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ゴッタルド・パノラマ・エキスプレスの旅:ビアスキナの3層ループ線

2017年7月23日土曜日@ベリンツォーナ~ルツェルン/12回目

ベリンツォーナBellinzonaからルツェルンLuzernに向けて、ゴッタルド・パノラマ・エキスプレスGotthard Panorama Expressの旅を楽しんでいます。
ちょうどビアスカ駅 Biascaの背後にあるリ・デッラ・フロダ川Ri della Frodaから流れ落ちる3段の滝、カスカータ・ディ・サンタ・ペトロニッラCascata di Santa Petronillaを眺めたところです。

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つなぎを着た車両関係者が通路をうろうろしながら、カスカータ、カスカータ!って叫びながら、観光案内をしてくれます。カスカータってイタリア語で滝って、ことですね。なかなか親切です。お陰で乗客たちは大盛り上がりで右往左往しながら、カメラのシャッターを切ります。

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ビアスカ駅を過ぎると、それまで北上していたゴッタルド・パノラマ・エキスプレスは向きを北西方向に変えて、ティチーノ川Ticino沿いの渓谷に分け入っていきます。だからと言って、人工物がないわけではなく、太陽光発電システムを備えた大きな建物が並んでいます。自然と人間の共生と言うか、人間の力がこんな山奥まで入り込んでいることにあきれます。

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山の裾野の小さな平地にはワイン畑もあります。ちなみにこの辺りのワインはメルロー種のブドウから作られるものが多いようです。

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やがて、左手には立派な高速道路が平行して走ります。スイスの大幹線道路A2ですね。バーゼルとティチーノ州キアッソを結ぶ大動脈です。

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山間の狭い平地にはどこまでも町が続いています。

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やがて、ゴッタルド・パノラマ・エキスプレスは山際を走り出します。

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山と線路の間に清流が流れ始めます。ティチーノ川ですね。

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ティチーノ川沿いに走っていたゴッタルド・パノラマ・エキスプレスはトンネルを抜けて、ループしながら急速に高度を上げていきます。ビアスキナBiaschinaの3層構造のループ線です。最初の1500m以上の長さのトンネルを抜けると、これでぐるりと1周目の回転を終えています。周りは山の樹木が迫っています。

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行く手にとても高い自動車道路橋が見えてきます。高速道路A2の一部です。1980年頃に作られた100mの高さの自動車橋です。スイスで2番目の高さを誇るそうです。

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ゴッタルド・パノラマ・エキスプレスは少しずつ高度を上げながら、その自動車橋に向かっていきます。

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自動車橋の下を抜ける3階層目の鉄道橋も見えています。現在走っている線路は2階層目です。もう1回ループして、あの3階層目の鉄道橋に上っていきます。

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ゴッタルド・パノラマ・エキスプレスは樹木の間のわずかな隙間を抜けて走っていきます。

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ここまでのゴッタルド・パノラマ・エキスプレスの鉄道ルートを地図で確認しておきましょう。

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ビアスキナ渓谷のループ線の景観はこれからが本番です。



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ゴッタルド・パノラマ・エキスプレスの旅:ビアスキナの3層ループ線は旅のハイライト

2017年7月23日土曜日@ベリンツォーナ~ルツェルン/13回目

ベリンツォーナBellinzonaからルツェルンLuzernに向けて、ゴッタルド・パノラマ・エキスプレスGotthard Panorama Expressの旅を楽しんでいます。
ビアスキナBiaschinaの3層構造のループ線を上っている最中です。現在、2階層目の線路を走り、高速道路A2の自動車橋を目指しています。
3層のループ線はこのような感じです。ブルーの矢印が1層目の線路、黒い矢印がトンネル、緑の矢印が2層目の線路、紫色の矢印が3層目の線路です。トンネル内のループで高度を上げていく方式です。このループ線で約80mの高度差をかせぎます。

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樹木の中を抜け出ると、左手に高速道路A2の自動車橋が頭上に見えてきます。自動車橋は随分、高いところにありますね。

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少しすると、自動車橋がはっきりと見えてきます。

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やがて、自動車橋の下に最下層の線路も見えてきます。先ほどまで、このゴッタルド・パノラマ・エキスプレスが走ってきた線路です。今はトンネルの中でループして、2階層目の線路に上がっています。この先、最上層の線路に向かって、ループしていきます。

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自動車橋の下に清流が流れています。ティチーノ川Ticinoです。

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自動車橋と並行して走りながら少しずつ自動車橋に近づいていきます。

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自動車橋と並行して走っていた2層目の線路が左のほうに曲がって、自動車橋の下に向かっていきます。最下層の線路もよく見えています。

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自動車橋の下をまさにくぐろうとしています。

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一般自動車道と並んで、自動車橋の下をくぐります。

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真上に自動車橋が見えています。

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すぐにまた、トンネルに入り、ぐるっと1周ループします。トンネルを抜けると、目の前にまた自動車橋が見えます。今度は自動車橋とほぼ同じ高さです。2周ループして80m高度を上げて、100mの高度の自動車橋と近い高さになりました。ちなみに自動車橋はこの80mの鉄道橋を越すために100mもの高さに設計したんでしょう。

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自動車橋を再度くぐるべく、自動車橋に近づいていくと、また、下に最下層の線路が見えてきます。ただし、今度ははるか80m下に見えています。

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さらにその上(画面の左下)に2層目の線路も見えてきます。現在、最上層の鉄道橋を走っているところですから、これで3階層すべての線路が見えたことになります。

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自動車橋の下にさしかかると、1層目と2層目の線路がはっきりと見渡せます。この風景はゴッタルド・パノラマ・エキスプレスのハイライトです。

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自動車橋のすぐ下を通り抜けます。

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これでいったん、自動車橋の左側に出ます。もっとも自動車橋は終わり、高速道路A2はトンネルの中に入り、見えなくなります。それでもしばらくはゴッタルド・パノラマ・エキスプレスは高速道路A2と並走していきます。



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ゴッタルド・パノラマ・エキスプレスの旅:3層ループ線を超えて、渓谷を往く

2017年7月23日土曜日@ベリンツォーナ~ルツェルン/14回目

ベリンツォーナBellinzonaからルツェルンLuzernに向けて、ゴッタルド・パノラマ・エキスプレスGotthard Panorama Expressの旅を楽しんでいます。
ビアスキナBiaschinaの3層構造のループ線を上りきって、最上層の鉄道橋を走っています。現在、走っているのは◎のあたりです。

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後方に今くぐり抜けてきた100mの高さの自動車橋が見えています。

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下を見ると、2階層目の線路が見えています。2階層目の線路はこの先で右に曲がってトンネルに入り、1周ループして、最上層の鉄道橋に上ってきます。

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その2階層目の線路の下には並行して流れるティチーノ川Ticinoが見えます。

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この後、最上層の線路を走るゴッタルド・パノラマ・エキスプレスは再びトンネルに入り、トンネルから抜けてきたときには、同じくトンネルを抜けた高速道路A2の右側に出ています。つまり、トンネル内で高速道路の下を交差してきたようです。自動車橋は左側に見えています。

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自動車橋と線路の間には一般自動車道路も走っています。一般自動車道路サン・ゴッタルド通りVia S. Gotthardだけはトンネルに入らずに川沿いに走ってきて、高速道路と鉄道の間に割り込む形になっています。

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ティチーノ川の清流を挟んで、2本の自動車道路と1本の鉄道が走っていきます。ゴッタルド峠でアルプスを越える重要な交通路です。

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ゴッタルド・パノラマ・エキスプレスは蛇行する線路をゆっくりと走っていきます。

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岩がごろごろしているティチーノ川がすぐ近くに見えています。

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一般道は川向うにあるニヴォNivoの町への向かうために、川を渡る橋で分岐路につながっています。

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一般道のサン・ゴッタルド通り自体は線路と並行して続いています。

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もうしばらく、川と自動車橋、一般道路、鉄道は並行して走ります。

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やがて、岩山がそそり立つ極めて狭い渓谷を鉄道と道路が抜けていきます。

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時折、渓谷の間に開けた狭い平地にのどかな村の営みも見えます。

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ゴッタルド・パノラマ・エキスプレスは岩山の中を順調に走り抜けていきます。

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ルツェルン湖の観光船乗り場のフリューレンFlühlenまではまだ1時間以上の道のりがあります。



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ゴッタルド・パノラマ・エキスプレスの旅:次のループ線はまるで気が付かず・・・通過

2017年7月23日土曜日@ベリンツォーナ~ルツェルン/15回目

ベリンツォーナBellinzonaからルツェルンLuzernに向けて、ゴッタルド・パノラマ・エキスプレスGotthard Panorama Expressの旅を楽しんでいます。
ティチーノ川Ticinoに沿って、ゴッタルド峠に向かっていきます。前方にキッジョニャ Chiggiognaの可愛い村が現れます。

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キッジョニャの村の鮮やかな色の家が印象的です。こういう色遣いは日本人の感性からは想像し難いものがありますね。

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ゴッタルド・パノラマ・エキスプレスの乗客のかたも車窓からの風景を写真に収めるのに余念がありませんね。

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たちまち、キッジョニャの小さな村は遠ざかっていきます。周辺の山々に発する清冽な流れがティチーノ川に注ぎ込みます。乗客のかたはじっと車窓の美しい眺めに見入っています。

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左手に並行して走る高速道路A2は山のトンネルの中に吸い込まれていきます。

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やがて、レヴェンティーナLeventina地方の中心地のファイドFaidoの町に入っていきます。およそ2900人の町です。町外れの山の裾野には大きな滝が見えています。ピウモニャの滝Cascata Piumognaです。

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またまた、つなぎを着た車両関係者からのカスカータ!カスカータ!の連呼の案内があります。揺れる車両と、右に左にと写真を撮るために移動する乗客の安全のためか、車掌さんが常時気を使っています。景色を楽しんでもらおうというサービス精神で客をあおる割には、キャアと歓声を上げると、静かに!と注意が飛びます。ま、賑やかに沿線の風景を楽しみます。
遠く、町はずれの教会の向こうにピウモニャの滝が見えます。

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滝をもう少しアップで見てみましょう。

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町を抜けていくと、大きな岩山が迫ってきます。

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町を抜けると、岩山の麓にトンネルを抜けてきた高速道路A2の自動車橋が姿を現します。

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町外れの草原の中にポツン、ポツンと可愛い家々が建っています。

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相変わらず草原の中で一般道のサン・ゴッタルド通りVia S. Gotthardoと並走します。

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手前の一般道、その向こうの草原、そして、見えていませんがティチーノ川、さらに高速道路A2の自動車橋が鉄道と並走しています。

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やがて、山際にある自動車橋に近づいていきます。

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この先、ゴッタルド・パノラマ・エキスプレスはトンネルに侵入します。トンネルの中にいる我々には分かりませんが、実はまた、ループトンネルだったんです。2つのループトンネルを抜けて、さらに高度を上げていきます。トンネル内の写真は・・・ありません。真っ暗ですからね。
ループトンネルの先は美しい緑の草原です。

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ルツェルン湖の観光船乗り場のフリューレンFlühlenまで、およそ1時間です。



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気ままに箱根:初日は荒れ模様

早春になりましたから、軽く旅に出ましょう。箱根のリゾート宿に4泊して、のんびりと温泉にでも浸かりながらゆっくりします。
saraiにしては早めの行動で、愛車プリウスに乗って、箱根に向かってドライブします。天気予報では午後は雨が強くなりそうなので、その前に箱根近辺に着こうという作戦です。最速ルートの東名高速道を順調に走って、御殿場インターに到着。お昼頃ですが、既に雨足は激しくなっています。まずは御殿場で食材をゲットしましょう。配偶者が下調べしておいた二の岡フーズに向かいます。広い駐車場とそれに比べてとっても小さなショップ。ショップ内は厳選されたハムやソーセージが並んでいます。お勧め商品を訊くと、ボロニアソーセージとのこと。じゃあ、それをいただきましょう。そのほか、目についた牛タンのスモーク、スモークドハム、カントリーチップ(生ソーセージ)を購入します。それらがこれ。美味しそうですね。

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カントリーチップ(生ソーセージ)というのは、ショップのお姉さんの話では、ソーセージに詰める材料なんだそうです。要するに生肉です。焼いて食べるんですが、形はハンバーグみたいですが、味は焼きソーセージそのものです。面白いですね。
このショップのお姉さんに近くのお蕎麦屋さんの情報をいただいて、昼食を食べに行きます。お昼時なので、そのお蕎麦屋さん、金太郎そばは混みあっています。これが金太郎そばです。

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お店の中は昔風の佇まいです。

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飾りつけも賑やかです。

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折角、御殿場の地場のお蕎麦屋さんに入ったので、このお店ならではのおそばをいただきます。
saraiは鴨だしそばです。鴨のローストが別添えになっています。鴨肉はフランス産だそうです。なかなか濃厚な味わいで美味しくいただきました。

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配偶者は御殿鶏そばです。多くの具材が煮込まれたおそばです。安くてお徳用なおそばだったようです。

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まだ、雨風は強いままですが、商材調達を再開します。小田原の蒲鉾のトップブランドの鈴廣の御殿場店に向かいます。
店内にはいると、モダンな雰囲気で蒲鉾屋さんという感じとは程遠いものです。商品も蒲鉾をベースに幅広い品揃えです。ぶらっと見て回ると、色々と気になるものが並んでいます。saraiの目が釘付けになったのは、見た目がたこ焼きそのものの《ふわっプリたこ右衛門》です。これは食べてみなくっちゃね。早速、注文して焼いてもらいました。店内で食べられるんです。ソースはどれにしますかって言われて戸惑います。4種類のソースから選ぶんだそうです。この御殿場店限定のわさびチーズソースにします。オリーブオイル&レモンも気になりましたけどね。食べてみると熱々でなかなか絶妙な味です。配偶者は皮が蒲鉾になっただけの予想通りの味だとクールな感想ですが、いやいや、saraiには想像外の味でした。たこ焼きでありながら、たこ焼きでないような感じです。

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その後、食材を購入します。板わさ用にわさび漬けと高級蒲鉾、魚で作ったソーセージ3種、かまぼふりかけ、梅干し(曽我梅林)です。そうそう、さっき、お蕎麦屋さんでさしみこんにゃくも購入しました。

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今日、調達した食材はこれが全てです。

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雨風がおさまらないので、早めにリゾート宿に入り、部屋にこもって、ゆっくりしました。
明日は仙石原でも散策しましょう。



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気ままに箱根:すすきの原の真っ只中の素敵な散策

箱根の2日目。宿泊しているリゾート宿は仙石原です。今日は雨があがったので仙石原を散策しましょう。ただ、朝は空がどんよりしています。いつまでもぐずぐずしているわかにはいかないので、とりあえず、出かけましょう。箱根湿生花園とすすきの原を巡ってきます。ところがリゾート宿のスタッフのお姉さんのお話では湿生花園はこの時期は休業中とのこと。仕方ありませんね。湿生花園は外から眺めるだけにしましょう。さあ、出発です。
早川の鄙びた流れの前に出ます。

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早川に沿って、湿生花園に向かいます。

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途中、いまだ冬枯れの公園、憩いの森の前を通ります。

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やがて、湿生花園の駐車場からの入り口へのアプローチに到着します。

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何故か、少し先行していた配偶者がずんずんと入り口に向かっていきます。あれっと思っていると、こんな看板が立っています。何と湿生花園は条件付きで開園しているようです。咲いている花はフクジュソウ、セツブンソウだけのようですが、それを承知の上で割引料金での入園が可能とのことです。

