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ザルツブルク音楽祭:ザルツァッハ川のほとりで朝食を

2017年7月29日金曜日@ザルツブルク/2回目

今日の1回目のコンサートを聴くためにザルツァッハ川のほとりまで歩いてきたところです。
岩山のトンネルとドゥルヒガンクを歩いたことで、思いがけず時間に余裕が出来たので、川を眺めながら朝食を頂いていきましょう。今日は土曜日のせいか、川沿いの遊歩道には、いっぱいお店が出ています。

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インビスのお店なので、リーズナブルな価格です。

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パラソルの下のテーブルに落ち着きます。対岸には、カプツィナーの丘Kapuzinerbergが見えています。美しい風景です。

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川沿いはサイクリング道路になっていて、自転車族がバンバン走っていきます。

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お店のおばさんがオーダーした朝食を持ってきてくれます。なかなか充実した朝食になりました。

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賑わう観光客を眺めながら、美味しくいただきます。食べ終えて、席を立つと、目の前はザルツァッハ川の観光船乗り場です。なかなかの人気で行列ができています。

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鍵がいっぱいかけられたマカルト橋Makartstegを渡ります。

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橋の上から見るザルツァッハ川の景色は最高です。川岸にはずらっとお店が並んでいます。平日には見られない光景です。

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高級ホテル、ザッハーも見えます。saraiにはホテルは高額過ぎて縁がありませんが、カフェのザルツブルガー・ノッケルンは最高です。

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あれっ、橋の上で誰かがサインしてますね。有名人でしょうね? この時期にはザルツブルクに有名人はいっぱいいますからね。

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橋を渡ると、マカルト広場Makartplatzに出ます。そこから、シュヴァルツ通りSchwarzstraßeを少し歩くと、モーツァルテウム大ホールの建物が見えてきます。どんどん、聴衆が集まってきています。

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ここまでのルートを地図で確認しておきましょう。

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建物の横手には、こんなに美しい彫像があります。モーツァルテウムは外観も内部も美しい建物です。

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今から聴くのはモーツァルト・マチネ1と題して、ボルトン指揮のザルツブルグ・モーツァルテウム管のコンサート。ソプラノのサンドリーヌ・ピオーがモーツァルトのアリアを歌います。前半のプログラムのセレナータ・ノットゥルノは大変、楽しいものでした。ピオーのアリアも美声の高音を遺憾なく発揮してくれました。ここで休憩です。

そうそう、ここに来たら、休憩時間を利用して、モーツアルトの魔笛の作曲小屋を見ておきましょう。コンサートのときにしか見られないとのことで、昨年は外から苦労して見ただけですからね。もちろん、一昨日も見ましたが、夜だったので、暗かったんです。今日はお昼ですから、しっかり、見ておきましょう。休憩時間中は、作曲小屋の前庭も賑わっています。

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魔笛の作曲小屋の前で記念撮影。見学している人も多いですね。

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休憩後にまた、ピオーのアリアが続き、最後は交響曲第38番ニ長調「プラハ」K.504 です。小編成のザルツブルグ・モーツァルテウム管は見事なモーツァルトを聴かせてくれました。このコンサートの詳細な記事はここに既にアップ済みです。



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ザルツブルク音楽祭:ランチはフィアカーの御者のお姉さんの推薦のお店で

2017年7月29日金曜日@ザルツブルク/3回目

今日の1回目のコンサートが終了。
さて、お昼を頂きに行きましょう。また、ザルツァッハ川を渡って旧市街に戻ります。マカルト橋Makartstegの上からの景色は最高です。さっき見たばかりですが、また、見とれてしまいます。丘の上に建つホーヘンザルツブルク城が夏空を背景に美しいですね。

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川沿いには先ほど朝食をいただいたインビスのお店を始め、お休みの日なので、ずらっとお店のテーブルが並んでいます。メンヒスベルクの丘の上には現代美術館と付属するレストランが見えています。

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今日は昨日乗ったフィアカーの御者のお姉さんが、美味しいと紹介してくれたお店に行きましょう。ちょっと迷いますが、お店を発見。モーツァルト広場MozartplatzからカイガッセKaigasseをちょっと入ったところにあるガストハウス・ツヴェットラーズGasthaus Zwettler'sです。

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なかなか賑わっています。それでもテーブルを確保できました。

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まずは入念にメニューをチェックします。オーストリア料理のお店なので、チロル料理を頂きます。

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配偶者は疲れから歯茎が腫れて痛いというので、グーラッシュにします。saraiはチロル風のパン料理、ジャガイモと肉とフライドエッグです。
まずはオーストリア産の白ワインをいただきます。

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グーラッシュが運ばれてきましたが、配偶者の予想に反して、本格的なグーラッシュの方が出てきました。スープの欄に書かれているときは、日本家庭のビーフシチューのようなスープが出てくるのですが、メイン料理の欄に書かれているときはこのパターンですね。これもお肉はとろけるように柔らかいので食べられるのですが、スープを期待していた配偶者はガッカリ。

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それではと、もう一品、オーストリアの定番スープをお願いします。

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チロル風のパン料理は予想通りの美味しそうな料理です。フライパンにのっていると余計、美味しそうです。

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付け合わせの野菜サラダも肉料理と一緒に食べると、さっぱりして美味しいです。

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フィアカーの御者のお姉さんの言った通り、とってもおいしいお店でした。

また、岩山のトンネルの中をいろいろ確認しながらホテルに戻ります。調べれば調べるほど、トンネルを利用すれば、このホテルはコンサート会場はいずれも近く、また、ザルツブルク中央駅からの直通のバスのバス停も目の前で、なかなか使い勝手の良いホテルであることが分かりました。ホテルの名前はスターイン・ホテル・ザルツブルク・ツェントルム・バイ コンフォートStar Inn Hotel Salzburg Zentrum, by Comfortですが、ザルツブルク市内には、スターイン・ホテルが2軒あります。これはツェントルム・バイ コンフォートのほうです。(実はこのホテルが気に入ったので、昨年に引き続き、今年も泊まりましたが、タクシーのドライバーにツェントルムのほうだと念を押したのに、間違えて、もう1軒のほうに行ってしまいました。それほど混同しやすいです。もちろん、降りずに正しいほうにまわってもらいました。)
ホテルの部屋もご紹介しておきましょう。そこそこの広さですが、デザインホテル風の内装になっています。

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ベッドのサイズも十分な広さです。

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バスルームは清潔ですが、バスタブはありません。

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ホテルの部屋で一服して、また、夜のコンサートに出かけます。付き合ってくれる配偶者にはお疲れ様を言うしかありません。また、先ほどと同じルートを通って、モーツァルテウム大ホールに向かいます。マカルト橋の上からの景色は、さっきも見たばかりですが、またまた、見とれます。夕刻の風景は一段と美しいです。

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今度はアンドラーシュ・シフのピアノ・リサイタルの3回シリーズの2回目です。前回に引き続き、素晴らしいバッハ、バルトーク、ヤナーチェク、シューマンの音楽を聴けて、大満足です。シフ教授の詳細な解説も含蓄がありました。このコンサートの詳細な記事はここに既にアップ済みです。
シフのピアノ・リサイタルの3回目も楽しみです。

ホテルへの帰り道、ザルツァッハ川は既に夜の帳が落ちています。明るいときと違って、今度は美しい夜景が広がっています。

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明日はコンサートとオペラの2本立て。特にハイティンク指揮ウィーン・フィルのマーラーの交響曲第9番は今回、2度目ですが、これを聴くために今回のヨーロッパ遠征を企画したようなものですから、楽しみというよりも今から緊張しています。早く寝て、万全の体調で臨みましょう。



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ザルツブルク音楽祭:コンサート前の朝食は・・・

2017年7月30日日曜日@ザルツブルク/1回目

旅の11日目、ザルツブルクSalzburgの5日目です。

今日もコンサートとオペラの二本立てで音楽三昧の1日です。
まずは勝手知った岩山のトンネルを抜けて会場に向かいます。車のトンネルとその向こうにある前に使っていた歩行者専用トンネルが見えています。

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眼前にはメンヒスベルクMönchsbergの岩山がそそり立っています。

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トンネルに入ると、地下大駐車場の窓口があります。まだ、朝早いので、人が並んでいませんね。

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トンネルの奥に進んで行くと、右手の壁にある大きな鉄の扉が開いています。今朝は祝祭大劇場Großes Festspielhausでコンサートがあるので、祝祭大劇場の入口が開いているんです。

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係の人が、入り口でコンサートのチケットをチェックしています。

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我々もチケットを見せて、通り抜けていきます。入り口の先もトンネルが続きますが、ぐっと雰囲気が変わって、美しいトンネルになります。途中に窓口のようなものがありますが、多分、駐車場のチケットを無料にしてくれるところではないかと想像しています。

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トンネル内の階段にはエスカレーターも付属しています。今は上り方向に運行していますが、コンサートが終わって、帰る頃には下り方向に変わります。

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この先が祝祭大劇場のロビーです。

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祝祭大劇場のロビーです。開演まで1時間ほどあるので、まだ、ほとんど人がいません。ロビーにはアイスクリームの売り子さんがいます。これは有名カフェのカフェ・トマッセリCafé Tomaselliのアイスクリームでとっても美味しいんです。お勧めです。(翌年の今年は出店をやめたようで、残念ながら、このアイスクリームは見当たりませんでした。結構、流行っていたんですけどね。)

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バーコーナーにもスタッフしかいません。

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今日のコンサートはこの祝祭大劇場なので、昨日のようにザルツァッハ川の川べりまでは行きません。いったん、祝祭大劇場のロビーを出て、この辺りで、軽く朝ご飯を頂けるところを探しましょう。祝祭大劇場の前に出ると、今夜見る予定のオペラ、モーツァルトの《皇帝ティトの仁慈》のポスターが貼り出されています。これも楽しみです。

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祝祭大劇場の前の通りです。

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通りを振り返っても朝食が食べられるようなカフェが見当たりません。

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ホーヘンザルツブルク城を見上げながら、ブラブラ歩いていきます。とりあえず、ここから少し離れたところを探してみましょう。

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大学広場Universitätsplatzには市が少し立っていますが、朝食のお店はありませんね。

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これというお店がなかなか見つかりません。食事が出来そうなお店は、ランチからの営業で、まだ準備中。営業していてるのは、本当にカフェのみで、コンサートにお出かけ前という感じの人達も、ケーキとお茶を頂いています。ちょっと粘って、ゲトライデ通りGetreidegasseまで行ってみることにします。



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ザルツブルク音楽祭:究極のコンサートはハイティンク指揮ウィーン・フィルのマーラーの交響曲第9番

2017年7月30日日曜日@ザルツブルク/2回目

今朝1回目のコンサートは祝祭大劇場Großes Festspielhausですが、朝食を食べるところが祝祭大劇場のあたりにはなかなか見つかりません。仕方がないので、少し遠いゲトライデ通りGetreidegasseまで行ってみます。
と、お馴染みの海鮮料理のお店ノルドゼーNordseeを発見。ここで頂きましょう。

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氷を敷き詰めた上に美味しそうな魚介が並んでいます。

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魚介だけでなく、パンも豊富です。バーガーを頂きましょう。

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お店の奥にはテーブル席が並んでいます。ここで朝食を頂きましょう。

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これが選択したバーガーです。

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バーガーと一緒にコーヒーもお願いします。コーヒーは持ってきてくれるのかなと待っていると、ここで自分で淹れてねといいます。セルフサービスなんですね。エスプレッソマシンがどこでも導入されています。ついでに美味しそうなジュースも追加。かなり高価です。

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でも、イタリアで飲んでいたブラッドオレンジジュースはありません。ブラッドオレンジジュースを飲むためにならイタリアに行ってもいいかなと配偶者は真剣に思っています。でも、イタリアは鬼門・・・。
さて、朝食も終わったところで張り切ってコンサートに行きましょう。今日は巨匠ハイティンクです。究極のマーラーを聴きにわざわざ駆け付けたんです。
ゲトライデ通りからドゥルヒガンクを抜けていきます。

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ドゥルヒガンクの中には美しい中庭があります。

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祝祭大劇場の前に戻ると、開演時間が迫り、着飾った男女が集まっています。

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早速、ホール内に入ります。今日は最高の席、最前列中央です。指揮台が間近に見えます。

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開演まで10分少しになり、席も埋まってきます。だんだん、緊張感も高まってきます。

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どの席もまんべんなく、埋まってきます。どちらにせよ、今日は満席の筈です。

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今日は特別の演奏でした。終演後、祝祭大劇場を出るまで無言でしたが、配偶者にぽつりと「終わったね」と言いました。万感の思いです。saraiにとって、音楽は人生そのもの。中学生になって、親に買ってもらったステレオでクラシックを聴き始め、40歳になって、夢だったウィーン国立歌劇場でオペラを見て、それから、病みつきになって、ヨーロッパ遠征で音楽を聴き続けてきました。そして、一昨日と今日、ハイティンク指揮ウィーン・フィルで一番愛して止まないマーラーの交響曲第9番を聴き、これでもう思い残すことはありません。
このコンサートの詳細な記事はここに既にアップ済みです。


配偶者によると、ハイティンクを聴き終わり、saraiは気が抜けたようだったそうです。配偶者はそういうsaraiに気を使ったのか、無事、ハイティンクを聴き終えた記念にワインで乾杯しようと誘ってくれます。saraiと配偶者の間で、愛称ぞうさんと呼んでいるレストランに向かいます。今日もぞうさんは健在です。

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見渡すと、ぞうさんグッズが並んでいます。このレストランは以前泊まったことのあるホテル・エレファントに付属しているレストランです。

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ところが生憎、いつものように大変混み合っています。スタッフに2人だというと、相席を勧められます。いやあ、ちょっとね。入口のところに、ナプキンの準備などに使っているテーブルがあります。ここでいいんだけどというと、作業中のものを片付けて、2人用に準備してくれます。ありがとう。
さあ、ワインで乾杯です。

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ここで気持ちを落ち着かせながら、ゆっくりとランチをいただきましょう。



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ザルツブルク音楽祭:ターフェルシュピッツのランチの後は、音楽の既成の価値観を打ち砕く驚きのオペラ

