところに茶屋風の二棟の茶室、「傘亭」と「時雨亭」があります。これらは伏見城から移築されたものです。2階建ての珍しい茶室が「時雨亭」です。紅葉に彩られて、美しい佇まいを見せています。

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高台寺の最高所から、今度は冴え冴えとした竹林の中を下っていきます。

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高台寺の紅葉の鑑賞を終えて、また、美しい台所坂を下り、寧々の道を抜けて、円山公園のほうに向かいます。途中、大雲院の塀の中にある真っ赤な紅葉を見とれます。

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人で賑わう円山公園、知恩院を抜けて、祇園に出ます。これで紅葉の旅は終了ですが、ちとお腹が空きました。何か軽いものをいただきましょう。お店を探しますが、なかなか適当なお店がありません。諦めつつ、祇園のバス停に向かうと、何とバス停の真ん前に「京めん」と言うそばとうどんのお店があります。迷わず入店。

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お店のスタッフにsaraiは「ここのきつねうどんは京都風?」って、馬鹿な質問をすると、もちろんというお返事。さらに「じゃあ、あのとろみのついたやつ?」って、重ねて馬鹿な質問。お店のおばさんは呆れたように、きつねはとろみはなく、それはたぬきですよって・・・。そうでした。京都のたぬきうどんが刻み油揚げにとろみをつけたものでした。それを注文します。ついに本場で最高に美味しい京風たぬきうどんに巡り合えました。絶品でした。また、食べに来ましょう。

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紅葉見物の後に素晴らしいおまけがつき、大満足。充実した京都の旅を終えて、夜の新幹線で帰途につきました。
今年は春は桜、晩秋は紅葉と楽しい京都散策になりました。また、来ましょう。



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テーマ : 京都
ジャンル : 旅行

 

来年のザルツブルク音楽祭・・・凄いね!

来年のヨーロッパ遠征については何となく、方向性が定まりません。時間だけがどんどん、過ぎていきます。

そうこうしているうちにまた、来年のザルツブルク音楽祭(2018年)の分厚い冊子が郵便箱に入っていました。もう、2年連続で行きましたから、あまり、その気はなくて、それでもつらつらとページをめくっていきます。最初のほうにはオペラのプログラムがあります。モーツァルトは珍しく、魔笛だけです。R・シュトラウスはサロメだけ。チャイコフスキーの《スペードの女王》なんて、ザルツブルク音楽祭らしくないものもあります。モンテヴェルディの《ポッペアの戴冠》は去年に引き続いてですね。おっ、ロッシーニの《アルジェリアのイタリア女》があります。これはやはり、チェチーリア・バルトリです。聴きたいですね。ヘンツェやアイネムという新しいオペラもあります。
オペラ以外も見ていると、目が点に・・・。テオドール・クルレンツィスとムジカエテルナがベートーヴェンの交響曲ツィクルスをやるじゃないですか。とりわけ、第9番がどうなるのか、とっても気になります。うー、聴きたい!! 想像するに、きっとオーケストラのメンバーは立奏なんでしょうね。前代未聞のベートーヴェンでしょう。ベートーヴェンの交響曲第9番と言えば、フルトヴェングラー以外は価値が認められないsaraiですが、クルレンツィスとムジカエテルナならば、フルトヴェングラーとの比較なんて意味ありませんね。

てなことを配偶者に報告すると、来年はザルツブルク音楽祭だけ、さっと行ってくればいいじゃないって、のたまわります。ええーっ、そんなこと言うの!!

日程をチェックすると、クルレンツィスのベートーヴェンの交響曲第9番は8月15日。全ツィクルスを聴くと滞在が長くなるので、あと、もう1回、第1番と第3番《エロイカ》くらい聴けば、満足です。8月15日から8月18日までの4日間いれば、強行軍で次のプログラムが聴けそうです。

 ムーティ指揮ウィーン・フィル シューマン:交響曲第2番、シューベルト:ミサ曲第6番変ホ長調D.950 ストヤノワ
 モンテヴェルディ《ポッペアの戴冠》 クリスティー指揮レザール・フロリサン、ヨンチェヴァ、ケイト・リンゼイ
 クルレンツィスのベートーヴェンの交響曲第9番 ムジカエテルナ
 チェチーリア・バルトリのロッシーニ《アルジェリアのイタリア女》 スピノージ指揮アンサンブル・マテウス
 アンドラーシュ・シフのバッハ:平均律クラヴィーア曲集第2巻
 クルレンツィスのベートーヴェンの交響曲第1番と第3番《エロイカ》 ムジカエテルナ
 ブロムシュテット指揮ウィーン・フィル シベリウス:交響曲第4番、ブルックナー:交響曲第4番
 チャイコフスキー《スペードの女王》 ヤンソンス指揮ウィーン・フィル

4日間で、この豪華8演目って凄いでしょう。いやあ、心が動くなあ。

ザルツブルク音楽祭は昨年が最初で最後のつもりでしたが、今年も行っちゃったし、来年もというのは迷いますね・・・。

来年のザルツブルク音楽祭のチケット予約の締め切りは1月8日です。20日以内に決断する必要があります。うーん・・・。



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トリノ散策:ヴィットリオ・ヴェネト広場からモーレ・アントネッリアーナへ

2017年7月21日金曜日@トリノ/7回目

トリノTorinoのポー川Poの川沿いの散策を終えて、トリノの旧市街の中心に向けて歩き始めます。ヴィットリオ・エマヌエーレ1世橋Ponte Vittorio Emanuele Iから続くヴィットリオ・ヴェネト広場Piazza Vittorio Venetoの中を進んでいるところです。広場の建物越しにモーレ・アントネッリアーナMole Antonellianaというトリノのランドマークである奇妙な形のタワーが見えています。見えてはいますが、迂闊にもこのタワーがモーレ・アントネッリアーナであるとはsaraiは認識していません。実はこのタワーを目指して歩いているんですけどね・・・。間抜けな話です。

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このヴィットリオ・ヴェネト広場のまわりの建物には大きなポルティコが続いています。日陰になって涼しいポルティコの中を歩いていきます。

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ポルティコの中にはカフェのテーブルが並んだり、キオスクのようなショップもあります。

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ヴィットリオ・ヴェネト広場はとっても大きな広場で、広場の真ん中を車の走る通りも貫いています。

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ポルティコはどこまでも続きます。

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広場の端に近づいてきます。まだ、モーレ・アントネッリアーナのタワーが見えていますが、いまだにその正体を理解していません。

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広場の中央をトラムが走ってきました。これは広場というよりも巨大な通りみたいなものです。目の前にはポルティコを突き抜けて車道が横切っています。ポルティコの陰から車が来ないか、気を付けて渡ります。