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割引チケットを購入して、さあ、入園です。

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園内マップの看板を参考に園内散策を始めます。

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まずはセツブンソウを発見。看板で分かります。

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こんなか細い花ですから、看板なしには見つかりませんね。貴重で可憐な小花です。

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水芭蕉はまだ芽吹いたばかりです。

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フクジュソウもありました。

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黄色い花が存在感を発揮しています。

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園内を歩いていると、美しい色彩のキジが現れます。綺麗な鳥ですね。

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湿生花園は水場が美しい風景を作っています。

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湿生花園の向こうには台ヶ岳がなだらかな姿を見せています。

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湿生花園を出て、今度はすすきの原の前に出ます。

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すすきの原の間の広い自動車道を歩いていると、すすきの原の中を歩く人影が見えます。折角なら、すすきの中の散策道を歩きたいですね。自動車道を戻り、散策道の入り口を探します。すると、ありました! 自動車道からすすきの原の中に分け入る散策道の入り口が見つかります。先ほど見えた人影は若いパパさんとママさんと赤ちゃん、そして犬でした。彼らは散策道が思いのほか、険しくて、途中で引き返してきたそうです。saraiと配偶者はそれでももちろん、チャレンジしますよ。さあ、すすきの中の道を歩き始めます。

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道の両側には枯れすすきが生い茂っています。

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道が段々と荒れてきます。道の左のコンクリートの狭い縁石の上を歩いていきます。

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こんな岩だらけの道になります。このあたりで若い親子連れは引き返したのでしょう。

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後ろを振り返ると、すすきの中の道がずっと下って続いています。

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やがて、まっすぐにすすきの中に続いて上っていた道は行き止まりになります。かなり高いところまで上ってきました。左側にはすすきが刈り込まれたなだらかな斜面があります。この斜面を下りることができれば、自動車道に出ることができます。さて、どうしたものか・・・配偶者は懐疑的です。

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とりあえず、行けるところまで行ってみましょう。saraiだけが慎重に歩き始めます。歩いてみると結構急な斜面です。じぐざぐに歩きながら、下りていきます。すすきの刈ったあとの切り株がつんつんと立っていて、それを踏みつけながら歩きます。気を抜くと、足を取られそうです。それでも順調に進んでいきます。心配そうに配偶者が上から見守っています。

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やがて、行く手が谷のようになっています。しかし、何とか周り込めそうです。

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配偶者も意を決してsaraiに続いて斜面を下りてきます。谷のような難所を何とか通り過ぎることができました。まわりには美しいすすきの原が広がります。

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配偶者も無事に下りてきました。このころになるとそれまで曇っていた空も腫れあがってきます。

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自動車道は目の前です。

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斜面を下り終えて、自動車道に出ました。すすきの原の斜面を振り返ります。

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箱根・仙石原の美しい自然を体感しました。これで今日の散策の目的は完了です。すると急におなかが空いてきます。ランチのお店を探しましょう。
途中、大きなホテルの裏に綺麗な池があります。

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その風景に見入っていると、配偶者がそこに可愛い馬頭観音があるのを発見。お参りしましょう。

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また、鄙びた早川の流れに戻ってきました。

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ランチのお店はどこもこの時期はクローズしています。では、ルネ・ラリック美術館併設のレストランにしましょう。ここが開いているのは先ほど確認済です。綺麗な庭園が眺められる席につきます。

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レストランは美しい内装です。ホテルのレストランみたいな感じです。

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ドリンクはジュースを選択。歩き回って疲れたのでフレッシュなものが欲しくなったんです。

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まずはスープです。

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これは配偶者のオイル・パスタ。シンプルですが、なかなか美味。

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これはsaraiのミートソース・パスタ。もちろん、見かけ通りの美味しさです。

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ランチの後はスーパーなどで今日の食材を調達します。箱根にも腸詰屋がありますね。ここでヴァイス・ヴルストをゲット。ミュンヘンが懐かしいですね。

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今日の散策ルートを地図で確認しておきましょう。

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早めにリゾート宿に戻り、温泉でほっこりします。
さて、明日も晴れそうだから、箱根の散策でもしようかな。



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気ままに箱根:湖尻まで自然を満喫したハイキング

箱根の3日目。昨日、箱根湿生花園からすすきの原に向かって歩いていく途中で、気になる看板を見ました。それって、この仙石原から芦ノ湖の湖畔の湖尻までの散策路の地図です。仙石原~湖尻自然探勝歩道って名付けられた散策路です。

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今日は天気も良さそうなので、この散策路を歩いてみることにします。朝11時ころに天気を見極めて、散策に出発します。早川沿いに箱根湿生花園の前まで歩き、そこから、すすきの原のほうに向かいます。昨日見つけた看板のところに到着。ここから、湖尻への散策路が始まります。

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さあ、元気よく歩き始めましょう。

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丁寧に立てられた案内板にしたがって歩いていきます。

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曲がり角には必ず案内板があります。

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やがて、自然豊かな雰囲気の小径にさしかかります。

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気持ちのよい素晴らしい小径が続きます。

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木立の中の道を進んでいきます。

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やがて、小径の路面が石畳に変わります。いい雰囲気ですね。アッピア街道とまではいきませんが、石畳はいいですね。

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と、早川沿いの道に下りていく階段があります。早川沿いに出ると湖尻の方向とは逆方向に進むので戸惑います。

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早川沿いを逆方向に歩いていくと、大きな看板が立っています。展望案内図です。箱根の外輪山の案内図です。

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正面の山の左手のへこみが乙女峠です。画面の一番右側の山が金時山です。

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左に目を転じると、大きな山が見えます。丸岳です。画面の左端の山が下ったあたりが長尾峠です。

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さらに早川沿いに進むと、横から流れ込む支流を渡る木橋とその先の早川本流を渡る橋が見えてきます。この橋に誘導するために早川沿いの道は逆方向になっていたんですね。

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早川を渡る木橋に立って、saraiは早川の流れを眺めます。

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これが早川です。芦ノ湖から流れ出す清流です。これは芦ノ湖の湖尻方向です。

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橋を渡って、対岸の道を今度こそ、湖尻方向に向かって歩いていきます。先ほど支流の木橋を渡りましたが、今度は対岸の支流の木橋を渡ります。

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やがて、向かい側に先ほど早川沿いの道に下りてきた階段が見えます。ここまでは無駄な回り道だったわけです。しかし、それを配偶者に言うと、気持ちのよい自然を余計に味わわせてもらって感謝しましょうって言われます。それはそうかも・・・。

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余計に歩いたせいではありませんが、持病の足の痛みが襲います。どこかで一休みしたいところです。ベンチがほしいなと思っていると、うまい具合に道の真ん中に頃良い高さで斜めに切った切り株があります。まるでベンチみたいなものです。これで足の痛みが治まります。

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その先に進むと、すぐに本物のベンチが現れます。これには苦笑しますが、今一度、休みます。

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やがて、散策路は早川から離れていきます。笹に両側を挟まれて、まるで笹のトンネルのように見える美しい小径です。

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散策路はやがて、広い道にぶつかります。これはサイクリング道です。

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しばらく、このサイクリング道を歩きます。

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やがて、分岐路に出ます。ここには大きな地図の案内板が立っています。ここから歩道はサイクリング道から離れて、山道を上っていきます。配偶者はsaraiの足を心配して、平坦なサイクリング道を歩こうと言いますが、saraiは大丈夫だから、見晴らしが良さそうな山道を上がろうという方向で話を決します。

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さあ、山道を上っていきましょう。山道と言っても道幅の広いしっかりした道です。

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振り返ると、今分岐してきた道が見えます。サイクリング道は左が仙石原、右が湖尻方面です。

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山道を上っていきますが、道には車の轍が残っています。ハイキング道にもなっていますが、車も通行できるようですね。

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山道ではありますが、左側にはずっとゴルフ場が見下ろせます。向かい側の山の中腹では噴煙が上がっています。大涌谷でしょうか。

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後ろから車が追い越していき、少し前で停車します。山林の作業中の方たちのようです。少し声を交わすと、幼木が鹿に食べられないように保護ネットを巻き付けているそうです。イノシシは食べないそうです。自然と人間の共生はなかなか難しいんですね。これが保護ネットを巻き付けた幼木です。

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保護ネットの設置中であることを示す看板も立っています。

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やがて、展望台のようなところに出ます。展望案内板が立っています。

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やはり、噴煙の上がっているのは大涌谷でした。その左の山は台ヶ岳、右はつんと突き出た山が冠ヶ岳、その右は神山です。

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道の傍らに花をつけた木があります。配偶者によると、ミツマタだそうです。確かに枝先が奇麗に三つに分かれて、花を咲かせています。

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山道を下り始めます。やはり、下りは楽です。

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このあたりは山林の整備が進んでいて、樹木の間引き作業の説明板も立っています。

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大きな樹木も鹿の被害に合わないように竹で保護されています。鹿と人間の共生の難しさが実感できますね。

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やがて、山道を下り終えて、また、大きな地図の案内板があります。

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先ほど分かれたサイクリング道と合流です。

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合流したサイクリング道を湖尻に向かって歩き始めます。振り返って、合流ポイントを眺めます。

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まあ、サイクリング道と言っても、山道とそんなに変わらず、結構、起伏があります。

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長尾峠に上る道があります。往復1時間ほどのようです。もちろん、そんな体力はありませんから、素通りします。

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散策路はずっとゴルフ場に沿っています。樹木がなくて、ゴルフ場が見通せるところがあります。箱根カントリー倶楽部です。

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やがて、距離の表示してある道標があります。湖尻まであと2.3キロ、仙石原から5.6キロです。3分の2以上来たようです。あと少し頑張りましょう。

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ゴルフ場を抜けた先で突如、芦ノ湖の湖尻水門が姿を現します。

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これが芦ノ湖から早川への水の流れをコントロールする湖尻水門です。

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途中、足が痛くなったりもしましたが無事にハイキング完了です。じっと芦ノ湖を見入るsaraiです。

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ここからまた、芦ノ湖西岸歩道が始まっています。今回はこれでハイキングは終了です。それでも芦ノ湖の湖岸だけは見に行きましょう。

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芦ノ湖の湖岸に立ちます。

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釣り船で糸を垂れる人もいますね。のんびりした風景です。

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湖側から湖尻水門を眺めます。

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湖畔にはコテージが立ち並んでいますが、今の時期は休業中のようです。春休みでもなれば賑わうのでしょう。ここは芦ノ湖キャンプ村です。

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バーベキューをするテーブルも並んでいますが、今は閑散としたものです。

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美しい林を抜けて、桃源台に向かいます。

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桃源台のロープウェーのゴンドラが見えます。

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桃源台からはバスに乗って、仙石原に戻ります。その前にここでランチをいただきましょう。展望レストランの窓からは芦ノ湖クルーズの海賊船が見えます。

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saraiはメンチカツカレーをいただきます。

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配偶者はとろろそば。

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ランチを美味しくいただき、15分おきのバスにゆったり座って、15分ほどであっという間に仙石原に帰着。バスはさすがに早いですね。
リゾート宿で温泉に浸かって、疲れを癒しました。
明日はゆったりと過ごしましょう。



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気ままに箱根:終日雨で引き籠り

箱根の4日目。今日は天気予報通り、朝から強い雨が降り続きます。リゾート宿の部屋からは庭とその向こうの早川が雨で煙っています。

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出かける気にならないし、それに今日はお友達夫婦が訪ねてきてくれることになっています。今日は部屋に籠城することにしましょう。お昼頃にお友達夫婦が到着。しばらく歓談した後、温泉を楽しみます。その後は早めの夕食をいただきながら、持参していただいた美味しいお酒を酌み交わしながら、深夜まで、ああだこうだと馬鹿話が延々と続きます。極めて広範囲の話題で語り尽くすことはありませんが、切りがないので適当なところでお開きです。
明日も朝のうちは雨のようです。雨が上がったところで美術館にでも寄って自宅に帰ることにしましょう。



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気ままに箱根:ポーラ美術館は写真が撮れる!

箱根の5日目。今日は最終日です。朝早くは雨が降っていましたが、出かけるころには陽が差してきます。箱根の最後はポーラ美術館でしめくくりましょう。何度となく訪れた美術館ですが、今回は久しぶりの訪問です。調べてみると前回訪れたのは5年前でした。そのときは開館10周年でした。で、今回は開館15周年。このポーラ美術館が開館したのは2002年だったそうです。コレクションの充実度ではsaraiの知る限り、日本で最高です。西洋美術館や大原美術館やブリジストン美術館も立派なコレクションを有していますが、やはり、総合力でこの美術館に軍配を上げたいと思います。
リゾート宿から車で10分ほどで到着です。相変わらず、この美術館は建物もその周囲の環境も秀逸です。駐車場からエントランスに向かいます。赤い木肌の姫沙羅などの美しい樹木の中に隠れるように美術館の建物が見えます。

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エントランスへのアプローチの橋の上です。先客の方が記念撮影中です。彼らもきっとこの訪問がいい思い出になることでしょう。

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エントランスを入るとエスカレーターが下のフロアに続いています。この美術館は周囲の自然環境に溶け込むように建物の高さは8mに抑え、建物の大半は地下空間の中にあります。

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ここがエントランスロビー(1階)です。展示室はさらにここからエスカレーターで下った地下の1階と2階にあります。

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配偶者が入館チケットを買っています。ここは入館料が1800円と高いですが、遂にsaraiたちは200円割引のシニアチケットが買えるようになりました。もっとも2回目の訪問からはスタンプカードを持参すれば200円割引ですが、いつもこのスタンプカードを紛失してしまいます。チケット購入後、下の展示フロアに向かいます。

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地下1階の展示室入口です。写真はここまでですね。日本の美術館もヨーロッパの大半の美術館のように写真撮影が許可になるといいのにねと配偶者に愚痴をこぼします。ところで今開催中の展覧会は《100点の名画でめぐる100年の旅》と題した大コレクション展です。開館15周年を記念したものです。100点の名画を、画家や芸術運動、主題や時代に関わる20のテーマに分け、19世紀半ばから世紀転換期を経て、20世紀にいたる約100年間の西洋と日本の近代絵画の流れを旅するように展示しています。100点はすべて、ポーラ美術館の選りすぐりの贅沢なコレクションばかりです。西洋絵画71点、日本人画家の洋画29点が展示されています。レオナール・フジタ(藤田嗣治)ははて、どっちなんでしょう。最後はフランスに帰化したから西洋絵画かな。

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カメラをポケットにしまいながら入室します。最初の注意書きを見て、あっと驚きます。なんと写真を撮影できますっと書いてあります。そばにいる美術館のスタッフのお姉さんに思わず確認します。本当のようです。一部、撮影できない絵画もあるとのことですが、基本的に撮影OKとのこと。saraiの知る限り、日本では西洋美術館に次いで2つめです。ほかもこの流れになっているんでしょうか。とっても嬉しい驚きです。じゃあ、今日は撮影しまくりましょう。

記念すべき撮影第1号はこれ。エドゥアール・マネが1860年に描いた《サラマンカの学生たち》です。有名な《草上の昼食》はこの3年後に描かれます。

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ジャン=バティスト=カミーユ・コローが1865-1870年頃に描いた《森のなかの少女》です。抒情的な作品で、銀色に靄っている樹木はコローならではです。

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ギュスターヴ・クールベが描いた《岩のある風景》です。クールベ得意の自然描写ですが、あまりに地味ですね。

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アルフレッド・シスレーが1873年に描いた《マルリーの水飼い場》です。セーヌ河岸のマルリー=ル=ロワで描かれた本作はシスレーとしてはもう一つの印象です。