2017年7月30日日曜日@ザルツブルク/3回目

究極のコンサート、ハイティンク指揮ウィーン・フィルのマーラーの交響曲第9番を聴いた感慨を抱きつつ、心を鎮めながら、いきつけの愛称ぞうさんのレストランでランチをいただきます。白ワインで乾杯し、料理を待ちます。入り口横の席からはホテル・エレファントのロビーが見えています。愛らしい象さんの姿が印象的です。

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ところでオーダーした料理ですが、メニューをチェックすると、ツーコースメニューがありました。メインはターフェルシュピッツ。好物なので、これにしました。
ほの暗い店内はお洒落な雰囲気です。

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まずはスープです。定番のダンプリング入りのコンソメスープです。

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とても美味しくて、あっという間にペロっといただきます。

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さてさて、ターフェルシュピッツはどんな形で出てくるのでしょうか。本当に供され方がお店によって違うのです。1人分ずつ、大きな陶器の入れ物で、たっぷりのスープとともにお肉が出てきました。お給仕の係が、お皿に取り分けてくれます。

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なんとお肉は3枚もあるのです。2枚取り分けたところで、どうするかと訊かれるので、そのままにしておいてとお願いします。配偶者の目論見は、スープを持っていかれたくないということです。付け合わせはポテト。ソースは2種類。ジンジャー入りがないような気がしますが、別に構いません。

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お肉は、柔らくて美味。でも、どうせ2枚だって食べられないのです。もちろんスープは完飲ですっ。スープが美味しかった!と配偶者は喜んでいます。配偶者は、saraiがコンサートの感動からちょっと解放されたようだねと、優しい眼差しで語りかけてきます。いえいえ、頭の中はまだまだ感動でいっぱいですよ。よい食事となりました。
レストランを出ました。入り口の上にはぞうさんのマークがあります。

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ホテルに向かって歩いていると、大学広場Universitätsplatzは物凄い数の観光客で賑わっています。観光シーズン真っ只中です。

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岩山のトンネル近くで思わぬ銘板を発見。往年の大指揮者トスカニーニを記念するものです。1930年代のザルツブルク音楽祭で活躍していたんですね。そう言えば、シュテファン・ツヴァイクもザルツブルクでトスカニーニと親しく接していたと書いていたことを思い出しました。シュテファン・ツヴァイクは彼のヴィラにザルツブルク音楽祭に参加した音楽家をよく招いていたそうです。その中でもトスカニーニは特に親しかったそうです。(シュテファン・ツヴァイク著《昨日の世界》より )

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さて、トンネルの入り口に着きました。

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トンネルに入ると涼しくて、いいですね。派手なショーウィンドウが並んでいます。

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と、トンネルの途中で気になるものを見つけました。シュテファン・ツヴァイク・センターという表示があります。ここにシュテファン・ツヴァイク・センターの入り口があるんでしょうか。まさかね。でも、今回の滞在中に何とか、解明しましょう。

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また、トンネルの中にヨーロッパでは滅多に見かけない自動販売機を発見。コーヒーやドリンクの販売機です。駅のホームにはありますけどね。

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トンネルを抜けてホテルに戻り、休憩です。休憩後、タキシードと着物に着替えて、夜のオペラに繰り出します。また、トンネルを抜けて、フェルゼンライトシューレの美しいロビーに入ります。

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ロビーの片隅でカフェ・トマッセリのアイスクリームを販売しています。これは美味しいですね。くせになりそうです。

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オペラの開演時間が近づいたので、フェルゼンライトシューレのホールに入ります。岩山の壁を利用したホールです。

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客席はすっかり改装されて、綺麗です。

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今夜のオペラはモーツァルトのオペラ《皇帝ティトの仁慈》。飛ぶ鳥を落とす勢いの指揮者クルレンツィスと古楽オーケストラムジカエテルナによるオペラ演奏はsaraiの今までの音楽の価値観を打ち砕くような演奏で、戸惑ってしまいました。凄い演奏でした。さすがにザルツブルク音楽祭です。
このオペラの詳細な記事はここに既にアップ済みです。

それにしても、saraiの音楽人生を集大成したハイティンク指揮ウィーン・フィルのマーラーの交響曲第9番を聴いた直後、saraiの音楽の価値観をひっくりかえすようなオペラを聴くことになるとはね。贅沢な日々です。

明日は音楽祭をちょっとお休みして、小旅行に出かけます。R・シュトラウスゆかりのガルミッシュ=パルテンキルヒェンGarmisch-Partenkirchen、ドイツ最高峰のツークシュピッツェZugspitze、世界遺産のヴィース巡礼教会Wieskircheを巡ります。



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ザルツブルクを出発し、ガルミッシュ=パルテンキルヒェンへ

2017年7月31日月曜日@ザルツブルク~ガルミッシュ=パルテンキルヒェン/1回目

旅の12日目、ザルツブルクSalzburgの6日目です。

今日はザルツブルク音楽祭Salzburger Festspieleを1日離れて、ガルミッシュ・パルテンキルヒェンGarmisch-Partenkirchenへの小旅行です。小さく荷物をまとめて、saraiがリュックで背負い、身軽な移動です。いったん、ホテルをチェックアウトし、大きな荷物はホテルに預けておきます。また、明日にはこの同じホテルに戻ってきます。今日はバイエルンチケットを使っての移動なので、9時過ぎの電車にしか乗れません。これが事前にネットで購入したバイエルンチケットです。9時過ぎの電車という制限はありますが、バイエルン州とザルツブルクを1日乗り放題でお得な乗車券です。二人で31ユーロ、日本円で4000円ほどです。明日の帰りも同じくバイエルンチケットを利用します。

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ホテル前のバス停からザルツブルク中央駅に出ます。駅構内は綺麗なお店が並んでいます。配偶者は例の通り、花屋さんをのぞき込んでいます。まだ、電車の発車時間まで40分ほどあるので、慌てることはありません。

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先だって、ウィーンを往復した際はファーストクラスのチケットがあったので、OBB(オーストリア国鉄)のラウンジを利用できましたが、今日はセカンドクラスのバイエルンチケットなので、利用不可です。一般の乗客が利用できる待合室はここですね。もちろん、食べ物や飲み物が無料で提供されることはありません。

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パン屋さんで朝食を調達します。それ以上の用事はないので、少し早いのですが、ホームに上がります。これからザルツブルクからミュンヘンを経由して、ガルミッシュ・パルテンキルヒェンに向かいます。ミュンヘン中央駅行きの電車は既に入線しています。よい席を確保するために早速、乗り込みましょう。

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首尾よく、テーブル席をゲットして、朝食を並べます。発車まで30分ほどありますが、まずは朝食を済ませておきます。

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車窓からプラットホームの様子を眺めながらの朝食です。

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朝食も食べ終わり、電車は定時にザルツブルク中央駅を発車。すぐ、ザルツァッハ川を渡ります。

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車窓から、ちらっとウンタースベルクUntersbergの山が見えます。

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9分で次の停車駅フライラッシンクFreilassingに到着。ここでも多くの乗客が乗り込んできます。ちなみにこのフライラッシンクはドイツ領内です。

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たちまち、車内は大混雑です。始発駅で早めに席を確保したsaraiたちは余裕です。

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フライラッシンクを発車。可愛い町並みを抜けていきます。

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車窓はすぐに緑の草原風景に変わります。

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草原と森の中を走っていきます。

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車窓には、また、ウンタースベルクが見えてきます。

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広い農場では農作業中です。豊かな田園風景ですね。

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まだ、ザルツブルクを出て、少し走っただけです。ミュンヘンまではまだ1時間半ほどの行程です。



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ミュンヘンは結構、遠い!

2017年7月31日月曜日@ザルツブルク~ガルミッシュ=パルテンキルヒェン/2回目

ザルツブルクSalzburgを離れて、ガルミッシュ=パルテンキルヒェンGarmisch-Partenkirchenへ向かっている途中です。まずはミュンヘン行きの電車に乗っています。フライラッシンクFreilassingを過ぎて、広い畑の中を走っていきます。

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牧草地の中では、牛たちが草を食んでいます。のんびりした景色です。

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緑の牧草地と白い雲が広がる空。夏のバイエルン地方らしい風景です。

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次の停車駅、タイゼンドルフTeisendorfに到着。

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ここでの乗降客はまばらです。

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タイゼンドルフの村の中を走り抜けていきます。

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美しい草原の中に小さな教会が点在しています。

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次の停車駅、トラウンシュタインTraunsteinに到着。

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ここではかなりの数の若者たちが降りていきます。

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車内の混雑もかなり解消しますが、それでも、まだ、ほとんど空席はありません。

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トラウンシュタインを出て、しばらく走ると、牧草地の中にお馬さんが見えます。

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次の停車駅、ベルゲンBergen(オーバーバイエルンOberbayern)に到着。

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ベルゲンを出て、次の停車駅、ユーバーゼーÜberseeを過ぎると、どこまでも続く広い畑の中を走っていきます。

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次の停車駅、ベルナウ・アム・キームゼーBernau a Chiemseeに到着。駅の看板にはキーム湖Chiemseeでのレジャー風景が宣伝されています。

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となると、キーム湖が見たいですね。目を凝らしていると、草原の彼方にちらっとキーム湖の湖面が光っています。

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これでザルツブルクからミュンヘンまで半分ほど来たことになります。ザルツブルクからミュンヘンまでは電車で2時間ほどです。結構、遠いですね。モーツァルトの時代は馬車で通常一泊二日の旅で18時間かかったそうです(途中の宿はキーム湖の北にあるヴァッサーブルクWasserburg am Innです。)。現代はスピードが10倍です。



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ミュンヘン東駅で乗り換えますが・・・トホホ

2017年7月31日月曜日@ザルツブルク~ガルミッシュ=パルテンキルヒェン/3回目

ザルツブルクSalzburgを離れて、ガルミッシュ=パルテンキルヒェンGarmisch-Partenkirchenへ向かっている途中です。ルードヴィヒ2世が建てた最後の城であるヘレンキームゼー城のあるキーム湖の近くを電車が走っているところです。
次の停車駅、プリーン・アム・キームゼーPrien am Chiemseeに到着。ヘレンキームゼー城への最寄り駅です。

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乗ってくる人は多いのですが、降りる人は少ないです。

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結果、また、車内は混み合ってきます。やはり、夏は電車の利用客が多いのですね。

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プリーン・アム・キームゼーを出ると、キーム湖の姿がしっかりと見えます。

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次の停車駅、バード・エンドルフBad Endorfに到着。この時点で5分以上の遅れです。混雑のせいでしょうか。

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バード・エンドルフを出ると、検札にまわってきた車掌に若者がチェックされています。チケットに問題がありそうです。これも夏のバカンスの風景の一つですね。

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やがて、大きな川を渡ります。チロルから流れてくるイン川です。

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次の停車駅、ローゼンハイムRosenheimに到着。

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ミュンヘン近郊の大きな町なので、多くの乗降客があります。

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ローゼンハイムを出ると、ミュンヘンに向かって、美しい村々を通り過ぎていきます。バイエルンの風景ですね。

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ドイツ国鉄の乗り換え案内では、ミュンヘンの中心を避けるのか、ミュンヘン中央駅の一つ手前のミュンヘン東駅München OstでSバーンのS3に乗り換えるようにルートが指示されました。中央駅に出て乗り換えても問題ないような気がしますが、ここはドイツ国鉄の指示に従いましょう。
ミュンヘン東駅に着き、下車します。乗り換えるS3の電車のホームを探します。3番ホームのようです。そちらに行きましょう。乗り換え時間はまだ5分ほどあります。

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3番ホームに移動完了。時刻表を確認します。11時9分発のマンメンドルフMammendorf行きでミュンヘン・パージングMünchen-Pasingまで行きます。20分ほど乗って、また、そこで乗り換えです。

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電車の到着を待ちます。

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3番ホームに電車が入ってきますが、これはS7の電車。間違って乗るわけにはいきません。

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ちょっと遅れて、ようやく、乗るべきS3のマンメンドルフ行きがやってきました。

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ところがS3は混んでいて大変です。ドイツ国鉄の指示に逆らって、ミュンヘン中央駅で乗り換えればよかったと後悔します。結局、このS3もミュンヘン中央駅を通っていくんです。何てこった! 仕方なく、そのまま、乗換駅のミュンヘン・パージングに向かいます。まあ、20分ほどの辛抱です。



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ミュンヘン・パージングで乗り換えて、ムルナウへ

2017年7月31日月曜日@ザルツブルク~ガルミッシュ=パルテンキルヒェン/4回目

ザルツブルクSalzburgを離れて、ガルミッシュ=パルテンキルヒェンGarmisch-Partenkirchenへ向かっている途中です。ようやく、ミュンヘンを通過している最中ですが、
ミュンヘン東駅München OstでSバーンのS3に乗り換えたのが間違い。ひどい混雑に巻き込まれます。何とか、耐えながら、ミュンヘン・パージングMünchen-Pasingまで行きます。そして、約20分で無事にミュンヘン・パージングに到着。ここから、また、別の電車に乗り継ぎます。今日の最終目的地のガルミッシュ=パルテンキルヒェンに行く途中で、世界遺産のヴィースの教会を訪ねます。以前、フュッセンからオーバーアマガウまでのバスで、この教会の前を素通りしたのが残念だったのですが、今日は遂に教会を訪れることができます。このミュンヘン・パージングからはムルナウMurnauまで、RB:リージョナルバーンに乗ります。1時間に1本の電車なので、急いで、ホームを移動します。

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何とか、ミッテルヴァルトMittenwald行きの電車に乗り込みました。次の乗り換え駅ムルナウまでは50分ほどです。車窓からはホームの時計が見えています。発車まで2分ほどです。

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最終的には、バスを乗り継いで、ヴィースの教会を訪ねます。ザルツブルクからヴィースの教会への移動は、5回も乗り換える移動で、かなりきわどい乗り換えもあるのですが、saraiは乗り換えの場所と時刻を書いたメモのみ持参で、乗り物がバスか電車なのかもわかっていない有様で、配偶者に呆れられます。ところが、乗り込んだ電車の中のテーブルに観光案内のイラストがあり、なんとか全体像がつかめて助かります。次のムルナウからも電車に乗り換えて、バード・コールグルブ・クアハウスBad Kohlgrub Kurhausまで行き、そこからは2本のバスを乗り継ぎます。

