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Thunderbirds Are Go! ジョナサン・ノット&東京交響楽団@ミューザ川崎シンフォニーホール 2019.7.27

ジョナサン・ノットはプログラムだけでも楽しませてくれます。今日も何とも驚くべきプログラムです。クラシックのコンサートなのに冒頭は、子供の頃に楽しんだイギリスのSF冒険ドラマ《サンダーバード》の音楽です。いやはや、懐かしかった・・・内容はまあ、コメントしません。東響の演奏は見事でしたけどね。
ところで今日のコンサートはフェスタサマーミューザKAWASAKI2019のオープニングコンサートです。これから丸2週間、ミューザ川崎でオーケストラの祭典が続きます。saraiはその中の主要なものを聴きます。

前半の2番目はリゲティのピアノ協奏曲。リゲティのスペシャリストといえるノットが東響の音楽監督になってくれたお蔭で次々とリゲティの作品が聴けます。先週はレクイエムでしたが、今日の演奏のほうがのびのびと自由闊達に演奏しているような感じです。ピアノ協奏曲といっても、オーケストラの編成が小さく、その分、ノットのドライブもスムーズです。響きもリズムも完璧な演奏です。ピアノの独奏のタマラ・ステファノヴィッチもこの難しい曲を完璧に弾きこなします。曲の構成は5楽章でいわゆるアーチ形の構造をとっています。曲想はまったく違いますが、リゲティの同郷の先輩であるバルトークがしばしば用いた形式です。ポリリズムの形式による複雑なリズムの曲が第1楽章、第3楽章、第5楽章で展開されますが、実に小気味よい演奏です。まだ、リゲティの本質がどのあたりにあるのか、把握しきれていませんが、ノットは今後もリゲティの作品を演奏してくれるでしょう。勉強させてもらいましょう。

後半のプログラムはベートーヴェンの交響曲 第1番。驚異的に素晴らしい演奏でした。ノットは現代音楽から、ベートーヴェン、モーツアルトという古典主義の作品まで、幅広くカバーしますが、とりわけ、古典主義作品の現代的な演奏にかけては、最高の音楽を聴かせてくれます。東響の精度の高いアンサンブルもノットの棒に敏感に反応しながら、素晴らしい演奏を聴かせてくれます。ノットと東響の絶好調コンビの演奏はあり得ない高みに到達しています。ノットは凄い指揮者ですね。こういう音楽が日本で聴けるのは幸運としか言いようがありません。演奏の中身について、深くは触れませんが、ともかく、アーティキュレーションが最高で、まるで、1800年頃のウィーンの街にタイムスリップしたかのような錯覚を覚えるくらい、このベートーヴェンの音楽の本質を突いたと感じてしまうような凄過ぎる演奏でした。今年はベートーヴェンの交響曲第7番も素晴らしい演奏でしたし、年末には交響曲第9番も聴けます。奇数番号の残りの交響曲、第3番と第5番も是非、聴きたいところです。多分、既に演奏済みかもしれませんが、再び、演奏してもらいたいな! そう念願してしまうほど、素晴らしい交響曲第1番でした。(この交響曲を聴いていると、何故か、モーツァルトのオペラの最上の響きを連想してしまいました。)


今日のプログラムは以下です。

  指揮:ジョナサン・ノット
  ピアノ:タマラ・ステファノヴィッチ
  管弦楽:東京交響楽団  コンサートマスター:水谷晃

  バリー・グレイ:「ザ・ベスト・オブ・サンダーバード」〜ジョナサン・ノット スペシャル・セレクション(オリジナル・サウンドトラックより)
  リゲティ:ピアノ協奏曲

   《休憩》

  ベートーヴェン:交響曲 第1番 ハ長調 Op.21


最後に予習について、まとめておきます。

1曲目のサンダーバードはもちろん予習していません。


2曲目のリゲティのピアノ協奏曲を予習したCDは以下です。

 ピエール=ロラン・エマール、ラインベルト・デ・レーウ指揮ASKOアンサンブル 2000年

リゲティ・プロジェクトと題した5枚組のリゲティ作品集の中の一枚。これがピアノ協奏曲かと驚かされますが、そのジャズっぽい作風は聴きやすさがあります。でも、このシンコペーションのかたまりのような曲はジャズではなくて、ポリリズムなんですね。複数のリズムと旋律線が同時進行しているようです。でも、ピアニストもオーケストラもこんな難しい曲をよく演奏しますね。


3曲目のベートーヴェンの交響曲 第1番を予習したCDは以下です。

 サイモン・ラトル指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団  2002年4月29日~5月17日 ウィーン、ムジークフェラインザール ライヴ録音

ラトルがベルリン・フィルの音楽監督に就任する直前にウィーン・フィルとベートーヴェン交響曲全集をライヴ録音したCDの1枚を聴きました。ノットにとってはイギリス人指揮者の先輩になるラトルの演奏を聴いてみたわけです。まずはウィーン・フィルの響きが素晴らしいですが、その中でラトルも引き締まったモダーンなスタイルの演奏表現を志向して、ラトルらしい個性を発揮している見事な演奏です。この全集の中ではこのスタイルの演奏が成功しているものだと思います。



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首都圏の様々なジャンルのクラシックコンサート、オペラの感動をレポートします。在京オケ・海外オケ、室内楽、ピアノ、古楽、声楽、オペラ。バロックから現代まで、幅広く、深く、クラシック音楽の真髄を堪能します。
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 ≪…長調のいきいきとした溌剌さ、短調の抒情性、バッハの音楽の奥深さ…≫を、長調と短調の振り子時計の割り振り」による十進法と音楽の1オクターブの12等分の割り付けに

08/04 21:31 G線上のアリア

じじいさん、コメントありがとうございます。saraiです。
思えば、もう10年前のコンサートです。
これがsaraiの聴いたハイティンク最高のコンサートでした。
その後、ザル

07/08 18:59 sarai

CDでしか聴いてはいません。
公演では小沢、ショルティだけ

ベーム、ケルテス、ショルティ、クーベリック、
クルト。ザンデルリング、ヴァント、ハイティンク
、チェリブ

07/08 15:53 じじい@

saraiです。
久々のコメント、ありがとうございます。
哀愁のヨーロッパ、懐かしく思い出してもらえたようで、記事の書き甲斐がありました。マイセンはやはりカップは高く

06/18 12:46 sarai

私も18年前にドレスデンでバームクーヘン食べました。マイセンではB級品でもコーヒー茶碗1客日本円で5万円程して庶民には高くて買えなかったですよ。奥様はもしかして◯良女

06/18 08:33 五十棲郁子

 ≪…明恵上人…≫の、仏眼仏母(ぶつげんぶつも)から、百人一首の本歌取りで数の言葉ヒフミヨ(1234)に、華厳の精神を・・・

もろともにあはれとおもへ山ざくら 花よりほか

通りすがりさん

コメント、ありがとうございます。正直、もう2年ほど前のコンサートなので、詳細は覚えておらず、自分の文章を信じるしかないのですが、生演奏とテレビで

05/13 23:47 sarai
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