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ウジェーヌ・ブーダンが1873年に描いた《海洋の帆船》です。ブルターニュ地方のカマレ沖の海景と言われています。ブーダンは印象派の巨匠モネの師匠として知られていますが、この作品も明るい光に満ちており、印象派につながるイメージがあります。

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ここまでが1860年代-1870年代の《大自然を歩く 印象派前夜》と題された第1セクションです。


第2セクションはいよいよ、1870年代の印象派初期の作品になります。巨匠モネの作品群です。



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気ままに箱根:ポーラ美術館の名作展・・・2回目

箱根ポーラ美術館で開館15周年を記念した《100点の名画でめぐる100年の旅》と題した大コレクション展を鑑賞中です。
第2セクションの1870年代の印象派初期の作品を鑑賞しますが、このセクションはすべて巨匠モネの作品群です。

クロード・モネが1875年に描いた《散歩》です。モネが住んでいたパリ郊外のアルジャントゥイユ近くのジュヌヴィリエで制作されました。日傘の女性は妻のカミーユ。幸福感に満ちた名作ですね。

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クロード・モネが1877年に描いた《サン=ラザール駅の線路》です。1837年に建設されたパリ最古の駅サン=ラザール駅を主題にした一連の作品群の中の一枚です。芸術作品の対象になりにくい蒸気機関車をモネが描くとこうなるという印象派の名作です。何といっても蒸気の煙の空気感が素晴らしいです。

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クロード・モネが1877年に描いた《花咲く堤、アルジャントゥイユ》です。モネが住んでいたパリ郊外のセーヌ河沿いのアルジャントゥイユで制作されました。手前に描かれた花々の美しさと遠景の工場群の対比が見事です。モネの熟達した筆にかかると無味乾燥の工場さえも絵になります。

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クロード・モネが1880年に描いた《セーヌ河の日没、冬》です。モネが住んでいたパリの北西、セーヌ河近くの小さな村ヴェトゥイユで制作されました。冬のセーヌ河の川面を流れる氷塊が美しい夕暮れの中に描き出されています。名作《印象、日の出》を思い起こします。海と川、日の出と日没という対照的な素材ではありますが、モネの美質が最高に活かされた2枚の作品はsaraiの感性に強く訴えかけてきます。前年に愛妻カミーユを失ったモネの復活の作品でもあります。

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第3セクションは1870年代の作品群《人物の探究 セザンヌとドガ》と題されています。

ポール・セザンヌが1877-1878年に描いた《4人の水浴の女たち》です。セザンヌのトレードマークとも言える女性水浴図の中の一枚です。セザンヌは裸体の女性からなる群像の油彩画を30点ほど残しています。女性たちを3角形の構図の素材として用いた作品ですが、あまりsaraiの好みではありません。

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ポール・セザンヌが1888-1890年に描いた《アルルカン》です。アルルカンというのは喜劇の登場人物である道化師のことです。表情がデフォルメされて、生命感を失った人物像は抽象性を感じさせます。また、画面の上下で三角帽子と靴を切り取った大胆な構図は印象的です。来るべき抽象絵画の登場を予感する最先端の作品ですね。セザンヌなしにピカソを始めとする20世紀絵画は語れません。

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エドガー・ドガが1879-1880年頃に描いた《マント家の人々》です。この作品に描かれているのは、パリ・オペラ座のオーケストラのコントラバス奏者で写真家でもあった友人ルイ=アメデ・マントの家族です。バレエ学校に入学したマントの娘シュザンヌ、ブランシュとその世話をする母親が描かれています。ドガのオペラ座のバレリーナを描いた作品の中の一枚です。バレリーナの何気ない1シーンを切り取るという典型的な特徴を持っています。何気ない日常を描いた風俗画とも言えますね。

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第4セクションは1880年代の作品群《光を描く モネからスーラ》と題されています。

クロード・モネが1884年に描いた《ジヴェルニーの積みわら》です。1883年4月末、モネはジヴェルニーに家を借りました。翌年以降、モネは家の南に広がる牧草地に積み上げられた麦わらの山を描いた8点の〈積みわら〉の連作を制作しました。有名な25点の〈積みわら〉連作を制作したのはずっと後の1890年の晩夏から翌年春にかけてです。この作品は〈積みわら〉連作に先駆けたものです。saraiにはこの〈積みわら〉も後の連作〈積みわら〉も同じに見えますけどね。いずれにせよ、こんな単純なモチーフを光と影の表現としてだけで絵を創造したモネの才能には脱帽するのみです。

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ポール・セザンヌが1879-1882年に描いた《プロヴァンスの風景》です。パリを離れて、故郷のプロヴァンスでセザンヌは隠棲した制作活動を続けます。この作品は緑の樹木や空が筆の大胆なタッチで描かれています。こういうセザンヌの画風がゴッホに影響を与えたに違いありませんね。しかし、こういう筆のタッチよりもセザンヌの素晴らしさは安定した構図とゆるぎない色彩感覚にあるようにも思われます。セザンヌは既に彼の作風の完成の域に近づいているようです。

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ジョルジュ・スーラが1885年に描いた《グランカンの干潮》です。英仏海峡を臨むノルマンディー地方の小村であるグランカンの風景の中に3隻の帆船が描かれています。大作《グランド・ジャット島の日曜日の午後》と同時期に描かれた作品です。スーラが編み出した緻密な点描法で描かれています。画面構成はシンプルですが、点描法による色彩効果は素晴らしいです。こういう貴重な作品がポーラ美術館に収蔵されているのは驚きです。

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カミーユ・ピサロが1886年に描いた《エラニーの花咲く梨の木、朝》です。ピサロが移り住んだノルマンディーの村、エラニー=シュル=エプトで制作されました。ピサロが描く点描法の作品は、スーラとシニャックからの影響を受けたものとは言え、あくまでもピサロらしい色彩感覚に基づくものです。それがピサロの点描法の限界でもあり、評価が難しいところだと思います。saraiは点描法を用いないピサロの絵画のほうを好みます。

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次は第5セクションです。美しき女性たちと題して、いよいよ、ルノワールの作品群が姿を現します。



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気ままに箱根:ポーラ美術館の名作展・・・3回目

箱根ポーラ美術館で開館15周年を記念した《100点の名画でめぐる100年の旅》と題した大コレクション展を鑑賞中です。
第5セクションは1880年代の作品群《美しき女性たち マネとルノワール》と題されています。

エドゥアール・マネが1879年に描いた《ベンチにて》です。モデルは若い女優ジャンヌ・ドマルシーです。描かれた場所はマネが当時借りていた温室アトリエだったそうです。そこの明るいベンチで女性の肖像画が描かれました。油彩ではなく、あえてパステルで描かれました。そのせいか、柔らかい雰囲気が醸し出されています。マネはsaraiの好みの画家ではありませんが、女性の美しさを表現することに長けていることは認めざるを得ませんね。

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ピエール・オーギュスト・ルノワールが1888-1889年頃に描いた《ムール貝採り》です。1879年にルノワールが描いた《ベルヌヴァルのムール貝採り》をもとにして、約10年後に描き直された作品です。1879年の夏、ルノワールはパトロンの一人だったポール・ベラールの別荘のあったディエップ近郊の村、ヴァルジュモンに滞在して、ベラールの家族の肖像画を描くとともに注文以外に浜辺を舞台に田舎風の衣装の子どもたちを描きました。この作品では鮮やかな色彩感が印象的です。田舎の子供が金持ちの子供のように見えるのは違和感がありますね。まあ、そうこだわることもないでしょうが。

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ピエール・オーギュスト・ルノワールが1887年に描いた《水浴の女》です。「水浴する裸婦」もルノワールのトレードマークの一つですね。

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ピエール・オーギュスト・ルノワールが1888年に描いた《髪かざり》です。「水浴する裸婦」もルノワールの脱印象派の取り組みの一つでしたが、こういう風俗画的な作品も新たな取り組みの一つでした。有名な『ピアノを弾く少女たち』も同様な方向性の作品ですね。ルノワールの作品には幸福感とともにやすらぎが感じられます。

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ピエール・オーギュスト・ルノワールが1891年に描いた《レースの帽子の少女》です。少女のモデルは特定されていないそうです。ルノワール自身がイメージした少女の美の理想像を描いたものでしょう。ルノワールの美少女の作品と言えば《イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢》が最高の作品ですが、その11年後に制作された、この作品はふっくらした女性美が加わったもので円熟の域の作品です。

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会場には当時のパリの風景写真が飾られています。3枚の巨大な写真です。
これはアカシア通り。

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これはサン・ジェルマン教会からのパノラマ写真。

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これはサン・ラザール駅。

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次は第6セクション。1880年代、《カンヴァスの上のサムライたち 日本近代洋画の黎明》というものですが、これはパスします。あまり、saraiの趣味ではありません。

第7セクションは1890年代の作品群《印象派の向こう側 ポスト印象派の挑戦》と題されています。

フィンセント・ファン・ゴッホが1890年に描いた《アザミの花》です。これは素晴らしいですね。ゴッホの作品の中でも傑作と言えるでしょう。1890年にオーヴェール=シュル=オワーズに移り住んだ後、ゴッホの亡くなる1ヵ月前に制作されたものです。名作《ひまわり》と並ぶくらいの素晴らしい出来です。とりわけ、薄水色の色調が美しいですね。このポーラ美術館のコレクションのなかでも1、2を争う代表的作品です。

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ポール・セザンヌが1893-1894年に描いた《砂糖壺、梨とテーブルクロス》です。静物画の名人、セザンヌが描いたこの作品もとても素晴らしいですね。対象の質感、空間構成、色彩のバランス、どれをとってもパーフェクトです。それに奇妙に歪んだ空間が微妙な緊張感を呼び起こします。セザンヌの偉大さが思い知らされる作品の一つです。

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ポール・ゴーガンが1886年に描いた《白いテーブルクロス》です。ブルターニュ地方のポン=タヴェンの芸術家コロニーに身を寄せた頃の作品です。まだ、十分にゴーガンらしさは発揮されていませんね。セザンヌの静物画に影響を受けた習作というところでしょうか。

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ポール・ゴーガンが1890/1894年に描いた《異国のエヴァ》です。いかにもゴーガンがタヒチで描いた作品のように見えますが、どうやら、タヒチに旅立つ前に想像で描いた作品のようです。想像でイメージして描くのはゴーガンのお得意の手法ですからね。それにしても珍しい作品です。(タヒチに旅立った後に描いたという説もあります。)

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アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックが1891年頃に描いた《ムーラン・ド・ラ・ガレットにて》です。ロートレックらしく、パリの市井の人物群像を掘り下げて描いた作品です。ムーラン・ド・ラ・ガレットのダンスホールらしい情景も見事に描写されています。

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次は第8セクションです。《モネ、水の世界へ》と題して、水と光を描いたモネの作品群が姿を現します。



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気ままに箱根:ポーラ美術館の名作展・・・4回目

箱根ポーラ美術館で開館15周年を記念した《100点の名画でめぐる100年の旅》と題した大コレクション展を鑑賞中です。
第8セクションは1890年代の作品群《モネ、水の世界へ》と題されています。

クロード・モネが1890年に描いた《バラ色のボート》です。エプト川での舟遊びの情景を描いています。舟に乗っている女性たちは、モネが1892年に再婚したアリス・オシュデの4人の娘のうちの二人、シュザンヌとブランシュであるようです。風景画の中に人物を一つの要素として融合させた作品です。水面の光の表現があくまでもこの作品の主題ですね。

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クロード・モネが1892年に描いた《ルーアン大聖堂》です。名高い〈ルーアン大聖堂〉連作30点のうちの一枚です。この作品では、午後6時の聖堂の様子が描かれています。ちなみに一昨年の夏、saraiはこのルーアン大聖堂を訪れました。時は午後4時頃でした。ルーアン大聖堂のファサードはモネの絵よりも華麗に輝いていました。

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クロード・モネが1899年に描いた《睡蓮の池》です。モネは生涯で200点余りの睡蓮の絵画を制作しましたが、この作品はその中でも最初期に描かれた第1連作18枚の中の一枚です。貴重な作品がポーラ美術館のコレクションに含まれていますね。パリの北西75kmの美しい村ジヴェルニーにこのモネの水の庭があり、1980年から公開されています。一度訪れてみたいとは思っていましたが、かなわぬ夢になりそうです。モネの作品からだけで、その美しい庭の雰囲気を味わいましょう。

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クロード・モネが1907年に描いた《睡蓮》です。48点にも及ぶ第2連作の中の一枚です。第1連作では池の橋や周囲の風景まで描いていましたが、第2連作ではモネの関心は水面の光の移ろいのみに集中します。saraiはある意味、抽象性の高い作品に昇華したと思っています。

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第9セクションは1900年前後の作品群《1900年 時代は動き、芸術が変わる》と題されています。

アンリ・ルソーが1906-1910年頃に描いた《エデンの園のエヴァ》です。熱帯のジャングルに妖しい裸体の女性。素人画家から出発したアンリ・ルソーが到達した孤高の境地です。知られているようにアンリ・ルソーは実際にこのような熱帯のジャングルを見たわけではなく、パリの植物園や書物からのみ、このような心象風景を作り上げました。画家の才能というのは、いかに独自のイメージを頭の中に作り出せるかが重要であるかということを如実に示しています。パリのオルセー美術館で展示されているものなど、このテーマ(熱帯のジャングルと裸体の人物)の作品は6点に限られているそうです。これまた、ポーラ美術館の精華といえる作品です。

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アンリ・ルソーが1896-1898年に描いた《エッフェル塔とトロカデロ宮殿の眺望》です。アンリ・ルソーが描くパリの風景は他の作品と同様に彼のイメージした心象風景です。それも飛びっきり美しい心象風景です。彼はいかに稀代の芸術家であったかということが理解できます。芸術の本質は人間の魂の奥底にある美を掘り起こすことであることを再認識しました。

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ピエール・オーギュスト・ルノワールが1901年に描いた《エッソワの風景、早朝》です。ルノワールの手にかかると、素朴な自然を描いた風景画もこうなるのねって感じで面白いですね。とりわけ、立ち並ぶ木々が美しく描かれています。ここに描かれたエッソワは妻のアリーヌの故郷でシャンパーニュ地方の一農村です。ルノワールはこの地が気に入って、たびたび訪れていたそうです。

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ポール・シニャックが1902年に描いた《オーセールの橋》です。ブルゴーニュ地方ヨンヌ県のオーセールで制作された作品です。ヨンヌ川の橋の向こうに、サン=テティエンヌ大聖堂とサン=ジェルマン大修道院が見えています。これだけの作品を点描法で描く労苦はどれだけのものかと想像してしまいます。やはり、以前よりは大きめの点で描いてはいるようです。この10年ほど前に点描法で燃え尽きたジョルジュ・スーラが急死しています。

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エドガー・ドガが1900-1905年頃に描いた《休息する二人の踊り子》です。まあ、ドガと言えば、踊り子を描いたパステル画ですね。正直、どこがそんなにいいのか、理解に苦しむところもありますが、印象派コレクションを誇るポーラ美術館には欠かせません。

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パブロ・ピカソが描いた青の時代の傑作《海辺の母子像》があったので、パチリと写真を撮ったら、美術館のスタッフがさっと寄ってきて注意します。これは写真撮影不可でした。これが最初に遭遇した撮影不可の絵画でした。ちなみにポーラ美術館のホームページでも画像が公開されていません。ですから、誤って撮影した写真もここには公開できません。ピカソの絵画はすべて撮影不可でした。何とか、ピカソも撮影可にしてほしいものです。 → ポーラ美術館殿