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バイエルンチケット使用なので、すべて乗り物はバスも含めてドイツ国鉄です。今後、ドイツ国鉄の鉄道とバスの精密な運行に期待するのみです。
ミュンヘン・パージングを出発。電車は幸い、空いていて、落ち着けます。スイスで姪っ子に買ってもらったチョコレート菓子とミネラルウォーターで寛ぎましょう。

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長閑な車窓を眺めます。

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やがて、左側の車窓には、シュタルンベルク湖Starnberger Seeが見えてきます。あのルードヴィヒ2世が非業の最期を遂げたところですね。明るく輝く湖には、そういう過去の歴史が感じられません。

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さらにテーブルの上には日本から持参したピーセンが加わります。

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電車は高台から湖を見下ろしながら走ります。

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やがて、最初の停車駅、トゥッツィングTutzingに到着。

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乗降客は少ないです。

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空は晴れ渡っています。絶好の旅行日和です。

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トゥッツィングを出ると、すぐに線路は2つに分かれて、右の線路を進む電車はシュタルンベルク湖からは遠ざかっていきます。

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電車は美しい緑の草原の中を走っていきます。

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ここでようやく、車掌さんが検札にまわってきます。

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次の停車駅、ヴァイルハイム(オーバーバイエルン)Weilheim(Oberbay)に到着。

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乗り換え駅のムルナウまで、あと15分ほどです。



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ロシアの3つの名作ピアノ協奏曲弾きまくり・・・ガヴリリュク&東京交響楽団@東京芸術劇場 2018.9.12

いやあ、最近のピアニストはみんな凄いね! このガヴリリュクは初聴きですが、とんでもない爆演を聴かせてくれます。それでいて、弱音の抒情的なフレーズも美しく聴かせてくれるんですから、今日のような曲を弾かせたら、無敵です。男性で若いので、とんでもないスタミナで迫力のある演奏を完璧に演奏してくれます。
チャイコフスキーではド派手な演奏で始めて、度肝を抜きます。プロコフィエフは途轍もないダイナミックな演奏で圧倒します。そして、ラフマニノフはロマンティックにメローに美しい音楽を聴かせてくれます。最強音が鍵盤を叩き過ぎとも思えますが、ピアノが壊れないのなら、いいでしょう。最高に素晴らしかったのはラフマニノフのピアノ協奏曲第2番です。これは少し映画音楽的でもいいから、思いっきり、リリックにメローにやってくれて構いません。とりわけ、第2楽章の美しさにはしびれました。木管とのからみあいは最高でした。続くヴァイオリンとの絡み合いも素晴らしく、とっても魅了されました。この曲だけはあまり上品でなくても、耽溺的に演奏してくれるのがいいんです。そういう意味で最高の演奏でした。東響のアンサンブルも素晴らしかったです。

アンコールは凄いですね。ホロヴィッツの編曲した超絶技巧の結婚行進曲。口あんぐりでニヤニヤしながら聴いていました。それ以上に心憎かったのは、最後のシューマン。子供の情景の第1曲《見知らぬ国で》ですが、抒情的な素晴らしいシューマンでした。シューマンが弾けるのね。曲が終わった後も、第2曲以降が頭に鳴り止まぬ感じの見事な演奏でした。ある意味、今日、最高の演奏でした。しかし、アンコールの最後にシューマンを持ってくるとは、ガヴリリュク恐るべし。彼と音楽の波長が合ってしまいそうです。いずれリサイタルで彼のシューマンを聴かせてもらいましょう。


今日のプログラムは以下のとおりでした。

  ピアノ:アレクサンダー・ガヴリリュク
  指揮:ヴァレンティン・ウリューピン
  管弦楽:東京交響楽団

  チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調 Op. 23
  プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番 ハ長調 Op. 26

   《休憩》

  ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 Op. 18

   《アンコール》
     メンデルスゾーン(ホロヴィッツ編):結婚行進曲と変奏曲
     シューマン:子供の情景 より 第1曲《見知らぬ国で》

最後に予習について、まとめておきます。

チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番を予習したCDは以下です。

  マルタ・アルゲリッチ、キリル・コンドラシン指揮バイエルン放送交響楽団 1980年2月 ライヴ録音
  マルタ・アルゲリッチ、クラウディオ・アバド指揮ベルリン・フィル 1994年12月 ライヴ録音
  スヴャトスラフ・リヒテル、ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ウィーン交響楽団 1962年

アルゲリッチ&コンドラシン盤はハイレゾですが、オリジナルの音質がもうひとつの感じです。しかし、コンドラシンの熱い指揮のもと、アルゲリッチは実に深い精神性のピアノを聴かせてくれます。とりわけ、弱音の表現が見事です。格調の高さではこの天才的なピアノを超えることことは難しいでしょう。事実、14年後、アルゲリッチ自身がアバドと共演したCDは音質も演奏も素晴らしいのですが、精神性の高さは失われて、ある意味、平凡な名演の感があります、一般的にはこの演奏のほうが聴きやすいのですが、感銘度はもう一つの印象です。
リヒテル&カラヤン盤は一見、カラヤンが主導権を握って、粘りつくようなスローのテンポでカラヤン節のチャイコフスキーを演奏しています。しかし、リヒテルはそのカラヤンのテンポに従いつつ、完成度の高い、これ以上はないといった風情の美しいピアノを聴かせてくれます。カラヤンが外面をとり、リヒテルが内面をとった演奏です。saraiはこれはリヒテルの音楽だと思います。音楽家の格の違いが如実に現れた演奏です。アルゲリッチの独特のアプローチとは違って、リヒテルはさりげない自然な演奏ですが究極とも思える完ぺきなピアニズムです。いずれも聴くに値する演奏であると言えましょう。


プロコフィエフのピアノ協奏曲第3番を予習したCDは以下です。

  アレクサンドル・トラーゼ、ワレリー・ゲルギエフ指揮キーロフ歌劇場管弦楽団 1995年

何の注文も必要ありません。現時点でsaraiが一番高く評価しているCDです。プロコフィエフのスペシャリスト、トラーゼはテクニックもピアノの響きも万全です。以前はアルゲリッチを聴いていましたが、今はこれです。


ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番を予習したCDは以下です。

  スヴャトスラフ・リヒテル、スタニスラフ・ヴィスロツキ指揮ワルシャワ・フィル 1959年録音

この曲はなかなか、満足するCDがありません。その中で巨匠リヒテルのピアノは格の違いを聴かせてくれます。格調の高い演奏です。ユジャ・ワンに期待しましたが、もうひとつピアノの深い響きに欠けます。実演ではその美貌と勢いで満足させてくれますが、CDでじっくり聴かせるタイプではありません。そう言いながらもsaraiは彼女の大ファンです。



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ムルナウでまた次の電車に乗り換え

2017年7月31日月曜日@ザルツブルク~ガルミッシュ=パルテンキルヒェン/5回目

ザルツブルクSalzburgを離れて、ガルミッシュ=パルテンキルヒェンGarmisch-Partenkirchenへ向かっているところです。途中、世界遺産のヴィースの教会を訪ねます。現在、ミュンヘンを過ぎて、乗り換え駅のムルナウMurnauに向かって、リージョナルバーンRBの電車に乗っています。旅のお供はおせんにチョコレートです。

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電車はヴァイルハイム(オーバーバイエルン)Weilheim(Oberbay)を出て、美しいバイエルンの田園風景の中を走ります。

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次の停車駅、フグルフィンクHuglfingに到着。小さな村のようです。

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気持ちのよい草原の中を走っていきます。これでこそ、バイエルン地方です。

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草原の中には1本のサイクリング道路が続いています。

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気持ちよさそうにサイクリングしていますね。

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点在する家々が見えてきたと思うと、電車が止まりそうです。

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次の停車駅、ウーフィンク・アム・スタッフェルゼーUffing am Staffelseeに到着。スタッフェル湖畔の町です。

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乗り換え駅のムルナウに到着。乗り換え時間はわずか7分です。

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これがミュンヘン・パージングMünchen-Pasingから乗ってきた電車、リージョナルバーンRBです。

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到着した3番ホームから駅舎前の1番ホームに移動してきました。

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電車の案内表示板を見上げます。次はオーバーアマガウOberammergau行きのリージョナルバーンに乗り換えます。ホームは4番です。

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1番ホームに面してムルナウの駅舎が建っています。懐かしいですね。実はこの6年前にこの町を訪れたことがあります。美術家集団、青騎士der Blaue Reiterの跡を訪ねる旅でした。このムルナウには青騎士の中心人物、カンディンスキーのパートナーだったミュンターの住まい、ミュンターハウスMünter-Hausが残されています。そのミュンターハウスを拠点に青騎士の活動が本格化しました。もう一人の中心人物、フランツ・マルクのゆかりの地、コッヘルKochelもすぐ近くの村です。そのときの記事はここです。ムルナウの町から、このムルナウ駅を探したことを思い出します。そのときはこのムルナウ駅からミュンヘンに戻ったんです。

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今日は単なる乗り換えです。さて、4番ホームはどこでしょう。駅舎の向こうにちらっと赤い電車が見えています。行ってみましょう。

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駅舎の先にいくと、1番ホームの先の逆サイドが4番ホームになっています。ちょっと分かりづらいですね。既にオーバーアマガウ行の電車は入線しています。

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発車3分前に余裕の乗り換えになりました。

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まだまだ余裕がありますから、先頭車両も写真に収めておきます。

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さあ、発車2分前。車掌さんもスタンバイしていますから、電車に乗り込みます。次はバード・コールグルブ・クアハウスBad Kohlgrub Kurhausまで行き、そこからバスに乗り継ぎます。



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電車を降りたけど・・・バス停はいったい、どこ?

2017年7月31日月曜日@ザルツブルク~ガルミッシュ=パルテンキルヒェン/6回目

ザルツブルクSalzburgを離れて、ガルミッシュ=パルテンキルヒェンGarmisch-Partenkirchenへ向かっているところです。途中、世界遺産のヴィースの教会を訪ねます。現在、ムルナウMurnauで次の電車に乗り換えました。乗り換えた電車のテーブルにも先ほどまでの電車と同じ地図が描かれています。分かりやすくて、いいですね。

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ムルナウ駅を出た電車はすぐに山間の高台を走り出します。すぐ、ムルナウ・オルトMurnau Ortに到着。

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車内はそこそこに空いています。このあたりにまで足を延ばす観光客はあまりいないようです。

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ゼーライテン・ベルクガイストSeeleiten-Berggeistの駅を過ぎて、広大な平原を左に見ながら、電車は走ります。

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グラフェナシャウGrafenaschauの駅を過ぎると、山がちになります。

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それでも林を抜けると、綺麗な山の斜面が現れます。

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斜面の草原にはハイキング道もあるようです。

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ハイキングしているご夫婦もいますね。このあたりは牧草地のようです。

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次の停車駅、バード・コールグルブBad Kohlgrubに到着。ここで降りる人たちがいます。駅名からすると、温泉地なのかな。

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乗り換え駅のバード・コールグルブ・クアハウスBad Kohlgrub Kurhausに到着。

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ここまでの3回の電車の乗り換えはスムーズに完了しました。一緒に降りた乗客は一組の親子だけ。彼女たちはさっさと歩いていきます。

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次のバスへの乗り換えは、駅からバス停まで250メートルの移動で、乗り換え時間は20分です。地図もありません。分かっているのバス停の名前だけ。ここで間違いは許されません。緊張します。降り立った電車の駅は、ポツンと駅のみがあるだけで、駅員もいません。駅から1本の道が伸びています。車掌さんにバス停を聞くと、その道を行けとのこと。確かに方向としては間違えようもありません。呆然としている我々を残して、電車は去っていきます。

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電車のいなくなった駅には、なーんにもありません。線路と草原だけです。

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先ほどの親子連れが歩いていった道をとぼとぼと歩きます。上り坂を進むと、大きな道にぶつかります。親子連れもここで立ち止まっています。さて、右に進むか左に進むか・・・。両方を眺めて思案します。バス停を示す道標はありません。右は何もなし、左は向こうに町並みが見えています。左でしょうね。

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不安ながらも歩いていくと、少し、賑やかな界隈に出ます。

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大きなピザ屋さんの前に出ます。しかし、まだ、バス停は見当たりません。

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この先に右に入る大きな道があります。まさか、そっちにバス停があるわけではないよね。まったくもって見当もつきません。

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ともかく、もう少し、この道路を進んでみましょう。まだ、バス停らしきものはまったく見えませんが・・・。

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淡々と歩いていくと、カーブした道の先にバス停がありました! よかった・・・ほっと胸を撫でおろします。こんなところで迷子になったら、どうしようもありませんからね。

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本当にこのバス停でいいのか、ちゃんと確認しましょう。目的とするバス停の名前、フォイエルヴェーアハウスFeuerwehrhaus, Bad Kohlgrubからすると、消防署の前の筈なんですけどね。



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バス停にはDBバスが定刻に到着し、無事、乗換完了

2017年7月31日月曜日@ザルツブルク~ガルミッシュ=パルテンキルヒェン/7回目

ザルツブルクSalzburgを離れて、ガルミッシュ=パルテンキルヒェンGarmisch-Partenkirchenへ向かっているところです。途中、世界遺産のヴィースの教会を訪ねます。現在、バード・コールグルブ・クアハウスBad Kohlgrub Kurhausで次のバスに乗り換え中です。バス停を探すのが大変でしたが、何とか発見できました。しかし、バス停の名前がフォイエルヴェーアハウスFeuerwehrhaus(消防署)なので、近くに消防署がある筈です。不審に思いながら、通りの向かいを見てもそれらしい建物はありません。

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バス停の名前を確認してみます。ちゃんとフォイエルヴェーアハウスFeuerwehrhausと表示してあります。

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通りの向かい側にもバス停の標識が立っています。でも、待合所は?