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このあたりから、広場を振り返ります。広場にはテラス席がずらっと並んでいますが、暑さのせいか、開店休業状態です。その先にはポー川の対岸にあるカトリック教会のグラン・マードレ・ディ・ディオ教会Catholic Parish Church Gran Madre Di Dioが見えています。その向こうは緑の丘が連なっています。

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ようやく、広場を抜けて、ポルティコのある目抜き通り、ポー通りVia Poに入ります。

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ポルティコの中を歩き始めます。目指すのは、トリノの街を一望できるタワー、モーレ・アントネッリアーナです。しかし、ポルティコの中を歩くので、周りの様子はまったく分かりません。さっきまでは見えていたのにね。

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ポルティコはまっすぐとどこまでも続いています。タワーがどのあたりにあるのか分かりませんがとりあえず歩いていきましょう。

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たまに雰囲気のいい路地があったりします。街歩きは楽しいです。

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ポルティコの上部を見上げると、実に凝った装飾が施されています。バロック様式ですね。

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ポルティコを歩くのは気持ちがよいのですが、目指して歩いていく先はモーレ・アントネッリアーナです。これが、なかなか見つからない。配偶者が、立ち話をしている女性達に話しかけて、場所を訊きだそうとします。と、即答です。「ファースト、ノー。セコンド、イエス。ユウ、キャン、シー!」 分かりやすいご説明をありがとうございます。2人で、これを口ずさみながら進み、2番目の角で右のほうを見上げると・・・イエス、ウイ、キャン、シー!

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モーレ・アントネッリアーナのタワーが見事に見つかりました。グラッチェ!
ここまでの散策ルートを地図で確認しておきましょう。

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モーレ・アントネッリアーナのタワーに向かいましょう。



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トリノ散策:モーレ・アントネッリアーナからのトリノの町の眺め

2017年7月21日金曜日@トリノ/8回目

トリノTorinoの旧市街を散策中です。目指していたモーレ・アントネッリアーナMole Antonellianaというトリノのランドマークのタワーを地元の人の助けで見つけることができました。

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タワーは近くにあるように思えましたが、意外に距離があり、5分ほど歩いて、ようやく到着。チケット窓口でチケットの料金を確認します。シニア料金の設定もありますね。

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で、何の疑いもなくシニアチケットが買え、saraiはガッカリ。パスポートの提示を用意していたのにね。見かけだけでシニア認定なのね。7ユーロのところ、割引で5ユーロでした。

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エレベータをありがたく思いながら、楽ちんで頂上へ上がります。タワーの頂上からは素晴らしいトリノの町の眺めです。

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家々の屋根の連なりの向こうには低い山並みが見えます。

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王宮Palazzo Reale di Torinoのまわりに広がるレアリ・スペリオーリ庭園Giardini Reali Superioriも見えます。

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先ほど歩いていたヴィットリオ・ヴェネト広場Piazza Vittorio Venetoも見えます。その先にはポー川Poも見えますね。グラン・マードレ・ディ・ディオ教会Catholic Parish Church Gran Madre Di Dio、丘の上のサンタ・マリア・デル・モンテ教会Santa Maria Del Monteも見えます。

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ここまで歩いてきたモンテベッロ通りVia Montebelloがポー通りVia Poを突き抜けて、サン・マッシモ通りVia S. Massimoに名前を変えて、遥かかなたまでまっすぐに伸びています。

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すぐ手前に見える大きな建物は技術博物館Museum of Radio and Television RAIです。その建物を挟むように並行するジュゼッペ・ヴェルディ通りVia Giuseppe Verdiとポー通りはカステッロ広場Piazza Castelloで合流しています。この後、カステッロ広場に向かう予定です。

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そのカステッロ広場から王宮のあたりがトリノの旧市街の中心です。

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これでタワーからのトリノの町の眺めを十分に楽しみました。このモーレ・アントネッリアーナはそもそも国立映画博物館ですが、そんなに興味がないので、見学はパスします。また、先ほど歩いていたポー通りに戻ります。最後にまた異形のタワーの姿を眺めます。

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ポー通りをカステッロ広場のほうにぶらぶら歩いていきます。ポルティコの中には色んなお店が並んでいます。

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通り沿いには素晴らしい建築物があります。どれほどの富の蓄積があるんでしょう。

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古ぼけた煉瓦作りの建物にも歴史の重みを感じてしまいます。

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やがて、カステッロ広場の入り口に到着。

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ここまでの散策ルートを地図で確認しておきましょう。

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実はここに来た目的はジェラートなんです。トリノといえば、ジェラートですからね。トリノに来た目的も半分くらいはジェラートが食べたかったことなんです。さあ、お店を探しましょう。



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本日休載

年の暮れ、何かと忙しくて、今日は休載します。本人はいたって元気です。
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トリノ散策:ジェラートの超有名店グロムの本店

2017年7月21日金曜日@トリノ/9回目

トリノTorinoの旧市街の中心にあるカステッロ広場Piazza Castelloに着き、超有名ジェラートのお店グロムGromの本店店舗を探します。お店のほうに向かっていくと、広場に面した建物の中にとっても美しい大空間があります。ガレリア・スバルピーナGalleria Subalpinaです。19世紀にスバルピーナ産業銀行によって建てられたそうです。

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ガレリアを抜けて、外に出ると、そこには芝生の美しいカルロ・アルベルト広場Piazza Carlo Albertoがあります。広場に面して建っている綺麗な建物は国立図書館Biblioteca Nazionale Universitariaです。

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広場には騎馬像があります。カルロ・アルベルトCarlo Albertoの銅像です。カルロ・アルベルトはサルデーニャ王国第七代国王でした。

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さて、ここはカルロ・アルベルト通りVia Carlo Alberto。目指すジェラート店があるのはお隣の通りのようです。そちらに移動します。

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お隣の通り、アッカディア・デッレ・シェンツェ通りVia Accademia delle Scienzeに目立たない姿で有名ジェラート店グロムGromの本店を発見。

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早速、入店して、壁に掲示してあるメニューをチェックします。

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人気店ですが、それほど行列もなく、購入できそうです。

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我々の番になり、注文。美味しそうなジェラートをコーンの上にのっけてくれます。

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これが配偶者が注文したダブルトッピングのピスタチオ&メロン。お店の前で記念写真でしたが、肝心のジェラートがボケてますね。

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これがsaraiのピスタチオ&レモン。

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お店の隅のベンチに座って舐めます。と、目の前に、赤ちゃんを連れた若い夫婦。なかなか購入品が決まりません。その間に、アイコンタクトが出来た配偶者と赤ちゃん。配偶者がぺろぺろ舐める様子をまねをする赤ちゃん。すっかり仲良しになったようです。かなり長い時間をかけてアイスクリームを購入した家族は、店の前のベンチへ。配偶者がバイバイをすると、お前たちはベストフレンドだねと赤ちゃんのパパに言われちゃいます。配偶者の意見ではジェラートの味は、残念ながら今一とのことです。saraiは十分に満足しました。きっとメロンの選択がよくなかったのでは・・・。

さて、目的のジェラートを食べたので、今度は落ち着いて、トリノ散策を再開します。アッカディア・デッレ・シェンツェ通りを端まで歩いたところで、振り返ります。右手のお店の並びにジェラート店グロムがあるのですが、あまりに目立たない外観なので、まったく分かりませんね。

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カステッロ広場に出ます。目の前にはマダーマ宮殿Palazzo Madamaの裏側の要塞部分のお城Castello degli Acajaが見えます。

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そのマダーマ宮殿の右手にはカステッロ広場が広がっています。先ほど歩いてきたポー通りVia Poの入り口も見えています。トリノ王立歌劇場Teatro Regioなどの壮麗な建物が広場を囲んでいます。

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マダーマ宮殿の前には「イタリアの騎士のモニュメント像」が立っています。

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ここまでの散策ルートを地図で確認しておきましょう。

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しばらく、広大なカステッロ広場をぶらぶらしましょう。



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クリスマスにはメサイアを・・・バッハ・コレギウム・ジャパン@サントリーホール 2017.12.23

サントリーホールではクリスマスシーズンにヘンデルのメサイアの公演が恒例になっているそうで、今回が17回目だそうです。鈴木雅明率いるバッハ・コレギウム・ジャパンがあればこその偉業とも言えます。saraiは今年、初めて聴きます。そして、聴いてみてよかった。何というか、清々しく感じました。なお、これが今年のサントリーホール詣での最後になります。今年もサントリーホールでずい分聴かせてもらいました。

ヘンデルのメサイアと言えば、最近、シュテファン・ツヴァイクの《人類の星の時間》の中の1章「ゲオルク・フリードリッヒ・ヘンデルの復活」で読んだばかりです。脳溢血の後遺症から立ち直った53歳のヘンデルは音楽的創造力が枯渇していました。詩人ジンネンス(ジェネンズ)から送られてきた新しい詩が劇的にヘンデルの創造力を復活させます。24日間、不眠不休で書き続けて完成させた作品がメサイアです。書き上げた途端、ヘンデルは17時間、爆睡したそうです。そして、爆睡から目覚めたヘンデルは物凄い食欲で食べまくり、飲みまくったそうです。ヘンデルはこのメサイアを作曲できたのは神の啓示だと信じて、このヘンデルを復活させた作品からの都度の収入の500ポンドを施療病院に寄付したそうです。このメサイアはそういう特別な作品です。ヘンデルの最高傑作、記念碑的な作品です。

ヘンデルの特徴であるメロディアスな美しさ、骨組みのがっちりした力強さはもちろんですが、天上の音楽のような無私の精神性が貫かれていることが感じられる稀有な作品を鈴木雅明率いるバッハ・コレギウム・ジャパンの合唱と管弦楽、独唱陣が清冽な演奏で見事に演じ切ってくれました。高いレベルの安定性を持った演奏であったことが素晴らしいです。とりわけ、ヴァイオリンを中心とした弦楽パートの美しい響きが特筆されます。バッハ・コレギウム・ジャパンが演奏するバッハ作品の素晴らしさはいつも体感させられますが、ヘンデルでも同様ですね。そうそう、オーボエの三宮正満の音色も素晴らしかったです。合唱のソプラノパートと同じメロディも重ねて演奏したときのオーボエの響きに感服しました。独唱では、テノールの櫻田亮の抜け切った高音の響きが傑出していました。ソプラノの森麻季も相変わらずピュアーな歌声を聴かせてくれましたが、彼女ならもっと歌えたのではないかという感は残りました。CTのテリー・ウェイの歌唱も及第点ではありますが、感銘を受けるところまではいきません。

演奏的には冒頭のシンフォニーからテノールのレシタティーボ、アリアのあたり、ハレルヤ・コーラス、アーメン・コーラスはやはり、感銘を受けました。大変、聴き応えのあるメサイアをクリスマスシーズンに聴けて、満足しました。 

今日のプログラムは以下です。

  指揮:鈴木雅明
  合唱・管弦楽:バッハ・コレギウム・ジャパン
  ソプラノ:森麻季
  アルト(カウンターテナー):テリー・ウェイ
  テノール:櫻田亮
  バス:ドミニク・ヴェルナー

  ヘンデル:オラトリオ『メサイア』 HWV 56

   1部と2部の間に《休憩》

   《アンコール》
    トラディショナル(鈴木優人編):いけるものすべて

なお、予習したCDは以下です。まことに美しい演奏で感服しました。

 ジョン・エリオット・ガーディナー指揮イングリッシュ・バロック・ソロイスツ、モンテヴェルディ合唱団 1982年11月録音




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       バッハ・コレギウム・ジャパン,  

ベートーヴェンの交響曲第9番で今年のコンサート納め:読売日本交響楽団@みなとみらいホール 2017.12.24

年末恒例のベートーヴェンの交響曲第9番を聴く習慣はありませんが、読売日本交響楽団のみなとみらいホリデー名曲シリーズの会員なので、自動的にそのプログラムに組まれていた第9を聴くことになってしまいました。日本のオーケストラは毎年、年末にこの曲を何度も演奏するせいか、今日の読売日本交響楽団も練り上げられた演奏を聴かせてくれました。第1楽章の美しいアンサンブルは驚くほどです。第2楽章にはいってもその美しいアンサンブルは続きます。第3楽章の始まる前に独唱者の入場もあり、一息つきます。saraiの大好きな第3楽章がどんな演奏になるのか、固唾を飲んで待ちます。なかなか美しい演奏で満足します。とりわけ、第2ヴァイオリンとヴィオラが健闘しています。弦楽器パートに比べると、管楽器の響きがもう一つなのが残念です。第4楽章はその弦楽器群と合唱団が素晴らしい出来です。なかでも合唱団の歌唱はオーケストラの後ろから、凄まじい響きが突き抜けてきて、最高の出来栄えに思えます。新国立劇場合唱団がこんなに素晴らしいんだったら、新国立のオペラ、特に合唱が活躍するオペラを聴きにいってもいいかなと思うほどです。ここでも管楽器群のアンサンブルの乱れが気になります。独唱はまあまあというところですが、海外から招聘したソプラノとテノールにはもっと頑張ってもらいたかったところです。これくらいの声量ならば、わざわざ海外から呼ぶ価値があるんでしょうか。

ちょっと苦言も呈しましたが、全体的な出来栄えはなかなかよかったんです。合唱団の素晴らしさと読響の弦楽パートの素晴らしさに尽きます。これで今年のコンサートは実質的には聴き納めです。後は大晦日のジルヴェスターコンサートを残すのみです。

今日のプログラムは以下です。

  指揮:サッシャ・ゲッツェル(当初予定のエマニュエル・クリヴィヌは、健康上の理由によりキャンセル)
  ソプラノ=インガー・ダム=イェンセン 
  メゾ・ソプラノ=清水 華澄
  テノール=ドミニク・ヴォルティヒ 
  バス=妻屋 秀和
  合唱=新国立劇場合唱団(合唱指揮=三澤 洋史)
  管弦楽:読売日本交響楽団 長原 幸太(コンサートマスター)

  ベートーヴェン:交響曲 第9番 ニ短調 Op.125「合唱付き」


今更、予習でもありませんが、以下のCD1枚だけを聴きました。期待したほどの出来ではありません。ソプラノのバーバラ・ボニーだけはいいです。

 2002年 サイモン・ラトル指揮ウィーン・フィル、バーミンガム市交響合唱団
     バーバラ・ボニー、ビルギット・レンメルト、カート・ストレイト、トマス・ハンプソン


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トリノ散策:カステッロ広場からサン・ロレンツォ教会へ

2017年7月21日金曜日@トリノ/10回目

トリノTorinoの旧市街の中心にあるカステッロ広場Piazza Castelloを散策しています。広場の西側に出ると、正面奥には王宮Palazzo Reale di Torinoが優美な姿を見せています。1865年までサヴォイア家の宮殿だったところです。

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広場を進むと、噴水があり、子供が興味深そうに見入っています。

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広場の中央にサルディーニャ王国陸軍少尉の記念碑Monumento all'Alfiere dell'Esercito Sardoがあります。1859年にサルディーニャ王国が、ミラノをハプスブルク帝国から解放しました。この銅像はミラノがそのお礼として寄贈したものです。サルディーニャ王国はサヴォイア家が統治したトリノを首都とした現在のイタリアとフランスにまたがる王国です。近代イタリア王国の前身となりました。ピエモンテのトリノを首都としたことから、「ピエモンテ王国」とも呼ばれます。

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広場から東側を眺めると、建物の先にモーレ・アントネッリアーナMole Antonellianaのタワーの上部が見えています。さすが、トリノのランドマークですね。

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モーレ・アントネッリアーナのタワーをズームアップしてみます。

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広場の中央にはマダーマ宮殿Palazzo Madamaが美しい姿で建っています。ここには、カルロ・エマヌエーレ2世の未亡人、マリー・クリスティーヌが住んでいたことからマダーマ宮殿(夫人の宮殿)と呼ばれています。現在内部は市立古典美術館Museo Civico di Arte Anticaになっています。

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広場の北にある大きな建物が王宮です。王宮前の広場は豪華な柵で仕切られています。

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王宮広場の柵の手前にはサン・ロレンツォ教会Chiesa di San Lorenzoのドームが見えています。欧州バロック建築の最高傑作の一つと言われる建物です。

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内部を見学してみましょう。内部にはとても美しいバロック空間が広がっています。

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大理石をふんだんに使った内装が素晴らしいです。

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天井を見上げると、8方にヴォールトが伸びた美しいデザインになっています。バロックの粋を極めたような建物です。

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絵画や彫刻を大理石の柱や壁面で装飾した贅沢さにはため息が出ます。

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これが内陣に向ったところです。

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装飾の豪華さを見ていると、飽きることがありません。

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これでもか、これでもかという感じで圧倒的な内部装飾が続きます。

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でも、このサン・ロレンツォ教会にはトリノならではのものがさらにありました。



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トリノ散策:トリノの聖骸布、そして、モーツァルトとの邂逅

2017年7月21日金曜日@トリノ/11回目

トリノTorinoの旧市街の中心にあるカステッロ広場Piazza Castelloに面したサン・ロレンツォ教会Chiesa di San Lorenzoの内部を見学しています。その絢爛豪華なバロック美に酔わされます。と、ある案内板に気が付きます。これって、トリノで有名な聖骸布Santa Sindoneの案内のようです。その矢印のほうに向かってみます。

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矢印の先には質素な部屋があります。ここが聖骸布展示室です。

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壁には聖骸布のコピーが飾られています。

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これが聖骸布の全体ですね。左側半分がキリストの体の前面、右側が体の後面のようです。真偽のほどはともかく、大変なものを見ることができました。ただし、本物ではなく、コピーです。本物は2010年と2015年に一般公開されましたが、通常は非公開です。

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顔の部分をズームアップしてみます。

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うーん・・・凄いですね。驚愕しながら、聖骸布展示室を後にします。
再び、サン・ロレンツォ教会のバロック空間に戻ります。受胎告知の美しい彫刻が目を引きます。

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大理石をふんだんに使った美しい内部装飾が教会全体を飾っています。

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これで旧市街の中心、カステッロ広場界隈の見物はお終いにします。王宮やドゥオーモはパスします。
次は、トリノの有名なビチェリンを飲みにビチェリン発祥のお店に行きましょう。ビチェリンというのはコーヒーとチョコレートを混ぜた飲み物で、トリノ名物です。サン・ロレンツォ教会の横に続く路地、パラッツォ・ディ・チッタ通りVia Palazzo di Cittàを西のほうに向かって歩いていきます。

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細い路地が交差する通りです。これはポルタ・パラティーナ通りVia Porta Palatinaです。

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パラッツォ・ディ・チッタ通りが突き当たったところは、ちょっとした広場、市庁舎広場Piazza Palazzo di Cittàになっていて、Palazzo di Cittàが正面にあります。

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市庁舎はなかなか瀟洒な建物ですね。中世の館を17世紀に改修したものです。

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この市庁舎を迂回して、さらに西に向かう路地、コルテ・ダッペッロ通りVia Corte d'Appelloに入ります。すると、とんでもないものに出くわします。何とモーツァルト父子の足跡です。モーツァルト父子は、ミラノ滞在中の1771年1月に、ミラノから足をのばしてトリノを訪れたそうです。ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトが14歳の頃です。モーツァルトはその生涯で3回、イタリアを訪れていますが、これは第1回目のイタリア旅行でした。約1年と4ヶ月に及ぶ大旅行だったそうです。これが建物の壁に埋め込まれた記念プレートです。2006年のモーツァルト生誕250年を記念してトリノ市が設置したものです。

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ここに記念プレートがあるのは、モーツァルト父子がここに今でも建っているホテル・ドガーナ・ヴェッキアHotel Dogana Vecchiaに2週間(1771年1月14日から31日)滞在したからです。

