今回はオーケストラ・声楽曲編です。
このジャンルは今年もたくさんのコンサートを聴きました。なかでもザルツブルク音楽祭でのハイティンク指揮ウィーン・フィルのマーラーの交響曲第9番はsaraiの音楽人生の集大成のようなものでした。それが2回も無事に聴くことができたことでもう我が人生で思い残すことはありません。
ちなみに昨年の結果はここです。
で、今年はベスト10は以下です。
1位 マーラー:交響曲第9番 ハイティンク&ウィーン・フィル 2回目@ザルツブルク祝祭大劇場 2017.7.30
2位 偉大なる“平凡”・・・カヴァコス、ブロムシュテット&ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団@横浜みなとみらいホール 2017.11.09
3位 魅惑的な響きの幻想交響曲!ゲルギエフ&マリインスキー歌劇場管弦楽団@サントリーホール 2017.12.6
4位 ビエロフラーヴェクへのレクイエムは《わが祖国》・・・アルトリヒテル&チェコ・フィル@横浜みなとみらいホール 2017.10.1
5位 驚異の響き・・・ツィンマーマン、ガッティ&ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団@サントリーホール 2017.11.20
6位 感涙のマーラー:大地の歌・・・インバル&東京都交響楽団@東京芸術劇場 2017.07.17
7位 ハイドン《天地創造》に感動!・・・東京都交響楽団@サントリーホール 2017.09.11
8位 感動!シベリウス:クレルヴォ交響曲 リントゥ&東京都交響楽団@東京文化会館 2017.11.8
9位 抒情美を極めた巨匠の《悲愴》フェドセーエフ&チャイコフスキー・シンフォニー・オーケストラ@宮崎芸術劇場 2017.11.11
10位 フルシャ、有終の美!!東京都交響楽団@サントリーホール 2017.12.16
今年の1位は、わざわざザルツブルク音楽祭まで足を運んで聴いたハイティンク指揮ウィーン・フィルのマーラーの交響曲第9番です。saraiにとって、音楽は人生そのもの。中学生になって、親に買ってもらったステレオでクラシックを聴き始め、40歳になって、夢だったウィーン国立歌劇場でオペラを見て、それから、病みつきになって、ヨーロッパ遠征で音楽を聴き続けてきました。そして、遂にハイティンク指揮ウィーン・フィルで一番愛して止まないマーラーの交響曲第9番を聴き、これでもう思い残すことはありません。2日前に聴いた7月28日の演奏も素晴らしかったです。
2位はハイティンクと同様に高齢で元気に指揮棒を振り続けるブロムシュテットが指揮したライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団が演奏したシューベルトの交響曲第8番「ザ・グレート」です。何でもないような普通の演奏の底に深い精神世界が垣間見えるような感じの表現に大変な感銘を受けました。それにしてもブロムシュテットのシューベルトは素晴らしいです。
3位はゲルギエフ&マリインスキー歌劇場管弦楽団の幻想交響曲です。大変美しくて、繊細な表現の演奏にうっとりとしました。ゲルギエフがウィーン・フィルを振ったCDとは比較にならない成熟度です。
4位はビエロフラーヴェクへのレクイエムにも思えたアルトリヒテル&チェコ・フィルの《わが祖国》です。後半の3曲は魂のこもった素晴らしい演奏でした。また、サントリーホールで聴いたドヴォルザークの交響曲第8番も大変素晴らしいものでした。首席指揮者ビエロフラーヴェク亡き後のチェコ・フィルの活躍に期待したいものです。
5位はガッティ&ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の演奏したブラームスの交響曲第1番です。驚異的な響きのブラームスに度肝を抜かれましたが、音楽的にも大変優れた演奏でした。新しい首席指揮者ガッティの下、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の将来は明るそうです。