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標識とちょっと離れた右のほうに待合所があります。おじさんが一人、バス待ちをしています。ということはそっちがわにバスがもうすぐ来るということかな。

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以前、イタリアでバス待ちをしていたときに通りの反対側で待っていたために半日に1本のバスに乗り損ねてしまった、嫌なことを思い出します。慌てて、バス停の時刻表で確認します。どうやら、こちら側のバス停で間違いないようです。13時15分発のエッヘルスバッハー・ブリュッケEchelsbacher Brücke行きのバスです。あと10分ほどで来る筈です。

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周りをよくよく見渡すと、消防署の建物がありました。これで納得です。このあたりの消防署って、こんな感じの建物なのね。

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次は、本当にバスが来るのか不安になりますが、ジッと期待して待つしかありませんね。さすがにドイツ国鉄は素晴らしい。ちょうど定刻にバスがやってきます。

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バイエルンチケットを運転手さんに提示して、バスに乗り込みます。このバスに10分ほど乗って、終点でまた、もう一回、別のバスに乗り換えます。終点まで乗るので安心ですが、車内には分かりやすい表示板があります。

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ようやく、ゆったりした気分で窓外の美しいバイエルンの風景を楽しみます。

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バスの前方の席に陣取って、次々と現れる風景に見入ります。

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我々と同様に前方の席に中国人3人家族の旅行者が陣取っています。団体ツアーでない中国人旅行者は珍しいですね。

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バート・バイエルソイエンBad Bayersoienの村に入っていくと、道路沿いに建つ綺麗な建物の窓辺には色彩豊かな花が飾られています。

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建物の壁に絵が描かれているのもバイエルンらしい風景です。

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これはパン屋さんの建物ですが、やはり、窓辺に花が飾られています。

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この建物も2階の窓に花がずらっと飾られています。壮観ですね。

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バイエルソイエンの村を抜けて、このバスの終点のエッヘルスバッハー・ブリュッケに向かって、バスは美しい草原の中を走っていきます。

ここでザルツブルクからミュンヘンを経由して、ムルナウを通って、ここまで移動してきたルートを地図で振り返っておきましょう。

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ミュンヘン東駅、ミュンヘン・パージンク、ムルナウ、バード・コールグルブ・クアハウスで鉄道、バスを乗り継いできました。この先、もう一度、バスの乗り換えがあります。



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草原の真っただ中のバスターミナル・・・周りにはなーんにもなし

2017年7月31日月曜日@ザルツブルク~ガルミッシュ=パルテンキルヒェン/8回目

ザルツブルクSalzburgを離れて、ガルミッシュ=パルテンキルヒェンGarmisch-Partenkirchenへ向かっているところです。途中、世界遺産のヴィースの教会を訪ねます。現在、バスに乗って、乗換地点のエッヘルスバッハー・ブリュッケEchelsbacher Brückeのバス停に向かっています。バート・バイエルソイエンBad Bayersoienの村を過ぎて、緑の大平原の中をバスはひたすら走っていきます。

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どこまでもバイエルンの大平原が続きます。

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やがて、アマー川Ammerに架かるエッヘルスバッハー橋Echelsbacher Brückeを渡り、山間の工事現場のようなところの先にバスが停まります。

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バスターミナルのような広場になっています。ここがエッヘルスバッハー・ブリュッケのバス停のようです。ここで乗り換えるのですね。乗ってきたバスの運転手はここで待てと言いおいて、この後、時間調整して、折り返して行きます。ターミナル以外何もありません。とりあえず、大きな時刻表をみんなでのぞき込みます。

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約15分後に来るフュッセンFüssen行きのバスがちゃんと時刻表にあります。このバスがヴィースの教会の前のバス停Wieskirche(Steingaden)で停まります。確認出来て、一安心です。

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ここに降り立ったのは、私達が乗り込んだバスに乗っていた中国人3人家族の旅行者と地元の人が数人のみです。この中国人家族とは、ガルミッシュ=パルテンキルヒェンまで同行することになります。

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ここは野原の真っただ中。何故、こんなところにバスターミナルがあるんでしょう。

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15分ほど待ち時間があるので、何か飲み物でもないかなと見渡します。何もありませんね。

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お店が1軒ありますが、つぶれたのか、今日は営業していないのか、閉まっています。じっと我慢して、バスの到着を待ちましょう。

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これは乗ってきたバス。やがて、時間になり、走り去ります。

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同じバスに乗ってきた中国人家族と少し話し込みます。やはり、家族3人で個人旅行しているそうです。我々と同じルートでヴィースの教会を見て、ガルミッシュ=パルテンキルヒェンまで行くそうです。彼らも初めての経験で少し不安そうです。そりゃあ、そうでしょう。saraiも常に不安ではあります。

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10分ほど待っていると、確かにバスはやってきました。でも、まだ、時間調整中で乗り場前には来ません。暑いし、早く乗せてほしいですね。

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数分後にようやく乗り場にやってきたバスに乗り込みます。バスの車窓からのバスターミナル周辺の風景です。何もない草原が広がっています。

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定刻になり、いよいよ、バスが発車します。このバスもドイツ国鉄のバスなので、さきほどのバスと同様の表示板がついています。今度は途中下車なので、この表示板が役に立ちます。

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いよいよ、ヴィースの教会への最終コースにはいりました。あと10分ほどで到着します。



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アンドレイ・イオニーツァ チェロ・リサイタル@横浜上大岡ひまわりの郷ホール 2018.9.17

アンドレイ・イオニーツァはルーマニア出身の若手の俊英チェリストです。ルーマニア出身の音楽家と言えば、真っ先に思い浮かぶのは最愛のピアニストであるクララ・ハスキルですが、ほかにも、ジョルジェ・エネスク、ディヌ・リパッティなど、錚々たる人たちがいました。セルジュ・チェリビダッケもルーマニア出身ですね。いずれも音楽性が高い人たちです。ルーマニアという国はそういう伝統があるのでしょうか。今日、初めて聴いたアンドレイ・イオニーツァも若手ながら、優れた音楽性の持ち主でした。

冒頭のシューマンの幻想小曲集ですが、この曲をこんなに魅力的に感じたのは初めてです。3曲からなる小曲集の1曲目、チェロの暗い響きに違和感を覚えつつも、ぐーっと惹き込まれます。この陰影に富んだ表現はまさにシューマンらしさ、満載です。とりわけ、チェロの弱音の美しさに驚きを禁じえません。こういうシューマンを聴くと、その演奏家がつい好きになってしまいます。5日ほど前に聴いたガヴリリュクもアンコールのシューマン(子供の情景)を聴いて、ぐっと好印象を抱いてしまいました。シューマンの素晴らしい演奏を聴くと、その演奏家をリスペクトしてしまいます。近年、どんどん、シューマンの音楽に惹かれていきます。というわけで、冒頭から、シューマンの素晴らしい演奏を聴いて、大満悦です。ピアノの薗田 奈緒子は割とがんがん弾くタイプですが、それが妙にイオニーツァの陰のあるチェロとうまくバランスしていました。いやあ、いいものを聴いてしまいました。

次のベートーヴェンも相変わらず、チェロの暗い響きが支配的ですが、それが意外に後期のベートーヴェンの諦念の表現につながらずに平凡な演奏になってしまったのは残念です。ピアノの薗田 奈緒子はここではあまりに響かせ過ぎの感じです。最初のシューマンが良過ぎたために期待し過ぎたかな。


休憩後、マルティヌーですが、これはとても超絶技巧的な派手な演奏です。可もなし、不可もなしって感じかな。そもそも、あのマルティヌーが何故、こんな曲を書いたのかが理解できていません。ですから、評価のしようもありません。

最後はプロコフィエフのチェロ・ソナタ。とっても期待していました。冒頭の低弦の暗い響きが圧倒的ですが、まるでショスタコーヴィチの音楽でも聴いているような錯覚に襲われます。こういう表現もあるのかもしれませんが、プロコフィエフはもっとすっきりした響きの音楽が似合っています。単なるsaraiの趣味ですけどね。もっとも、あんまり、すっきりと演奏されると、モダンな新古典主義の軽い音楽にしか聴こえませんから、意外にプロコフィエフの音楽の演奏は難しいものですね。重苦しさに覆われた演奏の中にプロコフィエフらしさを探しているうちに演奏は終焉を迎えます。この曲って、こんな難しい曲だったっけなあ? プロコフィエフの晩年の作品ですから、こういう音楽でいいのかもしれません。まだまだ、プロコフィエフの音楽の底はこんなに深いのかしら・・・もっとプロコフィエフを聴き込まないといけません。

アンコールは2曲。1曲目はお国ものです。まったく知らない作曲家の知らない作品ですが、ルーマニアっぽいノリの聴きやすい音楽です。爽快な演奏でした。最後はラフマニノフのヴォカリーズ。ロマンティックで美しい演奏。うっとりと聴き入ってしまいました。この曲をこんなに美しく弾くのなら、もう1曲、フォーレの《夢のあとに》を弾いてほしくなります。でも、聴衆のみなさんが拍手をやめてしまったので、叶わぬ夢になりました。


この日のプログラムは以下の内容です。

 チェロ:アンドレイ・イオニーツァ
 ピアノ:薗田 奈緒子

  シューマン:幻想小曲集 Op.73
  ベートーヴェン:チェロ・ソナタ 第4番 ハ長調 Op.102-1

  《休憩》

  マルティヌー:ロッシーニの主題による変奏曲
  プロコフィエフ:チェロ・ソナタ ハ長調 Op.119

  《アンコール》

    コンスタンティン・ディミトレスク:ルーマニアの農民の踊り(チェロ編曲版)
    ラフマニノフ:ヴォカリーズ ホ短調 Op.34-14(チェロ編曲版)

最後に予習について触れておきます。

1曲目のシューマンの幻想小曲集は以下のCDを聴きました。

 ミッシャ・マイスキー、マルタ・アルゲリッチ 1999年 ブリュッセル セッション録音

いい演奏なのですが、今日の陰影のあるシューマンを聴いてしまうと、物足りませんね。

2曲目のベートーヴェンのチェロ・ソナタ 第4番は以下のCDを聴きました。

 ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ、スヴャトスラフ・リヒテル 1961~63年録音

ベートーヴェンの晩年の深い音楽に向けての助走が感じられる味わい深い演奏です。

3曲目のマルティヌーのロッシーニの主題による変奏曲は以下のCDを聴きました。

 クリスティアン・ベンダ、セバスティアン・ベンダ 1996~97年録音

演奏は普通ですが、そもそも、マルティヌーが何故、ロッシーニの主題に基づく変奏曲を書いたのが理解できないし、どこにマルティヌーらしさがあるのかが分かりません。

4曲目のプロコフィエフのチェロ・ソナタは以下のCDを聴きました。

 ミッシャ・マイスキー、マルタ・アルゲリッチ 2003年4月 ブリュッセル ライヴ録音

これはとても冴えた演奏です。文句ありません。



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草原の中に佇む美しい教会・・・ヴィースの巡礼教会

2017年7月31日月曜日@ザルツブルク~ガルミッシュ=パルテンキルヒェン/9回目

ザルツブルクSalzburgを離れて、ガルミッシュ=パルテンキルヒェンGarmisch-Partenkirchenへ向かっているところです。途中、世界遺産のヴィースの教会Wieskircheを訪ねます。現在、エッヘルスバッハー・ブリュッケEchelsbacher Brückeのバスターミナルでバスに乗って、いよいよ、ヴィースの教会への最後のアプローチをします。
バスはバイエルンらしい景色の中を走ります。やがて、牧草地の真っただ中です。

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牛たちがのんびりと草を食べています。

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なだらかな草原がどこまでも続く牧歌的な風景です。

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沿道には夏草が生い茂っています。夏の盛りですね。

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緑の丘をぐんぐん上っていきます。

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丘の草原はまた、牧草地。牛さんがいますね。

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草原の中に小川が流れています。

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バスがヴィースの教会の最寄りのバス停Wieskirche(Steingaden)に到着。早速、降車。

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ここまで移動してきたルートを地図で確認しておきましょう。6つの電車とバスを乗り継いで、ザルツブルクから到着することができました。4時間ほどの行程でした。

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バス停の時刻表でガルミッシュ・パルテンキルヒェン行のバスの時間を確認します。ちょうど1時間後です。中国人の家族もガルミッシュ・パルテンキルヒェンに行くということで、また一緒にこのバスに乗ることを確認して別れます。駐車場の中の道をヴィースの教会のほうに向かいます。

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駐車場には観光地らしく、大型の観光バスが来ています。

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大きな駐車場を抜けるのは結構、時間がかかります。

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駐車場の中に流れる小川にかかる木橋を渡ります。

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遂に木立越しに素敵な教会が見えます。ヴィースの教会です。

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草原の中に佇む、とっても美しい教会です。でも、以前の方が、もっと周りには何にもなく、美しかったような気がします。今や、大規模な駐車場もあり、お店もたくさんできています。

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草原の中の道を、教会に向かって歩きます。とっても素敵な気分です。

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一歩一歩近づいてくる教会の美しい姿に魅了されます。

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初めて訪れる教会の内部がもうすぐ見られるということで高揚した気分です。



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ヴィースの巡礼教会の美しさを極めた内部装飾に感嘆

2017年7月31日月曜日@ザルツブルク~ガルミッシュ=パルテンキルヒェン/10回目

ザルツブルクSalzburgを離れて、ガルミッシュ=パルテンキルヒェンGarmisch-Partenkirchenへ向かっているところです。現在、世界遺産のヴィースの教会Wieskircheを訪れています。美しい教会の姿がどんどん近づいてきます。

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教会の前に立ちます。

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教会の中に早速、入ります。その美しい内部に圧倒されます。てっきり、その美しさはバロック様式の結晶だと誤認しますが、実際は滅多に見たことのないロココ様式です。まず、美しさに魅了されたのは大天井画です。とても素晴らしいフレスコ画に目が釘付けになります。虹の頂点に座するのは復活したキリストです。そして、キリストは中央で輝く十字架を指さしています。この教会がキリストに捧げられたものであることが分かります。ロココ芸術の頂点をなすような見事な絵画です。作者はこの教会を作り上げたツィンマーマン兄弟の兄、ヨハン・バプティスト・ツィンマーマンです。この時代の最も高名なフレスコ画家、装飾細工師の一人でした。

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次いで、南側(右側)の側廊前にある彫像に注目。聖ヒエロニムスです。この教会にはヨーロッパの四大教父の像がアントン・シュトゥルムの晩年の熟達した手で作られています。中でも、この聖ヒエロニムスに素晴らしい彫像が目を惹きます。右手にはヒエロニムスの象徴であるされこうべを持っています。変わった形の帽子は枢機卿の帽子です。ヒエロニムスの時代にはなかった帽子ですが、バロック時代になってから与えられるようになりました。

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色んな内部装飾が気にかかります。これは北側(左側)の壁面です。左にあるのが北側の脇祭壇で《貧しい魂のための信心会》の祭壇です。その右側、画面の真ん中にある彫像はアントン・シュトゥルムによる四大教父の像の一つ、教皇グレゴリウス一世です。一番右側にあるのが説教壇です。説教壇壁の見事なスタッコ造りが目を惹きます。