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ホテルの入り口には、こんなものが置かれています。

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ヨーロッパの町を歩いていると、結構、モーツァルトの足跡に偶然ぶつかります。何かモーツァルトととの因縁も感じます。この旅でも最後はモーツァルト生誕の地ザルツブルクを訪れます。モーツァルトゆかりのザルツブルク音楽祭に行くのですが、天国のモーツァルトがその前にここにsaraiを誘導してくれたのかな・・・。

ここまでの散策ルートを地図で確認しておきましょう。

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さあ、ビチェリン目指して、歩きましょう。



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トリノ散策:トリノ発祥の名物ホットドリンク「ビチェリン」

2017年7月21日金曜日@トリノ/12回目

トリノTorinoの旧市街の中心にあるカステッロ広場Piazza Castelloからトリノ名物の飲み物ビチェリン発祥のカフェを目指して歩いているところです。実はあんまり詳細な場所が分かっていないので、少々、当てずっぽうで歩いています。若干、不安感はあります。モーツァルト父子がかって滞在したホテル・ドガーナ・ヴェッキアHotel Dogana Vecchiaの前を過ぎて、コルテ・ダッペッロ通りVia Corte d'Appelloの路地を進みます。すると、オベリスクの立つサヴォイア広場Piazza Savoiaに出ます。

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このサヴォイア広場で右に折れて、コンソラータ通りVia della Consolataを北のほうに進みます。このあたりは確信があるのではなくて、単なる勘で歩きます。一つ目の4つ角で左のほうに伸びるサン・ドメーニコ通りVia San Domenicoの様子を窺います。教会の塔らしきものは見えますが、そちらのほうではなさそうです。

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と、この4つ角の一角に何と大きな観光案内地図が設置されています。この地図で現在位置を確認します。どうやら、このコンソラータ通りをもうすぐ進んだところが目的地のようです。

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すぐにコンソラータ教会Santuario della Consolataの前に到着。

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この教会の前の小さな広場に探しているお店、カフェ・アル・ビチェリンCafé Al Bicerinがありました。ここに来られたのは本当に偶然です。道に迷わなくてよかった。人気店だけあって、お店の前のテラス席は賑わっています。

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私たちも、その賑わうテラス席の中に加わります。幸いテーブルが一つ空いていました。広場の向かいにはコンソラータ教会が見えています。

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カフェ・アル・ビチェリンは意外に間口の狭いお店です。

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カフェ・アル・ビチェリンの左側にも同名のショップがあります。お菓子屋さんのようです。

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広場の一角には鐘楼も立っています。

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注文したビチェリンを待つ間、広場をぶらぶらします。広場の名前はコンソラータ広場Piazza della Consolataです。もちろん、教会の名前です。よくよく見るとなかなか存在感のある教会です。後で内部も見学してみましょう。

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カフェ・アル・ビチェリンは賑わっています。配偶者も席に着いています。観光案内でお店のことをチェックしているようです。

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ビチェリンともう一つ有名なザバイオーネも注文しました。お願いしたその2品が届きます。お店のお姉さんが、ビチェリンは絶対に掻き混ぜないでねと言いながら去っていきます。はい、わかっていますよ。観光案内書に書いてありますから。左がビチェリン、右がザバイオーネです。

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静かな広場でゆったりとしながら、ビチェリンとザバイオーネをいただきましょう。とっても贅沢な時間です。

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ビチェリンは、コーヒーとホットチョコの層に分かれています。掻き混ぜずにそのままそっとグラスを傾けて口の中に流し込むと、2つの味が口の中で混ぜ合わさり、とってもおいしいです。これは面白い飲み物です。向かいに座ったおじさんは、盛大に混ぜています。ザバイオーネは、お酒がかなり強く、黄味がどろっとしていて、ちょっと飲みづらいです。卵黄に砂糖を加えて泡立て、そこにシェリー酒など洋酒を煮詰めたクリームを加えているんだそうです。栄養ドリンクですね。

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ここまでの散策ルートを地図で確認しておきましょう。

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この後の予定は特にないので、ゆっくりとした時間を過ごします。でも、この後、大変なことになります。予想外でした。



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saraiの音楽総決算2017:ピアノ・室内楽編

今年もブログの締めくくりはsarai恒例の音楽総決算です。

今年は国内・海外合わせて、厳選したコンサート・オペラに計70回足を運びました(昨年の計80回に比べると10回減りました。意図的に絞ったんです。)。それらについてはすべて当ブログで報告済みですが、今回から4回のシリーズでそれらからベストの音楽会を選んで、今年の音楽の総決算としたいと思います。
今回はピアノ・リサイタルと室内楽編です。今年もこのジャンルをたくさん聴きました。計31回です(昨年は計36回)。内、ピアノ・リサイタルが15回、弦楽四重奏曲コンサートが13回、その他の室内楽コンサートが3回です。とりわけ素晴らしいピアノ・リサイタルに恵まれました。で、今年も、ピアノ・リサイタルと室内楽コンサートに分けて、ランキングしてみます。
ちなみに昨年の結果はここです。

まず、ピアノ・リサイタル部門です。ベスト10は次の通りです。ともかく、田部京子、アンジェラ・ヒューイット、アンドラーシュ・シフの3人が圧倒的に素晴らしく、感動の涙・涙・涙・・・でした。卑怯ですが、3人のリサイタルはいずれも1位に並べさせてください。とても比べて差をつけられるようなレベルの演奏ではありませんでした。

1位 シューベルトの命日に輝く天才ピアニスト田部京子@浜離宮朝日ホール 2017.11.19
1位 涙なしに聴けない魂の演奏 The Bach Odyssey Ⅳ アンジェラ・ヒューイット@紀尾井ホール 2017.9.14
1位 未曽有の高み・・・アンドラーシュ・シフ・ピアノ・リサイタル_最終版@東京オペラシティ コンサートホール 2017.3.23
4位 歴史を刻む田部京子のシューベルト・プラス 第2回@浜離宮朝日ホール 2017.7.14
5位 感動と楽しさ・・・アンドラーシュ・シフ・ピアノ・リサイタル@東京オペラシティ コンサートホール 2017.3.21
6位 奇跡のような名演!!The Bach Odyssey Ⅱ アンジェラ・ヒューイット@紀尾井ホール 2017.5.30
7位 グリゴリー・ソコロフ・ピアノ・リサイタル@ザルツブルク祝祭大劇場 2017.8.1
8位 アンドラーシュ・シフ・ピアノ・リサイタル3@ザルツブルク・モーツァルティウム大ホール 2017.8.2
9位 さすがのパルティータ The Bach Odyssey Ⅲ アンジェラ・ヒューイット@紀尾井ホール 2017.9.13
10位 アブデル・ラーマン・エル=バシャ ピアノ・リサイタル@横浜上大岡ひまわりの郷ホール 2017.5.28

