で、今日の演奏ですが、全曲、素晴らしい演奏で、またまた、フォーレ四重奏団の実力を再認識しました。とりわけ、後半のシューマンのピアノ四重奏曲は最高でした。このところ、シューマンの音楽はどのカテゴリーでも、よい演奏を聴くと、その演奏者に強いシンパシーを感じますが、まさに今日もそのパターン。素晴らしいシューマンを聴かせてくれて、フォーレ四重奏団にリスペクトと感謝を覚えます。
第1楽章の冒頭の序奏はまるでベートーヴェンの後期の弦楽四重奏曲のような深い味わいの響きですが、そのなかにシューマンらしい憧れに満ちたロマンの断片も感じられる、緊張感の高い演奏でぐっと惹き付けられます。すぐに主部に入り、強い響きの演奏に変わりますが、シューマンの室内楽の魅力を十分に感じさせてくれます。短い第2楽章を経て、第3楽章のアンダンテ・カンタービレにはいります。一番の聴きどころです。チェロが奏でる美しい旋律に始まり、これ以上はないという美しいロマンの世界が展開されます。シューマンの作品の素晴らしさはもちろんですが、細かいニュアンスまで表現していくフォーレ四重奏団の各メンバーの演奏力にうっとりと魅惑されて、音楽と一体化する幸せを感じました。終盤のデリケートな演奏は驚異的でした。ここで大拍手したいところですが、まだ、第4楽章が残っています。この第4楽章も圧倒的な迫力の素晴らしい演奏でした。パーフェクトなシューマンの音楽の世界を堪能させてもらいました。
ところで、前半のモーツァルトのト短調のピアノ四重奏曲も見事な演奏でした。弦とピアノのバランスが素晴らしく、エリカ・ゲルトゼッツァーのヴァイオリンの美音が引き立ちます。名曲ですが、それが一層、素晴らしく聴けました。実はこの曲は4年前にも聴いていますが、そのときも素晴らしかったんです。今日も優るとも劣らない演奏でした。
前半の2曲目のメンデルスゾーンのピアノ四重奏曲第2番は初めて聴きましたが、これが14歳の少年だったメンデルスゾーンが作曲した曲だとはね・・・モーツァルトに負けない神童ですね。フォーレ四重奏団が演奏すると、ロマン派の超名曲に聴こえます。全編、ロマンの美しさにあふれて、ただただ、うっとりと聴くだけです。こうなると、メンデルスゾーンのほかの曲、第1番と第3番も聴きたくなりますね。第2番と第3番はフォーレ四重奏団のCDが出ているようですから、早速、購入して聴いてみましょう。
大変、質の高いコンサートでした。アンコールは楽しく聴けるムソルグスキーの組曲「展覧会の絵」。圧巻の演奏に脱帽です。
2回目の金曜日のコンサートにも期待しています。きっと素晴らしいブラームスが聴ける予感がします。
今日のプログラムを紹介しておきます。
ピアノ四重奏:フォーレ四重奏団
ヴァイオリン:エリカ・ゲルトゼッツァー
ヴィオラ:サーシャ・フレンブリング
チェロ:コンスタンティン・ハイドリッヒ
ピアノ: ディルク・モメルツ
モーツァルト:ピアノ四重奏曲第1番 ト短調 K478
メンデルスゾーン:ピアノ四重奏曲第2番 ヘ短調 Op.2
《休憩》
シューマン:ピアノ四重奏曲 変ホ長調 Op.47
《アンコール》
ムソルグスキー:組曲「展覧会の絵」(編曲:フォーレ四重奏団&グリゴリー・グルツマン)より
第1曲:小人(グノーム)
第10曲:キエフの大門
最後に予習について、まとめておきます。
モーツァルトのピアノ四重奏曲第1番を予習したCDは以下です。
フォーレ四重奏団 2005年録音
現代的なメリハリのきいたパワフルな演奏ですが、ちゃんとモーツァルトらしい様式美を感じさせてくれる素晴らしい演奏です。
メンデルスゾーンのピアノ四重奏曲第2番を予習したCDは以下です。
バルトルディ・ピアノ四重奏団 1991年録音 ハイデルベルク、クララ・ヴィーク・ホール
とても美しい演奏です。満足できました。
シューマンのピアノ四重奏曲を予習したCDは以下です。
フォーレ四重奏団 2004年3月録音 ケルン放送 クラウス・フォン・ビスマルク・ザール
バリリ弦楽四重奏団、イエルク・デムス 1956年録音
フォーレ四重奏団はスケールの大きな演奏です。一方、バリリ弦楽四重奏団&イエルク・デムスは古い音質ながら、端正な演奏を聴かせてくれます。どちらもお勧めできる素晴らしい演奏です。
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