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凄まじい音響美・・・菊池洋子、スダーン&東京交響楽団@サントリーホール 2019.5.25

今日の東京交響楽団の音響も絶好調。とは言え、最初のシューマンの「マンフレッド」序曲は指揮者のユベール・スダーンの気合いのはいった棒が東響を鼓舞して、素晴らしいシューマンのロマンの世界で魅了してくれます。音響だけでなく、音楽的内容に満ちた好演でした。

続くシューマンのピアノ協奏曲はモーツァルトでいつも素晴らしい演奏を聴かせくれる菊池洋子のピアノに期待します。期待に違わぬシューマンではありました。とりわけ、抒情的なパートの気持ちの込められたロマンティックな演奏はそのピアノの響きの美しさもあいまって、魅惑的でした。ただ、全般的には少しバランスが悪いところもあって、今後に課題を残す演奏でもありました。さらなる飛躍に期待しましょう。東響の演奏も少しピアノを立て過ぎたきらいもあって、シューマンのオーケストラ曲としては物足りない部分もありました。よい部分とそうでない部分が半ばしたシューマンのピアノ協奏曲でした。この曲はなかなか演奏が難しいのかもしれません。

最後のチャイコフスキーのマンフレッド交響曲は熱演でした。東響のアンサンブル能力がフルに機能して、凄まじい音響美の世界を聴かせてくれました。スターンの熱い指揮も的確なもの。今日の演奏は原典版によるもので、第4楽章のフィナーレは第1楽章の主題が回帰して、高潮した圧巻の演奏。壮大な音響の洪水ですが、音楽の美が損なわれることはありませんでした。saraiとしては通常版のオルガン入りのフィナーレも捨てがたいところではありますが、盛り上がりという面では満足の演奏でした。

このところ、期待を裏切ることのない東響の演奏は目を離せません。それに客演のコンマスが次々と登場するのにも驚かされます。今日は何とソロ・ヴァイオリニストとして活躍する郷古廉の登場。びっくりです。何となく第1ヴァイオリンの響きがよかったような気もします。


今日のプログラムは以下です。

  指揮:ユベール・スダーン
  ピアノ:菊池洋子
  管弦楽:東京交響楽団  コンサートマスター:郷古廉(客演)

  シューマン:「マンフレッド」序曲 op.115
  シューマン:ピアノ協奏曲 イ短調 op.54

   《休憩》

  チャイコフスキー:マンフレッド交響曲 op.58


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のシューマンの「マンフレッド」序曲を予習したCDは以下です。

 ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ベルリン・フィル 1949年12月18日、ベルリン、ティタニア・パラスト ライヴ録音
 ラファエル・クーベリック指揮バイエルン放送交響楽団 1978~79年 シューマン交響曲全集 セッション録音
 
シューマンの作品の中でもロマンの色濃い、この曲はフルトヴェングラーにうってつけです。むせかえるような熱いロマンのみなぎる演奏です。一方、シューマンの作品で瑞々しい演奏を聴かせてくれるクーベリックもさすがにこの曲ではロマンあふれる、ファンタジックな演奏。これも素晴らしい演奏です。


2曲目のシューマンのピアノ協奏曲を予習したCDは以下です。

 マリア・ジョアン・ピリス、クラウディオ・アバド指揮ヨーロッパ室内管弦楽団 1997年9月、ベルリン、イエス・キリスト教会 セッション録音
 クララ・ハスキル、ヴィレム・ファン・オッテルロー指揮ハーグ・レジデンティ管弦楽団 1951年9月12日、アムステルダム セッション録音
 クララ・ハスキル、ラファエル・クーベリック指揮デンマーク放送交響楽団 1955年2月17日、コペンハーゲン ライブ録音
 クララ・ハスキル、カール・シューリヒト指揮ストラスブール市立管弦楽団 1955年6月15日、ストラスブール音楽祭 パレ・デ・フェテ ライブ録音
 クララ・ハスキル、エルネスト・アンセルメ指揮スイス・ロマンド管弦楽団 1956年10月10日、ジュネーヴ ヴィクトリアホール ライブ録音


ピリスはさすがに素晴らしい演奏。予習はこれで完了。あとは楽しみでハスキルの名演の数々を聴きます。これまで何度も聴いてきたのはPhilipsの1951年のセッション録音。オッテルローのサポートも素晴らしく、ハスキルが見事なシューマンを気品高いピアノを聴かせてくれます。ほかに4種のライブ録音があり、今回はそのうちの3つを聴きます。1955年のコペンハーゲンのライブでは、クーベリックの丁寧でニュアンスあふれるサポートのもと、ハスキルがロマンに満ちたシューマンを聴かせてくれます。まさに夢見るシューマンという感じの素晴らしい演奏です。1955年のストラスブール音楽祭もよいのですが、少し、シューリヒトもハスキルも固い感じ。最高だったのは1956年のジュネーヴのライブです。まず、録音がよく、ピアノもオーケストラも素晴らしい響き。アンセルメ指揮のスイス・ロマンド管弦楽団はとても美しい演奏でハスキルと共演。ハスキルのピアノも最高の美しさ。気品が高く、詩情に満ちたシューマンを聴かせてくれます。このCDは今後、saraiの最高のシューマンのピアノ協奏曲の定番になりそうです。


3曲目のチャイコフスキーのマンフレッド交響曲を予習したCDは以下です。

 エフゲニー・スヴェトラーノフ指揮ソヴィエト国立交響楽団 1967年

若きスヴェトラーノフ(39歳)の熱い演奏です。スヴェトラーノフは原典版も改訂版も演奏していますが、これは改訂版の演奏です。第4楽章の終盤のオルガンのはいってくる部分が聴きものです。



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オペラ・美術が大好きでヨーロッパの旅にはまっています。音楽の聖地ウィーンが中心で、イタリア、フランス、ドイツも巡っています。国内外のオペラ・コンサートの体験もレポートします。

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昨日投稿した記事の一部に誤りがありました。ドイツ騎士団の中庭はパスしないで、ちゃんと見ていました。追記・修正しました。申し訳ありません。

08/07 00:28 sarai

えりちゃさん、saraiです。お久しぶりです。

これは昨年の9月のウィーンですが、現在のコロナ禍では、古き良き日という風情ですね。もう、ポスト・コロナでは、行けたにし

07/20 12:41 sarai

Saraiさま、
お元気ですか?
新型コロナウィルス、自粛中。
このウィーンの散策を読んでいると、なんだか切なくて悲しくなってきました。
次はいつ行けるのかな、とか思う

07/20 05:08 えりちゃ

はじめまして。ブログ拝見させていただきました。私は、個人ブログを運営しているyuichironyjpと申します。フリーランサーとして活動しており、フリーランスで稼ぐ方法や、

06/14 23:46 Yuichironyjp

ありがたいコメント、嬉しいです。マーラーのファンのかたにこそ、読んでいただきたかったので、気持ちを共有できた思いです。自然の中にこそ、マーラーの音楽の本質はあり

04/23 23:45 sarai

マーラーの作品を聴きながら、ブログを読ませていただいています。
読みながら画像を見て、マーラーの過ごした風景に想いを馳せて楽しんでいます。
素敵なブログをありがと

04/23 21:47 

マーラー6番ですか・・・ハンマー打撃は勘弁してほしいものです。あったとしても、3回目の打撃だけは・・・

04/11 18:10 sarai
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