田部京子の弾いたシューベルトの詩情の深さには参りました。その上、ベートーヴェンの後期ソナタ、ブラームスの後期ピアノ曲、モーツァルトまですべてが素晴らしいという本格派。まさに日本に誕生した天才ピアニストです。彼女が来年も続けるシューベルト・プラスのシリーズは聴き逃せません。(1位と4位)

アンジェラ・ヒューイットの弾いたバッハの素晴らしさは想像以上のものでした。とりわけ、パルティータの第6番の凄さは感動以外の何ものでもありませんでした。The Bach Odysseyと題してのバッハ鍵盤独奏曲の全曲演奏シリーズが聴ける喜びはいかほどのものでしょう。来年のゴールドベルク変奏曲は記念碑的な演奏になるのは間違いありません。(1位と6位と9位)

アンドラーシュ・シフの弾くシューベルトとベートーヴェンの後期ソナタを聴けたのはsaraiにとって、忘れ得ぬ思い出になりました。感動し尽して、頭が真っ白になりました。加えて、ザルツブルク音楽祭でバッハ、バルトーク、ヤナーチェク、シューマンの連続演奏を聴けたのも幸せでした。(1位と5位と8位)

グリゴリー・ソコロフはsaraiにとって幻のピアニストでしたが、ザルツブルク音楽祭でようやく実演に接することができました。噂にたがわぬカリスマ的なピアニストでした。ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第32番のアリエッタの美しさに魅了されました。

アブデル・ラーマン・エル=バシャのこだわりのプログラム、グラナドスの組曲「ゴィエスカス」全曲の演奏は素晴らしかったです。特に第4曲、第5曲の素晴らしさはかのアリシャ・デ・ラローチャの演奏をも上回る出来でした。


次は室内楽部門です。ロータス・カルテットのベートーヴェン・ツィクルスの素晴らしかったこと。今年はそれに尽きます。ベスト5は次のとおりです。

1位 圧倒的な感動! ロータス・カルテット:ベートーヴェン・サイクル第5回@鶴見サルビアホール 2017.6.14
2位 Es muss sein! ロータス・カルテット:ベートーヴェン・サイクル第4回@鶴見サルビアホール 2017.6.13
3位 シューベルト&ショスタコーヴィチ ツィクルス III:ハーゲン・クァルテット@トッパンホール 2017.7.5
4位 瑞々しくてロマンに満ちたシューベルト:ハーゲン・クァルテット@トッパンホール 2017.7.3
5位 究極の美音:オーギュスタン・デュメイ ヴァイオリン・リサイタル@紀尾井ホール 2017.9.26

ロータス・カルテットのベートーヴェンは全曲が素晴らしかったのですが、とりわけ、後期の精神性の深い演奏にはただただ感動するだけでした。日本人女性4人がどうして、西欧音楽の中でも特に精神性が高い作品をこうも見事に演奏できるのか・・・saraiはある意味、カルチャーショックを受けました。ピアノの田部京子も同様ですが、日本人演奏家が天才的とも思える演奏をできる事実に直面して、戸惑っています。

ハーゲン・カルテットは相変わらず、素晴らしい音楽を聴かせてくれます。シューベルトの第13番と第15番はベストとも思える演奏でした。

オーギュスタン・デュメイのヴァイオリンのあまりにも美しい音色に驚愕しました。音楽には色んな要素がありますが、音の美しさだけでこんなに魅了されるものなんですね。


一応、この部門全体を通した最上位を決めておきましょう。それは以下です。

 ロータス・カルテットのベートーヴェン・ツィクルス@鶴見サルビアホール

ともかく、今年はsaraiにとって、ピアノの年と言ってもいいような年でしたが、それをはねのけるようなロータス・カルテットの圧倒的なベートーヴェン・ツィクルスでした。来年も来日して、ベートーヴェンの第15番と第14番を聴かせてくれるそうです。感動再びの予感です。

次回はオペラ編です。


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saraiの音楽総決算2017:オペラ・オペレッタ・バレエ編

さて、前回に引き続き、今年の音楽の総決算です。

今回はオペラ・オペレッタ・バレエ編です。
今年もオペレッタとバレエは見ていません。ウィーンに行っていないからでしょう。そのせいでオペラもたったの6回しか見ていません。海外で見たオペラは3回で、国内でのオペラはすべてコンサート形式です。今年も低調でした。オペラは大好きなんですけどね。ウィーンで思いっ切り、オペラ三昧したいですね。saraiのヨーロッパ旅行の原点はウィーン国立歌劇場でオペラを見たいということでしたから、原点回帰を果たしたいものです。

ちなみに昨年の結果はここです。

で、今年は以下をベスト5に選びました。

1位 オペラ《皇帝ティトの仁慈》クルレンツィス指揮ムジカエテルナ セラーズ演出@ザルツブルク・フェルゼンライトシューレ 2017.7.30

2位 オペラ《ムチェンスク郡のマクベス夫人》ヤンソンス指揮ウィーン・フィル クリーゲンブルク演出@ザルツブルク祝祭大劇場 2017.8.5

3位 耐えきれない優しさ「アッシジの聖フランチェスコ」:カンブルラン&読売日本交響楽団@サントリーホール 2017.11.26

4位 ジョナサン・ノットが力量を示した《ドン・ジョヴァンニ》@ミューザ川崎シンフォニーホール 2017.12.10

5位 実に偉大!!バルトーク:歌劇「青ひげ公の城」・・・読売日本交響楽団@東京芸術劇場 2017.04.15


ザルツブルク音楽祭では異次元の音楽体験ができます。昨年の《コジ・ファン・トゥッテ》も素晴らしかったですが、クルレンツィス指揮ムジカエテルナはsaraiの価値観をひっくり返すようなものでした。文句なしの今年のトップでと言いたいところですが、どっこい、直後に見たヤンソンス指揮ウィーン・フィルのショスタコーヴィチも素晴らしかったんです。

これまた、ザルツブルク音楽祭で聴いたヤンソンス指揮ウィーン・フィルのショスタコーヴィチです。暴力的とも思える音楽で、このオペラの真髄を聴かせてくれました。正直、クルレンツィス指揮ムジカエテルナのモーツァルトとどっちを1位にしようか迷うほどの出来でした。これを聴いて、配偶者と「また、ウィーンでオペラを見たいね」って話になりました。ウィーン・フィルがピットにはいるオペラはいいね!