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さて、いよいよ豪華な内陣です。ロココ芸術の極みですね。立ち並ぶ円柱や美しい彫像に囲まれて、祭壇天蓋の中に中央祭壇画が収まっています。この祭壇画はバルタザー・アウグスト・アルブレヒト作の聖家族です。赤い衣をまとった天使が上から見守っています。実は祭壇部は2段構成になっていて、画面に見えているのは上部の部分です。

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もう一度、視線を北側(左側)の側面の後方に戻します。北側の脇祭壇の左手には、アントン・シュトゥルムによる四大教父の像の一つ、アウグスティヌスの彫像があります。アウグスティヌスは北アフリカ、ヒッポの司教でした。聖アンブロシウスの説教でキリスト教に目覚めました。これも美しい彫像です。

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南側(右側)の側面を眺めます。南側の脇祭壇で《ヴィースの鞭打たれる救い主のための信心会》の祭壇です。右手には先ほどの聖ヒエロニムスの彫像が見えています。

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後部(西側)のバルコン部を見上げると、美しいパイプオルガンが見えます。改修の際にも原型の姿にこだわったそうです。教会の創建当初に作られたものです。

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再び、これが内陣の全体です。内陣の木の柵の先は内陣聖歌隊席になっています。2段構成の祭壇の下部も見えています。下部の天蓋に収められているのは、この教会の起源となる《鞭打たれる救い主》の恵みの像です。製作後、忘れ去られていた《鞭打たれる救い主》の像がとある農家に引き取られた後、農家の夫婦が夕拝中に鞭打たれる救い主の目に涙のしずくが浮かんでいるのを見ました。《ヴィースの奇跡》です。それ以来、ヨーロッパ各地からの巡礼が続き、この像を収めるために1743年~1754年にかけて、この美しいヴィースの巡礼教会が建設されました。

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小さな教会なので、内部を見るのにまだ10分も経っていません。時間は十分あるので、もっとゆっくりと内部を眺めましょう。



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ロココ建築の傑作、ヴィースの巡礼教会の美を堪能

2017年7月31日月曜日@ザルツブルク~ガルミッシュ=パルテンキルヒェン/11回目

ザルツブルクSalzburgを離れて、ガルミッシュ=パルテンキルヒェンGarmisch-Partenkirchenへ向かっているところです。現在、世界遺産のヴィースの教会Wieskircheを訪れています。教会内部の美しいロココ様式の装飾に魅了されています。
一応、小さな教会内部は見尽くしましたが、もう一度、じっくりと眺めましょう。この教会の建築を委託されたのはドミニクス・ツィンマーマンです。彼は彼の兄のヨハンと力を合わせて、この教会を作り上げました。当時の名のある工匠たちもこの建築に力を貸しました。計画も含めて、わずか10数年の工期で完成させたのは驚異的です。献堂式が行われたのは1754年のことでした。ロココ様式の代表的な建物として、1983年にユネスコの世界遺産に登録されました。

これは北側(左側)の壁面にある説教壇です。説教壇壁は見事なスタッコ造りになっています。このスタッコ造り(漆喰の一種でコテやローラーなどで表面に凹凸模様をつける手法であり、作り手に多大の労力・苦難を強いるといわれています。)こそがロココ様式の大きな特徴です。ツィンマーマン兄弟の兄、ヨハン・バプティスト・ツィンマーマンの作です。説教壇胸壁には三つの浮彫があります。十字架(信仰)、錨(希望)、燃える心臓(愛)の三つです。ヨハネ福音書の言葉を表したものです。説教壇天蓋は光輪に包まれた鏡に描かれた神の目によって、その頭部を飾られています。豪華な意匠の中には、ヨーロッパの四大教父の象徴が作り込まれています。ミツバチの巣箱はアンブロシウス、教皇冠はグレゴリウス一世、ライオンの頭はヒエロニムス、燃える心臓はアウグスティヌスを示しています。説教壇の下にはイルカに乗った素晴らしい天使像があります。これはイルカと少年の物語を描いたものです。イルカと友情を結んだ少年はイルカに乗って、海に出ますが、イルカの背びれで傷ついて死んでしまいます。イルカはその少年の墓を探し出して、そこで死ぬために身を横たえたという物語です。もちろん、これは人間とキリストを象徴した物語でもあります。

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再び、内陣に目をやります。2段構成の中央祭壇については既に述べた通りですが、内陣の天井フレスコ画が見えています。大天井画と同じく、ツィンマーマン兄弟の兄、ヨハン・バプティスト・ツィンマーマンが描いたものです。上昇する天使たちが神の御前にキリストを苦しめた道具の数々を運び上げています。鞭打ちの柱、鞭、十字架と釘、槍と海綿、いばらの冠、ヴェロニカの聖骸布などです。

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振り返って、教会の後部(西側)を眺めます。2階のバルコンに設置されているパイプオルガンのまわりは美しい装飾で飾られています。そして、上方の大天井画も合わせた美しい風景を作っています。

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これは中央祭壇の上部、天蓋の下にある小羊の像です。大きくズームアップしたので、画像がぶれてしまいました。悪しからず。もちろん、小羊はキリストを象徴するものです。

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もう一度、中央祭壇をご覧ください。祭壇の上部に小羊の像がありますね。

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北側(左側)の側面全体です。北側の脇祭壇とその左にアウグスティヌスの彫像、右には教皇グレゴリウス一世の彫像が見えています。大きな窓からは北からの光が差し込み、白い壁面が明るく輝きます。円柱の上には大天井画が続いています。素晴らしい内部空間です。

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こちらはその反対側、南側(右側)の側面です。南側の脇祭壇の左手には、聖アンブロシウスの彫像があります。

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信者席に腰掛けて、後方の空間を眺めます。西からの柔らかい光に包まれています。美しいですね。

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これは南側(右側)の側廊前にある聖アンブロシウスの彫像です。アントン・シュトゥルムが作り上げたヨーロッパの四大教父の像の一つです。アンブロシウスはミラノの司教でした。

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これは北側(左側)の脇祭壇で《貧しい魂のための信心会》の祭壇です。祭壇画はヨハン・ゲオルク・ベルクミュラーの作で、罪の女がシモンの家でイエスの足に香油を塗る場面が描かれています。祭壇画の両脇にはエジプトの聖マリアと十字架の神秘家コルトナのマルガレタの小さな彫像が置かれています。

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教会の空間全体を眺めます。と言っても、前方のほぼ半分くらいの空間が見えるだけです。内陣の前方の両脇の柱には、左手に説教壇、右手に修道院長席が設置されています。

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同じ前方の空間を縦向きに撮影してみます。大天井画が少し見えています。

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角度を変えて、左側に寄って、撮影してみました。

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同じ場所から縦向きに撮影。大天井画がよく見えます。

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今度は右側に寄って、撮影。

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同じく、縦向きに撮影。

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最後にもう一度、美しい大天井画を見上げます。素晴らしいですね。

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小さな教会なので、ゆっくりと見ても、鑑賞するのにそれほどの時間はかかりません。滞在時間はわずか15分ほどでした。この後は教会の周りを散策してみましょう。

あっ、そうそう、肝心のこの教会のご本尊の姿をご紹介していませんでした。2段構成の祭壇の下部に収められている《鞭打たれる救い主》の恵みの像です。この像に起きたヴィースの奇跡が巡礼者を集め、結果として、この美しいヴィースの巡礼教会を作り上げました。この簡素な像の秘めているパワーを感じ取ってくださいね。

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ドヴォルザーク・プロジェクト第1夜:ウィハン・カルテット@鶴見サルビアホール 2018.9.21

今日からは秋の演奏会シリーズ第1弾で、明後日の日曜日だけ休んで、合わせて7日連続でコンサートに通います。その中で、中核を占めるのが今日からのSQSドヴォルザーク・プロジェクト2018と題したドヴォルザークの弦楽四重奏曲シリーズです。全曲演奏ではありませんが、4夜で弦楽四重奏曲の第8番以降と弦楽四重奏のための「糸杉(Cypresses)」、弦楽五重奏曲 第3番が演奏されます。残念ながら、第4夜は別のコンサートと重なるために聴けませんから、第13番と第14番および「糸杉(Cypresses)」 第10-12曲は聴けません。今日の第1夜から第3夜までを聴きます。演奏するのは、本場のチェコを代表するカルテットのウィハン・カルテットです。これまでに2回聴いていますが、特にお国ものの演奏は素晴らしいものでした。ドヴォルザークの弦楽四重奏曲も第12番《アメリカ》を3年前に聴きましたが、あのスメタナ四重奏団にも迫ろうかなというほどの素晴らしい演奏でした。テクニック以上に音楽性に優れたカルテットです。

で、今日の演奏ですが、曲が精神性に満ちた音楽というわけではないので、そんなに突っ込んだ聴き方は不要です。音楽の美しさ、ボヘミアの哀愁に耳を傾けるだけです。
冒頭の弦楽四重奏のための「糸杉(Cypresses)」は実は初聴きの音楽ですが、同じドヴォルザークのオーケストラ曲のスラヴ舞曲集以上にボヘミアの美しさに満ちています。原曲は音楽を教えていた弟子のヨゼフィーナ・チェルマーコーヴァーとの初恋に破れた後に書いた歌曲集の糸杉です。その歌曲集から12曲を選んで弦楽四重奏用に編曲したものが今日演奏された作品です。今日から、毎夜、3曲ずつ演奏されます。何の不足もない、とっても美しい演奏で、うっとりと聴き入りました。原曲の歌曲を聴いたことがありませんが、第1ヴァイオリンのレオシュ・チェピツキーが心のこもった美しい響きで音楽を歌わせてくれました。アンサンブルも見事で、すっかり、この小さなホールの響かせ方を心得たという体です。この3曲を聴いただけでも、今日のコンサートに足を運んだ甲斐がありました。第2夜以降も第4曲以降の演奏が楽しみです。

前半続いて演奏された弦楽四重奏曲 第9番も美しい響きの演奏。それほど、ボヘミアっぽい曲ではありませんが、メロディアスな曲を明快なアンサンブルで聴かせてくれました。

後半の弦楽四重奏曲 第10番はボヘミアらしさが満載された美しい曲です。解説によると、作曲を委嘱したフローレンス・カルテットの主宰者のジャン・ベッカーからの、スラヴ的な曲を書いてほしいという注文があったそうです。そのため、この曲は特にスラヴ的な色彩が強くて、スラヴォニックという愛称で呼ばれることもあるそうです。こういう民俗的な音楽はやはり、本場のカルテットで聴くのが一番です。とりわけ、ウィハン・カルテットは素晴らしい演奏を聴かせてくれます。懐かしさ、郷愁に満ちた音楽性の高い最高の演奏でした。

それにしても、この100席しかない室内楽専用のホールの音響の素晴らしさはどうでしょう。ウィハン・カルテットの演奏も素晴らしかったのですが、それ以上にホールの音響の素晴らしさを再認識しました。室内楽を聴くのにこれ以上のホールはないでしょう。

今日のプログラムは以下です。

  弦楽四重奏:ウィハン・カルテット
   レオシュ・チェピツキー vn    ヤン・シュルマイスター vn
   ヤクブ・チェピツキー va   ミハル・カニュカ vc

 SQSドヴォルザーク・プロジェクト2018 第1夜

  弦楽四重奏のための「糸杉(Cypresses)」 第1-3曲
     1. 私は甘い憧れに浸ることを知っている
     2. 死は多くの人の心をとらえる
     3. お前の優しい眼差しに魅せられて
  弦楽四重奏曲 第9番 ニ短調 Op.34

   《休憩》

  弦楽四重奏曲 第10番 変ホ長調 Op.51

   《アンコール》
    弦楽四重奏のための「糸杉」 第3曲

最後に予習について触れておきます。
すべて、以下の全集盤で予習しました。

 プラハ弦楽四重奏団(全集盤) 1973年録音

特に糸杉の哀愁に満ちた演奏が素晴らしいです。また、今日の演目では、弦楽四重奏曲 第10番のボヘミアの郷愁にあふれた演奏が美しいです。



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スダーン渾身のベートーヴェン「田園」・・・東京交響楽団@サントリーホール 2018.9.22

今日の東京交響楽団の定期演奏会は珍しく、チャレンジャブルなプログラムから離れて、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンの有名作品をずらっと並べた、地味と言えば、地味なものです。となると、演奏の質を高めてもらうしか、ありませんね。

冒頭のハイドンの交響曲 第100番「軍隊」ですが、あまり、水際立ったアンサンブルとは言い難い内容です。きちんと演奏はしていますが、東京交響楽団ならば、室内楽に思えるほどの切れのよいアンサンブルにまとめてほしかったものです。それでも第2楽章は部分的には、とても美しい演奏にはなっていましたが、全体としては、もう一つ。特に弦楽セクションの高度なアンサンブルが実現できていなかったのが残念です。演奏者の人数をもっと少なくして、レベルの高い演奏を志してもよかったのでは・・・。

次のモーツァルトのヴァイオリン協奏曲 第4番はハイドンよりは、演奏者の人数が少ないためか、オーケストラの響きがよくなりました。そのアンサンブルに乗って、堀米ゆず子の美しい響きの自在な演奏が圧巻でした。余裕を持って、音楽の愉悦をふりまきながらの演奏です。こういうモーツァルトが演奏できるとは驚きです。本当に日本のヴァイオリニストはレベルが高いですね。大満足の演奏でした。聴衆の反応が今一つだったのは何故?

休憩後、ベートーヴェンの交響曲 第6番「田園」です。これは素晴らしい演奏でした。よほど、リハーサルに時間をかけたんでしょう。終始、素晴らしいアンサンブルで、音楽で描く自然の美しさを堪能できました。解説によると、指揮者マーラーはこの曲をよく取り上げていたそうですが、作曲家マーラーも交響曲の中で自然を描いていました。マーラーの場合は、自然を心象風景として、己の内に取り込んで、それを主観的な表現で音楽に仕立て上げていました。ベートーヴェンの自然表現も主観的ではあるものの、マーラーよりももっと直接的な表現になっています。今日の指揮者のユベール・スダーンはその音楽を丁寧に心を込めて、美しく表現しました。東京交響楽団も現在持てる能力をすべて発揮して、音楽表現に貢献した感じです。当初、この選曲を不思議に思いましたが、相当に思い入れのあったのだろうと推測されます。兄弟曲の「運命」とか、ほかの交響曲ではなく、この「田園」に込められた美感を表現したかったのでしょう。それは十分に達成されました。今日のプログラムでは最高の演奏でした。とすると、ハイドンは選曲ミス、あるいは練習不足だったということになります。難しいもんですね。


今日のプログラムは以下のとおりでした。

  指揮:ユベール・スダーン
  ヴァイオリン:堀米ゆず子
  管弦楽:東京交響楽団

  ハイドン:交響曲 第100番 ト長調 Hob.I:100 「軍隊」
  モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲 第4番 ニ長調 K.218

   《休憩》

  ベートーヴェン:交響曲 第6番 ヘ長調 op.68 「田園」


最後に予習について、まとめておきます。

ハイドンの交響曲 第100番「軍隊」を予習したCDは以下です。

  トマス・ビーチャム指揮ロイヤル・フィル 「ロンドン・セット」全曲(第93番~第104番) 1957~59年録音

典雅な演奏です。まだ、この第100番「軍隊」を聴いただけですが、ほかの11曲も早く聴きたくなります。オイゲン・ヨッフム指揮ロンドン・フィルの「ロンドン・セット」全曲も聴くべく、用意していましたが、コンサート日程が詰まっていて、聴けませんでした。少しハイドンの後期交響曲を集中的に聴きたいものです。


モーツァルトのヴァイオリン協奏曲 第4番を予習したCDは以下です。

  ギドン・クレーメル、ニコラウス・アーノンクール指揮ウィーン・フィル ヴァイオリン協奏曲全5曲 1983~87年録音

安心して聴ける美しい演奏ですが、もうちょっと遊びも欲しいところです。モーツァルトに関しては、アンネ・ゾフィー・ムターの演奏が好きなので、それも聴きたかったところです。彼女が最初に録音したカラヤンとコンビを組んだのではないCDを聴こうとして、手間取って、結局、聴けませんでした。カラヤン以外に2つの録音があるようです。


ベートーヴェンの交響曲 第6番「田園」を予習したCDは以下です。

  ブルーノ・ワルター指揮コロンビア交響楽団 1958年録音

今更、予習でもありませんが、大本命の録音をハイレゾで聴いてみました。子供の頃から慣れ親しんでいる録音ですが、より、自然な音で聴けました。これ以上の演奏はありませんね。フルトヴェングラーはもっと違うアプローチですが、あくまでもワルターを聴いた上で聴くべき演奏でしょう。



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ヴィースの巡礼教会のまわりをぶらぶら散策

2017年7月31日月曜日@ザルツブルク~ガルミッシュ=パルテンキルヒェン/12回目

ザルツブルクSalzburgを離れて、ガルミッシュ=パルテンキルヒェンGarmisch-Partenkirchenへ向かっているところです。現在、世界遺産のヴィースの教会Wieskircheを訪れています。ロココ様式の美しい内部装飾を堪能し、教会の出口に向かいます。外には美しい緑が広がっています。

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ヴィースの巡礼教会はこんなに美しい緑の野原の前に立っています。

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教会の周りを散策してみます。バスの出発時間まで、まだ、30分ほどあります。

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外から教会の建物を見上げます。近過ぎて、あまり、様子が分かりませんね。どこか、見通しのよいところを探しましょう。

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少し側面を周り込むと教会の尖塔は何とか眺められます。

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夏空の中に尖塔がすっくと立ち上がっています。

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今度は教会の西側の正面に周り込みます。これが教会の西側の正面のファサードです。大きな扉はありますが、すっきりしていて何にもありません。教会の建設の主眼は内部装飾に注がれて、外部の装飾は省略したのかな。

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教会の前には、ちょっとしたお店やレストランが数軒並んでいます。レストランで休むほどの時間は残されていません。

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教会を少し離れると、何にもない野原が広がっています。教会の創建時は周り中がこんな風景だったんでしょう。

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小さなホテルのような建物があります。巡礼者が泊まるんでしょうか。観光客はきっと通り過ぎるだけでしょう。

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少し離れたところから教会の正面を眺めますが、木々が視界を遮ります。

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ちょっと右にまわり込んで眺めます。奥の尖塔は見えますが、やはり、木々が邪魔します。

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さらに離れてみますが、かわりばえしませんね。

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意地になって、さらに後退します。これが限界のようです。どこまで行っても木々がなくなるわけではありません。見ようによってはとても美しい眺めですよね(笑い)。よく考えてみると、正面のファサードには何も装飾がないので、代わりに木々を植え込んで装飾の代わりにしたんでしょうか。そうだとすれば、なかなか卓抜な着想ですね。

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教会の前にあるお店やレストランの建物から、こんな道を周り込んできました。この道を戻る方向にバス停があります。

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まだ、時間はありますが、そろそろ、バス停のほうにぶらぶらしながら、戻りましょう。暑いので、少し喉も乾いてきました。



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モーツァルトの人生すべてに対峙するかの如く、新首席指揮者の鈴木優人の躍動 バッハ・コレギウム・ジャパン@東京オペラシティ コンサートホール 2018.9.24

鈴木優人氏がバッハ・コレギウム・ジャパンに新設された首席指揮者についたということが告知されていて、びっくり。じゃあ、鈴木雅明氏はどうなるのって思ったら、そのまま、音楽監督だということです。鈴木雅明氏の発表文によると、バッハ・コレギウム・ジャパンの継続性(ビジネスで言う事業継続性(Business Continuity)みたいなものかしら)を考慮したそうです。永遠に不滅な団体などはないけれどとも書かれていました。まあ、これでsaraiが生きているうちはバッハ・コレギウム・ジャパンは不滅なようです。せいぜい、応援しましょう。
今日は首席指揮者就任記念コンサートになるそうですが、肝心の鈴木雅明氏の姿が見えません。何と今はミュンヘンにいるそうです。何故? ミュンヘンでバイエルン放送交響楽団を指揮して、メンデルスゾーンのオラトリオを演奏するそうです。凄いですね。鈴木雅明氏が世界進出するためにバッハ・コレギウム・ジャパンの今後を鈴木優人氏に託したというわけでしょうか。何ともおめでたいことです。歌舞伎の世界みたいですね。

で、その鈴木優人の本格的な指揮による演奏を聴くのは初めてのような気がします。とても素晴らしいモーツァルトを聴かせてくれました。才能全開です。これほどのモーツァルトを指揮するのは只者ではありません。親を超える才能かもしれません。

最初の交響曲第25番は第1楽章から、素晴らし過ぎる演奏です。こんな演奏を聴いたら、下手なモダン・オーケストラの演奏は聴けなくなります。ともかく、弦楽セクションの素晴らしいアンサンブルに驚嘆します。そして、それ以上に音楽表現の見事さに魅了されます。この曲は3回目のウィーン旅行でハイドンの中期の疾風怒濤の影響を受けて、ザルツブルクに帰着後1か月くらいに書き上げたと言われています。モーツァルトはまだ17歳でした。今日の演奏はモーツァルトの全人生を俯瞰した上で(もちろん、後の傑作のト短調交響曲の存在も頭に入れて)、ある意味、モーツァルトの全人格を描き出したような演奏に思えました。天才モーツァルトの憂愁や叫びが聴こえてくるような気さえしました。それが頂点に達したのは終楽章です。まだ、この時期、モーツァルトの音楽表現には物足りなさも感じられますが、それはあくまでも技法的な面だけで、その音楽は既に後期の音楽と変わらぬ境地に達していたようです。是非とも、鈴木優人&バッハ・コレギウム・ジャパンでこの時期のモーツァルトの交響曲、第24番~第30番あたりをまとめて聴かせてほしいものです。

素晴らしい交響曲を聴いた興奮も冷めやらぬ時、次のコンサートアリア《私があなたを忘れるだって?…おそれないで、恋人よ》K.505が始まろうとしています。交響曲の後にコンサートアリアというのは、まるで、モーツァルト自身が開いていたコンサートみたいですね。このコンサートアリアの初演はモーツァルト自身がピアノを弾いたそうです。今日は鈴木優人がフォルテピアノの前に座ります。なんだかモーツァルトの生きていた頃のコンサートを聴くみたいで嬉しくなります。その嬉しさを倍増させてくれたのがソプラノのモイツァ・エルトマンの見事な歌唱です。最前列に座っていたsaraiのすぐ目の前に立って、美声を聴かせてくれました。モイツァ・エルトマンのファンであるsaraiは舞い上がりそうになりながら、ただただ、その歌声に魅了されていました。曲よし、歌手よしです。あれっ、鈴木優人のフォルテピアノは? やはり、音量が小さくて、地味に聴こえます。しっかり演奏していましたが、ここはエルトマンに花を持たせた感じになります。曲が終わっても嬉しくて、ずっとニコニコしていたsaraiです。

後半は今日のメインとなる《レクイエム》です。これも鈴木優人の素晴らしい指揮が光りました。とりわけ、冒頭から第8曲 ラクリモーサあたりは素晴らしいです。モーツァルトが死の少し前、このあたりを病床で弟子ジュスマイヤー、妻コンスタンツェとともに歌って、いくつかの箇所で涙を流したということを思い出すと、胸にジーンと来るものがあります。自分自身のレクイエムになることを自覚しながらの最後の作曲活動でした。鈴木優人の演奏はよくよく考え抜かれた音楽解釈と思われます。今後とも鈴木優人のライフワークとして、さらに熟成していってほしいと願います。そして、感動のフィナーレでした。合唱も見事でしたが、やはり、エルトマンのソプラノは最高です。よいものが聴けました。

最後の《アヴェ・ヴェルム・コルプス》は微妙です。大好きな曲ですが、《レクイエム》の後に演奏できる音楽は存在しないでしょう。前半のシメくらいにプログラムしたほうがよかったのでは・・・。

いずれにせよ、バッハ・コレギウム・ジャパン、そして、鈴木優人の輝かしい未来が期待できる素晴らしいコンサートでした。

今日のプログラムは以下です。

  指揮 フォルテピアノ(K.505):鈴木 優人
  ソプラノ: モイツァ・エルトマン
  アルト: マリアンネ・ベアーテ=キーラント
  テノール: 櫻田亮
  バス:クリスティアン・イムラー
  合唱・管弦楽:バッハ・コレギウム・ジャパン
   コンサート・マスター:寺神戸 亮
   オーボエ:三宮正満

  すべて、W. A. モーツァルトの作品

  交響曲第25番ト短調 K.183
  アリア《私があなたを忘れるだって?…おそれないで、恋人よ》K.505

    《休憩》

  《レクイエム》 K.626
    モーツァルト、アイブラー及びジュスマイヤーの自筆譜に基づく鈴木優人補筆校訂版
  《アヴェ・ヴェルム・コルプス》 K.618


最後に予習について、まとめておきます。

交響曲第25番を予習したCDは以下です。

  ニコラウス・アーノンクール指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 (第25番,第29番,第35番,第36番,第38番,第39番~第41番) 1980~84年録音(第25番83年6月録音)

 一応、これもオリジナル楽器派の録音ということで聴きましたが、アーノンクールもさすが、受けて立ったコンセルトヘボウ管もさすがです。


アリア《私があなたを忘れるだって?…おそれないで、恋人よ》を予習したCDは以下です。

  モイツァ・エルトマン、エレーヌ・グリモー(ピアノ&指揮)バイエルン放送交響楽団室内管弦楽団 2011年録音
  エリザベート・シュヴァルツコップ、アルフレード・ブレンデル、ジョージ・セル ロンドン交響楽団 1968年録音
  チェチーリア・バルトリ、アンドラーシュ・シフ、ジェルジ・フィッシャー ウィーン室内管弦楽団 1990年録音

 エルトマンの録音を始め、名ソプラノ・メゾソプラノと名ピアニストの録音が揃っていることに驚きました。この曲はまだ聴いていなかったんです。迂闊でした。今回、聴いた以外にも垂涎の演奏が揃っています。それもその筈、素晴らしい名曲です。今回3つの録音を聴きましたが、いずれもモーツァルトを得意とする歌手、ピアニストだけあって、独自のアプローチが素晴らしく、どれも聴き映えがしました。エディット・マティス&レオポルド・ハーガーやキリ・テ・カナワ&内田光子やバーバラ・ヘンドリックス&マリア・ジョアオ・ピリスなど気になる演奏が多々あります。


《レクイエム》を予習したCDは以下です。

  ウィリアム・クリスティ指揮レザール・フロリサン 1994年録音(第25番83年6月録音)
   アンナ・マリア・パンザレッラ、ナタリー・シュトゥッツマン、クリストフ・プレガルディエン、ナタン・ベルク

 ジュスマイヤー版でオリジナル楽器派の録音ということで聴きましたが、さすがに名匠クリスティ、しみじみとした演奏でこの音楽の素晴らしさを余すところなく、表現してくれます。胸にジーンとくる演奏です。こういう演奏を聴くと、モダーン・オーケストラ&合唱団の仰々しい演奏は聴けなくなりそうです。


《アヴェ・ヴェルム・コルプス》を予習したCDは以下です。

  リッカルド・ムーティ指揮ベルリン・フィル、スウェーデン放送合唱団、ストックホルム室内合唱団  1987年録音
  ウィリアム・クリスティ指揮レザール・フロリサン 1994年録音

 これはどんな演奏を聴いても心に沁みます。大好きな曲なんです。モダン・オーケストラとオリジナル楽器派の両方を聴きましたが、そんなに差異はありません。名曲はどんな演奏をしても名曲です。



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       バッハ・コレギウム・ジャパン,  

ドヴォルザーク・プロジェクト第2夜:ウィハン・カルテット@鶴見サルビアホール 2018.9.25

今日はSQSドヴォルザーク・プロジェクト2018と題したドヴォルザークの弦楽四重奏曲シリーズの第2夜です。今日はドヴォルザークの楽曲の中でも特に有名な弦楽四重奏曲 第12番 「アメリカ」が演奏されます。チェコを代表するカルテットのウィハン・カルテットの演奏する《アメリカ》は既に3年前にも聴きました。今日もそのときと同様に音楽性に優れた演奏でした。彼らの体にはチェコ人魂が沁み込んでいるので、黙っていてもこんなに素晴らしい演奏になるんでしょう。

冒頭は前回と同様に弦楽四重奏のための「糸杉(Cypresses)」です。何も言う必要はありません。ただただ、ボヘミアの美しさに満ちていて、その哀愁にあふれた演奏にはうっとりとするだけです。前回同様、第1ヴァイオリンのレオシュ・チェピツキーの美しい響きが心に沁みてきます。

続いて演奏された弦楽四重奏曲 第8番も見事な演奏。こんなに美しい曲をドヴォルザークは《アメリカ》以外にも書いていたんですね。とりわけ、第2楽章の美しいこと、この上もないって感じです。作曲されて、初演まで13年もかかったということが不思議だし、今でもほとんど演奏されないのが不思議な名曲です。こういう曲が聴けたのも、こういうドヴォルザークの連続演奏会の企画のお蔭です。感謝しましょう。

後半の《アメリカ》は細かい感想は不要です。素晴らしい演奏でした。終始、美しい響きが続きました。とりわけ、第1ヴァイオリンのレオシュ・チェピツキーの美しい響きが突出していました。チェロのミハル・カニュカもさすがの演奏でした。フィナーレでは気持ちが高揚しました。

アンコールはヴィオラのヤクブ・チェピツキーが「アントニン・ドヴォルザーク」とだけ言って弾き始めます。「糸杉(Cypresses)」でしょうが、何番かは分かりません。後で第11番と判明します。最後の日に弾く予定の曲でした。聴けないはずの曲が聴けて、満足です。美しい演奏でした。

今日のプログラムは以下です。

  弦楽四重奏:ウィハン・カルテット
   レオシュ・チェピツキー vn    ヤン・シュルマイスター vn
   ヤクブ・チェピツキー va   ミハル・カニュカ vc

 SQSドヴォルザーク・プロジェクト2018 第2夜

  弦楽四重奏のための「糸杉(Cypresses)」 第4-6曲
     4. その愛は私たちを幸せに導くことはないだろう
     5. 本に挟んだ古い手紙
     6. おお、私の輝く薔薇よ

  弦楽四重奏曲 第8番 ホ長調 Op.80

   《休憩》

  弦楽四重奏曲 第12番 ヘ長調 Op.96「アメリカ」

   《アンコール》
    弦楽四重奏のための「糸杉」 第11曲

最後に予習について触れておきます。
以下の全集盤で予習しました。ただし、やはり、「アメリカ」は別の演奏を聴きます。

 プラハ弦楽四重奏団(全集盤) 1973年録音

もう既に書いたことですが、特に糸杉の哀愁に満ちた演奏が素晴らしいです。また、弦楽四重奏曲 第8番のボヘミアの郷愁にあふれた演奏が美しいです。


で、弦楽四重奏曲 第12番 「アメリカ」だけは、以下の録音を聴くしかありません。予習っていうわけではありません。

 スメタナ弦楽四重奏団 1980年録音 神戸文化会館でのライブ LP

単に愛聴盤を久しぶりに聴いただけのことです。うーん、これしかない!


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もう一つの《アメリカ》~ドヴォルザーク・プロジェクト第3夜:ウィハン・カルテット@鶴見サルビアホール 2018.9.26

昨夜は弦楽四重奏曲第12番《アメリカ》の素晴らしい演奏を聴きましたが、今日はドヴォルザークがその《アメリカ》の作曲完了の3日後に書き始めて1か月で書き上げたという弦楽五重奏曲第3番を聴きました。この弦楽五重奏曲第3番も《アメリカ》と呼ばれることがあるそうです。同じくアメリカに滞在していたときの作曲だからです。アメリカ的な旋律があるわけではなく、やはり、スラヴ風の旋律が美しい作品です。その弦楽五重奏曲第3番の第3楽章が素晴らしく美しい演奏でホールに響き渡り、強い感銘を受けました。《アメリカ》は弦楽四重奏曲だけではなく、こんなに美しい弦楽五重奏曲もあったのですね。今回のSQSドヴォルザーク・プロジェクト2018と題したドヴォルザークの室内楽シリーズの白眉でした。今夜は第3夜で、まだ、第4夜も残っているのですが、saraiは第4夜は聴かない(ほかのコンサートに行きます)ので、今日がこのシリーズの打ち止めです。最後に素晴らしいものを聴かせてもらいました。

冒頭はこれまでと同様に弦楽四重奏のための「糸杉(Cypresses)」です。今回の第7/8曲はとりわけ美しい曲で、その素晴らしい演奏に大変、感銘を受けました。第7曲の哀しみにあふれた響きには胸がいっぱいになります。糸杉の最高の1曲です。ウィハン・カルテットのアンサンブルも見事です。糸杉を初めて聴けたのも今回の収穫でした。

続いて演奏された弦楽四重奏曲 第11番も初聴きながら、規模が大きくて、魅力にあふれた作品です。ウィハン・カルテットの演奏も素晴らしくて、集中して聴くことができました。もっと聴き込むとその魅力に引き込まれるでしょう。

後半は前述した弦楽五重奏曲第3番《アメリカ》です。ウィハン・カルテットにヴィオラの小峰航一が加わっての演奏でしたが、まるで5人編成のウィハン・カルテットみたいで隙のないアンサンブルでした。第1楽章からボヘミア風のメロディーが流れ、その美しい響きに引き込まれます。しかし、第3楽章にはいると、ホールの空気が一変します。美しい音楽、美しいアンサンブルに聴衆の緊張感が高まるのが分かります。そういうsaraiも数段階高い集中で音楽を聴き始めます。一つの音も聴き洩らさないという前のめりの感じで全身の感覚が耳に集中します。5つの弦楽器が様々な構成でボヘミア風の旋律を歌い上げます。磨き抜かれたアンサンブルの響きが素晴らしい室内楽専用ホールの空気を振動させていくのが何と心地よいものか・・・名曲プラス名演奏プラス名ホール。これ以上のものはありません。第4楽章にはいると、一変して、きびきびした音楽が始まります。やはり、第3楽章のほうがよかったなあと思っているうちに、コーダに突入していきます。ユニゾン風に5つの弦楽器が響き渡り、音楽の頂点を形作っていきます。いったん、スローダウンし、それから最後の決めの和音。感動のフィナーレでした。

アンコールはもう一度、あの素晴らしい第3楽章が聴きたいと思っていたら、第3楽章の最後の短いパートだけを弾いてくれました。満足と言えば、満足。残念と言えば、残念ですが、耳に美しい旋律の残像が残りました。これで3夜にわたるドヴォルザークの室内楽シリーズもおしまい。心に残るコンサートになりました。

今日のプログラムは以下です。

  弦楽四重奏:ウィハン・カルテット
   レオシュ・チェピツキー vn    ヤン・シュルマイスター vn
   ヤクブ・チェピツキー va   ミハル・カニュカ vc

 SQSドヴォルザーク・プロジェクト2018 第3夜

  弦楽四重奏のための「糸杉(Cypresses)」 第7-9曲
     7. 私はあの家の周りを忍び歩く
     8. 私は深い森の中の空き地に立ち
     9. おお、ただ一人のいとしい人

  弦楽四重奏曲 第11番 ハ長調 Op.61

   《休憩》

  弦楽五重奏曲 第3番 変ホ長調 Op.97
   ヴィオラ:小峰航一

   《アンコール》
    弦楽五重奏曲 第3番 変ホ長調 Op.97 第3楽章ラルゲットから最終パート

最後に予習について触れておきます。
「糸杉(Cypresses)」と弦楽四重奏曲第11番はこれまでと同様に以下の全集盤で予習しました。

 プラハ弦楽四重奏団(全集盤) 1973年録音

糸杉の第7/8曲は最高の名演です。


弦楽五重奏曲第3番は、以下のCDで予習しました。

 エマーソン四重奏団、ポール・ニューバウアー(ヴィオラ) 2008年 ニューヨーク セッション録音

さすがにエマーソン四重奏団です。とても美しい演奏です。


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柔らかな自我と揺れる思い・・・アリス=紗良・オット・ピアノ・リサイタル@東京オペラシティ コンサートホール 2018.9.27

アリス=紗良・オットのピアノを聴くのは、これが2回目です。前回はピアノ協奏曲。ベートーヴェンの第5番《皇帝》でした。そのときの記事はここです。そのときの感想はかいつまんで言うと、ピュアーな響きで繊細に弾くタイプですが、少女らしい感性のピアニズムでいて、音楽の流れに乗って、天真爛漫に弾きまくるところもある、独特の個性を持ったピアニストで将来が大変、楽しみだということです。結構、つかみどころがない感じもあって、ソロのリサイタルでも一度、聴いてみようかと思っていました。今回は行こうか、どうか、かなり迷いました。プログラムが奇妙に思えたからです。特にサティとはね・・・。で、結局聴いてみることにしました。前回聴いてから、1年ぶりです。

数日前に急にメールが来て、プレトークをやるとのことで、早めにホールに駆け付けました。これが定年退職組のお気楽なところです。音楽の話だと思っていたら、たわいもない話に終始して、ちょっとがっかり。そのヴィジュアルのよさから、音楽以外のところで注目されるのは気になります。あくまでもピアニストとして、音楽1本で勝負してほしいと思います。そのふわふわした感性でどんなピアノを聴かせてくれるんでしょう。

本番になって、暗くしたステージにシックな黒いドレス姿に着替えて、登場します。最近の音楽家は見た目が美しい人が多いですが、なかでも彼女の美しさは一際、目を惹きます。さて、演奏はと思うと、何とマイクを手に取って、トークを始めます。これは仲道郁代路線ですね。さすがに内容は音楽を中心としたことですが、音楽そのものでもなく、彼女の最近の思いを語り始めます。ベルリンからミュンヘンに転居したことや、彼女が30歳になったとかです。そうです。若手と思っていた彼女も早、30!!

ともあれ、やがて、マイクを置き、ホールを闇で満たして、最初のドビュッシーのベルガマスク組曲を弾き始めます。繊細で優しい演奏ですが、なにかインパクトがなくて、戸惑いながら聴きます。これがドビュッシー? ある意味、独特の個性の演奏ですが、柔らかい自我の内面にはいりこんだ演奏で、美しい響きは聴きとれるものの、ドビュッシーらしい冴えたピアニズムは聴こえてきません。実は予習したCDがワルター・ギーゼキングで、弾き方に大きな落差があったこともあり、耳に抵抗感があったのも事実です。後で考えれば、彼女はこういう繊細な優しさでドビュッシーを捉えていたんでしょう。

ドビュッシーを弾き終えて、いったん、舞台を去って、ずいぶん、時を置いて、再登場します。次はショパンです。ノクターンの3曲は、やはり、彼女の独特の個性で弾きます。いわゆる、ショパンらしさとはかけ離れていますが、これは楽しく聴けました。最初の第1番から魅力的です。saraiはこういう素直なショパンも好きです。それ以上に彼女のショパンには、彼女の思いが詰まっているようです。何か表現したい心の中のもやもやした思いがそれとなく伝わってきます。はっきりとは分かりませんが、その心の機微がsaraiの心にも響いてきて、ぐっと惹き付けられます。3番目に弾いた第13番がもっとも、そういう彼女の思いが顕著に伝わってきます。青春の光と影でしょうか。何か思い詰めている何かを吐露しているように思われます。音楽とはそれを通じて、己の人生を表現するものだとすれば、確かに彼女は彼女なりの音楽を作り上げて、ひとつの達成に至っているようです。ショパンのノクターンはそういうことをできる音楽なのかもしれません。そして、アリスは間を置かずに次のバラード第1番を弾き始めます。ノクターンが内省的な独白だとすれば、バラードは思いのたけを歌い上げる、狂乱の叫びです。音楽である以上に彼女のもどかしい自己表現がそこにあります。それが何なのかが分かったと言うつもりはありません。これは彼女自身の人生であり、周りからそっと眺めるだけで、その中に立ち入るものではないでしょう。音楽家が音楽を奏でるという行為の中に秘める、凄まじい葛藤は聴くものの心を辛くさせるものでもあります。こういう音楽表現もあるのですね。しかし、真剣勝負の音楽を聴かせてくれて、こちらも妙にすっきりした思いにもなりました。

休憩後、ドビュッシーの夢想とサティは繊細で優しいアリスの演奏で、心穏やかに聴くことができました。まさに純真無垢な乙女のような感性の音楽です。サティをコンサートで聴くのは初めてのような気がしますが、こういうスタイルの演奏ならば、しみじみと味わうことができます。サティって、そういう音楽なの?

