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今日も絶好調、リゲティとシュトラウス・・・ジョナサン・ノット&東京交響楽団@サントリーホール 2019.7.20

何とも驚くべきプログラム。この内容だけでも聴くべき価値があるコンサートです。一言で言えば、チャレンジャブル。さすがに今日の客席には空席も目立ちましたが、そこは気にしないでノット&東響はこの路線で頑張ってほしいですね。多分、リゲティのレクイエムが今日のプログラムの肝ですが、ノットはリゲティのスペシャリストなので、それは当たり前として、他の曲を何にするか・・・ある意味、正反対とも思えるヨハン・シュトラウス2世はないでしょう。これは笑ってしまい、その上で凄いと感心します。リゲティとヨハン・シュトラウス2世ですよ、あなた! そして、最後の締めはR.シュトラウスです。これって、シュトラウスつながり? さらに生誕514年のタリス。これはノットと同じイギリス人だからかしら。東響の定期演奏会なのにオーケストラなしのア・カペラの合唱曲です。まさにジョナサン・ノットが凝りに凝ったプログラムです。これはウィーンでもなかなか聴けないプログラムです。こういうコンサートをやってくれるノットは得難い宝物だと信じています。

で、まずは人を食ったようなプログラムのJ.シュトラウスⅡの芸術家の生涯です。これは冒頭のオーボエ独奏の美しい演奏からして、通常のウィンナーワルツとは異なります。何という演奏でしょう。J.シュトラウスⅡが後期ロマン派の音楽に変身したような演奏が続きます。最後はめでたく普通の気持ちのよいウィンナーワルツに復帰します。今日のプログラムに合わせたスペシャルなJ.シュトラウスⅡの演奏でした。ノットの知的なアプローチに魅了されました。

次は最も期待したリゲティのレクイエムです。いやはや、これが本物のリゲティなんですね。東響コーラスと独唱者二人の素晴らしい歌唱です。ですが、さすがにCDで聴いたノット&ベルリン・フィルには及びません。一言で言えば、少し突っ込みが足りませんでした。その結果、戦慄を覚えるような演奏までには至りませんでした。もしかしたら、明日の川崎定期では物凄い演奏になるかもしれません。残念ながら、明日はバレエ公演を見るので、川崎定期には行きません。

後半のプログラムはタリスの40声の合唱曲で始まります。これは東響コーラスが期待以上の素晴らしい歌唱を聴かせてくれました。特にソプラノパートの美しい声の響きは圧巻でした。本場イギリスの合唱団にも優るとも劣らない素晴らしい歌唱です。こういう音楽が聴けるのもノットを音楽監督に招いた成果ですね。saraiはタリスは初聴きです。こんな素晴らしい音楽があったんですね。

最後はR.シュトラウスが若い頃に書いた《死と変容》です。これはまさに豊穣の響き。圧倒的なフィナーレは極美の世界。予習で聴いたチェリビダッケ&ミュンヘン・フィルと並び立つような美しさ。ジョナサン・ノット&東京交響楽団は着実に前進しています。


今日のプログラムは以下です。

  指揮:ジョナサン・ノット
  ソプラノ:サラ・ウェゲナー
  メゾソプラノ:ターニャ・アリアーネ・バウムガルトナー
  合唱:東響コーラス
  管弦楽:東京交響楽団  コンサートマスター:グレブ・ニキティン

  J.シュトラウスⅡ:芸術家の生涯 op.316
  リゲティ:レクイエム

   《休憩》

  タリス:スペム・イン・アリウム(40声のモテット)
  R.シュトラウス:死と変容 op.24


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のJ.シュトラウスⅡの芸術家の生涯を予習したCDは以下です。

 ヴィリー・ボスコフスキー指揮ウィーン・フィル 1958年、ウィーン、ゾフィエンザール セッション録音
 
ボスコフスキー、ウィーン・フィルとくれば、もう何も言うことのない美しい演奏。ただただ、その響きに心も体も委ねるだけ。


2曲目のリゲティのレクイエムを予習したCDは以下です。

 ジョナサン・ノット指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 2001年
   カロリーネ・シュタイン(ソプラノ)、マルグリート・ファン・レイセン(メゾ・ソプラノ)、ロンドン・ヴォイセズ(合唱)

リゲティ・プロジェクトと題した5枚組のリゲティ作品集の中の一枚。リゲティが関わっただけに、ノットはベルリン・フィルと素晴らしい仕事を成し遂げています。


3曲目のタリスのスペム・イン・アリウムを予習したCDは以下です。

 タリス・スコラーズ(TALLIS SCHOLARS) 1985年 マートン・カレッジ・チャペル オックスフォード

いやはや、究極のア・カペラです。この上もなく美しい。ただ、それだけです。


4曲目のR.シュトラウスの死と変容を予習したCDは以下です。

 ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮ウィーン・フィル 1950年録音
 セルジュ・チェリビダッケ指揮ミュンヘン・フィル 1979年2月17日 ヘラクレス・ザール、ミュンヘン ライヴ録音

フルトヴェングラーならでは演奏。誰にも真似できない魂の燃焼があります。
チェリビダッケはミュンヘン・フィルの首席指揮者に就任する直前の演奏。この4カ月後、チェリビダッケは正式にミュンヘン・フィルの首席指揮者に就任します。後のこのコンビの大躍進が確信できるような凄まじい演奏です。



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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
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金婚式、おめでとうございます!!!
大学入学直後からの長いお付き合い、素晴らしい伴侶に巡り逢われて、幸せな人生ですね!
京都には年に2回もお越しでも、青春を過ごし

10/07 08:57 堀内えり

 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
公演では小沢、ショルティだけ

ベーム、ケルテス、ショルティ、クーベリック、
クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
、チェリブ

07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

私も18年前にドレスデンでバームクーヘン食べました。マイセンではB級品でもコーヒー茶碗1客日本円で5万円程して庶民には高くて買えなかったですよ。奥様はもしかして◯良女

06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

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