しかし、今日は現代の伝説ともいえるエイフマン・バレエの何と21年ぶりの来日公演です。しかも演目は日本初登場のアンナ・カレーニナです(日本でも新国立劇場バレエ団の上演はあったようですが。)。saraiは日本でも上演された2012年にウィーン国立歌劇場のバレエで見ました。日本もウィーンもエイフマンの指導と振付だったので、内容はほぼ同じです。それは美しいバレエでため息の出るようなものだったので、本家本元の上演で見られるのならと今回、会場にはせ参じました。
やはり、最初から最後まで息の抜けないシーンの連続で、とりわけ、saraiの大好きなリフトの連続が素晴らしく美しく、もうバレエの醍醐味に魅了され続けました。
若きプリマドンナ、ダリア・レズニクの完璧で超美しいソロとデュエット、とりわけ、リフトされたときの姿の美しさは魅惑的でした。それでいて、まだまだ、伸びしろに感じられる余裕は何なんでしょう。スーパースターに上り詰める逸材です。
セルゲイ・ヴォロブーエフも最高でした。見事なカレーニンを踊ってくれました。イーゴリ・スボーチンも見事な踊り。
ともかく、主役の3人がまったく隙のない最高の演技と踊りで魅了してくれました。
群舞も凄い踊り。恐ろしいほどです。その迫力たるや、圧倒的です。
と、これ以上は書くことがありません。まあ、内容的には、以前、ウィーンで見たものとほぼ同じなので、自分の記事をパクって、おおよそのところを書いておきましょう。
第1幕はチャイコフスキーの弦楽セレナードのとても美しい演奏のもと、舞踏会のシーンでアンナ役のダリアの美しい体の線、そして、夫カレーニン役のセルゲイとのデュエットで早速、魅了されます。その後、アンナが密会するヴロンスキーとの絡みの美しいこと、ダリアもイーゴリも最高で、うっとりし続けです。
そして、最高潮に達するのがチャイコフスキーの交響曲第6番《悲愴》の第1楽章の演奏でダリアとイーゴリのデュエットの美しさ。バレエの美しさを最高に極めたものです。特に見たことのないような高度で美しいリフトの数々、それがパーフェクトに決まり、その姿の美しいこと、まるで夢の世界のようです。これが如何に素晴らしいか、確信を込めて、賛美できます。
古典的なバレエと違って、全編、息抜く暇のない、凝縮した踊りの連続、3人のダンサーだけでなく、群舞のダンサー達も体力・技術の限りを尽くし、観るものを圧倒し続けます。
休憩になり、いったん、疲れた目を休めます。そして、第2幕です。
第2幕もダリアの美しさが光ります。アンナとヴロンスキーがイタリアに駆け落ちし、ヴェネチアでの仮面舞踏会。このシーンでの仮面を付けた群舞の凄まじさには圧倒されるのみです。とても美しく、爽快感のあるダンスシーンです。
イタリアでヴロンスキーがアンナをモデルに絵を描くシーンも、とても愛に満ちたというよりも、愛に燃え上がる感じが素晴らしく、またしても、ダリアの美しさに魅せられます。やがて、イタリアでの生活にピリオドを打ち、ロシアに戻った二人は舞踏会に登場。そして、最高潮に達するのがチャイコフスキーの交響曲第6番《悲愴》の第3楽章に乗って、狂おしいダンスが踊られるシーンです。
この後はアンナの転落の詩集です。どこまでも落ちていくアンナ。ダリアが渾身のダンスで表現していきます。
それでも、チャイコフスキーの幻想的序曲《ロミオとジュリエット》の美しい音楽で踊られるダリアの秀逸で美しいダンスで救いも感じます。何故、こうも美しいのか・・・。
最後はホール全体が振動するほどの機関車のダッダッという響きと群舞の中、アンナが身を投げて、轢死し、フィナーレ。実際に高いところからダリアが身を投げたようなのですが、この最高のシーンは照明がブラックアウトして、saraiの目には見えませんでした(予習したヴィデオではちゃんと見えました)。このまま、終わりでもいいかなと思いましたが、短いエピローグでしめくくります。
ともかく、全編、美しいソロ・デュエット・群舞の連続で、バレエ好きにはたまらない究極の作品です。しかし、真の主役はボリス・エイフマンでした。
ところで、今日のエイフマン・バレエで残念な点が一つだけありました。ウィーンで見たときはウィーン国立歌劇場管弦楽団(つまり、ウィーン・フィルそのもの)の生演奏が素晴らしかったんです。特にコンミスのダナイロヴァのヴァイオリン独奏の美しかったこと。今日はテープ。味気ないです。やはり、バレエはオーケストラの生演奏がsaraiの趣味に合います。音楽芸術と身体表現の芸術の融合こそがバレエの真髄だと信じています。
今日のプログラム・キャストは以下です。
バレエ:アンナ・カレーニナ
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
原作:トルストイ
振付・演出:ボリス・エイフマン
管弦楽:マリインスキー歌劇場管弦楽団
アンナ:ダリア・レズニク
カレーニン:セルゲイ・ヴォロブーエフ
ヴロンスキー:イーゴリ・スボーチン
使用楽曲 オール・チャイコフスキー
<第1幕>
弦楽セレナーデ ハ長調 Op.48より第1楽章
組曲第1番 ニ短調 Op.43 序曲とフーガ
交響的バラード「ヴォエヴォーダ」Op.78
組曲第1番 ニ短調 Op.43 間奏曲
なつかしい土地の思い出 Op.42 スケルツォ ハ短調
交響曲第6番 ロ短調 Op.74「悲愴」より第1楽章
交響曲「マンフレッド」Op.58 レント・ルグーブレ
幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」Op.32
弦楽六重奏曲「フィレンツェの想い出」ニ短調 Op.70(弦楽合奏版)
<第2幕>
交響曲第2番 ハ短調 Op.17より第4楽章
幻想序曲「ハムレット」Op.67a
組曲第3番 ト長調 Op.55 主題と変奏
組曲第3番 ト長調 Op.55 悲歌
交響曲第6番 ロ短調 Op.74「悲愴」より第3楽章
なつかしい土地の思い出 Op.42 瞑想曲 ニ短調
幻想曲「テンペスト」Op.18
幻想序曲「ロメオとジュリエット」
予習はもちろん、エイフマン・バレエ。ヴィデオで見てもため息の出るような美しさですが、やはり、実演は最高です。
↓ saraiのブログを応援してくれるかたはポチっとクリックしてsaraiを元気づけてね
いいね!
