fc2ブログ
 
  

トン・コープマン パイプオルガン・リサイタル@ミューザ川崎シンフォニーホール 2018.7.13

珍しく、パイプオルガンのリサイタルを聴きました。トン・コープマンの演奏が聴きたかったからです。トン・コープマンの指揮するアムステルダム・バロック管弦楽団・合唱団でもよかったのですが、彼が鍵盤楽器を演奏するのにとても興味があったんです。
歳とともにバッハの音楽に傾倒していく自分を感じていますが、中心は鍵盤楽器音楽、宗教音楽(声楽曲)でこれに無伴奏の器楽曲や室内楽、管弦楽曲が加わります。鍵盤楽器音楽はピアノが中心でチェンバロも若干聴きます。しかし、バッハと言えば、パイプオルガンも重要です。これが今まで欠けていました。今日聴いてみると、ピアノやチェンバロと違って、パイプオルガンは音色が多彩です。同じ鍵盤楽器でも実に複雑な味わいが感じられます。

前半のプログラムはバロックの色んな作曲家のオルガン曲が続き、最後はJ.S.バッハの有名な小フーガに収斂します。J.カバニリェスのイタリア風コレンテは聴き映えします。ブクステフーデの《わが愛する神に》は美しいコラール変奏曲です。クープランの「修道院のためのミサ曲」もとりわけ、聖体奉挙の美しさが心に沁みます。J.S.バッハの小フーガは速過ぎるようなテンポですが、そのテンポで美しく弾き切ります。見事な演奏です。

後半はJ.S.バッハのクラヴィーア練習曲集第3巻の圧縮版のような構成になっています。クラヴィーア練習曲集は第1巻がパルティータ集、第2巻がイタリア協奏曲とフランス風序曲、第4巻がゴルトベルク変奏曲というチェンバロのための鍵盤楽器音楽ですが、第3巻はオルガンのための鍵盤楽器音楽です。変ホ長調の前奏曲に始まり、21曲のコラール、4曲の短いデュエット、最後は変ホ長調のフーガで終わります。今日はこのうち、変ホ長調の前奏曲とフーガを最初と最後に配し、間に4曲のコラールを演奏します。ただし、コラールのうちの3曲はクラヴィーア練習曲集第3巻からですが、1曲は別のコラールです。このコラールはマタイ受難曲の第1部の終曲のコラールにも用いられたものです。
前奏曲は壮麗に演奏されます。続くコラール(マタイ受難曲にも用いられたBWV 622)はしみじみとした演奏で心に響きます。そして、最後のコラール(BWV 671)は華麗なバロック建築を思わせるスケールの大きな演奏です。ここでいったん、ステージを離れたコープマンが満を持して、オルガン席に戻ります。終曲のフーガは賛美歌の内容からしばしば「聖アン」と呼ばれます。この名曲をコープマンは壮麗な伽藍のごとく、神々しく演奏します。圧巻のフィナーレでした。


今日のプログラムは以下です。

  オルガン:トン・コープマン

  J.C.ケルル:バッターリア
  J.カバニリェス:イタリア風コレンテ
  D.ブクステフーデ:プレリューディウム 二長調 BuxWV 139
    わが愛する神に BuxWV 179
    フーガ ハ長調 BuxWV 174
  F.クープラン:「修道院のためのミサ曲」より 奉納唱、聖体奉挙 
  C.Ph.E.バッハ:ソナタ 二長調Wq 70-5  
  J.S.バッハ:フーガ ト短調 BWV 578(小フーガ)

   《休憩》

  J.S.バッハ:前奏曲 変ホ長調 BWV 552
    おお人よ、汝の罪の大いなるを嘆け BWV 622
    永遠の父なる神よ(キリエ) BWV 669
    世の人すべての慰めなるキリスト” BWV 670
    聖霊なる神よ(キリエ) BWV 671
    フーガ 変ホ長調 BWV552

   《アンコール》

  J.S.バッハ:「われ汝に呼ばれる、主イエス・キリストよ」BWV 639
  D.スカルラッティ:ソナタ ト長調
  J.スタンリー:ヴォランタリー より

最後に予習ですが、ほとんどの曲はコープマンの演奏で聴きました。どれも安定した見事な演奏です。



↓ saraiのブログを応援してくれるかたはポチっとクリックしてsaraiを元気づけてね

 いいね!



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

人気ランキング投票、よろしくね
ページ移動
プロフィール

sarai

Author:sarai
首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
たまには、旅ブログも書きます。

来訪者カウンター
CalendArchive
最新記事
カテゴリ
指揮者

ソプラノ

ピアニスト

ヴァイオリン

室内楽

演奏団体

リンク
Comment Balloon

 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
公演では小沢、ショルティだけ

ベーム、ケルテス、ショルティ、クーベリック、
クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
、チェリブ

07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

私も18年前にドレスデンでバームクーヘン食べました。マイセンではB級品でもコーヒー茶碗1客日本円で5万円程して庶民には高くて買えなかったですよ。奥様はもしかして◯良女

06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

もろともにあはれとおもへ山ざくら 花よりほか

通りすがりさん

コメント、ありがとうございます。正直、もう2年ほど前のコンサートなので、詳細は覚えておらず、自分の文章を信じるしかないのですが、生演奏とテレビで

05/13 23:47 sarai
月別アーカイブ
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR