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デュッセルドルフK20州立美術舘:クレーのコレクション登場!

2018年8月14日火曜日@デュッセルドルフ/4回目

デュッセルドルフDüsseldorfのK20州立美術舘K20, Kunstsammlung Nordrhein-Westfalenで20世紀の名画を鑑賞中です。


パブロ・ピカソの《瓶とグラスの静物画》です。1913年、ピカソ32歳頃に描かれた作品です。ピカソの総合的キュビスムの充実した作品です。パピエ・コレpapier colléという文字の印刷された紙片や模様のある紙を貼り付けるコラージュの手法が用いられています。分析的キュビズムの発展形です。

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フランツ・マルクの《3匹の猫》です。1913年、マルク33歳頃に描かれた作品です。マルクは言わずと知れたミュンヘンの芸術運動、青騎士Der Blaue Reiterをカンディンスキーと担った創設メンバー。マルクの大ファンである配偶者と目配せをしながら、作品に見入ります。マルクのトレードマークとも言える動物を描いた作品。フォルムも色彩も文句ない素晴らしさ。しかし、この作品を描いたマルクにはわずかしか人生の日々は残されていませんでした。マルクは第一次世界大戦に出征し、ヴェルダンの戦いにおいて36歳の若さで命を落とすことになります。戦争はいかに若い才能を無残にも世界から奪い取ることでしょう。

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パウル・クレーの《宇宙のコンポジションKosmische Composition》です。1919年、クレー40歳頃に描かれた作品です。これがクレーによる宇宙の再創造なのですね。暗黒の宇宙ではなくて、色彩のグラデーションの背景の上に賑やかな形象が描かれた人間的な温もりに満ちています。クレーの選りすぐりの作品のコレクションがいよいよ始まります。

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パウル・クレーの《描かれた男Gezeichneter》です。1935年、クレー56歳頃に描かれた作品です。タイトルですが、一応、《描かれた男》としてみましたが、《線で区切られた男》という意味にもとれます。英語では、Marked Manと訳されていますので、《マークされた男》という漠然とした訳もいいのかもしれません。線画の天使シリーズにつながる系譜とも考えられます。これも人間的な温もりに満ちた作品です。この時代はクレーにとって、デュッセルドルフの美術アカデミーの教授からナチスの迫害で亡命を余儀なくされて、スイスのベルンに逃れ、経済的困窮と難病の皮膚硬化症の発症という困難を極めた時代でした。その時期に描いた、このような人間性に満ちた絵画を当事者であったドイツのノルトライン=ヴェストファーレン州の州立美術館が収集したのはある意味、贖罪でもあるのでしょう。過去の過ちにどう向き合うか・・・モラルとヒューマニティの問題が厳しく問われます。これが現在のドイツが出した答えです。同時期に極東で多くの過ちをおかした某国の現在はこれに比べて、いかがでしょう。己の問題として、当事者意識を持つべきと思わざるを得ませんが・・・。

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パウル・クレーの《フェザープラントFederpflanze》です。1919年、クレー40歳頃に描かれた作品です。色鮮やかな植物、クレーらしいシンプルな形象の一作です。

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パウル・クレーの《ドイツ風の髭を生やした頭部Kopf mit deutsch Barttracht》です。1920年、クレー41歳頃に描かれた作品です。髭面のいかめしい顔もクレーの手にかかると優しいタッチの心温まる作品に仕上がります。ピンクの色調がうまく活かされていますね。

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パウル・クレーの《宝石Kleinode》です。1937年、クレー58歳頃に描かれた作品です。この年、亡命後に激減した創作活動が再び復調し、晩年の実りのときを迎えます。この作品はあえて、たどたどしく描いてみせて、芸術の原点に回帰しようとするクレーの意欲がみてとれます。

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ワシリー・カンディンスキーの《コンポジションⅣ》です。1911年、カンディンスキー45歳頃に描かれた作品です。カンディンスキーはマルク、クレー等と青騎士Der Blaue Reiterを創設した中心人物です。20世紀の抽象絵画の扉は彼の手によって開かれました。この作品は抽象絵画のコンポジションシリーズの一枚。まるで何が描いてあるのか分からない作品ですが、色彩の横溢は彼が好んだ音楽を感じさせます。しかし、どうやら、少し前に描いていたバイエルン地方の町の景色を再構成しているように見えます。この時代はまだ抽象化も初期段階のようです。

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ロベール・ドローネーの《カーテンのある塔》です。1910年、ドローネー25歳頃に描かれた作品です。ドローネーはフランス人の画家ですが、カンディンスキー、モンドリアンと共に抽象絵画の先導的な役割を果たすことになります。この作品を描いた頃はキュビズムの作品を描いていました。そして、題材はエッフェル塔を多く取り上げています。この作品もその一つ。彼のキュビズム作品はほかのキュビズム画家がモノクロームの絵画を描いていたのに対して、色彩豊かな作品を描いたことが特徴です。

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マックス・ベックマンの《鉄の歩道橋》です。1922年、ベックマン38歳頃に描かれた作品です。ベックマンはドイツ表現主義を代表する画家です。彼もナチスの指定した退廃芸術の一員とされ、不遇な生涯を送りました。そのベックマンの代表作の多くがこの州立美術館に集められています。ナチスが犯した戦争犯罪のひとつをドイツのノルトライン=ヴェストファーレン州が償おうとしています。退廃芸術とされた作品の多くがこの州立美術館に再収集されています。今や、それがこの州立美術館の最大の見ものになっているのは皮肉なことです。この作品はベックマンが第一次世界大戦に従軍後、フランクフルトに居住していた時代のものです。多分、フランクフルトに流れるマイン川に架かる歩道橋を描いたものでしょう。表現主義的、即物主義的に描かれた傑作の一枚です。

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20世紀の傑作を見ていて、ますます、テンションが上がっていきます。素晴らしいコレクションです。まだまだ、作品は続きますよ。クレーもまだまだ、ある筈です。



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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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はじめまして。ブログ拝見させていただきました。私は、個人ブログを運営しているyuichironyjpと申します。フリーランサーとして活動しており、フリーランスで稼ぐ方法や、

06/14 23:46 Yuichironyjp

ありがたいコメント、嬉しいです。マーラーのファンのかたにこそ、読んでいただきたかったので、気持ちを共有できた思いです。自然の中にこそ、マーラーの音楽の本質はあり

04/23 23:45 sarai

マーラーの作品を聴きながら、ブログを読ませていただいています。
読みながら画像を見て、マーラーの過ごした風景に想いを馳せて楽しんでいます。
素敵なブログをありがと

04/23 21:47 

マーラー6番ですか・・・ハンマー打撃は勘弁してほしいものです。あったとしても、3回目の打撃だけは・・・

04/11 18:10 sarai

まさにマーラー6番な状況です笑

04/11 17:51 kico

お互い、残念でしたね。今年でヨーロッパ遠征を終わりにする予定でしたが、悲劇的な状況になりました。天はまだ我に旅を続けよというご託宣を与えたのでしょうか。1年延期

04/11 03:13 sarai

以前にもコメントさせていただいた者です。来ましたね、楽友協会からのメール。私たちはとりあえず1年延期としましたが、どうでしょうね。困っている人が多い中贅沢な悩み

04/11 00:33 kico
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