黒田清輝が1912年に描いた《菊》です。日本人として初めて本格的な洋画を描いた画家です。さすがに見事な出来栄えです。

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黒田清輝が1907年に描いた《野辺》です。日本人画家による裸体画ということを超えて、何という見事な作品になっているんでしょう。構図も表現もこれ以上は描けない完成度です。女性を捉えた瑞々しい感性には大変な感銘を受けます。傑作です。

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オディロン・ルドンが1907年に描いた《アポロンの2輪馬車》です。ルドンはこの作品の主題であるアポロンの2輪馬車を繰り返し描いており、愛着のあるテーマだったようです。この作品はこの主題の初期の作品で習作的なものだと思われます。この後、ボルドー美術館に所蔵される『アポロンの馬車(アポロンの戦車)』、オルセー美術館に所蔵される『アポロンの二輪馬車(アポロンの馬車と竜)』でより完成度を高め、色彩も鮮やかなものになっていきます。この作品のテーマはロマン主義の大画家ウジェーヌ・ドラクロワが手がけたルーヴル美術館の天井画『大蛇の神ピュトンに打ち勝つアポロン』に基づくもので、それをルドンなりに再解釈しているようです。古代ローマの大詩人オウィディウスによる詩集≪転身物語(変身物語)≫で書かれた、大地の母神ガイアに代わって、パルナッソス山の麓で予言の力を持っていた巨大な雌蛇ピュトンを、神託所を設けるために退治する≪太陽神アポロン≫に典拠を得たものです。ルドンは人間や自身の解放と理想の追求、さらには芸術的創造の象徴として、4頭の白馬で天翔ける太陽神アポロンの姿を描きました。幻想的な絵画を得意としたルドンの力が発揮された作品です。ところで、1月まではこの作品の代わりにルドンの《日本風の花瓶》という花瓶に生けた花の絵が展示されていたそうです。その超美しい絵も見たかったところです。

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次は第10セクションです。遂に20世紀のフォーヴとキューブの作品群が姿を現します。



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ロータス・カルテット:ベートーヴェン後期弦楽四重奏曲の2大名作を聴く@鵠沼サロンコンサート 2018.3.13

昨年のロータス・カルテット ベートーヴェン・サイクル 2017の最終コンサートと同じプログラムの公演です。あのコンサートは本当に凄かった!生涯に数回というレベルのコンサートでした。今日のコンサートはさすがにあのコンサートの再現とはなりませんでしたが、素晴らしく、美しいアンサンブルに聴き入りました。多分、昨年との違いは昨年はベートーヴェン・サイクルの最終日の演奏の高揚だったということと昨年は極上の響きの鶴見サルビアホールだったことに対して、今回は小さなレストランのサロンコンサート会場だということでしょう。今回は落ち着いた響きが聴けて、それはそれでよかったんですが、感動的な思いには至りませんでした。そんなものですね。

前半の弦楽四重奏曲 第15番 イ短調 Op.132は5楽章から成るアーチ型の構造の作品ですが、真ん中の第3楽章の祈りにも思える音楽も心に響きましたが、それ以上に第5楽章の物悲しい調べが心に沁みました。圧倒的な美しさが耳から離れませんでした。

後半の弦楽四重奏曲 第14番 嬰ハ長調 Op.131はベートーヴェンが作り出した最高の音楽です。第1楽章から哀しみに満ちた音楽が続きます。圧巻だったのは最後の第7楽章です。第7楽章の終盤は人間ベートーヴェンが力を振り絞って前に向かって進んでいく姿が表現されます。力強い人間の歩みではありますが、そこには哀しさも強く滲んでいます。なぜか共感できるものがあります。人は苦しみや哀しみを背負っていても常に前に向かって進んでいかないといけません。これは人の運命であり、ミッションとも言えます。その先に何が待ち受けていたとしてもただひたすら進み続けるしかありません。そこに大きな哀しみがあふれ出します。ベートーヴェンが到達した最後の境地です。その究極の音楽がサロンの空間に流れます。素晴らしい音楽に感銘を受けます。そして、突然のフィナーレです。ロータス・カルテットの4人はいつも素晴らしい音楽を聴かせてくれます。

今日のプログラムは以下のとおりでした。

  ロータス・カルテット
    小林幸子vn  マティアス・ノインドルフvn
    山碕智子va  斎藤千尋vc

  ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第15番 イ短調 Op.132

   《休憩》

  ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第14番 嬰ハ長調 Op.131


アンコールはなしです。この2曲を演奏した後にアンコールで弾ける曲はないそうです。それはそうですね。十分、聴かせてもらいました。また、2日後にはまた、鶴見サルビアホールでロータス・カルテットの演奏を聴かせてもらいますから、それを楽しみにしましょう。

最後に予習について触れておきます。
ベートーヴェンの弦楽四重奏曲 第14番と第15番は以下の3つのセットを聴きました。

 ブッシュ弦楽四重奏団 1936年(第14番) 1937年(第15番) ロンドン、アビーロード
 リンゼイ弦楽四重奏団(リンゼイズ) 1回目(1980年代) ロンドン
 グァルネリ弦楽四重奏団 1987年~1991年、ニューヨーク、アメリカ文芸アカデミー

ブッシュ弦楽四重奏団は最高の演奏。リンゼイ弦楽四重奏団はそれに迫る演奏です。グァルネリ弦楽四重奏団も素晴らしいですが、前者ほどではありません。



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       ロータス・カルテット,  

気ままに箱根:ポーラ美術館の名作展・・・5回目

箱根ポーラ美術館で開館15周年を記念した《100点の名画でめぐる100年の旅》と題した大コレクション展を鑑賞中です。
第10セクションは1900-1910年代の作品群《色とかたちの冒険 フォーヴとキューブ》と題されています。

このセクションはピカソ、ブラック、シャガール、軒並み撮影不可です。何とかならないのかな。仕方がないので次のセクションに移動します。

第11セクションは1910年代の作品群《Bonjour! 巴里 パリと日本の画家たち》と題されています。

佐伯祐三が1925年(大正14年)頃に描いた《アントレ ド リュー ド シャトー》です。1924年のパリ到着後、佐伯が居を定めたモンパルナス駅の南、シャトー通り13番地の近くの街路や壁を翌年、描いた作品です。パリの風景を描いた作品の初期のものです。ユトリロのパリ風景の絵画とも共通点がありますね。

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モーリス・ユトリロ が1910年頃に描いた《シャップ通り》です。パリ北部、モンマルトルの丘の斜面に伸びるシャップ通りは、サン=ピエール教会と、サクレ=クール寺院へと続く坂道です。坂道の先にサクレ=クール寺院が見えていますが、ちょうどこの頃に完成したようです。ユトリロらしい、いい作品ですね。

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このセクションでもレオナール・フジタ (藤田嗣治) の作品は撮影不可でした。

第12セクションは1910-1920年代の作品群《美の競演 女性像にみる西洋と日本》と題されています。

ピエール・ボナールが1917年頃に描いた《浴槽、ブルーのハーモニー》です。ボナールと言えば、この主題、妻マルトの入浴の光景です。saraiには、この主題の作品がよいのか悪いのか、判然としないというのが正直なところです。あまりに見慣れたので、まるで名画を見ている錯覚に陥るという感じもあります。

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関根正二が1919年(大正8年)頃に描いた《三人の顔》です。この画家のことはよく知りません。画面には二人の女性の横顔が描かれています。子供の顔が描かれた痕跡もあるので、この題名になったようです。日本人画家の洋画の枠を超越したような感じがあったので、思わず、写真を撮りました。

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このセクションのピカソも撮影不可。他の日本人画家の作品はパスします。


次のセクションは地下2階なので、移動します。大きなガラスを通して見える外の森の木々が美しいです。人間が苦しみながら生み出す芸術作品を嘲笑うかのような自然の美しさが広がっています。

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第13セクションと第14セクションの日本人画家の作品は興味を惹かないのでパスします。

第15セクションは1920年代の作品群《パリに集う異郷人たち エコール・ド・パリの肖像》と題されています。

シャイム・スーティンが1928年に描いた《青い服を着た子供の肖像》です。まあ、なんとも印象的な作品ではありませんか。これ以前にこんなに子供の実像に迫った作品ってあったでしょうか。子供の魂の内面を写し取ったような絵画です。美を表現するだけが芸術ではないようですね。

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アメデオ・モディリアーニが1917年に描いた《ルニア・チェホフスカの肖像》です。モデルはポーランドの名家出身の女性で軍人の夫の出征に際して、パリに滞在していました。モディリアーニのよきモデルであるとともに彼の芸術の理解者でもありました。この作品はモディリアーニの特徴が発揮された素晴らしい出来栄えです。もっとも、この手のモディリアーニの作品はすべて貴重な傑作揃いですけど。こういう作品が日本の身近な美術館で鑑賞できることは嬉しいことです。

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ジュール・パスキンが1927年に描いた《果物をもつ少女》です。あたかも水彩画のような淡い色彩とタッチで繊細な抒情が漂う作品です。画家の個性が最大限に発揮された名品です。

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マリー・ローランサンが1927年頃に描いた《女優たち》です。何の説明も解釈も必要としないローランサンの世界です。これが芸術なのかどうかは見る人の感性によりますね。saraiは別に嫌いではありませんよ。美しいですからね。

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このセクションに展示してあったパブロ・ピカソとレオナール・フジタ (藤田嗣治)の作品は撮影不可でした。ちょっと撮影不可が多過ぎませんか? → ポーラ美術館殿

次の第16セクションのダリとキリコとマグリットの作品も撮影不可です。

次は第17セクションです。マティスの傑作が姿を現します。これは何故か撮影可のようです。



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ロータス・カルテット:驚きのアンコール@鶴見サルビアホール 2018.2.13

一昨日、ロータス・カルテットのコンサートでベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲の2大傑作、Op.131とOp.132を聴いたところですが、今日はある意味、ぐっと軽く、ハイドン、シューマン、メンデルスゾーンのプログラムでした。ところがやはり、ロータス・カルテットは考えていることが違います。なんとアンコール曲にベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲のもうひとつの傑作、Op.130という超弩級の作品を持ってきます。それもとりわけ美しいカヴァティーナです。もちろん、素晴らしい演奏でした。これで昨年のベートーヴェン・チクルスのうち、主要な後期作品を復習した感じです。

前半のハイドンは古典的な雰囲気を残しつつも深みのある演奏で惹き込まれました。続くシューマンは厚い和声をたっぷりと味わわせてくれて、ロマン派の醍醐味を楽しみました。ここまでが助走です。

後半のメンデルスゾーンは素晴らしく美しい演奏です。こんな美しい音楽があっていいのかと思わせるような見事な演奏を聴かせてくれました。とても18歳の青年が作曲したとは思えない完成度の高い作品です。しかし、そんなsaraiの思いを覆してくれたのがアンコールのベートーヴェンです。真に美しい音楽とは何かをロータス・カルテットは語りたかったのでしょうか。カヴァティーナは美しさの極致の音楽ですが、それ以上に深い思いがこめられた最高の音楽です。ベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲の中でも最も美しい音楽と言っても間違いないでしょう。ロータス・カルテットの演奏は深くて美しい表現の響きでホールの空間を満たしてくれました。結局、このアンコール曲を聴くために本編の3曲を聴いていたような感じです。頭に残ったのはカヴァティーナの美しい旋律だけです。そういうわけで、本編の演奏は頭から一掃されたので、本編の感想はほとんど書けませんでした。悪しからず・・・。

今日のプログラムは以下です。

  ロータス・カルテット
    小林幸子vn  マティアス・ノインドルフvn
    山碕智子va  斎藤千尋vc

   ハイドン:弦楽四重奏曲第34(27)番 ニ長調 Op.20-4 Hob.III:34
   シューマン:弦楽四重奏曲 第2番 ヘ長調 Op.41-2

   《休憩》

  メンデルスゾーン:弦楽四重奏曲 第2番 イ短調 Op.13

   《アンコール》
    ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第13番 変ロ長調 Op.130より、第5楽章 カヴァティーナ Adagio molto espressivo


最後に予習について触れておきます。
1曲目のハイドンの弦楽四重奏曲第34(27)番 ニ長調 Op.20-4 Hob.III:34は以下のCDを聴きました。

 エンジェルス四重奏団

古典の作品を宮廷音楽風に美しく演奏していましたが、少し残響が多過ぎる録音だったのが気になりました。

2曲目のシューマンの弦楽四重奏曲 第2番 ヘ長調 Op.41-2は以下の2枚のCDを聴きました。

 メロス四重奏団
 グリンゴルツ四重奏団

意外にメロス四重奏団の演奏は重くて、もう一つ。グリンゴルツ四重奏団はシューマンのロマンが感じられる美しい演奏でした。とりわけ、第4楽章が見事です。

3曲目のメンデルスゾーンの弦楽四重奏曲 第2番 イ短調 Op.13は以下の2枚のCDを聴きました。

 エマーソン・カルテット
 エベーヌ・カルテット

エマーソン・カルテットはさすがにとっても美しい演奏です。エベーヌ・カルテットはぎょっとするくらい個性的な演奏ですが、とても惹き込まれてしまいました。素晴らしい演奏です。エベーヌ・カルテットのほかのCDも聴いてみたくなりました。


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       ロータス・カルテット,  

気ままに箱根:ポーラ美術館の名作展・・・6回目

箱根ポーラ美術館で開館15周年を記念した《100点の名画でめぐる100年の旅》と題した大コレクション展を鑑賞中です。
第17セクションは1930-1940年代の作品群《実りの季節 マティスとピカソ》と題されています。

アルベール・マルケが1930年に描いた《ブーローニュ=シュル=メール港の眺め》です。アルベール・マルケは、フォーヴィスム(野獣派)に分類されるフランスの画家です。ブーローニュ=シュル=メールはフランスのベルギー国境に近い避暑地の港町で、ここからは英仏両国を結ぶ船が発着します。19世紀半ばには鉄道も開通しています。マルケはこの町に滞在し、借りた部屋からの港の眺めを描きました。遠景は霞にたゆたう古い町、手前には蒸気機関車が明確に描かれ、その対比が面白い画面を形作っていますね。全体的にはとても穏やかな風景で心が休まります。

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ピエール・ボナールが1946年頃に描いた《ミモザのある階段》です。南仏のカンヌ近郊の町、ル・カネにある自邸付近の風景を描いています。ミモザの咲く階段の上に自邸の庭があるそうです。画面ではミモザの花はほとんど形をなしていなくて、色彩としっかりしたタッチだけがミモザの花を感じさせます。抽象性の高い作品です。

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アンリ・マティスが1936年に描いた《襟巻の女》です。大胆な色遣いと画面構成で華やぎに満ちた女性像を描き出しているのはマティス流って感じです。雑なようで完璧な感じもしますが、いずれにせよ洒脱な作品です。

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アンリ・マティスが1943年に描いた《リュート》です。この作品は今回の展示会のポスターの絵にもなっています。今回見た作品中、一番、saraiの心を捉えた絵画です。オレンジ色でまとめられた色彩、女性が左に配置されて、中央にテーブルと大きな花が置かれた安定感のある構図、そして、壁や絨毯に施された文様のもたらす効果、十分に考え抜かれた完璧な絵画です。マティスの心の中で作り上げたイメージの美しさは形而上的な美的完成度に達しています。これこそ芸術ですね。大変な感銘を受けて、じっと見入ってしまいます。この作品が撮影可で本当に良かった!!

