意外に今日のプログラムで一番素晴らしかった演奏は最初のドヴォルザークの序曲《オセロ》でした。フルシャの指揮がビシビシ決まっていました。冒頭の何とも言えない静寂感から魅了されます。題材はシェークスピアですが、音楽はボヘミアの雰囲気がたっぷりです。静寂感をベースに時として、熱い高揚もあります。初めて聴く曲ですが、ドヴォルザークの魅力満載です。それをフルシャが見事に描き切りました。
のっけから素晴らしい演奏で、続くマルティヌーの交響曲第2番への期待が膨らみます。フルシャが首席客演指揮者に就任以来、マルティヌーの全交響曲の演奏に取り組んできましたが、今日演奏する第2番と週末に演奏する第1番でいよいよ完結です。saraiは最初に演奏した第3番だけを聴き逃しました。そのときはフルシャを聴いたことがなくて、これほどの指揮者だとは思っていなかったんです。まあ、その第3番以外は全部聴けそうなので、満足ではあります。
今日の第2番の演奏ですが、まあ、フルシャならば、これくらいは演奏するだろうという感じの安定した演奏でした。凄い!というレベルの演奏ではありませんでしたが、第2番が持つ新古典的な簡潔さを十分に表現した切れ味のよい演奏でした。特に弦のパートの細かな動きの表現がうまく生かされていたのが印象的でした。弦のレベルが高い都響の特性を十分に把握したフルシャの指揮は冴えていました。
後半のブラームスの交響曲第2番は悪くはありませんでしたが、フルシャにしては期待外れの感でした。細かいことを言えば、きりがありませんが、要はブラームスのロマンの香り、響きを十分に表現できていなかったということです。フルシャもブラームスに関しては課題があるようです。週末にはブラームスの交響曲第1番を聴きますが、今日の感じではあまり期待できないような気がします。今後、バンベルク交響楽団の首席指揮者として、ドイツ音楽も腕を磨いてほしいですね。
今日のプログラムは以下のとおりでした。
指揮:ヤクブ・フルシャ
管弦楽:東京都交響楽団
ドヴォルザーク:序曲《オセロ》 Op.93 B.174
マルティヌー:交響曲第2番 H.295
《休憩》
ブラームス:交響曲第2番 ニ長調Op.73
予習について触れておきましょう。
まず、ドヴォルザークの序曲《オセロ》は以下のCDを聴きました。
イシュトヴァン・ケルテス指揮ロンドン交響楽団
さすがにドヴォルザークを得意にするケルテス、ツボにはまった演奏です。
次にマルティヌーの交響曲第2番は以下のCDを聴きました。
ヴァーツラフ・ノイマン指揮チェコ・フィル
ネーメ・ヤルヴィ指揮バンベルク交響楽団
いずれも交響曲全集盤からの演奏でマルティヌーを代表する立派な演奏ですが、意外なことにチェコ人のノイマンよりもネーメ・ヤルヴィの演奏のほうがマルティヌーの真髄に迫る演奏でした。マルティヌーがすべての交響曲をアメリカで作曲したことで、チェコの民族的な要素だけでなく、インターナショナルな要素を併せ持っていることと関係しているのかもしれません。
最後にブラームスの交響曲第2番は今更、予習するほどのことはありませんが、ほぼ、楽しみとして以下ののCDを聴きました。
フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィル 1952年5月7日 ミュンヘン、ドイツ博物館コングレスザールでのライヴ録音
MEMBRANの107枚のCDから
ベルナルト・ハイティンク指揮ロンドン交響楽団(全集盤)
ハイティンクはブラームスらしさが横溢した演奏で大いに楽しめました。そもそも、この曲が作曲されたペルチャッハ(ヴェルター湖畔)で聴く予定だった1枚です。悲運にもPCとともにIPODが盗まれたために聴けなかったものを聴き、心の溜飲を収めました。フルトヴェングラーは大いに期待して聴きましたが、演奏・録音ともにブラームスの1番ほどの出来に思えず、ちょっと落胆。
↓ saraiのブログを応援してくれるかたはポチっとクリックしてsaraiを元気づけてね
いいね!
