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デュッセルドルフK20州立美術舘:クレーの膨大なコレクションが始まります!

2018年8月14日火曜日@デュッセルドルフ/6回目

デュッセルドルフDüsseldorfのK20州立美術舘K20, Kunstsammlung Nordrhein-Westfalenで20世紀の名画を鑑賞中です。


パウル・クレーの《ベルンのフォン・ジンナー夫人の肖像Bildnis der Frau v. Sinner, Bern》です。1906年、クレー27歳頃に描かれた作品です。クレーにしては、実に普通の肖像画に思えます。また、クレーが肖像画を描くのも稀です。変だなと思って、後で調べたら、この作品はガラスの上に描かれた実験的な挑戦の作品でした。しかし、最初に描いたものは色落ちしてしまい、何度も書き直す羽目に陥ったそうです。やはり、クレーは若い頃から、只者ではなかったようです。でも、絵の雰囲気が同じスイス出身のホドラーと似ているのは面白いですね。

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パウル・クレーの《茶色の三角形は直角を希求するbraunes Δ rechtw. strebendes Dreieck》です。1915年、クレー36歳頃に描かれた作品です。ドローネーの抽象絵画《窓》シリーズに触発された幾何学的な抽象画です。難解な作品です。

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パウル・クレーの《赤と白の丸屋根(ドーム)Rote u. weisse Kuppeln》です。1914年、クレー35歳頃に描かれた作品です。この作品は抽象画の構成を建築の構造に近似させるという試みを行ったものです。1914年のチュニジア旅行で訪れた街の視覚的な印象に基づいたものだそうですが、これも難解な作品です。この時代は絵画技法への挑戦的な姿勢が目立ちます。

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パウル・クレーの《ムッシュー・ペルレンシュヴァインmonsieur Perlenschwein》です。1925年、クレー46歳頃に描かれた作品です。ムッシュー・ペルレンシュヴァインを訳すと真珠豚氏。真珠のついたリボンを首に巻き、豚のような耳を持つ変わった容貌の紳士が描かれています。この繊細極まるグラデーションに感銘を受けた配偶者曰く、この美術館の最高の一枚とのことです。一体、どうやって描いたのかしらとずっと首を捻っていました。実は紙の上にスプレーとブラシを用いて水彩で描かれたものです。目が菱形◇と四角□というのも秀逸です。お茶目さの向こうにクレーの底知れぬ才能がうかがえます。K20州立美術舘は噂に違わぬクレーの素晴らしいコレクションを持っている事実を実感しました。そもそもこのK20州立美術館は1961年、ノルトライン=ヴェストファーレン州がアメリカの収集家から88点のパウル・クレー作品を一括購入したことを契機に開設されたくらい、クレーと切っても切れない縁で結ばれています。このクレーのコレクションに匹敵する収蔵数を持つのはベルン(クレーの故郷であり、亡命先でもありました)のクレー・センターくらいでしょう。デュッセルドルフの美術アカデミーで教授をしていたというゆかりの深い画家クレーをナチス・ドイツが亡命生活に追いやった過去に対して、ドイツ人が見せた良心の証がここにあります。この傑作を前にして、深い感慨の念に打たれました。

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パウル・クレーの《キアロスクーロの習作(イーゼルランプ)Helldunkel-Studie (Staffelei=l=ampe)》です。1924年、クレー45歳頃に描かれた作品です。キアロスクーロ(Chiaroscuro)とは、イタリア語で明暗という意味で、絵画では、明暗のコントラスト(対比)を指す言葉。それを用いた技法が「明暗法」「陰影法」です。劇的な明暗法を用いて、絵画に革命を起こしたのはカラヴァッジョでした。この作品は紙の上に水彩で描かれたもので、モノトーンの明暗を試行したものです。

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パウル・クレーの《構成されたL広場Der L=Platz im Bau》です。1923年、クレー44歳頃に描かれた作品です。これは抽象画の範疇にはいるのかもしれませんが、色彩と線画が巧みに組み合わされた素晴らしく美しい作品です。こんなお洒落な絵が描けるのは、クレー以外にはデュフィくらいでしょう。

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パウル・クレーの《ライオン、気を付けて!Loewen, man beachte sie!》です。1923年、クレー44歳頃に描かれた作品です。これは題名そのものの内容ですね。紙の上に鉛筆と水彩で描かれた作品です。あえて、子供が描いたような幼稚さを装っています。

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パウル・クレーの《指揮Regie》です。1930年、クレー51歳頃に描かれた作品です。これは音楽の指揮を描いたものなのでしょうか。紙にチョーク・パステルで背景を描き、その上に水彩を施した作品です。だんだん、晩年の線画の世界に向かっています。

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パウル・クレーの《小さな日曜ハウスkleines Sonntagshaus》です。1928年、クレー49歳頃に描かれた作品です。線画と淡い色彩を組み合わせた佳作です。シンプルな絵画を希求していますね。絵画の本質を求めるクレーの姿勢が明確です。このシンプルさが新鮮で美しく感じます。

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パウル・クレーの《"43"》です。1928年、クレー49歳頃に描かれた作品です。ピラミッドのような三角形の上に太陽のような赤い丸。そして、"43"の数字。何だか分かりませんが、美しい絵画だと感じます。クレーでなければ描き得ない作品です。ガーゼの上に水彩とパステルで描いたという凝った作品です。

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いよいよ、この美術館が誇るクレーの膨大なコレクションが始まりました。まだまだ、クレーは続きます。それもとびっきりの傑作ぞろいです。



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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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ありがたいコメント、嬉しいです。マーラーのファンのかたにこそ、読んでいただきたかったので、気持ちを共有できた思いです。自然の中にこそ、マーラーの音楽の本質はあり

04/23 23:45 sarai

マーラーの作品を聴きながら、ブログを読ませていただいています。
読みながら画像を見て、マーラーの過ごした風景に想いを馳せて楽しんでいます。
素敵なブログをありがと

04/23 21:47 

マーラー6番ですか・・・ハンマー打撃は勘弁してほしいものです。あったとしても、3回目の打撃だけは・・・

04/11 18:10 sarai

まさにマーラー6番な状況です笑

04/11 17:51 kico

お互い、残念でしたね。今年でヨーロッパ遠征を終わりにする予定でしたが、悲劇的な状況になりました。天はまだ我に旅を続けよというご託宣を与えたのでしょうか。1年延期

04/11 03:13 sarai

以前にもコメントさせていただいた者です。来ましたね、楽友協会からのメール。私たちはとりあえず1年延期としましたが、どうでしょうね。困っている人が多い中贅沢な悩み

04/11 00:33 kico

お返事ありがとうございます。
本当に!私もレイルジェットや美術館の手配もしているので、祈るような気持ちです。

03/10 19:06 kico
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