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ラウル・デュフィが1937年に描いた《パリ》です。これも素晴らしい作品です。アンリ・マティスの《リュート》がなければ、この展示会の最高の作品と評するところでした。4面の大きな縦長の絵が並んだ西洋屏風のような作品です。各面190.0 x 49.8 cmという大きな人間くらいの絵が並び、壮観です。絵の内容は説明する必要もありませんね。パリの名所四景です。昼から夜への時間経過が描かれています。装飾性の高い絵画ですが、デュフィの素晴らしいところは色彩感覚のバランスがよいところです。対象モティーフの色とは無関係に画面全体で色がグラデーションしていく美しさにはうっとりとさせられます。才人デュフィの名作です。

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このセクションでもピカソやブラックの作品は撮影不可です。

第18セクションはシャガールやレオナール・フジタの素晴らしい作品がありますが撮影不可です。

第19セクションは日本人画家の洋画がありますがあまり興味を惹かないのでパス。

最後の第20セクションはシャガールとポール・デルヴォーのいい作品がありますが撮影不可です。

ということで最後はばたばたっと終わります。

しかし、実は終わっていませんでした。最後の100枚目は番外特別編です。

ワシリー・カンディンスキーが1923年に描いた《支え無し》です。カンディンスキーらしい訳の分からない絵です。ミュンヘンを中心に活躍した青騎士のリーダー格の画家です。そう言えば、このポーラ美術館のコレクションには青騎士の作品がありませんでしたね。この美術館は印象派の作品が中心で抽象絵画はほとんどありません。その中でこのカンディンスキーの抽象絵画を最後の100枚目に据えたということは今後、ポーラ美術館が抽象絵画のコレクションに乗り出すという決意表明なのでしょうか。カンディンスキー、クレー、モンドリアンあたりの作品が近い日に見られるのでしょうか。あるいは青騎士の作品に力を入れるということでしょうか。楽しみに待ちましょう。さて、この作品はカンディンスキーの抽象絵画の中では色彩も華やかで比較的分かりやすい作品です。とりわけ、幾何学的な形のオブジェクトが明確に描かれていて、整理された構図になっています。

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この作品だけは特別に凝った展示をしています。その幾何学的なオブジェクトが1個ずつ取り出されて、立体的に天井から吊り下げられて、構成されています。どうやら、その幾何学的なオブジェクトが空間にリズミカルに配置されているということを示そうとしているようです。それでカンディンスキーの抽象絵画論が理解できるわけではありませんが、遊びとしては面白いですね。

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これでこの展示会は本当に終わりです。最後まで付き合ってくれた方はご苦労様でした。ペコッ!

ポーラ美術館の最後のお楽しみは館外に広がる森の散策です。「風の遊ぶ散歩道」と名付けた森の遊歩道を2013年にグランドオープンしました。実はそれに先立って、プレオープンした遊歩道を2012年に歩きましたが、グランドオープン後の遊歩道を歩くのは初めてです。いったん、美術館の外に出て、美術館の裏手にある遊歩道に出ます。そうです。この遊歩道は無料なんです。
森の中の美しい遊歩道が始まります。

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木道が森の中に誘います。

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美しい樹木が立ち並びます。自然の力なのか、人の手で管理されているのか、いずれにせよ、自然の芸術と言えます。

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樹木の木肌は抽象絵画を思わせる雰囲気です。

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ヒメシャラやブナの美しい木々が目を楽しませてくれます。

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これはブナの大木かな。

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このあたりは赤いツルツルの木肌のヒメシャラが目立ちます。緑の木肌の木はヤマボウシでしょうか。

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森の中に一本の清流が流れています。早川からの支流でしょうか。

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美しい清流沿いに歩きます。

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清流の上を木道が渡っていきます。

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木道の橋の上から眺めた清冽な流れです。

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森の小径の散策を終えました。森に別れを告げます。

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箱根で過ごした5日間は心が癒されるような日々でした。



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ゴッタルド・パノラマ・エキスプレスの旅:狭い谷間を抜けて、アイロロの村へ

2017年7月23日土曜日@ベリンツォーナ~ルツェルン/16回目

ベリンツォーナBellinzonaからルツェルンLuzernに向けて、ゴッタルド・パノラマ・エキスプレスGotthard Panorama Expressの旅を楽しんでいます。

プラトPrato近くの2つのループトンネルを抜けた後、ゴッタルド・パノラマ・エキスプレスはティチーノ川Ticinoに沿って、狭い谷間を走っていきます。左手には高い山が迫っています。

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ゴッタルド・パノラマ・エキスプレスが右に大きくカーブすると、左の車窓に谷間の先のほうが見えてきます。両側の山の間の狭い隙間を抜けて、アルプスに向かっていくようです。手前に見えている村はアンブリ・ソットAmbrì Sottoです。その先の谷の向こうにはアルプスの峰々が見えています。

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村の中に入っていきます。この村には小さなローカル空港のアンブリ空港Ambri Airportもあります。この地方の交通の拠点ですね。

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ゴッタルド・パノラマ・エキスプレスはゆっくりと谷間の村を走っていきます。

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アンブリ・ピオッタAmbrì-Piottaの駅に近づいていくと結構大きな建物が立ち並んでいます。

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村外れの山には登山鉄道が見えます。

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麓のピオッタPiottaから頂上近くのピオラPioraまで843mの高さを一気に登る登山鉄道です。山の上には1.49平方キロのリトム湖Lago Ritomがあります。

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登山鉄道の前を通り過ぎます。

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このあたりは観光施設が並んでいます。

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右手の車窓にはしばらく登山鉄道が見えています。

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両側の山が迫る狭い谷をゴッタルド・パノラマ・エキスプレスが抜けていきます。車掌さんが社内を見回り中ですが、何も用事はなさそうですね。

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狭い谷を抜けると、右側には少し平地が現れます。

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やがて、左の車窓に高速道路A2とティチーノ川が見えてきます。アイロロAiroloの村に近づいたようです。

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ゴッタルド・パノラマ・エキスプレスは速度を落とし始めます。左の車窓は緑が広がっていますが、アイロロの村は右手のようです。

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アイロロの駅に停車します。人口1500人ほどが住む、小さな村ですが、夏の観光シーズンにはハイキング客で賑わうそうです。

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ここまでのゴッタルド・パノラマ・エキスプレスの鉄道ルートを地図で確認しておきましょう。

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ルツェルン湖の観光船乗り場のフリューレンFlühlenまで、残り50分です。



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バイロイト音楽祭のチケット争奪戦、参戦失敗! しかし・・・

今年はザルツブルク音楽祭に出かけますが、肝心のクルレンツィス&ムジカエテルナはチケットが取れず、残念な状況です。しかし、それにもめげずにさらにバイロイト音楽祭も聴きたいとひそかに準備中でした。本日の日本時間の夜10時がインターネットでのチケット販売開始。一昨年より、バイロイト音楽祭もインターネットでのチケット販売を開始したんです。朝10時に国内のコンサートのチケットを首尾よくゲットし、その12時間後のバイロイト音楽祭のチケット販売を待ちます。しかし、この12時間待ちというのに落とし穴がありました。そうなんです。その時刻にはテレビのドラマ(そうです。あのドラマです。)に見入っていて、すっかりバイロイト音楽祭のチケットのことを失念していました。あちゃー!!
気が付いたのは2時間以上過ぎた12時過ぎ。バイロイト音楽祭のチケットサイトに行くと、当然、待ちのキューができていて、ずっと待たされます。2時間半ほど待って、ようやく自分の番が回ってきます。当然、ほとんどの公演がソールドアウトです。一番狙っていた《トリスタンとイゾルテ》もソールドアウト・・・うーん、よくよく見ると8月後半のチケットはまだ買えそうです。カテゴリーA4、A5ならば買えますね。うーん、買っちゃえ!! 高いほうのA4を選びます。ほかは次に聴きたかった《パルジファル》はすべてソールドアウト。《ニュルンベルクのマイスタージンガー》もソールドアウト。《さまよえるオランダ人》は買えますが、やめときましょう。本当はこの4演目を聴くつもりでしたが、こんな状況なので、今年は《トリスタンとイゾルテ》だけにしときましょう。久々にティーレマンの指揮でワーグナーが聴けます。ところでもう一度、《トリスタンとイゾルテ》の状況を確認すると、今度はもう1ランク上のカテゴリーA3に空きが出ています。早速、それにチェンジ。1枚280ユーロで14列目ですから、安いものです(高いだろうって・・・いやいやザルツブルク音楽祭のオペラよりも安いですよ)。ただ、配偶者と並びの席にはなりませんでした。すぐ近くの席なので、まあ、いいでしょう。

ということでバイロイト音楽祭のチケット争奪戦には参戦失敗しましたが、何とか《トリスタンとイゾルテ》のチケットは拾えました。これで今年はsaraiは初バイロイトです。いずれにせよ、今年のバイロイト音楽祭は指輪4部作はワルキューレしか公演がなかったので、いずれ、指輪とパルジファルも聴きたいものです。
念願のバイロイト音楽祭が聴けるので、saraiの人生の夢はこれでほぼ達成かな。欲望は果てしないですけどね。ところで、まだ、宿をとっていません。バイロイトは近くのホテルは少ないと聞いたので、少々、不安ではあります。



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       ティーレマン,  

ベザイデンホウトが綴るモーツァルトの“鋭敏な知性”@東京文化会館 小ホール 2018.3.19

ヨーロッパではフォルテピアノで人気のクリスティアン・ベザイデンホウトのオール・モーツァルト・プログラムを聴きました。実は最近まで彼のことはよく知らなかったのですが、昨年夏のザルツブルク音楽祭でモーツァルトのピアノ協奏曲を聴き、大いに興味を持ちました。そのときはスタインウェイのピアノだったので、彼の本領がさらに発揮されるであろうフォルテピアノのコンサートを聴くことにしました。そして、その期待は十分、応えられました。

ベザイデンホウトが弾くフォルテピアノは蝶のように軽やかです。音量は小さいのですが、かえって、耳を凝らして聴こうとするので、集中力が高まります。そして、1800年頃のオリジナルのフォルテピアノをもとに2002年にチェコで作成されたレプリカのフォルテピアノは繊細極まりない響きで聴くものを惹き付けます。その繊細さの先に感じるのはベザイデンホウトの“鋭敏な知性”が表現するモーツァルトの芸術の奥深さです。モーツァルトがいかに“鋭敏な知性”で音楽を生み出していたのかということがまざまざと感じ取れます。モーツァルトの音楽のシンプルさに惑わされてしまいますが、純粋知性とでも言うべきものがその音楽の源にあるようです。それが作曲当時の響きを再現するフォルテピアノの繊細さを通して、伝わってきました。

前半のプログラムの初めに弾かれたピアノ・ソナタ第10番 ハ長調 K.330はシンプルな楽曲ですが、フォルテピアノで聴くとそのシンプルさがさらにピュアーに響きます。この曲はモダン・ピアノではクララ・ハスキルの絶対的な名演があります。1957年8月のザルツブルク音楽祭とエディンバラ音楽祭でのライヴ録音です。モーツァルトのピアノ協奏曲で数々の名演を残したクララ・ハスキルですが、それらも含めても彼女のモーツァルト演奏の最高峰に挙げられるのがこのピアノ・ソナタ第10番 ハ長調 K.330の演奏です。しかし、ベザイデンホウトのフォルテピアノの演奏はそれとはまた別世界の軽やかさでこの曲のもう一つの音楽的真実を表現します。両端楽章は軽やかさの極致ですし、中間楽章は内省的な面が切々と語られます。フォルテピアノならではの演奏に納得です。

続くピアノ・ソナタ第12番 ヘ長調 K.332では、フォルテピアノの限界まで踏み込んだような響きでダイナミズムを表現します。モーツァルトが和声の表現を追求して、この強弱のつけにくいフォルテピアノで厚い響きを作り出したことが分かります。ベザイデンホウトのフォルテピアノの演奏は彼の“鋭敏な知性”でモーツァルトの真髄に迫っています。見事なものです。

後半のプログラムでもベザイデンホウトは手を緩めません。ピアノ・ソナタ第3番 変ロ長調 K.281の瑞々しい表現は見事です。モーツァルトの初期ソナタの素晴らしさを十全に示してくれます。

最後に演奏したピアノ・ソナタ第14番 ハ短調 K.457はデモーニッシュさではなく、軽やかな哀愁で魅了してくれます。これがフォルテピアノでのこの名曲の表現なんですね。これまた納得です。

シンプルなモーツァルトのピアノ・ソナタ4曲だけのコンサートでしたが、滅多にないような集中力で演奏に耳を傾けました。演奏時間も短かったのですが、凝縮した内容のコンサートで大変、満足しました。

アンコール曲はすぐに分かりました。普通はこれがモーツァルトのピアノ曲とは判じがたい曲ですが、実は昨年夏のザルツブルク音楽祭でベザイデンホウトがアンコールに弾いた曲だったんです。モーツァルトの組曲 ハ長調 K.399です。彼の愛奏曲なんでしょう。ザルツブルク音楽祭ではスタインウェイだったので、フォルテピアノでは初めて聴きます。ザルツブルク音楽祭で聴いたときはてっきりフレンチ・バロックだろうと思いましたが、後でベザイデンホウトにサインをもらったときにアンコール曲は何だったのって訊いたら、最初はモーツァルトのSuiteって答えたので、saraiがエッと訊きなおしたら、K.399と答えてくれたんです。今日はさすがにすぐにモーツァルトだと分かりましたが、やはり、ヘンデルの組曲のような音楽ですね。フォルテピアノの特性が活かされた素晴らしい演奏でした。
2曲目のアンコール曲、モーツァルトのピアノソナタ第9番 ニ長調 K. 311の第2楽章はとりわけ、美しい演奏でうっとりと聴き入りました。今日の最高の演奏だったかもしれません。

今日のプログラムは以下のとおりでした。

  フォルテピアノ:クリスティアン・ベザイデンホウト

  モーツァルト:
   ピアノ・ソナタ第10番 ハ長調 K.330
   ピアノ・ソナタ第12番 ヘ長調 K.332

   《休憩》

  モーツァルト:
   ピアノ・ソナタ第3番 変ロ長調 K.281
   ピアノ・ソナタ第14番 ハ短調 K.457

   《アンコール》

  モーツァルト:組曲 ハ長調 K.399(385i)より、第2曲《アルマンド》
  モーツァルト:ピアノソナタ第9番 ニ長調 K. 311 (284c)より、第2楽章 アンダンテ・ウン・エスレッシオーネ


予習についてまとめておきます。

と言っても、すべてベザイデンホウトのフォルテピアノの演奏のCDです。K.332とK.281は特別にハイレゾ(FLAC 24-88.2)にアップコンバートしたものを聴きました。
ベザイデンホウトのフォルテピアノはハイレゾ(疑似ですが)で聴くとその演奏の繊細な美しさが醸し出されて最高です。



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文句なし!会心の演奏 ショスタコーヴィチ:交響曲第7番 インバル&東京都交響楽団@東京文化会館 2018.3.20

