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名曲、ブルックナーの交響曲第7番 ツァグロゼク&読売日本交響楽団@サントリーホール 2019.2.22

久しぶりにブルックナーを聴くような気がしましたが、実際は昨年、ノット&東響で素晴らしい第9番、ブロムシュテット&ウィーン・フィル(ザルツブルク音楽祭)で最高の第4番、ゲルギエフ&ミュンヘン・フィルで不完全燃焼の第9番を聴いていました。ただ、第7番は2015年10月のハイティンク&ロンドン交響楽団以来聴いていません。あの演奏は凄かった! saraiが第7番はこういう音楽だと勝手に思っているものが、そのまま、そして、さらに高められて提示されました。あの演奏を超えるものを聴くことは今後ないと思っていますが、果たして、今日はどんな演奏になるのか、期待して、サントリーホールにやってきました。

ブルックナーに先立って、現代音楽のリームのIns Offene...が演奏されます。これはsaraiは門外漢です。雰囲気は味わえますが、理解はできないし、大きな興味を持つこともありません。まず、その前に12音技法のウィーン学派を完全制覇するほうが先でしょう。旋律もなく、リズムもない・・・あるのは、音響的な場での原初的とも言える先鋭的な響きの変化・変容です。こういう音楽もあるのでしょうが、そこまで自分の領域を広げていくと、際限もないことになります。こういうコンサートの場でちょっとだけ聴いて、ああそうなのねって、頭に収めておくだけにしましょう。ところで、タイトルのIns Offene...をGOOGLE自動翻訳にかけると、英訳では、Into the Open...となります。どうして、タイトルが日本語訳されないのか、疑問ですが、《解放された場の中に...》となるのかな。コンサートホールを境界のない開かれた音響の場として、変容する響きをその中に漂わせるということだと理解しましたが、違うのでしょう。ステージ上の奏者以外に5人の奏者が客席の周囲に立って、響きを客席の場の中に漂わせていました。理解はできませんでしたが、延々と続く音の響きの雰囲気は楽しみました。

後半は期待していたブルックナーの交響曲第7番です。第1楽章の冒頭は素晴らしいです。特に弦楽器が弱音で静謐に美しい旋律を奏でるあたりでは、ワーグナーの《痛みの音楽》を思わせます。この調子で全編続けば、大名演になるところでしたが、フォルテの音の純度が低くて、ブルックナーの美しさが損なわれます。全般的には、とてもよいブルックナーでしたし、実際、最後まで集中して聴けましたが、肝心のアンサンブルの精度が少し不足していたようです。指揮者のローター・ツァグロゼクと読響はこれが2度目の顔合わせだそうですが、今後、関係を続けていけば、もっと素晴らしい演奏が期待できそうな予感はあります。名曲、ブルックナーの交響曲第7番を聴けたので、よしとしておきましょう。かなり、楽しめました。


今日のプログラムは以下です。

  指揮:ローター・ツァグロゼク
  管弦楽:読売日本交響楽団 日下 紗矢子(コンサートマスター)

  リーム:Ins Offene...(第2稿/日本初演)

   《休憩》

  ブルックナー:交響曲 第7番 ホ長調 WAB.107


最後に予習について、まとめておきます。

リームのIns Offene...を予習したCDは以下です。

 ゲルト・アルブレヒト指揮チェコ・フィルハーモニー管弦楽団 1995年録音

世界初演を謳ったCDです。耳慣れない現代音楽ですが、なかなか美しい音質でその音響的な響きを楽します。しかし、こういうCDはなかなか売れないでしょうね(笑い)。


ブルックナーの交響曲第7番を予習したCDは以下です。

オイゲン・ヨッフム指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団 1970年3月15日、ライヴ録音

ヨッフムの緊張感漲るブルックナーは何も言うことのない素晴らしさ。ヨッフムのブルックナーの中では何と言っても、この第7番がとどめを刺すというのがsaraiの意見です。ヨッフムのどのCDも第7番は素晴らしいです。なかでもこのCDはアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団ならではの素晴らしい低弦が響きます。saraiが聴いているのは、オイゲン・ヨッフム指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の第4番~第8番のライヴ録音がセットになった2016年のTahraのリマスター盤です。

  ヘルベルト・ブロムシュテット指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 2006年11月23~25日 ライヴ録音

某ネットサイトで激賞していたので、試しに聴いてみました。ブロムシュテットらしい丁寧で美しい演奏です。悪くはありませんが、まあ、普通でしょうか。やはり、チェリダッケのように超個性的か、ハイティンクのように作曲家崇拝型のほうがsaraiの好みです。ブロムシュテットは旧盤のシュターツカペレ・ドレスデンでも聴き直してみましょうか。



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金婚式、おめでとうございます!!!
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京都には年に2回もお越しでも、青春を過ごし

10/07 08:57 堀内えり

 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
公演では小沢、ショルティだけ

ベーム、ケルテス、ショルティ、クーベリック、
クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
、チェリブ

07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

私も18年前にドレスデンでバームクーヘン食べました。マイセンではB級品でもコーヒー茶碗1客日本円で5万円程して庶民には高くて買えなかったですよ。奥様はもしかして◯良女

06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

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