6位はインバル&東京都交響楽団の十八番のマーラーです。このコンビの大地の歌を聴くのは2度目ですが、いずれも名演。今回はアンナ・ラーションの絶唱が聴きものでした。
7位は大野和士&東京都交響楽団のハイドンのオラトリオ《天地創造》です。正直言って、初めて、大野和士の素晴らしさを認識しました。以前聴いたアーノンクール&ウィーン・コンツェントゥス・ムジクスと名歌手たちによる演奏にも匹敵するような素晴らしい演奏でした。
8位はリントゥ&東京都交響楽団のシベリウスのクレルヴォ交響曲。室内オーケストラを思わせる完璧なアンサンブルで感動的な演奏を聴かせてくれました。海外からの声楽陣の演奏も見事でした。
9位は巨匠フェドセーエフ&チャイコフスキー・シンフォニー・オーケストラの《悲愴》です。このコンビの《悲愴》を聴くのは2度目ですが、さらなる成熟をみせてくれました。3度目にはさらなる飛躍があるのでしょうか。
10位は東京都交響楽団の首席客演指揮者として、フルシャが最終公演で聴かせてくれたマルティヌーとブラームスの交響曲第1番です。素晴らしい演奏にフルシャを失う喪失感を抱くほどでした。在任期間中の最大の功績はマルティヌーの全交響曲を演奏してくれたことです。次はバンベルク交響楽団の首席指揮者として凱旋してくれるようですが、いつの日か、チェコ・フィルを振ってほしいものです。
ジャジャーン!
ここで今年の大賞発表です。
その前に、今年は異例ですが、特別大賞を発表します。大賞とは別枠で今年だけでなく、saraiの30年近いヨーロッパ遠征を通じての特別な思いを込めてのものです。もう、既にお分かりですね。
ザルツブルク音楽祭でのハイティンク指揮ウィーン・フィルのマーラーの交響曲第9番(ザルツブルク祝祭大劇場)
saraiの音楽人生の総決算です。まったく言葉も失うコンサートでした。ハイティンクのすぐ近くの席で聴いた記念すべきコンサートです。指揮を終えた巨匠はすっかり憔悴していましたが、うっすらと涙を見せていたように感じたのはsaraiの感傷でしょうか。立ち上がって拍手をしながら、これまでの名演に感謝をしながら、告別の念を送り続けました。
さて、今年の大賞です。今年はピアノの年でした。シフ、ヒューイット、田部京子の3人はいずれも大賞にふさわしい演奏を聴かせてくれたし、ザルツブルク音楽祭でのクルレンツィス指揮ムジカエテルナのオペラ《皇帝ティトの仁慈》はsaraiの音楽的な価値観をひっくり返すような強烈なものでしたが、今年は何と言っても、これが一番、魂の奥底に響いてきました。
ロータス・カルテットのベートーヴェン・ツィクルス@鶴見サルビアホール
全16曲、すべて最高の演奏でした。とりわけ、後期の第13番~第16番は深い音楽性を持った超名演でした。ヨーロッパに渡った日本人女性4人の本当の活躍はこれから始まるでしょう。日本の音楽界も変わりましたね。とても感慨深いです。
来年の感動に期待しながら、今年の総括は幕としましょう。
今年も当ブログを読んでいただいたみなさんには感謝です。また、来年も引き続き、ご愛読ください。
saraiはこの総括を書いていて、たまらず、マーラーの交響曲第9番を聴きたくなりました。大晦日、音楽の締めです。聴くのはもちろん、ハイティンク。選んだ演奏はこれです。
2011.5.15 コンセルトヘボウ管 ブルーレイディスク コンセルトヘボウ管のBDのマーラー全集より
今、第4楽章の最後の薄明の世界が閉じていきました。拍手が起きる前にボリュームをそっと絞りました。この音楽は最後は拍手なしに終わりたいものです。
saraiはこれから、みなとみらいホールのジルヴェスターコンサートに出かけます。今年も音楽で年越しです。
皆さま、よいお年を!!
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