冒頭の主題の響きの素晴らしいこと、完璧です。その後もアンサンブルはますます冴え渡っていきます。まず、音響的にこれ以上は望むべきはないほどの素晴らしい演奏でした。終始、東京都交響楽団のアンサンブルがきっちりと揃っており、弦の響き、とりわけ、第1ヴァイオリンの美しいこと、驚くほどです。その上、オーボエやフルートなどの木管のソロも美しく、何も言うことはありません。そのオーケストラをがっちりと統率していたのはもちろん、巨匠エリアフ・インバルです。一度、リハーサルを聴いてみたいものです。どうやって、ここまでのレベルの演奏にオーケストラを仕上げているんでしょう。ともかく、インバルが振るときの都響の演奏・響きは破格のものです。
一方、音楽的な面はどうだったでしょう。この曲はショスタコーヴィチの音楽の中では交響曲第5番に次いでポピュラーな名曲です。どうしてもこういう美しいアンサンブルで演奏されるとさらっと聴き流してしまいそうになります。第3楽章以降はぐっと集中力を上げて聴いてみました。うんうん、きちっと音楽的なメッセージも聴こえてきます。第3楽章全体、それに第4楽章の後半は“人はどんな極限状況に置かれても生き抜いていかねばならない”という感じの作曲家の魂の声が聴こえてきそうです。感動するためにはもっと沈痛な叫びも欲しいところですが、大変な感銘を受けました。

今日のプログラムは以下のとおりでした。

  指揮:エリアフ・インバル
  管弦楽:東京都交響楽団


  ショスタコーヴィチ:交響曲第7番 ハ長調 op.60《レニングラード》


今回予習したCDは以下です。

 ルドルフ・バルシャイ指揮ユンゲ・ドイチェ・フィル & モスクワ・フィル 1991年6月22日、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス、ライヴ録音

独ソ戦を戦った両国の2つのオーケストラが一緒に演奏したものです。独ソ戦開戦50周年を記念した演奏会だったそうです。バルシャイの指揮が見事で、とても聴きばえのする演奏です。

ところで、来シーズンはしばらく続けた都響の定期会員をやめます。都響を聴くのは今回のコンサートを入れて、残り3回になりました。すべてインバル指揮です。素晴らしい演奏を聴かせてくれそうなので、楽しく拝聴させてもらいます。定期会員をやめるのが惜しくなりそう・・・。



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コバケン、超絶の幻想交響曲 読売日本交響楽団@みなとみらいホール 2018.3.21

いやはや、物凄い演奏でした。もちろん、今年最高の演奏でしたし、これまで聴いたなかで最高の幻想交響曲でした。昨年12月にゲルギエフ&マリインスキー歌劇場管弦楽団の素晴らしい演奏を聴いたばかりですが、今日はそれ以上の極限のオーケストラ演奏でした。なにが凄かったって、コバケン(いや、以降、コバケン様と呼ばせてもらいます)のやりたい放題の思い切って踏み込んだ音楽表現の指揮棒に完璧に反応した読売日本交響楽団のアンサンブルとその響きの美しさが素晴らし過ぎたんです。このように指揮者とオーケストラが完璧に呼応する演奏はかつて1回だけ聴いたことがあります。そのときもコンサートホールはくしくもこの横浜みなとみらいホールでした。今は亡きガリー・ベルティーニが都響を引き連れて、マーラーの交響曲第5番を演奏したときも凄かったんです。saraiはこのとき初めてマーラーの何たるかを理解したんです。その後、あの伝説的なマーラー・ツィクルスが始まりましたが、残念ながら、この最初のマーラー演奏を超えることはありませんでした。同じマーラーの交響曲第5番が同じコンビで演奏されましたが、その内容は別物でした。音楽って難しいものだとそのときに実感したのを思い出します。ということは今日のコバケン様&読売日本交響楽団の幻想交響曲も1度きりの奇跡的な名演だったのかもしれません。日本人指揮者が日本のオーケストラを振ったコンサートでこれ以上のものは思い出せません。多分、生涯最高の幻想交響曲になることでしょう。


まあ、これ以上、書くことはないのですが、一応、演奏を振り返ってみましょう。第1楽章からコバケン節は全開。終始、遅めのテンポで細部を磨き上げた演奏が続きます。細かいテンポの揺れ、思い切った強弱で緊張感の高い演奏です。コンミスの日下紗矢子がリードする高弦、思い切った響きのチェロとヴィオラが絶妙とも思える響きを重ねていきます。次はどうなるのって、息を呑みながら聴き入ります。そして、木管が実に安定した旋律を奏でていきます。そうです。コバケン様は実にメロディーラインを立てるのがうまいんです。これが聴きやすさにもつながっています。各楽器群がメロディーラインを引き継ぎながら、主役になったり、脇役になったりしていきます。これって普通のことではありますが、それが本当に絶妙に決まっているんです。だからと言って、決して凡庸な演奏に陥らないところが凄いです。第1楽章を聴き終っただけでふーっと息をついてしまいます。第2楽章のワルツも基本的には同じですが、さらに華やかさが加わります。天国的な美しさにため息をつきます。そして、圧巻だったのは第3楽章です。まずは北村貴子さんのコール・アングレを称賛しないといけませんね。ともかく、この人は名人です。その名人に思い切った演出を施したのはコバケン様でしょう。客席側のオーボエとの掛け合いは見事としか言いようがありません。ところでオーボエは普通は舞台裏ですよね。今まで聴いた幻想交響曲はみなそうだったような記憶があります。コバケン様の凝った演出で素晴らしい田園風景が展開されます。続く弦楽セクションの演奏の高揚には思わず、深く感動してしまいます。何と美しい音楽なんでしょう。コバケン様の自在なオーケストラのドライブには驚愕するだけです。その些細な棒の動きで音楽が変幻自在に移り変わっていきます。ベルリオーズがこの曲を作ったときによもや200年ほど後にこのアジアの辺境の地で自作がこのように演奏されるとは想像だにしなかったでしょう。最高の音楽、最高の演奏が繰り広げられていきます。大袈裟ではなく、saraiは気絶してしまいそうになりながら、この奇跡的な演奏をじっと聴いています。また、北村貴子さんのコール・アングレの素晴らしい響きが戻ってきて、ティンパニーの遠雷の響きと呼応しながら、この最高の楽章が閉じられます。第4楽章は凄まじい響きで圧倒される断頭台への行進です。フィナーレのギロチンの刃で断罪されるところではもう悶絶する思いです。そして、しめくくりにふさわしい第5楽章。それまでのすべての要素を復習しながら、コバケン様のやりたい放題の指揮と完ぺきなオーケストラのアンサンブルが続いていきます。どの細部も見事過ぎる演奏です。ただし、今日の演奏に一つだけ傷が登場します。鐘の音が微妙に音程を外しています。これは気持ちが悪い。クライマックスなのにね。それ以外は完璧にクライマックスが盛り上がっていきます。凄過ぎるフィナーレです。何という演奏だったのでしょう!

前半のプログラムもコバケン様の美質が活かされた素晴らしい演奏でしたが、後半の幻想交響曲を聴いた後ではもう振り返る必要はないでしょう。一つだけ言えるのは極めて明確にメロディーが立っていたことです。名曲アワーのような2曲、「セビリアの理髪師」序曲と「アルルの女」第2組曲は誰もが細部まで知り尽くしていますから、納得できる演奏は難しいと思いますが、実に見事な演奏でした。

ところで珍しくアンコールがありました。3.11の大震災を悼んで、『カヴァレリア・ルスティカーナ』の間奏曲が演奏されました。オペラに登場する悲劇の女性サントゥッツァの面影を思い出させる悲哀に満ちた曲に心が反応します。うっすらと涙が滲みます。大震災の被害者のかたたちへの哀悼の気持ちも重なります。合掌!


今日のプログラムは以下です。

  指揮:小林 研一郎
  管弦楽:読売日本交響楽団 日下 紗矢子(コンサートマスター)

  ロッシーニ:歌劇「セビリアの理髪師」序曲
  ビゼー:「アルルの女」第2組曲

   《休憩》

  ベルリオーズ:幻想交響曲 Op.14

   《アンコール》

   マスカーニ:オペラ『カヴァレリア・ルスティカーナ』より、間奏曲

最後に予習について、まとめておきます。

ロッシーニの歌劇「セビリアの理髪師」序曲を予習したCDは以下です。

 クラウディオ・アバド指揮ロンドン交響楽団 新盤(RCA) 1978年

素晴らしい演奏です。この頃のアバドは実に颯爽としていました。

ビゼーの「アルルの女」第2組曲を予習したCDは以下です。

 ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィル 1970年

意外にこの曲はいい録音がありません。カラヤンはこの手の音楽は間違いありません。本当はフランスの演奏が聴きたいのですが、これと言った絶対的な録音がないのが残念です。

ベルリオーズの幻想交響曲を予習したCDは以下です。

 シャルル・ミュンシュ指揮パリ管弦楽団 1967年

今更ながらですが、この曲の決定盤はこれです。1枚だけ聴くなら、これしかないでしょう。ただ、今回は初めてハイレゾ(SACD)で聴いてみました。あまりの音の鮮度のよさに仰天してしまいました。ハイレゾを聴くともう元に戻れませんね。ちなみにsaraiがこの曲を聴き覚えたのはボストン交響楽団(1962年)のほうです。これはハイレゾではありませんが、XRCDの素晴らしい音質のCDがあります。こっちを聴いてもよかったんですが・・・。


ところで、来週はこの幻想交響曲を今度はインバル指揮東京都交響楽団で聴きます。もちろん、素晴らしい演奏になるでしょうが、今日ほどの演奏にはならないでしょうね。



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ゴッタルド・パノラマ・エキスプレスの旅:ゴッタルド鉄道トンネル~ヴァッセンの教会

2017年7月23日土曜日@ベリンツォーナ~ルツェルン/17回目

ベリンツォーナBellinzonaからルツェルンLuzernに向けて、ゴッタルド・パノラマ・エキスプレスGotthard Panorama Expressの旅を楽しんでいます。

スイス・イタリア語圏のティチーノ州TicinoにあるアイロロAiroloの駅に着いたところです。このアイロロの村はアルプスのゴッタルド峠越えの南側の交通拠点になっています。現在はここからゲシェネンGöschenenまでは1882年に開通した旧ゴッタルド鉄道の15kmの長さのゴッタルド鉄道トンネルを走るので、山越えするわけではありません。自動車道路も1980年に16.8kmの長さのゴッタルド道路トンネルが完成しました。それまでは自動車はこのアイロロからゲシェエンの間は列車に積まれて、輸送されていたそうです。ちなみにゴッタルド・パノラマ・エキスプレスはこの歴史的なゴッタルド鉄道トンネルを通るルートを走りますが、通常の高速列車は2016年6月1日に開通したばかりのゴッタルドベーストンネルGotthard-Basistunnelを走るようになりました。このゴッタルドベーストンネルはウーリ州エルストフェルトとティチーノ州ボディオを結ぶ全長57kmのトンネルで青函トンネルを抜いて世界最長の鉄道トンネルとなりました。従来のゴッタルド鉄道トンネルやゴッタルド道路トンネルよりもさらに深いところを掘ったそうです。
ともあれ、ゴッタルド・パノラマ・エキスプレスは昔ながらの旧ルートを走っています。観光列車ですから。これが停車中のゴッタルド・パノラマ・エキスプレスから撮ったアイロロの村の様子です。山の中の小さな村とは言え、観光地らしく、綺麗な建物がびっしりと建ち並んでいます。

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駅前の広場にある記念碑が目を引きます。これは1871年〜1881年まで長い年月をかけて完成されたゴッタルド道路とゴッタルド鉄道トンネルの工事の際に亡くなった労働者の方たちの慰霊碑で、彫刻家のヴィンチェンツォ・ヴェラVincenzo Velaによってつくられた殉職者慰霊碑Monumento alle vittime del lavoroです。哀悼の気持ちの込められた素晴らしいレリーフですね。

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ゴッタルド・パノラマ・エキスプレスはすぐにアイロロの駅を離れます。駅のホームの先はすぐにゴッタルド鉄道トンネルが始まります。ゴッタルド・パノラマ・エキスプレスがトンネルに入ると、また、同乗している鉄道関係者が何やら、車窓を見ろと騒いでいます。もちろん、トンネルの中は真っ暗闇です。と、トンネルの壁に明るい光が浮かび上がります。トンネル工事の様子が光の映像として淡く映されています。

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目を凝らして見ますが、あんまり、よくは見えません。でも退屈なトンネル内で楽しませてくれようとする気持ちは伝わってきます。

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光のショウの間はスローダウンして走っていたゴッタルド・パノラマ・エキスプレスはまたスピードを上げます。しかし、15kmの長さのゴッタルド鉄道トンネルはなかなか通り過ぎることができません。延々と長大な真っ暗なトンネルの中を走っていきます。このゴッタルド鉄道トンネルの上にゴッタルド峠San Gottardoがあるんですが、残念ながら鉄道ルートだと見ることができません。有名な悪魔の橋もトンネルの上にあるので見られません。

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ようやく15分ほどでゴッタルド鉄道トンネルを抜けて、ゲシェネンの村に出ます。山の中の可愛い村ですね。

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そこからはまた少しトンネルが続き、高台の線路に出ます。やがて、前方の低い開けたところに村が見えてきます。

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右手の車窓に村全体が見渡せます。ヴァッセンWassenの村です。中央に建つ教会の姿がとても印象的です。

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ヴァッセンの村を眺めていると、手前のすぐ下に鉄道線路が見えることに気が付きます。ここも鉄道が方向を変えながら、この村の下の方まで高度を下げていくんです。ヴァッセンの村を3段階の高さの線路で眺められるという鉄道ファン必見の写真撮影スポットになっています。今は一番高い線路を走っています。一つ下に見えている線路は逆方向から戻ってくるときに走ります。

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いったん、ヴァッセンの村の横を通り過ぎていきます。

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また、トンネルに入ります。このトンネルで大きく孤を描いて、向きを180度変えながら、高度を落としていきます。トンネルを抜けたときは先ほどとは逆方向に進んでいます。左手の車窓には高速道路A2が見えています。再び、逆の方からヴァッセンの村に近づいていきます。

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やがて、木々の向こうにヴァッセンの教会がちらっと見えてきます。今度は真ん中の高度の線路に下りてきたので、先ほどよりも見下ろすという感じがなくなります。

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教会は木々の間に見え隠れしています。

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すぐに教会の正面に出ます。最高層の線路からの眺めと異なり、ほぼ同じ高さからの風景です。

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ここまでのゴッタルド・パノラマ・エキスプレスの鉄道ルートを地図で確認しておきましょう。

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さらにヴァッセンの村を巡る3階層の線路をズームアップした地図で確認しておきましょう。現在は中層の線路を走っているところです。

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これから中層の線路を走って、最下層の線路に下りていきます。



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ゴッタルド・パノラマ・エキスプレスの旅:ヴァッセンの教会を巡る3階層の線路

2017年7月23日土曜日@ベリンツォーナ~ルツェルン/18回目

ベリンツォーナBellinzonaからルツェルンLuzernに向けて、ゴッタルド・パノラマ・エキスプレスGotthard Panorama Expressの旅を楽しんでいます。

ヴァッセンWassenの美しい教会を巡る3階層の線路を走っているところです。現在は1回目のトンネルで逆方向に回転し、中層の線路に下りてきて、ヴァッセンの教会の真横を再び走っています。まさに絵本のような美しい風景です。

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教会の見えている角度が少しずつ変わっていきます。それにしても可愛い教会ですね。

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ヴァッセンの教会がだんだん遠ざかっていきます。この絶景を心に刻み付けておきましょう。

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ヴァッセンの村を通り過ぎて、やがて、左前方の下のほうにトンネルが見えてきます。あれは最下層の線路に出てくるトンネルの出口のようです。これから2番目のトンネルに入って、トンネル内で180度向きを回転して、あのトンネル出口から現在とは逆方向にゴッタルド・パノラマ・エキスプレスが出てきます。