初めて聴いたメシアンの「アッシジの聖フランチェスコ」は長過ぎるのが問題ではありますが、メシアン渾身の傑作でした。コンサート形式とは言え、国内で初の全曲演奏は歴史に残ります。すべてはカンブルランの思いと力によるものです。saraiの人生観を揺さぶる音楽でした。

昨年に引き続き、ジョナサン・ノット&東響がモーツァルトのオペラをコンサート形式で見事に演奏してくれました。昨年の《コジ・ファン・トゥッテ》に準ずる出来でした。来年の《フィガロの結婚》はついにミア・パーションが伯爵夫人で登場するようで今から楽しみです。

これまた、カンブルラン&読響のコンサート形式オペラのバルトーク。素晴らしい出来でした。在京オーケストラのコンサート形式オペラが流行っていますが、これはいいですね。どんどん、やってほしいと思います。

次回はオーケストラ・声楽曲編です。


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saraiの音楽総決算2017:協奏曲編

さて、前回に引き続き、今年の音楽の総決算です。

今回は協奏曲編です。
今年は庄司紗矢香のヴァイオリンにインスパイアされました。彼女の音楽性の成熟ぶりには驚くばかりです。また、アヴデーエワのピアノにも魅了されました。
ちなみに昨年の結果はここです。

今年は以下をベスト10に選びました。

1位 有無を言わせぬ庄司紗矢香の空前絶後の凄演!ゲルギエフ&マリインスキー歌劇場管弦楽団@サントリーホール 2017.12.6

2位 アヴデーエワの圧倒的なグリーグに感銘!読売日本交響楽団@みなとみらいホール 2017.4.23

3位 庄司紗矢香、文句なし!・・・ウルバンスキ&NDRエルプフィル@オーチャードホール 2017.3.7

4位 驚異の響き・・・ツィンマーマン、ガッティ&ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団@サントリーホール 2017.11.20

5位 偉大なる“平凡”・・・カヴァコス、ブロムシュテット&ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団@横浜みなとみらいホール 2017.11.09

6位 トリフォノフのプロコフィエフ凄過ぎ!!:読売日本交響楽団@みなとみらいホール 2017.9.18

7位 アリス=紗良・オットの天真爛漫で純粋無垢な響き・・・アルトリヒテル&チェコ・フィル@サントリーホール 2017.10.4

8位 ショパンとチャイコフスキーのピアノ協奏曲を堪能、仲道郁代 ピアノ・コンサート@サントリーホール  2017.1.29

9位 美しきアランフェス!メストレ&読売日本交響楽団@みなとみらいホール 2017.5.27

10位 モーツァルト・マチネ2 アントニーニ&ザルツブルグ・モーツァルテウム管、ベザイデンホウト@ザルツブルク・モーツァルティウム大ホール 2017.8.5


庄司紗矢香のショスタコーヴィチは空前絶後の凄演でした。大変、感動しました。こんなに感動したコンサートは滅多にありません。ゲルギエフのサポートも最高でした。

アヴデーエワの圧倒的なグリーグにも感動しました。彼女のピアノはスリリングで一期一会の演奏です。何を弾かせても感動の演奏をしてくれる素晴らしいピアニストです。

庄司紗矢香のプロコフィエフも素晴らしい出来でした。彼女は旬なヴァイオリニストですが、さらに成長を遂げています。どこまで伸びるか、楽しみです。

ツィンマーマンのベートーヴェンも実に個性的でありながら、内容のぎっしりと詰まった大変な名演でした。4位にランクするのは失礼だったかもしれませんが、これはもう好みの問題としか言えません。

カヴァコスのブラームスも精神性の高い素晴らしい演奏でした。これまた、5位にランクするのは心苦しい限りです。

トリフォノフのプロコフィエフはやり過ぎというくらい、凄い爆演でした。同じ曲をザルツブルク音楽祭でウィーン・フィルと共演したときは猫をかぶっていたようにおとなしい演奏だったのに、その変身ぶりに驚かされました。演奏は断然、この来日公演での読響との共演のほうが聴き映えがしました。

アリス=紗良・オットのピアノは初めて聴きましたが、彼女は何か持っていますね。それに音楽に対して、ひたむきさがあります。まだ未成熟なところもありますが、それも魅力の一つになっています。どのように成長していくのか、大変楽しみです。

仲道郁代さんの一連のデビュー30周年プロジェクトのコンサートです。期待に応えてくれた素晴らしいショパンでしたし、期待以上のチャイコフスキーでした。彼女も充実した1年でした。

メストレのハープ版のアランフェス協奏曲では出色の出来でした。第2楽章ではコールアングレの響きとともに美しい抒情が味わえました。

ベザイデンホウトのモーツァルトもなかなか見事な演奏でした。この演奏に触発されて、来年の来日公演でのフォルテピアノのコンサートで腕前を聴かせてもらうことにしました。

いよいよ、次回は最終回、大賞も発表します。そして、大晦日でもありますね。


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saraiの音楽総決算2017:オーケストラ・声楽曲編・・・今年の大賞は?

今年の音楽の総決算もいよいよ最後になりました。そして、ブログも今年の書き納めです。

今回はオーケストラ・声楽曲編です。
このジャンルは今年もたくさんのコンサートを聴きました。なかでもザルツブルク音楽祭でのハイティンク指揮ウィーン・フィルのマーラーの交響曲第9番はsaraiの音楽人生の集大成のようなものでした。それが2回も無事に聴くことができたことでもう我が人生で思い残すことはありません。
ちなみに昨年の結果はここです。

で、今年はベスト10は以下です。

1位 マーラー:交響曲第9番 ハイティンク&ウィーン・フィル 2回目@ザルツブルク祝祭大劇場 2017.7.30

2位 偉大なる“平凡”・・・カヴァコス、ブロムシュテット&ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団@横浜みなとみらいホール 2017.11.09

3位 魅惑的な響きの幻想交響曲!ゲルギエフ&マリインスキー歌劇場管弦楽団@サントリーホール 2017.12.6

4位 ビエロフラーヴェクへのレクイエムは《わが祖国》・・・アルトリヒテル&チェコ・フィル@横浜みなとみらいホール 2017.10.1

5位 驚異の響き・・・ツィンマーマン、ガッティ&ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団@サントリーホール 2017.11.20

