早速、1曲目は歌劇『ロデリンダ、ロンバルドの王妃』より「あなたはどこにいるのか、愛しい人よ?」で美しくて、抒情的な表現で魅了してくれます。
2曲目の歌劇『オレステ』より「激しい嵐に揺り動かされても」ではアジリタが爆発! 素晴らしいテクニックです。男バルトリと異名をとるのもわかりますね。
3曲目の歌劇『リナルド』より「愛しい妻、愛しい人よ」では、また、しっとりとした歌声を聴かせてくれます。曲も最高にいいです。
4曲目の歌劇『リナルド』より「風よ、暴風よ、貸したまえ」では、この日一番のアジリタが炸裂し、会場も大盛り上がりです。
後半は、5曲目の歌劇『イメネーオ』より「もしも私の溜息が」のしみじみとした歌いまわしに惹きこまれます。
6曲目の歌劇『忠実な羊飼い』より「この心にきらめくのを感じる」では終盤の見事な高音の歌唱に圧倒されます。
7曲目の歌劇『アリオダンテ』より「嘲るがいい、不実な女よ、情人に身を委ねて」はこの日、最高の歌唱でした。騎士アリオダンテの一途な思いがひたひたと伝わってきます。こんなに素晴らしいのだから、ファジョーリのアリオダンテでこの歌劇『アリオダンテ』全体を聴きたいものです。声の質、響きがこのアリオダンテ役にぴったりです。ちなみにこの歌劇『アリオダンテ』はsaraiが初めて実演で聴いたヘンデルのオペラです。もちろん、バロックオペラも初めてでした。そういうわけで思い入れも一入なんです。
最後の歌劇『セルセ』より「恐ろしい地獄の残酷な復讐の女神が」はファジョーリの気魄のこめられた歌唱が圧巻でした。
アンコールは嬉しいことに、素晴らしかった歌劇『アリオダンテ』よりのアリアです。うーん、やっぱり、いいね。
アンコール2曲目は2階席から手製の団扇で声援を送る女性によほど感銘を受けたのでしょう。どうやら、団扇にはヴィンチの歌劇『アルタセルセ 』が描かれていたようです。即席で伴奏もなしにアリアの一部を披露して、やんやの喝采を受けます。そういえば、以前、ヨーロッパでジャルスキー、ツェンチッチ、サバドゥス、ファジョーリ、ミネンコの5人の人気CTがこの歌劇に出演して、話題になりましたね。
で、アンコールのシメはお馴染みの「私を泣かせてください」。ファジョーリが客席にドゥー・ユー・ノウ?と訊くと、間髪を入れずにイエスの声がこだまします。1コーラスはファジョーリが歌い、何と2コーラス目は客席の観衆が歌います。まるでプロの女性合唱団のような美声です。この曲はソプラノの曲ですから、やはり、女性が歌うと素晴らしいですね。saraiは聴き惚れてしまいました。最後の3コーラス目はファジョーリと隠れ女性合唱隊の歌声。まるでリハーサルでもやったかのように決まっていました。日本の音楽水準も上がりましたね。それに若い女性にこんなにCTファン、バロックファンがいることが分かり、熟年男性としては嬉しい限りです。そのうちに日本でも、スーパーキャストのヴィンチの歌劇『アルタセルセ 』が聴けるんじゃないでしょうか。熟年のsaraiも駆け付けますよ。
今日のキャストとプログラムは以下です。
カウンター・テナー:フランコ・ファジョーリ
古楽器オーケストラ:ヴェニス・バロック・オーケストラ
ヴィヴァルディ:シンフォニア ト長調 RV146
ヘンデル:歌劇『ロデリンダ、ロンバルドの王妃』より「あなたはどこにいるのか、愛しい人よ?」
ヘンデル:歌劇『オレステ』より「激しい嵐に揺り動かされても」
ヴィヴァルディ:コンチェルト ト短調 RV156
ヘンデル:歌劇『リナルド』より「愛しい妻、愛しい人よ」
ヘンデル:歌劇『リナルド』より「風よ、暴風よ、貸したまえ」
《休憩》
ヘンデル:歌劇『イメネーオ』より「もしも私の溜息が」
ヘンデル:歌劇『忠実な羊飼い』より「この心にきらめくのを感じる」
ヴィヴァルディ:歌劇『ジュスティーノ』よりシンフォニア ハ長調 RV717
ヘンデル:歌劇『アリオダンテ』より「嘲るがいい、不実な女よ、情人に身を委ねて」
ジェミニアーニ:コンチェルト・グロッソ ニ短調(コレッリのヴァイオリン・ソナタ「ラ・フォリア」op.5-12による)
ヘンデル:歌劇『セルセ』より「恐ろしい地獄の残酷な復讐の女神が」
《アンコール》
ヘンデル:歌劇『アリオダンテ』より「暗く不吉な夜の後で」
ヴィンチ:歌劇『アルタセルセ 』よりアリアの一部
ヘンデル:歌劇『リナルド』より「私を泣かせてください」
予習はフランコ・ファジョーリのヘンデル・アリア集のCDで聴きました。素晴らしいCDです。
オーケストラの予習はイ・ムジチ合奏団の色んなCDから聴きました。やはり、イ・ムジチの演奏は明るくて、颯爽としています。イタリアの青空を吹き抜ける風のようです。
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