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2番目のトンネルに入ります。真っ暗なので何も見えません。やがて、180度回転して先ほど見えていたトンネル出口から出ます。ロイス川Reuss沿いに走ります。左手には高速道路A2が走っています。また、逆のほうからヴァッセンの村に近づいていきます。もう少しでヴァッセンというところで高速道路A2の下をくぐってトンネルに入ります。トンネルを抜けた先はもうヴァッセンの村の先です。ヴァッセンの村は左手後方にある筈ですが、もう見えません。右手にはロイス川、その向こうに高速道路A2が見えています。

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ここまでヴァッセンの教会を巡る3階層の線路を走ってきました。既に最下層の線路を走って、ヴァッセンの村の先に出ました。地図でそのルートを確認しておきましょう。

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また、トンネルに入り、その中で1回ループして高度を下げます。この手法がこのゴッタルド鉄道には多用されています。ループトンネルを抜けると、また、ロイス川沿いに走ります。

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ロイス川の対岸の高台を高速道路A2が走っています。半地下式のような構造で山の斜面に屋根付きの道路になっています。

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また、綺麗な教会が見えてきます。グールネレンGurtnellenの聖ヨゼフ教会Kirche St. Josefです。

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あっという間にこの小さなグールネレンの村を通り過ぎていきます。

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ロイス川に沿った狭い谷をゴッタルド・パノラマ・エキスプレスはゆっくりと走っていきます。

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短いトンネルがいくつも続きます。狭い谷間の空間ですからね。

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両側には険しい山々がそそり立っています。

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谷川のようなロイス川にぴったり寄り添いながら走っていきます。

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深い山間を鉄道と高速道路A2が突き抜けていきます。スイスが南のイタリアと直結する交通の大動脈です。青空も見えています。アルプスが晴れているといいなと願います。

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ルツェルン湖の観光船乗り場のフリューレンFlühlenまで、残り20分です。ゴッタルド鉄道の旅も残り少なくなってきます。



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目黒川の桜とチターのコンサート

目黒川の桜が世間の話題になっているので、それではと配偶者と今年初めての桜見物に出かけてみました。東横線の中目黒駅で下車すると、驚いたことに駅の改札口前から大変な混雑が続いており、なかなか、前に進めません。桜の花を見に来たのか、人を見に来たのか、分からないほどです。警察官が人混みの整理に汗をかいています。ようやく、人混みをかき分けて、目黒川に近づきます。配偶者はまだ蕾が固いわねって、醒めた口調で話しています。目黒川の前に到着。結構、桜の花は咲いています。ようやく、配偶者は8分くらい咲いているかしらって認めます。まあ、満開というほどは咲いていませんからね。川沿いの道を目黒方向に少し歩き出します。最初の橋の上から目黒川の桜を眺めます。これって、ほぼ満開ですね。

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対岸に渡って、今度は目黒とは反対方向の池尻大橋のほうに向かって歩いていきます。おおっ、こちら側の桜は満開ではないですか! 人も多くなってきます。みなさん、どのあたりの桜が満開かをよく知っていますね。橋の上に出て、満開の桜を見上げます。素晴らしいですね。

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川に沿って、さらに歩いていきますが、どこまでも満開の桜が続きます。このときとばかりに川沿いには食べ物とドリンクのお店が軒を連ねています。どこも行列ができるほどの繁盛ぶりです。1年の稼ぎをこの週末で上げようとばかりに料金も高めです。saraiは意地になって、何も買わないよって強がります。桜見物の人たちの中に外国人が多いことにも驚きます。中には着物姿の外国人の集団もいます。レンタル着物でしょうか。かなり、歩いてきたところで橋の上に上がって、目黒川の上に枝を張り出して咲き誇っている桜を感嘆して眺めます。

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池尻大橋に近づいたところでUターンして、今度は対岸を中目黒のほうに戻ります。中目黒に近づいていくと、桜がだんだんと見事に咲き誇っています。満開の桜とその周辺のお店の繁盛ぶりを楽しんだところで桜見物を完了。また、東横線の電車に乗って、自宅への帰途につきます。

ところで、目黒川のお花見の前はコンサートを楽しんでいたんです。そのコンサートのついでのお花見でした。
コンサートは初台のオペラシティにある近江楽堂でのチターのリサイタルでした。
チターのリサイタルを聴くのは初めての体験です。チター愛好者のお友達からチケットをいただいたので、珍しいチター体験となりました。ドイツの有名なチター奏者、トミー・テマーソンと日本人チター奏者の惠藤美津子のジョイントコンサートです。トミー・テマーソンのソロ演奏と二人のデュエット演奏のプログラムでした。
ドイツ・オーストリアの曲目が中心でした。なかでも、チターと言えば、やはり、ヨハン・シュトラウス2世の《ウィーンの森の物語》は素晴らしいです。昔、アントン・カラスのチターとウィーン・フィルの共演のレコードを聴いた思い出がよみがえります。今回はトミー・テマーソンのソロ演奏でしたが、素晴らしい音色で魅了されました。
今回のコンサートで珍しかったのはチターの演奏をカメラでアップ撮影して、壁に投影してくれたことです。お陰でチターの演奏法がよく分かりました。右手の親指のピックでメロディーを演奏しながら、右手の残りの4本の指で和声コードを弾くんですね。
最後のアンコールでは、映画《第3の男》のハリー・ライムのテーマを演奏してくれました。これまた、アントン・カラスの定番だった曲ですね。見事な演奏でした。
チターのどこか郷愁を誘うような音色に魅惑された2時間でした。



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鬼神のごとき、盛り上がり 幻想交響曲 インバル&東京都交響楽団@サントリーホール 2018.3.26

今年最後の東京都交響楽団のサントリーホール定期公演はsaraiの最後に聴く都響の定期公演でもあります。今日を最後に長年続けた都響の定期会員を止めるんです。何故かと言うと、来シーズンのプログラムがまったくsaraiの趣味に合わなかったからです。でも、今シーズン最後の3月はサントリーホール定期を含めて、巨匠エリアフ・インバルの怒涛のプログラムが続きます。皮肉なことに最後に聴く都響は素晴らしい演奏を続けます。

今日の幻想交響曲は5日前にコバケン&読響で人生最高の演奏を聴いたばかりです。さすがにインバル&東京都交響楽団といえども、あの演奏を超えることはできません。しかし、素晴らしい演奏であることには間違いありません。特に都響の誇る第1ヴァイオリン群の素晴らしさは文句なしです。一度、コバケン指揮で都響の幻想交響曲を聴いてみたいと思いながら、演奏を聴いていました。いえいえ、インバルの指揮が悪かったわけではないんです。コバケンの思いっきり突っ込んだ個性的な曲作りが凄過ぎたんです。読響も都響もいずれ劣らぬ素晴らしいアンサンブルを誇っています。インバルはマーラーを指揮するときほどの深読みがこのベルリオーズには欠けていたかもしれません。
ちなみにコバケン&読響の幻想交響曲が人生最高の演奏と書きましたが、厳密に言えば、少し不正確です。saraiが人生で初めて生演奏で幻想交響曲を聴いたのは1970年ごろにバーンスタインが当時の手兵、ニューヨーク・フィルを率いて来日したときの京都公演の折でした。これが人生初めての一流オーケストラを聴いた体験だったような気がします。まだ、耳が肥えていなかったsaraiはその素晴らしい響きで魅了された記憶があります。それがどれほどのものだったのか、ほぼ50年前のことですから、分かりません。ところで結局、このときが唯一のバーンスタインを聴いたコンサートになってしまいました。残念ですね。彼のマーラーを聴かなかったのは悔やまれます。その頃はもっぱらCDでのみバーンスタインのマーラーを聴いていました。実演の価値に気がついていなかったんです。財政的な問題もありましたけどね。
話を今日の演奏に戻しましょう。素晴らしい演奏ではありましたが、最高とまでは言えない演奏と思って聴いていました。しかし、第5楽章の後半に至り、演奏が熱くなっていきます。フィナーレでは全員が物凄く熱く盛り上がり、まさに鬼神のような雰囲気で高潮します。最後の最後で帳尻を合わせたような演奏でした。最後よければ、すべてよし! 終わってみれば、見事な演奏でした。できうれば、最初からこんな演奏をしてくれれば、よかったのですが・・・。

前半のプログラムのショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第2番はピアノのアレクサンドル・タローの繊細なタッチの弱音の美しさが心に沁みる演奏でした。サポートした都響の演奏は少し重い感じ。タローの一人舞台って感じでした。とりわけ、第2楽章の抒情的な美しい演奏が見事でした。ラフマニノフを思わせるような映画音楽的な美しさですが、聴いていて、うっとりできたんですから、難しいことはなしにしましょう。トッパンホールでのタローのピアノ・リサイタルも聴けばよかったと少し後悔しました。これだけ、美しい弱音の響きを出せるピアニストはそうはいないでしょう。アンコールでもう一度、第2楽章が聴けて、満足でした。

今日のプログラムは以下のとおりです。

  指揮:エリアフ・インバル
  ピアノ:アレクサンドル・タロー
  管弦楽:東京都交響楽団


  ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲第2番 ヘ長調 Op.102

   《アンコール》 ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲第2番 ヘ長調 Op.102より、第2楽章 アンダンテ

   《休憩》

  ベルリオーズ:幻想交響曲 Op.14


最後に予習について、まとめておきます。

ショスタコーヴィチのピアノ協奏曲第2番を予習したCDは以下です。

 アレクサンドル・メルニコフ、テオドール・クルレンツィス指揮マーラー・チェンバー管弦楽団 2011年
 デニス・マツーエフ、ワレリー・ゲルギエフ指揮マリインスキー劇場管弦楽団 2009年

この2枚はとても同じ曲とは思えないほど、演奏が異なっています。マツーエフとゲルギエフも普通なら、凄い演奏と言いたいところですが、メルニコフとクルレンツィスを聴いてしまうと物足りない演奏に思えてしまいます。メルニコフの抑えたタッチのピアノが凄いです。そして、クルレンツィスののりのいい演奏は別次元のものです。いやはや、二人の才能が爆発している名演です。

ベルリオーズの幻想交響曲を予習したCDは以下です。

 シャルル・ミュンシュ指揮ボストン交響楽団 1962年

先日、読響のコンサートの予習にミュンシュ指揮パリ管弦楽団(1967年)の演奏を聴きましたこの曲の決定盤はそれですが、やはり、古典的名演のボストン交響楽団も聴いてみました。耳にタコができるほど聴いた演奏ですが、今回はXRCDの素晴らしい音質のCDで聴きました。何も語る必要のない素晴らしさです。それに音質が最高です。


さて、インバル&東京都交響楽団のコンサートも残すところ、1回だけになりました。有終の美を飾るのはミューザ川崎での名曲コンサート。未完成と悲愴です。じっくりと聴かせてもらいましょう。



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ゴッタルド・パノラマ・エキスプレスの旅:パノラマカーの鉄道旅が完了

2017年7月23日土曜日@ベリンツォーナ~ルツェルン/19回目

ベリンツォーナBellinzonaからルツェルンLuzernに向けて、ゴッタルド・パノラマ・エキスプレスGotthard Panorama Expressの旅を楽しんでいます。

ロイス川Reuss沿いの山間の谷をゴッタルド・パノラマ・エキスプレスは走っていきます。周りには美しい風景が広がっています。

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ロイス川には周りの山々からの清流が流れ込んでいます。これはマイチリゲン川Meitschligenです。

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どこまでもロイス川沿いの美しい風景が続きます。

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険しい山間を抜けていきます。

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なだらかな山の斜面の草原の中にマッチ箱のような可愛い家々が点在しています。

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左側の車窓にアムシュテークAmstegの村が見えてきます。

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アムシュテークの村が近づいてきます。ここにも可愛い教会がありますね。

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アムシュテークの村を見下ろしながら、ゴッタルド・パノラマ・エキスプレスは進んでいきます。

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やがて、ゴッタルド・パノラマ・エキスプレスはまたトンネルに入っていきます。

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短いトンネルを抜けると、デルフリDörfliの村が見えてきます。

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デルフリの村の先にはロイス川がずっと続いています。一路、ゴッタルド・パノラマ・エキスプレスはこの美しい風景の中を走っていきます。

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鉄道の町、エルストフェルトErstfeldを過ぎて、しばらく走ると、ルツェルン湖の観光船乗り場のあるフリューレンFlühlenの駅に到着です。

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ここまででゴッタルド・エキスプレスの鉄道旅は終了です。ゴッタルド・エキスプレスというのは、鉄道のパノラマカーと湖船を組み合わせた総称なんです。パノラマカーに別れを告げます。

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船着き場に入ってくる観光船が見えます。車掌さんから、その観光船に乗るようにとの指示が出ます。

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ここまでのゴッタルド・パノラマ・エキスプレスの鉄道ルートを地図で確認しておきましょう。

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この後、楽しい観光船クルーズが始まる筈ですが・・・悲しいトラブルが発生します。



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ゴッタルド・パノラマ・エキスプレスの旅:ルツェルン湖の観光船

2017年7月23日土曜日@ベリンツォーナ~ルツェルン/20回目

ベリンツォーナBellinzonaからルツェルンLuzernに向けて、ゴッタルド・パノラマ・エキスプレスGotthard Panorama Expressの旅を楽しんでいます。

ゴッタルド・パノラマ・エキスプレスがルツェルン湖の観光船乗り場のあるフリューレンFlühlenの駅に到着したところです。
ちょうどのタイミングで観光船がやってきます。

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観光船が船着き場に着岸します。

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もともとの予定の観光船なのか、到着したときにやってきた観光船に乗り継ぐシステムなのかは分かりませんが、待ち時間ゼロで観光船に乗車します。早速、観光船に乗り込んで、湖上の旅を始めます。ゴッタルド・パノラマ・エキスプレスの乗客は観光船の一等客室に乗れる権利があります。まずは一等船室内のレストランのテーブルにつきます。そうしているうちに観光船はフリューレンの船着き場を離れていきます。

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観光船はフリューレンの船着き場をぐんぐん、離れていきます。

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フリューレンはルツェルン湖の南端に位置しています。ここから、北上して、北端にあるルツェルンの町に向かいます。碧い湖面は美しいですが、空はどんよりと曇っています。

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北に向かって、船首の方向を回転しています。

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フリューレンの町を右手に見ながら、船は北上し始めます。ローマカトリック巡礼教会Röm. katholisches Pfarramtの姿が見えています。

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フリューレンの町の背後にひかえる山の上は雲で煙っています。

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フリューレンの町をあとにして、観光船はスピードを上げていきます。

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楽しいクルーズ旅が本格的に始まります。しかし、ここで問題発生。船内で何を食べるかでsaraiと配偶者は言い争いになって、これ以降、口もきかなくなります。折角のクルーズ旅とルツェルン観光が台無しです。ですから、この後の記事は盛り上がりません。歳を取って、saraiは頑固になったんでしょう。悲しいことです。これじゃ、これからの旅も難しくなりますね。明日からの旅が怖い・・・。
とりあえず、食事のオーダーは済ませます。まずはコーヒーをいただきます。

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食事はスープで始まります。

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気の乗らぬ食事の間、観光船は順調に進んでいきます。最初の寄港地に着岸します。

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ブルンネンBrunnenです。

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ブルンネンから先のルツェルン湖は複雑な地形に変わります。まずは大きく左に舵を切って、西のほうに向かっていきます。

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フリューレンに向かう観光船とすれ違います。このあたりがちょうど、航路の真ん中あたりです。