サティのグノシエンヌ第3番の最後の響きが消えさろうとした瞬間、次のラヴェルの夜のガスパールの第1曲、オンディーヌの強い響きが弾かれ始めます。大変な難曲ですが、アリスは問題なく弾き抜きます。テクニックではもっと凄いピアニストもいますが、ここでもアリスは自分の心の何かを訴えかけてきます。第2曲の「絞首台」Le gibetはもともとスローな曲ですが、彼女はそれをさらにスローに弾いたようにも思えます。下手に弾くと、退屈極まりない曲に堕してしまいますが、彼女の思い詰めたような音の表情には、彼女の心の内面が投影されたかのように感じられて、じっと聴き入ってしまいます。そして、第3曲の「スカルボ」ではまた、彼女の心の叫びが響き渡ります。テクニックも相当なものではありますが、それを売りにしたような薄っぺらい演奏とは次元が異なっています。これも聴く方のsaraiが辛くなってくるような演奏です。またまた、真剣勝負でした。音楽というよりも、本来、柔らかな自我であるアリスの心の中にある揺れる思いを垣間見させてもらったという感じでした。

こういう音楽を聴かせてもらったので、もう、アンコールはいらないよって思っていましたが、アンコールは彼女自身の気持ちを鎮めるためでもあったようです。深い味わいのラヴェルのパヴァーヌでした。

今日のプログラムは以下です。

  ピアノ:アリス=紗良・オット


  ドビュッシー:ベルガマスク組曲
    第1曲 「前奏曲」 (Prélude)
    第2曲 「メヌエット」 (Menuet)
    第3曲 「月の光」 (Clair de Lune)
    第4曲 「パスピエ」 (Passepied)

  ショパン:ノクターン第1番 変ロ短調 Op.9-1
  ショパン:ノクターン第2番 変ホ長調 Op.9-2
  ショパン:ノクターン第13番 ハ短調 Op.48-1
  ショパン:バラード第1番 ト短調 Op.23

   《休憩》

  ドビュッシー:夢想
  サティ:グノシエンヌ 第1番
  サティ:ジムノぺディ 第1番
  サティ:グノシエンヌ第3番
  ラヴェル:夜のガスパール
    第1曲「オンディーヌ」Ondine
    第2曲「絞首台」Le gibet
    第3曲「スカルボ」Scarbo

   《アンコール》

     ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ Pavane pour une infante défunte


最後に今回の予習について、まとめておきます。

ドビュッシーのベルガマスク組曲は、ちょっと古い録音ですが、名人の演奏を聴きました。

  ワルター・ギーゼキング 1953年録音 ハイレゾ

ハイレゾで音質はしっかりしていて、聴く上で問題はありません。演奏は最上級です。


ショパンのノクターンは以下のCDで予習しました。

  マリア・ジョアン・ピリス  1995~96年録音

見事な美しい演奏です。もちろん、録音もいいです。


ショパンのバラード第1番は以下のCDで予習しました。

  ウラディミール・ホロヴィッツ 1965年録音 カーネギーホールでの復帰コンサートのライブ録音

この曲は名人の演奏を聴きましょう。凄いとしか言えません。


ドビュッシーの夢想は以下のCDで予習しました。

  ワルター・ギーゼキング 1953年録音 ハイレゾ
  アリス=紗良・オット 2018年3月 ベルリン セッション録音

ギーゼキングの冴えたピアノ、アリスの優しいタッチのピアノ。対照的です。


サティは以下のCDで予習しました。

  アリス=紗良・オット 2018年3月 ベルリン セッション録音 《ナイトフォール》と題したアルバム

ゆったりした優しいピアノです。今日の演奏はそのままでした。


ラヴェルの夜のガスパール以下のCDで予習しました。

  マルタ・アルゲリッチ 1974年録音

当時、30代前半のアルゲリッチが演奏した物凄い演奏。考えてみれば、あの頃のアルゲリッチは凄かった! 誰にも真似できないような天才的なひらめきの演奏です。



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極美のアダージョに深く感動!マーラー:交響曲第9番・・・ラトル&ロンドン交響楽団@横浜みなとみらいホール 2018.9.28

ラトルのマーラーの交響曲第9番に過大とも思える期待を持って、コンサートに臨みましたが、その期待は見事に叶えられました。ともかく、今日のコンサートは第4楽章のアダージョの素晴らしさに尽きます。第1楽章から第3楽章については触れなくてもいいでしょう。第4楽章にはいると、この日、不調に思えたロンドン交響楽団のアンサンブルが奇跡的に復活したんです。第4楽章の冒頭から、素晴らしい響きに変わります。実はそれでも音量が小さくなると、アンサンブルが乱れるのではないかと心配しながら聴いていましたが、その心配は杞憂に終わります。むしろ、弱音での響きのほうが素晴らしいくらいです。アンサンブルのことが気がかりでしばらくは音楽自体にあまり集中できませんでしたが、途中からはその心配よりも、あまりに美し過ぎる音楽に魅了されていきます。前半は素晴らしい出来です。音楽の高潮も収まり、木管のソロがリレーするパートに入っていきます。クラリネットが高音で演奏するあたりからはその美しい音色にうっとりと聴き惚れます。そして、弦楽セクションが引き継いで、大きな高まりを作っていきます。その頂点で弦楽器群がユニゾンでゆったりと緊張感を持って、下降するあたりで、聴いているsaraiも手にぐっと力が入り、音楽と一体化していきます。次第に感情が高揚し、エクスタシーの境地にはいりこみます。そして、音楽が沈静化し、終結部に向かっていきます。チェロのソロが愛の動機を演奏し、弦楽セクションの極めて繊細で優しい弱音の極致のパートにはいっていきます。感動のあまり、涙が滲んできます。マーラーの愛の終焉、そして、自然や人生への告別・・・薄明の世界です。もう、頭を上げては聴いていられません。ただ、うつむくのみで最後の告別を待ちます。長い長い、そして、美の極致のような弦楽セクションの弱音が続いていきます。人間の呼吸がだんだん浅くなるように音楽も呼吸しながら、弱まっていきます。やがて、永遠の静寂・・・この先には何もありません。ただ、永遠の時間が待ち受けるのみです。現実世界は残酷です。パラパラとした拍手が永遠の時間を妨げます。そうです。素晴らしかった演奏の時間は終わりました。saraiは呆然として、拍手もできずに現実世界に引き戻されていきます。

これ以上、書くことはありません。たくさんの思いが頭の中に浮かびましたが、じっとそれを自分の中にしまいこみます。

マーラーの交響曲第9番は人生のすべてです。


今日のプログラムは以下のとおりでした。

  指揮:サイモン・ラトル
  管弦楽:ロンドン交響楽団

  ヘレン・グライムHelen Grime:織り成された空間Woven Space(日本初演)
   Ⅰ.ファンファーレfanfares
   Ⅱ.織り成なされた空間Woven Space
   Ⅲ.水路Cource

   《休憩》

  マーラー:交響曲第9番 ニ長調


最後に予習について、まとめておきます。

マーラーの交響曲第9番を予習したCDは以下です。もちろん、今更、予習でもないので、ラトルの演奏を聴いてみました。

  サイモン・ラトル指揮ウィーン・フィル 1993年12月 ウィーン楽友協会大ホール ライブ録音
  サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィル 2007年10月 ベルリン・フィルハーモニー ライブ録音

どちらも初めて聴きましたが、その素晴らしさに驚きました。それぞれ、そのオーケストラの持ち味を活かしつつ、ラトルの個性を発揮した演奏になっています。ウィーン・フィルとの共演は何とラトルのウィーン・フィル定期公演へのデビュー時の録音です。ラトルは若干37歳。ウィーン・フィルの柔らかくて甘い響きを使って、とりわけ、弱音の美しさが素晴らしいです。ユダヤ的な粘液質の甘さではなく、後期ロマン派の甘美さにしびれます。一方、ベルリン・フィルとの共演はベルリン・フィルの硬質で鋭角的な響きを活かして、緊張感の高い演奏を聴かせてくれます。このコンビでの日本公演のときの演奏を彷彿とさせます。これも弱音での高い緊張感が凄い演奏です。


最後に言わずもがなのことを書きます。今日は大変な日でした。saraiがどうしても聴きたかったコンサートがこのほかに4つもあったんです。

 サントリーホール 読響の定期公演 定期会員ですから、チケットもあります。指揮はカンブルランで是非聴きたかったんです。娘に代わりに行ってもらいました。
 紀尾井ホール アンジェラ・ヒューイットのバッハ・オデュセイで平均律第2巻でした。聴き洩らせないコンサートでした。友人に後で様子を訊かないとね。
 鶴見サルビアホール ドヴォルザーク・プロジェクトの最終夜でした。聴きたかった。
 芸術劇場 田部京子のコンチェルト・コンチェルト!!でモーツァルトのピアノ協奏曲第21番とグリークのピアノ協奏曲。特にグリークが聴きたかった。

それらを泣く泣く、あきらめて、ラトルのマーラーを聴きましたが、報われました・・・


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       ラトル,  

ヴィースの巡礼教会からガルミッシュ=パルテンキルヒェンに向けて、バスで出発したものの、とんでもない事態が・・・

2017年7月31日月曜日@ザルツブルク~ガルミッシュ=パルテンキルヒェン/13回目

ザルツブルクSalzburgを離れて、ガルミッシュ=パルテンキルヒェンGarmisch-Partenkirchenへ向かっているところです。現在、世界遺産のヴィースの教会Wieskircheを訪れています。教会内部を鑑賞した後、教会周辺をぶらぶら散策。散策も一区切り付いたところで、教会前の建物群の中を抜けて、バス停に向かいます。

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途中、牧場の馬さんにも遭遇。長閑な1シーンです。

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お土産物屋さんを覗くと、何とアイスクリームがあります。即、購入します。お土産物屋さんのおじさんは、「にゆうろ」(2ユーロ)と言います。日本人の観光客が多いのでしょう。暑い夏にはこれが一番ですね。

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喉が渇いていたので、ジュースも追加購入。冷えていて、美味しい!

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バス停に早く着いたので、バス停の先の草原からヴィースの教会の美しい姿を今一度眺めます。

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気持ちのよい草原ですが、そろそろ、バス停に戻りましょう。

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バス停の時刻表で今一度、ガルミッシュ=パルテンキルヒェン行きのバスの時間を確認します。あと5分ほどでガルミッシュ=パルテンキルヒェン行きの今日の最終バスが来ます。

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定刻になり、ガルミッシュ=パルテンキルヒェン行きのバスがやってきます。オーバーアマガウOberammergau経由のバスですね。

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その後ろには同時刻に発車するフュッセンFüssen行きのバスも続きます。間違えて乗ると、今日はノイシュバンシュタイン城に行ってしまいますね。

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おや、近くにいる観光バスを見ると、日本語で書いた紙が貼ってあります。ドイツロマンチック街道と世界遺産を巡るJTBの団体ツアーのバスですね。道理で日本人観光客を何人か、見かけたわけです。

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ヴィースの教会からは直通のバスでガルミッシュ・パルテンキルヒェンまで1時間15分です。バスは順調に走り出して、美しい草原の中を走っていきます。

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5分ほど走って、最初の山の中のバス停に停車すると、小学校低学年くらいの子ども連れの家族の集団が待っています。

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子ども連れの家族が5~6組、総勢20人ほどがドヤドヤとバスに乗り込んできます。ハイキングの帰りのようです。

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と、バスに乗り込むやいなや、ママの1人が、運転手に何やら大声で話しています。大人同士も少々もめているようです。しばらく興奮気味に話した後、運転手もバスを降りていきます。バス停には、車椅子に乗った男性がいます。どうもこの人を助けたいと言っているようです。運転手は困り果てて、彼らとの協議を続けています。

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運転手は、携帯でどこかと連絡を取っています。同行の男性の一人が、私達と中国人の家族に説明を始めます。車椅子の男性が2台もバスにやり過ごされ困っている。救助隊の到着まで皆で待とう・・・ということらしいです。ホリデーだし、いいよねと言われてしまいます。今日はガルミッシュ・パルテンキルヒェンまで行くだけで、ここまでのように乗り継ぐ時刻が迫っているわけでもなく、人命救助と言われれば、イヤだとはいえませんね。はっきりした意見表明をしないまま、それを受け入れた形になってしまいます。しかし、何故、我々も一緒に待機する必要があるのか、一抹の疑問は残ります。相変わらず、運転手はバスの外に出たままです。

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このバス停に停車したまま既に20分ほど過ぎています。困りましたね。この上はその救助隊とやらが早く来てくれるのを待つばかりです。しかし、ことはそんなにすぐは解決しなかったんです。



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ドイツ人の博愛精神・・・バスは大幅に遅延

2017年7月31日月曜日@ザルツブルク~ガルミッシュ=パルテンキルヒェン/14回目

ザルツブルクSalzburgを離れて、ガルミッシュ=パルテンキルヒェンGarmisch-Partenkirchenへ向かっているところです。現在、世界遺産のヴィースの教会Wieskircheからバスでガルミッシュ=パルテンキルヒェンに向かっているところです。しかし、とんでもない事態が起きて、ヴィースの教会近くのバス停で足止めをくらっています。いらいらしながら、車椅子の男性への救援の車が来るのを待ちます。でも、いつまで経ってもその救援の車はやってきません。車内の子供たちも手持ち無沙汰のようです。

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運転手はバスの車内に戻ることなく、なすすべもないようです。

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もう、バスが停車して、30分以上が過ぎました。運転手はバスから遠く離れて、ただただ、見守るだけです。

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一向に埒が明かないうちに時間だけが過ぎていきます。誰も何もできないままで妙な空気が流れます。

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後ろから、また、バスが一台追い越していきます。本当に妙な状況です。

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ようやく、救援の車が到着。救援活動が開始されます。

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2名の救急隊員に車椅子の男性が保護されようとしています。これで一件落着ですね。

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でも、結局40分以上もも待つことになりました。一体、どんな遠くから救助隊がやってきたのでしょうね。私達や、このバスに乗るためにこの先でバスを待っている人のことは、どう考えればよいのでしょう。数人の大人が付き添えばよい、他の人を乗せてバスは出発すればよかったのではと思ったのですが・・・。この間も、子供たちは元気に走り回っていました。その中の1人は、ハエたたき名人です。次々とバスの中に入り込んでくるハエを手でたたき落としていました。配偶者がグッド ジョブ! と褒めると嬉しそうでした。こちらは牧畜が盛んなせいか、とってもハエが多いのです。なお、バスの運転手は、停車中もエンジンをかけ、バス内を冷やしてくれました。色んな意味でドイツ人の博愛精神に触れました。
運転手が席に着き、ようやく全員を乗せてバスは出発します。

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バスは山を抜けて、美しい草原の中に出ます。アマー川Ammerも見えてきます。

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バスはヴィースの教会にやってくるときに乗り換えたターミナル、エッヘルスバッハー・ブリュッケEchelsbacher Brückeに近づいていきます。

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ようやく、落ち着いた気持ちで車窓の美しい眺めを楽しむ余裕が出てきます。

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途中のバス停、バート・バイエルソイエンのガストホフ・ヴァイセス・ロスGh. Weißes Roß, Bad Bayersoienには、ほぼ45分遅れで到着しますが、大勢の人が待っていたのにはびっくりです。こんなに遅れたバスを待っていたのでしょうか。

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青空の下、バスはその後、順調に走ります。

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左手には、バイエルソイエナー湖Bayersoiener Seeが見えています。

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草原の牧場では牛たちが草を食んでいます。バイエルンの美しい風景です。

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バスは大幅に遅れて、ガルミッシュ=パルテンキルヒェンに向かいます。



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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
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08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
公演では小沢、ショルティだけ

ベーム、ケルテス、ショルティ、クーベリック、
クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
、チェリブ

07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

私も18年前にドレスデンでバームクーヘン食べました。マイセンではB級品でもコーヒー茶碗1客日本円で5万円程して庶民には高くて買えなかったですよ。奥様はもしかして◯良女

06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

もろともにあはれとおもへ山ざくら 花よりほか

通りすがりさん

コメント、ありがとうございます。正直、もう2年ほど前のコンサートなので、詳細は覚えておらず、自分の文章を信じるしかないのですが、生演奏とテレビで

05/13 23:47 sarai
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