6位 感涙のマーラー:大地の歌・・・インバル&東京都交響楽団@東京芸術劇場 2017.07.17

7位 ハイドン《天地創造》に感動!・・・東京都交響楽団@サントリーホール 2017.09.11

8位 感動!シベリウス:クレルヴォ交響曲 リントゥ&東京都交響楽団@東京文化会館 2017.11.8

9位 抒情美を極めた巨匠の《悲愴》フェドセーエフ&チャイコフスキー・シンフォニー・オーケストラ@宮崎芸術劇場 2017.11.11

10位 フルシャ、有終の美!!東京都交響楽団@サントリーホール 2017.12.16


今年の1位は、わざわざザルツブルク音楽祭まで足を運んで聴いたハイティンク指揮ウィーン・フィルのマーラーの交響曲第9番です。saraiにとって、音楽は人生そのもの。中学生になって、親に買ってもらったステレオでクラシックを聴き始め、40歳になって、夢だったウィーン国立歌劇場でオペラを見て、それから、病みつきになって、ヨーロッパ遠征で音楽を聴き続けてきました。そして、遂にハイティンク指揮ウィーン・フィルで一番愛して止まないマーラーの交響曲第9番を聴き、これでもう思い残すことはありません。2日前に聴いた7月28日の演奏も素晴らしかったです。

2位はハイティンクと同様に高齢で元気に指揮棒を振り続けるブロムシュテットが指揮したライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団が演奏したシューベルトの交響曲第8番「ザ・グレート」です。何でもないような普通の演奏の底に深い精神世界が垣間見えるような感じの表現に大変な感銘を受けました。それにしてもブロムシュテットのシューベルトは素晴らしいです。

3位はゲルギエフ&マリインスキー歌劇場管弦楽団の幻想交響曲です。大変美しくて、繊細な表現の演奏にうっとりとしました。ゲルギエフがウィーン・フィルを振ったCDとは比較にならない成熟度です。

4位はビエロフラーヴェクへのレクイエムにも思えたアルトリヒテル&チェコ・フィルの《わが祖国》です。後半の3曲は魂のこもった素晴らしい演奏でした。また、サントリーホールで聴いたドヴォルザークの交響曲第8番も大変素晴らしいものでした。首席指揮者ビエロフラーヴェク亡き後のチェコ・フィルの活躍に期待したいものです。

5位はガッティ&ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の演奏したブラームスの交響曲第1番です。驚異的な響きのブラームスに度肝を抜かれましたが、音楽的にも大変優れた演奏でした。新しい首席指揮者ガッティの下、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の将来は明るそうです。

6位はインバル&東京都交響楽団の十八番のマーラーです。このコンビの大地の歌を聴くのは2度目ですが、いずれも名演。今回はアンナ・ラーションの絶唱が聴きものでした。

7位は大野和士&東京都交響楽団のハイドンのオラトリオ《天地創造》です。正直言って、初めて、大野和士の素晴らしさを認識しました。以前聴いたアーノンクール&ウィーン・コンツェントゥス・ムジクスと名歌手たちによる演奏にも匹敵するような素晴らしい演奏でした。

8位はリントゥ&東京都交響楽団のシベリウスのクレルヴォ交響曲。室内オーケストラを思わせる完璧なアンサンブルで感動的な演奏を聴かせてくれました。海外からの声楽陣の演奏も見事でした。

9位は巨匠フェドセーエフ&チャイコフスキー・シンフォニー・オーケストラの《悲愴》です。このコンビの《悲愴》を聴くのは2度目ですが、さらなる成熟をみせてくれました。3度目にはさらなる飛躍があるのでしょうか。

10位は東京都交響楽団の首席客演指揮者として、フルシャが最終公演で聴かせてくれたマルティヌーとブラームスの交響曲第1番です。素晴らしい演奏にフルシャを失う喪失感を抱くほどでした。在任期間中の最大の功績はマルティヌーの全交響曲を演奏してくれたことです。次はバンベルク交響楽団の首席指揮者として凱旋してくれるようですが、いつの日か、チェコ・フィルを振ってほしいものです。


ジャジャーン!
ここで今年の大賞発表です。
その前に、今年は異例ですが、特別大賞を発表します。大賞とは別枠で今年だけでなく、saraiの30年近いヨーロッパ遠征を通じての特別な思いを込めてのものです。もう、既にお分かりですね。


 ザルツブルク音楽祭でのハイティンク指揮ウィーン・フィルのマーラーの交響曲第9番(ザルツブルク祝祭大劇場)


saraiの音楽人生の総決算です。まったく言葉も失うコンサートでした。ハイティンクのすぐ近くの席で聴いた記念すべきコンサートです。指揮を終えた巨匠はすっかり憔悴していましたが、うっすらと涙を見せていたように感じたのはsaraiの感傷でしょうか。立ち上がって拍手をしながら、これまでの名演に感謝をしながら、告別の念を送り続けました。


さて、今年の大賞です。今年はピアノの年でした。シフ、ヒューイット、田部京子の3人はいずれも大賞にふさわしい演奏を聴かせてくれたし、ザルツブルク音楽祭でのクルレンツィス指揮ムジカエテルナのオペラ《皇帝ティトの仁慈》はsaraiの音楽的な価値観をひっくり返すような強烈なものでしたが、今年は何と言っても、これが一番、魂の奥底に響いてきました。

 ロータス・カルテットのベートーヴェン・ツィクルス@鶴見サルビアホール

全16曲、すべて最高の演奏でした。とりわけ、後期の第13番~第16番は深い音楽性を持った超名演でした。ヨーロッパに渡った日本人女性4人の本当の活躍はこれから始まるでしょう。日本の音楽界も変わりましたね。とても感慨深いです。

来年の感動に期待しながら、今年の総括は幕としましょう。

今年も当ブログを読んでいただいたみなさんには感謝です。また、来年も引き続き、ご愛読ください。

saraiはこの総括を書いていて、たまらず、マーラーの交響曲第9番を聴きたくなりました。大晦日、音楽の締めです。聴くのはもちろん、ハイティンク。選んだ演奏はこれです。


 2011.5.15 コンセルトヘボウ管 ブルーレイディスク  コンセルトヘボウ管のBDのマーラー全集より


今、第4楽章の最後の薄明の世界が閉じていきました。拍手が起きる前にボリュームをそっと絞りました。この音楽は最後は拍手なしに終わりたいものです。


saraiはこれから、みなとみらいホールのジルヴェスターコンサートに出かけます。今年も音楽で年越しです。

皆さま、よいお年を!!


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sarai

Author:sarai
首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
たまには、旅ブログも書きます。

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08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
公演では小沢、ショルティだけ

ベーム、ケルテス、ショルティ、クーベリック、
クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
、チェリブ

07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

私も18年前にドレスデンでバームクーヘン食べました。マイセンではB級品でもコーヒー茶碗1客日本円で5万円程して庶民には高くて買えなかったですよ。奥様はもしかして◯良女

06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

もろともにあはれとおもへ山ざくら 花よりほか

通りすがりさん

コメント、ありがとうございます。正直、もう2年ほど前のコンサートなので、詳細は覚えておらず、自分の文章を信じるしかないのですが、生演奏とテレビで

05/13 23:47 sarai
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