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きづまりな船旅が続きます。雲も低く垂れこめています。

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湖畔には豪華な建物が点在しています。

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ヨット遊びの人もいます。

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土地の子供たちが暇そうに湖面を進む観光船を眺めています。

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立派なボートハウスがあります。

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ここはゲルサウGersauの町です。瀟洒な建物が並びます。

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ゲルサウの船着き場に到着。

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ゲルサウを出て、さらに西のほうに進みます。

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モーターボートで疾走している人たちがいます。湖岸には綺麗な建物が並びます。

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やがて、湖の幅が狭くなって、北のほうに湖面が曲がっていきます。観光船はゆっくりと舳先を転換していきます。

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また、別の観光船と行き会います。

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ルツェルンまで、あと1時間ほどです。



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ゴッタルド・パノラマ・エキスプレスの旅:ルツェルン港に到着

2017年7月23日土曜日@ベリンツォーナ~ルツェルン/21回目

昨年の旅のスイス編の詳細を書いているところですが、リアルタイムでは今日は2018年の3月29日の木曜日。明日は聖金曜日です。聖金曜日の音楽と言えば、バッハのマタイ受難曲か、ワーグナーの舞台神聖祝典劇『パルジファル』というところですね。今年は明日、バッハ・コレギウム・ジャパンの公演でバッハのマタイ受難曲を聴きます。ということで今日はその予習です。最近、ネットオークションでゲットしたヴィンテージもののLPレコード4枚組でこの長大な作品を聴きました。故吉田秀和の論を待たずして、この作品は西欧音楽の最高傑作です。イエスの十字架で磔刑になる最期の物語を描いた宗教曲ではありますが、宗教を超えた最高の芸術です。吉田秀和の言い方を真似ると、バッハの作曲した作品という個人の芸術を超えて、西欧文化のうねりの精華と言えるものです。美しい音楽であることはもちろんですが、人間が生きるということはどういうことなのかという西欧文化の根っこがその基盤にあります。saraiが感じるのは、人が生きていると、日々、言行で避けがたい罪を犯し続けているという悲しい現実です。マタイ受難曲の主役はこの罪を背負っている我々自身です。宗教的にはその罪をイエスが我々の代わりに背負ってくれているわけですが、もちろん、それで我々の罪が免れるわけではありません。基本的には己の罪を見つめて自省するしかありません。そのつらい心の傷をマタイ受難曲では優しいコラールが癒してくれます。
なぜ、ここでこんなことを書いたかと言えば、スイス編の詳細で振り返っているルツェルン湖のクルーズ旅での悲しい思い出のシーンにちょうど、さしかかっているからです。saraiが配偶者に対して攻撃的になってしまって、勝手に怒り狂ってしまった悲しい思い出です。今日、マタイ受難曲を聴いて、自分の罪を自省しています。自省しながら、そのクルーズ旅を振り返ります。コラールの優しい癒しに助けてもらいながら、旅を綴ります。


ベリンツォーナBellinzonaからルツェルンLuzernに向けて、ゴッタルド・パノラマ・エキスプレスGotthard Panorama Expressの旅を楽しんでいます。

フリューレンFlühlenからルツェルンまで、ルツェルン湖のクルーズを続けています。3時間ほどのクルーズも残り1時間ほどです。配偶者と言い争いになったまま、無言で気まずい時間が続いています。
船内では一等船室での検札中です。船着き場で乗り降りがあるので、新しい船客のチェックがあります。

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また、次の寄港地に到着します。

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船着き場には鉄道の駅もあります。これは1871年に開通したヨーロッパ最古の登山鉄道、リギ鉄道Rigi Bahnです。標高約1797mのリギ・クルムまで登ります。

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この船着き場はフィッツナウVitznauです。リギ山の麓の駅です。

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フィッツナウを出て、次の寄港地に向かいます。

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湖畔にはレジャー地らしく、綺麗で豪華な建物が並びます。

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湖畔には美しい建物がどこまでも続きます。

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どれほどのレジャー客が押し寄せるんでしょうね。

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湖畔の教会も美しくデザインされています。

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次の寄港地、ヴェッギスWeggisに到着。ここもリギ山の山麓の町です。

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大勢の人たちが乗り込んできます。

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ヴェッギスを出ると、湖畔のお洒落な邸宅が見えます。リッチですね。

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湖畔にはびっしりと豪邸が建ち並びます。

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個人のヴィッラなんでしょうか。スイスはお金持ちだらけ!

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次の寄港地、ヘルテンシュタインHertensteinに到着。このあたりはこまめに寄港していきます。

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ヘルテンシュタインを出港。ルツェルンまで30分ほどです。

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やがて、ルツェルンの湾のなかに入っていきます。水鳥が群れています。

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最後の寄港地、フェルケールハウス-リドVerkehrshaus-Lidoに到着。スイス交通博物館Verkehrshaus der Schweizがすぐそばにあります。

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このフェルケールハウス-リドを出ると、すぐ目の前にルツェルンの町が見えてきます。

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もうすぐルツェルンに到着です。下船の準備をします。船内を移動していると、船の機関が見えます。

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ルツェルン港に到着です。ここまでのゴッタルド・パノラマ・エキスプレスのルートを地図で確認しておきましょう。(青色が鉄道旅、緑色が船旅)

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結構長い船の旅でしたが、気分が最低だったこともあり、それほど盛り上がる船旅ではありませんでした。
まあ、それでもこれで5時間ほどのゴッタルド・パノラマ・エキスプレスの旅が無事、完了です。スイスの南北を3分の2くらい移動したことになります。



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聖金曜日に響き渡る感動のマタイ受難曲、バッハ・コレギウム・ジャパン@東京オペラシティ コンサートホール:タケミツメモリアル 2018.3.30

期待を上回る素晴らしいマタイ受難曲でした。とりわけ、休憩後の第2部はずっと感動していました。西欧音楽の最高峰の名曲の数々が続きましたが、すべて素晴らしい最高の演奏だったんです。合唱が素晴らしく、特にコラールは目を閉じて聴き入りました。以降、バッハの旧版全集の曲番号を使いますので、ご注意ください。5回登場する受難コラールはすべて素晴らしかったのですが、特に第63曲の受難コラールは前半がドラマティックな迫力で、対比して後半の清澄さが際立ちました。これで感動しない人はいないでしょう。オーケストラも素晴らしかったです。トータルなアンサンブルもよかったし、個々の独奏のレベルの高さは驚異的です。寺神戸 亮、若松夏美のオブリガート・ヴァイオリンの演奏も凄く、特に若松夏美の演奏には鳥肌が立ちました。菅きよみのフラウト・トラヴェルソはいつも感銘を受けます。名人ですね。でも、それらを取り仕切っていた鈴木雅明の指揮が見事でした。後半の合唱を伴う楽曲の迫力ある指揮によって、劇的な音楽が表現されていました。バッハ・コレギウム・ジャパンのマタイ受難曲を聴くのは今回が2度目。前回は3年前でした。前回も素晴らしい演奏でしたが、今回の後半の第2部はまさに魂のこもった名演奏でした。

独唱にも触れておきましょう。エヴァンゲリストの櫻田亮のあまりの美声には驚きました。第2部はその美声に加えて、劇的な表現が加わり、これまで聴いた最高のエヴァンゲリストです。第46曲のペテロの否みで、最後のビターリッヒBitterlichを弱音で歌い終えた後の一瞬の静寂には大きな感動を覚えました。ソプラノのレイチェル・ニコルズもピュアーな歌声で素晴らしい出来です。第58曲のアリアでは菅きよみのフラウト・トラヴェルソのソロと絡みながら、アウス・リーベ、ヴィル・マイン・ハイラント・シュレルベン(愛故にわが救い主は死にたまわんとす)と歌い上げます。「アウス・リーベ」(愛故に)が幾度も繰り返されますが、それが実に感動的でした。アルトはカウンターテノールのクリント・ファン・デア・リンデです。悪くはないのですが、saraiの趣味はこのマタイ受難曲だけはアルトは女声で聴きたいんです。ヘルタ・テッパーの声が大好きなので、女声で聴きたいんです。もっとも女声でも満足したことはありませんけどね。ヘルタ・テッパーが凄過ぎるんです。でも、第47曲のアリアだけはなかなかよかったです。この曲は「マタイ受難曲」中、最高の名曲、いや、もう古今東西、名曲中の最高の名曲です。エルバルメ・ディッヒ、マイン・ゴット(憐れみたまえ、我が神よ)と清澄に歌い上げてくれました。それまでは力強い歌い方だったのですが、打って変わって、抑えた歌唱で、それがよかったんです。寺神戸 亮のオブリガート・ヴァイオリンの演奏もよかったです。アルト2を歌ったカウンターテノールの藤木大地も見事な歌唱でした。アルト1を歌ってもよさそうな気もしました。第61曲のアリアは第47曲のアリアに次ぐ名曲「わが頬の涙」ですが、藤木大地が熱唱しました。ケンネン・トレーネン、マイナー・ヴァンゲンという歌詞が繰り返し、歌われ、ここでも感銘を受けます。若松夏美が率いる第2オーケストラの弦楽合奏も素晴らしい響きでした。

という具合に聴き所満載でとてもすべてを書き切れません。感想はこのくらいにしておきましょう。

今日は聖金曜日ですが、この日にマタイ受難曲を聴くのは初めてです。きっと、ドイツやオランダでも演奏されているんでしょうね。少なくとも今週は世界中の各地でこの最高の音楽が演奏されていることを想像すると、心の中が熱くなります。宗教曲とは言え、人々が己の罪に心を致しながら、自省と人に対する愛を深く心に刻む音楽です。殺伐とした世界情勢ですが、世界中でこのバッハの崇高な音楽が響き渡り、すべての人が優しい気持ちに立ち返ることを願わずにはいられません。バッハは音楽以上の何かをこの作品に込めました。ライプツィヒの聖トーマス教会での初演からちょうど289年後になるわけですが、人類史上の素晴らしい遺産とも思えるマタイ受難曲が今こそ、音楽のチカラを発揮して、愛と平和をもたらすことを祈りたいと切に思いました。

今日のプログラムは以下です。

  指揮:鈴木雅明
  ソプラノ: レイチェル・ニコルズ、澤江衣里
  アルト: クリント・ファン・デア・リンデ、藤木大地
  福音史家/テノール: 櫻田亮
  テノール: 中嶋克彦
  イエス/バス: シュテファン・フォック
  バス:加耒 徹
  合唱・管弦楽:バッハ・コレギウム・ジャパン
   コンサート・マスター:寺神戸 亮、若松夏美(第2オーケストラ)
   フラウト・トラヴェルソ(独奏):菅きよみ

  J.S.バッハ:マタイ受難曲BWV244

   1部と2部の間に《休憩》

最後に予習について、まとめておきます。

昨日も書きましたが、ネットオークションで落札した4枚組のLPレコードを聴きました。

 カール・リヒター指揮ミュンヘン・バッハ管弦楽団&合唱団 1958年
  エルンスト・ヘフリガー(T,福音史家)
  キート・エンゲン(B,イエス)
  イルムガルト・ゼーフリート(S)
  ヘルタ・テッパー(A)
  ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br)

何も言うことのない凄い演奏です。CDでは残響の多い音質で、それはそれでよかったのですが、LPレコードはもっと自然な音質で音楽がすっと入ってくる感じです。中古レコードですが、ほとんどノイズもなく、素晴らしい財産になりました。


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       バッハ・コレギウム・ジャパン,  

暗い情念をシンフォニックに描き切った《未完成》&《悲愴》 インバル&東京都交響楽団@ミューザ川崎シンフォニーホール 2018.3.31

前半のプログラムの《未完成》は爽やかなロマンと暗い情念が錯綜するような音楽を完璧とも思えるアンサンブルで描きあげます。第1ヴァイオリン群の弱音の響きは気魄にみちて、繊細さの限りを尽くしています。暗い情念が支配的に思えたとき、突然とも思える終止になります。この《未完成》が未完成たることを痛感させられるように、長大な交響曲になる筈だった音楽は第2楽章で終わってしまいます。今日の演奏ほど、この作品の完成形を聴きたくなるような演奏は聴いたことがありません。これまではいつも2楽章だけで充足感がありました。今日は明らかに4楽章構成の交響曲の前半の2楽章だけを聴いた感じになりました。残りの2楽章を聴き終えたときに暗い情念は支配的になったままなのか・・・それとも祝典的なロマンを歌い上げるのか。決して知ることのできない謎です。そういう含みを残した見事な音楽表現をインバルは描き出してくれました。

後半のプログラムは《悲愴》。今日のプログラムは有名過ぎるほどの曲を並べたものですが、インバルは正面から、それらの曲に取り組み、聴き手を退屈させることはありません。《悲愴》は《未完成》と共通するように暗い情念が渦巻いているような演奏です。ただし、絶望感に陥ることは決してありません。あくまでもシンフォニックな響きが支配的でチャイコフスキーが己の死を予感したような感じはありません。この曲はチャイコフスキーの“遺作”ではなくて、さらに後続する音楽が書かれることを前提としていたことをインバルは示してくれました。チャイコフスキーはもっと長生きをして、さらなる名作を作曲するはずだったということを確信させてくれるような演奏でした。
《未完成》はまだ継続中の音楽だし、《悲愴》も決して最後の音楽ではない・・・インバルの提示した音楽コンセプトは途轍もありませんね。saraiの深読みかも知れませんが、あえて、インバルがこういう名曲アワーのようなプログラムを組んだからには、これくらいの意図はあって当然でしょう。

インバルが再び、都響の指揮台に戻ってくるのは1年後です。それまで、saraiも都響とはお別れかな・・・。

今日のプログラムは以下のとおりです。

  指揮:エリアフ・インバル
  管弦楽:東京都交響楽団


  シューベルト:交響曲第7番 ロ短調 D759《未完成》

   《休憩》

  チャイコフスキー:交響曲第6番 ロ短調 Op.74《悲愴》


最後に予習について、まとめておきます。

《未完成》を予習したCDは以下です。

 ブルーノ・ワルター指揮ニューヨーク・フィル 1958年

今更、予習するような曲ではありません。頭に刷り込まれたようなワルターの名演を聴きます。ただし、ハイレゾで聴きました。これまでの響きが豊か過ぎるようなCDではなく、すっきりした音質です。演奏はもちろん最高です。ちなみにこの演奏では《未完成》は2楽章で完璧に終わっています。完成された《未完成》です。

《悲愴》を予習したCDは以下です。

 レナード・バーンスタイン指揮ニューヨーク・フィル 1986年
 テオドール・クルレンツィス指揮ムジカエテルナ 2015年

いずれも異色の演奏という評判です。まず、バーンスタイン盤ですが、期待したほどではありませんでした。聴いたCDの音質があまりよくなかったからかもしれません。良質のCD、できればハイレゾの演奏を入手して、聴き直す必要があります。クルレンツィス盤は予期したような異色の演奏ではなく、正攻法での演奏です。これが凄い! ムラヴィンスキー盤と並ぶような名演です。ムジカエテルナのアンサンブルも個々の奏者たちの力量も素晴らしいです。録音も最高です。



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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
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金婚式、おめでとうございます!!!
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京都には年に2回もお越しでも、青春を過ごし

10/07 08:57 堀内えり

 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

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じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
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その後、ザル

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CDでしか聴いてはいません。
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07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
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06/18 12:46 sarai

私も18年前にドレスデンでバームクーヘン食べました。マイセンではB級品でもコーヒー茶碗1客日本円で5万円程して庶民には高くて買えなかったですよ。奥様はもしかして◯良女

06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

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